説明

改装サッシ及びサッシの改装方法

【課題】新設枠体の枠材相互のビス止めによる枠組み作業を不要とし、新設枠体の開口幅も大きくすることのできる改装サッシ及びサッシの改装方法を提供する。
【解決手段】建物開口部に取付けられている既設枠体1の内周面を覆うように取付けられる新設枠体2を有し、既設枠体1の四隅内周面と新設枠体2を構成する枠材との間にコーナー部品30が配設され、コーナー部品30は既設枠体1の内周面に当接し、新設枠体2を構成する各枠材は、両端部がコーナー部品30に対して当接すると共に、それぞれ既設枠体1を構成する各枠材に対して固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に設けられた既設枠体の内周側に新設枠体を取付けてなる改装サッシ及びサッシの改装方法に関し、特に新設枠体の開口が既設枠体の開口よりできるだけ小さくならないように構成した改装サッシ及びサッシの改装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッシを改装する方法としては、大きく分けて2つの手段がある。一つは、サッシを取替える際に、建物駆体の開口部に固定された既存のサッシ枠体を取り外し、新しいサッシ枠体を取付けるものである。もう一つは、建物駆体の開口部に固定された既存のサッシ枠体をそのままにして、これに対し新しいサッシ枠体を取付けるものである。
【0003】
前者の手段においては、サッシ枠体における開口幅を改装の前後で同じとすることができるが、取替時に建物駆体を傷つけることとなり、また工期やコストも多くかかる。後者の手段によれば、工期やコストを抑えることができる。このように、既設枠体に対して新設枠体を取付ける改装サッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−371755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既設枠体の内周側に新設枠体を取付ける改装サッシの場合、新設枠体の開口幅が改装前よりも小さくなってしまうという問題があった。新設枠体は、四周枠組みされた状態で工場から出荷され、現場での取付作業がなされるため、新設枠体を構成する枠材には、突き当てられる枠材との固定をなすためのビスホールが長手方向に沿って形成されている。枠材の連結強度確保のため、ビスホールの配置や数には制約があり、これによって枠材の断面形状を自由に設定することが難しく、新設枠体の開口幅を十分に大きくすることが困難であった。
【0006】
また、新設枠体を四周枠組みした状態で現場まで運搬するため、運搬性や施工性が良好とは言えなかった。現場で新設枠体を枠組みするとしても、作業が繁雑となり、施工効率を悪化させることともなる。このため、枠材を予め枠組みすることなく既設枠体に対してそれぞれ固定することも考えられるが、既設枠体と新設枠体の間の気密性確保や固定強度を大きくするための構成が大掛かりとなっていた。
【0007】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、簡易な構成により新設枠体の枠材相互のビス止めによる枠組み作業を不要とし、新設枠体の開口幅も大きくすることのできる改装サッシ及びサッシの改装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る改装サッシは、建物開口部に取付けられている既設枠体の内周面を覆うように取付けられる新設枠体を有してなる改装サッシにおいて、
前記既設枠体の四隅内周面と前記新設枠体を構成する枠材との間にコーナー部品が配設され、該コーナー部品は前記既設枠体の内周面に当接し、前記新設枠体を構成する各枠材は、両端部が前記コーナー部品に対して当接すると共に、それぞれ前記既設枠体を構成する各枠材に対して固定されることを特徴として構成されている。
【0009】
また、本発明に係る改装サッシは、前記コーナー部品は前記新設枠体を構成する枠材の端面が当接する当接面部を有することを特徴として構成されている。
【0010】
さらに、本発明に係る改装サッシは、前記当接面部は前記既設枠体との間にシール材が配設されることを特徴として構成されている。
【0011】
さらにまた、本発明に係る改装サッシは、前記コーナー部品は、前記既設枠体を構成する既設横枠に当接する横当接部と、前記既設枠体を構成する既設縦枠に当接する縦当接部とを有し、前記横当接部と縦当接部の少なくとも一方は前記既設枠体に対して固定されることを特徴として構成されている。
【0012】
そして、本発明に係るサッシの改装方法は、建物開口部に取付けられている既設枠体の内周面を覆うように新設横枠と新設縦枠からなる新設枠体を取付けるサッシの改装方法において、
前記既設枠体の四隅内周面にコーナー部品を取付け、前記新設横枠の両端面をそれぞれ前記コーナー部品に突き当てると共に、前記新設横枠の両端部外周面をそれぞれ前記コーナー部品に当接させ、前記新設縦枠を前記新設横枠の内周面に突き当てると共に、前記新設縦枠の両端部外周面をそれぞれ前記コーナー部品に当接させ、前記新設縦枠と前記新設横枠のうち少なくとも上辺の新設横枠とを前記既設枠体に対して内周面側からビス止め固定することを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る改装サッシによれば、既設枠体の四隅内周面と新設枠体を構成する枠材との間にコーナー部品が配設され、コーナー部品は既設枠体の内周面に当接し、新設枠体を構成する各枠材は、両端部がコーナー部品に対して当接すると共に、それぞれ既設枠体を構成する各枠材に対して固定されることにより、既設枠体に当接するコーナー部品に対し新設枠体の各枠材両端部が当接して既設枠体に対し固定されるので、簡易なコーナー部品を設けるだけで、新設枠体と既設枠体の間のコーナー部における気密性を確保できると共に、両者を確実に固定でき、新設枠体の枠材相互のビス止めによる枠組み作業を不要とし、枠材の形状も自由に設計できるので、新設枠体の開口幅も大きくすることができる。
【0014】
また、本発明に係る改装サッシによれば、コーナー部品は新設枠体を構成する枠材の端面が当接する当接面部を有することにより、新設枠体と既設枠体の間の気密性を確保することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る改装サッシによれば、当接面部は既設枠体との間にシール材が配設されることにより、新設枠体と既設枠体の間の気密性を向上させることができる。
【0016】
さらにまた、本発明に係る改装サッシによれば、コーナー部品は、既設枠体を構成する既設横枠に当接する横当接部と、既設枠体を構成する既設縦枠に当接する縦当接部とを有し、横当接部と縦当接部の少なくとも一方は既設枠体に対して固定されることにより、コーナー部品の固定強度を大きくして、新設枠体についても剛性を大きくすることができる。
【0017】
そして、本発明に係るサッシの改装方法によれば、簡易なコーナー部品を設けるだけで、新設枠体と既設枠体の間のコーナー部における気密性を確保できると共に、両者を確実に固定でき、新設枠体の枠材相互のビス止めによる枠組み作業を不要とし、枠材の形状も自由に設計できるので、新設枠体の開口幅も大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態における改装サッシの縦断面図である。
【図2】第1の実施形態における改装サッシの横断面図である。
【図3】既設枠体及び新設枠体の正面図である。
【図4】上コーナー部品の二方向から見た斜視図である。
【図5】下コーナー部品の二方向から見た斜視図である。
【図6】既設枠体に対して上コーナー部品を取付けた状態の斜視図である。
【図7】既設枠体に対して新設上枠を取付けた状態の斜視図である。
【図8】既設枠体に対して下コーナー部品を取付けた状態の斜視図である。
【図9】既設枠体に対して新設下枠を取付けた状態の斜視図である。
【図10】既設上枠と既設下枠の切欠部分を表した断面図である。
【図11】既設縦枠の切欠部分を表した断面図である。
【図12】既設枠体に対して新設縦枠を取付けた状態の斜視図である。
【図13】第2の実施形態における改装サッシの縦断面図である。
【図14】第2の実施形態における改装サッシの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には第1の実施形態における改装サッシの縦断面図を、図2には第1の実施形態における改装サッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態における改装サッシは、建物開口部に取付けられている既設枠体1の内周側に新設枠体2を取付けて構成され、新設枠体2には図示しないが内外の障子が引き違い状に納められる。既設枠体1の室内側には、四周に渡って額縁材3が配設されている。
【0020】
既設枠体1は、横枠である既設上枠10及び既設下枠11と、縦枠である左右の既設縦枠12、12を方形状に枠組みしてなるものである。既設上枠10は、建物開口部の内周面と対向する内周面部10aを備え、内周面部10aは、室外端部に室外面部10bを、室内端部に室内面部10dを有し、室内面部10dからは室内側に伸びる室内延出部10eが形成されている。室内延出部10eは、額縁材3の内周面に当接している。
【0021】
既設下枠11は、建物開口部の内周面と対向する内周面部11aを備え、内周面部11aは、室内側寄りに内レール部11dを、室内端部に室内面部11eを有し、室内面部11eからは室内側に伸びる室内延出部11fが形成されている。室内延出部11fは、額縁材3の内周面に当接している。
【0022】
既設縦枠12は、建物開口部の内周面と対向する内周面部12aを備え、内周面部12aは、室外端部に室外面部12bを、室内端部に室内面部12eを有し、室内面部12eからは室内側に伸びる室内延出部12fが形成されている。室内延出部12fは、額縁材3の内周面に当接している。
【0023】
新設枠体2は、横枠である新設上枠20及び新設下枠21と、縦枠である左右の新設縦枠22、22を方形状に配置してなるものであり、既設枠体1の内周面を覆うように取付けられるものである。新設枠体2を構成する枠材である新設上枠20と新設下枠21及び新設縦枠22は、それぞれ枠材の状態で現場に運搬され、既設枠体1に対して取付けられる。その取付構造及び工程については後述する。
【0024】
新設上枠20は、既設上枠10の内周面部10aを覆うように対向する内周面部20aを備え、内周面部20aは、室外端部に室外面部20bと、室内端部に室内面部20eを有し、室外面部20bと室内面部20eの間には、外案内フィン20cと中間面部20dとを有している。
【0025】
外案内フィン20cは、新設枠体2内に納められる外障子の上辺を長手方向に案内する。中間面部20dは、先端部に気密材20gを有し、新設枠体2内に納められる外障子の室内側面と対向して気密材20gが当接する。また、新設枠体2内に納められる内障子は、中間面部20dと室内面部20e及び内周面部20aにより形成される凹状部によって案内される。新設上枠20は、中間面部20dと室内面部20eの間の内周面部20aにおいて、既設上枠10に対し内周側からビス止め固定される。
【0026】
新設上枠20の室外面部20bと外案内フィン20c、中間面部20d及び室内面部20eは、先端位置がいずれも既設上枠10の室内面部10dの先端位置と略同位置となるように形成されている。すなわち、新設上枠20は既設上枠10よりも内周側に突出しないようにされているので、新設上枠20によりサッシの開口を狭めることがないようにすることができる。
【0027】
新設上枠20の内周面部20aは、既設上枠10の内周面部10aと対向する面に突起状の当接片20fを複数有している。当接片20fは、それぞれ既設上枠10の内周面部10aに当接するようになっており、新設上枠20を既設上枠10に対し安定的に固定することができる。
【0028】
新設下枠21は、既設下枠11の内周面部11aを覆うように対向し階段状をなすように形成される内周面部21aを備え、内周面部21aは、上面に外レール部21bと内レール部21cを有すると共に、室内端部に室内面部21dを有している。外レール部21bと内レール部21cは、それぞれ新設枠体2に納められる外障子と内障子を案内する。
【0029】
新設下枠21の室外端部には、上方に向かって突出する室外突部21gが形成されると共に、下方に向かって垂下される垂下片21hが形成されている。室外突部21gは、新設上枠20の室外面部20bとで網戸を案内するレールとなる。垂下片21hは、新設枠体2の下端部で既設下枠11の下端部と対向し、ビス止めによる固定がなされる。
【0030】
新設下枠21において内周側に最も突出しているのは、内レール部21cと室内面部21dの各先端部であり、これらは既設下枠11の室内面部11eの先端及び室内延出部11fの位置と略同位置となるように形成されている。すなわち、新設下枠21も新設上枠20と同様、既設下枠11よりも内周側に突出しないようにされているので、新設下枠21によりサッシの開口を狭めることがないようにすることができる。
【0031】
新設下枠21の内周面部21aは、新設上枠20と同様、外レール部21b付近に当接片21eを有する一方、内レール部21c付近には、既設下枠11の内レール部11dに対して係合する内レール係合部21fを有している。これらによって、新設下枠21は既設下枠11に対して当接及び係合する。
【0032】
新設縦枠22は、左右で形状が異なっている。左右いずれの新設縦枠22も、既設縦枠12の内周面部12aを覆うように対向する内周面部22aを備え、内周面部22aは、室外端部に室外面部22bを、室内端部に室内面部22fを有している。また、内周面部22aの室内外中間位置には、それぞれ中間片22eが形成されている。
【0033】
外障子が配置される側である図中左側の新設縦枠22は、室外面部22bと中間片22eの間に室外フィン部22cが形成されており、これが外障子の側面部によって飲み込まれる。一方、内障子が配置される側である図中右側の新設縦枠22は、中間片22eと室内面部22fの間に室内フィン部22dが形成されており、これが内障子の側面部によって飲み込まれる。
【0034】
外障子が配置される側の新設縦枠22は、中間片22eと室内面部22fの間の内周面部22aにおいて、既設縦枠12に対して内周側からビス止め固定される。内障子が配置される側の新設縦枠22は、室外面部22bと中間片22eの間の内周面部22aにおいて、既設縦枠12に対して内周側からビス止め固定される。
【0035】
新設縦枠22は、内周側に最も突出する室内面部22f及び室外面部22bの先端位置が、既設縦枠12の室内面部12eの先端よりも若干内周側に配置される。すなわち、新設縦枠22は、既設縦枠12よりも開口幅を若干狭くすることとなるが、その幅は僅かであり、サッシ開口の大きさにあまり影響を与えないようにしている。
【0036】
新設縦枠22の内周面部22aは、既設縦枠12と対向する面に複数の当接片22gを備え、これらが既設縦枠12の内周面部12aに当接して、安定的な固定をなすようにしている。
【0037】
次に、既設枠体1に対する新設枠体2の取付構造について詳細に説明する。図3には、既設枠体1及び新設枠体2の正面図を示している。既設枠体1の四隅内周面には、新設枠体2との間に挟まれるように、コーナー部品30がそれぞれ設けられる。コーナー部品30は、既設枠体1と新設枠体2の間の気密性を確保すると共に、両者を強固に固定するために設けられる。特に、新設枠体2は枠材同士が連結されない構造となっているため、コーナー部品30によってコーナー部分における気密性確保が必要となっている。
【0038】
コーナー部品30は、既設上枠10と既設縦枠12により形成される隅部に設けられる2つは、上コーナー部品31であり、既設下枠11と既設縦枠12により形成される隅部に設けられる2つは、下コーナー部品32であり、これらは形状が異なっている。図4には上コーナー部品31の二方向から見た斜視図を、図5には下コーナー部品32の二方向から見た斜視図を、それぞれ示している。
【0039】
図4(a)と図4(b)に示すように、上コーナー部品31は、既設上枠10の内周面部10aに対して当接する横当接部31aと、既設縦枠12の内周面部12aに対して当接する縦当接部31bとが、略L字状をなすように形成されている。図4(a)に示すように、縦当接部31bは、内周側が平面状に形成されており、新設上枠20の端面及び新設縦枠22の外周面が当接可能となるようにされている。また、横当接部31aも、新設上枠20の端部外周面が当接可能となるように形成されている。
【0040】
図4(b)に示すように、上コーナー部品31の外周側には、横当接部31aから縦当接部31bに渡るように、シール部材31cが設けられている。シール部材31cは、横当接部31aと既設上枠10の間及び縦当接部31bと既設縦枠12の間の気密性を確保する。新設上枠20の端面が当接する縦当接部31bの内周側にも、図示しないがシール部材を設けてもよい。
【0041】
図5(a)と図5(b)に示すように、下コーナー部品32は、既設下枠11の内周面部11aに対して当接する横当接部32aが、既設縦枠12の内周面部12aに対して当接する縦当接部32bから突出するように形成されている。図5(a)に示すように、縦当接部32bは、内周側が平面状に形成されており、新設下枠21の端面及び新設縦枠22の外周面が当接可能となるようにされている。また、横当接部31aは、上面が新設下枠21の内周面部21aの形状に合わせて傾斜状となるように形成されており、新設下枠21の外周面が当接可能となるようにされている。
【0042】
図5(b)に示すように、下コーナー部品32の外周側には、シール部材32cが設けられている。この図では、縦当接部32b側のみが表れているが、シール部材32cは縦当接部32bから横当接部31aに渡るように設けられる。また、新設下枠21の端面が当接する縦当接部32bの内周側にも、図示しないがシール部材を設けてもよい。
【0043】
図6には、既設枠体1に対して上コーナー部品31を取付けた状態の斜視図を示している。この図に示すように、上コーナー部品31は、既設枠体1の既設上枠10と既設縦枠12により形成される隅部コーナー部分に取付けられる。横当接部31aと縦当接部31bは、それぞれ既設上枠10と既設縦枠12に対して当接して、シール部材31cによりこれらとの間の気密がなされる。また、横当接部31aと縦当接部31bには、それぞれビス孔が形成されているから、ここでそれぞれ既設上枠10及び既設下枠11に対してビス止め固定がなされる。
【0044】
図7には、既設枠体1に対して新設上枠20を取付けた状態の斜視図を示している。この図に示すように、新設上枠20の端面は、上コーナー部品31の縦当接部31bに対して突き当てられており、既設縦枠12との間の気密性確保をなしている。また、新設上枠20の端部外周面は、上コーナー部品31の横当接部31aに対して当接する。
【0045】
図8には、既設枠体1に対して下コーナー部品32を取付けた状態の斜視図を示している。この図に示すように、下コーナー部品32は、既設枠体1の既設下枠11と既設縦枠12により形成される隅部コーナー部分に取付けられる。横当接部32aと縦当接部32bは、それぞれ既設下枠11と既設縦枠12に対して当接して、シール部材32cによりこれらとの間の気密がなされる。
【0046】
図9には、既設枠体1に対して新設下枠21を取付けた状態の斜視図を示している。この図に示すように、新設下枠21の端面は、下コーナー部品32の縦当接部32bに対して突き当てられており、既設縦枠12との間の気密性確保をなしている。また、新設下枠21の端部外周面は、下コーナー部品32の横当接部32aに対して当接する。
【0047】
新設枠体2の取付にあたっては、まず既設枠体1の一部を切欠加工する必要がある。図10には既設上枠10と既設下枠11の切欠部分を表した断面図を、図11には既設縦枠12の切欠部分を表した断面図を、それぞれ示している。これらの図において、ハッチングの部分が切り欠かれる部分である。
【0048】
図10に示すように、既設上枠10には、先に説明した構成以外に室外面部10b及び中間面部10cを内周面部10aに有している。これらは、根元付近からそれぞれ切り欠かれる。また、既設下枠11には、先に説明した構成以外に外レール部11cを内周面部11aに有すると共に、室外端部には網戸を案内するための室外突部11bが形成されている。これらも、根元付近からそれぞれ切り欠かれる。
【0049】
図11に示すように、外障子が配置される側となる図中左側の既設縦枠12には、先に説明した構成以外に室外面部12bと室外フィン部12cを内周面部12aに有している。また、内障子が配置される側となる図中右側の既設縦枠12には、先に説明した構成以外に室外面部12bと室内フィン部12dを内周面部12aに有している。これらも、根元付近からそれぞれ切り欠かれる。
【0050】
既設枠体1の一部を切り欠いたら、既設枠体1に対して図6や図8のように上コーナー部品31及び下コーナー部品32を取付け、新設上枠20を左右の上コーナー部品31間に、新設下枠21を左右の下コーナー部品32間に、それぞれ配置する。このようにして新設上枠20及び新設下枠21の各端面を、それぞれ上コーナー部品31と下コーナー部品32に突き当てる。これにより、新設上枠20と新設下枠21は、両端部においてそれぞれ端面と外周面がコーナー部品30に対し当接する。この状態で、新設縦枠22を新設上枠20と新設下枠21間に配置する。
【0051】
図12には、既設枠体1に対して新設縦枠22を取付けた状態の斜視図を示している。この図に示すように、新設縦枠22は、新設上枠20と新設下枠21間を渡すように取付けられる。このとき、新設縦枠22の両端部外周面は、それぞれ上コーナー部品31の縦当接部31bと下コーナー部品32の縦当接部31bに対して当接する。このように新設枠体2の各枠材を既設枠体1に対して取付けた状態で、新設上枠20と新設縦枠22については内周面側からそれぞれ既設上枠10と既設縦枠12に対してビス止め固定がなされる。新設下枠21については、内周面側からの固定はなされないが、下端の垂下片21hから既設下枠11に対してビス止めがなされる。
【0052】
このように、既設枠体1の四隅内周面にそれぞれコーナー部品30が配設され、新設枠体2を構成する各枠材は両端部がそれぞれコーナー部品30に当接して、それぞれ既設枠体1に対し固定されるから、簡易な構成からなるコーナー部品30によって、新設枠体2のコーナー部分における気密性を確保できると共に、新設枠体2の各枠材の既設枠体1に対する固定強度を大きくすることができる。そして、新設枠体2は予め枠組みされるのではなく、既設枠体1にコーナー部品30が設けられた上で、枠材ごとに既設枠体1に対して取付けられるように構成されているので、新設枠体2を枠材の状態で工場から現場に運搬することができ、運搬効率を向上させることができる。また、新設枠体2を枠組みするためのビスホール等を設ける必要がないため、新設枠体2の断面形状の設計自由度が大きく、新設枠体2ができるだけ既設枠体1よりも内周側に突出しないように設計することができるので、サッシの開口幅をできるだけ狭めることのないようにすることができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図13には第2の実施形態における改装サッシの縦断面図を、図14には第2の実施形態における改装サッシの横断面図を、それぞれ示している。本実施形態の既設枠体1は、第1の実施形態の既設枠体1と同じものであり、新設枠体2も新設上枠20と新設縦枠22については第1の実施形態と同じである。一方、本実施形態の新設下枠21は第1の実施形態の新設下枠21と異なり、上面位置が室内外に渡り略面一状となるようにしている。すなわち、本実施形態の改装サッシは、下枠フラットサッシとして構成されている。
【0054】
新設枠体2において新設上枠20と新設縦枠22については第1の実施形態と同様の構成からなるので、説明は省略する。新設下枠21は、既設下枠11の内周面部11aと対向してこれを覆う内周面部21aを備え、内周面部21aには、外内にそれぞれ凹状の外係止部21iと内係止部21jが形成されている。外係止部21iには外レール部材23が係合され、内係止部21jには内レール部材24が係合される。
【0055】
外レール部材23は、下部が外係止部21iに対して係合自在な係合部23aであり、上面には外障子を案内する凸状のレール部23bが形成されている。内レール部材24も、下部が内係止部21jに対して係合自在な係合部24aであり、上面には内障子を案内する凸状のレール部24bが形成されている。これら外レール部材23と内レール部材24の上面位置は、既設下枠11の室内延出部11fと略同位置となっている。
【0056】
このような下枠フラットサッシにおいて、既設枠体1の四隅部にはそれぞれコーナー部品30が設けられる。図13及び図14においてコーナー部品30は破線で表されている。上コーナー部品31については、第1の実施形態と同じものが用いられる。下コーナー部品32は、本実施形態の新設下枠21の端面形状に適合するように形成されており、新設下枠21の両端面はそれぞれ下コーナー部品32の縦当接部32bに当接する。
【0057】
このように、下枠フラットサッシの構成においても、既設枠体1の四隅部にコーナー部品30を配設し、新設枠体2を構成する各枠材をそれぞれ既設枠体1に対して固定する本発明の構成を採用することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 既設枠体
2 新設枠体
3 額縁材
10 既設上枠
11 既設下枠
12 既設縦枠
20 新設上枠
21 新設下枠
22 新設縦枠
30 コーナー部品
31 上コーナー部品
31a 横当接部
31b 縦当接部
31c シール材
32 下コーナー部品
32a 横当接部
32b 縦当接部
32c シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に取付けられている既設枠体の内周面を覆うように取付けられる新設枠体を有してなる改装サッシにおいて、
前記既設枠体の四隅内周面と前記新設枠体を構成する枠材との間にコーナー部品が配設され、該コーナー部品は前記既設枠体の内周面に当接し、前記新設枠体を構成する各枠材は、両端部が前記コーナー部品に対して当接すると共に、それぞれ前記既設枠体を構成する各枠材に対して固定されることを特徴とする改装サッシ。
【請求項2】
前記コーナー部品は前記新設枠体を構成する枠材の端面が当接する当接面部を有することを特徴とする請求項1記載の改装サッシ。
【請求項3】
前記当接面部は前記既設枠体との間にシール材が配設されることを特徴とする請求項2記載の改装サッシ。
【請求項4】
前記コーナー部品は、前記既設枠体を構成する既設横枠に当接する横当接部と、前記既設枠体を構成する既設縦枠に当接する縦当接部とを有し、前記横当接部と縦当接部の少なくとも一方は前記既設枠体に対して固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の改装サッシ。
【請求項5】
建物開口部に取付けられている既設枠体の内周面を覆うように新設横枠と新設縦枠からなる新設枠体を取付けるサッシの改装方法において、
前記既設枠体の四隅内周面にコーナー部品を取付け、前記新設横枠の両端面をそれぞれ前記コーナー部品に突き当てると共に、前記新設横枠の両端部外周面をそれぞれ前記コーナー部品に当接させ、前記新設縦枠を前記新設横枠の内周面に突き当てると共に、前記新設縦枠の両端部外周面をそれぞれ前記コーナー部品に当接させ、前記新設縦枠と前記新設横枠のうち少なくとも上辺の新設横枠とを前記既設枠体に対して内周面側からビス止め固定することを特徴とするサッシの改装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−117238(P2012−117238A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266376(P2010−266376)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】