説明

改良型のフィルターカートリッジ

ろ過される液体のための少なくとも1つの注入開口(3a,3b,3c)とろ過された液体のための少なくとも1つの排出開口(5)とが設けられ、フィルター材(3)のための容器(2)を具備し、前記排出開口(5)には、前記容器(2)内に前記フィルター材(3)を保持するように配置された保持手段(6,7,8)が設けられているフィルターカートリッジ(1)であって、前記カートリッジは、前記少なくとも1つの排出開口(5)の近傍に、前記少なくとも1つの排出開口(5)を通って前記保持手段(6,7,8)から漏れ出た前記フィルター材(3)を保持するように配置され、前記容器(2)に取り付けられる少なくとも1つの保持カップ(10)をさらに具備し、前記漏れ出たフィルター材を前記容器(2)と前記保持カップ(10)との間に収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭内の使用のための浄水ポットや、やかん、ティーポット等といったろ過システムのために特に設計された、交換式のフィルターカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
これらカートリッジは、一般に粒状であるフィルター材を収容するプラスチック材料の容器を具備する。この容器には、ろ過される液体のための少なくとも1つの注入開口と、ろ過された液体のための少なくとも1つの排出開口とが設けられており、この両者には、容器内にフィルター材を保持するために配置された保持手段が設けられている。
【0003】
本発明と関係する保持手段は、排出開口に配置され、一般的には、それらの狭さが保持されるフィルター材に依存する網目を有する格子(格子という語は、網状の物質、泡状の物質、膜、調整された穴等を含むと理解される)として具体化される。
【0004】
格子の網目が比較的狭いと、その結果、狭い網目を有する格子で非常に微小なフィルター材でも効果的に保持することができ、保持動作により効果があることが認識され得る。
【0005】
そうはいっても、これらカートリッジは、上述の第1の要求と明らかに衝突する第2の要求を満たす必要がある。非常に狭い網目を有する格子は、ろ過された液体の流れをより妨げ、排出開口が同じ断面を有していれば、カートリッジを通る流れの瞬間的な流速に相当な影響を与えることが認識され得る。したがって、この流れは実質的に時間経過とともに変化し得る。その結果、ろ過される液体のフィルター材との接触時間の不都合な減少をもたらす。
【0006】
また、狭い網目を有する格子は、保持されたフィルター材の蓄積によって閉塞し得る。
【0007】
さらに、フィルター材の保持を最大限に引き出す特に狭い網目を有する格子を用いることは、ろ過される液体が各ろ過サイクルの最初と最後の間でカートリッジを通って流れることにかかる時間の安定性に悪影響を有する。これは、カートリッジそれ自体の性能に悪影響を与える。
【0008】
この影響は、保守及び洗浄のために格子には通常アクセスされ得ないことを考慮すると、カートリッジが使用される時間経過とともに形成される傾向にある閉塞によって、さらに悪化させられる。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明に関係する技術的な課題は、上述の先行技術の欠点を改善するために構造的に及び機能的に設計された改良型のフィルターカートリッジを提供することである。この課題において、本発明の目的は、フィルター材を適切に保持でき、ろ過された液体からフィルター材を効果的に取り除くことができるフィルターカートリッジを提供することである。
【0010】
さらなる目的は、その中のフィルター材を保持する手段が定期的な保守及び洗浄がされ得るフィルターカートリッジを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係るカートリッジの分解斜視図である。
【図2】図2は、組み立てられた状態の図1のカートリッジの断面図である。
【図3】図3は、上記両図に示したカートリッジの分解された構成要素のカートリッジの底から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の効果と特徴は、限定されない例を手段として与えられた添付の図面を参照する、下記の好ましいが排他的でない実施形態の詳細な説明によって明らかになろう。
【0013】
図面において、透過式のろ過システムのための交換式のカートリッジは、1によって全体が表されている。ここで、ろ過される液体(一般には水)は、重力の影響下で、互いに重ねあわされた第1のタンクから第2のタンクへ、このカートリッジが取り外し可能に挿入されたダクトを介して導かれる。このタイプのシステムは、例えば国際公開第WO2009/012832号パンフレットに記載されている。
【0014】
カートリッジ1は、フィルター材3のための容器2を含む。フィルター材3は、一般に粒状であり、ろ過池を形成するように容器内に配置されている。容器2は、一般にプラスチック材料で形成され、上部4aと下部4bとが組み合わされて互いにしっかりと固定されている。上部4aには、ろ過される液体のための注入開口3a,3b及び3c一式が設けられている。下部4bには、ろ過された液体のための5で示された2つの(実際には少なくとも1つが必要である)排出開口が設けられている。保持手段が、容器の中にフィルター材を保持するために、上述の開口の全ての近傍に設けられている。本実施形態では、これら手段は、格子6,7及び8によって形成されている。ろ過カップ5aは、排出開口5にも取り付けられ、ろ過された水がろ過池3を通って流れる際にかかる時間を決定し一定に保つように配置された調整された穴5bを支持する。
【0015】
本発明に関する開口は、特に8によって示された格子によって保護された排出開口5である。これら開口はそれぞれ(それらが円形であった場合それらの直径に依存する)通路部S1を有し、格子8は所定の幅A1の網目を有する。その結果、それらは、ろ過サイクルの間可能な限り一定である既知の流速を有するろ過された液体が横切る際に、既知の負荷損失を生み出す。
【0016】
本発明によれば、カートリッジ1はさらに、容器の下部に取り付けられ、その側壁11の近傍において下部を取り囲むさらなる保持カップ10を具備する。
【0017】
このカップ10は、ろ過された液体を一時的に集めフィルター材の粒子を収集するために配置されたチャンバー13を残すように、容器の基底面12からカップの基底面12aまでに所定の空間を有して、形状結合によって、容器の外面にはまるような内部構造を有する。詳細は後述される。
【0018】
カップ10の下部には、2つのさらなる排出開口14が設けられている。ろ過された液体は、この排出開口を通って、カートリッジから排出される。排出開口14は、必須ではないが、好ましくは開口5の近傍に設けられており、第1の開口5の通路部S1より広いか、少なくとも同じ広さの通路部S2を有する。それらは、格子8の網目よりも狭い、非常に狭い網目の格子16のそれぞれによって保護されている。
【0019】
このようにして、第2の格子16は、格子8から漏れ出たフィルター材を保持し、容器2とカップ10との間に形成されたチャンバー13に収集するようにする。通路部S1よりも全体として大きい通路部S2を用いることで、格子8よりも狭い網目を有する格子16が存在しても、ろ過された液体の流れは、一定である。これは、カートリッジの正常な動作にとって有害なことなく、同時にフィルター材のより的確な保持を可能にする。
【0020】
カップ10は、好ましくは、カップ10が取り外された際に第2の格子16が保守及び清掃され得るように、また、カップ10が使用済みのカートリッジから取り外され、新しいフィルター材を有するカートリッジにおいて再利用され得るように、取り外し可能な方法で容器2に取り付けられる。さらに、第2の格子16は、フィルター材と接触しておらず、第1の格子8と直列に配置されているので、フィルター材の蓄積とその結果の閉塞の影響をうけにくいであろう。
【0021】
本発明は、このようにして上述の課題を解決する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過される液体のための少なくとも1つの注入開口(3a,3b,3c)とろ過された液体のための少なくとも1つの排出開口(5)とが設けられ、フィルター材(3)のための容器(2)を具備し、
前記排出開口(5)には、前記容器(2)内に前記フィルター材(3)を保持するように配置された保持手段(6,7,8)が設けられている、
改良型のフィルターカートリッジ(1)において、
前記少なくとも1つの排出開口(5)の近傍に、前記少なくとも1つの排出開口(5)を通って前記保持手段(6,7,8)から漏れ出た前記フィルター材(3)を保持するように配置され、前記容器(2)に取り付けられる少なくとも1つの保持カップ(10)をさらに具備し、
前記漏れ出たフィルター材を前記容器(2)と前記保持カップ(10)との間に収集する、
ことを特徴とする改良型のフィルターカートリッジ(1)。
【請求項2】
前記保持カップ(10)と前記容器(2)とは、それぞれ側壁を有し、
前記保持カップ(10)は、前記容器(2)の前記側壁(11)に形状結合によってはめられ得る、
請求項1に記載のフィルターカートリッジ(1)。
【請求項3】
前記保持カップ10は、この保持カップ(10)が前記容器(2)に取り付けられたときに、少なくとも1つの収集チャンバー(13)を形成するように、対応する前記容器(2)の基底壁(12)から離れて位置する基底壁(12a)を有する請求項1又は2に記載のフィルターカートリッジ(1)。
【請求項4】
前記保持カップ(10)には、その通路部(S2)が全体として前記容器(2)の前記排出開口(5)よりも広い又は等しい、少なくとも1つの排出開口(14)が設けられている請求項1、2又は3に記載のフィルターカートリッジ(1)。
【請求項5】
前記保持カップ(10)の前記排出開口(14)には、前記容器(2)の前記排出開口(5)に取り付けられた格子(8)よりも狭い網目を有する格子(16)が設けられている請求項4に記載のフィルターカートリッジ(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−523307(P2012−523307A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503929(P2012−503929)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050859
【国際公開番号】WO2010/115643
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(504297973)
【氏名又は名称原語表記】LAICA S.p.A.
【Fターム(参考)】