改良されたリュックサック及びリュックサック用フレーム
袋部、袋部に関して内在するフレーム、ショルダーハーネス及びヒップベルトを含むリュックサックであって;フレームには1対の離隔した可撓性ロッドを備え、該ロッドをフレームの両側に1本ずつ配置し、少なくとも袋部の両側で長さ方向に沿って下部まで延在させ;引張手段に関してその片端を前記可撓性ロッドの端部で又は該端部付近で其々可撓性ロッドと、その他端をヒップベルトについて接した部分とに間を隔てて固定し;各上記引張手段を、対応する可撓性ロッドを動かし、それにより上記ロッドを屈曲及び引張させて、上記ロッドとヒップベルトの対応する部分との間に相対的に強張って重量を伝達する連結を提供するよう構成し;上記可撓性ロッドの上記動きによりフレーム及びリュックサックが持ち上がり傾向になり、その結果ショルダーハーネスにかかる負荷が減少しベルトにかかる負荷が増加するような配置になっている。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、登山者又は徒歩旅行者用リュックサックにおける改良、及びかかるリュックサックのためのフレームに関する。
【0002】
(背景技術)
現代のリュックサックはその中に装備を運搬してもよい袋部から成り、該袋部はフレームに取付けられ、袋部又はフレームにはショルダーハーネスが固定されている。
【0003】
重い荷物を肩部からのみ支えて運搬することにより背痛を引起こす又は背部に損傷さえ与える可能性があるため、大部分の現代のリュックサックはヒップベルトも備えて、それを袋部又はフレーム、一般的には袋部底面に又は付近に連結して、一部の荷重を肩部から腰部に移動させている。
【0004】
ヒップベルトを使用することで背部にかかる負荷を軽減できるが、該ベルト自体が、歩行時の人体の動き方により、着用者に対して問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
人は歩行する際、一歩毎に前後に(図1)及び2歩毎に左右に(図2)傾く。一歩踏出すと支持側に傾くため、胴部はそちら側に縮み、踏出し側に伸びる(図3):‐これは、その人を正面から観察すると、その臀部が仮想中心線(図3に破線で示す)を中心に上下に回動する、ことを意味する。これを本明細書では“上下”運動と称する。その他、図4に示すように、その臀部は脚部と関連して動くが、胴部や腕部はそれらと反対方向に揺動し、身体は腰部を支点に回動する。図4では、肩部を通る直線をS‐S線及び臀部を通る直線をH‐H線で示す。図4で示すように、一歩毎に肩部(線S‐S)と臀部(線H‐H)との間にかなりの相関的な回転運動が存在する。これを本明細書では“捻り”運動と称する。
【0006】
また、人が屈む又は段を上るときには、背部は伸長する:‐その人が前屈みになればなる程、その背部は長くなる。かかる背部の伸長部分は曲面をなし、背部の自然な曲線に沿っている。
【0007】
上述した運動のため、ヒップベルトはリュックサックに堅く固定され、その結果リュックサックと共に動くので、着用者にとっては極めて付け心地が悪いものとなっている。これは、ヒップベルトが絶え間なく着用者に、歩行時に着用者の身体の異なる部分が相対的に運動するために、擦れるからである。ヒップベルトを緩めてこの擦れを防ぐことはできない、というのはベルトをぴたりと装着して着用者の下肢帯に荷重を伝達させて、背部にかかる荷重を軽減させる必要があるからである。添付図の図5では、概略的に、リュックサックをヒップベルトで堅く固定して着用した人が前方向に屈む場合の作用を示している;‐背部の伸長によりリュックサックが持ち上がりヒップベルトが臀部から離れてしまい、不快な圧力を下腹部の前面全体に与えている(矢印P)。
【0008】
上述した問題は、回動するヒップベルトと連結することで部分的には解決されたが、それはニュージーランド特許第201751(マックパック・ウィルダネス・エクイップメント社(Macpac Wilderness Equipment Limited))1983年7月25日付、により提供されたものである。
【0009】
しかしながら、ニュージーランド特許第201751に記載されたヒップベルトはこの問題の完全な解決策になってはいない:‐というのはヒップベルトをリュックサックに比較的細めの連結部により固定しているために、リュックサックからヒップベルトへの荷重移動が連結点に集中してしまい、ヒップベルトの剛性分しか着用者の下肢帯周りに荷重が分散しなかったからである。ヒップベルトが強張れば強張る程、荷重は移動するようになるが、一般的に、ヒップベルトが強張れば強張る程、付け心地は悪くなる。その結果、着用者の背部と臀部の間で少なくとも3方向での相対的運動を可能にさせるが、不快な硬いヒップベルトを用いずに、着用者の下肢帯周りに効果的に荷重を移動させるハーネスを提供する課題が残されていた。
【0010】
ニュージーランド特許第335931では、優れた重量移動を行なうフレーム及びヒップベルトを提供しているが、そのフレーム及びヒップベルトは双方とも嵩張り、そのため着用するには比較的重く、製造するには割高である。
【0011】
PCT出願第PCT/US97/13396では、効果的に重量移動させる課題を解決するためにも設計されたバックパックのフレームを開示している;このフレームは1対の離隔した弾力性のあるロッドと結合するエラストマー製パッドから成り、該1対のロッドはパッドの裏側に沿って張られており、バックパックのヒップベルトを締め付ける又は緩めることにより大なり小なりの程度で伸縮できる。しかしながら、弾力性のあるロッドが固定される程度、ひいてはヒップベルトへの荷重移動量は、ヒップベルトの締め付け度により左右される:‐ヒップベルトの締め付けとは関係無く荷重移動量を変化させる方法については提供していない。実際には、実質的にヒップベルトを締め付けずにヒップベルトへの荷重移動量を可変させることが多くの場合望ましい。さらに、弾力性のあるロッドの伸縮性を高くしてリュックサックの荷重を利用者の背部のより近くに引寄せる傾向があるが、必ずしも荷重の一部をショルダーハーネスから解除するわけではない。
【0012】
(発明の開示)
本発明の主な目的は、比較的軽量でそのため利用者から見てより単純で、さらにリュックサックからヒップベルトへの重量移動を効果的に且つ容易に可変させて行なえるリュックサック及びリュックサックのフレームを提供することである。
【0013】
本発明が提供するリュックサックは、袋部、袋部に関して内在するフレーム、ショルダーハーネス及びヒップベルトを備え;フレームには1対の離隔した可撓性ロッドを備え、該ロッドをフレームの両側に1本ずつ配置し、少なくとも袋部の両側で長さ方向に沿って下部まで延在させ;及び、引張手段に関してその片端を上記可撓性ロッドの端部で又は該端部付近で其々可撓性ロッドと、その他端をヒップベルトについて接した部分とに間を隔てて固定し;各上記引張手段を、対応する可撓性ロッドを動かし、それにより上記ロッドを屈曲及び引張させて、上記ロッドとヒップベルトの対応する部分との間に相対的に強張って重量を伝達する連結を提供するよう構成し;上記可撓性ロッドの上記動きによりフレーム及びリュックサックが持ち上がり傾向になり、その結果ショルダーハーネスにかかる負荷が減少しベルトにかかる負荷が増加するような配置になっている。
【0014】
(発明を実施するための最良の形態)
特に、図8を参照すると、本発明による登山者又は徒歩旅行者用リュックサック2には袋部3及びヒップベルト8を具備し、該袋部3を既知の種類(以下記述するように、羽部4を付加する他は)とし、内在するフレーム5により支持し、ハーネス6を備える。該ハーネス6には1対の詰め物をしたショルダーストラップ7を備える。ハーネス6を、以下記述する新規の機能を有するヒップベルトの他は、既知の種類のものとする。
【0015】
特に、図6及び図7を参照すると、フレーム5は1対の離隔したU字型部分10、11から構成され、該U字型部分を傾けて互いに鋭角にし、横棒12で相隔てる。各U字型部分10、11の湾曲端部を最上部に設ける。このフレームを袋部3に挿入すると、U字型部分で袋部の上部分を支持するようになる。
【0016】
各U字型部分の外脚部10a、11aを可撓性ロッド13、14に連結し、該ロッドの長手方向軸を対応する脚部の長手方向軸と一直線にする。
【0017】
内脚部10b、11bの各U字型部分を環状部分15で一体的に形成し、該環状部分で袋部の下部分を支持し、該環状部分を可撓性ロッド13、14間に存在させる。
【0018】
外脚部と内脚部10a/10b、11a/11bを、隣接するそれらの下端部で横棒10c、11cにより互いに結び付ける。
【0019】
図7に示すように、各U字型部分10、11を側面から見て曲線にし、着用者の上背部の曲線に合うようにする。環状部分15も曲線にして、着用者の下背部の形状に合うようにする。
【0020】
フレーム5を既知の方法で袋部3内部に、図8で示すように、固定する。
【0021】
袋部3を、袋部の各背面下隅部に織物製の羽部を付加する他は、既知の設計のものとする。各羽部4を略三角形の形状にして、2枚の平行な織物片を備え、それらの間に詰め物を挟む。
【0022】
図9により詳細に示すように、羽部の辺4aを袋部背面の長さ方向に沿って延在させ、袋部のフレーム5を受容する部分に向けて羽部を開け、対応する可撓性ロッド13、14を、羽部4内部で詰め物層の間に置く。
【0023】
各羽部4内側に通じる2つの平行な開口部16、17を、外縁部4c(即ち縁部4aから最も離れた)に、下縁部4bと近接して形成する。
【0024】
各開口部16を外縁部4cの最も近くに位置させ、ヒップベルト8の一端部18を受容させる;該端部18を羽部4の幅方向に通して、開口部16に近接する袋部に縫い付ける。
【0025】
各開口部17で調節ストラップ19を受容し、該調節ストラップ19を開口部17を通して延在させ、内側に入った端部を対応する可撓性ロッド13、14に該ロッドの下端部付近で固定する。各調節ストラップ19を対応する可撓性ロッド13、14に、該ロッドと一体化して形成されたリテーナ20を用いて固定する。各調節ストラップ19の外側に出ている端部21をヒップベルト8に固定されたバックル22に通す。
【0026】
明確にするために、バックル22を図9及び図10で単純な2本棒付きバックルで示したが、実際にはバックル22は既知の種類の調節バックルで、バックルを介して各ストラップ19を矢印A(図10)方向に引けるが、手動でストラップ19の位置を変えて逆動可能にするまでは逆方向には動かせない。
【0027】
上述したリュックサックは以下のように使用する:‐リュックサックを着用者の肩部に通常のように配置し、ヒップベルトを着用者の臀部周りに締める。図9で示した非引張位置において、フレーム5をヒップベルト8に羽部4及びストラップ19により取付けるが、それら全てはフレームに関して自由に撓曲及び回動できる:‐その結果、可撓的に連結されるが、比較的少ない重量がフレームからヒップベルトへ移動する。フレームからヒップベルトへ移動するリュックサックの重量の割合を高くするために、着用者は矢印A方向にストラップ19を引いて、可撓性ロッド13、14を矢印B方向に引き寄せる。調節バックル22でストラップ19を曲げて、即ち引張させた位置に留めて、可撓性ロッド13、14を斜めの線で示した(図9の14a)位置に保持する。そうすることで、フレームとヒップベルトの間がはるかに強張って結合され、その結果ヒップベルトへの重量移動が向上する。
【0028】
図11では本発明の他の実施例を示しており、羽部4を袋部3両側から省略し、その代わり袋部両側をヒップベルト8の隣接させる部分に直接向けている。この実施例では、可撓性ロッド13、14其々の端部をベルト8内に置き、調節ストラップ19aにより引張させる。調節ストラップ19aはヒップベルト8の開口部17aを通り延在し、第1実施例に関連して記載した調節ストラップ19と同じ方法で働く:同じ参照番号は第1実施例に関して記載した同じ構成要素を示す。
【0029】
本発明のリュックサックにより効率的なヒップベルトへの重量移動を提供できるが、類似の設計のものより遙かに容易に製造でき且つ軽重量である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の好適な実施例を以下の添付図を参照して詳細に記述する。
【図1】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図2】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図3】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図4】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図5】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図6】本発明によるリュックサックのフレームの平面図である。
【図7】図6のフレームの側面図である。
【図8】リュックサックに装着した本発明のフレームの輪郭を示した側面図である。
【図9】図8を拡大寸法で示した詳細図である。
【図10】図9のX‐X線に沿って拡大寸法で示した断面図である。
【図11】本発明の第2実施例による、リュックサック内に取付けたフレームの一部分の概略を示した側面図である。
【符号の説明】
【0031】
2 リュックサック
3 袋部
4 羽部
4a 辺
4b 下縁部
4c 外縁部
5 フレーム
6 ハーネス
7 ショルダストラップ
8 ヒップベルト
10、11 U字型部分
10a、11a 外脚部
10b、11b 内脚部
12 横棒
13、14 可撓性ロッド
15 環状部分
16、17 開口部
18 端部
19 調節ストラップ
20 リテーナ
22 バックル
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、登山者又は徒歩旅行者用リュックサックにおける改良、及びかかるリュックサックのためのフレームに関する。
【0002】
(背景技術)
現代のリュックサックはその中に装備を運搬してもよい袋部から成り、該袋部はフレームに取付けられ、袋部又はフレームにはショルダーハーネスが固定されている。
【0003】
重い荷物を肩部からのみ支えて運搬することにより背痛を引起こす又は背部に損傷さえ与える可能性があるため、大部分の現代のリュックサックはヒップベルトも備えて、それを袋部又はフレーム、一般的には袋部底面に又は付近に連結して、一部の荷重を肩部から腰部に移動させている。
【0004】
ヒップベルトを使用することで背部にかかる負荷を軽減できるが、該ベルト自体が、歩行時の人体の動き方により、着用者に対して問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
人は歩行する際、一歩毎に前後に(図1)及び2歩毎に左右に(図2)傾く。一歩踏出すと支持側に傾くため、胴部はそちら側に縮み、踏出し側に伸びる(図3):‐これは、その人を正面から観察すると、その臀部が仮想中心線(図3に破線で示す)を中心に上下に回動する、ことを意味する。これを本明細書では“上下”運動と称する。その他、図4に示すように、その臀部は脚部と関連して動くが、胴部や腕部はそれらと反対方向に揺動し、身体は腰部を支点に回動する。図4では、肩部を通る直線をS‐S線及び臀部を通る直線をH‐H線で示す。図4で示すように、一歩毎に肩部(線S‐S)と臀部(線H‐H)との間にかなりの相関的な回転運動が存在する。これを本明細書では“捻り”運動と称する。
【0006】
また、人が屈む又は段を上るときには、背部は伸長する:‐その人が前屈みになればなる程、その背部は長くなる。かかる背部の伸長部分は曲面をなし、背部の自然な曲線に沿っている。
【0007】
上述した運動のため、ヒップベルトはリュックサックに堅く固定され、その結果リュックサックと共に動くので、着用者にとっては極めて付け心地が悪いものとなっている。これは、ヒップベルトが絶え間なく着用者に、歩行時に着用者の身体の異なる部分が相対的に運動するために、擦れるからである。ヒップベルトを緩めてこの擦れを防ぐことはできない、というのはベルトをぴたりと装着して着用者の下肢帯に荷重を伝達させて、背部にかかる荷重を軽減させる必要があるからである。添付図の図5では、概略的に、リュックサックをヒップベルトで堅く固定して着用した人が前方向に屈む場合の作用を示している;‐背部の伸長によりリュックサックが持ち上がりヒップベルトが臀部から離れてしまい、不快な圧力を下腹部の前面全体に与えている(矢印P)。
【0008】
上述した問題は、回動するヒップベルトと連結することで部分的には解決されたが、それはニュージーランド特許第201751(マックパック・ウィルダネス・エクイップメント社(Macpac Wilderness Equipment Limited))1983年7月25日付、により提供されたものである。
【0009】
しかしながら、ニュージーランド特許第201751に記載されたヒップベルトはこの問題の完全な解決策になってはいない:‐というのはヒップベルトをリュックサックに比較的細めの連結部により固定しているために、リュックサックからヒップベルトへの荷重移動が連結点に集中してしまい、ヒップベルトの剛性分しか着用者の下肢帯周りに荷重が分散しなかったからである。ヒップベルトが強張れば強張る程、荷重は移動するようになるが、一般的に、ヒップベルトが強張れば強張る程、付け心地は悪くなる。その結果、着用者の背部と臀部の間で少なくとも3方向での相対的運動を可能にさせるが、不快な硬いヒップベルトを用いずに、着用者の下肢帯周りに効果的に荷重を移動させるハーネスを提供する課題が残されていた。
【0010】
ニュージーランド特許第335931では、優れた重量移動を行なうフレーム及びヒップベルトを提供しているが、そのフレーム及びヒップベルトは双方とも嵩張り、そのため着用するには比較的重く、製造するには割高である。
【0011】
PCT出願第PCT/US97/13396では、効果的に重量移動させる課題を解決するためにも設計されたバックパックのフレームを開示している;このフレームは1対の離隔した弾力性のあるロッドと結合するエラストマー製パッドから成り、該1対のロッドはパッドの裏側に沿って張られており、バックパックのヒップベルトを締め付ける又は緩めることにより大なり小なりの程度で伸縮できる。しかしながら、弾力性のあるロッドが固定される程度、ひいてはヒップベルトへの荷重移動量は、ヒップベルトの締め付け度により左右される:‐ヒップベルトの締め付けとは関係無く荷重移動量を変化させる方法については提供していない。実際には、実質的にヒップベルトを締め付けずにヒップベルトへの荷重移動量を可変させることが多くの場合望ましい。さらに、弾力性のあるロッドの伸縮性を高くしてリュックサックの荷重を利用者の背部のより近くに引寄せる傾向があるが、必ずしも荷重の一部をショルダーハーネスから解除するわけではない。
【0012】
(発明の開示)
本発明の主な目的は、比較的軽量でそのため利用者から見てより単純で、さらにリュックサックからヒップベルトへの重量移動を効果的に且つ容易に可変させて行なえるリュックサック及びリュックサックのフレームを提供することである。
【0013】
本発明が提供するリュックサックは、袋部、袋部に関して内在するフレーム、ショルダーハーネス及びヒップベルトを備え;フレームには1対の離隔した可撓性ロッドを備え、該ロッドをフレームの両側に1本ずつ配置し、少なくとも袋部の両側で長さ方向に沿って下部まで延在させ;及び、引張手段に関してその片端を上記可撓性ロッドの端部で又は該端部付近で其々可撓性ロッドと、その他端をヒップベルトについて接した部分とに間を隔てて固定し;各上記引張手段を、対応する可撓性ロッドを動かし、それにより上記ロッドを屈曲及び引張させて、上記ロッドとヒップベルトの対応する部分との間に相対的に強張って重量を伝達する連結を提供するよう構成し;上記可撓性ロッドの上記動きによりフレーム及びリュックサックが持ち上がり傾向になり、その結果ショルダーハーネスにかかる負荷が減少しベルトにかかる負荷が増加するような配置になっている。
【0014】
(発明を実施するための最良の形態)
特に、図8を参照すると、本発明による登山者又は徒歩旅行者用リュックサック2には袋部3及びヒップベルト8を具備し、該袋部3を既知の種類(以下記述するように、羽部4を付加する他は)とし、内在するフレーム5により支持し、ハーネス6を備える。該ハーネス6には1対の詰め物をしたショルダーストラップ7を備える。ハーネス6を、以下記述する新規の機能を有するヒップベルトの他は、既知の種類のものとする。
【0015】
特に、図6及び図7を参照すると、フレーム5は1対の離隔したU字型部分10、11から構成され、該U字型部分を傾けて互いに鋭角にし、横棒12で相隔てる。各U字型部分10、11の湾曲端部を最上部に設ける。このフレームを袋部3に挿入すると、U字型部分で袋部の上部分を支持するようになる。
【0016】
各U字型部分の外脚部10a、11aを可撓性ロッド13、14に連結し、該ロッドの長手方向軸を対応する脚部の長手方向軸と一直線にする。
【0017】
内脚部10b、11bの各U字型部分を環状部分15で一体的に形成し、該環状部分で袋部の下部分を支持し、該環状部分を可撓性ロッド13、14間に存在させる。
【0018】
外脚部と内脚部10a/10b、11a/11bを、隣接するそれらの下端部で横棒10c、11cにより互いに結び付ける。
【0019】
図7に示すように、各U字型部分10、11を側面から見て曲線にし、着用者の上背部の曲線に合うようにする。環状部分15も曲線にして、着用者の下背部の形状に合うようにする。
【0020】
フレーム5を既知の方法で袋部3内部に、図8で示すように、固定する。
【0021】
袋部3を、袋部の各背面下隅部に織物製の羽部を付加する他は、既知の設計のものとする。各羽部4を略三角形の形状にして、2枚の平行な織物片を備え、それらの間に詰め物を挟む。
【0022】
図9により詳細に示すように、羽部の辺4aを袋部背面の長さ方向に沿って延在させ、袋部のフレーム5を受容する部分に向けて羽部を開け、対応する可撓性ロッド13、14を、羽部4内部で詰め物層の間に置く。
【0023】
各羽部4内側に通じる2つの平行な開口部16、17を、外縁部4c(即ち縁部4aから最も離れた)に、下縁部4bと近接して形成する。
【0024】
各開口部16を外縁部4cの最も近くに位置させ、ヒップベルト8の一端部18を受容させる;該端部18を羽部4の幅方向に通して、開口部16に近接する袋部に縫い付ける。
【0025】
各開口部17で調節ストラップ19を受容し、該調節ストラップ19を開口部17を通して延在させ、内側に入った端部を対応する可撓性ロッド13、14に該ロッドの下端部付近で固定する。各調節ストラップ19を対応する可撓性ロッド13、14に、該ロッドと一体化して形成されたリテーナ20を用いて固定する。各調節ストラップ19の外側に出ている端部21をヒップベルト8に固定されたバックル22に通す。
【0026】
明確にするために、バックル22を図9及び図10で単純な2本棒付きバックルで示したが、実際にはバックル22は既知の種類の調節バックルで、バックルを介して各ストラップ19を矢印A(図10)方向に引けるが、手動でストラップ19の位置を変えて逆動可能にするまでは逆方向には動かせない。
【0027】
上述したリュックサックは以下のように使用する:‐リュックサックを着用者の肩部に通常のように配置し、ヒップベルトを着用者の臀部周りに締める。図9で示した非引張位置において、フレーム5をヒップベルト8に羽部4及びストラップ19により取付けるが、それら全てはフレームに関して自由に撓曲及び回動できる:‐その結果、可撓的に連結されるが、比較的少ない重量がフレームからヒップベルトへ移動する。フレームからヒップベルトへ移動するリュックサックの重量の割合を高くするために、着用者は矢印A方向にストラップ19を引いて、可撓性ロッド13、14を矢印B方向に引き寄せる。調節バックル22でストラップ19を曲げて、即ち引張させた位置に留めて、可撓性ロッド13、14を斜めの線で示した(図9の14a)位置に保持する。そうすることで、フレームとヒップベルトの間がはるかに強張って結合され、その結果ヒップベルトへの重量移動が向上する。
【0028】
図11では本発明の他の実施例を示しており、羽部4を袋部3両側から省略し、その代わり袋部両側をヒップベルト8の隣接させる部分に直接向けている。この実施例では、可撓性ロッド13、14其々の端部をベルト8内に置き、調節ストラップ19aにより引張させる。調節ストラップ19aはヒップベルト8の開口部17aを通り延在し、第1実施例に関連して記載した調節ストラップ19と同じ方法で働く:同じ参照番号は第1実施例に関して記載した同じ構成要素を示す。
【0029】
本発明のリュックサックにより効率的なヒップベルトへの重量移動を提供できるが、類似の設計のものより遙かに容易に製造でき且つ軽重量である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の好適な実施例を以下の添付図を参照して詳細に記述する。
【図1】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図2】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図3】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図4】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図5】歩行時の人体の動きを示した図である。
【図6】本発明によるリュックサックのフレームの平面図である。
【図7】図6のフレームの側面図である。
【図8】リュックサックに装着した本発明のフレームの輪郭を示した側面図である。
【図9】図8を拡大寸法で示した詳細図である。
【図10】図9のX‐X線に沿って拡大寸法で示した断面図である。
【図11】本発明の第2実施例による、リュックサック内に取付けたフレームの一部分の概略を示した側面図である。
【符号の説明】
【0031】
2 リュックサック
3 袋部
4 羽部
4a 辺
4b 下縁部
4c 外縁部
5 フレーム
6 ハーネス
7 ショルダストラップ
8 ヒップベルト
10、11 U字型部分
10a、11a 外脚部
10b、11b 内脚部
12 横棒
13、14 可撓性ロッド
15 環状部分
16、17 開口部
18 端部
19 調節ストラップ
20 リテーナ
22 バックル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋部、袋部に関して内在するフレーム、ショルダーハーネス及びヒップベルトを備えるリュックサックであって;
フレームには1対の離隔した可撓性ロッドを備え、該ロッドをフレームの両側に1本ずつ配置し、少なくとも袋部の両側で長さ方向に沿って下部まで延在させること;
及び、引張手段に関してその片端を前記可撓性ロッドの端部で又は該端部付近で其々可撓性ロッドと、その他端をヒップベルトについて接した部分とに間を隔てて固定し;各前記引張手段を、対応する可撓性ロッドを動かし、それにより前記ロッドを屈曲及び引張させて、前記ロッドとヒップベルトの対応する部分との間に相対的に強張って重量を伝達する連結を提供するよう構成し;前記可撓性ロッドの前記動きによりフレーム及びリュックサックが持ち上がり傾向になり、その結果ショルダーハーネスにかかる負荷が減少し、ベルトにかかる負荷が増加するような配置になっていること、を特徴とするリュックサック。
【請求項2】
前記フレームはロッド又は棒から成る骨格フレームであること、を特徴とする請求項1に記載のリュックサック。
【請求項3】
前記フレームは1対の離隔したU字型部分から成り、該U字型部分は傾いて互いに鋭角を成し、1又は複数本の横棒で一緒に固定され、そして隔てられており、前記U字型部分の内脚部は環状部分により一緒に固定され、各U字型部分の外脚部は前記可撓性ロッドの1本に固定されること、を特徴とする請求項1及び2に記載のリュックサック。
【請求項4】
各引張手段は、対応する可撓性ロッドの端部で又は付近で固定されたストラップを備え、前記ストラップの他端部は調節バックルを通して延在すること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のリュックサック。
【請求項5】
各可撓性ロッドの端部は袋部の下側部分に形成された羽部内に存在すること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のリュックサック。
【請求項6】
各可撓性ロッドの端部はヒップベルト内に存在すること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のリュックサック。
【請求項1】
袋部、袋部に関して内在するフレーム、ショルダーハーネス及びヒップベルトを備えるリュックサックであって;
フレームには1対の離隔した可撓性ロッドを備え、該ロッドをフレームの両側に1本ずつ配置し、少なくとも袋部の両側で長さ方向に沿って下部まで延在させること;
及び、引張手段に関してその片端を前記可撓性ロッドの端部で又は該端部付近で其々可撓性ロッドと、その他端をヒップベルトについて接した部分とに間を隔てて固定し;各前記引張手段を、対応する可撓性ロッドを動かし、それにより前記ロッドを屈曲及び引張させて、前記ロッドとヒップベルトの対応する部分との間に相対的に強張って重量を伝達する連結を提供するよう構成し;前記可撓性ロッドの前記動きによりフレーム及びリュックサックが持ち上がり傾向になり、その結果ショルダーハーネスにかかる負荷が減少し、ベルトにかかる負荷が増加するような配置になっていること、を特徴とするリュックサック。
【請求項2】
前記フレームはロッド又は棒から成る骨格フレームであること、を特徴とする請求項1に記載のリュックサック。
【請求項3】
前記フレームは1対の離隔したU字型部分から成り、該U字型部分は傾いて互いに鋭角を成し、1又は複数本の横棒で一緒に固定され、そして隔てられており、前記U字型部分の内脚部は環状部分により一緒に固定され、各U字型部分の外脚部は前記可撓性ロッドの1本に固定されること、を特徴とする請求項1及び2に記載のリュックサック。
【請求項4】
各引張手段は、対応する可撓性ロッドの端部で又は付近で固定されたストラップを備え、前記ストラップの他端部は調節バックルを通して延在すること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のリュックサック。
【請求項5】
各可撓性ロッドの端部は袋部の下側部分に形成された羽部内に存在すること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のリュックサック。
【請求項6】
各可撓性ロッドの端部はヒップベルト内に存在すること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のリュックサック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−521097(P2007−521097A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520135(P2006−520135)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/NZ2004/000151
【国際公開番号】WO2005/004668
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(505421548)マックパック ウィルダネス イクウィップメント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/NZ2004/000151
【国際公開番号】WO2005/004668
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(505421548)マックパック ウィルダネス イクウィップメント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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