説明

改質ポリエステルの製造方法

【課題】 重合時に使用した触媒に起因する熱分解反応を抑制し、従来品に比べてポリマーの色調が良好で、かつ高温溶融時における経時色調変化量が少なく、さらには製経時の毛羽や染めムラが発生しにくい染色性の優れた改質ポリエステルの製造方法を提供すること。
【解決手段】 全酸成分に対し金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を0.1〜10モル%、平均分子量400〜8000ポリオキシアルキレングリコール成分を0.1〜5.0重量%を共重合した、チタン元素とリン元素を含有する改質ポリエステルの製造方法において、改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で、3価のリン化合物をリン元素換算で10〜200ppm添加することを特徴とする改質ポリエステルの製造方法により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色調、熱安定性に優れた改質ポリエステルの製造方法に関するものである。更に詳しくは、重合時に使用した触媒に起因する熱分解反応を抑制し、従来品に比べてポリマーの色調が良好で、かつ高温溶融時における経時色調変化量が小さく、整経時の毛羽や染めムラが発生しにくい改質ポリエステルを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
【0003】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム触媒、チタン触媒などが広く用いられている。これら重縮合触媒は、もちろんポリエチレンテレフタレートの重縮合反応を促進するが、熱分解反応や酸化分解反応などの副反応も促進する。特にチタン触媒を用いる場合では、触媒活性が高いために副反応も大きく促進するため、ポリマーが黄色く着色するといった問題が生じる。ポリマーが黄色味を帯びるということは、例えばポリエステルを繊維として用いる場合、特に衣料用繊維では商品価値を損なうので、好ましくない。
【0004】
かかる問題に対して、重縮合触媒とともにリン化合物を添加することでポリマーの色調や耐熱性を向上させる検討が広くなされている。この方法は、リン化合物により重縮合触媒の活性を抑制して、ポリマーの色調や耐熱性を向上させるというものである。
【0005】
チタン化合物を触媒として用いるポリエステル組成物において、チタン化合物やリン化合物量、さらにはマグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物量を規定することにより、耐熱性の優れたポリエステル組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では確かに副反応の抑制に一定の効果は見られるものの、一定量以上のリン化合物を加えると重縮合触媒の重合活性が抑えられ過ぎて、目標の重合度まで到達しない場合もあり、重合反応時間が遅延するために結果としてポリマーの色調が悪化するといった問題が発生する。
【0006】
アンチモン化合物を用いるポリエステル組成物を製造する際、重縮合反応が30〜60%完了の時期にリン化合物を添加して、色調や熱安定性に優れるポリエステルを製造する方法が明示されている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法では確かに副反応の抑制に一定の効果は見られるものの、30〜60%の段階で一定量以上のリン化合物を加えると重縮合触媒の重合活性が抑えられ過ぎて、目標の重合度まで到達しない場合もあり、重合反応時間が遅延するために結果としてポリマーの色調が悪化するといった問題が発生する。
【0007】
イソフタル酸や、ポリエチレングリコール等を共重合する改質ポリエステルにおいて、リン化合物の添加による重合反応の遅延を解決すべく、リン化合物を重縮合反応終了後に添加する方法が提案されている(特許文献3参照)。連続重合方法において、重縮合反応終了後にリン化合物を添加する方法が開示されている(特許文献4参照)。確かにこれら方法を用いるとリン化合物による重縮合触媒の失活は防げるが、重縮合反応が終了した後にポリエステルとリン化合物を混合するため、重縮合反応終了直後におこる副反応は抑制できず、また混合工程におけるポリマーの劣化は避けられない。
【0008】
そこで、本発明では上記課題を解決のため鋭意検討した結果、触媒の添加後に重合反応器の減圧を開始してから重合反応が実質的に完了する前、具体的には改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で3価のリン化合物を添加することにより、本発明の目的を達成できるという知見を得た。
【特許文献1】特開2006−188667号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開昭33−3748号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭48−79896号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特表2000−510180公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は上記従来の問題を解消、つまり重合時に使用した触媒に起因する熱分解反応を抑制し、従来品に比べてポリマーの色調が良好で、かつ高温溶融時における経時色調変化量が少なく、さらには製経時の毛羽や染めムラが発生しにくい染色性の優れた改質ポリエステルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の手段は、全酸成分に対し金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を0.1〜10モル%、平均分子量400〜8000ポリオキシアルキレングリコール成分を0.1〜5.0重量%を共重合した、チタン元素とリン元素を含有する改質ポリエステルの製造方法において、改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で、3価のリン化合物をリン元素換算で10〜200ppm添加することを特徴とする改質ポリエステルの製造方法により達成できる。
【発明の効果】
【0011】
従来の製造方法で得られた改質ポリエステルに比べてポリマーの色調が良好で、かつ高温溶融時における経時色調変化量が小さくすることができる。この改質ポリエステルは、繊維用の成形体への製造工程における、色調の低下等の問題を解消できるばかりか、製経時の毛羽や染めムラの発生を抑制することが出来る、染色性に優れた改質ポリエステルに関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかる改質ポリエステル組成物の製造方法としては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体をエステル化またはエステル交換反応させた後、重縮合する製造方法である。このような製造方法により得られる改質ポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含む改質ポリエステル共重合体が好適である。
【0013】
本発明におけるポリオキシアルキレングリコールとは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。これらポリオキシアルキレングリコールを単一で用いても良いし、混合して使用してもよい。得られるポリエステルの均質性の観点から、例えば主成分がポリエチレンテレフタレートであるポリエステルにはポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
【0014】
また本発明にかかる改質ポリエステルには、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が0.1〜10モル%、重量平均分子量400〜8000のポリオキシアルキレングリコールが0.1〜5.0重量%共重合する。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸の共重合量が多すぎると重合工程でのΔb値が大きくなり好ましくない。一方、少なすぎると製糸時の染色性に劣る。
【0015】
ポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量が大きすぎると、共重合せずポリエステル中で塊を形成しやすく、小さすぎると染色性に劣る。ポリオキシアルキレングリコールの共重合量が多すぎると、重合工程でのΔb値が大きくなり好ましくない。少なすぎると製糸時の染色性に劣る。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸の共重合量は0.6〜5モル%が好ましく、中でも1.0〜3.0モル%がより好ましい。ポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量は800〜2000が好ましく、共重合量は0.5〜2.0重量%が好ましい。
【0016】
ポリエステルの着色や耐熱性の悪化は、飽和ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、初版、P.178〜198)に明示されているように、ポリエステルの副反応によって起こる。このポリエステルの副反応は、金属触媒によってカルボニル酸素が活性化し、β水素が引き抜かれることにより、ビニル末端基成分およびアルデヒド成分が発生する。このビニル末端基によりポリエンが形成されることによってポリマーが黄色に着色し、また、アルデヒド成分が発生するために、主鎖エステル結合が切断されるため、耐熱性が劣ったポリマーとなる。特にチタン化合物を重合触媒として用いると、熱による副反応の活性化が強いために、ビニル末端基成分やアルデヒド成分が多く発生し、黄色に着色した耐熱性が劣ったポリマーとなる。リン化合物は、重縮合触媒と適度に相互作用することにより、重縮合触媒の活性を調節する役割を果たす。しかし従来の、リン化合物を重縮合反応開始前に添加を行う方法では、重縮合触媒の副反応の活性とともに重縮合活性をも低下させることは避けられなかった。ところが、本発明によると、重縮合触媒の重合活性を十分に保持したままに、副反応活性のみを極めて小さく抑えることができる。
【0017】
また、本発明者らは上記ポリエステルの着色メカニズムを詳細に検討したところ、ポリエステルのβ水素の引き抜きと、ビニル末端基成分およびアルデヒド成分の発生する反応はポリエステルの重縮合反応が実質的に完了する直後に多量に起こり、その後はビニル末端基成分がポリエンに形成される反応が進行し、リン化合物の添加によっても抑制しがたいことを見出した。
【0018】
そのため、リン化合物をポリエステルの重縮合反応が実質的に終了した後ではなく、実質的に重縮合反応が終了する前に添加することにより、重縮合完了直後に起こるβ水素の引き抜きとビニル末端基成分およびアルデヒド成分の生成を特異的に抑制出来ることを見出したものである。これは、従来のリン化合物やリン化合物の添加方法では達成し得なかったものである。
【0019】
本発明においてはリン化合物の添加が改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加される。さらに好ましくは90%以上、97.5%以下の間であり、特に好ましくは、92%以上、96%以下の間である。リン化合物の添加が、重縮合反応が完了する時点の99%以上であると、リン化合物の分散時間などから改質ポリエステルの重合が実質的に完了した後に添加するのと同じとなり、重合反応器から安定的に吐出できなくなり、チップ形状が不均一となるため後の乾燥工程や溶融工程などでの物性変化や設備トラブルを引き起こす可能性があり、好ましくない。85%未満だと重合反応が遅延してしまい、ポリマー色調が悪化するため好ましくない。リン化合物を添加する時期における改質ポリエステルのIV値は、直接サンプリングを行い後述する方法でIV測定を行っても良いが、反応器の攪拌翼にかかるトルク負荷から算出しても良い。
【0020】
本発明にかかるリン化合物は、数回に分割して添加してもよく、フィーダーなどで継続的に添加を行っても良いが、回分式重縮合の場合においては、リン化合物を添加する場合、リン化合物を単独で添加してもよく、エチレングリコール等のジオール成分に溶解させた状態または分散させて添加してもよい。ただし、エチレングリコール等のジオール成分を多量に持ち込んで添加を行うと、改質ポリエステルの解重合(ポリエステル主鎖の切断反応)が進行してしまうため、リン化合物を単独で添加するのが好ましい。
【0021】
本発明にかかるリン化合物は、重合系に溶解又は溶融可能であり、本発明で得られる重合体と実質的に同一成分の重合体から成るカプセルに充填して添加することが好ましい。上記のようなカプセルにリン化合物を入れて添加を行うと、減圧条件下での重合反応器に添加を行うことで、リン化合物が飛散して、減圧ラインにリン化合物が流出するのを防止することができるとともに、リン化合物をポリマー中に所望量添加することができる。本発明でいうカプセルとは、リン化合物がまとめられるものであればよく、例えば、ふたや栓を有する射出成形容器、あるいはシートやフィルムをシールあるいは縫製などで袋状にしたものなどが含まれる。上記のカプセルは、孔などの空気抜きを作ることがさらに好ましい。空気抜きを作ったカプセルにリン化合物を入れて添加すると、真空条件下で重合反応器に添加しても、空気膨張によりカプセルが破裂してリン化合物が減圧ラインに流出したり、重合反応器の上部や壁面に付着することがなく、ポリマー中にリン化合物を所望量添加することができる。このカプセルの厚さは、厚すぎると溶解、溶融時間が長くかかるため厚さは薄いほうがよいが、リン化合物の封入・添加作業の際に破裂しない程度の厚さを確保する。そのためには10〜500μmの厚さで均一で偏肉のないものが好ましい。
【0022】
本発明においては重縮合反応中の熱劣化を抑制するために3価のリン化合物を、改質ポリエステルのIV設定値の45%以下の段階で添加することもできる。
【0023】
3価のリン化合物とは、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物およびそれらのアルキルエステルまたはアリールエステルのことを指す。これら3価のリン化合物は、副反応により発生する過酸化物(R−O−OH:副反応をさらに促進する)をアルコール(R−OH)に変換し、自らは5価のリン化合物に変わることで改質ポリエステルの副反応を特に抑制する。
【0024】
本発明において重縮合触媒の添加後に重合反応器内の減圧を開始してから改質ポリエステルの重縮合が実質的に完了する前までの間に添加するリン化合物は、融点が100〜400℃の範囲であることが好ましい。融点が100℃以下であると、減圧条件下でリン化合物を添加する際にリン化合物が飛散してしまい、改質ポリエステル中に所望量のリン化合物が添加されない。減圧条件下でリン化合物が飛散せず、さらには均一に分散されるようにリン化合物の融点は115〜350℃の範囲が好ましく、175〜300℃の範囲がさらに好ましい。
【0025】
本発明において添加するリン化合物の具体的な化合物としては、下記式1で表されるビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(融点:234〜240℃)や、式2で表されるトリス[2−{(2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ}エチル]アミン(融点:190〜210℃)、式3で表される6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン(融点:115℃〜125℃)、式4で表されるテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(融点:234〜240℃)が好ましい。これらの化合物はそれぞれ、式1はアデカスタブPEP−36(株式会社ADEKA製)、式2はIRGAFOS12(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)、式3はSumilizerGP(住友化学株式会社製)、式4は(大崎工業化学株式会社製GSY−P101)として入手可能である。これらの化合物は単独で用いてもまたは併用してもよい。
【0026】
【化1】

【0027】
【化2】

【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
本発明においては、改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加する3価のリン化合物は、得られる改質ポリエステルに対してリン原子換算で10〜200ppmとなるように添加することが改質ポリエステルの色調や、繊維、フィルム、ボトル等への成形体の製造工程における着色を少なくするため好ましい。上記範囲より添加量が少ないと所望の目的効果を発揮するに至らず、上記範囲より添加量が多いとリン化合物の分散が不十分となるため、重合反応器から安定的に吐出できなくなり、チップ形状が不均一となるため後の乾燥工程や溶融工程などでの物性変化や設備トラブルを引き起こす可能性があり、好ましくない。リン添加量は、12〜150ppmが好ましく、さらに好ましくは15〜100ppmである。
【0031】
本発明においては、改質ポリエステルのIV設定値の45%以下の段階で添加する3価のリン化合物は、改質ポリエステルに対してリン元素換算で20ppm未満添加することが改質ポリエステルの色調や、繊維、フィルム、ボトル等への成形体の製造工程における着色を少なくするため好ましい。上記量よりも多いと、重合反応が遅延してしまい、ポリマー色調が悪化するため好ましくない。リン添加量は15ppm以下が好ましく、さらに好ましくは重合反応中の改質ポリエステルの熱劣化を抑制する意味で5〜12ppmである。
【0032】
本発明にかかる改質ポリエステルは、重縮合触媒として、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物などが用いられる。これらの重縮合触媒は単独、あるいは併用して、あるいはこれらにさらに、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン等の化合物を併用しても良い。これらの重縮合触媒は、得られる改質ポリエステルに対して金属原子換算で1〜1000ppm添加することが好ましい。中でもチタン化合物を重縮合触媒として用いると、異物の発生が抑制されるため好ましい。
【0033】
なお、本発明の重縮合触媒とは、一般にジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から改質ポリエステルを合成する反応において、(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応、(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応、(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応の反応、の少なくとも(3)の反応促進に寄与する効果を持っているものを指す。従って繊維の艶消し剤等に一般的に用いられている酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の重縮合触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
【0034】
重縮合触媒がチタン化合物の場合は、得られる改質ポリエステルに対して、チタン原子換算で1〜30ppmとなるように添加することが好ましい。2.5〜15ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、更に好ましくは4〜10ppmである。
【0035】
上記重合用触媒として用いるチタン化合物は、多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であると、ポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いても併用して用いてもよい。
【0036】
本発明にかかる改質ポリエステルは重合用触媒として使用されるチタン化合物とは別に、チタン元素を酸化チタン換算で0.01〜7.0重量%含有してもよい。酸化チタン粒子がこの範囲にあると溶融時の熱分解も発生しづらくポリマー色調が良好であり、成型時の異物の問題も発生しない。好ましくは0.5〜2.0重量%であり、さらに好ましくは1.2〜1.8重量%である。酸化チタン粒子の粒径は二次粒径の平均が1.0μm以下であり、頻度分布における2.0μm以上の粒子の積分割合が5%以下であることが、繊維にした場合の糸工程におけるガイドなどの摩耗を低減させる点から好ましい。
【0037】
さらに、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、シリコン、カーボンブラック等の粒子のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を、目的を損なわない範囲で含有しても差支えない。
【0038】
本発明にかかる改質ポリエステルの製造方法における溶融重縮合工程は、回分式がより顕著な改善効果が見込まれる。回分式だと、所望の設定IVに到達した時点で反応機内に不活性ガスを流入させて、反応機内を常圧または加圧にして重縮合反応を停止し、反応器外に吐出する。
【0039】
次工程に供する改質ポリエステルは、吐出工程の初めに採取したb値と同工程終了直前のb値との差をΔb値とすると、そのΔb値を−2.5〜+2.5とすることが好ましい。さらにはΔb値が−2.0〜2.0が好ましく、特に好ましくは−1.5〜1.5である。上記範囲だと、次工程での色調バラツキが小さくなるため、品質トラブルが発生しにくい。上記範囲を超えてしまうと、次工程での品質トラブル、例えば縦筋が発生する。Δb値を上記範囲とする1具体例は、全酸成分に対する金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を0.1〜10モル%、平均分子量400〜8000ポリオキシアルキレングリコール成分を0.1〜5.0重量%を共重合し、改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で、3価のリン化合物をリン元素換算で10〜200ppm添加する。
【0040】
本発明にかかる改質ポリエステルを繊維形成性重合体の構成成分として用いることで、今までにない高い染色特性を持ち、かつ繊維形成性重合体の繊維物性を損なわない範囲で合成繊維を得ることができる。
【0041】
また、本発明において繊維成形性重合体としてポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。好ましくは衣料用合成繊維として最も汎用性の高い、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル組成物である。
【0042】
合成繊維の形態として、芯鞘型複合繊維、芯鞘型複合中空繊維、海島型複合繊維、張り合わせ型複合繊維、あるいはブレンド繊維等があげられ、本発明の良染色特性ポリエステルを任意の割合で構成成分として用いることができる。
【0043】
また、繊維形成性樹脂へ本発明の改質ポリエステルを配合した合成繊維の場合、本発明の改質ポリエステルの配合比率は全ポリマー量に対して3〜95重量%とする。配合比率の下限は十分な染色性を付与する目的から設定され、配合比率の上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定される。
【0044】
実用上良好な染色性を得るためには合成繊維の染色吸尽率は高いほど好ましく、30%以上、さらには40%以上、特に好ましくは50%以上である。
【0045】
また繊維形成性重合体には、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が添加されても勿論良い。
【0046】
本発明の合成繊維の断面形状は丸ばかりでなく、三角、偏平、多葉型などの異形断面でも良い。また、該合成繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、用途によって適宜選定される。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて適宜選択できる。
【0047】
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。
【0048】
すなわち、(A)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(B)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加してもよい。なお、この時点で添加するリン化合物は、本発明において添加するリン化合物とは全く異なるものである。
【0049】
本発明にかかる改質ポリエステルは、(A)または(B)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(A)または(B)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、スルホン酸塩基を含有するイソフタル酸とポリエチレングリコール、酸化チタン、重縮合触媒として前述のチタン化合物やアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物を添加した後、反応器内を減圧にして重縮合反応を開始して得られる。この時、改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で3価のリン化合物を添加し、目的のポリエチレンテレフタレートを得るものである。この反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
【実施例】
【0050】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
(3)ポリマーのb値中心値
吐出工程の重量換算で半分にあたる時間でサンプリングしたポリマーのb値をb値中心値とする。例えば、1トンのポリマーを吐出する場合は、500kg時点のポリマーをサンプリングする。その色調は(2)に記載の方法で測定した。
(4)ポリマーのΔb値
吐出工程の初めに採取したポリマーのb値と同工程終了直前のb値との差をΔb値とする。その色調は(2)に記載の方法で測定した。
(5)ポリマー中のチタン元素、リン元素、アンチモン元素等の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、次の前処理をした上で蛍光X線分析を行った。
(6)毛羽数
多点毛羽計数装置 MFC−120(東レエンジニアリング株式会社製)を用いて、糸速500m/min、100分間でカウントされる毛羽数を測定した。
【0051】
なお、この値が0.2個/千万メートル以下だと優れたポリマーといえる。
(7)経筋
筒編地を目視にて確認した。判断基準は、経筋が目立ち商品価値が無ければ×、経筋が目立つものの商品価値があるものは△、経筋が認められないものは○とした。
(8)染料吸尽率
筒編地をマラカイトグリーン(関東化学製)5%0wf、酢酸0.5ml/l、酢酸ソーダ0.2g/lからなる浴比1:100の120℃熱水溶液中で60分間染色を行い、染色前後の液中染色濃度差から筒編地の染料吸尽率を求めた。
【0052】
なお、この値が30%より大きければ染色性に優れたポリマーであると言える。
【0053】
実施例1
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。このエステル化反応性生物のIVは0.3だった。
【0054】
そのエステル化反応生成物に、シリコン(東芝シリコーン製、TSF433)5gを添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト11.5g(ポリマーに対してコバルト原子換算で30ppm)、酢酸マンガン15g(ポリマーに対してマンガン原子換算で33ppm)、ペンタエリスリトールーテトラキス(3−(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート)(チバガイギー(株)製、イルガノックス1010)75g、酢酸リチウム45g、チタン原子換算で5ppm相当のクエン酸キレートチタン化合物を添加し、IV設定値に対して43%となった時点でポリマーに対して100ppm(リン原子換算で10ppm)相当のビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(ADEKA社製、アデカスタブPEP−36)のエチレングリコールスラリーの混合物を添加した。更に5分間撹拌した後、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製)をポリマーへの共重合量が1重量%となるように1kg添加した。更に5分間撹拌した後、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ヒドロキシエチルエステルのエチレングリコール溶液(竹本油脂(株)製、ES−740)を、ポリマーに対する含有量が1.78モル%となるように添加した。更に5分撹拌した後、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを、ポリマーに対して酸化チタン粒子換算で1.5重量%となるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。
【0055】
所定の攪拌トルク(IV設定値)の95%となった時点(減圧を開始してから2時間15分の時点)で、反応缶上部よりポリマーに対して250ppm(リン原子換算で25ppm)相当のビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(株式会社ADKA製、アデカスタブPEP−36、融点236℃、予め、ポリエチレンテレフタレートを射出成形により厚さ200μm、内容積50cmの容器およびその蓋に成形した容器(容器とふたを合わせた重量は30g)に詰めたもの)を添加した。その後反応を継続し、所定の攪拌トルクに到達したら反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間25分であった。
【0056】
得られたポリマーのb値中心値は7.0であり、Δb値は1.5であった。得られたポリマーをそのまま次工程に供し、150℃12時間真空乾燥した後、紡糸機に供しメルターにて溶融した後、紡糸パック部から吐出し、1000m/分の速度で引取った。得られた未延伸糸を80℃で2.8倍に延伸した後、ローラー(125℃)で熱セットし、83.3dtex36フィラメントの延伸糸を得た。
【0057】
多点毛羽計数装置 MFC−120(東レエンジニアリング株式会社製)を用いて、糸速500m/min、100分間でカウントされる毛羽数を測定したところ、毛羽数は0.14個/千万メートルであり、品位は良好だった。
【0058】
この糸を27ゲージの靴下編機(英光産業(株)製)により筒編地を編成した。次いで、これを0.2%の非イオン性活性剤(グランアップCS、三洋化成(株)製)と0.2%のソーダ灰を含む沸騰水で5分間煮沸精錬し、水洗い、乾燥させた。この筒編地は染料吸尽率は62%であり、経筋も認められず、品位の良好なポリマーであった。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例2〜5
改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加する3価のリン化合物の添加時期を変更する以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。得られたポリマーは色調に優れており、紡糸性、染色性の良好なポリマーであった。
【0061】
実施例6〜11
改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加する3価のリン化合物の添加量を変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。得られたポリマーは色調に優れており、紡糸性、染色性の良好なポリマーであった。
【0062】
実施例12〜14
改質ポリエステルのIV設定値の45%以下の段階で添加する3価のリン化合物の添加量を変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。得られたポリマーは色調に優れており、紡糸性、染色性の良好なポリマーであった。
【0063】
【表2】

【0064】
実施例15〜24
5−ナトリウムスルホイソフタル酸ヒドロキシエチルエステルの共重合量、ポリアルキレングリコールの重量平均分子量と共重合量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。得られたポリマーは色調に優れており、紡糸性、染色性の良好なポリマーであった。
【0065】
実施例25〜27
改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加する3価のリン化合物の種類を変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。得られたポリマーは色調に優れており、紡糸性、染色性の良好なポリマーであった。
【0066】
【表3】

【0067】
実施例28〜35
重合触媒の種類と量を変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。得られたポリマーは色調に優れており、紡糸性、染色性の良好なポリマーであった。
【0068】
比較例1
改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加する3価のリン化合物を添加せずそのまま重合反応を行なった以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。得られたポリマーはΔb値が大きく、紡糸性、染色性の劣るポリマーであった。
【0069】
【表4】

【0070】
比較例2
改質ポリエステルのIV設定値の60%の段階で3価のリン化合物を添加した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。3価のリン化合物を早く添加してしまったために、重合触媒が失活し目標IVに到達しなかった。
【0071】
比較例3、4
改質ポリエステルのIV設定値の45%以下の段階で添加する3価のリン化合物の添加量を変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。3価のリン化合物の添加量が多かったために、重合触媒が失活し目標IVに到達しなかった。
【0072】
比較例5
改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加する3価のリン化合物の添加量を変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合した。しかし、リン化合物の分散性が不十分と考えられ、吐出が出来なかった。
【0073】
比較例6〜11
金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合量、ポリアルキレングリコールの重量平均分子量と共重合量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。比較例6、8、11では、得られたポリマーは色調に優れており、紡糸性の良好なポリマーであったが、染色性が不足していた。比較例7、9では、得られた改質ポリエステルは染色性に優れていたものの、色調、紡糸性が劣っていた。比較例10では、リン化合物の分散性が不十分と考えられ、吐出が出来なかった。
【0074】
比較例12、13
3価のリン化合物を重合反応が実質的に完了した後に(所定の目標IVに達した後)添加した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。比較例12は3価のリン化合物を添加後、0.25秒後に吐出を行なった。比較例13では、所定の目標IVに到達した後に、留出管のバルブを閉じ重合反応機の系内を減圧状態のまま、リン化合物の添加を行い10分攪拌し混合を行なった後に吐出を行なった。比較例12ではポリマー中にリン化合物の凝集物と見られる異物が発生しており、溶融紡糸時にはロ圧上昇が見られ毛羽も多発した。また、比較例13では得られたポリマーの色調が劣っており、紡糸性、染色性も悪いポリマーであった。
【0075】
比較例14〜16
改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で添加する3価のリン化合物の種類を変更した以外は実施例1と同様に改質ポリエステルを重合、紡糸、染色した。添加したリン化合物は5価であったため、得られたポリマーはΔb値が大きく、紡糸性、染色性も悪いポリマーであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全酸成分に対し金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を0.1〜10モル%、平均分子量400〜8000ポリオキシアルキレングリコール成分を0.1〜5.0重量%を共重合した、チタン元素とリン元素を含有する改質ポリエステルの製造方法であって、改質ポリエステルのIV設定値の85%以上、99%未満の段階で、3価のリン化合物をリン元素換算で10〜200ppm添加することを特徴とする改質ポリエステルの製造方法。
【請求項2】
改質ポリエステルのIV設定値の45%以下の段階で、3価のリン化合物を改質ポリエステルに対して、リン元素換算で20ppm未満添加することを特徴とする請求項1記載の改質ポリエステルの製造方法。
【請求項3】
チタン元素が、酸化チタン換算で0.01〜7.0重量%であることを特徴とする、請求項1または2記載の改質ポリエステルの製造方法。
【請求項4】
3価のリン化合物の融点が、100〜400℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の改質ポリエステルの製造方法。
【請求項5】
3価のリン化合物が、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[2−{(2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ}エチル]アミン、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の改質ポリエステルの製造方法。
【請求項6】
改質ポリエステルのIV設定値85%以上、99%未満の段階で、3価のリン化合物を添加するに際して、3価のリン化合物を、ポリエステルを主体とする容器に入れて添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の改質ポリエステルの製造方法。
【請求項7】
溶融重縮合工程が回分式である請求項1〜6のいずれか1項記載の改質ポリエステルの製造方法。

【公開番号】特開2008−274079(P2008−274079A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118555(P2007−118555)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】