説明

改札装置

【課題】利用者は自分自身に最適な情報を簡便に取得することが困難であること。
【解決手段】非接触ICカードに記録されている所定のデータに基づいて入出場処理する改札装置は、非接触ICカードリーダ/ライタ部と、制御部とを有する。制御部は、非接触ICカードが搭載された携帯端末装置の上記非接触ICカードから非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて個人情報を読み出し、この読み出した個人情報に対応するコンテンツをネットワークを介してコンテンツ配信サーバから取得して非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて携帯端末装置の非接触ICカードに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の駅や空港の改札口、あるいは会社や工場の出入り口などに設置される改札装置に関し、特に非接触ICカードに記録されている所定のデータに基づいて入出場処理する改札装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の利便性向上を図るために、非接触ICカードに記録されているデータに基づいて入出場処理する改札装置が提案ないし実用化されている(例えば特許文献1参照)。さらに近年、本来の改札機能に加えて、入出場する利用者に対して各種の情報を提供する機能を有する改札装置が提案ないし実用化されている。
【0003】
この種の多機能な改札装置の一例が特許文献2に記載されている。特許文献2に記載の改札装置(ゲート部および施設内サービス管理装置)は、入場券情報が記憶された非接触ICカードを搭載した携帯電話機などの携帯端末がゲート部を通過する際、非接触ICカードから入場券情報を読み出して認証し、利用者がゲートを通過できるように制御すると共に、ホームページのURLを携帯端末へ送出する。これによって、利用者は携帯端末からホームページにアクセスすることにより、施設に関する様々な情報を入手することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4032373号公報
【特許文献2】特開2010−108228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2では、改札装置から非接触ICカード通信を通じて携帯端末に送信される情報が、特定のホームページにリンクしたURLであるため、携帯端末の利用者がインターネット接続操作をしなければ、なんらかの情報を得ることが出来ない。
【0006】
また、特定のホームページから得られる情報は、携帯端末の利用者個々の属性(氏名、性別、年齢など)に対応した情報ではないため、必ずしも携帯端末利用者へ最適な情報が提供されるとは限らない。
【0007】
本発明の目的は、上述したような課題、すなわち改札時に利用者は自分自身に最適な情報を簡便に取得することは困難である、という課題を解決する改札装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態にかかる改札装置は、
非接触ICカードに記録されている所定のデータに基づいて入出場処理する改札装置において、
非接触ICカードリーダ/ライタ部と、
前記非接触ICカードが搭載された携帯端末装置の前記非接触ICカードから前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて個人情報を読み出し、該読み出した個人情報に対応するコンテンツをネットワークを介してコンテンツ配信サーバから取得して前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて前記非接触ICカードに書き込む制御部と
を有する、といった構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述した構成を有するため、改札装置を通る利用者は、自分自身に最適な情報を簡便に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における携帯電話機のブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における入退場ゲート装置のブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるコンテンツ情報ファイルの構成例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における動作シーケンス図である。
【図7】本発明の第3の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態は、携帯端末装置110と、改札装置120と、コンテンツ配信サーバ130と、ネットワーク140とを有する。
【0012】
携帯端末装置110は、利用者150が所持する携帯電話機などで構成される。携帯端末装置110には、非接触ICカード111が搭載されている。非接触ICカード111には、利用者150の個人情報が予め記憶されている。個人情報は、利用者150の氏名、年齢、性別などの利用者の属性情報を含む。
【0013】
改札装置120は、非接触ICカードリーダ/ライタ部121と制御部122とを有する。非接触ICカードリーダ/ライタ部121は、携帯端末装置110の非接触ICカード111から無線によりデータを読み出す機能と、その反対にデータを書き込む機能とを有する。制御部122は、携帯端末装置110の非接触ICカード111から非接触ICカードリーダ/ライタ部121を通じて個人情報を読み出し、この読み出した個人情報に対応するコンテンツをネットワーク140を介してコンテンツ配信サーバ130から取得し、非接触ICカードリーダ/ライタ部121を通じて携帯端末装置110の非接触ICカード111に書き込む機能を有する。上記制御部122は、例えば、改札装置120を構成するコンピュータとプログラムとで実現することが可能である。
【0014】
コンテンツ配信サーバ130は、利用者150の個人情報に対応付けてコンテンツを記憶する。コンテンツの種類は任意であり、テキスト、画像、音声の何れであってもよい。
【0015】
ネットワーク140は、LAN、WAN、インターネットなどで構成され、改札装置120とコンテンツ配信サーバ130とを互いに通信可能に接続する。
【0016】
次に本実施形態の動作を説明する。
【0017】
利用者150が改札装置120の非接触ICカードリーダ/ライタ部121の図示しないアンテナに携帯端末装置110をかざすか或いは接触させると、携帯端末装置110の非接触ICカード111に記憶されている個人情報が非接触ICカードリーダ/ライタ部121によって読み取られ、制御部122に伝達される。
【0018】
制御部122は、入力された個人情報に基づいて利用者150の認証を行い、認証に成功すれば利用者の通過を許可する処理を実施する。例えば、改札装置120に機械的に開閉可能なゲートが設けられている場合、制御部122は、認証成功時にゲートを開ける制御を行う。さらに制御部122は、読み出した個人情報を付加したコンテンツ取得要求をネットワーク140を介してコンテンツ配信サーバ130へ送信する。コンテンツ配信サーバ130は、受信したコンテンツ取得要求に付加された個人情報に対応するコンテンツをネットワーク140を介して要求元の改札装置120へ送信(応答)する。改札装置120は、受信したコンテンツを非接触ICカードリーダ/ライタ部121を通じて携帯端末110の非接触ICカード111に書き込む。
【0019】
以上のような動作が行われることにより、利用者150の携帯端末装置110の非接触ICカード111に、利用者150の個人情報に対応したコンテンツが記憶される。携帯端末装置110は、非接触ICカード111を通じてコンテンツを取得すると、コンテンツを表示するためのプログラムを自動的に実行することにより、コンテンツの内容を携帯端末装置110のLCDなどの表示装置に表示する。これにより利用者150は、コンテンツの内容を閲覧することができる。
【0020】
このように本実施形態によれば、改札装置120を通る利用者は、自分自身に最適な情報を簡便に取得することができる。すなわち、改札装置にかざした携帯端末装置に対し、利用者の属性に最適な情報をプッシュ型配信(コンテンツ配信サーバから携帯端末装置へ自動的にリアルタイムに配信する方法)を行うことが可能となる。また、入場時に取得したURLなどにリンクしたホームページへのアクセス操作が不要であり(煩わしさ改善)、携帯端末装置の通信費用も掛からない(費用削減)。
【0021】
[第1の実施形態の変形例]
改札装置120が会社や工場の出入り口などに設置される改札装置(社内入退場ゲート装置)の場合、上記個人情報として、社員証情報を使用してよい。社員証情報は、例えば会社名、所属、役職、生年月日、性別、業務内容などを含む。
【0022】
また改札装置120が会社や工場の出入り口などに設置される改札装置(社内入退場ゲート装置)の場合、コンテンツ配信サーバ130として、利用者が勤務する会社のネットワークに接続されているコンテンツ配信サーバを使用してよい。この場合、コンテンツとして、例えば社長メッセージ、部門長指示、人事異動通知などとしてよい。
【0023】
また改札装置120が鉄道の駅や空港の改札口に設置される改札装置の場合、制御部122は、上記個人情報とは別に定期券情報や乗車券情報などを携帯端末装置110の非接触ICカード111から読み取り、入出場処理を行うようにしてよい。
【0024】
また改札装置120が鉄道の駅や空港の改札口に設置される改札装置の場合、制御部122は、上記個人情報または社員証情報で特定される利用者150の勤務する会社が予め登録された提携先会社であるか否かを判定し、提携先会社であった場合に会社のネットワークにアクセスしてコンテンツを取得するようにしてよい。
【0025】
また改札装置120は、図1に示されるように、受信したコンテンツを一時的に保存するキャッシュ記憶部123を有していてもよい。この場合、制御部122は、携帯端末装置110の非接触ICカード111から読み出した個人情報に対応するコンテンツがキャッシュ記憶部123に記憶されていれば、それを読み出して携帯端末装置110の非接触ICカード111に書き込む。また、該当するコンテンツがキャッシュ記憶部123に存在しなければネットワーク140を介してコンテンツ配信サーバ130から該当するコンテンツを取得し、キャッシュ記憶部123に上記個人情報に対応付けて記憶すると共に、携帯端末装置110の非接触ICカード111に書き込む。
【0026】
さらに改札装置120の制御部122は、コンテンツの非接触ICカード111への書き込みに成功したか失敗したかを検出する機能を有していてよい。例えば、制御部122は、非接触ICカードリーダ/ライタ部121から非接触ICカード111へ送ったコマンドに対するレスポンスを解析することにより、コンテンツの書き込みが正常終了したか否かを判定してよい。
【0027】
そして、制御部122は、非接触ICカード111との通信時間が不足していた等の原因で、コンテンツの非接触ICカード111への書き込みに失敗した場合、非接触ICカード111から読み出した上記個人情報、社員証情報または定期券情報あるいは乗車券情報に基づいて、当該利用者150が次に入出場する可能性のある他の改札装置120を決定し、この決定した改札装置120のキャッシュ記憶部123に対して上記書き込みに失敗したコンテンツをネットワーク140を通じて転送するようにしてよい。例えば、改札装置120が鉄道の駅の改札装置の場合、定期券情報や乗車券情報から乗車駅と降車駅とが判明するので、乗車駅の改札装置120でコンテンツの書き込みに失敗した場合、降車駅の改札装置120で再度コンテンツの書き込みを行うために、乗車駅の改札装置120から降車駅の改札装置120のキャッシュ記憶部123にコンテンツを転送する。また、会社や工場の出入り口などの複数の箇所に改札装置(社内入退場ゲート装置)が設置されている場合、社員証情報から特定される利用者が或る改札装置を通過した場合に次にどの改札装置を通過するかが概ね決定されるため、或る改札装置120でコンテンツの書き込みに失敗した場合、その利用者が次に通過する改札装置120で再度コンテンツの書き込みを行うために、コンテンツを転送する。以上の処理によって、他の改札装置120では、当該利用者の通過時点で該当するコンテンツがキャッシュ記憶部123に登録されているため、速やかにコンテンツの非接触ICカード111への書き込みを開始することができ、通信時間不足等によるコンテンツの書き込み失敗を防止することができる。
【0028】
[第2の実施形態]
[概要]
本実施形態は、携帯電話機に搭載されている非接触ICカードを社員証として利用する社内入退場ゲートシステムである。特に非接触ICカード内に記録されている社員の属性(会社、部門、業界、業務内容ほか)に従って最適なコンテンツを携帯電話機に表示させることを特徴としている。
【0029】
[構成]
図2を参照すると、本実施形態にかかる社内入退場ゲートシステムは、携帯電話機210と、各地域(物理的に離散配置された)の事業場230に入場するための入退場ゲート装置220と、各事業場の各入退場ゲート装置における社員等の入退場管理を行う、社内入退場ゲート管理装置250と、各事業場の各入退場ゲート装置にて社員等が入場した際、社員の属性に従って最適なコンテンツを入退場ゲート装置経由で入場者の携帯電話機に配信する、コンテンツ配信サーバ260と、入退場ゲート装置と社内入退場ゲート管理装置及びコンテンツ配信サーバ間の通信回線である、ネットワーク240と、コンテンツ配信サーバで管理を行うコンテンツ情報の更新を行うための、コンテンツ更新用情報処理端末270とからなる。
【0030】
ここで、ネットワークとして利用される通信回線は社員証情報などの個人情報を取り扱うため、情報セキュリティの観点から、社内専用回線及びVPN(Virtual Private Network)などのセキュアな回線が望ましい。
【0031】
図3を参照すると、携帯電話機210のブロック図が示されている。制御部211は、CPUなどを示し、プログラムの実行を行う。メモリ212は、プログラムを格納するFlash ROMなどの不揮発メモリと、プログラム実行に一時記憶などに使われるRAM(SDRAM,SRAMなど)からなる。表示部213は、文字や画像、Webページを表示する。キー操作部214は、テンキーやQWERTYキーなどのキーからなり、携帯電話機の操作を行う入力装置である。非接触ICカード215は、一般にFeliCaなどと呼ばれるものと同様に、非接触ICカードのリーダ/ライタとの間で、データの通信を行う装置である。本実施形態においては、社員属性に最適なコンテンツ配信等の通信は、この非接触ICカードを利用する。社内入退場ゲート装置の非接触ICカードリーダ/ライタ部からコンテンツ情報ファイルを取得する機能を持つ。また、あらかじめ社員証情報を記憶させておくことにより、社内入退場の際に入退場ゲート装置に携帯電話機をかざすことにより、社員証の情報が認証され入場する機能をもつものとする。
【0032】
通信制御部216は、携帯電話機が携帯電話機基地局間で無線通信を行うための機能ブロックであり、チャネルコーデックや無線のタイミング制御等を行う。無線部217は、無線機であり携帯電話基地局との無線の送信/受信を司る装置である。アンテナ218は、実際に無線を送受信する電波端の装置である。
【0033】
ここで、本実施形態に直接関係の無い構成は、同業者において周知のことであるので、あえて記載は行わない。
【0034】
図4を参照すると、入退場ゲート装置220は以下のような構成をとる。
【0035】
制御部222は、CPUなどを示し、プログラムの実行を行う。
【0036】
非接触ICカードリーダ/ライタ部223は、一般にFeliCaなどと呼ばれる非接触ICカードの、リーダ/ライタの役割を行う装置である。本実施形態においては、入退場ゲート装置と携帯電話機間のコンテンツ配信のための通信は、この非接触ICカードリーダ/ライタ部を利用する。コンテンツ配信サーバから取得したコンテンツ情報ファイルを、社内入場者の携帯電話機に対して、非接触ICカードの通信機能を用いて、送信する機能を持つ。
【0037】
メモリ224は、プログラムを格納するFlash ROMなどの不揮発メモリと、プログラム実行時の一時記憶や配信コンテンツのキャッシュなどに使われるRAM(SDRAM,SRAMなど)からなる。
【0038】
表示操作部225は、入場ゲートの通行可否情報などを表示する表示部である。
【0039】
ゲート開閉部226は、社内に入場する際にかざされた社員証情報が入退場ゲート管理装置により認証された旨を制御部222が判断し、制御部から開閉の指示を受け、入退場ゲートの開閉を行うブロックである。
【0040】
通信制御部227は、ネットワークに接続、及び情報通信する為の装置である。
【0041】
図5に、コンテンツ配信サーバの記憶部に記憶されているコンテンツ情報ファイル251の構成を示す。コンテンツ情報ファイル251は、ファイルのバージョン、形式などの規定情報を含む、ヘッダ部252と、社員属性に応じたホームページのURLなどを含む、テキスト部253と、コンテンツ本体254とからなる。
【0042】
コンテンツ本体には、社員属性に最適な情報を記載することが可能である。例えば、社長メッセージ、所属先部門の部門長指示、人事異動通知、出勤/退社時刻、フロア清掃情報、情報セキュリティ注意喚起メッセージ、所属部門業務関連の業界ニュース、出勤当日スケジュールリマインド、などでありその他の情報であっても良い。また文字情報以外の画像、動画、音声であっても良いものとする。
【0043】
尚、ヘッダ部、テキスト部、コンテンツ本体の記述フォーマットなどは、任意のものが可能であるものとする。図5においては、現在一般に普及されているトルカ(ToruCa)(登録商標)を参考に記載したものである。
【0044】
図5に示すコンテンツ情報ファイルの構成はあくまでも一例であり、セキュリティが必要な情報については、暗号化しても良い。また図5のファイルフォーマットは一例を示しているものであり、他の構成でも良い。
【0045】
[動作]
次に、非接触ICカード搭載の携帯電話機を利用して入退場ゲートを通過する際に、コンテンツ配信サーバからコンテンツ情報ファイルを取得し、閲覧する動作について、図6に示す動作フローを使用して説明する。
【0046】
予め携帯電話機210に搭載されている非接触ICカード215に社員証としての情報を登録してあるものとする。また、予めコンテンツ配信サーバ260には、社員属性に応じた情報が登録されているものとする。
【0047】
まず、社内入場者は社内へ入場する為、携帯電話機210を入退場ゲート装置220にかざす(図6のS101、手動による操作)。入退場ゲート装置の非接触ICリーダ/ライタ部223と、携帯電話機の非接触ICカード215は通信を確立する(図6のS102)。入退場ゲート装置は、非接触ICカードリーダ/ライタ部が非接触ICカード通信を通じて社員証情報を取得し、ネットワーク240を通じて社員証情報が社内入退場ゲート管理装置250に認証されると、入退場ゲート装置の制御部222がゲート開閉部226に指示することにより、入場ゲートを開く(図6のS103)。入退場ゲート装置は取得した社員証情報(会社名、所属、役職、生年月日、性別、業務内容、などの個人情報の属性)を、コンテンツ配信サーバ260へ送信する(図6のS104)。コンテンツ配信サーバでは取得した社員証情報から最適なコンテンツを検索し(図6のS105)、コンテンツ情報ファイル251を生成(取得)し(図6のS106)、入退場ゲート装置に送信する(図6のS107)。入退場ゲート装置は入場者の携帯電話機に対して、取得したコンテンツ情報ファイルを送信する(図6のS108)。携帯電話機は非接触ICカードを通じてコンテンツ情報ファイルを取得すると、コンテンツを表示するためのプログラムを自動的に実行することにより(図6のS109)、コンテンツ情報ファイルのコンテンツ本体254の内容を表示する(図6のS110)。携帯電話機はコンテンツ情報ファイルを取得した旨のメッセージを、入退場ゲート装置に送信する(図6のS111)。
【0048】
以上により、携帯電話機を社員証として利用し、社内に入場する時点で、社員属性に対応したコンテンツを携帯電話機に表示し、利用者による閲覧が可能となる。
【0049】
尚、コンテンツ配信サーバ内のコンテンツの編集は、コンテンツ配信サーバ260に接続できるコンテンツ更新用情報処理端末270から更新することができる。例えば、部門長が配下の部員に周知する事項などを予めコンテンツ配信サーバに登録することにより、部員は出勤時の社内入場時点でその周知事項などを確認することが出来る。コンテンツ配信サーバはインターネット上のニュースサイトなどを自動検索して、サーバ内のコンテンツを更新することも可能である。
【0050】
尚、非接触ICカードの通信方法自体は、例えば非接触ICカードリーダ/ライタにて発生する電磁誘導により、非接触ICカードに対して電力を発生させることにより、両者間の通信が可能となる。両者間の通信方法については、周知の事項なので詳述しない。更に、携帯電話機の非接触ICカードを社員証として利用する方法についても、周知の事項なので詳述しない。
【0051】
ここでは入場時にコンテンツを取得する場合について説明したが、社内から退場する場面でも同様に最新コンテンツ情報ファイルを取得することが可能である。
【0052】
このように本実施形態によれば、非接触ICカード搭載の携帯電話機を社員証として社内への入退場を行う際に、入退場ゲート装置を通過する社員の属性に応じて最適なコンテンツを提供することができ、また、携帯電話機の通信によりホームページへのインターネット接続操作が不要であり、携帯電話機ユーザへの通信費の負担も無い。すなわち、本実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0053】
第1の効果は、コンテンツ配信サーバから提供されるコンテンツ情報ファイルを入退場ゲート装置の非接触ICカード通信機能を利用して携帯電話機に送信するので、携帯電話機のユーザによるインターネット接続操作の煩わしさと通信費を削減できることである。
【0054】
第2の効果は、携帯電話機のユーザ個々人の属性(会社、部門、業界、業務内容ほか)に対応した情報を提供するため、携帯電話機ユーザ(社員を想定)への最適な情報が提供出来る、ということである。
【0055】
[第3の実施形態]
[概要]
本実施形態は、携帯電話機の非接触ICカードを社員証としての利用に加え、電車の定期券として利用した場合において、携帯電話機のユーザが鉄道会社の自動改札機を通過する際に、自身が所属する会社のコンテンツ配信サーバから、コンテンツ情報ファイルを取得するシステムである。
【0056】
[構成]
図7を参照すると、本実施形態にかかるシステムは、携帯電話機310と、各地域(物理的に離散配置された)の鉄道会社の自動改札機320と、自動改札機の管理装置や、鉄道会社が提携する企業の情報システムとの通信を行う、鉄道会社ネットワーク330と、提携鉄道会社のネットワークや自社内のコンテンツ配信サーバとの通信を行う、各企業ネットワーク340と、鉄道会社の自動改札機にて社員等が入場した際、社員の属性に従って最適なコンテンツを自動改札機経由で入場者の携帯電話機に配信する、コンテンツ配信サーバ350と、コンテンツ配信サーバで管理を行うコンテンツ情報の更新を行うための、コンテンツ更新用情報処理端末360と、携帯電話機を定期券として利用した際に、携帯電話機ユーザの自動改札機の通過状況などを管理する、鉄道会社入退場者管理サーバ370とからなる。
【0057】
ここで、鉄道会社ネットワークと各企業のコンテンツ配信サーバを結ぶ各企業ネットワーク340は、社員証情報などの各企業独自の個人情報(秘密事項を含む)を取り扱うため、情報セキュリティの観点から、社内専用回線及びVPN(Virtual Private Network)などのセキュアな回線が望ましい。
【0058】
また、自動改札機では一時的に各企業のコンテンツ配信サーバと通信する機能及び、携帯電話機に登録されている社員証情報(各企業独自の個人情報、秘密事項を含む)を取得し各企業のコンテンツ配信サーバへ通知する機能を提供するものである。更に自動改札機は、携帯電話機に対して、各企業のコンテンツ配信サーバから提供される社員属性に応じたコンテンツ情報ファイルを送信するものである。この観点から、自動改札機のシステム内のメモリ(ROM,SDRAM,SRAMなど)には、取得した情報(社員証情報、コンテンツ情報ファイル)を処理した後ただちに消去する機能を持つことにより、情報漏えいを防止するものとする。
【0059】
携帯電話機と自動改札機の間の非接触ICカード通信方法については、一般的に周知の事項なので詳述しない。自動改札機自体のシステム構成は、前述した実施形態の社内入退場ゲート装置(図4)に相当するものとする。その他に必要なシステムもあると考えるが、本発明の説明に直接関連するものでは無いので詳述しない。
【0060】
[動作]
次に、図5と図7を参照して、本実施形態の動作を説明する。
【0061】
予め携帯電話機310の非接触ICカードには、社員証情報に加え、ある鉄道会社の定期券情報が登録されているものとする。また、予めコンテンツ配信サーバ350には、社員属性に応じた情報が登録されているものとする。
【0062】
まず、ある鉄道会社の自動改札機へ入場する為、携帯電話機310を自動改札機にかざす(手動による操作)。自動改札機の非接触ICリーダ/ライタ部と、携帯電話機の非接触ICカードは通信を確立する。自動改札機は非接触ICカードリーダ/ライタ部が非接触ICカード通信を通じて定期券情報を読み出す。鉄道会社の定期券情報を管理する装置が認証を行った上で、自動改札機にゲート開放指示することで、入場が可能となる。尚、鉄道会社の非接触ICカードを定期券として鉄道会社の自動改札機を通過する詳細な仕組みについては、周知の技術であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0063】
更に自動改札機は非接触ICカードリーダ/ライタ部が定期券情報読み出しとは別の非接触ICカード通信を通じて、社員証情報を取得する。鉄道会社入退場者管理サーバ370が、取得した社員証情報内の会社コード相当の情報を判定し、提携先企業の社員証であることを判断することにより、鉄道会社ネットワーク330と、企業ネットワーク340の通信を行う。その後、企業ネットワークがコンテンツ配信サーバ350に接続することにより、自動改札機と企業のコンテンツ配信サーバ間の通信路が確立される。
【0064】
自動改札機は取得した社員証情報(会社名、所属、役職、生年月日、性別、業務内容、などの個人情報の属性)を、コンテンツ配信サーバ350へ送信する。コンテンツ配信サーバでは取得した社員証情報から最適なコンテンツを検索し、コンテンツ情報ファイル251を生成(取得)し、自動改札機に送信する。自動改札機は入場者の携帯電話機に対して、取得したコンテンツ情報ファイルを送信する。携帯電話機は非接触ICカードを通じてコンテンツ情報ファイルを取得すると、コンテンツを表示するためのプログラムを自動的に実行することにより、コンテンツ情報ファイルのコンテンツ本体254の内容を表示する。携帯電話機はコンテンツ情報ファイルを取得した旨のメッセージを、自動改札機に送信する。
【0065】
以上により、携帯電話機を電車の定期券として利用し、かつ社員証情報も利用することにより、鉄道会社の自動改札機に入場する時点で、社員属性に対応したコンテンツを携帯電話機に表示・閲覧が可能となる。
【0066】
尚、コンテンツ配信サーバ内のコンテンツの編集は、上記実施形態と同様、サーバに接続できるコンテンツ更新用情報処理端末360から更新することができる。コンテンツ配信サーバはインターネット上のニュースサイトなどを自動検索して、サーバ内のコンテンツを更新することも可能である。
【0067】
このように本実施形態によれば、非接触ICカード搭載の携帯電話機を鉄道の定期券及び社員証として利用し、自動改札機の入退場を行う際に、自動改札機を通過する社員の属性に応じて最適なコンテンツを提供することが出来る。
【0068】
また本実施形態によれば、携帯電話機の通信によりホームページへアクセスする操作も不要であり、携帯電話機ユーザへの通信費の負担も無い。
【0069】
以上本発明を幾つかの実施形態を挙げて説明したが、本発明は以上の実施形態にのみ限定されずその他各種の付加変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
110…携帯端末装置
111…非接触ICカード
120…改札装置
121…非接触ICカードリーダ/ライタ部
122…制御部
123…キャッシュ記憶部
130…コンテンツ配信サーバ
140…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICカードに記録されている所定のデータに基づいて入出場処理する改札装置において、
非接触ICカードリーダ/ライタ部と、
前記非接触ICカードが搭載された携帯端末装置の前記非接触ICカードから前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて個人情報を読み出し、該読み出した個人情報に対応するコンテンツをネットワークを介してコンテンツ配信サーバから取得して前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて前記非接触ICカードに書き込む制御部と
を有することを特徴とする改札装置。
【請求項2】
前記個人情報は社員証情報であり、
前記コンテンツ配信サーバは、前記社員証情報により特定される社員が勤務する会社のネットワークに接続されているサーバである
ことを特徴とする請求項1に記載の改札装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記会社が予め登録された提携先会社であるか否かを判定し、提携先会社であった場合に前記会社のネットワークにアクセスしてコンテンツを取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の改札装置。
【請求項4】
受信した前記コンテンツを一時的に保存するキャッシュ記憶部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の改札装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記読み出した個人情報に対応するコンテンツが前記キャッシュ記憶部に存在すれば前記キャッシュ記憶部から該当するコンテンツを読み出し、存在しなければ前記ネットワークを介してコンテンツ配信サーバから該当するコンテンツを取得して前記キャッシュ記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項4に記載の改札装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記コンテンツの前記非接触ICカードへの書き込みに失敗した場合、前記個人情報または前記所定のデータによって特定される個人が次に入出場する可能性のある他の改札装置のキャッシュ記憶部に対して前記書き込みに失敗した前記コンテンツを転送する
ことを特徴とする請求項5に記載の改札装置。
【請求項7】
非接触ICカードリーダ/ライタ部と制御部とを有し、非接触ICカードに記録されているデータに基づいて入出場処理する改札装置が実行するコンテンツ配信方法であって、
前記制御部が、非接触ICカードが搭載された携帯端末装置の前記非接触ICカードから前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて個人情報を読み出し、該読み出した個人情報に対応するコンテンツをネットワークを介してコンテンツ配信サーバから取得して前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて前記非接触ICカードに書き込む
ことを特徴とするコンテンツ配信方法。
【請求項8】
非接触ICカードリーダ/ライタ部を有し、非接触ICカードに記録されているデータに基づいて入出場処理する改札装置を構成するコンピュータを、
非接触ICカードが搭載された携帯端末装置の前記非接触ICカードから前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて個人情報を読み出し、該読み出した個人情報に対応するコンテンツをネットワークを介してコンテンツ配信サーバから取得して前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて前記非接触ICカードに書き込む制御部
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
非接触ICカードに記録されているデータに基づいて入出場処理する複数の改札装置と、
前記複数の改札装置にネットワークを介して接続されたコンテンツ配信サーバとを有し、
前記改札装置は、
非接触ICカードリーダ/ライタ部と、
非接触ICカードが搭載された携帯端末装置の前記非接触ICカードから前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて個人情報を読み出し、該読み出した個人情報に対応するコンテンツを前記ネットワークを介して前記コンテンツ配信サーバから取得して前記非接触ICカードリーダ/ライタ部を通じて前記非接触ICカードに書き込む制御部と
を有することを特徴とするコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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