説明

改善されたミリ波及びサブミリ波の照明システム

改善された照明システムは、ミリ波及びサブミリ波の波長において、少なくとも1つの必要とされる波長の一次放射線源、反射面及び遮光板を含み、一次放射線源からの少なくとも幾つかの放射線が遮光板に進行する前に反射面から反射されるように配置される複数の出口アパーチャを備え、所定の時間間隔での複数の放射線場状態を発生させる手段が取り込まれることを特徴とする。遮光板、一次放射線源及び反射器は、望ましくは、照明出力を提供する出口アパーチャを有するコンテナにパッケージされる。複数の放射線場状態の発生は、所定の時間間隔を介して集積されるとき照明器出力において空間的に変化が小さい照明を提供する。本発明の実施形態は、反射面に関して一次放射線源の位置が可変である反射面の相対的な動きを含むと共に、単一のシステム内に多数の発信源を含む複数の放射線場状態を発生させる手段を示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーンのミリ波照明及びサブミリ波照明を提供するのに用いられるシステム及び方法に関する。特に、本発明は、主として室内で用いられ、また屋外環境でも利用できる照明器に関する。
【背景技術】
【0002】
シーンから放射されるミリ波(又はその近傍の)放射線に基づくシーンの像を生成することができるシステムは、そのようなシステムで用いられる技術が成熟するときにはありふれたものになっている。これらの撮像システムは、多くのタスクに対して適当な品質の像を生成するのに十分に高い解像度でシーン内にこれらの波長におけるエネルギーレベルを検出することができる。そのようなイメージャーから生成される像は、シーンの異なる部分から生じるエネルギー差を効率的に示す。シーンの様々な要素を満足に再生するには、これらの要素間に十分な照明エネルギー差が存在することが必要である。システムが屋外で用いられるならば、そのとき、低い放射率のため低温に見える空の間のエネルギー差と、比較的高い放射率のため典型的には270−300ケルビンであるシーンとが、良好なコントラストを有する像を発生させるのに用いられ得る。室内で利用に対して、シーン内の典型的には全ての要素が同一の温度であるとき、これは大きな問題である。
【0003】
このような事情においては、シーンがこのエネルギーの幾らかをイメージャーに反射するようにシーンにおいて関心のある波長の1又は複数のエネルギー源の像を描くように導き、シーンをその背景から区別するのが典型である。この目的のために設計される照明器は、発行された特許文献1に開示される。その中に開示される照明器は、相対的に大きな領域からの拡散エネルギー源を提供し、結果として像を描かれているシーンにより一様な照明を生じ、その全ては最終の像に対して有害である、光沢や正反射などの問題を低減するのを助ける。
【0004】
【特許文献1】PCT出願第GB2003/001886号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、照明器又はイメージャーのいずれかの帯域幅が小さいならば、そのとき、スペックル効果が時には像の上に見られ得る。これは全体の像に対して有害であり得る。
【0006】
本発明の目的は、従来技術と関係する問題を少なくとも緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、ミリ波又はサブミリ波照明システムであって、
少なくとも1つの放射線場状態において関心のある1又は複数の波長の放射線を放射するようになっている少なくとも1つの一次放射線源と、
非透過面を備え、その中に複数の出口アパーチャを配置した遮光板と、
前記一次放射源と前記遮光板の間に複数の放射線経路を誘導するためにミリ波長又はサブミリ波長で反射する表面とを備え、
前記システムが所定の時間間隔で複数の放射線場の状態を発生させる手段をさらに組み込むことを特徴とするシステムが提供される。
【0008】
反射面は、一次発信源を抜け出る放射線の少なくとも一部が前記出口アパーチャを通り抜ける前に前記反射面から反射される。
【0009】
従来技術で観測されるスペックル効果は、照明器からの出力パワーにおけるノイズのような空間的変化によって生じることが分かってきている。この変化は、時間的に変化がほとんどないままである傾向にあるため、一様でない照明をシーンに対して与える。これは、固定されるが本質的にランダムな位相で遮光板の様々な出口アパーチャから抜け出て、各要素の位相がランダムに設定される場合に同様に放射線パターンを生成するように大きな位相調整アレーアンテナに結合する放射線によって生じると考えられている。
【0010】
その問題は、照明システムすなわち上記の照明器を用いたイメージングシステムの帯域幅が引き下げられるときにより顕著となることが分かってきている。もちろん、イメージングシステムが照明システムによって生成される帯域よりも狭い帯域を用いるならば、そのとき、イメージングシステムの帯域外の照明システムによって生成されるエネルギーはイメージング処理にはほとんど役に立たないだろう。
【0011】
帯域幅が引き下げられるとき、出口アパーチャから放射される放射線のコヒーレンスは増加する傾向にあり、照明器の出力パワーは空間的変化の量もまた増加する。逆に、より大きな帯域幅では、照明器の出力パワーの空間的変化が減少する。これは、概念的に広帯域出力を一組の異なる狭帯域出力とみなすことによって理解され得る。各帯域での空間的変化が異なると、幾つかの上記の出力の統合は、結果として照明器からの全出力の平均化又は平滑化を生じる傾向にある。
【0012】
より低い帯域幅において、出願人は、所定の時間間隔内のこの中で定義される複数の異なる放射線場状態を発生させることによって、関連するイメージャーによって見られる出力パワーにおける空間変化量は低減されることを実現した。複数の異なるモードは、放射線が所定の時間間隔で出口アパーチャを抜け出る前に放射線場パターンを妨害することによって発生し得る。これが行われるならば、そのとき、出口アパーチャから放射する放射線の相対的な位相は変化し、照明器からの空間的にノイズがある放射線パターンもまた変化するであろう。
【0013】
代替的には、複数の異なる放射線場状態は同時に発生し得る。これは、例えば、遮光板及び反射器に対して複数の一次発信源を取り込むことによって行われ、代替的には、少なくとも第1及び第2の位置における遮光板及び反射器の方向から放射することによって単一の発信源を用いて行われる一方で、第1の位置における放射線は第2の位置における放射線とはインコヒーレントにする。これは、シーンから2つの位置に達する放射線の間の適切な相対的時間の遅延を取り込むことによって達成され得る。
【0014】
望ましくは、そのシステムは、放射線場状態を発生させるように配置され、複数のモードがシーンを表示する関連イメージャーの基本集積時間の期間内に発生させられる。一般に、集積時間の期間は、1画素の情報を計測するためにイメージャーが必要とする時間に対応するであろう。しかしながら、一定部類のイメージャーに対し、特に、それらは受信素子の走査されていないスターリングアレイ(staring array)を備え、この集積時間はまた、全画像フレームを記録するのに必要とされる時間に一致する。望ましくは、システムは、放射線場状態を発生させるように配置され、イメージャーの各基本的集積時間の期間中に、シーンは、照明器からの少なくとも2つ、同様に少なくとも4つ、同様に少なくとも8つの放射線場によって照明される。この手法では、変化するモードは、平均する効果を生成する傾向にあり、イメージャーの基本集積時間を経て集積されるとき、見掛けの照明は相対的に一定であるようにみえる。
【0015】
好ましいシステムは、遮光板及び反射面をコンテナに取り込み、1又は複数の発信源からの放射線がコンテナの中に放射される。
【0016】
所定時間の間隔を介して複数の放射線場状態を発生させる手段は、コンテナの内部の大きさを変化させる手段を備えている。出口アパーチャから現れる放射線の少なくとも幾つかは、コンテナの内側の反射物質から反射され、その後、コンテナの大きさを十分な範囲まで変化させることは、反射される放射線の特性を変化させるため、コンテナ内の放射線場状態を変化させる。
【0017】
さらに代替的には、所定の時間間隔を介して複数の放射線場を発生させる手段は、コンテナ内に、電磁界を妨害し、コンテナ内の放射線場状態を変化させる可動の構造を備えていてもよい。可動構造は、反射的なもの、吸収性なもの、又は誘電性のもののいずれであってもよい。
【0018】
さらに代替的には、所定の時間間隔を介して複数の放射線場状態を発生させる手段は、一次発信源の出力のコンテナ内での実効位置を変化させることを備えていてもよい。これは、コンテナ内の発信源出力部を物理的に移動することによって行われてもよいし、一次発信源からコンテナ内の異なる位置に位置する別の出力部への放射線を切り替えることによって行われてもよい。
【0019】
さらに代替的には、所定の時間間隔を介して複数の放射線場状態を発生させる手段は、実効的には複数である単一の発信源であって、全ては同時に放射線場状態を発生させる発信源を備えていてもよい。これらは、物理的に独立した発信源であってもよいし、それぞれが互いについてインコヒーレントであるように配置される複数の出力を有する単一の発信源を備えてもよい。
【0020】
現在の記載の事情では、送信モードは、実効的に単一の発信源によって発生される、遮光板のいずれかの側面における電磁界分布の所定の瞬間のパターンであるようにとらえられることに注目すべきである。
【0021】
現在の記載の事情では、共振場状態は、反射面、発信源及び遮光板の間に設定され、遮光板のアパーチャを介して延びている電磁波放射線の定常波パターンであるようにとらえられ、反射面、発信源及び遮光板の相対的位置並びに単一の発信源によって効率的に発生される放射線の周波数によって定義されることに注目すべきである。
【0022】
多くの事情の下では、単一の発信源は、基本集積期間よりも長い期間を介して実質的に一定であることを維持し得る放射線場状態を発生させるであろう。しかしながら、物理的な単一の発信源は、放射されている放射線のコヒーレント長以上の長さでお互いについて遅延される多数の出力部を有することによって発生される放射線場状態に関して実効的にニ以上の発信源として動作し得る。この例では、2つ以上の放射線場状態が発生されるであろう。
【0023】
本発明のさらなる側面によると、ミリ波又はサブミリ波照明を発生させる方法であって、
遮光板は非透過的な表面を備え、そこに複数の透過的な出口アパーチャを配置し、反射面が複数の放射経路を前記表面と前記遮光板の間に誘導するように、ミリ波又はサブミリ波放射線を少なくとも1つの一次発信源から前記反射面及び前記遮光板に送り込むステップと、
所定の時間間隔を介して前記発信源と前記出口アパーチャの間に複数の放射線場状態を発生させるステップと、を備えた方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ここで、本発明は、図面を参照して専ら実施例を介してより詳細に述べられるであろう。
【0025】
図1は、コンテナ3内に配置される出力部2を有する増幅されたノイズ源などのミリ波一次発信源1を示している。コンテナ3は、一次発信源1によって生成される波長で一般に反射する金属性の内面を有している。コンテナ3の少なくとも1つの側面5は、その6つ(4a−4f)が図1に認識できる穴又はアパーチャ4を通る円形のアレイを備えている遮光板を用いて形成される。アレイは、一般には、二次元アレイを備えている。一次発信源1の出力部2は、コンテナ3内に配置され、出力部2から放射される放射線のほとんどは、出口アパーチャ4からコンテナを抜け出る前に、コンテナ3の反射する内面からの少なくとも1つの反射を受けるようになっている。
【0026】
コンテナ3内のほとんどの放射線によってとられる経路の複雑な性質により、高い帯域(典型的には、5−10GHz)を有する放射線に対して、任意の隣接したアパーチャを抜け出る放射線の十分な程度のインコヒーレントであることは確実である。これは、空間的に実質的に一定レベルの照明を提供することを助ける。しかしながら、システム帯域幅が減少すると、放射線のコヒーレント長が増大し、任意の隣接したアパーチャを抜け出る放射線のコヒーレントの程度が増大することを意味し、照明システムによって配信される照明のレベルの空間的変化に繋がる。
【0027】
図2は、本発明に係る第1の実施形態を示している。一次発信源1は、コンテナ6に接続され、一次発信源1の出力は図1に示されるようにコンテナ5内に存在するようになっている。コンテナ6は、一般には、図1に示されるものに類似するものであるが、1つの内部の側壁7はアクチュエータ8によって駆動されるときに曲がるように配置される。アクチュエータ8は、側壁7に結合される接続ロッド9を有し、この接続ロッド9は矢印によって指示されるように出たり入ったり移動する。ロッド9のそのような動きにより、側壁7は図2で際立たせられて示されているように移動することができる。典型的には、1ミリメートル程度の小さい側壁7の湾曲部は、コンテナ内の放射線場の1又は複数の状態を変化させるには十分であり、照明システムからの放射線パワーの空間的変量を変化させる効果を生ずるのに十分である。アクチュエータ8はコンテナ6の外側に配置されているが、同様にコンテナ6内に配置されてもよい。
【0028】
アクチュエータは、望ましくは、モードが関連イメージャーの基本集積時間の期間内で複数回変化するように、ある速度で繰り返し側壁7を曲げるように配置される。湾曲部によって作られる異なる空間的なパターンは、その後、イメージャー自体の中の検出器によって集積され、空間的変量の平均化に繋がり、そのため、イメージャー内では付加的な処理が必要とされない。
【0029】
放射線のモーダル構造における変化がイメージャーの各集積時間の周期に対して一度だけ生じるならば、そのとき、複数の像は、一連の像を集積するように記録されデジタル的に処理され得る。しかしながら、これは、撮像システムの実効的なフレームレートを下げるときには望ましいものではなく、付加的な処理が実行される必要もある。
【0030】
図3は、(図2に示されるような)一次発信源1の出力から放射されるコンテナ6内の波の2つの可能な経路を示しており、その波はアクチュエータ8の動きのために側壁7が曲がっているそれぞれの間の短い時間間隔で放射されている。経路Aは、所定の瞬間に側壁7から反射している波の方向を示しており、側壁はアクチュエータ8によって移動されている。初期的には経路Aと同じ経路を経て進む経路Bは、後のある瞬間に側壁7'の同じ部分に当り、側壁7のその部分の位置及び/又は角度が異なるため別の方向に反射されることになる。単純に割り切った表現ではあるが、図3は、側壁7の相対的に僅かな動きが結果として生ずる照明パターンにどのように重大な影響を及ぼし得るかを示している。
【0031】
図4は、本発明に係る第2の実施形態を示している。ここで、一次発信源1は、再度、コンテナ10に送り込む出力部2を有している。コンテナ10は、図1に示されるものと同様であり、出口アパーチャ4及び金属性の内壁を有している。しかしながら、この実施形態では、コンテナ10はまた、傾斜して取り付けられる金属性ディスク12に接続される電気モータ11を含んでいる。ディスク12は、それが出力部2からの放射線の少なくとも幾つかの経路内にあるように取り付けられる。実際には、ディスクは、コンテナ10内の任意の都合のよい位置に取り付けられ得る。
【0032】
モータ11は、照明器が使用されるときにディスク12を回転するために配置される。ディスクに当る放射線は、その後、その瞬間にディスクの位置に応じて反射される。ディスクが回転すると、放射線はコンテナ10内で異なるモードで反射し、照明の空間的変量は連続的に変化する。モータは、望ましくは、コンテナ10内のモーダル変化が、関連イメージャーの基本的集積期間より短い時間で出力される照明器の空間的変量に対する変化を結果として生じることを確実にするほど高いレートで回転するように配置される。
【0033】
図4は傾斜して取り付けられた反射器12に接続されるモータを示しているが、本発明の範囲は、コンテナ10内のモードを“起こさせる(stirring)”他の手段を包含する程十分に広いものである。例えば、反射器12は、傾斜して取り付けられた誘電性スラブで置換されてもよいし、吸収器であってもよい。これらの全ては、コンテナで与えられるモーダル構造に作用する。代替的には、モータ11及び反射器12は、図2のアクチュエータ8に同様の線形アクチュエータに取り付けられるミラー、誘電体、又は吸収器で置換されてもよい。
【0034】
図5は、本発明に係る第4の実施形態を示している。一次発信源1は、コンテナ10に接続され、コンテナ10は、図4のコンテナ10と概して同様のものである。一次発信源1の出力は、4つの個別の出力14a−14dを有するミリ波切り替えボックス13に送り込まれる。切り替えボックス13内のスイッチング回路は、一次発信源1からのエネルギーが4つの出力14のどれに導かれるかを選択することができる。切り替えボックス13は、望ましくは、P.I.Nダイオードスイッチデバイスであり、これは非常に迅速に切り替えられることができる。本出願に対して適当なミリ波スイッチは、米国ノーサンプトンMA01060のMIllitechによって製造されるものである。電気機械式スイッチはまた、本実施形態を実行するのに適当であるが迅速に切り替えることは出来ない。
【0035】
使用時に、一次発信源1は、任意の所定時間でエネルギーを4つの出力14のうちの1つに導くために配置される切り替えボックス13に対して関心のある波長のエネルギーを提供する。出力14dは、図5において放射線を放射することを示している。切り替えボックスは、一次発信源1から各出力14a−14dへ代わるがわる放射線を切り替えるために配置される。各出力14a−14dは、別個の位置にあり、このとき、各出力4a−4dに対するコンテナ10内の放射線場状態は一般には異なっているため、照明器の出力において異なる空間的変量を結果として生じるであろう。スイッチが関連イメージャーの基本集積時間の期間中に少なくとも1度は全ての出力4a−4dを通る放射線を循環するように配置するならば、そのとき、この中で議論される本発明に係る他の実施形態で行われるように、照明器の出力におけるこれらの異なる空間的変量はイメージャーで平均化されることになる。
【0036】
出力14a−14dのそれぞれにおいて可変の減衰器を配置することは、本発明に係る本実施形態の実行では都合がよいことが分かっている。これは、照明器システムによって放射される出力パワーがどの出力14a−14dが起動中であるかに依存して僅かに変化し得るからである。減衰器は、より一様な出力が照明器システムから得られるように、各出力14a−14dからの出力パワーが調整されることを許容する。
【0037】
図6は、第4の実施形態から生じる結果を示すグラフである。グラフは、画素の位置によって指示される画像の水平位置を用いてイメージングシステムで測定されるコントラスト比を示している。データが取られている画像は、図5に例証されるように、第4の実施形態の照明器によって照明される一様に反射するシーンである。したがって、グラフは、シーンの照明の空間的変化を示している。
【0038】
5つのトレースが示されている。トレースA、B、C及びDは、シーンが第4の実施形態の4つの個別の出力14a、14b、14c及び14dそれぞれによって照明されるときの像の比に等しい。トレースEは、代わるがわる全4つの出力によって照明されるシーンをイメージャーによって取得した測定値であり、それぞれは4分の1の計測時間に対するものでありトレースA、B、C及びDに一致している。トレースA、B、C、D、Eはグラフをより明確にする絶対的な期間で再配置され、グラフのy軸に関するそれらの位置は、指示している絶対的なパワーレベルに関しては意味を持っていない。しかしながら、y軸は単一のトレース内でコントラストの変化量を参照するのに有用である。
【0039】
トレースを単に見ると、照明の空間的変化の量はトレースA、B、C、Dのそれぞれに対して同様であるが、これらのトレースの正確な形態はそれぞれの場合で異なることが分かり得る。トレースEの変量は、全4つの個別の出力14a、14b、14c及び14dがシーンを照明するのに用いられる場合には、照明強度において大きく低減された空間的変化を示し、より一様なシーンの照明を示す。変化低減は√nに比例するように計算され、ここで、nはシーンを照明するのに用いられる個々の照明器の数である。測定結果はこの理論上の予測と一致する。この式は、他の実施形態に対してもより一般的であることが分かっており、ここで、nは、関連イメージャーの基本的集積時間内に生成される独立の照明パターンの数に等しい。
【0040】
図7は、本発明に係る第5の実施形態を示している。一次発信源1は、コンテナ10に接続され、コンテナ10は概して図4のコンテナ10に類似するものである。一次発信源1の出力は、パワーディバイダ15に送り込み、一次発信源1から、それぞれが発信源のおよそ半分のパワーを有する第1の経路16及び第2の経路17に放射線を分離する。経路16の放射線は、典型的にはポート18を介してコンテナ19へ放射される。第2の経路17の放射線は、ポート20を介して抜け出る前に、可変位相シフタ19を通過する。
【0041】
可変位相シフタは、それを通過する放射線の位相を迅速かつ連続的に変化させるように配置される。2つのポート18、20からの放射線は、コンテナ10内の特定方向に実効的に放射線を向けるようにコンテナ10内の特定の方向で結合し、所定の瞬間に放射線場状態を生成する。その後間もなく、放射線の一経路17に誘導される位相シフトは、異なる方向に放射線を向けて、コンテナ10内に異なる放射線場状態を結果として生じる。向けられた各方向は、一般には、照明システムによって生成される異なる放射線パターンを結果として生じ、上述の利益に繋がる。同様の実施形態は2つのポート18、20よりも多いポートを取り入れてもよいし、位相シフタ19より多いシフタを取り入れてもよい。
【0042】
図8は、本発明に係る第6の実施形態を示している。コンテナ10は、概して図4のコンテナ10に類似するものを示している。しかしながら、コンテナ10にエネルギーを送る単一の一次発信源の代わりに、3つの独立した一次発信源21a、21b、21cがエネルギーをチャンバー10に送り込むように配置される。一次発信源21は、同時に機能するように配置され、3つ全てが所定の瞬間にエネルギーをコンテナ10に放射する。各一次発信源21a、21b、21cのパワーは、各一次発信源21a、21b、21cに基づく照明器の出力パワーが実質的に等しいように調整され得る。これは、一次発信源の給電部22に減衰器を取り込むこと又は任意の他の適当な手段を取り込むことによって成し遂げられ得る。一次発信源21が相互にインコヒーレントであるので、そのとき、それぞれは照明器の出力におけるそれ自身の空間的変量に関連するが、各々の上記変量は異なっているであろう。3つの空間的変量の重ね合わせは、上記の他の実施形態に関連して述べたように、全体の出力パワーを滑らかにする傾向にある。
【0043】
図9は、本発明に係る第7の実施形態を示している。一次発信源1は、コンテナ10に接続され、コンテナ10は概して図4のコンテナ10に類似するものである。一次発信源1の出力は、パワーディバイダ23に送り込み、放射線を一次発信源1から、それぞれは元の発信源のパワーのおよそ半分を有している、出口ポート26を有する第1の導波路24及び出口ポート27を有する第2の導波路25に分割する。経路25の長さは、出口ポート26から抜け出る放射線と出口ポート27から抜け出る放射線の間の遅延時間を生成するために、経路24の長さより長い。この遅延時間は、出口ポート26から抜け出る放射線が出口ポート27から抜け出る放射線との関係でインコヒーレントであるように十分に大きくなければならない。実際には、これは、2つの経路24、25の距離の差は、導波路24、25で進行するとき放射線のコヒーレンス長より大きくなければならず、このコヒーレンス長はシステム帯域幅に依存する。
【0044】
図9の配置の効果は、ポート26及び27を抜け出る放射線を、それが独立した発信源から実効的に導かれるかのように動作させることである。したがって、図8の実施形態に述べられる多数の発信源アプローチの利点は、単一の発信源のみを用いて得られている。
【0045】
当業者は、本発明の範囲内で他の実施形態が考えられ得ることに気付くであろうし、本発明はこの中に述べられる実施形態に限定されるべきでははない。例えば、既に述べられた実施形態に加えて、複数の放射線場状態が遮光板の物理的特性を変化させることによって所定時間で発生され得る。これは、所定時間内で動的に開閉される出口アパーチャを提供することによって成し遂げられ得る。
【0046】
本発明は、ミリ波領域内の波長及びテラヘルツ周波数領域にまで延びているサブミリ波領域の波長に対する照明システムにも適用可能であり、異なる波長領域で利用するための任意の必要な変更は当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来の照明器システムを概略的に例証した図である。
【図2】一次発信源の出力部を収容するコンテナが様々な内部の大きさを有するように配置されることを特徴とする本発明に係る第1の実施形態を概略的に例証した図である。
【図3】第1の実施形態のコンテナの内部形状に対する変化が、異なる空間的照明変化において結果としてどのように生じるかを概略的に例証した図である。
【図4】一次発信源の出力部を収容するコンテナがコンテナ内の電磁界を妨害する可動構造を取り込むことを特徴とする本発明に係る第2の実施形態を概略的に例証した図である。
【図5】コンテナ内の一次発信源が、特定の出力を選択するスイッチング手段に加えて複数の出力を有するように配置されることを特徴とする本発明に係る第4の実施形態を概略的に例証した図である。
【図6】コンテナ内で一次発信源の様々な個々の出力位置に対して見られる照明パワーの空間的変化のグラフをこれらの合計と共に示した図である。
【図7】一次発信源がエネルギーを連続的に提供する複数の出力部を有するように配置され、1又は複数の前記出力部が位相シフト手段を取り込んだことを特徴とする本発明に係る第5の実施形態を概略的に例証した図である。
【図8】多数の独立の発信源が使用されることを特徴とする本発明に係る第6の実施形態を概略的に例証した図である。
【図9】単一の発信源は複数の発信源として実効的に働くように操作されることを特徴とする本発明に係る第7の実施形態を概略的に例証した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波又はサブミリ波照明システムであって、
少なくとも1つの放射線場状態において関心のある1又は複数の波長の放射線を放射するようになっている少なくとも1つの一次放射線発信源と、
非透過的な表面を備え、そこに複数の透過的な出口アパーチャを配置した遮光板と、
前記発信源と前記遮光板との間に複数の放射線経路を誘導するために、ミリ波又はサブミリ波波長を反射する面と、を備え、
前記システムは、所定の時間間隔で複数の放射線場状態を発生させる手段をさらに取り込むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記放射線場の1又は複数の状態を発生させるための手段は、関連のイメージングシステムの基本集積期間より短い時間内で前記放射線場の1又は複数の状態を変化させるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記遮光板及び前記反射する面は、コンテナの一部を形成し、前記少なくとも1つの発信源は放射線を前記コンテナに放射するように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記放射線場の1又は複数の状態を変化させる手段は、それが前記反射する面を移動できるように取り付けられる機械式アクチュエータを含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の照明システム。
【請求項5】
前記放射線場の1又は複数の状態を変化させる手段は、前記発信源と前記遮光板との間の電磁界を妨げるための可動構造部を取り込んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の照明システム。
【請求項6】
前記可動構造部は、反射物質を備えたことを特徴とする請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記可動構造部は、吸収物質を備えたことを特徴とする請求項5に記載の照明システム。
【請求項8】
前記可動構造部は、誘電体物質を備えたことを特徴とする請求項5に記載の照明システム。
【請求項9】
前記放射線場の1又は複数の状態を変化させる手段は、一次発信源が前記遮光板及び前記反射する面に向かって放射線の出力を提供する実際の場所を変化させる手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の照明システム。
【請求項10】
一次発信源が放射線の出力を提供する実際の場所を変化させる手段は、前記反射する面及び前記遮光板に関して可動であるようにされた一次発信源の出力を備えたことを特徴とする請求項9に記載の照明システム。
【請求項11】
一次発信源が放射線の出力を提供する実際の場所を変化させる手段は、放射線を前記一次発信源から複数の空間的に分離した出力の1つに切り替えるように配置されるスイッチを備えたことを特徴とする請求項9に記載の照明システム。
【請求項12】
ミリ波又はサブミリ波の照明を発生させる方法であって、
遮光板は非透過的な表面を備え、そこに複数の透過的な出口アパーチャを配置し、反射する面が複数の放射経路を一次発信源と前記遮光板の間に誘導するように、ミリ波又はサブミリ波の放射線を少なくとも1つの前記一次発信源から前記反射する面及び前記遮光板に送り込むステップと、
所定の時間間隔を介して前記一次発信源と前記出口アパーチャの間に複数の放射線場状態を発生させるステップと、を備えた方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−530969(P2007−530969A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505625(P2007−505625)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001181
【国際公開番号】WO2005/096013
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(501297550)キネティック リミテッド (57)
【Fターム(参考)】