説明

改良された紙製品の組成およびプロセス

製紙プロセスの異なるステージ間で適用されるた場合に、パルプまたは紙剤の白色度を保ち強化するとともに色度を向上させる酸化化合物およびプロセスが特定される。この酸化化合物および方法は、白色度を保ち、および/または強化し、黄変を防止し、紙製品のパフォーマンスを向上する。蛍光増白剤および/またはキレート剤と組み合わせて用いると、酸化剤は製紙プロセスにおいて過去にない相乗効果を呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプと紙製品における白色度と光学特性の改良、白色度の低下防止、および熱黄変耐性を向上させる組成とプロセスに関する。より具体的には、本発明は酸化剤を含む組成に関し、これは単独あるいは蛍光増白剤の存在により効果的に紙製品の白色度や光学特性を向上させると同時に熱安定性を増大させる。
【背景技術】
【0002】
機械的あるいは化学的なパルプ化方法で製造されたパルプは、木の種類や用いる離解プロセス(defibering process)によって焦げ茶色からクリーム色にわたる色を有する。このパルプは漂白されて、多様な用途向けの白い紙製品となる。
【0003】
漂白は、未漂白パルプに含まれる光吸収物質を除去したり改質することである。機械パルプの漂白では、リグニンを可溶化することなくパルプを脱色する物質がある。一般に、還元性(例えば亜二チオン酸ナトリウム)か酸化性の漂白剤が用いられる。漂白は往々にして多段のプロセスである。化学パルプの漂白は、消化ステージで開始される脱リグニンの拡張である。この漂白は往々にして多段プロセスであり、ステージには二酸化塩素漂白、酸性−アルカリ性の脱リグニン、および過酸化漂白が含まれる。
【0004】
脱色は、大部分は熱熟成によるが、漂白パルプを用いる製紙プロセスの様々なステージや得られる紙製品における黄変や白色度低下の原因となる。産業界は、できあがった紙や紙製品の光学特性を改良する漂白剤や光学的な蛍光増白剤などの化学品にかなり投資している。
【0005】
例えば、WO0052258とWO9932710には、過酸を用いてパルプを所望の白さにする漂白後のプロセスが開示されている。蛍光増白剤(otical brightening agents:OBA)を添加する前に、過酸や過酸化水素を含む合成物を濃化製紙材料(thick stock)に添加すると、同等の白色度を得るのに必要な蛍光増白剤の量を減らすことができると、GB2391011でクレームされている。Jukka Jakara et al., The effect of peracetic acid treatment of bleached kraft pulp in fine paper production, Preprint-PAPTAC Annual Meeting, 87th, Montreal, QC, Canada, Jan. 30-Feb. 1, 2001 (2001)には、製紙機械の製紙原料チェストに過酢酸を添加すると、漂白パルプの白色度戻り(brightness reversion)が制限され、製紙機械への蛍光増白剤の添加がかなり節約される。さらに、Jukka Jakara et al., the effect of peracetic acid in fine paper production, Appita Annual Conference Proceedings (2000), 54th (Vol. 1), 169-174、Jukka Jakara et al., The use of peracetic acid as a brightening agent, Appita Ann. General Conf. Proc. (1999), 53rd (Vol. 2), 463-467を参照されたい。製紙材料への中性サイズの追加の前に、漂白された製紙材料をペルオキソ酸で処理することが、FI104339Bに開示されている。カプセル形態で蛍光増白剤を含む過酸化製剤が、CA2292107に開示されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、白色度を改善し安定化し、製紙プロセスにおける黄変の耐性を向上する合成物と方法を提供する。
【0007】
一態様では、本発明は、白色度が強化され熱黄変耐性が強化された漂白パルプ材料を作成する方法であり、i)漂白パルプ材料を作成するステップと、ii)前記漂白パルプ材料に、有機ペルオキソ酸以外の有効量の1またはそれ以上の酸化剤を接触させるステップとを含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、白色度が強化され熱黄変耐性が強化された漂白パルプ材料を作成する方法であり、i)漂白パルプ材料を作成するステップと、ii)前記漂白パルプを含む水性製紙材料懸濁液を形成するステップと、iii)前記製紙材料懸濁液を出してシートを形成するステップと、前記シートを乾燥させるステップとを含み、a)前記漂白パルプまたは製紙材料懸濁液に、有機ペルオキソ酸以外の有効量の1またはそれ以上の酸化剤が添加されるか、b)前記シートに、有機ペルオキソ酸を含む有効量の1またはそれ以上の酸化剤が添加される。
【0009】
別の態様では、本発明は、白色度が強化され熱黄変耐性が強化された漂白パルプ材料を作成する方法であり、i)漂白パルプ材料を作成するステップと、ii)前記漂白パルプを含む水性濃化製紙材料懸濁液を形成するステップと、iii)有効量の1またはそれ以上のオキシダントおよび1またはそれ以上の蛍光増白剤を前記濃化製紙材料に追加するステップと、iv)前記水性濃化製紙材料懸濁液を希釈して希釈製紙材料懸濁液を形成するステップと、v)前記希釈製紙材料懸濁液を出してシートを形成するステップと、vi)前記シートを乾燥させるステップとを具える。
【0010】
別の態様では、本発明は保管中に漂白パルプ材料の白色度損失と黄変を防止する方法であって、前記漂白パルプ材料に、有機ペルオキソ酸以外の有効量の1またはそれ以上の酸化剤を追加するステップを具える。
【0011】
別の態様では、本発明は、漂白パルプと有効量の1またはそれ以上の酸化剤の混合物を含む漂白パルプ材料であって、前記漂白パルプ材料が、前記還元剤で処理していない同様のパルプと比較すると、高い白色度および向上した熱黄変耐性を有する。
【0012】
出願人はまた、酸化剤とキレート剤(chelants)を組み合わせると、紙製品の白色度が効果的に向上し、さらに酸化剤を蛍光増白剤と組み合わせて用いると前記蛍光増白剤の効果が向上しカラースキームが改善される。したがって、さらなる態様では、本発明は、酸化剤をキレート剤および/または蛍光増白剤と組み合わせて用いる方法であり、高い白色度と、向上した熱黄変耐性と、改善されたカラースキームとを有する漂白パルプ材料が作成される。
【0013】
酸化剤、蛍光増白剤、およびキレート剤は、単独で用いてもよいし、既知の添加剤と組み合わせて、所望の紙製品の品質を向上させるようにしてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、高い光学的白色度を示す紙または紙製品を製造する改良されたプロセスを提供する。ここに規定する1またはそれ以上の酸化剤をパルプ、紙、ボール紙、または薄紙に製紙工程のいずれかで添加することにより、漂白パルプや漂白パルプでできた紙製品の熱黄変に対する白色度の安定、色度の改善、および白色度の向上を得ることができる。
【0015】
白色度は、パルプまたは紙の白さを表すのに用いられる用語であり、青色光(457nm)の反射により0%(真っ黒)から100%(真っ白で約96%の白色度のMgO基準に相当)で測定される。「熱白色度損失」(thermal brightness loss)は、時間、温度、および湿度の影響下における紙の白色度損失である(光化学の白色度損失と異なる)。「保管中の白色度損失」(brightness loss during storage)は、保管状態の経時による熱白色度損失である。
【0016】
漂白パルプ材料の黄変(白色度戻り)は、漂白パルプ、紙、ボール紙、薄紙、および漂白パルプから製造された関連製品の、経時による白色度の低下である。本書において、「漂白パルプ材」とは、漂白パルプとともにこのようなパルプから製造される紙製品を含む。
【0017】
本書記載の酸化剤は、製紙プロセスで用いられる様々な漂白パルプやこの漂白パルプで製造される様々な紙製品への使用に適したものである。本書において、「漂白パルプ材」は、漂白パルプと、この漂白パルプから製造される紙、ボール紙、薄紙、その他の紙製品を意味する。
【0018】
本発明にかかる酸化剤は、漂白パルプ材の官能基を低い酸化カテゴリから高い酸化カテゴリへと変換しうる化学品を含む。この変換の利点は、製紙機械における白色度安定性が増し、蛍光増白剤のパフォーマンスが向上することである。
【0019】
代表的な酸化剤は、限定しないが、過酸化水素、有機ペルオキソ酸、有機および無機の過酸化物(ヒドロペルオキシド)、超酸化物および過酸化物−超酸化物(peroxide-superoxides)、無機ペルオキソ酸およびその塩基、ペルオキソ水和物(peroxyhydrates)、ジオキシラン、酸化窒素、ニトロソジスルホナート(nitrosodisulfonates)、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸、および過塩素酸を含む水溶性有機ペルオキソ酸、臭素酸イオン、二酸化塩素、クロロアミン(chloroamines)、クロロアミド(chloroamide)、クロロスルホンアミド(chlorosulfonamides)、ブロモアミン(bromoamines)、ブロモアミド(bromoamides)、ブロモスルホンアミド(bromosulfamide)、クロロスルホン酸、塩素、およびこれらの組み合わせを含む。
【0020】
本書において、「過酸化水素」はHをいう。
【0021】
「有機ペルオキソ酸」は、式RC(O)OHの化合物およびその金属塩をいい、ここでRはアルキル基、アルケニル、アリル基、およびアリルアルキル基から選択される。代表的な有機ペルオキソ酸は、ペルオキシ安息香酸、CC(O)OOH、過ギ酸(performic acid)、HC(O)OOH、過プロピオン酸(perpropionic acid)、CHCHC(O)OOHなどを含む。
【0022】
「無機ペルオキソ酸」は、過酸化水素Hの一塩基(ヒドロペルオキシド)と二塩基(過酸化物)の金属誘導体をいい、塩基性物質や、ヒドロペルオキシドナトリウム(NaOOH)、過酸化マンガン(MgO)などを含むアルカリ土類金属誘導体が含まれる。
【0023】
「超酸化物」は、O基を含む金属誘導体をいい、塩基性物質や、超酸化ナトリウム(NaO)、超酸化カルシウム(CaO)などを含むアルカリ土類金属誘導体が含まれる。
【0024】
「過酸化物−超酸化物(peroxide-superoxides)」は、式2MO・Mの混合アルカリ金属誘導体をいい、ここでMは例えばKなどのアルカリ金属である。
【0025】
「無機ペルオキソ酸およびその塩基」は、−O−O−基を含む無機酸であり、−OOHの基を含むペルオキソ一酸塩基と、−O−O−の基を含むペルオキソ二酸塩基、およびこれらの金属塩、例えばペルオキソ一硫酸(カロー酸、(HO)SOOOH)、ペルオキソ二硫酸(HOSOOOSOOH)、ペルオキソ一燐酸HPO、ペルオキソ一炭酸塩ナトリウムNaCO、およびペルオキソ二炭酸塩NaCOなどを含む。
【0026】
「ペルオキソ水和物(peroxyhydrates)」は、結晶の過酸化水素を含む無機塩をいい、例えば、ペルオキソ水和物珪酸ナトリウム(sodium metasilicate peroxyhydrate)NaSiO・H・HO、およびペルオキソ水和物ホウ酸塩ナトリウムNaBO・H・3HOなどを含む。
【0027】
「有機過酸化物」は、−O−O−基を含む様々な有機化合物であり、本書で規定される有機ペルオキソ酸や、ジメチルジオキシラン(dimethyldioxyrane)(CH)CO等のジオキシラン等が含まれる。
【0028】
「ニトロソジスルホナート(nitrosodisulfonates)」は、アルカリや、カリウムニトロソジスルホナート(フレミー塩)(KSONO等といったアルカリ土類金属塩である。
【0029】
「次亜塩素酸塩」、「亜塩素酸塩」、「塩素酸塩」、および「過塩素酸塩」は、それぞれ、次亜塩素酸ナトリウムNaOCl等といった次亜塩素酸HOCl、亜塩素酸HOClO、塩素酸HOClO、および過塩素酸HOClOの水溶性金属塩である。
【0030】
「次亜臭素酸塩」および「臭素酸塩(bromites)」は、それぞれ、次亜臭素酸塩ナトリウム、NaOBr等を含む次亜臭素酸、HOBr、および臭素酸、HBrO、の水溶性塩である。
【0031】
「クロロアミン」と「ブロモアミン」は、式NHHalのアンモニウム誘導体であって、ここでHalはClまたはBrであり、あるいはアルキルアミン誘導体NRHalであって、ここでRとRは上記のように定義されxとyは独立して1−3である。水溶液中では、クロロアミンとブロモアミンは対応するアンモニウム塩として現れる。
【0032】
「クロロアミド」と「ブロモアミド」は、−C(O)N(RHal基を含むアミド誘導体であり、ここでHalは上記に規定され、pとqは独立して0−1であり、rは1−2であり、次亜塩素酸塩ナトリウムNaClOと尿素HNCONHまたは次亜塩素酸塩ナトリウムNaClOと5,5−ジメチルヒダントイン等の混合物に形成される成分構成のようなものである。
【0033】
「クロロスルホンアミド」と「ブロモスルホンアミド」は、−SON(RHalを含むアミド誘導体であり、ここでR、Hal、p、qは上記に規定され、次亜塩素酸塩ナトリウムNaClOとスルホンアミドHNSONH等の混合物に形成される成分構成のようなものである。
【0034】
クロロスルホン酸は、式ClSOHの化合物である。
【0035】
「アルキル基」は、直鎖または有枝鎖の飽和炭化水素から単一の水素原子を取り除くことにより派生する一価基を意味する。このアルキル基は、アミノ基、アルコキシル基、水酸基、およびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基と置換不能または置換可能である。代表的なアルキル基は、メチル、エチル、n−およびiso−プロピル、n−、sec−、iso−、およびtert−ブチル等を含む。
【0036】
「アルキレン」は、直鎖または有枝鎖の飽和炭化水素から2の水素原子を取り除くことにより派生する二価基を意味し、例えばメチレン、1,2−エチレン、1,1−エチレン、1,3−プロピレン、2,2−ジメチルプロピレン等である。
【0037】
「アミノ」は、式NYの基を意味し、ここでYとYはH、アルキル、アルケニル、アリル、およびアリルアルキルから別個に選択される。代表的なアミノ基は、アミノ(ーNH)、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、ジエチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ等を含む。水溶液中では、対応するアンモニウム塩としてアミンが現れる。
【0038】
「アリル基」は、5乃至約14の環原子を有する芳香族の炭素環基や複素環基である。代表的なアリル基は、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基(phenanthryl)、アントラシル基、ピリジル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、チエニル基、チアゾリル基、ピリミジル基、インドリル等を含む。
【0039】
「アリルアルキル基」は、アルキレン基を通して親分子の部分にくっつくアリル基を意味する。代表的なアリルアルキル基は、ベンジル、2−フェニルエチル等を含む。
【0040】
「ハロ」および「ハロゲン」は、塩素、フッ素、臭素、およびヨー素を意味する。
【0041】
「塩」は、無機または有機のアニオン対イオンの、金属、アンモニウム、置換アンモニウム、、またはホスホニウムの塩を意味する。代表的な金属は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。代表的なアニオン対イオンは、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ポリチオネート(polythionate)、ヒドロ亜硫酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸塩等を含む。
【0042】
酸化剤は、1またはそれ以上の「活性剤」とともに用いてもよい。この活性剤は、酸化反応またはpHの変化あるいは双方の触媒作用を通して酸化剤の効果を強化する物質を含む。代表的な活性剤は、限定しないが、燐酸、燐酸一ナトリウム、硫酸一ナトリウム、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジンオキシル)、4−ヒドロキシ−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンオキシル)、アンモニウムモリブデン酸塩、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、および酢酸など酸化速度に作用するpH変更化合物を含む。「活性酸化剤」は、1またはそれ以上の活性剤とともに用いる酸化剤を意味する。いくつかの実施例では、酸化剤は活性過酸化水素である。
【0043】
いくつかの実施例では、漂白パルプ材料は、1またはそれ以上の酸化剤と1またはそれ以上の還元剤で処理される。「還元剤」は、漂白パルプ材料の官能基を高酸化カテゴリから低酸化カテゴリへと変換しうる化学物質をいう。製紙プロセスにおいて白色度の向上と安定化、および黄変耐性の向上のために還元剤を用いることが、ともに継続中の2006年3月23日提出の整理番号11/397,499に記載されている。
【0044】
代表的な還元剤は、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩(ピロ亜硫酸)、スルホキシル酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩、ポリチオネート(polythionate)、ホルムアミジンスルフィン酸およびこれらの塩や誘導体、ホルムアルデヒド重亜硫酸塩付加物や他のアルデヒド重亜硫酸塩付加物、スルフィンアミドおよびスルフェン酸のエーテル、スルフォンアミド、ホスフィン、ホスホニウム塩、亜燐酸塩、およびチオ燐酸塩を含む。
【0045】
「亜硫酸塩」は、亜硫酸HSOの二塩基性金属塩であり、二塩基性アルカリと、亜硫酸ナトリウム(NaSO)や亜硫酸カルシウム(CaSO)等のアルカリ土類金属塩を含む。
【0046】
「重亜硫酸塩」は、亜硫酸HSOの一塩基の金属塩であり、重亜硫酸塩ナトリウム(NaSO)、重亜硫酸カルシウム(CaSO)等といったアルカリやアルカリ土類金属を含む。
【0047】
「スルホキシル酸塩」は、スルホキシル酸HSOの塩を意味し、スルホキシル酸亜鉛(ZnSO)等を含む。
【0048】
「メタ重亜硫酸(ピロ亜硫酸)」は、ピロ亜硫酸Hの塩を意味し、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)等を含む。
【0049】
「チオ硫酸塩」は、チオ亜硫酸Hの塩を意味し、チオ硫酸塩カリウム(Na)等を含む。
【0050】
「ポリチオネート」は、ポリチオン酸H(n=2−6)の塩を意味し、トリチオネートナトリウム(Na)、ジチオン酸ナトリウムNa等といったジチオン酸Hの塩を含む。
【0051】
「亜ジチオン酸塩(ヒドロ亜硫酸塩)」は、亜ジチオン酸(ヒドロ亜硫酸、次亜硫酸)Hの塩を意味し、亜ジチオン酸ナトリウム(ヒドロ亜硫酸塩)(Na)、亜ジチオン酸マグネシウム(MgS)等を含む。
【0052】
「ホルムアミジンスルフィン酸(FAS)」は、式HNC(=NH)SOHの化合物およびその塩や誘導体を意味し、ナトリウム塩HNC(=NH)SONaを含む。
【0053】
「アルデヒド重亜硫酸塩付加物」は、式RCH(OH)SOHの化合物およびその金属塩を意味し、ここでRはアルキル、アルケニル、アリル、アリルアルキルから選択される。代表的なアルデヒド重亜硫酸塩付加物は、ホルムアルデヒド重亜硫酸塩付加物HOCHSONa等を含む。
【0054】
「スルフィンアミドおよびスルフィン酸のエーテル」は、式R−S(=O)−Rの化合物であり、ここでRは本書に規定され、RはORとNRから選択され、ここでR−Rはアルキル、アルケニル、アリル、およびアリルアルキルから別個に選択される。代表的なスルフィンアミドは、エチルスルフィンジメチルアミド(CHCHS(=O)N(CH)等を含む。
【0055】
「スルフォンアミド」は、式R−C(=S)−NRを意味し、ここでR、R、およびRは上記に規定されている。代表的なスルフォンアミドはCHCHC(=S)N(CH等を含む。
【0056】
「ホスフィン」は、ホスフィンPHの誘導体の意味であり、通常は式RPの有機置換ホスフィンであり、ここでR−RはH、アルキル、アルケニル、アリル、アリルアルキル、およびNRから別個に選択され、ここでR−Rは上記に規定されている。代表的なホスフィンは、(HOCHP(THP)等を含む。
【0057】
「亜燐酸塩」は、燐酸P(OH)の誘導体を意味し、式(RO)(RO)(RO)Pの有機置換ホスフィンであり、ここでR−Rは上記に規定されている。代表的な亜燐酸塩は、(CHCHO)P等を含む。
【0058】
「チオ亜燐酸塩」は、ホスホロチオ酸(phosphorothious acid)HSP(OH)の誘導体を意味し、式(RO)(RO)(RS)Pの有機置換チオ亜硫酸塩であり、ここでR−Rは上記に規定されている。代表的なチオ亜燐酸塩は、(CHCHO)(CHCHS)P等を含む。
【0059】
「ホスホニウム塩」は、式RXの有機置換ホスフィンであり、ここでRとR−Rは上記に規定され、Xは様々な有機または無機のアニオンである。代表的なホスホニウム塩は、(HOCCHCHHCl(THP)、[(HOCH(SO2−(BTHP)等を含む。
【0060】
「アルケニル」は、1以上の炭素−炭素二重結合を含む直鎖または有枝鎖の炭化水素から単一の水素原子を取り除くことにより派生する一価基を意味する。アルケニルはアミノ、アルコキシル基、水酸基、およびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基と置換可能または置換不能である。
【0061】
「アルコキシル基」は、酸素原子を介して親分子の部分にくっつくアルキル基を意味する。代表的なアルコキシル基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等を含む。メトキシとエトキシが好適である。
【0062】
一実施例では、還元剤は置換されたホスフィン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、およびメタ重亜硫酸塩から選択される。好適な還元剤は重亜硫酸塩ナトリウムである。
【0063】
本発明のプロセスは、従来の製紙装置で実施することができる。製紙装置は動作や機械デザインで多様であるが、異なる装置で紙を作るプロセスは共通のステージを有している。製紙は一般に、パルピングステージ、漂白ステージ、製紙原料準備ステージ、ウェットエンドステージ、およびドライエンドステージである。
【0064】
パルピングステージでは、機械または化学作用あるいは双方により個々のセルロース繊維がセルロース源から解放される。代表的なセルロース源は、限定しないが、木材や類似の木質植物、大豆、米、綿、藁、亜麻、アバカ、ヘンプ、バガス、リグニン含有植物等、同様に、オリジナルまたはリサイクルの紙、薄紙、ボール紙を含む。このようなパルプは、限定しないが、木材パルプ(GWD)、漂白木材パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、漂白サーモメカニカルパルプ、クラフトパルプ、漂白クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、および漂白亜硫酸パルプを含む。再生パルプは、再生ステージで漂白されてもされないでもよいが、元々漂白されていると仮定する。上述したパルプはすべて、事前に漂白されていなければ本書で記載されるように漂白して漂白パルプ材料にしてもよい。
【0065】
一実施例では、漂白パルプ材料は、バージンパルプ、再生パルプ、クラフト、亜硫酸パルプ、これらのパルプの組み合わせ、再生紙、薄紙、上記列挙されたパルプまたはその組み合わせから生成されるすべての紙を含む。
【0066】
本発明のさらなる利点は、低価格のメカニカルパルプを、印刷グレードのクラフトメカニカル紙の高価格のクラフトに変えうることである。本書記載の化学的性質と方法を用いると、白色度と黄変耐性が向上するため、価格を抑えつつ得られる紙製品の品質を落とさないで、大量のメカニカルパルプを使用することができる。
【0067】
パルプは、製紙原料準備ステージにおいて水に漬けられる。蛍光増白剤、染料、顔料、フィラー、抗菌剤、脱泡剤、pH調整剤、排水促進剤(drainage aids)も、このステージで製紙原料に加えられてもよい。この開示に用いる「製紙原料準備」の語には、ウェブ形成の前に行われる希釈、スクリーニング、製紙原料懸濁液のクリーニング等の作業も含まれる。
【0068】
製紙プロセスのウェットエンドステージは、製紙原料懸濁液またはパルプスラリを、製紙機械のワイヤまたはフェルト上に沈積させて連続的な繊維のウェブを形成し、ウェブを排出し、ウェブを圧密させて(押圧して)シートを形成することを含む。この分野で公知の様々な製紙機械が、本発明のプロセスに用いるのに適している。このような機械は、円網抄紙機、ツインワイヤフォーミング機、ティッシュマシン等およびこれらの変形例を含む。
【0069】
製紙プロセスのドライエンドステージにおいて、ウェブは乾燥され、サイズプレス、カレンダーがけ、表面改質剤のスプレーコーティング、印刷、裁断、波形成形等の追加プロセスが行われる。サイズプレスやカレンダーのウォーターボックス(waterbox)に加え、乾燥紙はスプレーブーム(sprayboom)を用いてスプレーコーティングしてもよい。
【0070】
シート形成の前に酸化剤が加えられる実施例では、有機ペルオキソ酸を用いない酸化剤が用いられる。シート形成後に酸化剤が適用される場合や、濃化製紙原料に蛍光増白剤とともに酸化剤が添加される場合は、有機ペルオキソ酸を含む酸化剤が用いられる。
【0071】
したがって、シート形成前に酸化剤が添加される実施例では、酸化剤は、過酸化水素、無機過酸化物、超酸化物および過酸化物−超酸化物、無機ペルオキソ酸およびその塩、ペルオキシ水化物、水溶性有機過酸化物、ニトロソジスルホン酸、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、過塩素酸塩、二酸化塩素、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、および塩素から選択される。
【0072】
シート形成前に酸化剤が添加される別の実施例では、酸化剤は、過酸化水素、活性過酸化水素、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、およびブロモスルホン酸から選択される。
【0073】
シート形成後に酸化剤が添加されるか、濃化製紙原料に蛍光増白剤とともに酸化剤が添加される実施例では、酸化剤は、過酸化水素、有機ペルオキソ酸、無機過酸化物、超酸化物および過酸化物−超酸化物、無機ペルオキソ酸およびその塩、ペルオキシ水化物、水溶性有機過酸化物、ニトロソジスルホン酸、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、過塩素酸塩、二酸化塩素、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸、および塩素から選択することができる。
【0074】
シート形成後に酸化剤が添加されるか、濃化製紙原料に蛍光増白剤とともに酸化剤が添加される別の実施例では、酸化剤は、過酸化水素、活性過酸化水素、過酢酸、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、およびブロモスルホン酸から選択することができる。
【0075】
酸化剤は、予備処方されてもよいし、この分野で公知のように現場で混合剤から形成されてもよい。例えば、所望の酸化剤が比較的不安定あるいはシステム内で早く消費されるような特定の状況下では、現場での調剤が望ましい。例えば、過酸化水素とテトラアセチルエチレンジアミンを混合することにより、過酢酸や過酢酸−過酸化水素混合物を現場で生成する。臭化ナトリウムと次亜臭素酸ナトリウムを混合することにより、次亜臭素酸塩を現場で生成することができる。臭化アンモニウム、尿素またはジメチルヒダントインと次亜塩素酸塩を混合することにより、クロロアミンを現場で生成することができる。
【0076】
出願人はまた、酸化剤を後述するようにキレート剤(chelant)と組み合わせると、パルプの熱安定性が増加しパルプの発色構造の減衰を通じて、紙製品の白色度が効果的に増進することを開発した。
【0077】
一実施例では、1またはそれ以上のキレート剤が漂白パルプまたは紙製品に添加される。この実施例における適切なキレート剤は、パルプ組成物との着色物を形成し、漂白パルプまたは紙製品の発色反応を触媒する遷移金属をキレート化しうる化合物が含まれる。
【0078】
代表的なキレート剤は、限定しないが、有機ホスホン酸塩、燐酸塩、カルボキシル酸、ジチオカルバミン酸塩、上記いずれかの塩、およびその組み合わせを含む。
【0079】
「有機ホスホン酸塩」は、HEDP(CHC(OH)(P(O)(OH))、1−ヒドロキシ−1,3−プロパンジイルビス−ホスホン酸((HO)P(O)CH(OH)CHCHP(O)(OH)))のような単一のC−P結合を含むホスホン酸HP(O)(OH)であって、好ましくは、DTMPA((HO)P(O)CHN[CHCHN(CHP(O)(OH))、AMP(N(CHP(O)(OH))、PAPEMP((HO)P(O)CHNCH(CH)CH(OCHCH(CH))N(CHN(CHP(O)(OH))、HMDTMP((HO)P(O)CHN(CHN(CHP(O)(OH))、HEBMP(N(CHP(O)(OH)CHCHOH)等のように、C−P結合に隣接して(近傍に)単一のC−N結合を含むものを意味する。
【0080】
「有機リン酸塩」は、トリエタノールアミントリ(リン酸エステル)(N(CHCHOP(O)(OH))等の単一のC−P結合を含むホスホン酸P(O)(OH)の有機誘導体を意味する。
【0081】
「カルボン酸」は、一個又はそれ以上のカルボキシ基−C(O)OHを含む有機化合物を意味し、好ましくは、EDTA((HOCCHNCHCHN(CHCOH))、DTPA((HOCCHNCHCHN(CHCOH)CHCHN(CHCOH))等、及び、これらのアルカリ及びアルカリ土類金属塩等の、C−COH結合に隣接して(近傍に)単一のC−N結合を含むアミノカルボン酸を意味する。
【0082】
「ジチオカルバミン酸塩」は、モノマ性ジチオカルバミン酸塩、ポリマ性ジチオカルバミン酸塩、ポリジアリルアミン・ジチオカルバミン酸塩、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、エチレンビスジチオカルバミン酸二ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸二ナトリウム等を含む。
【0083】
一実施例では、キレート剤は、ジエチレン−トリアミン−ペンタメチレンホスホン酸(DTMPA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及びその塩、及び、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩から成る群より選択される。
【0084】
出願人はまた、酸化剤を蛍光増白剤(OBA)と組み合わせて用いると、蛍光増白剤(OBA)の効果が増進されることを見出した。酸化剤はまた、色体系も改善する。これにより、匹敵する白色度及び色を達成するために必要なOBAや、青色染料のような増白剤の量が減少され得る。OBA及び染料の幾分かを参加剤で置き換えると、パルプ及び紙材の製造者は、紙製品における容認可能なレベルの白色度を維持し且つ目標色を達成しつつ、製造コストを減少し得ると共に用いるOBA及び染料の全体量を減少し得る。いくつかの場合には、染料を完全に排除して色を維持することも可能であり得る。
【0085】
従って、別の実施例において、漂白パルプ又は紙材製品に対して1またはそれ以上の蛍光増白剤(「OBA」)が添加される。
【0086】
「蛍光増白剤」は蛍光染料又は顔料であって、原料紙料に対して添加されたときに紫外線を吸収して可視スペクトルにおける高周波(青色)で、それを再放出することで白色に輝く外観を紙シートにもたらす蛍光染料又は顔料である。代表的な蛍光増白剤は、限定しないが、アゾール、ビフェニル、クマリン;フラン;イースタンカラー・アンド・ケミカルズ社(ロードアイランド州プロヴィデンス)から入手可能なEccobrite(登録商標)及びEccowhite(登録商標)化合物のような陰イオン性、陽イオン性、及び、陰イオン性(中性)化合物等のイオン性増白剤;ナフチルイミド;ピラジン;クラリアント社(スイス、ムッテンツ)から入手可能なLeucophor(登録商標)等級の蛍光増白剤、および、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(スイス、バーゼル)のTinopal(登録商標)のような(例えばスルホン酸化された)置換スチルベン;限定しないが、このような増白剤のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、有機塩及びアンモニウム塩等を含むこのような化合物の塩;および、1またはそれ以上の上記物質の組み合わせが挙げられる。
【0087】
一実施例において、蛍光増白剤は、ジスルホン酸化、テトラスルホン酸化、およびヘキサスルホン酸化されたTinopal(登録商標)OBAの群から選択される。
【0088】
酸化剤、還元剤、キレート剤および/または蛍光増白剤の添加量は、漂白パルプまたはこの漂白パルプから調製される紙製品の所望の白色度と黄変耐性を得るのに必要な量であって、当業者であれば、還元剤、キレート剤若しくは蛍光増白剤の特性、処理されるパルプまたは紙材、適用方法に基づいて容易に決定し得る。
【0089】
漂白済パルプまたは紙製品に添加される酸化剤の有効量は、酸化剤で処理していないパルプや紙材と比較した場合の、パルプや紙材の白色度と熱による黄変耐性とが増進される酸化剤の量である。白色度と熱黄変耐性とを決定する方法は、本明細書中に記述される。
【0090】
典型的には、漂白パルプまたは紙製品に対し、加熱炉乾燥されたパルプに基づいて約0.005〜約2重量%、好適には約0.05〜約0.25重量%の酸化剤が添加される。
【0091】
上述したように、酸化剤は1またはそれ以上の還元剤と組み合わせて用いてもよい。この還元剤は、酸化剤の前または後に添加される。還元剤の有効量は、酸化剤と組み合わせたときに、酸化剤で処理していないパルプや紙材と比較した場合の、パルプや紙材の白色度と熱による黄変耐性とが増進される酸化剤の量である。
【0092】
典型的には、漂白パルプまたは紙材製品に対し、加熱炉乾燥されたパルプに基づいて約0.005〜約2重量%、好適には約0.05〜約0.25重量%の還元剤が添加される。
【0093】
典型的な用途においては、漂白パルプまたは紙製品に対し、加熱炉乾燥されたパルプに基づいて、約0.001〜約1重量%、好適には約0.01〜約0.1重量%のホスホン酸塩、リン酸塩またはカルボン酸キレート化剤、および/または約0.002〜約0.02重量%のジチオカルバミン酸塩キレート剤が添加される。
【0094】
蛍光増白剤は通常、加熱炉乾燥されたパルプに基づき、約0.005〜約2重量%、好ましくは0.05〜約1重量%の量の蛍光増白剤が添加される。
【0095】
酸化剤、還元剤、キレート剤、および/または蛍光増白剤は、漂白パルプ又は紙材に対し、製紙または薄紙製造プロセスの任意の箇所で添加することができる。代表的な添加箇所は、限定しないが、(a)待機収納器のパルプ・スラリに対して;(b)保存、配合または移送収納器において漂白ステージの後でパルプに対して;(c)シリンダまたは気流乾燥の前であって漂白、洗浄および脱水の後のパルプに対して;(d)クリーナの前あるいは後;(e)製紙機械ヘッドボックスに対するファンポンプの前あるいは後;(f)製紙機械の白水に対して;(g)サイロまたはこぼれ受けに対して;(h)例えばサイズプレス、塗付器又は噴霧バーを用いてプレス区画において;(i)例えばサイズプレス、塗付器または噴霧バーを用いて乾燥区画において;(j)ウェハ収納器を用いてカレンダ上で;および/または、(k)オフマシンの塗付器またはサイズプレスにおいて紙材上に;および/または、(l)湾曲制御ユニットに、を含む。
【0096】
酸化剤、還元剤、キレート剤および/または蛍光増白剤が添加されるべき厳密な箇所は、関与する特定の設備、用いられる厳密なプロセス条件等に依存する。いくつかの場合、還元剤、キレート剤、および/または蛍光増白剤は、最適な実効性のために1またはそれ以上の箇所で添加されてもよい。
【0097】
製紙プロセスで用いられてきた様々な手段により適用することができ、これは、還元剤、キレート剤、および/または蛍光増白剤の一部が、例えばパルプまたは湿潤シート(乾燥前)へというように製紙プロセスの1カ所で適用され、残りの部分が例えばサイズプレスなど以降の箇所で適用される「分割供給」を含む。
【0098】
一実施例では、酸化剤は、希薄製紙原料中の漂白パルプ材料に適用される。この実施例の目的では、「希薄製紙原料」は、乾燥固体に基づいて5%以下の濃度の製紙原料溶液を意味する。
【0099】
一実施例では、酸化剤は、濃化製紙原料中の漂白パルプ材料に適用され、ここで「濃化製紙原料」は、乾燥固体に基づいて約5乃至約30%の濃度の製紙原料溶液を意味する。
【0100】
一実施例では、酸化剤は湿潤シートに適用される。
【0101】
一実施例では、酸化剤はサイズプレスに適用される。
【0102】
活性剤、キレート剤、および/または蛍光増白剤は互いに、酸化剤の前に、後に、あるいは同時に、漂白パルプまたは紙材製品に添加することができる。任意の還元剤を酸化剤の前後に添加してもよい。
【0103】
還元剤と蛍光増白剤を用いた代表的な適用例では、還元剤は蛍光増白剤の前または後に漂白パルプ材料に、例えば配合収納器または希釈製紙原料中に添加される。
【0104】
代替的な実施例では、酸化剤、蛍光増白剤、キレート剤は漂白パルプ材料に、保存、配合または移送収納器で、希釈製紙原料またはウェットエンドおよびサイズプレスに添加され、本書に記載のように、ここでウェットエンドに添加される蛍光増白剤の相対的な量が低減され、サイズプレスで酸化剤と組み合わせて用いる場合の蛍光増白剤の高い観察反応に基づいて蛍光増白剤の相対的な量が増加される。サイズプレスに用いるのに好適な酸化剤は、過酢酸である。
【0105】
出願人はまた、濃化製紙原料に酸化剤と蛍光増白剤を添加すると、希釈製紙材料へのOBA添加の後に濃化製紙材料に酸化剤を添加するのと比較して、漂白パルプ材料の白色度が増強され、ウェットエンドの白色度の安定性が向上し、蛍光増白剤の蛍光度(OBA活性化)が増大する。酸化剤は、蛍光増白剤の前、後、あるいは同時に濃化製紙原料に添加される。この酸化剤はまた、濃化製紙原料に添加される蛍光増白剤とともに調製されてもよい。本実施例の好適な酸化剤は過酢酸である。
【0106】
酸化剤はまた、漂白パルプ材料へ適用される単一の製品として、任意のキレート剤、蛍光増白剤、および/または活性剤とともに調製されてもよい。代表的な調剤は、酸化剤、1またはそれ以上の活性剤、および任意で1またはそれ以上のキレート剤を含む。
【0107】
代替的な調剤は、1またはそれ以上の酸化剤と、1またはそれ以上の蛍光増白剤を含む。この調剤は、湿潤紙シートにそのまま適用されるか、湿潤紙シートに適用される表面サイズ溶液に混合される。この調剤はまた、サイズプレスに適用されてもよい。
【0108】
酸化剤、還元剤、キレート剤、および/または蛍光増白剤は、1またはそれ以上の部分的に中和されたポリカルボン酸、好ましくは、nを約10〜約50,000としたポリアクリル酸(CHCH(COH)[CHCH(COH)]CHCHCOHのようなポリカルボン酸と組み合わせて使用される。このポリカルボン酸は、水酸化ナトリウムのようなアルカリにより目標pH(後述のように通常5〜6)へと中和されてもよい。
【0109】
酸化剤、還元剤、キレート剤や蛍光増白剤、およびポリカルボン酸は、完成紙製品の1以上の特性の向上、製紙プロセス自体の促進、またはこの双方のために製紙工程で従来から用いられる他の添加剤とともに用いてもよい。これらの添加剤は一般に、機能性添加剤と制御添加剤に特性づけられる。
【0110】
機能性添加物は典型的には、完成紙製品に対する一定の特に所望される特性を向上若しくは付与するために使用される添加物であり、限定しないが、増白剤、染料、フィラー、サイズ剤、澱粉、および接着剤等が挙げられる。
【0111】
一方、制御添加物は、紙材の物理的特性に特に影響することなく全体的プロセスを改善するために製紙プロセスの間に組み入れられる添加物である。制御添加物は、殺生物剤、歩留り改良剤、消泡剤、pH制御剤、ピッチ制御剤、および排水助剤を含む。本発明のプロセスを用いて製造された紙材および紙製品は、1またはそれ以上の機能性添加物および/または制御添加物を含有してもよい。
【0112】
顔料及び染料は紙に色を付与する。染料は、共役二重結合系を有する有機化合物;アゾ化合物;金属アゾ化合物;アントラキノン類;トリアリールメタンのようなトリアリール化合物;キノリン及び関連化合物;酸性染料(ミョウバンのような有機陽イオンと共に使用されるスルホン酸基を含む陰イオン性有機染料);塩基性染料(アミン官能基を含む陽イオン性有機染料);直接染料(高分子量であり、セルロースに対する特定の直接的親和力を有する酸性染料);並びに、上記列挙された好適な染料化合物の組み合わせ;を含む。顔料は、白色または着色とされ得る微細に分割された無機化合物である。製紙業界において最も一般的に使用される顔料は、クレイ、炭酸カルシウム、および二酸化チタンである。
【0113】
フィラーは紙材に添加され、乳白度と白色度を高める。フィラーには、限定しないが、炭酸カルシウム(方解石);沈殿炭酸カルシウム(PCC);硫酸カルシウム(様々な水和形態を含む);アルミン酸カルシウム;酸化亜鉛;タルク等のケイ酸マグネシウム;鋭錐石または金紅石といった二酸化チタン(TiO);水和されたSiOおよびAlから成るクレイやカオリン;合成クレイ;雲母;蛭石;無機凝集体;真珠岩;砂;砂利;砂岩;ガラスビーズ;エーロゲル;キセロゲル;シーゲル(seagel);フライアッシュ;アルミナ;ミクロスフェア;中空ガラス球;孔性セラミック球;コルク;シーズ;軽量ポリマ;ゾノトライト(結晶質のケイ酸カルシウムゲル);軽石;剥離岩;廃棄コンクリート製品;部分的に水和され又は水和されない水硬性セメント粒子;および珪藻土、並びに、これらの化合物の組み合わせが含まれる。
【0114】
サイズ剤は製造プロセス中に紙材に添加され、紙材に浸透する液体に対する耐性の改善を助力する。サイズ剤は、内部サイズ剤または外部(表面)サイズ剤であってよく、硬質サイジング、弛緩サイジング、または両方のサイジング方法に対して使用することができる。より具体的には、サイズ剤は、ロジン;ミョウバン(Al(SO)とともに沈殿されたロジン;アビエチン酸および、ネオアビエチン酸およびレボピマール酸等のアビエチン酸同族体;ステアリン酸およびステアリン酸誘導体;炭酸ジルコニウムアンモニウム;GE−OSIから入手可能なRE−29やダウコーニング社(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能なSM−8715のようなシリコンおよびシリコン含有化合物;Gortexのような、Rを陰イオン性、陽イオン性または他の官能基とする一般式CF(CFRのフッ素化合物;すべてがハーキュリーズ社(Hercules)(デラウェア州、ウィルミントン)から市販されているAquapel 364、Aquapel (I 752、Hercon) 70、Hercon 79、Precise 787、Precise 2000及びPrecise 3000のようなアルキルケテン・ダイマ(AKD);アルキル琥珀酸無水物(ASA);ASAまたはAKDと陽イオン性澱粉との乳濁液;ミョウバンを取入れたASA;澱粉;ヒドロキシメチル澱粉;カルボキシメチル・セルロース(CMC);ポリビニル・アルコール;メチルセルロース;アルギン酸塩;蝋状物質;蝋状物質乳濁液;およびこれらのサイズ剤の組み合わせが含まれる。
【0115】
澱粉は製紙において多くの用途を有する。例えば、保持剤、乾燥強化剤および表面サイズ剤として機能する。澱粉には、限定しないが、アミロース;アミロペクチン;25%のアミロースと75%のアミロペクチン(コーンスターチ)、および20%のアミロースと80%のアミロペクチン(馬鈴薯澱粉)のような、アミロースとアミロペクチンを様々な量で含有する澱粉;加水分解された澱粉;当業界では「ペースト化澱粉」としても知られる加熱済澱粉;第三級アミンと澱粉との反応から帰着して四級アンモニウム塩を形成するような陽イオン性澱粉;陰イオン性澱粉;(陽イオン性と陰イオン性の両方の機能性を含む)両性澱粉;セルロースおよびセルロース誘導化合物;およびこれらの化合物の組み合わせを含む。
【0116】
本発明の方法は、白色表面を有する紙製品を産出する。さらに、上記の新規な組成物は、通常使用時の長期的な変色から紙材を保護する。
【0117】
上記内容は、以下の実施例を参照してよく理解されうるが、これらは説明目的であって本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0118】
これらの実験例においては、十分な50%水酸化ナトリウム水溶液が添加されて、試験される作用物質または組成物に対する適切なpHが得られた。これらの実験例におけるすべてのパーセンテージは、乾燥パルプに基づく重量%で与えられる。
【0119】
これらの実験例において、以下の語句は示された意味を有するものとする。
Brは、ISO白色度R457(TAPPI525);Yeは、E313黄色度;WIは、E313白色度;TMPは、TMPは、熱機械パルプ;CTMPは、化学熱機械パルプ;RMPは、精砕機械パルプ;OBAは、蛍光増白剤;EDTAは、(HOCCHNCHCHN(CHCOH)エチレンジアミン四酢酸;DTPAは、(HOCCHNCHCHN(CHCOH)CHCHN(CHCOH)ジエチレントリアミン五酢酸;DTMPAは、HPCHN[CHCHN(CHPOジエチレン−トリアミン−ペンタメチレンホスホン酸;PAAは、過酢酸である。
【0120】
処理
漂白済パルプからハンドシートが製造され、その後実験において使用され、その場合に還元剤はドラム乾燥の前またはドラム乾燥の後で(プレスの前または後で)湿潤シート上に適用された(ドラム乾燥中の温度:100°C)。第3の選択肢は、分割供給適用であった。ドラム乾燥器に、一回又はそれ以上の表面サイズ剤適用をした。
【0121】
試験された作用物質または組成物の溶液の量は、パルプ・サンプルの乾燥重量に基づいて決定された。この作用物質または組成物の溶液はロッドを用いて水溶液として、可能な限り均一に適用された。各試験シートは実験室のドラム乾燥器を用いて均一条件下で乾燥された(一回)。
【0122】
ハンドシートは、(a)ブフナー漏斗(5g.o.d.パルプ、φ15cm、プレスおよび空気乾燥)、(b)Noble&Woodのハンドシート型(8平方インチ、60g/m)を用いて性オズされる。白色度をElrephoおよびTechnidyne装置を用いて計測する。
【0123】
試験機器:
実験室ドラム乾燥器。
「Elrepho 3000」、「Technidyne Color Touch 2(型式ISO)」、または白色度測定のための別の機器。
日立F−4500蛍光分光計、または、相対的蛍光強度測定のための別の機器。
マイクロピペット。
表面サイズ剤適用キット(パッド、サイズ剤、3本の適用ロッド)。
恒湿室(23°C、50%湿度)。
浸漬方法用の紙材サンプル100mL適用キュベットを具えた浮遊プラスチックボックスを収容する水浴/サーモスタット。
【0124】
乾燥表面適用手順(表面サイジング、浸漬方法):
1.標準的手順に従い8×8インチのハンドシートを準備する。目標乾燥重量は2.5gである。湿潤したハンドシートをドラム乾燥器に1サイクルかける。
2.シートの1/8の細片を切断する(0.31g)。
3.50mlの試験管内に、所定のピックアップ割合および目標添加量に基づき、(必要であれば)事前蒸解された澱粉および還元剤組成物溶液の溶液を調製する。
4.紙材細片を上記溶液に10秒浸漬し、35秒滴下させてからそれをプレスにかける。
5.試験シートをドラム乾燥し、室温で平衡化させる。
6.白色度及び黄色度を測定する。
【0125】
パルプ適用手順:
各化学物質を直接的にパルプ(希薄原料又は濃い原料)に添加し、密閉袋内でパルプと混合した。OBA増進のためのパルプ適用手順において、各化学物質を20%稠度における漂白クラフトパルプに直接添加し、密封袋内でパルプと混合し、45−80°Cで30分維持した。パルプを5%稠度まで希釈し、OBAを添加し、パルプと混合し、スラリを50°Cで20分維持した。次に、上記スラリをさらに希釈し、標準的手順に従ってハンドシートを調製した。
【0126】
1.表面サイズ溶液で酸化剤とOBAの組み合わせの適用

【0127】
蛍光増白剤は表面サイズ溶液中の酸化剤の機能増強剤と組み合わせられることが判明した。通常、蛍光増白剤は酸化剤と反応する。しかしながら、表面サイジングプロセスの状況がこれを発現させない程度に緩いことを発見した。異なる酸化剤が蛍光増白剤の機能にポジティブに影響した。
【0128】
2.濃化製紙原料パルプへの多様な酸化剤の適用(OBAは製紙原料の希釈時に添加)

【0129】
この例では、異なる酸化剤が濃化製紙原料に適用され、その後に製紙プロセスにおいてより希釈された製紙原料にOBAが適用される。いくつかの酸化剤が、蛍光増白剤と相乗効果を呈している。
【0130】
3.蛍光増白剤への酸化の前処理の相乗効果

【0131】

【0132】
表3、表4に示すデータは、OBA活性剤としての異なる酸化剤の有意の効果を示している。特に興味深いのは、PAAによる実際の漂白がない場合の示されたOBA効果の有意な向上である。
【0133】
4.活性過酸化水素の適用

【0134】

【0135】

【0136】
表5−7に示すデータは、プロセス内で有意に向上されたパフォーマンスが得られる異なる過酸化水素の活性化方法を示している。
【0137】
5.濃化および希釈製紙原料へ酸化組成物を適用;濃化製紙原料へOBAと一緒に酸化組成物を適用

【0138】
表8は、低稠度(4%)と高稠度(10%)のパルプの酸化作用の適用を示す(硬材、0.35%OBA)。
【0139】

【0140】
表9は、OBAと酸化剤が一緒に濃化製紙材料(10%稠度)に適用された場合の酸化作用のパフォーマンスを示す。比較のため、化合物を連続的に適用した場合に得られるゲインが低い例が示されている。
【0141】
上記に本発明を代表的あるいは説明的な実施例に関して説明したが、これらの実施例は本発明を限定や制限するものではない。むしろ、本発明は添付のクレームに規定される意図および範囲内のすべての代替例、変更例、同等例を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い白色度と向上した熱黄変耐性を有する漂白パルプ材料を作成する方法であって、
i)漂白パルプ材料を提供するステップと、
ii)前記漂白パルプ材料を、有機ペルオキソ酸以外の有効量の1またはそれ以上の酸化剤に接触させるステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法がさらに、前記漂白パルプ材料を、1またはそれ以上の蛍光増白剤、1またはそれ以上のキレート剤、1またはそれ以上の還元剤、またはこれらの組み合わせに接触させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、前記漂白パルプ材料は、バージンパルプ、再生パルプ、クラフト、亜硫酸パルプ、メカニカルパルプ、これらのパルプの組み合わせ、再生紙、薄紙、および、前記パルプまたはその組み合わせから生成されるすべての紙材または紙製品からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、前記酸化剤は、1またはそれ以上の活性剤と組み合わせて適用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、前記酸化剤は、過酸化水素、無機過酸化物、超酸化物および過酸化物−超酸化物、無機ペルオキソ酸およびその塩、ペルオキシ水化物、水溶性有機過酸化物、ニトロソジスルホン酸、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、過塩素酸塩、二酸化塩素、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸、および塩素からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、前記酸化剤は、過酸化水素、活性過酸化水素、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、およびブロモスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項2の方法において、前記還元剤は、置換ホスフィン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、およびメタ重亜硫酸塩からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2の方法において、前記キレート剤は、有機ホスホン酸塩、燐酸塩、カルボキシル酸、上記いずれかの塩、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項2の方法において、前記蛍光増白剤は、二スルホン酸化、四スルホン酸化、または六スルホン酸化されたスチルベン誘導体から選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項2の方法において、前記キレート剤は、ジエチレン−トリアミン−ペンタメチレンホスホン酸(DTMPA)およびその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびその塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1の方法において、前記酸化剤は、希釈製紙原料または濃化製紙原料中の漂白パルプ材料に適用されることを特徴とする方法。
【請求項12】
高い白色度と向上した熱黄変耐性を有する漂白パルプ材料を作成する方法であって、
i)漂白パルプ材料を作成するステップと、
ii)前記漂白パルプを含む水性製紙材料懸濁液を形成するステップと、
iii)前記製紙材料懸濁液を排出してシートを形成するステップと、
iv)前記シートを乾燥させるステップとを含み、
a)前記漂白パルプまたは製紙材料懸濁液に、有機ペルオキソ酸以外の、有効量の1またはそれ以上の酸化剤が添加されるか、
b)前記シートに、有機ペルオキソ酸を含む有効量の1またはそれ以上の酸化剤が添加されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12の方法がさらに、前記漂白パルプ、前記製紙原料懸濁液、または前記シートに、1またはそれ以上の蛍光増白剤、1またはそれ以上の還元剤、またはこれらの組み合わせ、を添加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、前記キレート剤は、有機ホスホン酸塩、燐酸塩、カルボキシル酸、上記いずれかの塩、およびこれらの任意の組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13の方法において、前記蛍光増白剤は、二スルホン酸化、四スルホン酸化、または六スルホン酸化されたスチルベン誘導体から選択されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13の方法において、前記キレート剤は、ジエチレン−トリアミン−ペンタメチレンホスホン酸(DTMPA)およびその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびその塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13の方法において、前記還元剤は、置換ホスフィン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、およびメタ重亜硫酸塩からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項12の方法において、前記酸化剤は、過酸化水素、有機ペルオキソ酸、無機過酸化物、超酸化物および過酸化物−超酸化物、無機ペルオキソ酸およびその塩、ペルオキシ水化物、水溶性有機過酸化物、ニトロソジスルホン酸、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、過塩素酸塩、二酸化塩素、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸、および塩素からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項12の方法において、前記酸化剤は、過酸化水素、活性過酸化水素、過酢酸、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、クロロアミン、クロロアミド、クロロスルホンアミド、ブロモアミン、ブロモアミド、ブロモスルホンアミド、クロロスルホン酸、およびブロモスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項12の方法において、前記酸化剤は、湿潤シート上に添加されるか、サイズプレス内の漂白パルプ材料に添加されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20の方法において、前記酸化剤は過酢酸であることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21の方法がさらに、前記サイズプレス内の漂白パルプ材料に1またはそれ以上の蛍光増白剤を添加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
高い白色度と向上した熱黄変耐性を有する漂白パルプ材料を作成する方法であって、
i)漂白パルプ材料を作成するステップと、
ii)前記漂白パルプを含む水性濃化製紙材料懸濁液を形成するステップと、
iii)有効量の1またはそれ以上の酸化剤および1またはそれ以上の蛍光増白剤を前記濃化製紙材料に添加するステップと、
iv)前記水性濃化製紙材料懸濁液を希釈して希釈製紙材料懸濁液を形成するステップと、
v)前記希釈製紙材料懸濁液を出してシートを形成するステップと、
vi)前記シートを乾燥させるステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23の方法において、前記酸化剤が過酢酸であることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2009−544857(P2009−544857A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521004(P2009−521004)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/073901
【国際公開番号】WO2008/011523
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】