改良型ビード付きタイヤ
本発明は、タイヤ(10)であって、各々が少なくとも1つの環状補強構造体(70)を有する2つのビード(20)、環状補強構造体を包囲したクッションゴム(112)及びクッションゴムの周りに折り曲げられた拘束補強材(121)を有し、任意の断面で見て、環状補強構造体(70)及びクッションゴム(112)により形成された組立体の断面SEは、環状補強構造体の断面STの1.6倍以上であり、環状補強構造体(70)の半径方向外側に位置したクッションゴム(112)の部分の断面SU、環状補強構造体(70)の半径方向内側に位置したクッションゴム(112)の部分の断面SD及び環状補強構造体(70)の軸方向外側に位置したクッションゴム(112)の部分の断面SOは、断面STの20%以上であり、環状補強構造体(70)の軸方向内側に位置したクッションゴム(112)の部分の断面SIは、環状補強構造体の断面STの10%以上であることを特徴とするタイヤに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関し、特に、中くらいの又は大きなトン数の「重」車両、例えばローリ、バス又はトレーラに装着されるようになったタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
大抵のタイヤ、特に、「重」型式の車両に取り付けられるようになったタイヤは、
‐半径方向外側に向かってトレッドを載せたクラウン補強材を含むクラウンを有し、トレッドの機能は、走行時に路面との接触を可能にすることにあり、
‐クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォールを有し、
‐サイドウォールの半径方向内側に設けられていて、各々が、大抵の場合、ビードワイヤの形態の少なくとも1つの環状補強構造体を有する2つのビードを有し、ビードは、タイヤ取付リムと共同するようになっており、
‐クラウンからサイドウォールを通ってビードまで延びる到来部分及び巻き上げ(又は上折り曲げ)部分を形成するよう環状補強構造体の周りに巻き上げられることによってビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材を有し、巻き上げ部分は、カーカス補強材の巻き上げ部に対応し、巻き上げ部分は、大抵の場合、到来部分の軸方向外側に位置している。
【0003】
タイヤのビードは、応力の高い領域である。力がタイヤに及ぼされると、カーカス補強材は、ビードワイヤに対してずれる場合がある。カーカス補強材とビードワイヤの接触により、カーカス補強材が損傷を受け又はそれどころか破断する場合がある。
【0004】
米国特許第6820670号明細書は、繊維強化ゴム配合物又はコンパウンドで形成された複合材をビードワイヤとカーカス補強材との間に位置決めすることによってこの問題に対する解決策を提案している。
【0005】
この解決策は、ビードの耐久性に著しい改善結果を与えるが、カーカス補強材が巻き戻り状態になるという或る程度の恐れが残されている。本明細書において「巻き出され」という用語は、カーカス補強材がこれが繋留されている環状補強構造体のうちの少なくとも1つから部分的に又は完全に離脱状態になることを意味している。カーカス補強材の巻き戻りにより引き起こされる損傷は、環状繋留構造体周りの高い捩じり応力を環状構造体とカーカス補強材との間のこの領域におけるこのビードのエラストマーコンポーネントの著しい熱劣化を組み合わせた組み合わせ作用と関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6820670号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、中くらい又は高いトン数の「重」車両に取り付けられるようになったビードの耐久性を向上させ、特に、このビードがカーカス補強材の巻き戻りに抵抗する能力を高めることにある。
【0008】
この目的は、タイヤであって、
‐トレッドを載せたクラウン補強材を含むクラウンと、
‐クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォールと、
‐サイドウォールの半径方向内側に設けられていて、各々が最大軸方向寸法Lを備えた少なくとも1つの環状補強構造体を有する2つのビードと、
‐クラウンからサイドウォールを通ってビードまで延びる到来部分及び巻き上げ部分を形成するよう環状補強構造体の周りに巻き上げられることによってビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材と、
‐任意の半径方向断面で見て、環状補強構造体を包囲したクッションゴムと、
‐環状補強構造体及びクッションゴムによって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材とを有し、拘束構造体が、任意の半径方向断面で見て、カーカス補強材の到来部分と巻き上げ部分との間に軸方向に位置している、タイヤにおいて、
タイヤが適当なリムに取り付けられてその使用圧力までインフレートされたときに、任意の断面で見て、
‐環状補強構造体及びクッションゴムにより形成された組立体の断面SEは、環状補強構造体の断面STの1.6倍以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SUは、環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが高い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SDは、環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SOは、環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向外側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SIは、環状補強構造体の断面STの10%以上である、タイヤを用いて達成される。
【0009】
拘束補強材は、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所を通る半径方向の軸方向外側に位置したクッションゴムの少なくとも一部を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所から半径方向内方に延びる第1の拘束補強材部分と、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所を通る半径方向の軸方向内側に位置したクッションゴムの少なくとも一部を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所から半径方向内方に延びる第2の拘束補強材部分とを有し、第1の拘束補強材部分と第2の拘束補強材部分は、オーバーラップを形成するよう互いに出会っている。好ましくは、オーバーラップの少なくとも一部は、環状補強構造体の半径方向内側に位置する。この構成は、オーバーラップを環状補強構造体とタイヤが取り付けられている取り付けリムとの間に所与のタイトネス範囲で位置させることによりオーバーラップの保持具合を向上させるという利点を有する。
【0010】
本発明のタイヤにより、(1)位置が拘束補強材により時間が経っても維持されるエラストマー「クッション」を介在させることによりカーカス補強材の耐久性を向上させることができると同時に(2)ビードがクッションゴム中への捩じり荷重の広がりによって、更に、ビードのエラストマーコンポーネントの熱劣化の結果としてのかかるエラストマーコンポーネントの流動を制限することによってカーカス補強材の巻き戻りに抵抗する能力を向上させることができる。
【0011】
有利な一実施形態によれば、軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SUは、環状補強構造体の断面STの50%以上である。この形式の実施形態は、大抵の場合クッションゴムよりも剛性が高く且つ密度の高い環状補強構造体により占められる容積を犠牲にして、クッションゴムにより占められる容積を増大させることに対応している。これは、ビードの重量を減少させると同時にビードワイヤ及びクッションゴムにより形成される組立体に関する同一の外側幾何学的形状を維持し、カーカス補強材がタイヤの作動中に撓みやすくするという利点を有する。
【0012】
有利な一実施形態では、任意の半径方向断面で見て、オーバーラップのラインの2つの端は、環状補強構造体の半径方向最も外側の箇所の半径方向内側に位置している。より好ましくは、任意の半径方向断面で見て、オーバーラップのラインの2つの端は、環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所の半径方向内側に位置している。補強材の端は、大抵の場合、近くのエラストマーコンポーネント中の亀裂の開始の源である。これら形式の実施形態により、これらの端を小さな応力下にある領域中に位置決めすることができる。
【0013】
有利な一実施形態によれば、オーバーラップのラインは、2つの端相互間の長さにわたって延び、この長さは、条件式L/4≦R≦3L/2を満たす、より好ましくは条件式L/2≦R≦Lを満たす。この実施形態は、端のところのしっかりとした保持を保証するのに十分長いが、これら端を環状補強構造体の周りに折り曲げるのを困難にするほど長くはない長さRを得る上で賢明な妥協策である。
【0014】
有利な一実施形態では、断面SU及び断面SDの平均半径方向厚さ及び断面SI及び断面SOの平均軸方向厚さは、2mmを超える。一方において環状構造体と他方において拘束補強材及びカーカス補強材との間の効果的な保護を与えるよう断面SUの平均半径方向厚さが4mmを超えることは、有利な場合がある。
【0015】
好ましい一実施形態によれば、断面SU及び断面SDの最小半径方向厚さ及び断面SI及び断面SOの最小軸方向厚さは、0.5mmを超える。この場合、これにより、一方において環状構造体と他方において拘束補強材及びカーカス補強材との接触が回避される。
【0016】
有利な一実施形態によれば、オーバーラップの付近において、各軸方向位置に関し、第2の拘束補強材部分は、第1の拘束補強材部分の半径方向外側に位置している。この形態では、タイヤのカーカス補強材は、タイヤが転動しているときに、拘束補強材に加わる応力を生じさせ、これらは、オーバーラップを維持する傾向がある。
【0017】
好ましくは、環状補強構造体及びクッションゴムによって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材は、周方向と角度アルファをなす少なくとも複数本の相互に平行なフィラメント状補強要素を有し、アルファは、45°以上且つ90°以下であり、より好ましくは65°以上且つ90°以下であり、更により好ましくは80°以上且つ90°以下である。この特徴を備えた補強材は、最も大きな応力の働く方向に高い引っ張り弾性率を示すという利点を有する。
【0018】
本発明のタイヤの特徴は、テーパしたビードをシートリムに取り付けられるよう設計されたタイヤに使用できるので有利である。これは、アスペクト比(H/B)が小さいこれらタイヤが、巻き戻りによる損傷を受けやすいカーカス補強材折り返しに関して短い長さを有しているからである。
【0019】
当然のことながら、ビードの耐巻き戻り性を最適化するために本発明の2つ又は3つ以上の実施形態を組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】先行技術のタイヤを概略的に示す図である。
【図2】先行技術のタイヤの概略部分斜視図である。
【図3】先行技術のタイヤの1/4の半径方向断面図である。
【図4】タイヤの高さHをどのように定めるかを示す図である。
【図5】先行技術のタイヤのビードの半径方向断面図である。
【図6】本発明のタイヤのビードの半径方向断面図である。
【図7A】環状補強構造体が複数本の被覆細線で作られている場合に環状補強構造体の断面をどのように定めるかを示す図である。
【図7B】環状補強構造体が複数本の被覆細線で作られている場合に環状補強構造体の断面をどのように定めるかを示す図である。
【図7C】環状補強構造体が複数本の被覆細線で作られている場合に環状補強構造体の断面をどのように定めるかを示す図である。
【図8A】本発明のタイヤの定義において言及した一断面を示す図である。
【図8B】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図8C】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図8D】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図8E】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図9】図6の細部に対応した図である。
【図10】「オーバーラップのライン」についての技術的内容を示す図である。
【図11】環状補強構造体及びクッションゴムで形成された組立体周りの拘束補強材の折り曲げの仕方を示す図である。
【図12】環状補強構造体及びクッションゴムで形成された組立体周りの拘束補強材の螺旋巻きの仕方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「半径方向」という用語を用いる際、当業者により行われるこの言葉についての種々の異なる使い方を区別することが妥当である。まず第1に、この表現は、タイヤの半径を意味している。この意味では、点Aは、これが点Bよりもタイヤの回転軸線の近くに位置する場合、点B「の内側に半径方向に」(又は点B「の半径方向内側に」)位置すると呼ばれる。これとは逆に、点Cは、これが点Eよりもタイヤの回転軸線から遠くに位置する場合、点E「の外側に半径方向に」(又は点E「の半径方向外側に」)位置すると呼ばれる。進行が小さい半径(又は大きい半径)の方向に行われている場合、進行は、「半径方向内方(又は半径方向外方)」に行われていると呼ばれる。半径方向距離に関する場合にも、かかる用語のこの意味が当てはまる。
【0022】
これとは対照的に、細線又は補強材は、細線又は補強材の補強要素が周方向と80°以上且つ90°以下の角度をなす場合に「半径方向」と呼ばれる。指定されるべきこととして、本明細書においては、「細線」という用語は、全く一般的な意味で理解されなければならず、細線は、細線の構成材料又はゴムとのその結合性を促進するために被着される被膜とは無関係に、モノフィラメント、マルチフィラメント、コード、ヤーン(糸)又はこれらと同等の集成体の形態をした細線を含む。
【0023】
最後に、「半径方向断面」又は「半径方向横断面」という用語は、この場合、タイヤの回転軸線を含む平面に沿う断面又は横断面を意味している。
【0024】
「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向である。点Eは、これが点Fよりもタイヤの中間平面の近くに位置する場合、点F「の内側に軸方向に」(又は点F「の軸方向内側に」)位置すると呼ばれる。これとは逆に、点Gは、これが点Hよりもタイヤの中間平面から遠くに位置する場合、点H「の外側に軸方向に」(又は点H「の軸方向外側に」)位置すると呼ばれる。タイヤの「中間平面」は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ各ビードの環状補強構造体から等距離のところに位置する平面である。
【0025】
「周方向」は、タイヤの半径と軸方向の両方に対して垂直な方向である。
【0026】
2つ(又は2本)の補強要素は、本明細書においては、これら2つの補強要素相互間のなす角度が20°以下である場合に「平行」であると呼ばれる。
【0027】
本明細書において「ゴムコンパウンド(又はゴム配合物)」という表現は、少なくとも1種類のエラストマー及び少なくとも1種類の充填剤を含むコンパウンドである。
【0028】
タイヤ「トレッド」という用語は、2つの主要な表面及び側面によって画定されたゴムコンパウンドの塊を意味するものと理解され、主要な表面のうちの一方は、タイヤが転動する際に路面に接触するようになっている。
【0029】
「タイヤの内面」という表現は、この場合、タイヤをリムに装着してこれをインフレートさせたときにインフレーションガスと接触するようになっているタイヤの表面を意味する。
【0030】
図1は、先行技術のチューブレスタイヤ10を概略的に示している。タイヤ10は、トレッド40を載せたクラウン補強材(図1では見えない)を含むクラウンと、クラウンの半径方向内方の延長部として設けられた2つのサイドウォール30と、サイドウォール30の半径方向内側に設けられた2つのビード20とを有している。
【0031】
図2は、先行技術の別のチューブレスタイヤ10の部分斜視図であり、図2は、このタイヤの種々のコンポーネントを示している。タイヤ10は、インフレーションガスに対して不透過性であり、タイヤ10の内面を覆っているゴムコンパウンドで作られた「内側ライナ」50と、ゴムコンパウンドで被覆された細線61で作られているカーカス補強材60と、各々がタイヤ10をリム(図示せず)上に取り付け保持している環状補強構造体70を含む2つのビード20とを有している。カーカス補強材60は、ビード20の各々の中に繋留されている。タイヤ10は、2枚のプライ80,90を含むクラウン補強材を更に有している。プライ80,90は各々、各層中で平行であり且つ一方の層から他方の層にクロス掛けされていて、周方向と10°〜70°の角度をなす細線補強要素81,91によって補強されている。タイヤは、クラウン補強材の半径方向外側に位置決めされたたが掛け補強材100を更に有し、このたが掛け補強材は、周方向に差し向けられると共に螺旋巻きされた補強要素101で形成されている。トレッド40がたが掛け補強材上に配置されており、タイヤ10を路面に接触させるのはこのトレッド40である。
【0032】
図3は、先行技術のタイヤの1/4の概略半径方向断面図である。タイヤ10は、取り付けリム(図示せず)に接触するようになった2つのビード20を有し、各ビード20は、1つの環状補強構造体、この場合、ビードワイヤ70を有している。ビード20の半径方向外方の延長部として2つのサイドウォール30が設けられ、これらサイドウォール30は、補強材の第1の層80及び補強材の第2の層90で形成されていて、半径方向にトレッド40を載せているクラウン補強材を備えたクラウン25内で出会っている。各補強材層は、ゴムコンパウンドで形成されたマトリックスで被覆されている細線補強材から成る。各補強材層の補強材は、互いに実質的に平行であり、2つの層の補強材は、いわゆるラジアルタイヤに関し、当業者には周知のように約20°の角度をなして一方の層から他方の層にクロス掛けされている。
【0033】
タイヤ10は、ビード20からサイドウォール30を通ってクラウン25まで延びるカーカス補強材60を更に有する。このカーカス補強材60は、この場合、実質的に半径方向に差し向けられ、即ち、周方向と65°以上且つ90°以下の角度をなす細線状補強材から成っている。
【0034】
カーカス補強材60は、複数のカーカス補強要素から成り、これらカーカス補強要素は、各ビード20内に、到来部分61及び巻き上げ又は上折り曲げ部分62を形成するようビードワイヤ70の周りに巻き上げることにより2つのビード20内に繋留されている。巻き上げ部分は、環状ビード補強構造体の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離HBRのところに位置した端63まで半径方向外方に延びている。HEは、赤道から環状ビード補強構造体の半径方向最も内側の箇所71までの半径方向距離を示している。本明細書においてタイヤの「赤道」という用語は、タイヤがリムに取り付けられてその使用圧力までインフレートされたときにカーカス補強材の最大軸方向延長箇所の半径方向高さである。
【0035】
タイヤの「半径方向」高さHは、タイヤ10を取り付けリム5(図4に示されている)に取り付けてその使用圧力までインフレートさせたとき、ビード20の環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71とトレッド40の半径方向最も内側の箇所41(図4)との間の半径方向距離であると定義される。
【0036】
各ビードは、ビード充填剤110を更に有し、ビード充填剤は、ビードワイヤ70の半径方向外側で且つ良好な程度まで、カーカス補強材60の到来部分61と巻き上げ部分62との間に位置している。
【0037】
図5は、米国特許第6820670号明細書に開示されている先行技術のタイヤのビードの半径方向断面図である。テーパしたビードシートリム5に取り付けられるよう設計されているビード20は、複数本の周方向金属細線で形成された環状補強構造体70を有している。カーカス補強材は、クラウンからサイドウォールを通ってビードまで延びる到来部分及び巻き上げ部分を形成するよう環状補強構造体の周りに巻き上げられることによってビードの各々の中に繋留されている。拘束補強材120が環状補強構造体70及びビード充填剤ゴム110の硬さよりも高い硬さのゴムの或る程度の量の塊111で形成された組立体を包囲している。拘束補強材120は、カーカス補強材の到来部分61と巻き上げ部分62との間で軸方向に位置している。米国特許第6820670号明細書は、拘束補強材120が環状補強構造体70及びゴムの或る程度の量の塊111により形成された組立体の周りにどのように施されているかについては、記載していないが、拘束補強材がビードワイヤの周りに2回以上巻かれているという事実により、折り曲げ構造体ではなく、螺旋巻き構造体であることが示唆されている。
【0038】
かかるビードは、良好な耐久性を示すが、経験の示すところによれば、カーカス補強材の巻き戻り又は巻き出しが生じるという或る程度の恐れが依然として存在する。事実上、この種の解決策を用いた環状補強構造体の補剛は、この構造体とカーカス補強材との間に位置したエラストマーコンポーネントの剪断力を増大させる場合さえある。
【0039】
図6は、テーパしたビードシートリム(図示せず)に取り付けられるよう設計された本発明のタイヤのビード20の半径方向断面図である。ビード20は、ビードワイヤ70を有している。カーカス補強材は、クラウンからサイドウォールを通ってビード内に延びる到来部分61及び巻き上げ部分62を形成するようビードワイヤ70の周りへの巻き上げによってビード20内に繋留されている。「クッションゴム」112と通称されている所与の量のゴム配合物又はコンパウンドがビードワイヤ70を包囲している。クッションゴム112は、ビードワイヤ70の半径方向内側と半径方向外側の両方及び軸方向内側と軸方向外側の両方にゴムコンパウンドの部分が存在している場合にビードワイヤ70を「包囲する」。「包囲する」という技術的思想は、必ずしも、クッションゴムがビードワイヤの表面の全てを覆うことを意味しているわけではなく、この有利な特徴を含んでいると言うべきである。タイヤは、「補剛材(スチフナ)」と呼ばれている追加の補強材140を更に有する。この補強材は、ビードを衝撃から保護すると共にタイヤと路面との間の接触領域のカーカス補強材の非ラジアル化を制限するが、かかる補強材は、本発明のタイヤの必要不可欠な特徴を構成しているわけではない。
【0040】
拘束補強材121は、ビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体周りに折り曲げられ、この拘束補強材121は、カーカス補強材の到来部分61と巻き上げ部分62との間に軸方向に位置している。拘束補強材121が組立体周りに「折り曲げられ」といった場合、このことは、本発明の拘束補強材が図11に示されているようにシガレットペーパのように折り曲げられていることを意味しており、拘束補強材121は、ビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体の周りにぐるりと布設されると共に周囲に沿って折り曲げられている。この折り曲げ方法は、拘束補強材121がビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体の一ターン全体にわたって螺旋に巻回されるそれ自体周知であり且つ図12に示された螺旋巻回と比較して有利である。というのは、折り曲げは、実施するのが非常に迅速であり且つ伴う製造費が低いからである。
【0041】
任意の半径方向断面で見て、タイヤを適当なリム(図示せず)に取り付けてその使用圧力までインフレートさせたとき、ビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体の断面SE(又は、換言すると、拘束補強材121により画定された断面)は、環状補強構造体の断面STの1.6倍以上である。この特定の場合、SE/ST=2.8である。
【0042】
環状補強構造体70がゴムコンパウンドで被覆された複数本の細線で形成されている場合(図5の場合)、環状補強構造体の断面STが図7A〜図7Cに示された仕方で定められるとする。被覆ゴムは、無視され、考慮対象の半径方向断面(図7A)に環状補強構造体を形成するのは、細線72の輪郭である。想像上の弾性バンド150が環状補強構造体(図7B)の周りに配置され、この想像上の弾性バンド150は、収縮するようになっている(図7Bの矢印を参照されたい)。環状補強構造体の断面STは、想像上の弾性バンド150が図7Cに示されているように可能な限りに収縮した場合(即ち、環状補強構造体が所与の場合、ループの長さがその可能な限り最も小さい値まで減少した場合)かかる想像上の弾性バンド150により画定される断面に相当している。
【0043】
軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SUは、環状補強構造体の断面STの20%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SU/ST=0.9である。
【0044】
軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが高い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SDは、環状補強構造体の断面STの20%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SD/ST=0.36である。
【0045】
半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SOは、環状補強構造体の断面STの20%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SO/ST=0.36である。
【0046】
最後に、半径方向位置が同一であるが、軸方向外側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SIは、環状補強構造体の断面STの10%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SI/ST=0.18である。
【0047】
図6を分かりにくくしないようにするために、種々の断面は、示されていないが、その代わりに、恣意的な環状補強構造体70及び恣意的なクッションゴム112について図8A〜図8Eに示されている。対応のタイヤの中間平面130は、図の右側に位置しているものと過程され、したがって、箇所P3は、別の箇所P4よりも高い位置にあり、かかる箇所P3は、箇所P4よりも一段と半径方向外側寄りに位置するようになっている。
【0048】
定義上、クッションゴム112の部分の断面SUは、軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成される。したがって、この断面は、環状補強構造体70の軸方向端を通る半径方向201,202をプロットし、半径方向201,202相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8B)の半径方向外側に位置したクッションゴム112の部分の断面を採用することによって得られる。類推によって、SDは、半径方向201,202相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8C)の半径方向内側に位置したクッションゴム112の部分の断面部分に対応している。
【0049】
同様に、定義上、クッションゴムの部分の断面SOは、半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成される。したがって、この断面は、環状補強構造体70の半径方向端を通る軸方向203,204をプロットし、軸方向203,204相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8D)の軸方向外側に位置したクッションゴム112の部分の断面を採用することによって得られる。類推によって、SIは、軸方向203,204相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8E)の軸方向内側に位置したクッションゴム112の部分の断面部分に対応している。
【0050】
図9は、図6のビードの拘束補強材121、ビードワイヤ70及びクッションゴム112を示している。拘束補強材は、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所122を通る半径方向210の軸方向外側に位置したクッションゴムの少なくとも一部113を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所122から半径方向内方に延びる第1の拘束補強材部分123と、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所を通る半径方向210の軸方向内側に位置したクッションゴムの少なくとも一部114を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所122から半径方向内方に延びる第2の拘束補強材124とを有し、第1の拘束補強材部分123と第2の拘束補強材部分124は、環状補強構造体70の半径方向内側にオーバーラップ160を形成するよう互いに出会っている。
【0051】
この特定の場合、オーバーラップ160のラインの2つの端171,172は、環状補強構造体の半径方向最も外側の箇所の半径方向内側に位置している。2つの端171,172を環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所の半径方向内側に位置させることが有利な場合がある。
【0052】
図10は、拘束補強材の半径方向最も内側の端125で開始して「オーバーラップのライン」をどのようにして得るかを示している。方向220を拘束補強材のこの箇所125に垂直に定めると共に箇所171が2つの拘束補強材部分相互間の中間に位置しているものと見なす。この箇所171は、オーバーラップのラインの端のうちの一方を形成する。次に、拘束補強材の半径方向最も内側の端125を有する拘束補強材部分(この場合、部分123)を辿る。オーバーラップの付近のこの拘束補強材部分上の各箇所に関し、かかる拘束補強材部分に垂直な方向に2つの拘束補強材部分相互間の中間に位置した箇所をプロットする。すると、これにより、オーバーラップのライン又はプロットTが得られる。
【0053】
好ましくは、オーバーラップのラインは、2つの端相互間の距離Rにわたって延び、長さRは、条件式L/4≦R≦3L/2を満たし、好ましくは、条件式L/2≦R≦Lを満たし、Lは、環状補強構造体70(図9参照)の最大軸方向寸法である。この特定の場合、R/L=0.65である。
【0054】
断面SU及び断面SDの平均半径方向厚さ及び断面SI及び断面SOの平均軸方向厚さは、2mmを超える。図6に示されている実施形態では、断面SUの平均半径方向厚さは、5mmであり、断面SDの平均半径方向厚さは、2mmであり、断面SOの平均軸方向厚さは、2mmであり、断面SIの平均軸方向厚さは、1mmである。
【0055】
断面SU,SDの最小半径方向厚さ及び断面SI,SOの最小軸方向厚さが0.5mmを超えることが好ましいが、ビードワイヤ70と拘束補強材121との間のあらゆる接触を回避することが常に可能であるわけではなく、図6に示されているビードでは、2つの接触箇所が存在する。
【0056】
図9で理解できるように、オーバーラップの付近において、各軸方向位置に関し、第2の拘束補強材部分124は、第1の拘束補強材部分123の半径方向外側に位置している。この特定の構成は、カーカス補強材により環状構造体に加えられる荷重が拘束補強材121を閉鎖させる傾向があるという利点を有する。
【0057】
環状補強構造体70及びクッションゴム112によって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材121は、周方向と角度アルファをなす少なくとも複数本の相互に平行なフィラメント状補強要素を有し、アルファは、45°以上且つ90°以下であり、この特定の場合、80°である。
【0058】
図6に示されたタイヤは、カーカス補強材の巻き出しに対するこのビードの良好な抵抗を示す。従来型ビードを備えたコントロールタイヤに対して“XZA1”という名称で知られているトレッドパターンを備えた295/80R22.5型のタイヤを用いてこの解決策について実施した試験の示すところによれば、カーカスが巻き出されて分離状態になる前に加熱状態のリムで走行した距離が20%増えた。さらに、この試験は、折り曲げ解決策によりビードワイヤを製造するのに要する時間が螺旋巻回型の解決策と比較して半分になったということを実証することができた。最後に、この同一サイズのタイヤに関し、米国特許第6820670号に記載されたビードと提案した解決策を比較した有限要素計算法は、カーカス補強材と拘束補強材との間に位置した領域の剪断荷重について30%の減少を実証した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関し、特に、中くらいの又は大きなトン数の「重」車両、例えばローリ、バス又はトレーラに装着されるようになったタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
大抵のタイヤ、特に、「重」型式の車両に取り付けられるようになったタイヤは、
‐半径方向外側に向かってトレッドを載せたクラウン補強材を含むクラウンを有し、トレッドの機能は、走行時に路面との接触を可能にすることにあり、
‐クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォールを有し、
‐サイドウォールの半径方向内側に設けられていて、各々が、大抵の場合、ビードワイヤの形態の少なくとも1つの環状補強構造体を有する2つのビードを有し、ビードは、タイヤ取付リムと共同するようになっており、
‐クラウンからサイドウォールを通ってビードまで延びる到来部分及び巻き上げ(又は上折り曲げ)部分を形成するよう環状補強構造体の周りに巻き上げられることによってビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材を有し、巻き上げ部分は、カーカス補強材の巻き上げ部に対応し、巻き上げ部分は、大抵の場合、到来部分の軸方向外側に位置している。
【0003】
タイヤのビードは、応力の高い領域である。力がタイヤに及ぼされると、カーカス補強材は、ビードワイヤに対してずれる場合がある。カーカス補強材とビードワイヤの接触により、カーカス補強材が損傷を受け又はそれどころか破断する場合がある。
【0004】
米国特許第6820670号明細書は、繊維強化ゴム配合物又はコンパウンドで形成された複合材をビードワイヤとカーカス補強材との間に位置決めすることによってこの問題に対する解決策を提案している。
【0005】
この解決策は、ビードの耐久性に著しい改善結果を与えるが、カーカス補強材が巻き戻り状態になるという或る程度の恐れが残されている。本明細書において「巻き出され」という用語は、カーカス補強材がこれが繋留されている環状補強構造体のうちの少なくとも1つから部分的に又は完全に離脱状態になることを意味している。カーカス補強材の巻き戻りにより引き起こされる損傷は、環状繋留構造体周りの高い捩じり応力を環状構造体とカーカス補強材との間のこの領域におけるこのビードのエラストマーコンポーネントの著しい熱劣化を組み合わせた組み合わせ作用と関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6820670号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、中くらい又は高いトン数の「重」車両に取り付けられるようになったビードの耐久性を向上させ、特に、このビードがカーカス補強材の巻き戻りに抵抗する能力を高めることにある。
【0008】
この目的は、タイヤであって、
‐トレッドを載せたクラウン補強材を含むクラウンと、
‐クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォールと、
‐サイドウォールの半径方向内側に設けられていて、各々が最大軸方向寸法Lを備えた少なくとも1つの環状補強構造体を有する2つのビードと、
‐クラウンからサイドウォールを通ってビードまで延びる到来部分及び巻き上げ部分を形成するよう環状補強構造体の周りに巻き上げられることによってビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材と、
‐任意の半径方向断面で見て、環状補強構造体を包囲したクッションゴムと、
‐環状補強構造体及びクッションゴムによって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材とを有し、拘束構造体が、任意の半径方向断面で見て、カーカス補強材の到来部分と巻き上げ部分との間に軸方向に位置している、タイヤにおいて、
タイヤが適当なリムに取り付けられてその使用圧力までインフレートされたときに、任意の断面で見て、
‐環状補強構造体及びクッションゴムにより形成された組立体の断面SEは、環状補強構造体の断面STの1.6倍以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SUは、環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが高い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SDは、環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SOは、環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向外側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SIは、環状補強構造体の断面STの10%以上である、タイヤを用いて達成される。
【0009】
拘束補強材は、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所を通る半径方向の軸方向外側に位置したクッションゴムの少なくとも一部を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所から半径方向内方に延びる第1の拘束補強材部分と、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所を通る半径方向の軸方向内側に位置したクッションゴムの少なくとも一部を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所から半径方向内方に延びる第2の拘束補強材部分とを有し、第1の拘束補強材部分と第2の拘束補強材部分は、オーバーラップを形成するよう互いに出会っている。好ましくは、オーバーラップの少なくとも一部は、環状補強構造体の半径方向内側に位置する。この構成は、オーバーラップを環状補強構造体とタイヤが取り付けられている取り付けリムとの間に所与のタイトネス範囲で位置させることによりオーバーラップの保持具合を向上させるという利点を有する。
【0010】
本発明のタイヤにより、(1)位置が拘束補強材により時間が経っても維持されるエラストマー「クッション」を介在させることによりカーカス補強材の耐久性を向上させることができると同時に(2)ビードがクッションゴム中への捩じり荷重の広がりによって、更に、ビードのエラストマーコンポーネントの熱劣化の結果としてのかかるエラストマーコンポーネントの流動を制限することによってカーカス補強材の巻き戻りに抵抗する能力を向上させることができる。
【0011】
有利な一実施形態によれば、軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成されたクッションゴムの部分の断面SUは、環状補強構造体の断面STの50%以上である。この形式の実施形態は、大抵の場合クッションゴムよりも剛性が高く且つ密度の高い環状補強構造体により占められる容積を犠牲にして、クッションゴムにより占められる容積を増大させることに対応している。これは、ビードの重量を減少させると同時にビードワイヤ及びクッションゴムにより形成される組立体に関する同一の外側幾何学的形状を維持し、カーカス補強材がタイヤの作動中に撓みやすくするという利点を有する。
【0012】
有利な一実施形態では、任意の半径方向断面で見て、オーバーラップのラインの2つの端は、環状補強構造体の半径方向最も外側の箇所の半径方向内側に位置している。より好ましくは、任意の半径方向断面で見て、オーバーラップのラインの2つの端は、環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所の半径方向内側に位置している。補強材の端は、大抵の場合、近くのエラストマーコンポーネント中の亀裂の開始の源である。これら形式の実施形態により、これらの端を小さな応力下にある領域中に位置決めすることができる。
【0013】
有利な一実施形態によれば、オーバーラップのラインは、2つの端相互間の長さにわたって延び、この長さは、条件式L/4≦R≦3L/2を満たす、より好ましくは条件式L/2≦R≦Lを満たす。この実施形態は、端のところのしっかりとした保持を保証するのに十分長いが、これら端を環状補強構造体の周りに折り曲げるのを困難にするほど長くはない長さRを得る上で賢明な妥協策である。
【0014】
有利な一実施形態では、断面SU及び断面SDの平均半径方向厚さ及び断面SI及び断面SOの平均軸方向厚さは、2mmを超える。一方において環状構造体と他方において拘束補強材及びカーカス補強材との間の効果的な保護を与えるよう断面SUの平均半径方向厚さが4mmを超えることは、有利な場合がある。
【0015】
好ましい一実施形態によれば、断面SU及び断面SDの最小半径方向厚さ及び断面SI及び断面SOの最小軸方向厚さは、0.5mmを超える。この場合、これにより、一方において環状構造体と他方において拘束補強材及びカーカス補強材との接触が回避される。
【0016】
有利な一実施形態によれば、オーバーラップの付近において、各軸方向位置に関し、第2の拘束補強材部分は、第1の拘束補強材部分の半径方向外側に位置している。この形態では、タイヤのカーカス補強材は、タイヤが転動しているときに、拘束補強材に加わる応力を生じさせ、これらは、オーバーラップを維持する傾向がある。
【0017】
好ましくは、環状補強構造体及びクッションゴムによって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材は、周方向と角度アルファをなす少なくとも複数本の相互に平行なフィラメント状補強要素を有し、アルファは、45°以上且つ90°以下であり、より好ましくは65°以上且つ90°以下であり、更により好ましくは80°以上且つ90°以下である。この特徴を備えた補強材は、最も大きな応力の働く方向に高い引っ張り弾性率を示すという利点を有する。
【0018】
本発明のタイヤの特徴は、テーパしたビードをシートリムに取り付けられるよう設計されたタイヤに使用できるので有利である。これは、アスペクト比(H/B)が小さいこれらタイヤが、巻き戻りによる損傷を受けやすいカーカス補強材折り返しに関して短い長さを有しているからである。
【0019】
当然のことながら、ビードの耐巻き戻り性を最適化するために本発明の2つ又は3つ以上の実施形態を組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】先行技術のタイヤを概略的に示す図である。
【図2】先行技術のタイヤの概略部分斜視図である。
【図3】先行技術のタイヤの1/4の半径方向断面図である。
【図4】タイヤの高さHをどのように定めるかを示す図である。
【図5】先行技術のタイヤのビードの半径方向断面図である。
【図6】本発明のタイヤのビードの半径方向断面図である。
【図7A】環状補強構造体が複数本の被覆細線で作られている場合に環状補強構造体の断面をどのように定めるかを示す図である。
【図7B】環状補強構造体が複数本の被覆細線で作られている場合に環状補強構造体の断面をどのように定めるかを示す図である。
【図7C】環状補強構造体が複数本の被覆細線で作られている場合に環状補強構造体の断面をどのように定めるかを示す図である。
【図8A】本発明のタイヤの定義において言及した一断面を示す図である。
【図8B】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図8C】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図8D】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図8E】本発明のタイヤの定義において言及した別の断面を示す図である。
【図9】図6の細部に対応した図である。
【図10】「オーバーラップのライン」についての技術的内容を示す図である。
【図11】環状補強構造体及びクッションゴムで形成された組立体周りの拘束補強材の折り曲げの仕方を示す図である。
【図12】環状補強構造体及びクッションゴムで形成された組立体周りの拘束補強材の螺旋巻きの仕方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「半径方向」という用語を用いる際、当業者により行われるこの言葉についての種々の異なる使い方を区別することが妥当である。まず第1に、この表現は、タイヤの半径を意味している。この意味では、点Aは、これが点Bよりもタイヤの回転軸線の近くに位置する場合、点B「の内側に半径方向に」(又は点B「の半径方向内側に」)位置すると呼ばれる。これとは逆に、点Cは、これが点Eよりもタイヤの回転軸線から遠くに位置する場合、点E「の外側に半径方向に」(又は点E「の半径方向外側に」)位置すると呼ばれる。進行が小さい半径(又は大きい半径)の方向に行われている場合、進行は、「半径方向内方(又は半径方向外方)」に行われていると呼ばれる。半径方向距離に関する場合にも、かかる用語のこの意味が当てはまる。
【0022】
これとは対照的に、細線又は補強材は、細線又は補強材の補強要素が周方向と80°以上且つ90°以下の角度をなす場合に「半径方向」と呼ばれる。指定されるべきこととして、本明細書においては、「細線」という用語は、全く一般的な意味で理解されなければならず、細線は、細線の構成材料又はゴムとのその結合性を促進するために被着される被膜とは無関係に、モノフィラメント、マルチフィラメント、コード、ヤーン(糸)又はこれらと同等の集成体の形態をした細線を含む。
【0023】
最後に、「半径方向断面」又は「半径方向横断面」という用語は、この場合、タイヤの回転軸線を含む平面に沿う断面又は横断面を意味している。
【0024】
「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向である。点Eは、これが点Fよりもタイヤの中間平面の近くに位置する場合、点F「の内側に軸方向に」(又は点F「の軸方向内側に」)位置すると呼ばれる。これとは逆に、点Gは、これが点Hよりもタイヤの中間平面から遠くに位置する場合、点H「の外側に軸方向に」(又は点H「の軸方向外側に」)位置すると呼ばれる。タイヤの「中間平面」は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ各ビードの環状補強構造体から等距離のところに位置する平面である。
【0025】
「周方向」は、タイヤの半径と軸方向の両方に対して垂直な方向である。
【0026】
2つ(又は2本)の補強要素は、本明細書においては、これら2つの補強要素相互間のなす角度が20°以下である場合に「平行」であると呼ばれる。
【0027】
本明細書において「ゴムコンパウンド(又はゴム配合物)」という表現は、少なくとも1種類のエラストマー及び少なくとも1種類の充填剤を含むコンパウンドである。
【0028】
タイヤ「トレッド」という用語は、2つの主要な表面及び側面によって画定されたゴムコンパウンドの塊を意味するものと理解され、主要な表面のうちの一方は、タイヤが転動する際に路面に接触するようになっている。
【0029】
「タイヤの内面」という表現は、この場合、タイヤをリムに装着してこれをインフレートさせたときにインフレーションガスと接触するようになっているタイヤの表面を意味する。
【0030】
図1は、先行技術のチューブレスタイヤ10を概略的に示している。タイヤ10は、トレッド40を載せたクラウン補強材(図1では見えない)を含むクラウンと、クラウンの半径方向内方の延長部として設けられた2つのサイドウォール30と、サイドウォール30の半径方向内側に設けられた2つのビード20とを有している。
【0031】
図2は、先行技術の別のチューブレスタイヤ10の部分斜視図であり、図2は、このタイヤの種々のコンポーネントを示している。タイヤ10は、インフレーションガスに対して不透過性であり、タイヤ10の内面を覆っているゴムコンパウンドで作られた「内側ライナ」50と、ゴムコンパウンドで被覆された細線61で作られているカーカス補強材60と、各々がタイヤ10をリム(図示せず)上に取り付け保持している環状補強構造体70を含む2つのビード20とを有している。カーカス補強材60は、ビード20の各々の中に繋留されている。タイヤ10は、2枚のプライ80,90を含むクラウン補強材を更に有している。プライ80,90は各々、各層中で平行であり且つ一方の層から他方の層にクロス掛けされていて、周方向と10°〜70°の角度をなす細線補強要素81,91によって補強されている。タイヤは、クラウン補強材の半径方向外側に位置決めされたたが掛け補強材100を更に有し、このたが掛け補強材は、周方向に差し向けられると共に螺旋巻きされた補強要素101で形成されている。トレッド40がたが掛け補強材上に配置されており、タイヤ10を路面に接触させるのはこのトレッド40である。
【0032】
図3は、先行技術のタイヤの1/4の概略半径方向断面図である。タイヤ10は、取り付けリム(図示せず)に接触するようになった2つのビード20を有し、各ビード20は、1つの環状補強構造体、この場合、ビードワイヤ70を有している。ビード20の半径方向外方の延長部として2つのサイドウォール30が設けられ、これらサイドウォール30は、補強材の第1の層80及び補強材の第2の層90で形成されていて、半径方向にトレッド40を載せているクラウン補強材を備えたクラウン25内で出会っている。各補強材層は、ゴムコンパウンドで形成されたマトリックスで被覆されている細線補強材から成る。各補強材層の補強材は、互いに実質的に平行であり、2つの層の補強材は、いわゆるラジアルタイヤに関し、当業者には周知のように約20°の角度をなして一方の層から他方の層にクロス掛けされている。
【0033】
タイヤ10は、ビード20からサイドウォール30を通ってクラウン25まで延びるカーカス補強材60を更に有する。このカーカス補強材60は、この場合、実質的に半径方向に差し向けられ、即ち、周方向と65°以上且つ90°以下の角度をなす細線状補強材から成っている。
【0034】
カーカス補強材60は、複数のカーカス補強要素から成り、これらカーカス補強要素は、各ビード20内に、到来部分61及び巻き上げ又は上折り曲げ部分62を形成するようビードワイヤ70の周りに巻き上げることにより2つのビード20内に繋留されている。巻き上げ部分は、環状ビード補強構造体の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離HBRのところに位置した端63まで半径方向外方に延びている。HEは、赤道から環状ビード補強構造体の半径方向最も内側の箇所71までの半径方向距離を示している。本明細書においてタイヤの「赤道」という用語は、タイヤがリムに取り付けられてその使用圧力までインフレートされたときにカーカス補強材の最大軸方向延長箇所の半径方向高さである。
【0035】
タイヤの「半径方向」高さHは、タイヤ10を取り付けリム5(図4に示されている)に取り付けてその使用圧力までインフレートさせたとき、ビード20の環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71とトレッド40の半径方向最も内側の箇所41(図4)との間の半径方向距離であると定義される。
【0036】
各ビードは、ビード充填剤110を更に有し、ビード充填剤は、ビードワイヤ70の半径方向外側で且つ良好な程度まで、カーカス補強材60の到来部分61と巻き上げ部分62との間に位置している。
【0037】
図5は、米国特許第6820670号明細書に開示されている先行技術のタイヤのビードの半径方向断面図である。テーパしたビードシートリム5に取り付けられるよう設計されているビード20は、複数本の周方向金属細線で形成された環状補強構造体70を有している。カーカス補強材は、クラウンからサイドウォールを通ってビードまで延びる到来部分及び巻き上げ部分を形成するよう環状補強構造体の周りに巻き上げられることによってビードの各々の中に繋留されている。拘束補強材120が環状補強構造体70及びビード充填剤ゴム110の硬さよりも高い硬さのゴムの或る程度の量の塊111で形成された組立体を包囲している。拘束補強材120は、カーカス補強材の到来部分61と巻き上げ部分62との間で軸方向に位置している。米国特許第6820670号明細書は、拘束補強材120が環状補強構造体70及びゴムの或る程度の量の塊111により形成された組立体の周りにどのように施されているかについては、記載していないが、拘束補強材がビードワイヤの周りに2回以上巻かれているという事実により、折り曲げ構造体ではなく、螺旋巻き構造体であることが示唆されている。
【0038】
かかるビードは、良好な耐久性を示すが、経験の示すところによれば、カーカス補強材の巻き戻り又は巻き出しが生じるという或る程度の恐れが依然として存在する。事実上、この種の解決策を用いた環状補強構造体の補剛は、この構造体とカーカス補強材との間に位置したエラストマーコンポーネントの剪断力を増大させる場合さえある。
【0039】
図6は、テーパしたビードシートリム(図示せず)に取り付けられるよう設計された本発明のタイヤのビード20の半径方向断面図である。ビード20は、ビードワイヤ70を有している。カーカス補強材は、クラウンからサイドウォールを通ってビード内に延びる到来部分61及び巻き上げ部分62を形成するようビードワイヤ70の周りへの巻き上げによってビード20内に繋留されている。「クッションゴム」112と通称されている所与の量のゴム配合物又はコンパウンドがビードワイヤ70を包囲している。クッションゴム112は、ビードワイヤ70の半径方向内側と半径方向外側の両方及び軸方向内側と軸方向外側の両方にゴムコンパウンドの部分が存在している場合にビードワイヤ70を「包囲する」。「包囲する」という技術的思想は、必ずしも、クッションゴムがビードワイヤの表面の全てを覆うことを意味しているわけではなく、この有利な特徴を含んでいると言うべきである。タイヤは、「補剛材(スチフナ)」と呼ばれている追加の補強材140を更に有する。この補強材は、ビードを衝撃から保護すると共にタイヤと路面との間の接触領域のカーカス補強材の非ラジアル化を制限するが、かかる補強材は、本発明のタイヤの必要不可欠な特徴を構成しているわけではない。
【0040】
拘束補強材121は、ビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体周りに折り曲げられ、この拘束補強材121は、カーカス補強材の到来部分61と巻き上げ部分62との間に軸方向に位置している。拘束補強材121が組立体周りに「折り曲げられ」といった場合、このことは、本発明の拘束補強材が図11に示されているようにシガレットペーパのように折り曲げられていることを意味しており、拘束補強材121は、ビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体の周りにぐるりと布設されると共に周囲に沿って折り曲げられている。この折り曲げ方法は、拘束補強材121がビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体の一ターン全体にわたって螺旋に巻回されるそれ自体周知であり且つ図12に示された螺旋巻回と比較して有利である。というのは、折り曲げは、実施するのが非常に迅速であり且つ伴う製造費が低いからである。
【0041】
任意の半径方向断面で見て、タイヤを適当なリム(図示せず)に取り付けてその使用圧力までインフレートさせたとき、ビードワイヤ70及びクッションゴム112により形成された組立体の断面SE(又は、換言すると、拘束補強材121により画定された断面)は、環状補強構造体の断面STの1.6倍以上である。この特定の場合、SE/ST=2.8である。
【0042】
環状補強構造体70がゴムコンパウンドで被覆された複数本の細線で形成されている場合(図5の場合)、環状補強構造体の断面STが図7A〜図7Cに示された仕方で定められるとする。被覆ゴムは、無視され、考慮対象の半径方向断面(図7A)に環状補強構造体を形成するのは、細線72の輪郭である。想像上の弾性バンド150が環状補強構造体(図7B)の周りに配置され、この想像上の弾性バンド150は、収縮するようになっている(図7Bの矢印を参照されたい)。環状補強構造体の断面STは、想像上の弾性バンド150が図7Cに示されているように可能な限りに収縮した場合(即ち、環状補強構造体が所与の場合、ループの長さがその可能な限り最も小さい値まで減少した場合)かかる想像上の弾性バンド150により画定される断面に相当している。
【0043】
軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SUは、環状補強構造体の断面STの20%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SU/ST=0.9である。
【0044】
軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが高い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SDは、環状補強構造体の断面STの20%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SD/ST=0.36である。
【0045】
半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SOは、環状補強構造体の断面STの20%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SO/ST=0.36である。
【0046】
最後に、半径方向位置が同一であるが、軸方向外側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成されたクッションゴム112の部分の断面SIは、環状補強構造体の断面STの10%以上である。図6に示されている実施形態の場合、SI/ST=0.18である。
【0047】
図6を分かりにくくしないようにするために、種々の断面は、示されていないが、その代わりに、恣意的な環状補強構造体70及び恣意的なクッションゴム112について図8A〜図8Eに示されている。対応のタイヤの中間平面130は、図の右側に位置しているものと過程され、したがって、箇所P3は、別の箇所P4よりも高い位置にあり、かかる箇所P3は、箇所P4よりも一段と半径方向外側寄りに位置するようになっている。
【0048】
定義上、クッションゴム112の部分の断面SUは、軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴム112の部分の箇所により形成される。したがって、この断面は、環状補強構造体70の軸方向端を通る半径方向201,202をプロットし、半径方向201,202相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8B)の半径方向外側に位置したクッションゴム112の部分の断面を採用することによって得られる。類推によって、SDは、半径方向201,202相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8C)の半径方向内側に位置したクッションゴム112の部分の断面部分に対応している。
【0049】
同様に、定義上、クッションゴムの部分の断面SOは、半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が環状補強構造体に設けられているクッションゴムの部分の箇所により形成される。したがって、この断面は、環状補強構造体70の半径方向端を通る軸方向203,204をプロットし、軸方向203,204相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8D)の軸方向外側に位置したクッションゴム112の部分の断面を採用することによって得られる。類推によって、SIは、軸方向203,204相互間に含まれると共に環状補強構造体70(図8E)の軸方向内側に位置したクッションゴム112の部分の断面部分に対応している。
【0050】
図9は、図6のビードの拘束補強材121、ビードワイヤ70及びクッションゴム112を示している。拘束補強材は、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所122を通る半径方向210の軸方向外側に位置したクッションゴムの少なくとも一部113を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所122から半径方向内方に延びる第1の拘束補強材部分123と、拘束補強材の半径方向最も外側の箇所を通る半径方向210の軸方向内側に位置したクッションゴムの少なくとも一部114を覆うよう拘束補強材の半径方向最も外側の箇所122から半径方向内方に延びる第2の拘束補強材124とを有し、第1の拘束補強材部分123と第2の拘束補強材部分124は、環状補強構造体70の半径方向内側にオーバーラップ160を形成するよう互いに出会っている。
【0051】
この特定の場合、オーバーラップ160のラインの2つの端171,172は、環状補強構造体の半径方向最も外側の箇所の半径方向内側に位置している。2つの端171,172を環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所の半径方向内側に位置させることが有利な場合がある。
【0052】
図10は、拘束補強材の半径方向最も内側の端125で開始して「オーバーラップのライン」をどのようにして得るかを示している。方向220を拘束補強材のこの箇所125に垂直に定めると共に箇所171が2つの拘束補強材部分相互間の中間に位置しているものと見なす。この箇所171は、オーバーラップのラインの端のうちの一方を形成する。次に、拘束補強材の半径方向最も内側の端125を有する拘束補強材部分(この場合、部分123)を辿る。オーバーラップの付近のこの拘束補強材部分上の各箇所に関し、かかる拘束補強材部分に垂直な方向に2つの拘束補強材部分相互間の中間に位置した箇所をプロットする。すると、これにより、オーバーラップのライン又はプロットTが得られる。
【0053】
好ましくは、オーバーラップのラインは、2つの端相互間の距離Rにわたって延び、長さRは、条件式L/4≦R≦3L/2を満たし、好ましくは、条件式L/2≦R≦Lを満たし、Lは、環状補強構造体70(図9参照)の最大軸方向寸法である。この特定の場合、R/L=0.65である。
【0054】
断面SU及び断面SDの平均半径方向厚さ及び断面SI及び断面SOの平均軸方向厚さは、2mmを超える。図6に示されている実施形態では、断面SUの平均半径方向厚さは、5mmであり、断面SDの平均半径方向厚さは、2mmであり、断面SOの平均軸方向厚さは、2mmであり、断面SIの平均軸方向厚さは、1mmである。
【0055】
断面SU,SDの最小半径方向厚さ及び断面SI,SOの最小軸方向厚さが0.5mmを超えることが好ましいが、ビードワイヤ70と拘束補強材121との間のあらゆる接触を回避することが常に可能であるわけではなく、図6に示されているビードでは、2つの接触箇所が存在する。
【0056】
図9で理解できるように、オーバーラップの付近において、各軸方向位置に関し、第2の拘束補強材部分124は、第1の拘束補強材部分123の半径方向外側に位置している。この特定の構成は、カーカス補強材により環状構造体に加えられる荷重が拘束補強材121を閉鎖させる傾向があるという利点を有する。
【0057】
環状補強構造体70及びクッションゴム112によって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材121は、周方向と角度アルファをなす少なくとも複数本の相互に平行なフィラメント状補強要素を有し、アルファは、45°以上且つ90°以下であり、この特定の場合、80°である。
【0058】
図6に示されたタイヤは、カーカス補強材の巻き出しに対するこのビードの良好な抵抗を示す。従来型ビードを備えたコントロールタイヤに対して“XZA1”という名称で知られているトレッドパターンを備えた295/80R22.5型のタイヤを用いてこの解決策について実施した試験の示すところによれば、カーカスが巻き出されて分離状態になる前に加熱状態のリムで走行した距離が20%増えた。さらに、この試験は、折り曲げ解決策によりビードワイヤを製造するのに要する時間が螺旋巻回型の解決策と比較して半分になったということを実証することができた。最後に、この同一サイズのタイヤに関し、米国特許第6820670号に記載されたビードと提案した解決策を比較した有限要素計算法は、カーカス補強材と拘束補強材との間に位置した領域の剪断荷重について30%の減少を実証した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(10)であって、
‐トレッド(40)を載せたクラウン補強材(80,90)を含むクラウン(25)と、
‐前記クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォール(30)と、
‐前記サイドウォールの半径方向内側に設けられていて、各々が最大軸方向寸法Lを備えた少なくとも1つの環状補強構造体(70)を有する2つのビード(20)と、
‐前記クラウンから前記サイドウォールを通って前記ビードまで延びる到来部分(61)及び巻き上げ部分(62)を形成するよう前記環状補強構造体の周りに巻き上げられることによって前記ビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材と、
‐任意の半径方向断面で見て、前記環状補強構造体を包囲したクッションゴム(112)と、
‐前記環状補強構造体及び前記クッションゴムによって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材(121)とを有し、前記拘束構造体が、任意の半径方向断面で見て、前記カーカス補強材の前記到来部分と前記巻き上げ部分との間に軸方向に位置している、タイヤにおいて、
前記タイヤが適当なリムに取り付けられてその使用圧力までインフレートされたときに、任意の断面で見て、
‐前記環状補強構造体(70)及び前記クッションゴム(112)により形成された前記組立体の前記断面SEは、前記環状補強構造体の断面STの1.6倍以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SUは、前記環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが高い少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SDは、前記環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SOは、前記環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向外側に位置した少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SIは、前記環状補強構造体の断面STの10%以上であり、
前記拘束補強材(121)は、前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)を通る半径方向(210)の軸方向外側に位置した前記クッションゴムの少なくとも一部(113)を覆うよう前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)から半径方向内方に延びる第1の拘束補強材部分(123)と、前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)を通る半径方向(210)の軸方向内側に位置した前記クッションゴムの少なくとも一部(114)を覆うよう前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)から半径方向内方に延びる第2の拘束補強材部分(124)とを有し、前記第1の拘束補強材部分(123)と前記第2の拘束補強材部分(124)は、オーバーラップ(160)を形成するよう互いに出会い、前記オーバーラップの少なくとも一部は、前記環状補強構造体(70)の半径方向内側に位置している、タイヤ。
【請求項2】
軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SUは、前記環状補強構造体の断面STの50%以上である、タイヤ。
【請求項3】
任意の半径方向断面で見て、前記オーバーラップ(160)のライン(T)の2つの端(171,172)は、前記環状補強構造体(70)の半径方向最も外側の箇所の半径方向内側に位置している、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
任意の半径方向断面で見て、前記オーバーラップ(160)のライン(T)の前記2つの端(171,172)は、前記環状補強構造体(70)の半径方向最も内側の箇所の半径方向内側に位置している、請求項3記載のタイヤ。
【請求項5】
前記オーバーラップ(160)の前記ライン(T)は、前記2つの端(171,172)相互間の長さ(R)にわたって延び、前記長さ(R)は、条件式L/4≦R≦3L/2を満たす、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記長さ(R)は、条件式L/2≦R≦Lを満たす、請求項5記載のタイヤ。
【請求項7】
前記断面SU及び前記断面SDの平均半径方向厚さ及び前記断面SI及び断面SOの平均軸方向厚さは、2mmを超える、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記断面SUの平均半径方向厚さは、4mmを超える、請求項7記載のタイヤ。
【請求項9】
前記断面SU及び前記断面SDの最小半径方向厚さ及び前記断面SI及び断面SOの最小軸方向厚さは、0.5mmを超える、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記オーバーラップ(160)の付近において、各軸方向位置に関し、前記第2の拘束補強材部分(124)は、前記第1の拘束補強材部分(123)の半径方向外側に位置している、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記環状補強構造体(70)及び前記クッションゴム(121)によって形成された前記組立体の周りに折り曲げられた前記拘束補強材(121)は、周方向と角度アルファをなす少なくとも複数本の相互に平行なフィラメント状補強要素を有し、アルファは、45°以上且つ90°以下である、請求項1〜10のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記角度アルファは、65°以上である、請求項11記載のタイヤ。
【請求項13】
前記角度アルファは、80°以上である、請求項11記載のタイヤ。
【請求項14】
テーパしたビードシートリム(5)に取り付けられるよう設計された請求項1〜13のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項1】
タイヤ(10)であって、
‐トレッド(40)を載せたクラウン補強材(80,90)を含むクラウン(25)と、
‐前記クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォール(30)と、
‐前記サイドウォールの半径方向内側に設けられていて、各々が最大軸方向寸法Lを備えた少なくとも1つの環状補強構造体(70)を有する2つのビード(20)と、
‐前記クラウンから前記サイドウォールを通って前記ビードまで延びる到来部分(61)及び巻き上げ部分(62)を形成するよう前記環状補強構造体の周りに巻き上げられることによって前記ビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材と、
‐任意の半径方向断面で見て、前記環状補強構造体を包囲したクッションゴム(112)と、
‐前記環状補強構造体及び前記クッションゴムによって形成された組立体の周りに折り曲げられた拘束補強材(121)とを有し、前記拘束構造体が、任意の半径方向断面で見て、前記カーカス補強材の前記到来部分と前記巻き上げ部分との間に軸方向に位置している、タイヤにおいて、
前記タイヤが適当なリムに取り付けられてその使用圧力までインフレートされたときに、任意の断面で見て、
‐前記環状補強構造体(70)及び前記クッションゴム(112)により形成された前記組立体の前記断面SEは、前記環状補強構造体の断面STの1.6倍以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SUは、前記環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが高い少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SDは、前記環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向内側に位置した少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SOは、前記環状補強構造体の断面STの20%以上であり、
‐半径方向位置が同一であるが、軸方向外側に位置した少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SIは、前記環状補強構造体の断面STの10%以上であり、
前記拘束補強材(121)は、前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)を通る半径方向(210)の軸方向外側に位置した前記クッションゴムの少なくとも一部(113)を覆うよう前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)から半径方向内方に延びる第1の拘束補強材部分(123)と、前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)を通る半径方向(210)の軸方向内側に位置した前記クッションゴムの少なくとも一部(114)を覆うよう前記拘束補強材の半径方向最も外側の箇所(122)から半径方向内方に延びる第2の拘束補強材部分(124)とを有し、前記第1の拘束補強材部分(123)と前記第2の拘束補強材部分(124)は、オーバーラップ(160)を形成するよう互いに出会い、前記オーバーラップの少なくとも一部は、前記環状補強構造体(70)の半径方向内側に位置している、タイヤ。
【請求項2】
軸方向位置が同一であるが、半径方向高さが低い少なくとも1つの箇所が前記環状補強構造体(70)に設けられている前記クッションゴム(112)の部分の箇所により形成された前記クッションゴム(112)の部分の断面SUは、前記環状補強構造体の断面STの50%以上である、タイヤ。
【請求項3】
任意の半径方向断面で見て、前記オーバーラップ(160)のライン(T)の2つの端(171,172)は、前記環状補強構造体(70)の半径方向最も外側の箇所の半径方向内側に位置している、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
任意の半径方向断面で見て、前記オーバーラップ(160)のライン(T)の前記2つの端(171,172)は、前記環状補強構造体(70)の半径方向最も内側の箇所の半径方向内側に位置している、請求項3記載のタイヤ。
【請求項5】
前記オーバーラップ(160)の前記ライン(T)は、前記2つの端(171,172)相互間の長さ(R)にわたって延び、前記長さ(R)は、条件式L/4≦R≦3L/2を満たす、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記長さ(R)は、条件式L/2≦R≦Lを満たす、請求項5記載のタイヤ。
【請求項7】
前記断面SU及び前記断面SDの平均半径方向厚さ及び前記断面SI及び断面SOの平均軸方向厚さは、2mmを超える、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記断面SUの平均半径方向厚さは、4mmを超える、請求項7記載のタイヤ。
【請求項9】
前記断面SU及び前記断面SDの最小半径方向厚さ及び前記断面SI及び断面SOの最小軸方向厚さは、0.5mmを超える、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記オーバーラップ(160)の付近において、各軸方向位置に関し、前記第2の拘束補強材部分(124)は、前記第1の拘束補強材部分(123)の半径方向外側に位置している、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記環状補強構造体(70)及び前記クッションゴム(121)によって形成された前記組立体の周りに折り曲げられた前記拘束補強材(121)は、周方向と角度アルファをなす少なくとも複数本の相互に平行なフィラメント状補強要素を有し、アルファは、45°以上且つ90°以下である、請求項1〜10のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記角度アルファは、65°以上である、請求項11記載のタイヤ。
【請求項13】
前記角度アルファは、80°以上である、請求項11記載のタイヤ。
【請求項14】
テーパしたビードシートリム(5)に取り付けられるよう設計された請求項1〜13のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D−8E】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D−8E】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−509810(P2012−509810A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537926(P2011−537926)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065154
【国際公開番号】WO2010/060815
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065154
【国際公開番号】WO2010/060815
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
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