説明

改善された効果を有する2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物及びその異性体形態の殺虫剤組成物

本発明は、浸透性向上剤及び/又はアンモニウム塩若しくはホスホニウム塩を用いて害虫を防除するための、式(I)で表される2−シアノベンゼンスルホン酸アミドならびにその異性体形態(I−A)及び(I−B)


〔ここで、R、R、R、R、R及びAは、上記意味を有する〕に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニウム塩又はホスホニウム塩及び場合により浸透性向上剤(penetration enhancer)を添加することによる殺害虫剤(pesticide)〔特に、式(I)[式中、可変部分R〜Rは、請求項2で定義されているように定義される]で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物、その異性体形態(I−A)及び(I−B)及び/又はそれらの農業上有用な塩〕の作用の改善、並びに、対応する作用剤、それらを調製する方法、並びに、作物保護におけるそれらの使用、特に、殺虫剤及び/又は殺ダニ剤としてのそれらの使用に関する。本発明は、さらに、害虫を防除するための、アンモニウム塩又はホスホニウムを添加することによる化合物(I)、(I−A)又は(I−B)及び/又はそれらの塩の使用、農業用組成物〔ここで、該組成物は、一般式(I)、(I−A)若しくは(I−B)で表される少なくとも1種類の化合物の殺害虫有効量及び/又は(I)、(I−A)若しくは(I−B)の農業上有用な少なくとも1種類の塩の殺害虫有効量、並びに、液体及び/又は固体の農業上許容される少なくとも1種類の不活性担体の殺害虫有効量、並びに、少なくとも1種類の浸透性向上剤及び/又はアンモニウム塩若しくはホスホニウム塩を含んでいる〕、並びに、害虫を防除する方法にも関し、ここで、該方法においては、当該害虫、それらの周囲の環境、それらの繁殖地、それらの栄養源、該植物、該種子、該土壌、該領域、該物質又はそこで害虫が成育しているか若しくは成育可能な環境、又は、当該害虫による侵襲若しくは汚染から保護すべき物質、植物、種子、土壌、領域若しくは空間を、殺害虫有効量の一般式(I)、(I−A)又は(I−B)で表される少なくとも1種類の2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物及び/又はそれらの農業上許容される少なくとも1種類の塩で処理する。
【0002】
害虫は、収穫前の作物及び収穫された作物を破壊し、並びに、木製の建築物及び構造物を攻撃し、その結果として、それら害虫は、食糧生産において及び財産に対して、重大な経済的損失をもたらす。多くの殺害虫剤が知られているが、防除すべき害虫が当該殺害虫剤に対する抵抗性を発達させ得るので、害虫を防除するための新しい剤が依然として求められている。特に、昆虫類及びハダニ類などの害虫は、効果的に防除するのが困難である。
【背景技術】
【0003】
EP 0033984には、殺アブラムシ活性を有する置換2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物が記載されている。該ベンゼンスルホンアミド化合物は、好ましくは、該フェニル環の3位にフッ素原子又は塩素原子を有している。殺虫作用を有する2−シアノベンゼンスルホンアミド類は、WO 2005/035486及びWO 2006/056433によっても知られている。それらの土壌施用及び種子施用についての使用は、W02006/100271及びWO 2006/100288に記載されている。さらに、2−シアノベンゼンスルホンアミド類の異性体形態及びその異性体形態の誘導体並びにそれらの殺虫作用についても、EP 86748、EP 110829、EP 133418、EP 138762、DE 3544436、EP 191734、EP 207891、JP 1989/319467及びJP 1990/006496に記載されている。さらに、2−シアノベンゼンスルホンアミド類は、WO 2007/060220及びWO 2008/031712にも記載されている。これらの刊行物を特に参照する。
【0004】
本発明の作用剤に含まれている全ての活性物質は、既に知られており、最新技術において記載されている方法で調製することができる(上記で引用されている参考文献を参照されたい)。それらの殺害虫作用は優れているが、特に低施用量及び低濃度においては、必ずしも完全に満足のいくものとは限らない。従って、該化合物を含んでいる殺害虫剤の活性を増強することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0033984号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/035486号
【特許文献3】国際公開第2006/056433号
【特許文献4】国際公開第2006/100271号
【特許文献5】国際公開第2006/100288号
【特許文献6】欧州特許出願公開第86748号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第110829号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第133418号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第138762号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第3544436号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第191734号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第207891号明細書
【特許文献13】特開平1−319467号公報
【特許文献14】特開平2−6496号公報
【特許文献15】国際公開第2007/060220号
【特許文献16】国際公開第2008/031712号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、一般式(I)、(I−A)及び(I−B)で表される化合物の活性、特に、防除が困難な昆虫類及びハダニ類に対する活性を改善するための作用剤及び方法である。
【0007】
上記文献において、アンモニウム塩を添加することによってさまざまな活性物質の作用が増強され得るということが既に記載されている。しかしながら、それらは、洗浄作用を有する塩(例えば、WO 95/017817)であるか、又は、比較的長いアルキル置換基及び/若しくはアリール置換基を有していて、浸透作用を有するか若しくは活性物質の溶解性を増大させる塩(例えば、EP−A 0453086、EP−A 0664081、FR−A 2600494、US 4844734、US 5462912、US 5538937、US−A 03/0224939、US−A 05/0009880、US−A 05/0096386)である。さらにまた、最新技術においては、特定の活性物質についての作用及び/又当該作用剤の特定の使用についてのみ記載されている。さらに別の場合には、それらはスルホン酸の塩であり、その酸自体が昆虫類に対して麻痺させる作用を有している(US 2842476)。例えば硫酸アンモニウムによって活性が増強されることは、例えば、除草剤のグリホセート及びホスフィノトリシンに関して記載されている(US 6645914、EP−A2 0036106)。殺虫剤の場合の対応する作用については、最新技術によって開示されてもおらず、明らかにもされていない。
【0008】
製剤用の添加剤として硫酸アンモニウムを使用することも、特定の活性物質及び用途に関して記載されている(WO 92/16108)。しかしながら、そこでは、硫酸アンモニウムは、当該活性を増強するためではなく、製剤を安定化させるために用いられている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
全く驚くべきことに、アンモニウム塩又はホスホニウム塩を施用溶液に添加することによって、又は、それらの塩を2−シアノベンゼンスルホンアミド類(I)並びにその異性体形態(I−A)及び(I−B)を含んでいる製剤の中に組み入れることによって、2−シアノベンゼンスルホンアミド類(I)並びにその異性体形態(I−A)及び(I−B)からなる殺虫剤及び/又は殺ダニ剤の作用が著しく増大され得るということが分かった。かくして、本発明の対象は、殺虫活性及び/又は殺ダニ活性を示す2−シアノベンゼンスルホンアミド類(I)並びにその異性体形態(I−A)及び(I−B)を活性物質として含んでいる殺害虫剤の作用を増大させるためのアンモニウム塩又はホスホニウム塩の使用である。殺虫活性を示す2−シアノベンゼンスルホンアミド類(I)並びにその異性体形態(I−A)及び(I−B)とそれらの作用を増大させるアンモニウム塩又はホスホニウム塩を含んでいる作用剤〔即ち、製剤された活性物質及びさらに即時使用可能な作用剤(散布液)の両方〕も、本発明の対象である。最後に、本発明のさらなる対象は、有害な昆虫類及び/又はハダニ類を防除するためのそれら作用剤の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物(I)並びにその異性体形態(I−A)及び(I−B)は、一般式
【0011】
【化1】

[式中、
Aは、水素、C−C−アルキル又はC−C−アルケニルを表し;
は、水素、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−ハロアルコキシを表し;
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル又はC−C−アルコキシ〔ここで、名前が挙げられている最後の5の残基は、置換されていなくてもよいか、部分的に若しくは完全にハロゲン化されていてもよく、及び/又は、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、アミノ、(C−C−アルキル)アミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−シクロアルキル及びフェニル(ここで、該フェニルは、置換されていなくてもよいか、部分的に若しくは完全にハロゲン化されていてもよく、及び/又は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−ハロアルコキシの群から選択される1、2若しくは3の置換基を有し得る)の群から選択される1、2若しくは3の残基を有し得る〕を表し;
、R及びRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシカルボニル、アミノ、(C−C−アルキル)アミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、アミノカルボニル、(C−C−アルキル)アミノカルボニル及びジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルを表す]
によって記述される。
【0012】
ここで、Aが水素を表す式(I)の化合物は、場合により、異性体形態(I−A)で存在することが可能であり;AとRが水素を表す式(I)の化合物は、場合により、異性体形態(I−B)で存在することが可能である。
【0013】
式(I)で表される化合物並びにその異性体形態(I−A)及び(I−B)は、広範な殺虫作用及び/又は殺ダニ作用を有しているが、特定の場合には、その作用は、もう一つ不満が残る。
【0014】
該活性物質は、広い濃度範囲で本発明組成物の中に含ませて使用することができる。しかしながら、製剤中の該活性物質の濃度は、通常、0.1〜50重量%である。
【0015】
2−シアノベンゼンスルホンアミド類並びにその異性体形態(I−A)及び(I−B)を含んでいる殺害虫剤の作用を本発明に従って増強するアンモニウム塩及びホスホニウム塩は、式(II)
【0016】
【化2】

によって定義され、ここで、
Dは、窒素又はリンを表し;
Dは、好ましくは、窒素を表し;
、R、R及びRは、互いに独立して、水素を表すか、又は、それぞれ、場合により置換されていてもよいC−C−アルキル又は単一の不飽和若しくは複数の不飽和を有する場合により置換されていてもよいC−C−アルキレン(ここで、該置換基は、ハロゲン、ニトロ及びシアノから選択され得る)を表し;
、R、R及びRは、好ましくは、互いに独立して、水素を表すか、又は、それぞれ、場合により置換されていてもよいC−C−アルキル(ここで、該置換基は、ハロゲン、ニトロ及びシアノから選択され得る)を表し;
、R、R及びRは、特に好ましくは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル又はt−ブチルを表し;
、R、R及びRは、極めて特に好ましくは、水素を表し;
nは、1、2、3又は4を表し;
nは、好ましくは、1又は2を表し;
10は、無機アニオン又は有機アニオンを表し;
10は、好ましくは、炭酸水素アニオン、四ホウ酸アニオン、フッ化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、塩化物アニオン、リン酸一水素アニオン、リン酸二水素アニオン、硫酸水素アニオン、酒石酸アニオン、硫酸アニオン、硝酸アニオン、チオ硫酸アニオン、チオシアン酸アニオン、ギ酸アニオン、乳酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、酪酸アニオン、ペンタン酸アニオン、クエン酸アニオン又はシュウ酸アニオンを表し;
10は、特に好ましくは、乳酸アニオン、硫酸アニオン、リン酸一水素アニオン、リン酸二水素アニオン、硝酸アニオン、チオ硫酸アニオン、チオシアン酸アニオン、クエン酸アニオン、シュウ酸アニオン又はギ酸アニオンを表し;
10は、極めて特に好ましくは、硫酸アニオンを表す。
【0017】
式(II)で表されるアンモニウム塩類及びホスホニウム塩類は、2−シアノベンゼンスルホンアミド類及び/又はその異性体形態を含んでいる殺害虫剤の作用を増強するために、広い濃度範囲にわたって使用することができる。一般に、該アンモニウム塩類又はホスホニウム塩類は、即時使用可能な殺害虫剤中で、0.5〜80mmol/L、好ましくは、0.75〜37.5mmol/L、特に好ましくは、1.5〜25mmol/Lの濃度で使用する。製剤されている製品の場合、当該製剤中のアンモニウム塩及び/又はホスホニウム塩の濃度は、その製剤を所望の活性物質濃度に希釈した後で、上記で記載した一般的な範囲、好ましい範囲又は特に好ましい範囲の中にあるように選択する。ここで、製剤中の該塩の濃度は、通常、1重量%〜50重量%である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、当該活性を増強するために、その殺害虫剤に、アンモニウム塩及び/又はホスホニウム塩のみを添加するのではなく、さらに浸透性向上剤も添加する。このような場合においてさえ、さらに大幅な活性の増強が観察されるということは、全く驚くべきことであるといわなければならない。従って、殺ダニ活性/殺虫活性を有する2−シアノベンゼンスルホンアミド類並びに/又はその異性体形態(I−A)及び(I−B)を活性物質として含んでいる殺害虫剤の活性を増強するために、浸透性向上剤とアンモニウム塩類及び/又はホスホニウム塩類の組合せを使用することも、本発明の対象である。さらに、殺虫活性を有する2−シアノベンゼンスルホンアミド類並びに/又はその異性体形態(I−A)及び(I−B)と浸透性向上剤とアンモニウム塩類及び/又はホスホニウム塩類を含んでいる作用剤〔即ち、製剤された活性物質及びさらに即時使用可能な作用剤(散布液)の両方〕も、本発明の対象である。最後に、有害な昆虫類を防除するためのそのような作用剤の使用も、本発明の対象である。
【0019】
本発明に関連して、可能性を有する浸透性向上剤は、植物体内中への農薬活性物質の浸透を向上させるために一般的に使用される全ての物質である。これに関連して、浸透性向上剤は、それが、水性散布液から及び/又は散布による被膜から植物のクチクラ中に浸透し、それによって、活性物質のクチクラ内での移動性を増強させることができるという事実によって定義される。この特性を確認するためには、文献(Baur et al., 1997, Pesticide Science 51, 131−152)に記載されている方法を用いることができる。
【0020】
可能性を有する浸透性向上剤は、例えば、アルカノールアルコキシレート類である。本発明による浸透性向上剤は、式
【0021】
【化3】

[式中、
Rは、4〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを表し;
R’は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルを表し;
AOは、エチレンオキシド残基、プロピレンオキシド残基若しくはブチレンオキシド残基を表すか、又は、エチレンオキシドとプロピレンオキシド残基若しくはブチレンオキシド残基の混合物を表し;及び、
vは、2〜30の数を表す]
で表されるアルカノールアルコキシレート類である。
【0022】
浸透性向上剤の好ましい群は、式
【0023】
【化4】

[式中、
Rは、上記意味を有し;
R’は、上記意味を有し;
EOは、−CH−CH−O−を表し;及び、
nは、2〜20の数を表す]
で表されるアルカノールアルコキシレート類である。
【0024】
浸透性向上剤の好ましいさらなる群は、式
【0025】
【化5】

[式中、
Rは、上記意味を有し;
R’は、上記意味を有し;
EOは、−CH−CH−O−を表し;
POは、−CH−CH(CH)−O−を表し;
pは、1〜10の数を表し;及び
qは、1〜10の数を表す]
で表されるアルカノールアルコキシレート類である。
【0026】
浸透性向上剤の好ましいさらなる群は、式
【0027】
【化6】

[式中、
Rは、上記意味を有し;
R’は、上記意味を有し;
EOは、−CH−CH−O−を表し;
POは、−CH−CH(CH)−O−を表し;
rは、1〜10の数を表し;及び、
sは、1〜10の数を表す]
で表されるアルカノールアルコキシレート類である。
【0028】
浸透性向上剤の好ましいさらなる群は、式
【0029】
【化7】

[式中、
R及びR’は、上記意味を有し;
EOは、CH−CH−O−を表し;
BOは、−CH−CH−CH(CH)−O−を表し;
pは、1〜10の数を表し;及び、
qは、1〜10の数を表す]
で表されるアルカノールアルコキシレート類である。
【0030】
浸透性向上剤の好ましいさらなる群は、式
【0031】
【化8】

[式中、
R及びR’は、上記意味を有し;
BOは、−CH−CH−CH(CH)−O−を表し;
EOは、CH−CH−O−を表し;
rは、1〜10の数を表し;及び、
sは、1〜10の数を表す]
で表されるアルカノールアルコキシレート類である。
【0032】
浸透性向上剤の好ましいさらなる群は、式
【0033】
【化9】

[式中、
R’は、上記意味を有し;
tは、8〜13の数を表し;
uは、6〜17の数を表す]
で表されるアルカノールアルコキシレート類である。
【0034】
上記式において、Rは、好ましくは、ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、i−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、i−ノニル、デシル、n−ドデシル、i−ドデシル、ラウリル、ミリスチル、i−トリデシル、トリメチル−ノニル、パルミチル、ステアリル又はエイコシルを表す。
【0035】
式(III−c)で表されるアルカノールアルコキシレートの例としては、式
【0036】
【化10】

[式中、
EOは、−CH−CH−O−を表し;
POは、−CH−CH(CH)−O−を表し;及び、
数8及び6は、平均値である]
で表される2−エチルヘキシルアルコキシレートを挙げることができる。
【0037】
式(III−d)で表されるアルカノールアルコキシレートの例としては、式
【0038】
【化11】

[式中、
EOは、CH−CH−O−を表し;
BOは、−CH−CH−CH(CH)−O−を表し;及び、
数10、6及び2は、平均値である]
を挙げることができる。
【0039】
式(III−f)で表される特に好ましいアルカノールアルコキシレート類は、式中の、
tが、9〜12の数を表し;及び、
uが、7〜9の数を表す;
当該式の化合物である。
【0040】
極めて特に好ましくは、式(III−f−1)
【0041】
【化12】

[式中、
tは、平均値10.5を表し;及び、
uは、平均値8.4表す]
で表されるアルカノールアルコキシレートを挙げることができる。
【0042】
当該アルカノールアルコキシレート類は、一般に、上記式によって定義される。これらの物質は、異なった鎖長を有する上記タイプの物質の混合物である。従って、添え字は、算出された平均値であって、これは、整数ではないこともあり得る。
【0043】
上記式で表されるアルカノールアルコキシレート類は、既知であり、その一部は、商業的に入手可能であるか又は既知方法で調製可能である(WO 98/35553、WO 00/35278 及び EP−A 0681865 を参照されたい)。
【0044】
例えば、散布による被膜の中の式(I)の化合物の溶解性を増進させる物質も、同様に可能性を有する浸透性向上剤である。そのようなものとしては、例えば、鉱油又は植物油などがある。可能性を有する油は、農薬中で一般的に使用可能な全ての(場合により変性されていてもよい)鉱油又は植物油である。例として、ヒマワリ油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、カブ油(turnip oil)、トウモロコシ油(corn seed oil)、綿実油及びダイズ油、又は、前記油のエステル類を挙げることができる。ナタネ油、ヒマワリ油及びそれらのメチルエステル又はエチルエステルが好ましい。
【0045】
本発明による作用剤の中の浸透性向上剤の濃度は、広い範囲にわたってさまざまであることができる。製剤された殺害虫剤中では、該濃度は、一般に、約1〜95重量%、好ましくは、約1〜55重量%、特に好ましくは、約15〜40重量%である。即時使用可能な作用剤(散布液)においては、該濃度は、一般に、0.1〜10g/L、好ましくは、0.5〜5g/Lである。
【0046】
活性物質と塩と浸透性向上剤の本発明において重要な組合せについては、下記表に記載してある。ここで、「試験による(as per test)」は、クチクラ浸透性に関する試験(Baur et al., 1997, Pesticide Science 51, 131−152)において浸透性向上剤として作用する任意の化合物が適しているということを意味する。
【0047】
【表1】

【0048】
本発明の殺害虫剤には、別の成分、例えば、界面活性剤又は分散助剤又は乳化剤なども含ませることができる。
【0049】
非イオン性界面活性剤又は分散助剤としては、農薬中で一般的に使用可能なこのタイプの全ての物質が可能である。好ましくは、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、直鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸とエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの反応生成物を挙げることができ、さらにまた、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの混合重合生成物、及び、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルのコポリマーも挙げることができ、さらにまた、アルキルエトキシレート及びアルキルアリールエトキシレート(ここで、これらは、場合によりリン酸化されていてもよく、また、場合により塩基で中和されていてもよい)も挙げることができ、ソルビトールエトキシレートを例として挙げることができ、ポリオキシアルキレンアミン誘導体も挙げることができる。
【0050】
アニオン性界面活性剤としては、農薬中で一般的に使用可能なこのタイプの全ての物質が可能である。アルキルスルホン酸又はアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましい。
【0051】
アニオン性界面活性剤又は分散助剤の好ましいさらなる群は、植物油中における溶解度が低い以下のものである:ポリスチレンスルホン酸の塩、ポリビニルスルホン酸の塩、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物の塩、ナフタレンスルホン酸とフェノールスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合物の塩、及び、リグノスルホン酸の塩。
【0052】
本発明による製剤中に含有させことが可能な添加剤は、乳化剤、抑泡剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤及び不活性増量剤である。
【0053】
好ましい乳化剤は、エトキシル化アルキルフェノール類、アルキルフェノールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの反応生成物、エトキシル化アリールアルキルフェノール類、さらにまた、エトキシル化及びプロポキシル化アリールアルキルフェノール類、並びに、硫酸化又はリン酸化アリールアルキルエトキシレート類又はエトキシプロポキシレート類であり、ソルビタン誘導体、例えば、ポリエチレンオキシド−ソルビタン脂肪酸エステル類及びソルビタン脂肪酸エステル類などを例として挙げることができる。
【0054】
下記実施例によって本発明について例証するが、下記実施例は、決して限定的なものであると解釈されるべきではない。
【0055】
一般式(I)及び(I−A)で表される化合物は、置換基A、R〜Rにおいて1以上のキラル中心を有することが可能であり、従って、エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物として存在している。本発明は、純粋なエナンチオマー又はジアステレオマーとそれらの混合物の両方を提供する。
【0056】
本発明に従って使用するのに適切な式(I)、(I−A)又は(I−B)で表される化合物の塩は、特に、農業上許容される塩である。それらは、標準的な方法で、例えば、当該化合物を当該アニオンの酸と反応させることによって、形成させることができる。
【0057】
農業上有用な適切な塩は、特に、そのカチオン又はアニオンが有害な昆虫類又はクモ形類動物を防除するのに適した本発明の化合物の作用に対して悪影響を及ぼすことのない酸のカチオンの塩又は酸付加塩である。かくして、適切カチオンは、特に、アルカリ金属(好ましくは、リチウム、ナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(好ましくは、カルシウム、マグネシウム及びバリウム)及び遷移金属(好ましくは、マンガン、銅、亜鉛及び鉄)のイオン、及び、アンモニウムイオン(ここで、該アンモニウムイオンは、必用に応じて、1〜4のC−C−アルキル置換基及び/又はフェニル若しくはベンジル置換基を有することが可能であり、好ましくは、ジイソプロピルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム又はトリメチルベンジルアンモニウム)、又は、さらに、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン(好ましくは、トリ(C−C−アルキル)スルホニウム)及びスルホキソニウムイオン(好ましくは、トリ(C−C−アルキル)スルホキソニウム)である。
【0058】
有用な酸付加塩のアニオンは、先ず、塩化物、臭化物、フッ化物、硫酸水素アニオン、硫酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸水素アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン、炭酸水素アニオン、炭酸アニオン、ヘキサフルオロケイ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、安息香酸アニオン、及び、C−C−アルカン酸のアニオン(好ましくは、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン及び酪酸アニオン)である。これらは、式(Ia)及び(Ib)で表される化合物を対応するアニオンの酸(好ましくは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸又は硝酸)と反応させることにより形成させることができる。
【0059】
用語「ハロゲン」のような、可変部分の上記定義において挙げられている有機残基は、特定の基のメンバーを特別に列挙する代わりの集合語である。接頭語「C−C」は、いずれの場合にも、当該基内の炭素原子の可能な数を示している。
【0060】
いずれの場合にも、用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素を意味する。
【0061】
さらなる意味の例は、以下のとおりである。
【0062】
本発明に関連して、用語「C−C−アルキル」並びにアルキルアミノ及びジアルキルアミノのアルキル残基は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素残基、即ち、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル又は1,1−ジメチルブチルなどを意味する。
【0063】
本発明に関連して、用語「C−C−アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素残基、即ち、例えば、「C−C−アルキル」のもとで挙げられた残基のうちの1つ、並びに、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル及び1−エチル−2−メチルプロピルなどを意味する。
【0064】
本発明に関連して、用語「C−C−ハロアルキル」は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和アルキル残基(上記のとおり)において、それら残基内の水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で置き換えられ得るもの、即ち、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3−フルオロプロピル、2,2−ジフルオロプロピル、2,3−ジフルオロプロピル、2−クロロプロピル、3−クロロプロピル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブロモプロピル、3−ブロモプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,3−トリクロロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、1−(フルオロメチル)−2−フルオロエチル、1−(クロロメチル)−2−クロロエチル、1−(ブロモメチル)−2−ブロモエチル、4−フルオロブチル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル又はノナフルオロブチルなどを意味する。
【0065】
本発明に関連して、用語「C−C−フルオロアルキル」は、1個、2個、3個、4個又は5個のフッ素原子を有するC−C−アルキル残基、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル又はペンタフルオロエチルなどを意味する。
【0066】
本発明に関連して、用語「C−C−アルコキシ」は、酸素原子を介して結合している、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和アルキル残基(上記のとおり)、即ち、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ、n−ブトキシ、1−メチルプロポキシ、2−メチルプロポキシ又は1,1−ジメチルエトキシなどを意味する。
【0067】
本発明に関連して、用語「C−C−ハロアルコキシ」は、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で部分的に又は完全に置換されている上記C−C−アルコキシ残基、即ち、例えば、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロフルオロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、2−クロロエトキシ、2−ブロモエトキシ、2−ヨードエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−クロロ−2−フルオロエトキシ、2−クロロ−2,2−ジフルオロエトキシ、2,2−ジクロロ−2−フルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2−フルオロプロポキシ、3−フルオロプロポキシ、2,2−ジフルオロプロポキシ、2,3−ジフルオロプロポキシ、2−クロロプロポキシ、3−クロロプロポキシ、2,3−ジクロロプロポキシ、2−ブロモプロポキシ、3−ブロモプロポキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシ、3,3,3−トリクロロプロポキシ、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、1−(フルオロメチル)−2−フルオロエトキシ、1−(クロロメチル)−2−クロロエトキシ、1−(ブロモメチル)−2−ブロモエトキシ、4−フルオロブトキシ、4−クロロブトキシ、4−ブロモブトキシ又はノナフルオロブトキシなどを意味する。
【0068】
本発明に関連して、用語「C−C−アルキルチオ(C−C−アルキルスルファニル:C−C−アルキル−S−)」は、硫黄原子を介して結合している、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和アルキル残基(上記のとおり)、即ち、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、1−メチルエチルチオ、ブチルチオ、1−メチルプロピルチオ、2−メチルプロピルチオ又は1,1−ジメチルエチルチオなどを意味する。
【0069】
本発明に関連して、用語「C−C−アルキルスルフィニル」(C−C−アルキル−S(=O)−)は、スルフィニル基の硫黄原子を介してアルキル残基のいずれかの結合に結合している、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素残基(上記のとおり)、即ち、例えば、SO−CH、SO−C、n−プロピルスルフィニル、1−メチルエチルスルフィニル、n−ブチルスルフィニル、1−メチルプロピルスルフィニル、2−メチルプロピルスルフィニル、1,1−ジメチル]エチルスルフィニル、n−ペンチルスルフィニル、1−メチルブチルスルフィニル、2−メチルブチルスルフィニル、3−メチルブチルスルフィニル、1,1−ジメチルプロピルスルフィニル、1,2−ジメチルプロピルスルフィニル、2,2−ジメチルプロピルスルフィニル又は1−エチルプロピルスルフィニルなどを意味する。
【0070】
本発明に関連して、用語「C−C−アルキルスルホニル」(C−C−アルキル−S(=O)−)は、スルホニル基の硫黄原子を介してアルキル残基のいずれかの結合に結合している、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和アルキル残基(上記のとおり)、即ち、例えば、SO−CH、SO−C、n−プロピルスルホニル、SO−CH(CH、n−ブチルスルホニル、1−メチルプロピルスルホニル、2−メチルプロピルスルホニル又はSO−C(CHなどを意味する。
【0071】
本発明に関連して、用語「C−C−ハロアルキルチオ」は、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で部分的に又は完全に置換されている上記C−C−アルキルチオ残基、即ち、例えば、フルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、クロロジフルオロメチルチオ、ブロモジフルオロメチルチオ、2−フルオロエチルチオ、2−クロロエチルチオ、2−ブロモエチルチオ、2−ヨードエチルチオ、2,2−ジフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ、2,2,2−トリクロロエチルチオ、2−クロロ−2−フルオロエチルチオ、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチルチオ、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2−フルオロプロピルチオ、3−フルオロプロピルチオ、2−クロロプロピルチオ、3−クロロプロピルチオ、2−ブロモプロピルチオ、3−ブロモプロピルチオ、2,2−ジフルオロプロピルチオ、2,3−ジフルオロプロピルチオ、2,3−ジクロロプロピルチオ、3,3,3−トリフルオロプロピルチオ、3,3,3−トリクロロプロピルチオ、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルチオ、ヘプタフルオロプロピルチオ、1−(フルオロメチル)−2−フルオロエチルチオ、1−(クロロメチル)−2−クロロエチルチオ、1−(ブロモメチル)−2−ブロモエチルチオ、4−フルオロブチルチオ、4−クロロブチルチオ、4−ブロモブチルチオ又はノナフルオロブチルチオなどを意味する。
【0072】
本発明に関連して、用語「C−C−アルコキシカルボニル」は、カルボニル基の炭素原子を介して結合している、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和アルコキシ残基(上記のとおり)、即ち、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、1−メチルエトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、1−メチルプロポキシカルボニル、2−メチルプロポキシカルボニル又は1,1−ジメチルエトキシカルボニルなどを意味する。
【0073】
本発明に関連して、用語「C−C−アルキルカルボニル」は、カルボニル基の炭素原子を介して結合している、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和アルキル残基(上記のとおり)、即ち、例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、1−メチルエチルカルボニル、n−ブチルカルボニル、1−メチルプロピルカルボニル、2−メチルプロピルカルボニル又は1,1−ジメチルエチルカルボニルなどを意味する。
【0074】
本発明に関連して、用語「(C−C−アルキルアミノ)カルボニル」は、例えば、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、1−メチルエチルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、1−メチルプロピルアミノカルボニル、2−メチルプロピルアミノカルボニル又は1,1−ジメチルエチルアミノカルボニルなどを意味する。
【0075】
本発明に関連して、用語「ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニル」は、例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N,N−ジ−(1−メチルエチル)アミノカルボニル、N,N−ジプロピルアミノカルボニル、N,N−ブチルアミノカルボニル、N,N−ジ−(1−メチルプロピル)アミノカルボニル、N,N−ジ(2−メチルプロピル)アミノカルボニル、N,N−ジ−(1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−プロピルアミノカルボニル、N−メチル−N−(1−メチルエチル)アミノカルボニル、N−ブチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−(1−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−メチル−N−(2−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−(1,1−ジメチルエチル)−N−メチルアミノカルボニル、N−エチル−N−プロピルアミノカルボニル、N−エチル−N−(1−メチルエチル)アミノカルボニル、N−ブチル−N−エチル−アミノカルボニル、N−エチル−N−(1−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−エチル−N−(2−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−エチル−N−(1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル、N−(1−メチルエチル)−N−プロピルアミノカルボニル、N−ブチル−N−プロピルアミノカルボニル、N−(1−メチルプロピル)−N−プロピルアミノカルボニル、N−(2−メチルプロピル)−N−プロピルアミノカルボニル、N−(1,1−ジメチルエチル)−N−プロピルアミノカルボニル、N−ブチル−N−(1−メチルエチル)アミノカルボニル、N−(1−メチルエチル)−N−(1−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−(1−メチルエチル)−N−(2−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−(1,1−ジメチルエチル)−N−(1−メチルエチル)アミノカルボニル、N−ブチル−N−(1−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−ブチル−N−(2−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−ブチル−N−(1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル、N−(1−メチルプロピル)−N−(2−メチルプロピル)アミノカルボニル、N−(1,1−ジメチルエチル)−N−(1−メチルプロピル)アミノカルボニル又はN−(1,1−ジメチルエチル)−N−(2−メチルプロピル)アミノカルボニルなどを意味する。
【0076】
本発明に関連して、用語「C−C−アルケニル」は、2〜6個の炭素原子を有し且ついずれかの位置に二重結合を有している直鎖又は分枝鎖の単一不飽和炭化水素残基、即ち、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチル−エテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル及び1−エチル−2−メチル−2−プロペニルなどを意味する。
【0077】
本発明に関連して、用語「C−C−アルキニル」は、C−C三重結合を含んでいて且つ2〜6個の炭素原子を有している直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素残基、例えば、エチニル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イル、n−ブト−1−イン−1−イル、n−ブト−1−イン−3−イル、n−ブト−1−イン−4−イル、n−ブト−2−イン−1−イル、n−ペント−1−イン−1−イル、n−ペント−1−イン−3−イル、n−ペント−1−イン−4−イル、n−ペント−1−イン−5−イル、n−ペント−2−イン−1−イル、n−ペント−2−イン−4−イル、n−ペント−2−イン−5−イル、3−メチルブト−1−イン−3−イル、3−メチルブト−1−イン−4−イル、n−ヘキス−1−イン−1−イル、n−ヘキス−1−イン−3−イル、n−ヘキス−1−イン−4−イル、n−ヘキス−1−イン−5−イル、n−ヘキス−1−イン−6−イル、n−ヘキス−2−イン−1−イル、n−ヘキス−2−イン−4−イル、n−ヘキス−2−イン−5−イル、n−ヘキス−2−イン−6−イル、n−ヘキス−3−イン−1−イル、n−ヘキス−3−イン−2−イル、3−メチルペント−1−イン−1−イル、3−メチルペント−1−イン−3−イル、3−メチルペント−1−イン−4−イル、3−メチルペント−1−イン−5−イル、4−メチルペント−1−イン−1−イル、4−メチルペント−2−イン−4−イル又は4−メチルペント−2−イン−5−イルなどを意味する。
【0078】
本発明に関連して、用語「C−C−シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する単環式(mononuclear)炭化水素残基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルなどを意味する。
【0079】
一般式(I)、(I−A)及び(I−B)で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物の中で、可変部分A、R及びRが互いに独立して(しかしながら、特に、組み合わせて)下記意味を有している化合物が好ましい:
Aは、水素、C−C−アルキル、特に、メチル又はエチルを表す;
は、水素、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、特に、メチル、トリフルオロメチル、又は、C−C−アルコキシ、特に、メトキシを表す;
は、水素を表すか、又は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖、環状若しくは分枝鎖の炭化水素残基、例えば、C−C−アルキル、特に、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、シクロプロピル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特に、2−メトキシエチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特に、2−メチルチオエチル、又は、C−C−アルキニル、特に、プロプ−2−イン−1−イル(プロパルギル)を表す。
Aが水素を表し且つRがメチル、エチル、1−メチルエチル及びプロプ−2−イン−1−イルの範囲から選択される化合物(I)が最も好ましい。
【0080】
がC−C−ハロアルコキシ、特に、Cハロアルコキシ、とりわけ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ又はクロロジフルオロメトキシを意味する一般式(I)、(I−A)及び(I−B)で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物も、好ましい。これらの化合物において、Aは、上記意味、好ましくは、水素、メチル又はエチルを有し、Rは、上記意味、好ましくは、水素又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖、環状若しくは分枝鎖の炭化水素残基(例えば、C−C−アルキル、特に、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、シクロプロピル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特に、2−メトキシエチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特に、2−メチルチオエチル、又は、C−C−アルキニル、特に、プロプ−2−イン−1−イル(プロパルギル))を有する。Aが水素を表し且つRがメチル、エチル、1−メチルエチル及びプロプ−2−イン−1−イルの範囲から選択される式(I)及び(I−A)で表される化合物が最も好ましい。
【0081】
本発明の好ましい実施形態は、一般式(I)、(I−A)及び(I−B)〔式中、可変部分A、R及びRは、上記意味を有し、特に、好ましいものとして挙げられている意味を有し、残基R、R又はRのうちの少なくとも1は、水素とは異なっており、好ましくは、残基R、R又はRのうちの1又は2は、水素を意味する〕で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物に関する。これらの化合物のうちで、Rが水素とは異なっており、好ましくは、Rがハロゲン(特に、塩素又はフッ素)を意味し、残りの残基R及びRが水素を意味する化合物が好ましい。
【0082】
本発明の好ましいさらなる実施形態は、一般式(I)、(I−A)及び(I−B)〔式中、可変部分A、R及びRは、上記意味を有し、特に、好ましいものとして挙げられている意味を有し、残基R、R及びRは、それぞれ、水素を意味する〕で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド化合物に関する。
【0083】
式(I)
【0084】
【化13】

〔これは、場合により、その異性体の式(I−A)及び(I−B)で存在することができる〕で表される本発明による好ましい化合物の例としては、下記表A1〜A16〔ここで、A、R、R、Rは、当該表の中で定義されているとおりであり、R及びRは、表Aの横列に記載されている〕の中に記載されている化合物などを挙げることができる。
【0085】
【表2】

【0086】
【表3】




























【0087】
式(I)
【0088】
【化14】

[式中、R、R、R、Rは、表Bの中で示されている意味を有し、R及びAは、水素を意味する]〔これは、場合により、その異性体の式(I−A)及び(I−B)で存在することができる〕で表される以下の化合物は、最初に引用した刊行物によって明白に知られている。
【0089】
【表4】






【0090】
さらにまた、式(I)
【0091】
【化15】

[式中、A、R、R、R、Rは、表Cの中で示されている意味を有し、Rは、水素を意味する]で表される以下の化合物は、最初に引用した刊行物によって明白に知られている。
【0092】
【表5】


【0093】
表B及び表Cの中に記載されている化合物の一部は、H NMR又はLC−MSによって特徴付けられる。その結果は、WO 2005/035486 及び WO 2006/056433 に記載されている。これによって、上記刊行物の内容を明確に参照する。
【0094】
さらにまた、式(I−226)で表される以下の化合物及びその異性体形態(I−226−A)及び(I−226−B)は、最初に引用した刊行物によって明白に知られている。
【0095】
【化16】

【0096】
実施例225及び実施例42−Aは、H NMRによって特徴付けられる。そのシグナルは、テトラメチルシランに対する化学シフト(ppm)によって定義され、それらの多重度及びそれらの積分によって定義される。その化学シフトに対応する水素原子の数は、いずれの場合にも、括弧の中に示されている。ここで、「m」は多重線を意味し、「t」は三重線を意味し、「d」は二重線を意味し、「s」は一重線を意味する。その結果を以下に記載する:
実施例225:
H−NMR(400mHz,d−DMSO):δ=2.77ppm(s,3H,NCH);3.82−3.81ppm(d,2H,N−CH);4.00ppm(s,3H,OCH);5.19−5.27ppm(m,2H,CH=CH);5.68−5.78ppm(m,1H,CH=CH);7.56−7.58ppm(2H,CH);7.83−7.87ppm(1H,CH);
実施例42−A:
H−NMR(400mHz,d−DMSO):δ=9.20ppm(1H,=NH);7.91−7.88(1H,CH);7.73−7.71ppm(1H,CH);7.61−7.60(1H,CH);4.52ppm(2H,N−CH);4.07ppm(3H,O−CH);3.28ppm(t,1H,C≡CH)。
【0097】
【化17】

【実施例】
【0098】
実施例A: アンモニウム塩による活性の増強
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)試験(MYZUPE)
溶媒: 7重量部のジメチルホルムアミド
乳化剤: 2重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
適切な活性物質調製物を調製するために、1重量部の活性物質を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を乳化剤を含有している水で稀釈して所望の濃度とする。アンモニウム塩を添加することが必要な場合には、これらは、いずれの場合にも、完成した調製物溶液の中に、希釈後の濃度が1000ppmとなるように、ピペットで量って添加する。
【0099】
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)が大量に発生しているピーマン(Capsicum annuum)植物を、所望濃度の上記活性物質調製物を噴霧することにより処理する。
【0100】
所望の期間が経過した後、殺虫率(%)を求める。ここで、100%は、全ての当該動物が死んだことを意味し、0%は、死んだ当該動物が無かったことを意味する。
【0101】
【表6】

【0102】
【化18】

【0103】
実施例B: アンモニウム塩による活性の増強
ワタアブラムシ(Aphis gossypii)試験(APHIGO)
溶媒: 7重量部のジメチルホルムアミド
乳化剤: 2重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
適切な活性物質調製物を調製するために、1重量部の活性物質を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を乳化剤を含有している水で稀釈して所望の濃度とする。アンモニウム塩を添加することが必要な場合には、これらは、いずれの場合にも、完成した調製物溶液の中に、希釈後の濃度が1000ppmとなるように、ピペットで量って添加する。
【0104】
ワタアブラムシ(Aphis gossypii)が大量に発生しているワタ(Gossypium hirsutum)の葉に、所望濃度の活性物質調製物を噴霧する。
【0105】
所望の期間が経過した後、殺虫率(%)を求める。ここで、100%は、全ての当該アブラムシが死んだことを意味し、0%は、死んだアブラムシが無かったことを意味する。
【0106】
【表7】

【0107】
実施例C: 浸透性向上剤と組み合わせたアンモニウム塩による活性の増強
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)試験(MYZUPE)
溶媒: 7重量部のジメチルホルムアミド
乳化剤: (表C1)2重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
(表C2)1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル

適切な活性物質調製物を調製するために、1重量部の活性物質を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を乳化剤を含有している水で稀釈して所望の濃度とする。アンモニウム塩又は浸透性向上剤又はアンモニウム塩と浸透性向上剤を添加することが必要な場合には、これらは、いずれの場合にも、完成した調製物溶液の中に、希釈後の濃度が1000ppmとなるように、ピペットで量って添加する。
【0108】
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)が大量に発生しているピーマン(Capsicum annuum)植物を、所望濃度の上記活性物質調製物を噴霧することにより処理する。
【0109】
所望の期間が経過した後、殺虫率(%)を求める。ここで、100%は、全ての当該動物が死んだことを意味し、0%は、死んだ当該動物が無かったことを意味する。
【0110】
【表8】

【0111】
【表9】

【0112】
実施例D: 浸透性向上剤と組み合わせたアンモニウム塩による活性の増強
ワタアブラムシ(Aphis gossypii)試験(APHIGO)
溶媒: 7重量部のジメチルホルムアミド
乳化剤: (表D1)2重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
(表D2)1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
適切な活性物質調製物を調製するために、1重量部の活性物質を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を乳化剤を含有している水で稀釈して所望の濃度とする。アンモニウム塩又は浸透性向上剤又はアンモニウム塩と浸透性向上剤を添加することが必要な場合には、これらは、いずれの場合にも、完成した調製物溶液の中に、希釈後の濃度が1000ppmとなるように、ピペットで量って添加する。
【0113】
ワタアブラムシ(Aphis gossypii)が大量に発生しているワタ(Gossypium hirsutum)の葉に、所望濃度の活性物質調製物を噴霧する。
【0114】
所望の期間が経過した後、殺虫率(%)を求める。ここで、100%は、全ての当該アブラムシが死んだことを意味し、0%は、死んだアブラムシが無かったことを意味する。
【0115】
【表10】

【0116】
【表11】

【0117】
実施例E: アンモニウム塩による活性の増強
テトラニクス(Tetranychus)試験(OP抵抗性)
溶媒: 7重量部のジメチルホルムアミド
乳化剤: 2重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
適切な活性物質調製物を調製するために、1重量部の活性物質を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を乳化剤を含有している水で稀釈して所望の濃度とする。アンモニウム塩を添加することが必要な場合には、これらは、いずれの場合にも、完成した調製物溶液の中に、希釈後の濃度が1000ppmとなるように、ピペットで量って添加する。
【0118】
全ての成育段階のナミハダニ(common spider mite)(Tetranychus urticae)が大量に寄生しているインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)植物を、所望濃度の上記活性物質調製物を噴霧することにより処理する。
【0119】
所望の期間が経過した後、殺虫率(%)を求める。ここで、100%は、全てのナミハダニが死んだことを意味し、0%は、死んだナミハダニが無かったことを意味する。
【0120】
【表12】

【0121】
実施例F: 浸透性向上剤と組み合わせたアンモニウム塩による活性の増強
テトラニクス(Tetranychus)試験(OP抵抗性)
溶媒: 7重量部のジメチルホルムアミド
乳化剤: 2重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
適切な活性物質調製物を調製するために、1重量部の活性物質を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を乳化剤を含有している水で稀釈して所望の濃度とする。アンモニウム塩又は浸透性向上剤又はアンモニウム塩と浸透性向上剤を添加することが必要な場合には、これらは、いずれの場合にも、完成した調製物溶液の中に、希釈後の濃度が1000ppmとなるように、ピペットで量って添加する。
【0122】
全ての成育段階のナミハダニ(common spider mite)(Tetranychus urticae)が大量に寄生しているインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)植物を、所望濃度の上記活性物質調製物を噴霧することにより処理する。
【0123】
所望の期間が経過した後、殺虫率(%)を求める。ここで、100%は、全てのナミハダニが死んだことを意味し、0%は、死んだナミハダニが無かったことを意味する。
【0124】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
・ 2−シアノベンゼンスルホンアミド類及びその異性体形態からなる殺虫活性及び/又は殺ダニ活性を示す少なくとも1種類の活性物質;
・ 式(II)
【化1】

[式中、
Dは、窒素又はリンを表し;
、R、R及びRは、互いに独立して、水素を表すか、又は、それぞれ、場合により置換されていてもよいC−C−アルキル又は単一の不飽和若しくは複数の不飽和を有する場合により置換されていてもよいC−C−アルキレン(ここで、該置換基は、ハロゲン、ニトロ及びシアノから選択され得る)を表し;
nは、1、2、3又は4を表し;及び、
10は、無機アニオン又は有機アニオンを表す]
で表される少なくとも1種類の塩;
を含んでいる、前記組成物。
【請求項2】
前記活性物質が、一般式(I)
【化2】

[式中、
Aは、水素、C−C−アルキル又はC−C−アルケニルを表し;
は、水素、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−ハロアルコキシを表し;
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル又はC−C−アルコキシ〔ここで、名前が挙げられている最後の5の残基は、置換されていなくてもよいか、部分的に若しくは完全にハロゲン化されていてもよく、及び/又は、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、アミノ、(C−C−アルキル)アミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−シクロアルキル及びフェニル(ここで、該フェニルは、置換されていなくてもよいか、部分的に若しくは完全にハロゲン化されていてもよく、及び/又は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ及びC−C−ハロアルコキシの群から選択される1、2若しくは3の置換基を有し得る)の群から選択される1、2若しくは3の残基を有し得る〕を表し;
、R及びRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシカルボニル、アミノ、(C−C−アルキル)アミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、アミノカルボニル、(C−C−アルキル)アミノカルボニル及びジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルを表す]
で表される2−シアノベンゼンスルホンアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性物質が、一般式(I)で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド及び/又はその異性体形態(I−A)
【化3】

[ここで、
は、水素、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−ハロアルコキシを表し;
は、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル又はC−C−アルコキシ〔ここで、名前が挙げられている最後の5の残基は、置換されていなくてもよいか、部分的に若しくは完全にハロゲン化されていてもよく、及び/又は、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、アミノ、(C−C−アルキル)アミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−シクロアルキル及びフェニル(ここで、該フェニルは、置換されていなくてもよいか、部分的に若しくは完全にハロゲン化されていてもよく、及び/又は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ及びC−C−ハロアルコキシの群から選択される1、2若しくは3の置換基を有し得る)の群から選択される1、2若しくは3の残基を有し得る〕を表し;
、R及びRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシカルボニル、アミノ、(C−C−アルキル)アミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、アミノカルボニル、(C−C−アルキル)アミノカルボニル及びジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルを表す]
であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記活性物質が、一般式(I)で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド及び/又はその異性体形態(I−B)
【化4】

[ここで、R、R、R、Rは、請求項2に記載されている意味を有する]
であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性物質の含有量が0.5〜50重量%であることを特徴とする、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
アンモニウム塩又はホスホニウム塩の含有量が0.5〜80mmol/Lであることを特徴とする、請求項1〜5に記載の組成物。
【請求項7】
Dが窒素を表すことを特徴とする、請求項1〜6に記載の組成物。
【請求項8】
10が炭酸水素アニオン、四ホウ酸アニオン、フッ化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、塩化物アニオン、リン酸一水素アニオン、リン酸二水素アニオン、硫酸水素アニオン、酒石酸アニオン、硫酸アニオン、硝酸アニオン、チオ硫酸アニオン、チオシアン酸アニオン、ギ酸アニオン、乳酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、酪酸アニオン、ペンタン酸アニオン、クエン酸アニオン又はシュウ酸アニオンを表すことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
10がチオシアン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸一水素アニオン又は硫酸アニオンを表すことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
10が硫酸アニオンを表すことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種類の浸透性向上剤を含んでいることを特徴とする、請求項1〜10に記載の組成物。
【請求項12】
前記浸透性向上剤が、式(III)
【化5】

[式中、
Rは、4〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを表し;
R’は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルを表し;
AOは、エチレンオキシド残基、プロピレンオキシド残基若しくはブチレンオキシド残基を表すか、又は、エチレンオキシドとプロピレンオキシド残基若しくはブチレンオキシド残基の混合物を表し;及び、
vは、2〜30の数を表す]
で表される脂肪アルコールアルコキシレートであるか、又は、鉱油若しくは植物油又は鉱油若しくは植物油のエステルであることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記浸透性向上剤がナタネ油メチルエステルであることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
浸透性向上剤の含有量が1〜95重量%であることを特徴とする、請求項1〜13に記載の組成物。
【請求項15】
有害な昆虫類及び/又はハダニ類を防除する方法であって、請求項1〜14の1項以上に記載の組成物を、希釈しないで又は希釈して、含まれている殺虫活性物質の有効量が昆虫類及び/若しくはハダニ類又はそれらの生息環境に作用するような量で、該昆虫類及び/若しくは該ハダニ類又はそれらの生息環境に対して施用することを特徴とする、前記方法。
【請求項16】
請求項2〜4に記載されている一般式(I)で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド類及び/又はその異性体形態(I−A)若しくは(I−B)から選択される活性物質を含んでいる殺害虫剤の作用を増強する方法であって、請求項1に記載の式(II)で表される塩を用いて即時使用可能な作用剤(散布液)を調製することを特徴とする、前記方法。
【請求項17】
前記散布液を浸透性向上剤を用いて調製することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記浸透性向上剤が0.1〜10g/Lの最終濃度で存在している、及び/又は、式(II)で表される塩が0.5〜80mmol/Lの最終濃度で存在していることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
請求項2〜4に記載されている一般式(I)で表される2−シアノベンゼンスルホンアミド類及び/又はその異性体形態(I−A)若しくは(I−B)の活性物質を含んでいる殺害虫剤の作用を増強するための請求項1に記載の式(II)で表される塩の使用であって、即時使用可能な殺害虫剤(散布液)の調製において該塩を使用することを特徴とする、前記使用。
【請求項20】
式(II)で表される前記塩が即時使用可能な殺害虫剤の中に0.5〜80mmol/Lの濃度で存在していることを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記塩を浸透性向上剤も含んでいる即時使用可能な殺害虫剤(散布液)の調製において使用することを特徴とする、請求項19又は20に記載の使用。

【公表番号】特表2010−527947(P2010−527947A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508733(P2010−508733)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004041
【国際公開番号】WO2008/145282
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】