説明

改良された供給スペーサーをもつ螺旋状に巻かれた部材

【課題】供給スペーサーを内包する螺旋状に巻かれた部材において、低圧力損失で、経済的な供給スペーサーを提供する。
【解決手段】透過物を受け入れるための複数の開口部をその長さ方向に沿ってもつ中央収集チューブ;該チューブから外側方向に伸びていてその周りに巻かれている少なくとも1個のろ過外囲体;該収集チューブの周りに巻かれた少なくとも1枚の供給スペーサーシート;をもち、該供給スペーサーが実質上平行なフィラメントの第一セットとそれと交差している実質上平行なフィラメントの第二セットからなり、それにより70°より小さい鋭角をもつ複数の平行四辺形を形成しているネットであり、そして該ネットが該鋭角を2分する線が中央収集チューブの軸とほぼ平行であるように配向しており、且つ該ネットが1.3より大きいストランド薄化パラメーターをもつ改良された螺旋状に巻かれた部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良された供給スペーサー、該供給スペーサーをもつ螺旋状に巻かれた部材(エレメント)及びその製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力駆動膜分離法は広範な中性及びイオン性種を流体から除去することを可能にする。細孔サイズが小さくなるにつれ、膜は通常いくつかの種類、即ちミクロろ過(MF;マイクロフィルトレーション)、限外ろ過(UF;ウルトラフィルトレーション)、ナノろ過(NF;ナノフィルトレーション)及び逆浸透(RO;リバースオスモシス)に分類される。ミクロろ過は0.1ミクロンより大きい粒子サイズをもつ懸濁粒子を除去するのに用いられる。限外ろ過は通常5,000ダルトンより大きな分子量をもつ溶解分子を取り除く。ナノろ過膜は少なくともいくつかの塩を通すが、約200ダルトンより大きな分子量をもつ有機化合物の滞留時間は通常長くなる。逆浸透膜は大抵全ての種に対して長い滞留時間をもつ。
【0003】
膜を特徴づける別法はそれらの製造法によるものである。MF及びUF膜は種々の技術でつくることができ、実用されている主な方法はエッチング、シンタリング、伸長による部分破壊、及び相転移が含まれる。NF及びRO膜は一般的に相転移重合又は界面重合によって作られる。界面重合は多孔質担体に付随する高い選択性を有する非常に薄い差別化された層をもつ組成物構造を生じさせ、それがとりもなおさずNF及びRO膜を作り出すための支配的な手順となる。界面重合は、ここでは参照として取り込まれている特許文献1に記載されているように広範囲のモノマーで実施することができる。
【0004】
NF及びRO膜は海水又は塩水の脱塩、純水の製造、脱色、廃水処理、及び食品製品の液体濃縮のような用途に最も一般的に使用される。大抵全てのNF及びRO用途における限界因子は膜が高フラックス(流束)を維持する一方で小さな溶質分子を通さないことである。
【0005】
螺旋状に巻かれた部材はNF及びRO膜の最も一般的な形態である。古典的な螺旋状に巻かれた部材のデザインは図1に示される。“供給”液体は供給スペーサーシートを通って軸方向に流れ、反対側の末端から“濃縮物”として出る。“透過物”は加圧下で膜外囲体を通って流れそして透過物キャリアシートによって透過物収集チューブに向けられる。別の形態(ホローファイバー、円板枠、及び管束)と比較して、螺旋状に巻かれた部材はしばしば低コスト、低局在化、及び部材を横切るときの低圧力損失の好ましい組み合わせをもっている。
【0006】
部材の性能は最適な部材設計でさらに高めることができる。例えば、効率を最適化するために、部材の外囲体の数とその長さを同時に変えることが可能である。同じ部材径の場合、部材の外囲体の数を増やすと、外囲体が多くなるほど不活性な末端領域が多くなるので不活性な領域を生ずることになる。しかしながら、外囲体の長さ(収集チューブ軸と垂直方向で測定したとき)を増すと、より長い透過物キャリアシート内の圧力損失を大きくしそしてこれが又操作過程での部材流れを減少させることになる。(透過物キャリアシート内の圧力損失が大きくなると膜の単位面積当たりのフラックス流れを少なくさせる。)与えられたセット条件の場合、外囲体の長さと膜外囲体の数との間の最適調整は流れを最大にするためになされる。同じ調製はまた外囲体の数を多くして個々の外囲体の長さを短くする部材デザインのために最大化される溶質の遮断にインパクトを与える。期待される操作条件、要求される部材径、膜外囲体の活性巾及び部材材料(供給スペーサー、透過物キャリア、及び膜)の厚みを含むいくつかのパラメーターを仮定すると、流れと遮断間の調整は予測し最適化することができる。
【0007】
螺旋状に巻かれた部材は操作上通常円筒形圧力容器内に置かれる。例外はあるが、それらを収める螺旋状に巻かれた部材及び容器のメーカーでは二三の標準寸法に集中する。50mm、60mm、100mm及び200mmの直径がRO/NF部材の場合最も一般的である。60mm径をもつ部材は通常わずかに伸長した透過物収集チューブの末端から軸方向に沿って測定された長さがおおよそ350mm、530mm、又は1mとして利用できる。100mm又は200mm径の部材は通常1m長さのみ利用できる。容器はこれらの部材を連続して多数保持するように作られる。これらが標準部材長さである一つの理由は工業的には膜をおおよそ1mの巾で且つこの膜を効率的に使用するために上述の長さで通常製造してきたことによる。透過物キャリア及び供給スペーサーシートはまたm巾のロールから効率的に裁断することができる。螺旋状に巻かれた部材の軸方向寸法を1mの整数倍に指定することは個々の膜外囲体の長さを材料によって拘束されないようにしている。
【0008】
商業的なRO及びNF用途においては、大型ろ過システムは10,000個以上の部材から構成され、通常それぞれ4−7個の部材を含む圧力容器内に分配されている。圧力容器は加圧した供給溶液を挿入する部分と濃縮物及び透過溶液を排出する部分をもっている。供給物は直列に並ぶ部材のそれぞれを通って軸方向に流れる。別の部材の透過物収集チューブを接続することによって、その効果は容器中で一つの長い部材を作り出すことである。各圧力容器はさらに他の容器と直列又は並列に接続されて、ろ過システムを作る。ろ過システムは濃縮物が再圧縮され容器を数回通過することを可能にする再循環又は溶液が系のどの部分においても1回しか通過しない‘ワンパスモード’で操作される。大きなワンパスろ過システムは典型的にはいくつかの上流側容器からの濃縮物が下流側容器の少数を流れる傾斜デザインで配列されている。そのようなシステムは高横断速度で高い回収率を達成するのであるが、それらはまた長い連続流路及び大きな圧力損失があることが特徴である。システムデザインはさらにブースターポンプ、透過物圧縮機、及びカスケード段を含む種々の他のオプションを取り込むことによって複雑化される。適切なシステムデザインは所望の回収率及び透過物性能を達成させるが、多くの利用できるオプションは非特許文献1に記載されそして説明されている。
【0009】
RO又はNF用の螺旋状に巻かれた部材の分離効率は膜を横切る圧力勾配と濃度勾配によって決まる。溶媒(多くの場合水)のフラックス(膜単位面積当たりの体積流量)は一般的に全体の駆動圧力に比例する。全体の駆動圧力は供給物と透過物の作動圧力の差−膜を横切る逆浸透圧差分として定義される。溶媒フラックスは高溶質濃度及び低膜透過圧力の場合に低下する。これに対して、溶質分子は通常拡散によってRO及びNF膜を透過しそしてこのプロセスは理想的には濃度勾配によって駆動されそして実質上圧力勾配によっては影響を受けない。その結果、透過物中で適切に遮断された溶質の濃度は全体の駆動圧力に反比例する。
【0010】
部材の全駆動圧力は螺旋状に巻かれた部材の流体の入り口端と出口端間の圧力損失によって影響を受ける。操作において、加圧下の供給用液は螺旋状に巻かれた部材の流体入り口端に供給されそして円筒形部材を通して軸方向に流れる。生ずる圧力損失は部材を流れる供給物の体積とこの流れに対する供給スペーサーシートの抵抗に依存する。この圧力損失は全駆動圧力より小さい(通常非常に少ない)。1m長さのRO/NF部材を横切る典型的な圧力損失は供給物が水路中で15cm/秒の線速度をもつとき25kPaである。
【0011】
標準的な35m (380ft )の膜を装備した商業用の商標名フィルムテック200mm(8in)径部材の場合、15cm/秒は200m/日の供給溶液量に対応する。圧力損失はおおよそ流速に比例する。
【0012】
容器中のような直列の部材においては、第一の部材は下流端における部材よりも高い全駆動圧力で操作されるので不均一なフラックス分布を生ずる。差異の一因は供給濃度が連続する部材中で増加し逆浸透圧を大きくするという事実である。この効果は圧力損失によって部材の連続の下流で増大する(時々は低下する)。この均一でない膜の利用度には幾つかの問題点がある。先端部材の場合、高流速はファウリングやスカーリングによって実質上部材の寿命を短くする。高流速は又濃度局在化を促進しそして局在化は膜の遮断効率を低下させる。末端部材における低流速もまた、生産性の低下ばかりでなく、低流速は透過物中の高溶質濃度を意味するので好ましくない。
【0013】
圧力損失はより高い全体圧力を必要とし、より大きいエネルギー入力を必要としそしてより高コストの装置(ポンプ、パイプ、容器、等々)を必要とする。圧力損失を少なくするために供給溶液を2方向に振り分けるための中間部分をもった容器も製造されている。別法として、この問題は容器間のブースターポンプの使用又は先頭部材の透過物の圧縮に向けることもできる。いずれの場合も、これらの改善手段は非常に複雑でコストもかかる。
【0014】
理想的には、圧力損失の問題は供給スペーサーシート源に向けられる。不幸なことに、最適な供給スペーサーシートの選択は、供給スペーサーシートの鍵がその構造から予測することが困難なので、煩雑な仕事となる。部材を通るときの圧力損失を少なく維持するように供給流れ抵抗を少なくすることに加えて、理想的な供給スペーサーは他の特徴ももっている。供給スペーサーの主目的は2枚の膜シートを分離し、供給溶液をその前面を通るように流すことである。その末端に対して、理想的な供給スペーサー(また“スペーサー”、“ネット”又は“スペーサーシート”とも呼ばれる)は膜外囲体の折れ曲がりを避けるように膜との接触点を高密度にしてある。折れ曲がりは近傍の外囲体の接触点が2枚の外囲体の回転や変形の間にずれを起こすときにスペーサーの有効体積を減少させる。理想的には、スペーサーは与えられた直径の部材中に装てんできる膜面積量を大きく低下させないように薄くすることである;それは膜面での溶質の局在化を少なくするように実質上の混合を増大させる;それは接触する膜の識別層を損傷しないように滑らかな表面をもっている;そしてもちろんそれはまた製造や使用で安価であることである。
【0015】
最適な供給スペーサーのデザインは競合する事柄をバランスさせることである。例えば、スペーサーの厚みを増加させると圧力損失は少なくなるが部材の活性膜面積を最大化する要望と矛盾する。別の重要な矛盾は部材内の濃度局在化を減少させたいという願望から起こる。濃度局在化はバルク中よりも膜表面で溶質がより高濃度になる現象である。それは膜の選択性によって起こる。操作過程で、供給溶液中の溶質は供給液の対流移動によって膜表面に連続的に移動する。混合がないと、遮断された溶質は拡散によって表面から除去されなければならない。軸方向流れでの競争的質量移動プロセスの組み合わせは膜面の溶質濃度を流路の下流側で増加させる。その効果は特に大きな溶質分子、高透過物フラックス及び軸方向での低供給速度の場合に重要である。膜表面の濃度増加は水の透過の減少(逆浸透圧、スケーリング、ゲル生成又はファウリングにより起こる)及び溶質分子の透過の増大(有効濃度の増大による)の両方を引き起こす。供給スペーサーの一つの目的は局部的な乱流領域を作り出し、局在化の形成を壊すことである。不幸にも、膜表面での混合に必要なエネルギーは部材を通してエネルギー消滅(圧力を損失)に寄与してしまう。
【0016】
さらに圧力損失に関しては、供給スペーサーの二つのキーとなる重要な特徴はその厚み(流路の高さ)とその空隙率である。スペーサーを流れる液体の体積が一定に保たれるときは、どちらの性質も一般に圧力損失を減少させる。流れ方向に沿って配列されている“ネットタイプ”のスペーサーの圧力損失は、図2に示されるように、非特許文献2に特徴付けられており、そこでの式では幾つかの幾何学的性質:厚み、空隙率、メッシュサイズ、フィラメント径、及びフィラメント間の角度への依存性が認められる。これらのパラメーター間には相関関係が認められそして一定の空隙率に対して、メッシュサイズと水力学的角度を調整することの重要性を強調している。(水力学的角度はここでは流路軸に対面する2本のフィラメント間で形成される角度として定義される。)流量、厚み、空隙率が一定に保たれるとき、水力学的角度の減少は流路の下流で圧力損失を小さくする。同時に小さな水力学的角度(同じ空隙率において)はメッシュサイズを大きくしそして物質移動係数のパラメーターである混合を著しく減少させる。
【0017】
スペーサー内の物質移動と圧力損失は一次理論から計算するにはなお複雑すぎるが、最適な供給スペーサーの形状を評価するためにいくつかの試みが解析的に又は経験的な研究によってなされてきた。2本のフィラメントが横切る角度と供給流れに対するそれらの向きは文献で注意が払われてきたように二つの関連領域で、共に圧力損失と局在化に影響を与える。
【0018】
非特許文献3においては、異なった向きの供給スペーサーシートが限外ろ過膜でのデキストリンのろ過で試験された。その研究では幾つかの市販の供給スペーサーを使用したが、流路内のそれらの向きを変えたり又は空隙率を増加させるために直交するストランドを取り除いたりして別の形状のものを得た。最低操作コストは80°の水力学的角度をもつ供給スペーサーで得られた。非特許文献2の第二の研究では幾何学的性質に従ったこれらのスペーサーをより完全に特徴づけそして別のエネルギー消滅源を説明する圧力損失のための半−経験的モデルを発展させた。圧力損失と物質移動との間の調整は詳細化されそしてそのモデルは最適ネット形状を予測するために使用された。予測は前の実験結果を確認するものであったが、しかしまた異なった流れ条件下での限外ろ過のための最適な角度と空隙率の範囲を見出した。低横断流れ速度では、ネットタイプのスペーサーは低空隙率(0.4)と50°から120°の間の水力学的角度を組み合わせるべきであることを結論付けた。非特許文献4の第三の研究では、流れと垂直に位置したフィラメントのサイズと位置は物質移動に特に重要であることが見出された。試験条件下では、UF部材は直交するフィラメントから構成されているスペーサーが、フィラメントの一組が流れ方向に垂直であるとき、フィラメントの両方が流路軸に45°で配列されている場合と較べて良好な混合となり、より多くの流量を与えると結論された。
【0019】
非特許文献5においては、供給スペーサーの別のセットが逆浸透組成膜を通す塩化ナトリウムのろ過について試験された。著者はフィラメントと供給流れ方向間の角度に依存する局在化モデルを導入した。フィラメント間の領域は発達する乱流に対応しそしてフィラメントによる膜の周期的な詰まりは局在化減衰領域を産み出すと仮定した。市販のRO部材で使用されるものと同様の2個を含む、異なったスペーサーの試験に基づいて、彼等は最良の形状は流れ方向に対して63.5°のフィラメント角度もつことを見出した。この横断角度は前に定義された水力学的角度の127°と等価である。
【0020】
非特許文献6では、著者はグリッドロッドの2層を異なった角度で充填して形成した複葉スペーサーを通して流す試験を行った。流れ観察技術を使用して、彼等は流れ形式の二つの末端を特徴づけそしてそれらを2個のパラメーター:横断角と無次元メッシュサイズで記述した。(無次元メッシュサイズはフィラメント直径で割ったメッシュサイズとして定義される。)流路流れは角度が小さくそしてメッシュサイズが短いときに混合が不十分となることが見出された。‘螺旋状流れ’は他の末端で支配的になりそして隣り合う流路間で物質移動を不十分にする。著者は二つの領域が膜表面の均一な使用をもたらす“完全混合”を可能にする角度と無次元波長を適切に選択することによって重なることを提案した。この混合基準に基づく好ましいスペーサーは120°の水力学的角度と5.5の無次元メッシュサイズをもつ。
【0021】
トーレ社の特許文献2は30°から80°の間の水力学的角度を生ずる二組の重なったフィラメントを交差させることによって形成されるウェブから組み立てられた部材を記載している。使われている例は66°の水力学的角度、0.7mmのネット厚み、そして2.7mmのストランド間の交差空隙で作られたネットタイプのスペーサーに基づいている。水が25℃で15cm/秒でネットを透過するとき、46kPa/mの圧力勾配を生じた。トーレ社の特許文献3は同じサンプルを使用しそして流速が15cm/秒のとき10から20kPaの圧力損失そして流速が25cm/秒のとき30−40kPaの圧力損失をもつ部材を記載している。
【0022】
トーレ社の特許文献4はより高い水力学的角度をもつスペーサーに向けられている。部材は58°から90°の間の水力学的角度を一組の交差フィラメントを使用して形成されている。66°での実施例は特許文献2に記載されているものと同様と思われ、25℃、15cm/秒で操作されるとき46kPa/mの圧力勾配を生ずる。この開示はまた57.4°から75.0°の水力学的角度をもつネットから作られた同じ様な部材の操作データを紹介している。測定された圧力損失に差異はないが、57.4°の水力学的角度の理想範囲から外側に外れた部材は少ない塩遮断と少ないフラックスを示した。
【0023】
日東電工の特許文献5は流れ方向に平行なフィラメントの一組と80°より小さい角度で流れ方向と交差するフィラメントの他の一組をもつネットを使用して組み立てた部材を記載している。より好ましくは、この角度は20°から50°の間である。用意された実施例は25°か40°の交差角度をもつ0.35mm厚みのネットを使用している。二者のスペーサーのうち良好な方は流速15cm/秒に対して76kPa/mの圧力損失を示した。記載されたスペーサーは不均斉であるという特定の欠点をもっていたため、2枚の外囲膜シートがそれぞれ異なった水力学的環境を示すことになる。また、特許文献4に指摘されているように、このスペーサーはこれまでのものに比較して進化したネット製造技術を必要とする。
【0024】
市販のNF及びRO部材の供給スペーサーは幾つかの文献で特徴付けられてきた(例えば非特許文献7;非特許文献8)。これらは一般に平均厚み0.5から2mm、フィラメント間の交差空間1から4mm、空隙率0.9付近、そして水力学的角度90°をもつネットタイプの供給スペーサーで作られている。ネットは流れ方向がこの角度を2分し、交差角度45°となるように配向されている。非特許文献6では、90°以外の幾つかの水力学的角度を使用して、充填したグリッドロッドからスペーサー部を組み立てることによる異なった形状が研究された。Da Costaの文献(非特許文献2−4)においては、種々の異なった形状をもったネットを通過する流れがネットを回転させたり修飾したりして試験された。トーレ社の特許出願(特許文献3、4)は種々の水力学的角度をもつウェブを使用した。幾つかの特許(特許文献6、特許文献7、特許文献8)はまた流れ方向に平行に配列された一組のフィラメントをもつ低圧力損失、非対称ネットを記載している。これらの研究にも拘らず、RO/NF部材のためのネットの商業的な製造ではいまなお伝統的なそして経済的なプロセス的な事情による制限から、標準の90°ネットそして45°交差角のものが支配的である。
【0025】
NF及びRO部材の供給スペーサーは通常特許文献9に記載されたものと同様な方法によって製造される。この方法はチューブ状の複葉ネットを形成するために二組のフィラメントを同時に押し出すことから始まる。この方法では、円形パターンに配列された多数のオリフィスをもつ2個の同心円ダイが使用される。1個のダイはもう一方に対して押し出し過程で一組のフィラメントをもう一方のフィラメントと直交させるように回転する。加熱されたポリマーフィラメントはまだ柔らかいうちに、ダイ表面上で又はダイを出たすぐ後でお互いに接触して結合する。生じたチューブ状ネットは部分的に融合したフィラメントの二組を含み、それから引かれそして膨張用マンドレル(心棒)上で拡げられる。これはさらに二組のフィラメントをまとめ、最終用途要求を満足させるためにチューブ径を増大させ、単位面積当たりのネットの重量とコストを減少させる。
【0026】
別法としては、チューブ状ネットは特許文献10に記載されているのと同様な方法によって部材用に製造されてきた。その場合、第一のダイはポリマーフィラメントを、上記のように円形に配列された複数の開口部を通して再び押し出す。しかしながら、この方法では、第二のダイはフィラメント全体を一度に押し出すために周期的に開き、フィラメントは連続的な円形となる。押し出しプロセスは円形のフィラメントを他のフィラメントと接触させ、そこではそれらはお互いに熔融する。この方法の変形としては、円形の代わりに線状に配列された第一のダイ中の開口部をもつが、また平らなネットを直接押し出すように修正することも可能である。
【0027】
チューブ状ネット構造は平らなネットを形成するためにいずれかの軸に沿って切れ込みを入れてもよいが、そこではフィラメントは平行四辺形の二次元配列を形成する。切れ込みが一組のフィラメントに平行のときは、非−対称のネットはスペーサーの片側にのみ交差するストランドをもつように形成される。二組のフィラメントの直径とメッシュサイズが同じときは、平行四辺形は実際には菱形となりそして対称なネットは線に平行なチューブ状ネットに菱形の反対側の隅の交差点を介して切り込みを入れることによって達成される。中間のケースも同様に存在し、そして切り込み切断は平らな面を生ずるための機械方位を決定する。そのようなネットが回転するとき、“機械方位”は回転の軸方向に垂直となる。
【0028】
対称的なネットの特性角は機械方位に最も開かれた角度として定義される。この特性角は、実施上の制限はあるが、上記の押し出しプロセスで調整される。特許文献9に記載されているものと同様の方法は、ネットがダイから引っ張られる速度を増大させることによって及び/又は2個のダイ間の回転速度を減少させることによって特性角を妥当な範囲で減少させることができる。しかしながら、他の末端においては、交差点での近接するフィラメントの幾何学的形状とマンドレルに到達する支持されていないフィラメントの長さが長いために大きな特性角では不安定になる。特許文献10に基づくコンウェッド法においては、特性角は、本質的には、第一のダイを第二のダイに対して回転させることによって変化させることができる。これは大きな特性角において同様な困難性を生ずる傾向がある。しかしながら、コンウェッド法は一般的には、押し出し方向に垂直(90°)の交差ストランドをもつネットを押し出すために使用される。
【0029】
得るのがより難しいのは薄いストランドと大きな特性角の組み合わせである。ストランドの薄化、交差点間でのフィラメントの伸長とネッキングは製造過程でネット上にかかる張力によって起こる。ストランドの薄化はRO/NF供給スペーサーで使用される商業的なネットにおいてしばしば見受けられる。しかしながら、上述のプロセスにおいては、機械的張力は典型的には特性角度を減少させる傾向がある方向にかかる。上記のプロセスによってネット中で横断的配向を生じさせることに伴う困難性は特許文献11に記載されており、ここでは参照として取り込まれている。
【0030】
特にRO及びNF用途においては、小さな分子が低圧において供給溶液から取除かれるときには、非常に小さな圧力損失の供給スペーサーシートをもつことが望ましい。同時に、この供給スペーサーは小さなストランド空間をもちそれによって隣り合う層のネスティングが最小となり且つ局在化が許容できるものであることが望ましい。さらに、そのような供給スペーサーは製造及び使用に際し経済的である必要がある。最も効率的な使用においては供給スペーサーの“機械方位”が透過物収集チューブの軸に直角でありそしてこれがその製造過程でネットの好ましい配向に制限を与える。供給スペーサーを内包する螺旋状に巻かれた部材において、低圧力損失で、小さなストランド空隙及び許容可能な局在化を特徴とする経済的な供給スペーサーを提供することが本発明の一つの目的である。
【0031】
【特許文献1】USP6,337,018
【特許文献2】特開平11−235520
【特許文献3】特開平12−042378
【特許文献4】EP1029583
【特許文献5】JP05168869
【特許文献6】USP4.022,692
【特許文献7】USP4,861,487
【特許文献8】USP4,902,417
【特許文献9】USP3,067,084
【特許文献10】USP3,700,521
【特許文献11】USP4,152,479
【非特許文献1】Marsel Mulder,“Basic Principles of Membrane Technology”,Chapter8、Kluwer Academic Publishers,Dordreght,The Netherlands(1991)
【非特許文献2】Da Costa,Fane,&Willey,J.Membrane Science,87,79−98(1994)
【非特許文献3】Da Costa,Fane,&Franken,J.Membrane Science,62,275−291(1991)
【非特許文献4】Da Costa,Fane,Ind,Eng.Chem.Res.,33,1845−1851,(1994)
【非特許文献5】Polyakov & Karelin,J.Membrane Science,75,205−211(1992)
【非特許文献6】Zimmerer & kottke,Desalination,104,129−134(1996)
【非特許文献7】G.Schock,A.Miuqel,“Mass transfer and pressure loss in spiral wound molecules,Desalination,64,339(1987)
【非特許文献8】S.V.Polyakov and F.N.Karelin,“Turbulence promoter geometry:its influence on salt rejection and pressure losses of a composite membrane spiral wound module”,J.Memb.sci.,75,205,(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
供給スペーサーを内包する螺旋状に巻かれた部材において、低圧力損失で、小さなストランド空隙及び許容可能な局在化を特徴とする経済的な供給スペーサーを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は改良された供給スペーサーシートを有する螺旋状に巻かれた部材及びその製造方法と使用方法に関する。商業的に利用できるデザインと一致して、本発明の部材の供給スペーサーは実質上相互に平行なフィラメントの第一のセットとそれと交差している実質上相互に平行なフィラメントの第二のセットからなる。本発明の改良された供給スペーサーは交差点間の領域におけるフィラメントを細くすることを特徴とする高度に薄いストランドを有している。隣同士の交差点間の領域におけるストランドの薄さの測定は有効フィラメント厚みを対応する最小フィラメント巾(ネットの平面で)で割って計算する。
【0034】
一態様においては、本発明の螺旋状に巻かれた部材は1.6より大きい、より好ましくは1.8より大きいストランド薄化パラメーター(strand thinning parameter)をもつことを特徴とする供給スペーサーを有している。
【0035】
本発明の別の態様においては、螺旋状に巻かれた部材中の供給スペーサーは小さな水力学的角度(<70°)と大きな薄化パラメーター(>1.3)の両方をもつことを特徴とする。より好ましくは、水力学的角度は60°より小さくそして薄化パラメーターは1.35より大きい。より好ましくは、水力学的角度は55°より小さくそして薄化パラメーターは1.4より大きい。また新規の供給スペーサーの機械方位は流れ方向にほぼ垂直であることが好ましい。さらに新規の供給スペーサーは、低圧力損失の利点が最も良く実現するように低圧力損失で高フラックスを得るために組み立てられた部材中に組み込まれることが望ましい。
【0036】
別の態様は、直列に配置された複数の螺旋状に巻かれた部材からなりそして有効な連続供給路(即ち、軸方向に1個の部材が次の部材に連続してつながっている有効な連続供給スペーサーシート)をもち、2.5m以上、そして操作圧力に、例えば、補助ポンプにより付加することなしで、9m以上の軸方向長さ(即ち、透過物チューブに平行)をもつろ過システムを提供する。ろ過システムが傾斜(tapered)デザインになっているときは、この供給スペーサーシートの連続長さは幾つかの部材、容器、及び段階で拡張してもよい。
【0037】
本発明は特定の態様、図、及びここで提供される記載に限定されるものではない。熟練した当業者なら本発明は広範な用途をもちそして特に記載されたもの以外の態様で使用してもよいことは理解できるであろう。
【0038】
本発明の利点と好ましい態様は本発明の詳細な記述に、以下に示す図を参照すれば、より理解しやすいであろう。これらのセクションにおいては、参照数字は部材番号を示す。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、供給スペーサーを内包する螺旋状に巻かれた部材において、低圧力損失で、小さなストランド空隙及び許容可能な局在化を特徴とする経済的な供給スペーサーが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
螺旋状に巻かれた部材は大量のRO又はNF膜を小体積に装填するための支配的なデザインである。螺旋状に巻かれた部材の組み立てはあちこちでより詳細に記載されてきた(ここでは参照として取り込まれている特許文献12、特許文献13を参照)。古典的な螺旋状に巻かれた部材のデザインは図1に示される。そのような部材は1以上の膜外囲体(2)と供給スペーサーシート(4)を中央透過物収集チューブ(6)に沿って包むことによって形成される。外囲体(2)は透過物キャリアシート(10)を覆っている2枚の一般的には長方形の膜シートから構成されている。この“挟持(サンドイッチ)”構造は3個の外囲体末端をシールするのに他の方法もあるが、通常は3個の外囲体末端(14、16、18)に沿って接着剤(12)で一緒に保持される。外囲体(2)の第4の末端(20)は透過物キャリアシート(10)が流体中で透過物収集チューブ(6)中の開口部(22)と接触するように透過物収集チューブ(6)に接している。各外囲体(2)は収集チューブ(6)の周りに巻きつけられている供給スペーサーシート(4)によって分離されている。供給スペーサーシート(4)は流体中で部材の両末端(24、26)と接触しており膜(8)の前面(28)に沿って溶液を供給するための通路として作用する。供給流れの方向(30)は入り口端(24)から濃縮端(26)に向っており、そしてこの方向は中央透過物収集チューブ(6)の軸(32)に平行である。
【0041】
本発明の供給スペーサーシート(4)は編まれていないポリマーネットである。図3(及び2)に示されるように、それは実質上平行なフィラメントの第一のセットを実質上平行なフィラメントの第二のセットと角(38、40)で交差させることによって形成される。フィラメントの二組のセットはお互いに交差点(42)で固定される。実質上お互いに平行なフィラメントの二組の交差セットは同じ平行四辺形(44)の二次元配列を形成し(図3の点線で示される)、その側面長さはメッシュサイズ(46、48)を定めている。フィラメントの二組のセットがお互いに直角である場合を除き、平行四辺形は鋭角(38)と鈍角(40)の両方をもつ。本発明においては、鋭角(38)は流れ方向(30)に引かれた線(50)によってほぼ二分される。フィラメントが流れ方向(30)と交差する角度はそれらの横断角度(52、54)と呼ばれる。
【0042】
本発明のネットは好ましくは連続プロセスによって製造されそして一般的には供給スペーサーシートは長方形に切断される。交差フィラメントの連続ネットを製造するために使用される典型的な押し出し方法は特許文献10、特許文献14及び特許文献9に記載されている。フィラメントの交差と結合は個々のポリマーフィラメントの押し出し後又はフィラメント形成プロセスと同時に起こる。製造時の自然変形によって、ネットの各平行四辺形(44)が同一となることは期待できないが、しかし典型的な平行四辺形に対する角度(38、40)及びメッシュサイズ(46、48)はネットの大面積における角度、距離及びストランドの数を測定することによって決定できる。
【0043】
本発明のネットの場合には、典型的な平行四辺形(44)は70°より小さな鋭角と少なくとも110°の対応する鈍角をもつ。ネットの水力学的角度(56)は流れ方向(30)に開いている2本のフィラメント(34、36)間の角度として定義される。本発明においては、水力学的角度(56)は典型的な平行四辺形(44)の場合、鋭角(38)に等しくなければならない。この伸長した平行四辺形(44)はネットを水力学的角度(56)と横断角度(52、54)が小さくなるようにして、流れ抵抗を最小にするように配列させることができる。
【0044】
フィラメントの直径はネットのもう一つの特徴である。直径は実質上お互いに平行なフィラメント(34、36)の二組の交差セットで異なりそして各フィラメントセットの典型的な直径はポリマー密度と各フィラメントセットに押し出されるポリマー質量から最も正確に得ることができる。一セットの典型的な直径D はそれから下式、ここでL はそのタイプのフィラメントの合計長さ、M はそのようなフィラメントに押し出されたポリマーの質量、そしてρはポリマー密度である。 πL /4=M /ρ
押し出しのパラメーターが未知の場合は、個々のストランドを分離し二つのタイプを含むポリマーの質量を決定した後で同じ式が使用される。典型的な直径はまたウェブの観察からも評価できる。本発明においては、典型的なフィラメント直径は好ましくは0.15から0.6mmの間である。また好ましくは、直径は実質上お互いに平行なフィラメント(34、36)の両方のセットで同じであり対面する膜シート(8)の表面(28)で同様な混合を可能にする。
【0045】
ネットのもう一つの特徴はその厚みである。ネットの厚みは二つのネット平面間の小部分をプレスしそして平面間の距離を測定することによって測定される。ネット厚みはそれから少なくとも20の分離領域の測定で決定されるときに、平均(算術平均)厚みとして定義される。ネット厚みはストランドが交差点(42)で変形しそしてこの変形は旧来の押し出しプロセス(図2に示されるような)では典型的であるので、典型的なネットの直径の2倍以下である。実質上お互いに平行なフィラメントの二組のセットが同じ典型的な直径をもつとき、各セットの有効厚みは合計厚みの半分である。フィラメントの二組のセットが異なる典型的な直径をもつとき、各セットの有効厚みは二つの異なった有効フィラメント厚みの合計が合計のネット厚みに加算されるようにその典型的な直径に比例するとして定義される。
【0046】
本発明で使用されるネットの厚みは好ましくは0.25から1mmの間である。厚みを減少させると圧力損失を増大させ、よりファウリングし易くなり、そして部材内で不均一な流れになり易くなる。ネットの厚みを増加させると部材内に装填できる膜の活性面積を減少させる。ネットの厚みを増加させるとまた与えられた体積流量で流路を流れる線速度を減少させ、そしてこれは局在化を起こさせる。
【0047】
メッシュサイズ(46、48)は典型的な平行四辺形(44)の側面の長さに対応するフィラメント交差点間の距離である。非常に関連のある測定は一組のセットのフィラメント間の垂直距離として定義されるストランド空間(58、60)である。好ましいネットはフィラメントの両方のセットに対して1から5mmの間のストランド空間値をもつ。供給スペーサーのストランド空間(58、60)が増加すると、部材が回転中の隣接する外囲体(2)のネスティングが問題となりそしてこのネスティングは圧力損失を増大させる。さらに、低ストランド空間及び低メッシュサイズはよりしばしば起こる乱流領域で生ずる局在化を改善すると考えられている。他の末端では、ストランド空間とメッシュサイズが小さすぎるとき、圧力損失は増大しそしてネットの製造はより難しくなる。ストランド空間がフィラメントの両方のセットで同一であることが必要であり、対面する膜シート(8)の前面(28)での混合が同じであることが望ましいのでこれはより好ましいことである。
【0048】
空隙率は、流体流れに利用できる空間体積:ネットによって分離されている二つの表面(28)間の体積である。交差ロッドが形成されたネットの場合、典型的な平行四辺形(44)のような、単位セル当たりのポリマー体積は上述のパラメーターから算術的に評価が可能である。この体積をその単位セル当たりの合計体積で割るとネット当たりのポリマー分率が計算される。フィラメントが交差点(42)で同じ体積を分け合っているネットの場合、ポリマー分率は体積交換法を使用する直接測定によってより正確に決定される。どちらの場合も空隙率は単純に(1−ポリマー分率)である。本発明のネットは好ましくは0.8より大きい、そしてより好ましくは0.9より大きい空隙率をもち、これにより低圧力損失が維持される。
【0049】
本発明の鍵はネットがかなりの量のストランド薄化をもつことである。ストランド薄化は交差点(42)間の領域でフィラメントを細くすることである。隣接する交差点間の領域のストランド薄化率の測定は、前に定義された有効フィラメント厚みを、その領域のネット平面内の対応する最小フィラメント巾(62、64)で割ることによって得られる。フィラメントの各セットのストランド薄化パラメーターはそれから、そのセットから少なくとも20本のフィラメント部の測定された最小幅(62、64)を最初に平均化(算術平均によって)した後で得られる対応する指数として、同様に定義される。ネットのストランド薄化パラメーターは実質上相互に平行なフィラメント(34、36)の各セットのストランド薄化パラメーターの平均である。本発明のネットは好ましくは1.3より大きい(1.35、1.4、1.6及び1.8まで)の平均ストランド薄化パラメーターをもつ。
【0050】
前に記述したように、部材は予めある程度ストランド薄化をしたネットを使用して組み立てられてきた。本明細書で強調された好ましいネットは非常に大きなストランド薄化パラメーター(>1.8)をもつことは実施例から明らかでありそして螺旋状に巻かれた部材内の極度に伸長されたネットの使用は従来予想もできなかったと思われる。しかしながら、特に重要と見做されるのは低水力学的角度(56)とストランド薄化の組み合わせである。ストランド薄化は低角度と低ストランド空間の両方をもつネットに対して高空隙率を維持させる。結果はネスティングと高局在化の両方を避ける低圧力損失をもつ部材である。
【0051】
定められたストランド薄化パラメーターはまたフィラメント(34、36)間の交差点(42)での変形度も内包していることも指摘しておくべきであろう。接線が重なっていない円筒状のネットは単位(1)のストランド薄化パラメーターをもつ。交差点(42)での変形は空隙率を減少させそして圧力損失を増大させるように作用するので、それはストランド薄化パラメーターの低下として反映される。1以下のストランド薄化パラメーターも可能である。交差点(42)での変形は幾つかの手段で起こるが、しかし高ストランド薄化パラメーターを達成するために伸長されたネットはまた通常はより薄いネットをもたらす変形の増大がある。結果として、高ストランド薄化パラメーターは、その中心でフィラメントを伸長させそしてその交差点(42)で変形を避けるのに最適化されたプロセスを暗示している。
【0052】
本発明のもう一つの鍵は、部材として使用されるときのネットの機械方位の方向付けである。本発明のネットは好ましくはシートがそこから切断される平らな、連続的なネットの長い寸法に対応する機械方位をもつ。ネットがチューブ状の押し出し物を切断して形成されるとき、機械方位は切断面に平行である。機械方位はその製造過程で連続的に巻き取られる平面ネットの方向を規定する。そのようなロール(回転体)の軸寸法は機械方位に垂直である。標準部材長さに対応する軸寸法をもつネットは部材を最小のスクラップ(屑)発生で組み立てることができる。機械方位が透過物収集チューブ(6)に垂直であるようなネットの配向はまた望ましい外囲体長さを変更できる柔軟性を生ずる。本発明の部材は好ましくはこの配向のネットで組み立てられる。
【0053】
本発明の螺旋状に巻かれた部材においては、水力学的角度(56)は70°より小さい、より好ましくは60°より小さい、そして最も好ましくは55°より小さい。ネットは水力学的角度(56)がほぼ流れ方向で2分されるように配向されている。“ほぼ2分”によって、水力学的角度(56)を2分している線が透過物収集チューブ(6)に平行から10°以内であることを意味している。このようにして、フィラメントの両方のセット(34、36)は部材を通る供給流れ方向(30)とほぼ同じ横断角度(52、54)をつくる。フィラメント径とストランド空間のところで述べたように、得られた対称性は膜の対面するシート(8)が同じ局在化をもちそして膜面積の均一な利用を生じさせる。この開示の目的のためには、対称的な供給スペーサーはフィラメントの両セットがほぼ等しいストランド空間(58、60)、典型的な直径及び横断角度(52、54)をもっているスペーサーのうちの一つである。
【0054】
本発明の部材を組み立てるために使用される供給スペーサー(4)は非常に小さな圧力勾配をもっているように思われる。非特許文献3に記載されているものと類似のフローセルを使用すると、低水力学的角度(56)と高ストランド薄化パラメーターをもつネットは15cm/秒で7.1kPa/mを示した。0.05及び0.25cm/秒では、それはそれぞれ2.1及び12.5kPa/mであった。同じ材料から組み立てられた商標名フィルムテック4040部材は15cm/秒で6.1kPa/mを示した。この値は特許文献2及び特許文献5での低圧力損失スペーサーで作られたフィラメントの値及び典型的な商業用スペーサー材料で作られた部材の値と類似している。この実質上改良された圧力損失は高空間体積と低水力学的角度(56)の両方の結果であり、後者は形成時の及び粘っこい引っ張りに対する抵抗を少なくすることの説明となる。
【0055】
本発明の部材を使用するろ過システムの安い建設及び操作コストに加えて、このクレームされた部材の局在化は非常に受け入れ可能なものに思われる。実施例は、新規な供給スペーサーをもつ部材を含むシステムが標準供給材料で作られた部材と比較して流量と塩の透過が改良されることを示す。本発明の供給スペーサーは作動圧力が低くそして幾つかの部材が連続で存在するときに特に利点がある。例えば、部材が有効連続供給路(即ち、一つの部材から連続した次の部材への軸方向にある有効連続供給スペーサー)に置かれ、軸方向長さ(即ち、透過物チューブに平行)をもつろ過システムにおいて、本発明の供給スペーサーは、例えば、補助ポンプのような作動圧力に付加することなしで2.5mより大きい、そして9mより大きい有効長さを使用可能にする。ろ過システムがテーパードデザインされるときは、供給スペーサーのこの連続長さは幾つかの部材、容器、及び段階に拡張されてもよい。
【0056】
スペーサーデザインの目的のための物質移動の予測は複雑でそして現在のコンピューター能力の限界を超えている。大部分、流路の改良は低圧力損失で得られる高フラックスの用語で理解できる。しかしながら、文献では低水力学的角度(56)は実質上局在化を悪化させることを提案している。本発明を限定するつもりはないが、その低水力学的角度(56)にも拘らずこのスペーサーで観察されるかなりの混合に対する解釈を提案する。一つの解釈は、膜前面(28)と直接接触することによって引き起こされる、よどんだ領域は宙に浮いている伸長されたフィラメントによって避けることができるということである。これは混合が膜表面に付いているロッドに対してよりも宙に浮いているロッドに対して効果が少ないことを提案している従来の実験結果(非特許文献12)に反するが、しかし研究は動力学が困難であるずっと大きい構造(フィラメントと流路の両方)でなされた。別の解釈としては、ストランドの薄化が高空間容積を維持し、一方では閉ストランド空間(58、60)によって局在化を発達させることにしばしば干渉するということである。
【0057】
好ましいネット配列を使用して低水力学的角度(56)を達成するためには、ネットの機械方位が平行四辺形(44)の大きな鈍角(40)であることが必要である。小さな水力学的角度(56)はネットの大きな特性角に対応する。RO部材の連続ネットを製造するのに通常使用される従来の方法は機械方位と低メッシュサイズ(46、48)と比較して大きな特性角の望ましい組み合わせを達成する能力で制限される。非特許文献6においては、角度の大きな範囲は装填されたロッドを使用する現実のスペーサーをシミュレートすることによって得られた。低水力学的角度(56)はDa Costa文献においては、より伝統的な方法によって形成されたネットの回転によって試験された。大きな特性角(110°以上は、70°より小さな水力学的角度に対応している)は複葉供給スペーサーを作るために現在使用されている方法において問題となる。
【0058】
好ましい配向で作られたネットの更なる問題点は高空間体積、低水力学的角度(56)、及びタイトなストランド空間(58、60)を同時に維持することである。解決法はストランドの薄化であるが、しかし機械方位での伸長から生ずる薄化は一般的には低水力学的角度(56)と機械方位の好ましい配向の組み合わせと両立しない。ネットを伸長させる傾向のある力はまたこの角度を増加させる傾向がある。この作用の例はネットが形成された後で機械方位に垂直なネットを伸長させることによってストランドの薄化を生ずるネット製造プロセスを使用して作り出される。このプロセスは余分な工程を必要とするが、それは部材を角度、ストランド空間、ネット配向、及び空隙体積の望ましい組み合わせで形成させるネットを経済的に提供できる。
【0059】
実施例
本発明の範囲を限定するつもりはないが、本発明を下記の限定なしの実施例でさらに説明する。
【0060】
実施例1
供給スペーサーを下記に記載の方法に従って製造した:業界における典型的なものとして、フィラメントの二組のセットを2台の同心円、対向回転ダイから同時に押し出して交差させることによってチューブ状ネットを形成した。チューブ状構造をマンドレル上で引っ張りそして水浴中で急冷した。切断後、得られた平面ネットは巾48.3cm、ストランド空間2.12mm、平均ネット厚み0.94mm、そして特性角85°であった。切断は特性角を2分する線にほぼ平行なネットの機械方位を規定した。
【0061】
螺旋状に巻かれた部材のための供給スペーサーを形成する従来の方法の他にテンタリング(tentering、幅だし)工程を追加した。平面ネットを加熱しそして機械方位に垂直に伸長させた。このテンタリングは100°Fで行った。(テンタリングは特許文献11に記載されているように広範囲の温度で実施してもよい。低温は高ストランド薄化をもたらしネットは均一に伸長されるので有利である。)得られた平面ネットは巾125.7cm、ストランド空間3.28mm、特性角129.3°、そしてストランド薄化パラメーター2.38であった。表1にこれらとテンタリング後に測定した他の幾何学的性質を示した。
【0062】
長さ914mm、幅127mmで流路深さ1.27mmの平面セルを膜、供給スペーサーシート、及び適切な詰め木を流路の空いた空間を満たすように装填した。上記の供給スペーサーを流れ方向が機械方位に垂直で、水力学的角度が50.7°となるように配向させた。25℃の水を回収率5%以下で維持しながらセルを流した。供給スペーサーシートでの圧力損失を供給液の線速度の関数として測定した。結果を比較例1と一緒にグラフ1に示す。
【0063】
比較例1
複葉供給スペーサーを従来法に従って形成した。このプロセスはフィラメントの二組のセットを同心円のダイから押し出して交差させることによってチューブ状ネットを形成し、ネットを延伸マンドレル上で引っ張りそしてチューブ状ネットを切断して平面ネットを形成した。このプロセスは実施例1のような直交するテンタリング工程を含まない。このようにして得られたネットはストランド空間2.95mm、ネット厚み0.71mm、特性角90°、そしてストランド薄化パラメーター1.38であった。ネット材料のその他の幾何学的性質は表2に示す。ネットを平面セル上で配向させ、横断角45°のものを得た。
圧力損失を供給液の線速度の関数として測定し、そして結果をまたグラフ1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
実施例2及び3
実施例1に記載したのと同様なプロセスを使用して別のほぼ対称な供給スペーサー2個を作成した。テンタリング前後で測定した2個のネットの幾何学的性質を表1に示す。幅比基準で、テンタリングプロセスはそれぞれのネットを2個以上の因子によって引き伸ばした。表1はまた25℃の水を15cm/秒でセルユニットに流したときに測定された圧力勾配を示す。これらの測定において、供給スペーサーシートの機械方位は流れ方向に垂直に配向され水力学的角度47.5°と60°を示した。
【0066】
【表2】

【0067】
比較例2−4
比較例2及び3は商標名フィルムテックNF270−400部材を作成するために使用される供給スペーサーに準拠した。比較例4はデルスターテクノロジー社製の市販複葉ネット(P2809ハーラープラスチネット)に準拠した。三つのほぼ対称なネットの幾何学的性質を測定し、その値を表2に示す。比較例4のネットと実施例1−3のネットとの主な差異はストランド薄化であるということができる。三つのネットを、実施例1に記載されているように、15cm/秒で流れる水で試験したが、表2の測定された圧力勾配は表1の値に較べて大きいことがわかる。
【0068】
比較例5
複葉ネットを、フィラメントの二組のセットを2台の同心円ダイから同時に押し出して交差させることによって製造した。比較例1に対比して、2個の押し出しダイ間の相対回転速度は遅く特性角は小さくなった。その違いを除き、形成方法は同じとした。その違いは小さな特性角とストランド薄化パラメーターの低下をもたらした。この材料を平面セル上で流れ方向に平行な機械方位に配向させた後で圧力損失を測定した。この場合、小さな特性角は小さな水力学的角度に対応していた。25℃で測定した幾何学的測定と圧力勾配の結果を表2に示す。圧力勾配は表1の値に比較して大きかった。
【0069】
【表3】

【0070】
実施例4、5及び比較例6
4個の螺旋状に巻かれた部材、商標名フィルムテックNF270−4040を、比較例2及び3と同様にして標準供給スペーサーシートを使用して作成した。市販のNF270−4040部材はほぼ1mの長さで100mm径、そして7.0m の活性膜面積を有している。同じデザインのさらに8個の部材を異なった供給スペーサーシートを使用して作成した。4個は実施例1の供給スペーサーを含みそして4個は実施例2の供給スペーサーを含んでいる。いずれの場合も、ネットの機械方位は中央収集チューブに垂直であった。
【0071】
部材を1個の容器中に装填しそして圧力損失を供給液の線速度の関数として測定した。供給溶液は水のみを含み、そして25℃におけるフラックスは作動圧力350kPaで68リットル/m /時間で平均化した。透過物流れは圧力損失測定中、部材中で一定供給速度を維持するように固定した。グラフ2は25℃における3種の部材のそれぞれに対して決定された平均圧力勾配を示す。実施例4及び5はそれぞれ、実施例1及び2の供給スペーサーで組み立てられた部材に対応している。
【0072】
【表4】

【0073】
実施例6及び比較例7
実施例2及び比較例1の供給スペーサーを914mmの長い平面セルで100ppmのNaCl存在下で試験した。平面セル中の供給スペーサーの配向は前に記載したものと同じである。商標名フィルムテックNF90供給スペーサーを使用して、140kPa、供給線速度32cm/秒で系を操作したときの性能特性(フラックス、塩の透過、及び圧力損失)を記録した。このデータを表3に示すが、この新規なネットは従来の材料に比して有利であることを示している。
【0074】
【表5】

【0075】
実施例7及び比較例8
実施例4からの4点の螺旋状に巻かれた部材、これらは実施例1の供給スペーサーを使用している、を100ppmのNaCl系に装填しそして試験した。第一の部材の入り口での操作圧力は344kPa,そして濃縮物流量は39リットル/分に設定した。比較例6の4点のNF270−4040部材をそれから同じ操作圧力と同じ濃縮物流量で試験した。新規な供給スペーサーで作成された部材に対する表4の結果は圧力損失、流量及び塩の透過に関し良好な値を示している。記録された圧力損失は連続した4個の部材全ての合計値である。
【0076】
【表6】

【0077】
【特許文献12】USP5,538,642
【特許文献13】USP5,681,467
【特許文献14】USP3,957,565
【非特許文献12】Feron,Desalination,84,137−152(1991)
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、供給スペーサーを内包する螺旋状に巻かれた部材において、低圧力損失で、小さなストランド空隙及び許容可能な局在化を特徴とする経済的な供給スペーサーであり、ナノろ過(NF)や逆浸透(RO)膜用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は螺旋状に巻かれた部材の部分切断透視図である。部材はろ過外囲体と供給スペーサーシートを中央透過物収集チューブに沿って交互に包むことによって形成される。ろ過外囲体は膜の2枚のシート間に挟持された透過物キャリアシートからなる。
【図2】図2は実質上相互に平行なフィラメントの2組の交差セットをもつ‘ネットタイプ’の供給スペーサーシートの部分透視図である。
【図3】図3はストランドの薄化といくつかの幾何学的な関係を示す本発明の供給スペーサーシートの部分透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を定めておりそして透過物を受け入れるための複数の開口部をその長さ方向に沿ってもつ中央収集チューブ;
該チューブから外側方向に伸びていると共にその周りに巻かれている少なくとも1個のろ過外囲体、ここで該ろ過外囲体は2枚の膜シート及び該膜シート間に挟持された透過物キャリアシートをもち、該透過物キャリアシートは該収集チューブの該開口部と直接流体連通している;
該収集チューブの周りに巻かれた少なくとも1枚の供給スペーサーシート、ここで該供給スペーサーシートは少なくとも1個のろ過外囲体の外側表面と平面接触している;
をもち、該供給スペーサーが実質上平行なフィラメントの第一のセットとそれと交差している実質上平行なフィラメントの第二のセットからなり、それにより70°より小さい鋭角をもつ複数の平行四辺形を形成しているネットであり、そして該ネットが該鋭角を2分する線が中央収集チューブの軸とほぼ平行であるように配向しており、そして該ネットが1.3より大きいストランド薄化パラメーター(strand thinning parameter)をもつことを特徴とする改良された螺旋状に巻かれた部材。
【請求項2】
供給スペーサーシートが1mm以下の平均厚みをもちそしてフィラメントの第一及び第二セットが1mmから5mmの間のストランド空隙値(spacing values)をもつ請求項1記載の螺旋状に巻かれた部材。
【請求項3】
該平行四辺形が60°より小さい鋭角をもちそして該ネットが1.35より大きいストランド薄化パラメーターをもつ請求項2記載の螺旋状に巻かれた部材。
【請求項4】
該平行四辺形が55°より小さい鋭角をもちそして該ネットが1.4より大きいストランド薄化パラメーターをもつ請求項3記載の螺旋状に巻かれた部材。
【請求項5】
該ネットが該収集チューブの軸にほぼ直交している機械方位(machine direction)をもつ請求項3記載の螺旋状に巻かれた部材。
【請求項6】
0.15m/秒の表面速度で操作するときに、部材が10kPa/mより小さい軸方向圧力勾配をもつ請求項1記載の螺旋状に巻かれた部材。
【請求項7】
25℃で純水を供給し350kPa(51.0psi)のネット駆動圧力で操作するときに、部材が少なくとも40リットル/m /時間の平均フラックス(膜単位面積当たりの体積流量))をもつ請求項1記載の螺旋状に巻かれた部材。
【請求項8】
25℃で純水を供給し350kPa(51.0psi)のネット駆動圧力で操作するときに、部材が少なくとも65リットル/m/ 時間の平均フラックス(膜単位面積当たりの体積流量)をもつ請求項7記載の螺旋状に巻かれた部材。
【請求項9】
透過物を受け入れるための複数の開口部をその長さ方向に沿ってもつ中央収集チューブ;
該チューブから外側方向に伸びていると共にその周りに巻かれている少なくとも1個のろ過外囲体、ここで該ろ過外囲体は2枚の膜シート及び該膜シート間に挟持された透過物キャリアシートをもち、該透過物キャリアシートは該収集チューブの該開口部と直接流体連通している;
該収集チューブの周りに巻かれた少なくとも1枚の供給スペーサーシート、ここで該供給スペーサーシートは少なくとも1個のろ過外囲体の外側表面と平面接触している;
をもち、該供給スペーサーシートが実質上平行なフィラメントの第一セットとそれと交差している実質上平行なフィラメントの第二のセットからなるネットであり、該ネットが1.6より大きいストランド薄化パラメーターをもつことを特徴とする改良された螺旋状に巻かれた部材。
【請求項10】
該ネットが1.8より大きいストランド薄化パラメーターをもつ請求項9記載の螺旋状に巻かれた部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−507919(P2006−507919A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−501048(P2004−501048)
【出願日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/011084
【国際公開番号】WO2003/092872
【国際公開日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【出願人】(300064250)フィルムテック コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】