説明

改善された水洗廃棄可能な特徴を備えた陰唇間吸収性物品

女性着用者の膣前庭内に大部分が位置決めされるように形成された陰唇間吸収性物品は、一般的に液体透過性のカバーシート、一般的に液体不透過性のバックシート、及びカバーシートとバックシートの間に位置される吸収性材料を含む。バックシートは、カバーシートの水蒸気透過率の少なくとも約20%の水蒸気透過率を有する。カバーシート及び前記バックシートは、約25%より小さい接触角の差を有する。吸収性材料は、水より大きい密度を持つことができる。水洗廃棄されると、物品は最初に中程度の浮力を持ち、その後、水洗廃棄された後約7日以内に沈降する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性用衛生製品、特定的には陰唇間吸収性物品の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
月経流体のような身体排出物を吸収するために形成された、広い範囲の種々異なる吸収性物品が知られている。女性用衛生品に関しては、当業技術は、2つの基本的形態の女性用衛生防護品を提供してきた。すなわち、外陰部領域の周りに外側から着用するように開発された衛生用ナプキン及びパンティーライナーと、膣内腔に設置し、これにより膣前庭に月経流体が到達する前に内部からの月経流体を遮るように開発されたタンポンである。衛生用ナプキンとタンポン両方の構造的特徴を単一の型の装具に合体しようとする、複合型女性用衛生防護装具が提案されたが、許容されるほどに意義のある方法ではなかった。
【0003】
陰唇又は陰唇間装具又はパッドとして知られる他の嵌入程度の少ない装具も又提案されてきた。これらの物品は、着用者の膣前庭の内部に大部分があるが、少なくとも部分的に外側に一部があるように設計されている。陰唇間物品は、着用者の外側衣類を通して見たときに、好ましい外観形状を提供することができ、タンポンの場合に必要とされるのと同じような膣管内で膨潤することに頼るといった問題点はない。米国特許第5,484,429号、第4,175,561号、第3,983,873号、及び第3,726,277号に、様々な型の陰唇間吸収性物品が記載されている。
【0004】
陰唇間吸収性物品は,一般的には、着用者が放尿する時、尿の流れによって押し出されるように設計されている。したがって、物品は、トイレ設備に落ちて水洗廃棄されることになる。比較的小さいサイズの陰唇間装具は、通常の下水管及び汚水処理システムへの水洗廃棄を容易にする。しかしながら、物品が下水管又は汚水処理システムを塞いだり、或いは損傷を与えることがないように注意しなければならない。当業者から提案された解決策は、物品を水中で分散可能にし易い設計とすることであり、これに関しては、当業者は、水中ですばやくばらばらになるか又は分散する陰唇間物品を提供する努力をしてきた。例えば、米国特許第6,171,292B1号は、静かに攪拌された室温水に曝した時、少なくとも2時間以内に物品の構成部品が細分化するように設計された陰唇間吸収性物品が記載されている。代替的には、構成部品は、それ自体が細分化することなく互いから分離することができるようにされたものがある。’292特許は、物品が約15分以内に細分化することが最も好ましいと教示している。米国特許第5,573,523号は、全体をセルロース系材料で形成された生物分解性かつ水洗可能なミニパッドについて記載している。外側のパネルは、パッドの生物分解を促進するために接着剤なしでその周囲に機械的に接合されている。
【0005】
しかしながら、水中ですばやく分散する陰唇間吸収性物品の効果は、物品が必要とされる性能と矛盾するものである。粘性流体及び膣流体は比較的水含有量が高いために、水溶性接着剤(又は全く接着剤のないもの)を使用すると、物品の使用中にすぐに溶解し、かつ、物品を分解し始め、シールの強度及び製品の一体性を破壊することとなる。意図した放尿で放出される前に物品が破壊されようとすると、着用時間及び製品の効率性も減少することになる。水洗される前又は水洗中に個々の部品に細分化する傾向のある吸収性物品は、構造配管システムに配列の不整合又は自然障害物が存在すると、配管システムを詰らせる可能性がある。水洗廃棄された吸収性物品に対し、家庭の曲がりの多い配管システムを通って「移動」する部品又は物品が多くなればなるほど、単一の一体物品の場合と比べて、このような部品のどれもが、障害物、配管付着物又は同様のものに引っ掛かったり、絡んだりするようになる危険性が増す。
【0006】
したがって、物品を水洗廃棄した時、物品の性能を損なうことなく或いは配管詰り又は他の問題の危険性をもたらすことなく、分散可能な製品の利点を提供する陰唇間吸収性物品を設計する必要性がある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,484,429号公報
【特許文献2】米国特許第4,175,561号公報
【特許文献3】米国特許第3,983,873号公報
【特許文献4】米国特許第3,726,277号公報
【特許文献5】米国特許第6,171,292B1号公報
【特許文献6】米国特許第5,573,523号公報
【特許文献7】米国特許第5,952,251号公報
【特許文献8】米国特許第5,948,710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的及び利点は、以下の説明において大部分が述べられ、或いは説明により明らかとなり、あるいは本発明の実施を通して理解できるであろう。
【0009】
本発明は、従来の装具に対し明らかな利点を提供する女性用ケア−陰唇間吸収性物品の独特の形態に関する。陰唇間吸収性物品は、初期状態でほぼ中程度の浮力及びゆっくりとした沈降特性を形成する材料の独特の組み合わせを含み、その結果配管及び自治体のシステムを通って一体物品が安全に移動する。物品は、実質的には移動中には分散又は破壊することはなく、水洗廃棄された後約7日以内に沈降することが好ましい。7日以内に沈降すると、製品の配管及び腐敗槽での詰り及び製品を水処理プラントから除去する必要性を最小にする。
【0010】
物品が7日以内に沈降しない場合でも、中程度の浮力を持つ物品は著しい利益を付加する。中程度の浮力は、物品が水流の表面に浮き、汚水とともにタンクのバッフルを越えて通常の腐敗槽の第二室に侵入し、この第2槽において後の時点でポンプによって汲み出されるか、又は重力によって廃水地に流出させられるか、或いはシステム排出口を詰まらせ、システムの補修整備を行わなければならなくする事態を防止する。廃水処理設備においては、中程度の浮力を持つ物品は、水浄化工程に入る前に、スクリーン又はグラインダーによって阻止さえることになる。
【0011】
中程度浮力を維持することにより、物品は水の上部表面の近くを本質的には浮かぶか又は「浮く」ことができ、トイレシステムを通り、構造の横方向配管システムを通って、これらのどのシステムにも詰まることなく下水管にまで移動することができる。製品が下水管又は腐敗槽に移動し、懸濁した状態の個体粒状物が物品上に堆積し始めると、物品は、配管の底部とその上の水/空気流の間を移動はじめる。時間が経つと、物品は浮力がなくなり、腐敗槽の底部又は廃水処理プラントの浄化槽の底部に沈降する。
【0012】
最終的に物品が沈降することは、明らかな利点をもたらす。第一に、上記したように、沈降は、物品が腐敗槽の第二室へ更には廃水地にまで運ばれることを防止する。腐敗槽の底部に物品が沈降することは、レーヨンカバー又は吸収体、或いは綿吸収体などの天然材料の嫌気性分解の機会を提供する。製品の沈降は又、自治体の水処理従業員或いは家の持ち主により、一体の製品が目にとまる機会を減少する。
【0013】
本発明による実施形態においては、陰唇間物品は、通常の液体透過性のカバーシート、通常の液体不透過性のバックシート、及びカバーシートとバックシートの間に位置される吸収性材料を含む。バックシートは、カバーシートの水蒸気透過率の少なくとも約20%の水蒸気透過率を有し、カバーシートとバックシートは、接触角の差が約25%以下である。
【0014】
特定の実施形態においては、カバーシートは、少なくとも約30,000モーコン値の水蒸気透過率を有する。例えば、カバーシートは、約40,000モーコン値の水蒸気透過率を持つスパンレース積層材料とすることができる。このスパンレース材料は、約39,500、例えば約39,950のモーコン値を持つレーヨンとフィルムの組み合わせからなるものとすることができる。
【0015】
更に別の実施形態においては、カバーシートは、少なくとも約50,000モーコン値の水蒸気透過率を持つものとすることができる。例えば、カバーシートは、約52,500、例えば約52,612のモーコン値を持つボンデッドカーデッドウエブ材料とすることができる。
【0016】
バックシートは、例えば、少なくとも約10,000モーコン値の水蒸気透過率を持つ高度に通気性のある熱延伸積層材料(HBSTL)とすることができる。
【0017】
最終的に物品を沈降させるのを助長するためには、吸収性材料は、少なくとも約1.0g/ccの乾燥時密度を持つものとすればよい。代替的には、吸収性材料は、少なくとも約1.0g/ccの湿潤時密度を持つものとすることができる。
【0018】
物品は、水洗廃棄され、汚水処理又は自治体の下水プラントを通って移動する間、一体のままで存在することが望ましい。この点に関しては、物品が水洗廃棄された後少なくとも約7日間は、個々の構成部品に分離しないように、ある程度の量の適当な接着剤を物品の周りに配置することができる。
【0019】
本発明の態様は、添付された図面に描かれた実施形態を参照して、以下に詳細に述べられるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態について詳細が説明されており、1つ又はそれより多い例が図面に描かれている。各々の実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明を制限する意味ではない。例えば、1つの実施形態の部分として描かれ、或いは説明される特徴は、別の実施形態において利用し、更に別の実施形態とすることができる。本発明は、本発明の範囲及び意図内に有るように、これらの及び他の修正及び変更を含むことが意図されている。
【0021】
ここで用いられる「分散可能な」という用語は、材料の繊維の接合を解除することが可能で、元のシートより小さい片に材料が分解できるという意味である。接合解除は一般的に、例えば水溶性ポリマーが水で溶解するような、物質が溶液の中に入れられ溶解するという、状態が変化することとは異なり、分散又は分離といった物理的変化である。
【0022】
ここで用いられる「水洗廃棄可能な」という用語は、およそ室温の水を含む通常のトイレ設備に水洗廃棄された時、物品が設備、室内配管、及び横方向下水管(すなわち家又は建物と本下水管ラインの間の配管)を通って、詰まらずに通過することを意味する。
【0023】
ここで用いられる「陰唇間吸収性物品」という用語は、少なくとも1つの吸収性部品を持つ装具を意味し、これは大陰唇の間に位置され、使用中に、女性着用者の膣前庭に少なくとも部分的に延びるように特に形成されている。膣前庭は、前方の陰唇接合部から後方の陰唇接合部まで延びる、後端部に位置するあたりから始まる陰唇内に定められ、内側では、膣前庭の底部によって境界されている。当業者は、女性の大陰唇及び小陰唇の相対的大きさ及び形状に関しては、これらが膣前庭の形態を定める場合に、その形状が広い範囲で異なることは十分に理解している。しかしながら、本発明の説明の目的のためには、このような違いは特に対処されることはなく、どのような場合でも、膣前庭内に吸収性物品を位置決めすることは、小陰唇にかんする上述の事情に関係なく、大陰唇の間に設置する必要性があることを認識している。陰唇間吸収性物品は、膣前庭からの流体流出に対して、膣前庭を部分的に遮蔽するために膣前庭内に少なくとも部分的に位置決めされる。これに関して、膣オリフィスを介して発生する月経又は月経間流体の吸収のために吸収性物品を主に使用するが、物品は、僅かではあるが女性の失禁が起きた時、尿を吸収するための失禁用装具として使用することにも同様に適している。
【0024】
ここで用いられる「中程度浮力」という用語は、表面に浮いたり或いは沈降したりすることなく、水中に浮揚位置を維持する物体の能力を意味する。水中に置いた時、ある物体は正の浮力を持ち、表面に浮かぶ。負の浮力を持ち、沈降する物体もある。中程度浮力を持つ物体は、しばらくの間は浮きもせず、沈降もしない。
【0025】
本発明は、女性着用者の主として膣前庭内に位置決めされるように形成された陰唇間吸収性物品を提供する。物品は、あらゆる適当な全体の形状及び形態をとることができ、説明の目的のためだけに単一の楕円形状としてその形が描かれている。物品は、液体及び蒸気透過性カバーシート、少なくとも蒸気透過性で、かつ液体透過性であることもできるバックシート、該カバーシートとバックシートの間に位置し、下水流(典型的には水)より大きい密度を持つ吸収性材料を含む。これらの部品のために使用される材料のある組み合わせは、以下に詳細を示すように、本発明による物品の望ましい水洗廃棄可能な特徴を提供する。個々の構成部品は、物品を形成するために従来の技術によって保持することができる。例えば、物品の周囲にシールされたカバーシート及びバックシートと一体のユニットとして構成部品を保持するために、構造用接着剤を使用することができる。カバーシート及びバックシートは、吸収性材料の少なくとも一部分において結合することができる。物品が、例えばトイレに落とされ水洗廃棄され、水中環境に曝された後、少なくとも約7日間は、個々の部品に分散又は細分化されることがないように、接着剤が配合される。代替的には、構成部品は、熱接合、超音波接合又は音波接合などの従来の接合技術のいずれかを使用して接合することができる。
【0026】
本発明による陰唇間吸収性物品によれば、様々な利益を達成することができる。例えば、製品一体性が弱いために、壊れたり或いは早くから漏れが生じたりすることで製品が早い時期から使えなくなることを懸念せずに、高い水含有量を持つ身体流体に曝すという状況でも、製品はかなりの期間使用することができる。物品は、水洗廃棄され易く、中程度浮力のために、システムの配管又は腐敗槽に詰らずに、単一部品として、水洗廃棄された後構造の配管システムを通って運搬される。約7日後には、物品は腐敗槽の中で沈降する。廃水処理プラントの浄化槽では、製品は、より早く、例えば数時間内に沈降する。
【0027】
図全体を参照すると、陰唇間吸収性物品10の実施形態が示されている。吸収性物品10は、カバーシート12、バックシート14、及び該カバーシート12とバックシート14の間にはさまれた吸収性材料18を含む。カバーシート12及びバックシート14は、それらの縁部16において互いにシールされ、シールされた縁部16は、物品10の周囲全体20及び形状を定める。吸収性材料18は、物品の周辺縁部に延びるようにしてカバーシート12及びバックシート14にシールすることができるか、或いは図2に示すようにシール16にまで延びるものとすることができる。物品10は、女性着用者の膣前庭内に、吸収性物品の少なくとも一部分、好ましくは大部分が位置決めされるのに適した大きさ及び形状にすべきである。更に、吸収性物品10は、着用者の膣オリフィス及び/又は尿道オリフィスから月経流体、尿、又は他の身体排出物の流出を少なくとも部分的に遮蔽し、かつ防止することが望ましい。
【0028】
述べたように、物品10は、どんな特定の形状又は形態にも限定されない。示された実施形態においては、例えば物品10は、全体を「蝶」形状(横方向タブ部分を有する楕円)とする。しかしながら、当業者は、例えば長方形、卵様形状、楕円、台形、円形、三角形、四角形状、涙滴型形状、ダイアモンド形状、蝶型、洋ナシ形状、ハート型形状、又はこれらの種々異なる組み合わせを含む、適当な他の形状とすることができることを容易に認識するであろう。更に、タブ又はウイングがどの形状全体とも使用されることができる。形状が制限されないタブの例として、卵型、楕円、台形、長方形、三角形、ダイアモンド形状、円、半円、又は上記したどの組み合わせも含む。
【0029】
図には示されていないが、物品10は、使用者が物品を設置するのを助けるために、バックシート14上に施された挿入タブを含むことができる。このタブは、例えば、材料の「フラップ」を定めるように縦方向シームに沿って接合されたバックシート材料の折り曲げられた部分によって形成することができ、バックシート14の平面からほぼ横方向に延び、このフラップは、使用者が握る大きさで、かつどんな適当な材料からも形成することができる。
【0030】
物品10のすべての部品又は一部の部品は、生物分解性材料から形成することができる。
【0031】
吸収性材料18の形状は、吸収性物品10の全体の大きさ、形状及び効率に影響を与える重要な要因である。一般的には、吸収性材料18は、B軸の横方向平面において計測した時、最大幅及び最小幅を持つ。円又は長方形形状の物品10においては、最大幅と最小幅は同じである。図1の実施形態においては、最大幅は横方向B軸で定められ、物品の縦方向端部に向かって減少する。吸収体18の最大幅は、典型的には、約30mmより大きくなく、代替的には約40mmより大きくなく、代替的には約50mmより大きくなく、代替的には約60mmより大きくなく、代替的には約70mmより大きくない。吸収体18の最小幅は、典型的には、約30mmより小さくなく、代替的には約20mmより小さくなく、代替的には約10mmより小さくなく、代替的には約5mmより小さくない。このように、吸収性材料18は、約5mmより小さくなく約70mmより大きくない範囲の幅を持つことができるが、吸収体のおよその幅は、とりわけ、全体的図案及び女性着用者の膣前庭内に吸収性物品10を意図されるように位置決めすることに応じて、種々異ならせることができる。
【0032】
吸収性材料18は又、物品の縦方向主軸Aに沿って計測された最大長さを持つ。吸収性材料18の最大長さは、典型的には、約40mmより大きくなく、代替的には約50mmより大きくなく、代替的には約60mmより大きくなく、代替的には約70mmより大きくなく、代替的には約80mmより大きくなく、代替的には約90mmより大きくなく、或いは代替的には約120mmより大きくない。
【0033】
吸収性物品10は、意図される量及び型の身体排出物を十分に吸収し、かつ、保持する能力を備えていることが望ましい。吸収力は、吸収性材料18を形成している流体保持芯により与えられる。吸収性材料18は、約1g/gより小さくなく、約30g/gより大きくない範囲の吸収力を持つものとすることができるが、およその吸収力は、とりわけ、全体的図案及び女性着用者の膣前庭内に吸収性物品10を意図されるように位置決めすることに応じて、種々異ならせることができる。当業者は、超吸収性ポリマー(又は被膜された超吸収性ポリマー)を吸収性材料18に付加すると、典型的には、吸収力が実質的に増加する効果があることを容易に理解するであろう。
【0034】
更に、吸収性材料18の大きさ及び吸収力は、吸収性材料の寸法、形状、及び構成によって種々異ならせることができる。例えば、吸収体は、物品10において、種々異なる厚さを持つことができ、或いは親水性勾配を持つことができ、又は超吸収性ポリマー及び同様のものを含むことができる。平坦な吸収性材料18は、約10mm又はこれより小さい、好ましくは約2mmの平坦な厚さ、及び約6mm又はそれより小さい折り畳み厚さを一般的に持つが、吸収体のおよその厚さは、とりわけ、全体的図案及び女性着用者の膣前庭内に吸収性物品10を意図されるように位置決めすることに応じて、種々異ならせることができる。
【0035】
従来の陰唇間物品では、このような物品が水洗廃棄される時、低い水蒸気透過性物質と吸収性材料の間にガス気泡がトラップされることが観察された。カバーシートとバックシートの間にトラップされたガス/水分子は、漏れ出る手段がなく、製品に正の浮力を持たせ、製品を表面に浮かせる。製品からトラップされた気泡を押し出すために製品を外力又は圧力で製品を押さない限り、製品は7日間を越えても正の浮力を維持することになる。同様の腐敗槽実験テストでは、透過性カバーと水不透過性バックシートを持ち、水蒸気透過性がないか又は少ない製品は、特に吸収性材料とバックシートの間で、大きな空気量をトラップする傾向がある。ある種の状況においては、トラップされた空気は、実際にバックシートを膨らませる。トラップされた気泡は、高い浮力を持つ製品を形成し、水圧又は他の下水により回転した時、すぐに浮き上がり、水中で平衡を取り戻す。空気をトラップすることにより生じる製品の高い正の浮力のために、該製品が水の表面上で動き、回転し、再びバランスを取り戻すようになるので、この高い浮力は、外力が、バッフルを越えて下水槽の第二室まで製品を押すのを防止する。水圧が十分に高い場合、及び/又は粒子状物を含む下水が製品の上に溜まっている場合には、製品が沈降し、バッフルの下を通ることができる。しかしながら、このようなことは、高い正の浮力が製品の回転を容易にし、そのために他の物質が製品上に堆積したり、製品を沈降させたりするのを防止するので、一般的には起こらない。
【0036】
上記したように、物品10は、カバーシート、バックシート、及び吸収性物質を形成する物質の独特の組み合わせを含み、浮力及びゆっくりとした沈降特性を形成し、このことは、配管システム及び自治体のシステムを通して一体物品の安全な移動をもたらす。物品は、最初に中程度浮力を持ち、移動の間には分散又は破壊することはない。水洗廃棄された後約7日以内に、物品は沈降することが望ましく、この結果製品が腐敗槽に詰ったり、水処理プラント内で可視状態であったり或いは水処理プラントから除去する必要性が生じる機会を減少することとなる。
【0037】
本発明による物品10では、初期状態での中程度浮力をもつ特徴は、バックシート14とカバーシート12の間の独特の透過性関係の結果であると信じられる。カバーシート12は、空気及び水蒸気に対して比較的高い透過性を持つことが望ましいが、バックシートは一般的に、液体に対して不透過性ではあるが、一般的には水蒸気に対しては高い透過性を持つ。カバーシート12は、織成又は不織材料のいずれかにより形成することができ、カバーの表面に接触する身体流体が浸透しやすい。望ましくは、カバーシート12は、少なくとも約30,000モーコン値、又は少なくとも約50,000モーコン値の水蒸気透過性を有する。適当なカバーシート材料の特定の例示を以下に示す。又、バックシート14は、カバーシート12の少なくとも約20%の水蒸気透過性を有するべきである。それぞれの透過性は、水洗廃棄された時、水中での物品の方向に関係なく、トラップされた空気が結果的に物品から漏れ出ることができるように選択される。このように、物品は、トラップされた空気が蒸気不透過性バックシートと吸収性材料18の間に保持される場合のように、側部間の浮力の大きな差によって、傾いたり、裏返しになったりしなくなる。更に初期状態で中程度浮力を物品に与えるために、最初から物品全体に十分な量のトラップされた空気を保持するように透過性が選択される。トラップされた空気は、水洗廃棄された後約7日以内に、物品が最終的には沈降するような割合で漏れ出なければならない。
【0038】
材料の「通気性」(水蒸気などのガスを通過させる材料の能力)を求めるための適当な技術は、INDA IST−70.4−99によって標準化された、「STANDARD TEST METHOD FOR WATER VAPOR TRANSMISSION RATE THROUGH NONWOVEN AND PLASTIC FILM USING A GUARD FILM AND VAPOR PRESSURE SENSOR」という名称の、材料の水蒸気透過率(WVTR)値のためのテストである。INDA法は、WVTR、フィルムの水蒸気に対する透過性、及び均質な材料に対しては水蒸気透過性係数を提供する。INDAテスト法は当業者に知られており、ここで詳細を述べる必要はない。しかしながら、このテスト法は次のように要約される。乾燥室が、永久保護フィルム及びテストしようとする試料材料によって、周知の温度及び湿度を持つ湿潤室から分離される。保護フィルムの目的は、しっかりとした空気ギャップを定め、エアーギャップが形成されている間はエアーギャップ内の空気を静かにし又は穏やかにするためのものである。乾燥室、保護フィルム、及び湿潤室は、テストフィルムがシールされる拡散セルを形成する。試料ホルダーは、ミネソタ州ミネアポリスのMocon/Modem Controls,Inc.より製造されたPermatran−W 100K型として知られている。第一テストが、保護フィルム及び100%相対湿度を生成する蒸発器組立体との間のエアーギャップについてWVTRにより行われる。水蒸気は、エアーギャップ及び保護フィルムを通して拡散し、次に水蒸気濃度に比例する乾燥ガス流と混合される。電気信号がコンピューターに通され、処理される。コンピューターは、エアーギャップ及び保護フィルムの透過率を計算し、更なる使用のためにその値を記録する。
【0039】
保護フィルム及びエアーギャップの透過率が、コンピューターにCalCとして記録される。次に、試料材料がテストセルにシールされる。保護フィルム及びテスト試料に、エアーギャップを通して再び水蒸気が拡散され、次いで乾燥ガス流と混合されてテスト材料を拭き払う。更に再び、この混合物は蒸気検知器に運ばれる。コンピューターは、エアーギャップ、保護フィルム、及びテスト試料の組み合わせの透過率を計算する。この情報は、次の方程式によって、テスト材料を通して湿分が透過する時の透過率を計算するために使用される。
TR.-1テスト材料=TR-1テスト材料、保護フィルム、エアーギャップ−TR-1保護フィルム、エアーギャップ
計算:
WVTR:WVTRの計算は方程式を使用する。
WVTR=Fρsat(T)RH/AΡsat(T)(1−RH))
ここで、
F=水蒸気の流れcc/分
ρsat(T)=温度Tにおける飽和空気での水の密度
RH=セル内の特定の位置における相対湿度
A=セルの断面積
Ρsat(T)=温度Tにおける水蒸気の飽和蒸気圧
WVTRは、24時間当たりの、材料の平方メートル当たりの水をグラム単位(g/m2−24時)で計測されるものである(「モーコン」単位)。
【0040】
本発明による材料の液体透過性を求める適当な技術は、Federal Test Method Standard FTMS 191 Method5514、1978又は同等のものに述べられている。
【0041】
本発明による材料の空気透過性を求めるための適当な技術は、Frazier AirPermeability Tester(メリーランド州GaithersburgのFrazier Precision Instrument Co.)及びMethod5450、Federal Test Methods Standard No.191Aである。
【0042】
カバーシート12とバックシート14の間の湿潤性の差は、物品が沈降する可能性に大きな影響を与えることがわかった。多孔性基体を通した液体浸透速度は、液体が基体の表面で形成する接触角の余弦に直接比例する。接触角は、このように、材料の親水性勾配の測定するものである。材料の接触角は、ASTM D724−89によって求めることができる。本出願人は、以下の実施例に示されているように、カバーシート及び類似した接触角を持つバックシート材料を持つ物品10が、水洗廃棄された後、約7日間までに沈降する大きな可能性を持つことがわかってきた。
【0043】
[実施例]
陰唇間吸収性物品が、モーコン値が約39,947で基本重量が30gsmのレーヨン及びPET/PPフィルムのスパンレース積層材料のカバーシート、及びPEG400(付加割合が0.5%のポリエチレングリコール)で処理されたXEM244フィルム(0.75ミリリットル)のバックシートにより形成された(10個の試料)。吸収性材料は、60%の綿と40%のレーヨンから成る混合層であった。処理済XEM244フィルムは、約100度から120度の間の水との接触角を持つ。カバーシートのレーヨン側は、約40度から45度の間の水との接触角を持つ。カバーシートのフィルム側は、約90度から100度の間の水との接触角を持つ。物品は、上部(外側)表面にレーヨン側を持つカバーシートで形成された。上部(外側)表面にフィルム側を持つカバーシートで、別個の物品が形成された。物品のセットは、他の部分においては全く一致したものであった。物品は、以下に示すような水洗廃棄テストで別々にテストされた。レーヨンを上部表面に持つ物品は、およそ30%の沈降比であった。フィルムを上部表面に持つ物品は、テスト期間の間中、約70%の沈降比であった。
【0044】
本出願人は、カバーシート12とバックシート14の間の接触角の差が約25%より大きくない場合に、水洗廃棄されてから約7日以内に物品が沈降する可能性を著しく大きくすると考えている。
【0045】
物品10が、最終的には沈降することを確実にするために、吸収性材料18は、下水汚水(本説明の目的のためには水と考えられる)より大きい密度を持つものとすることができる。すなわち、中程度浮力を持つ物品10が含むトラップされた空気が漏れ出ると、物品の重量及び吸収性材料の密度が、物品が沈降することを確実にするようになる。代替的実施形態においては、吸収性材料は、水より小さい密度を持ち、湿潤時重量(意図された量を吸収した後)が水より大きくなるものとすることができる。
【0046】
吸収性物品18は、吸収及び/又は吸着し、その後意図された身体排出物を保持する材料のいずれかを含むことができる。適当な材料は、一般的に、親水性があり、圧縮可能で順応性のあるものである。吸収性材料18は、当業者によく知られたどんな材料からも形成することができる。このような材料の例は、これらに制限されるものではないが、様々な天然又は合成繊維、クレープ加工されたセルロースワディングの多層積層体、フラフ加工されたセルロース繊維、レーヨン又は他の再生セルロース材料、木質パルプ繊維又は粉砕された木質パルプ繊維、空気堆積された材料、布繊維、ポリエステル繊維及びポリプロピレン繊維の混合物、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、被膜された超吸収性ポリマー、繊維性繊維束又はニット、又はあらゆる同等の材料或いは材料の組み合わせを含む。疎水性材料も又、多くの知られた方法によって親水性になった場合には、使用するのに適当である。
【0047】
吸収性材料18は、基本重量が約600gsm又はこれより小さい、好ましくは約250gsmから約400gsmの基本重量を持つものとすることができるが、吸収体のおよその基本重量は、とりわけ女性着用者の膣前庭内の吸収性物品10の全体的設計及び意図される位置によって種々異ならせることができる。
【0048】
適当な吸収体の特定の例は、KOTEXという商標名のパンティライナーに使用され、米国ウイスコンシン州ニーナのKimberly−Clark Corporationから入手可能な、ポリプロピレン及びセルロース繊維の混合物で形成されたコフォーム材料である。
【0049】
本発明による物品10の特定の実施形態においては、吸収性材料18は、水中で分散可能である。セルロース系繊維ウエブは、一般的に、水性環境に十分に曝されると個々の繊維に細分化されやすく、水中では分散可能であると考えられている。様々な他の水分散可能な吸収性材料は、当業者に知られており、本発明に使用されることができる。例えば、米国特許第5,952,251号、及び第5,948,710号などの特許は、すべての目的のために引用によりここに組み入れられ、本発明に適当とすることができる吸収性分散可能なコフォーム材料を示している。米国特許第6,171,292B1号も又、すべての目的のために引用によりここに組み入れられ、本発明に使用されることができる多くの分散可能な吸収性材料を示している。
【0050】
特定の実施形態においては、吸収性材料は、例えば図3に見られるようなティッシュ層又は溶融性ポリマーとすることができる材料の層により包むことができる。代替的には、層19は、吸収性材料18とカバーシート19の間だけか、或いは吸収性材料18とバックシート14の間だけに配置することができる。特定の実施形態においては、材料19は、層19とバックシート14の間に水溶性接着剤又は非水溶性接着剤を備えて、吸収性材料18とバックシート14の間に配置される。
【0051】
流体透過性カバーシート12は、着用者の身体に接触し、身体的排出物を受け取ることができる外向きに面した表面をもつ。カバーシート12は、女性着用者の膣前庭内の組織に可撓性及び刺激のない材料で形成される。ここで用いられる「可撓性」という用語は、接触している身体的表面に対してしなやかで、容易に順応する材料か、或いは外力によって変形しやすい材料を意味する。
【0052】
カバーシート12は、快適性及び適合性、更にはカバーシート12を通して吸収性材料18に向けて身体から身体的排出物を導く機能を提供する。カバーシート12は、その構造内に液体をほとんど又は全く保持しないので、カバーは、女性着用者の膣前庭内の組織に接する表面を比較的気持ちよくし、更に刺激を与えない。カバーシート12は、カバーの表面に接触する身体流体が浸透しやすいどんな織成または不織材料からも形成することができる。適当なカバー材料の例は、レーヨン、ポリエステルのボンデッドカーデッドウエブ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、又は他の熱接着可能な繊維、ポリプロピレン及びポリエチレンのコポリマーのようなポリオレフィン、線状低密度ポリエチレン、ポリラクト酸のような脂肪酸エステルを含む。孔あきフィルムウエブ及び網状材料も使用することができる。適当なカバー材料の特定の例は、ドイツのSandler Corporationから入手可能でKOTEX(登録商標)パンティライナーのカバー素材として使用されるようなポリプロピレン及びポリエチレンで形成されたボンデッドカーデッドウエブである。適当な材料の他の例は、ポリマー及び不織布材料の複合材料である。複合材料は、典型的には、スパンボンド材料のウエブ上にポリマーを押し出すことにより全体的に形成された一体のシートの形とする。流体透過性カバー12は又、そこに形成された複数の孔(示されず)を含むことができ、身体流体がカバーを通して、吸収性材料18まで浸透することができる比率を増加しようとするものである。
【0053】
生物学的に水和性のカバーシート材料も、使用するのに適当である。ここで用いられる「生物学的に水和性」という用語は、膣内環境に置かれた時、膣組織と吸収性物品10の間に適当な湿った界面を維持するシート材料、吸収性物品が膣を通って移動する身体排出流体を受け取り、吸収性材料18にこの流体を導くものであることも考慮して、膣の湿った組織環境内に布又は布状構造が配置されることに関連する快適性に対する要求に関しては良好な材料を意味することが意図されている。すなわち、カバーシート12が使用前に従来の意味で「水和性」ではない場合には、その時はシートが乾燥しているので、カバーシート12は、膣内の組織健康状態を適正に維持するために、膣内に必要とされる適切な湿分レベル又は湿分バランスを維持するか、或いは少なくともその維持を妨げないものとする。
【0054】
カバーシート12の表面の少なくとも一部分は、カバーをより親水性にするために界面活性剤で処理することができる。このことは、放出された身体排出流体が材料に浸透しやすくなる結果をもたらす。界面活性剤は、月経流体などの放出された身体排出流体が、カバーを通って通過し、吸収性材料18によって吸収されずに、カバーシート12から流出するようになる可能性を減らすことができる。吸収性材料18の上部表面に重なるカバーシート12の上部表面の少なくとも一部にわたって、界面活性剤が実質的に均等に分布するような、適当なある方法が提供される。
【0055】
カバーシート12は、望ましいエンボスパターンのいずれかでエンボス加工される。エンボス加工技術は、当業者によく知られている。エンボス加工パターンは、美的に喜ばれる表面を形成するだけでなく、形成されたエンボス加工された溝が月経流体の取り込みを促進するものである。月経は、カバーシート12の接触点に溜められるより、溝の高密度化された縁部に沿って流出する傾向にある。
【0056】
カバーシート12は、接着剤22のパターンを使用して、近接した表面のすべて又はその一部を互いに接着することにより、吸収性材料18と固定した関係を維持することができる。接着剤22は、水溶性接着剤又は、例えば約7日以後のように、時間が経った後水溶性になる接着剤とすることができる。代替的には、カバーシート12の部分は、従来の接合方法によって、吸収性材料18及び/又はバックシート14の近接した表面に融着又は接合されることができる。
【0057】
適当なカバーシート材料は、少なくとも約30,000モーコン値の水蒸気透過率(WVTR)を持つものとすることができる。例えば、カバーシートは、約40,000のモーコン値、より特定的には39,947の値を持つ、上記したスパンレース材料とすることができる。代替的実施形態においては、カバーシートは、少なくとも約50,000モーコン値を持つことができ、例えばボンデッドカーデッドウエブ材料とすることができる。
【0058】
バックシート14は、典型的には、吸収性物品10が着用者によって着用された場合、吸収性材料18の底部表面上にあり、一般的に液体不透過性でかつ水蒸気透過性とするどんな望ましい材料からも形成することができる。望ましくは、バックシート14は、少なくとも約10,000モーコンの水蒸気透過性を有する。又、バックシート14は、カバーシート12の少なくとも約25%の水蒸気透過性を有することができる。ある実施形態においては、バックシート14は、液体透過性とすることができる。望ましくは、バックシート14は、身体排出流体の通過を妨げる一方で、吸収体10から出る空気及び蒸気を通過させる。適当な材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルなどのマイクロエンボス加工されたポリマー性フィルムがあり、最小厚さが約0.025mmより小さくなく、最大厚さが約0.13mmより大きくない。二成分フィルムも、液体不透過性になるように処理された織成及び不織布と同様に使用することができる。別の適当な材料の例は、例えば閉セルポリエチレン発泡体のような閉セルポリオレフィン発泡体である。バックシート材料の特定の例は、KOTEXパンティライナーに使用されているような、米国イリノイ州シャウムバーグのPliant Corporationより入手可能なポリエチレンフィルムである。
【0059】
バックシート14の材料に特によく適したものは、少なくとも約10,000モーコン値、より特定的に10,824モーコン値を持つ高度に通気性のある延伸熱積層体(HBSTL)材料である。HBSTL材料は、延伸通気性フィルムに熱接合されたポリプロピレンスパンボンド材料を含むことができる。例えば、HBSTL材料は、18.7g/m2の延伸通気性フィルムに熱接合された、0.6osy(20.4g/m2)のポリプロピレンスパンボンド材料を含むことができる。通気性フィルムは、各々が1−3重量%のEVA/カタロイから成る2つの表皮層を含むことができる。通気性フィルムは又、55−60重量%の炭酸カルシウム粒子、線状低密度のポリエチレン、及び4.8%までの低密度のポリエチレンを含むことができる。延伸通気性フィルムは、0.45−0.50ミリメートルの厚さ、及び18.7g/m2の基本重量とすることができる。スパンボンド層は、通気性フィルムに熱接着することができ、20.4g/m2の基本重量とすることができる。スパンボンド層は、1.5−3dpfの繊維デニールを持つことができ、延伸通気性フィルムは、望ましいパターンのいずれかを使用して、接着面積全体が少なくとも約15−20%になるように、スパンボンド材料に熱接合することができる。
【0060】
バックシート14は、バックシート14と吸収性材料18の間に望ましいパターンで施された接着剤22により、吸収性材料18と固定した関係を維持することができる。材料は、近接した表面のすべて又は一部を互いに接合することにより固定することができる。このような固定した関係を達成するために、当業者に知られている種々異なる接合法を利用することができる。このような方法の例は、これらに制限されることはないが、超音波接合、熱接合、又は2つの接触する表面の間に種々異なるパターンで接着剤材料を付与する方法を含む。
【0061】
カバーシート12及びバックシート14は、物品10の周囲20周りのシールされた周方向縁部16を形成するために、結合された周辺縁部を持つ。カバーシート12及びバックシート14の縁部をシールするために、接着剤22を使用することができる。図1及び図2に示された実施形態においては、接着剤22は、シート14の縁部にほぼ完全に延びるように、バックシート14の内側表面にほぼ均一に付与される。吸収性材料構造18は、バックシート14及びカバーシート12の寸法より僅かに小さく、これにより接着剤組み合わせ22の周方向境界部30が定められる。カバーシート12は、この境界部でバックシート14に接着され、物品のシールされた縁部16を定める。図には示されていないが、上記したように、カバーシート12を吸収性材料18に結合するために、接着剤22を使用することができる。
【0062】
図3の代替的実施形態においては、接着剤22は、周方向帯30全体にのみ付与され、物品のシールされた縁部16でカバーシート12及びバックシート14を結合するように主に意図されている。
【0063】
次のテストプロトコルは、陰唇間吸収性物品がトイレに落とされ、水洗廃棄された後の、最初の浮力及び沈降特性を求めるために使用することができる方法を記述している。
【0064】
テスト法
このプロトコルは、陰唇間パッドがトイレ設備及び家庭内配管を通過する能力を計測し、時間の経過と共に製品の目視観察を可能にするものである。
【0065】
試料用水洗廃棄は、Kohler社の1.6ガロン水低速流設備、及び製品の流れを観察するのためのおよそ35フィートの透明の管領域を備えた4インチの家庭用配管システムを使用して実行される。家庭内配管システムは、8フィートの領域が標準の4インチPVC器具により結合された、透明プラスチック管を使用して設計される。このシステムは、廃水流出のためのUniversal Plumbing Code及びBOCAコードからの最低設計基準に対応させた構成である。
【0066】
水及び製品の動きは、廃棄製品上の重力によって支持される。配管システムは又、水洗廃棄テストで詰ったり或いは取り残された物質を通過させるために、配管内に水を誘導させる流出バルブを持つ。
【0067】
プロトコルは、個々の陰唇間パッドを設備ボール内に入れ(パッドのみで、トイレットペーパー又は擬似糞便は入れない)、1.6ガロンの水で容器から排液することからなる。パッドは、移動用配管を移動する時、水及び廃棄物の流れを詰らせることなく、内部水トラップで設備を完全に通過しなければならない。システムのどの部品にも製品の蓄積物が残留してはならない。
【0068】
パッドが水洗廃棄され、堆積された後、水コンテナに移送され、4時間後、24時間後、及び7日後に観察される。
準備するもの
設備−KOHLER社トイレ;1.6ガロンの低速流の水
家庭内配管システム−4インチの透明プラスチック管(ポリカルボネート)
堆積スクリーン−ステンレススチール1/4インチのメッシュ又は多段階篩スクリーン
蓋付きプラスチックコンテナ(STERLITEコンテナ28クオート、23−1/4インチX17インチX6インチ)
注:コンテナの最小寸法が重要である。すべてのパッドが、互いに又はコンテナの側部に接触せずに浮くのに十分な余地が必要である。水の深さは、最小で製品の長さより1−1/2インチ大きい深さが必要である。
8インチのプラスチック攪拌棒
【0069】
試料抜き取り及びテスト手順
・各々のコード(試料)からのすべてのパッドは、同一の日にテストされるべきである。
・各々の7日間のテストの後に、コンテナを清浄な、乾燥した布で拭き取り、清浄であることを確かめること。テスト結果に影響を与える可能性があるので、コンテナを清浄にするために、洗浄剤又は石鹸を使用してはならない。
1)テストするためのコードを選択し、各々のパッドの両側(カバー及びバッフル)に番号をつける。
2)カバーを外側にし、パッドを縦方向半分に折り曲げる。折り曲げたパッドを人差し指と中指の間に置く。トイレシートに腕をのせて、指を広げて1つのパッドを便器内に落とす。カバーが上向きか或いは下向きに落ちたかを記録する。30秒待ち、水洗廃棄する。製品が1回目の水洗廃棄で便器を通過するかを記録する。必要ならば、便器から製品が通過するように、2回目の水洗廃棄をする。
3)10個のパッドが水洗廃棄されるまで、段階2を繰り返す。
4)すべてのパッドが堆積したことを確かめるために、堆積スクリーンを検査する。システム内にトラップされたパッドがある場合は、最初にシステムを通過しなかったパッドを押し出すために、水流廃棄するか、又はバルブを開けてシステムに更に水を加える。システム内にトラップされたパッドの数及び位置を記録する。
5)上部から1/2インチ(=5−1/2インチの水レベル)まで満たすように、堆積タンクからコンテナに水を加える。開始する前に、コンテナが拭き取られて清浄であることを確かめる。
6)各々のパッドを目視検査し、前もって水を加えたコンテナにパッドを移す。シールがある場合には、どのパッドのシールが外れたか、シールが外れた位置、或いは製品がどのように壊れているかを記録する。パッドをコンテナに移送する時は、パッドを水平にし(偶数番号のパッドはカバー側を上にし、奇数番号のパッドはバッフル側を上にする)、親指と人差し指でパッドの中央をつかみ、水表面より下の中途までパッドを沈め、次いでパッドから指を放す。同じコードからのすべてのパッドを1つのコンテナに置く。[大きいサイズの場合は例外である。1つのコンテナに15個だけパッドを置く。]パッドが追加された時は、製品コードの符号及び時間をコンテナに付す。コンテナに蓋をする。
7)同じコードからのすべてのパッドが水洗廃棄されるまで、段階1−6を繰り返す。
8)コンテナに同じコードの10個のパッドの最後のセットを置いてから、3 1/2時間ないし4 1/2時間後に(4 1/2時間を越える場合は、データシートに記録しておく)、プラスチック攪拌棒で静かに5回パッドをかき回し、5分間待つ。まだ浮遊しているパッドの数及びパッドの浮力、個々の部品に分離したパッドの数、或いはカバーシートとバックシートの間のシールが分離した数を記録する。
9)パッドをコンテナに置いた後、23 1/2時間ないし24 1/2時間後(24 1/2時間を越える場合は、データシートに記録しておく)に、プラスチック攪拌棒で静かに5回パッドをかき回し、5分間待ち、パッドが個々の部品に分離した数、まだ浮遊しているパッドの数、パッドの浮力、及び他の目視評価を記録する。
10)コンテナにパッドを置いて、7日後に、プラスチック攪拌棒で静かに5回パッドをかき回し、5分間待つ。まだ浮遊しているパッドの数、及びパッドが個々の部品に分離した数又はカバーシートとバックシートの間のシールが分離した数を記録する。シールが外れた位置及びパッドの内部に空気がトラップされているかどうかを記録する。
11)パッドは、後の検査のために保存される。
【0070】
[実施例]
陰唇間吸収性物品の2つの別個のコードが形成され(1つのコードに付き10個の試料)、上記した手順によってテストされた。物品は、長さが79mmで幅が69mmであった。
【0071】
第一コード:物品は、綿が70%でレーヨンが30%、密度が約1.37g/ccの吸収性層を含んでいた。カバーシートは、WVTRが約52,612モーコン値、空気透過性が約762cfm/ft2(平方フィート当たりの一分当たり立方フィート)、及び水との接触角が約70度−80度の間のボンデッドカーデッドウエブ(BCW)材料であった。バックシート材料は、WVTRが約10,824モーコン値、空気透過性が約5cfm、及び水との接触角が約85度−100度の間のHBSTL材料を含んでいた。すべてのパッドは、分散又は破壊されることなく良好に水洗廃棄され、浮力及び沈降特性が、上記した手順で時間ごとに記録された。パッドは、水洗廃棄される間、ほぼ中程度の浮力を示し、水流の上部を流れることはなく、配管の底部と水流の上部の間を流れた。又、物品は、水洗廃棄テストの後コンテナ内に入ったとき、コンテナ内の様々な位置で全体的に浮遊し、表面に浮かび上がることはなかった。テストされたパッドの60%が、7日以内に完全に沈降した。
【0072】
第二コード:物品は、綿が60%でレーヨンが40%、密度が約1.2g/ccの吸収性層を含んでいた。カバーシートは、WVTRが約39,947モーコン値、空気透過性が約0.76cfm、及び水との接触角(フィルムが外側)が約90度−110度の間の、レーヨンと上記したようなフィルム側が外側であるPET/PPのスパンレース積層材料であった。バックシート材料は、WVTRが約10,824モーコン値、空気透過性が約5cfm、及び水との接触角が約85度−100度の間のHBSTL材料(上記したような)を含んでいた。すべてのパッドは、分散又は破壊されることなく良好に水洗廃棄され、浮力及び沈降特性が、上記した手順で時間ごとに記録された。パッドは、水洗廃棄される間、ほぼ中程度の浮力を示し、水流の上部を流れることはなく、配管の底部と水流の上部の間を流れた。又、物品は、水洗廃棄テストの後、コンテナ内に入り、コンテナ内の様々な位置で全体的に浮遊し、表面に浮かび上がることはなかった。テストされたパッドの95−100%が、7日以内に完全に沈降した。
【0073】
様々な修正及び変更が、添付された特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及び思想、並びにそれらの均等手段から外れることなく、ここに図示又は示された本発明の実施形態になされることを当業者は認識すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明による陰唇間吸収性物品の斜視図及び一部切断図である。
【図2】図1の指示された線で切り取った物品の断面図である。
【図3】本発明による陰唇間吸収性物品の代替的実施形態の斜視図及び一部切断図である。
【符号の説明】
【0075】
10 陰唇間吸収性物品
12 カバーシート
14 バックシート
16 縁部
18 吸収性材料
19 層
22 接着剤
30 周方向帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性着用者の主として膣前庭内に位置決めされるように形成された陰唇間吸収性物品であって、
ほぼ液体透過性のカバーシートと、
ほぼ液体不透過性のバックシートと、
前記カバーシート及び前記バックシートの間に位置決めされた吸収性材料と、
を備え、
前記バックシートは、前記カバーシートの水蒸気透過率の少なくとも約20%の水蒸気透過率を持ち、
前記吸収性材料は、少なくとも約1.0g/ccの乾燥時密度を持つ、
ことを特徴とする物品。
【請求項2】
前記カバーシート及び前記バックシートは、接触角の差が約25%より小さいことを特徴とする請求項1に記載の陰唇間吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性材料は、少なくとも約1.0g/ccの湿潤時密度を持つことを特徴とする請求項1に記載の陰唇間吸収性物品。
【請求項4】
前記カバーシートは、少なくとも約30,000モーコン値、好ましくは少なくとも約40,000モーコン値、更に好ましくは少なくとも約50,000モーコン値の水蒸気透過率を持つことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項1に記載の陰唇間吸収性物品。
【請求項5】
前記カバーシートは、ボンデッドカーデッドウエブ材料からなることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の陰唇間吸収性物品。
【請求項6】
前記バックシートは、少なくとも約10,000モーコン値の水蒸気透過率を持つHBSTL材料からなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の陰唇間吸収性物品。
【請求項7】
前記カバーシートは、前記物品の周囲において接着剤により前記バックシートに接着されたことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の陰唇間吸収性材料。
【請求項8】
前記物品は、水洗廃棄された後約数日以内に沈降するような、当初中程度浮力を持つことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の陰唇間吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性材料は、綿/レーヨン混合物からなることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の陰唇間吸収性物品。
【請求項10】
前記カバーシート12は、レーヨン及びフィルムのスパンレース積層材料からなることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の陰唇間吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−513686(P2007−513686A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543788(P2006−543788)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/020359
【国際公開番号】WO2005/060895
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】