説明

放圧制御機構を備えた流体圧接続アセンブリ

【課題】少なくとも1本の流路(2、3)と流路(2、3)に接続された少なくとも1本のドレン流路(4)とを含む一体型ボディ(A)を備えるタイプの、少なくとも1つの流路を接続する新規な流体圧接続アセンブリを提供すること。
【解決手段】接続解除の前に流体圧を放出して、ツール流路から圧力を解放させるとともに、作業者が加圧流路を接続する操作を容易にするために、本発明にかかる流体圧接続アセンブリは、流路減圧手段(10b、11a)を作動させるよう構成された軸線方向可動要素(11、15)を備える少なくとも1つの継手(5、6)をさらに備えている。本発明にかかる流体圧接続アセンブリは、製造コストと製造時間を削減させるのみならず、加圧流路を結合する際に作業者が加えなければならない力を大幅に低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放圧手段を備えた流体圧接続アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業機械に搭載された流体回路を可動式流体圧機器の流体回路に接続するよう構成された流体圧接続アセンブリが知られている。このような流体圧接続アセンブリの使用例は、掘削機などの土木機械の流体圧接続アセンブリである。土木機械は、機械部材を作動させる流体回路を搭載しており、通常、搭載された流体回路を可動式流体圧機器、例えば、空気式のドリル、カッタなどのツールに可撓管と迅速継手を用いて接続することができる。
【0003】
しかしながら、ツールの機械への流体圧接続には、欠点がないわけではない。第1の欠点は、ツールが取り外される際に機械搭載の流体圧系が加圧状態のままであることである。
【0004】
これに伴い、使用後にツールが取り外され、保管される際に、ツールの流体回路に作動流体が充満していることになる。
【0005】
作動流体が充満したままのツールの流体回路は、常々起こることだが、ツールが使用後に建設現場に放置され、頻繁に日光にさらされる場合や、いずれにせよ、ツールの流体回路の内部温度上昇ひいては圧力上昇を決定づける要素の作用にさらされる場合には、危険の源となる。このツール内部の圧力上昇は、そのこと自体ツール自体を損傷させるおそれがあるので危険であるばかりか、ツールの機械への接続を回復させるためにユーザが加えなければならない力を時として克服不可能なまで増大させるので、不都合でもあり、それゆえ回避すべきである。上述したように、一般に、そのような接続は、少なくとも1つの迅速継手を用いて行われる。迅速継手では、作業者がツールの流路の継手半体を機械に設けられた接続アセンブリの対応する継手半体に軸線方向の圧力移動によって接続する必要がある。ツール内に加圧流体が存在する場合には、数十キログラムの結合力を必要とする場合があり、ユーザが接続させるには高すぎる値である。
【0006】
この理由から、上記の欠点を未然に防ぐために、流路に減圧手段を備える接続アセンブリが市場で知られている。
【0007】
従来知られているタイプのこのようなシステムの一例は、国際特許出願公開第2008/012293号パンフレットによって提供されており、この文献では、作業機械に外側から取付け可能であって、取外し可能な機器に流体圧を供給するために作業機械の流体回路の圧力流路に接続可能な流体継手を備えた一体型ボディと、ドレン流路に接続可能な補助放圧装置とを備える流体圧接続アセンブリが示されている。補助放圧装置は、流体圧接続アセンブリに接続されると、流体回路の圧力供給流路とドレン流路との間に配置される。また、補助放圧装置は、作業機械の流路から圧力を放出するように作業者に手動で作動される開放制御を有する排出弁を備えている。
【0008】
排出弁は摺動ピストン型であり、放圧制御機構は、ユーザが休止位置と動作位置との間で移動させることができるレバーからなる。
【0009】
従来知られているタイプのこの解決策を悩ます欠点は、ユーザが手動で放圧制御機構を作動させて回路内から圧力を放出させる必要があり、したがって、作業者が、機器を取り外す際にこの操作を忘れずに行って機器の流体回路から圧力を放出させる必要があることである。
【0010】
従来知られている装置のもう1つの欠点は、その構造の複雑さにより、流体圧接続アセンブリの製造コストが高価であることである。
【0011】
さらに、装置の構造が複雑であることと、迅速継手の鋳鉄含有ブロック内に複数の管が存在することにより、作動流体の最大圧力値が制限されている。実際には、鋳鉄ボディに形成された貫通孔内に加圧流体が流れざるをえないという点で、流体圧接続アセンブリ全体の耐密性が制限されている。
【0012】
作業機械に搭載の回路と機器との間に流体圧接続を確立するための従来知られている別の解決策として、放圧装置として機能する可動要素を備えた迅速継手の使用が挙げられる。それにより、作業者は別個に配置された制御装置に介入するが、放圧装置は、作業者によって手動で作動されることなく、代わりに継手自体に内蔵されて、流路間の結合および結合解除の工程に使用されるのと同じ軸線方向スラストで作業者によって自動的に作動される。そのため、放圧装置の高度の自動化が達成される。
【0013】
そのような技術的解決策の一例は、国際特許出願公開第2008/012293号パンフレットに示すタイプの鋳鉄ブロック内に挿入されるよう構成された流体継手が記載され特許請求された、同一出願人による欧州特許第1179701号明細書に開示されている。この流体継手は、減圧装置(弁)が設けられた可動要素を備えており、減圧装置は、減圧装置を作動させるために流路間結合動作を意図的に延長する作業者による軸線方向スラスト時に、可動要素が行程終端位置に達すると、開放される。
【0014】
そのような技術的解決策は、減圧装置を継手内に組み込むことにより、接続部間を結合する同じ操作によって減圧装置を作動させることができるというさらなる利点を得ることで、国際特許出願公開第2008/012293号パンフレットの教示に比べて減圧装置をかなり単純化させているとはいえ、いくつかの欠点を未解決のまま残している。
【0015】
その欠点の1つは、小型であるがゆえに手で組み付ける必要がある可動要素、特に減圧弁を製造することが困難であることである。そのため、非常に小型の部品を手で組み付けなければならないことで、製造コストが悪化する。
【0016】
例示のタイプの減圧装置を備えた接続アセンブリを悩ますもう1つの欠点は、残留内部圧力が存在する場合には、ツールの流路と接続アセンブリの継手との接続を確立するために、また、流路を減圧するために作業者が加えなければならない力が高くなることである。以下により詳細に説明するが、図1および図2は、本発明の目的に最も近い従来の装置の一体型ボディAに挿入された迅速継手100、200をそれぞれ示す。図から明らかなように、継手の可動要素は、鋳鉄製の一体型ボディAに対して軸線方向に移動可能であって、可動要素の最外部は、一体型ボディAの内部に接触して摺動するようになっており、継手と一体型ボディAとの間に流体に対する耐密性を確保するために、1つ以上のシール101、201が設けられている。一体型ボディAの鋳鉄は多孔質であるため、シール101、201の摺動摩擦係数が非常に高くなり、その結果、流路を減圧するのに必要な力が非常に高くなるとともに、不調の繰返しが多くなると、シール自体の摩耗を招き、流体に対する耐密性が次第に失われ、結果的に、装置全体または少なくとも継手全体を交換することが必要になるおそれがある。
【0017】
これらの欠点を減らす試みとして、一体型ボディAの亜鉛メッキ処理の後に、気孔率を低下させてシールの摩擦係数を低下させるように、一体型ボディAの内面にラッピングが施されている。この追加の表面機械加工に移る必要があるということは、製造コストの上昇のみならず、製造時間の増加も意味する。実際には、一体型ボディは、亜鉛メッキを施されたのちに、内面をラッピングするために工作機械の作業ステーションに戻される必要がある。したがって、亜鉛メッキ後のラッピング処理は、製造コストのかなりの上昇を招くことに加え、装置の製造時間を増加させることになる。
【0018】
さらに残念なことに、製造プロセスを最大限の注意を払って進め、必要な品質尺度を導入して監視しても、ラッピングが構造上の要件を守らない場合が頻繁に発生し、結果として、残念にも一部の装置が結合に要求される力に関して製品仕様を満たさないことがわかった。したがって、従来の既知のタイプの装置を悩ます欠点を克服することができる一体型(one−block)の流体圧接続アセンブリを提供する必要性が特に感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の主たる課題は、作業者が流路を減圧するために加えなければならない力を低減することができる、すなわち、回路内流体圧が等しい、ツール流路を流体回路に接続する流体圧接続アセンブリを提供することである。
【0020】
その課題の範囲内において、本発明の目的は、それ自体が信頼性を向上させるとともにコストと製造時間を削減させることが可能な、より単純な構造の流体圧接続アセンブリを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、製造プロセスの必要作業数を減少させ、特に内面のラッピング工程を完全になくすことによって鋳鉄製の一体型アセンブリを機械加工および処理する工程を単純化し、それにより、製造コスト削減と製造プロセスの高速化の二重の利点をもたらす流体圧接続アセンブリを提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、作動圧力と破壊圧力を高めて装置の安全基準を上昇させた流体圧接続アセンブリを提供することである。
【0023】
さらに、本発明の目的は、様々なサイズの継手を接続するのに適した流体圧接続アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題と、これらの目的および他の目的は、以下により詳細に説明するが、少なくとも1本の流路と流路に接続された少なくとも1本のドレン流路とを含む一体型ボディを備えるタイプの、少なくとも1本の流路を接続する流体圧接続アセンブリにおいて、流路の少なくとも1本に、流路減圧手段を作動させるよう構成された軸線方向可動要素を備える継手をさらに備え、減圧手段が、可動要素上に配置されて可動要素を継手の固定部材に対して流体に耐密に封止するよう構成された少なくとも1つの封止部材と、継手の固定部材に形成された少なくとも1つのくぼみとを備えており、可動要素が、封止部材が可動要素を固定部材に対して流体に耐密に封止する第1の作用位置と、封止部材が少なくとも1つのくぼみに配置されて、もはや流体を封止せずにドレン流路に流す第2の減圧位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とする、流体圧接続アセンブリによって達成される。
【0025】
本発明のさらなる特徴と利点は、非限定的な実施形態によって与えられ添付の図面に示す以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の目的に最も近い、従来知られているタイプの装置に属する第1の継手の部分側断面図である。
【図2】図2は、本発明の目的に最も近い、従来知られているタイプの装置に属する第2の継手の部分側断面図である。
【図3】図3は、本発明にかかる流体圧接続アセンブリの長手方向面に沿う側断面組立図である。
【図4】図4は、図3の継手の細部を示す図である。
【図5】図5は、継手と交差する流路内の作動流体が加圧される第1の作用位置にある図3の継手の拡大図を示す図である。
【図6】図6は、作動流体が軸線方向の流路から減圧流路へ自由に流入することができる第2の減圧位置にある、図5と同じ継手の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面の非限定的な例で示す本発明の好ましい実施形態によれば、本発明にかかる流体圧接続アセンブリ1は、通常少なくとも2個の継手が収容された一体型ボディAを備えている。
【0028】
実際には、本発明にかかる流体圧接続アセンブリは、ツールの流路を、例えば、作業機械に搭載された流体回路に接続するように意図されており、したがって、通常は、供給流路2と戻り流路3とが設けられている。一体型ボディAの内部で区別されている流体の供給流路2と戻り流路3は、図示しない、ツールの流路を接続する迅速継手5、6とそれぞれ連結されている。接続部1の供給流路2と戻り流路3はそれぞれ、一体型ボディAの内部ポート2a、3aによって流体回路のドレン流路4に接続されている。
【0029】
供給流路2と戻り流路3は、例えば、作業機械に搭載された流体回路のそれぞれ対応する圧力流路に接続されている一方、ドレン流路4は、回路内の流体を溜める液だめに接続されている。
【0030】
供給流路2と戻り流路3は、上述したように、それぞれ迅速継手5、6を介してツールの流路に、すなわち、作業機械に接続される機器の場合には流体圧機器の流路に接続される。
【0031】
本発明にかかる流体圧接続アセンブリは、流体圧を放出する手段をさらに備えている。特に、この流体圧の放圧手段は、継手5、6のそれぞれに内蔵されているため、作業者は、個別に、すなわち、2本の流路のそれぞれに設けられた放圧手段を作動させることによって、供給流路2および/または戻り流路3から圧力を放出させることができる。
【0032】
ここで、流路の接続継手5、6の詳細説明に移ると、雄型と雌型の2個の継手5、6は、可動要素の構造と両継手の一体型ボディA内の連結部分の構造に関してはほぼ同じであるが、ツールの流路との物理的接続のために、一体型ボディAを越えて突出している部分に関してのみ異なっている。
【0033】
両継手はほぼ対称であるため、両継手のうちの一方のみを詳細に示す図4の拡大図に特に基づいて説明する。
【0034】
特に図4を見れば、本発明にかかる接続アセンブリの各継手は、流体戻り流路3を軸線方向に画定する略中空円筒形状のアダプタ10を備えており、アダプタ10は、同軸の流路上で一体型アセンブリAの後部と、例えば螺合によって、堅固に連結されている。一体型アセンブリの後部とは、前部の反対側の部分を意味し、前部とは、ツールへの接続のために継手が突出している根元部分である。
【0035】
各継手は、アダプタ10に摺動可能に連結された後部ボディ11をさらに備えている。特に、アダプタ10は、後部ボディ11を受け入れるほぼ軸線方向の内部孔と、アダプタの内部孔用に特に設けられた位置決め部と後部ボディ11との間で作用し、アダプタ10と後部ボディ11との相互接近、すなわち、後部ボディ11のアダプタ10内への貫入に抗する力を発生可能な螺旋バネ12とを有している。
【0036】
後部ボディ11が、アダプタ10に部分的に挿入され、摺動可能に連結されているので、アダプタ10は、後部ボディ11を周囲から取り囲むとともに流体通過用の軸線方向の開口を備えたそれ自体略円筒状の部分10aを必ず有している。アダプタ10の円筒状部分10aの内面には、少なくとも1つの溝10bが形成されており、後部ボディ11の外面に面している。
【0037】
後部ボディ11は、以下にさらに詳述するように、第1の位置と第2の位置との間で軸線方向に移動可能であるので、継手の可動要素に属する。後部ボディ11のアダプタ10方向への移動は、螺旋バネ12の存在によって抵抗を受けるが、作業者が手動で継手を軸線方向に押圧すると決めたときは、後部ボディ11が一体型ボディAの後部に向かって押圧されることにより、バネ12を圧縮させることができる。
【0038】
実際には、後部ボディ11は、リングナット13によって軸線方向に規制されており、リングナット13は、流路3と同軸に一体型ボディAの前部に堅固に接続されている。添付の図面に示す好ましい実施形態によれば、リングナット13は、一体型ボディAに螺着されている。
【0039】
アダプタ10内に嵌入された後部ボディ11の後部には、アダプタ10の端部10aの内面に対して後部ボディ11を流体に耐密に封止するように径方向外側に突出可能な封止部材11aが設けられている。
【0040】
封止部材11aは、封止領域が封止を最適化して摩擦を最小限に抑える尖端部を有するように適切に成形された輪郭を有するポリウレタンまたは同様の材料からなる環状シールであることが好ましい。
【0041】
封止部材11aは、金属リングの存在により、後部ボディ11の外面に適切に形成された、封止部材自体をそのくぼみ形状内に拘束するシートによって保持されている。シート内での封止部材の安定性は、封止部材とシートとの間の形状結合によってさらに確保されている。
【0042】
リングナット13も、継手の長手軸線に対して軸対称であり、内部ボディ15を軸線方向に押し進めさせる内径を有している。さらに、螺着されたリングナット13は、後部ボディ11を周囲から取り囲むことにより後部ボディ11をリングナット13に対して摺動させることを目的とする略円筒状の部分13aを有している。後部ボディ11の外面とリングナット13の円筒状部分13aの内面との間の流体封止は、封止部材14、一般的にはOリングの存在とそれ専用のはみ出し防止リング14aによって確保されている。
【0043】
簡単に言えば、後部ボディ11は軸線方向に移動可能であるが、アダプタ10との後方接触とリングナット13との前方接触によって移動が規制されている。
【0044】
もう1つの要素、すなわち、内部ボディ15は、一体型ボディAの内部で連結部分を完結させている。内部ボディ15は、他の要素と同軸に配置され、リングナット13に挿入されているとともに、部分15aにおいて後部ボディ11に部分的に貫入している。このようにして、内部ボディ15は、この例では螺着によって、後部ボディ11に堅固に接続されている。
【0045】
内部ボディ15の外面とリングナット13の内面との流体封止は、封止部材16、一般的にはOリングとそれ専用のはみ出し防止リング16aによって確保されている。図6により詳細に示すように、内部ボディ15の周壁には、内部ボディ15の内部孔と流体貯留室17aとの間を連通させるように構成されたほぼ径方向に延びる接続管17が設けられている。貯留室17aは、内部ボディ15、リングナット13および後部ボディ11によって画定されており、貯留室17aからの流体の分散を防止する流体封止も、封止部材14とそれ専用のはみ出し防止リング14aによって確保されている。
【0046】
ここで、本発明にかかる接続アセンブリの操作について、継手の可動要素がそれぞれ第1の作用位置と第2の放圧位置とにある図5および図6に特に基づいて説明する。
【0047】
基本的に後部ボディ11と内部ボディ15とからなる可動要素が図5の作用位置にある場合、供給用アセンブリの流路3が作業機械の流体供給回路を予定のツールに連通させる。供給用アセンブリの継手6にいかなるツールも接続されない場合、可動要素は、図5に示す位置にある。
【0048】
流路を減圧する必要がある場合、作業者は、可動要素が行程終端位置に達する図6に示す構成になるまで継手にさらに軸線方向の圧力を及ぼして、内部ボディ15の過移動を引き起こし、それにより後部ボディ11を一体型ボディAの後部領域に向かって押し込むだけでよい。
【0049】
可動要素が図6に示す行程終端位置に達するように移動する場合は、ポリウレタン封止部材11aがアダプタ10の内面に形成されたくぼみまたは減圧溝10bに達するまで、封止部材11aがアダプタ10の端部10aから内側に数ミリにわたって摺動し、なおも流体封止を確保する。
【0050】
行程終端位置の時点では、再び図6を見れば、封止部材11aはくぼみ10b内に位置しているので、もはやアダプタ10に対する流体封止は確保されない。それにより、流路3からの加圧流体が、封止部材11aと減圧くぼみ10bとの間に形成された貫通孔に向かって流れ込んで、排出管3aに達し、排出管3aからドレン流路4に達する。それにより、加圧流体がドレン流路4から放出され、その結果、流路内、この場合は戻り流路3内の圧力が低減される。
【0051】
上述したように、可動要素が休止位置から減圧位置に移動する場合、非圧縮性流体、一般的には、油を貯留室17aに流入させる接続管17が存在するために、可動要素の平行移動が可能である。同様に、可動装置を減圧位置から作用位置に、したがって封止部材11aによる封止状態に戻す反対方向への平行移動時には、流体は、貯留室17aによって接続管17を通じて継手の内部へ回収される。
【0052】
供給流路2に関する継手5の操作は、戻り流路3の継手5に関して示したものと同じである。
【0053】
さらに、本発明にかかる接続アセンブリは、ISO 16028規格と互換性がありかつこの規格に準拠した雄型および雌型継手5、6を様々な直径のツールの流路に連結させることができるので、一体型ボディAと連結されるのに適したアダプタを備えることができる。
【0054】
本発明による接続アセンブリは、非常に単純な構造を維持する流路減圧手段を備えている。特に、手動のアセンブリを必要とせず、技術的観点からは特に複雑でもない手段を用いて流体の減圧が得られる。
【0055】
さらに、図4、図5および図6を特に見れば、可動要素の構成部品が、一体型ボディAと接していない内部ボディ15と後部ボディ11とから基本的に構成されている。したがって、本発明にかかる接続アセンブリにおいて、一体型ボディAの鋳鉄構造と接触する移動構成部品は存在せず、それにより、多数の利点が得られる。
【0056】
第1の利点は、上述したように、製造時間とコストの削減に関する。一体型ボディの内面の表面研磨、特にラッピングは、従来知られている解決策では、一体型ボディと接触して摺動する封止部材の平均寿命を延ばしながら摩擦を低減させるために材料の気孔率を低下させることであったが、もはや不要である。
【0057】
別の利点は、作業者が流路を減圧させるために加えなければならないスラストの低減によって与えられる。
【0058】
実際、本発明にかかるアセンブリでは、正確には、後部ボディ11が一部でアダプタ10と接触し、一部でリングナット13と接触して軸線方向に移動可能に摺動する一方、他方の可動要素(内部ボディ15)がリングナット13と接触して摺動するおかげで、一体型ボディAと接触して摺動する可動要素が存在しない。
【0059】
減圧手段を備える継手の特定の構造のために、結合および減圧に必要な力の値が大幅に低減される。参考データを提供するためには、作業者は、残留流体圧25MPaの図1および図2に示す従来知られているタイプの装置に対して約450Nの軸線方向圧力を加える必要があるが、流路および継手の直径が等しく、残留流体圧も等しい本発明にかかる接続アセンブリの場合、270Nしか必要とせず、作業者の疲労を減少させるという点でかなり有利である。
【0060】
また、加圧流体が一体型ボディAと接触せず、かつ本発明にかかる接続アセンブリの継手を特徴づける全体構造の単純さにより、既知のタイプの装置の25MPaから本発明にかかる接続アセンブリの35MPa以上へと流体をより高い作動圧力で動作させることができる。
【0061】
本発明にかかる流体圧接続アセンブリがいかにして従来知られているタイプの装置で未解決の欠点を克服することができるかについて示してきた。
【0062】
特に、本発明にかかる流体圧接続アセンブリがいかにして作業者に流路を接続させ、場合によっては、非常に低い力で流路を減圧させて流路内の流体圧を均等にさせるかについて示してきた。
【0063】
さらに、本発明にかかる流体圧接続アセンブリは、実施するのに非常に費用対効果が高くて簡単であり、したがって、特に、手動で構成部品を組み立てるという、労を要する分散的な工程をなくすことができるとともに、鋳鉄一体型ボディの内面を研磨する仕上げ作業をもはや必要としない。
【0064】
また、本発明にかかる流体圧接続ユニットは、主として、亜鉛メッキ後に工作機械で機械加工する追加の工程をもはや必要という理由から、従来知られているタイプの装置を製造するのに必要な時間よりもはるかに短い製造時間しか必要としない。
【0065】
当業者は、本発明の保護の範囲から逸脱することなく本発明に対して多くの変更を行うことができる。
【0066】
したがって、特許請求の範囲の保護範囲は、例示として記載された図や好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲は、当業者によって等価物として扱われるすべての特徴も含めて、本発明から推測可能な特許可能な新規性を有するすべての特徴を含むべきである。
【符号の説明】
【0067】
A…一体型ボディ、1…流体圧接続アセンブリ(接続部)、2…供給流路、3…戻り流路、2a、3a…内部管(排出管)、4…ドレン流路、5、6…迅速継手、10…アダプタ(固定部材)、10a…円筒状部分(端部)、10b…溝、11…後部ボディ(可動要素)、11a…封止部材、12…螺旋バネ、13…リングナット、13a…円筒状部分、14…封止部材、14a…はみ出し防止リング、15…内部ボディ(可動要素)、15a…部分、16…封止部材、16a…はみ出し防止リング、17…接続管、17a…貯留室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の流路を接続する流体圧接続アセンブリであって、
少なくとも1本の流路(2、3)と、前記流路(2、3)に管(2a、3a)を介して接続された少なくとも1本のドレン流路(4)とを含む一体型ボディ(A)を備え、
前記流路の少なくとも1本に、流路減圧手段(10b、11a)を作動させるよう構成された軸線方向可動要素(11、15)を備える継手(5、6)をさらに備える、流体圧接続アセンブリにおいて、
前記流路減圧手段が、前記可動要素上に配置されて前記可動要素を前記継手の固定部材(10)に対して流体に流体的に封止するよう構成された少なくとも1つの封止部材(11a)と、前記継手の前記固定部材(10)に形成された少なくとも1つのくぼみ(10b)とを備えており、
前記可動要素(11、15)は、前記封止部材(11a)が前記可動要素を前記固定部材(10)に対して流体的に封止する第1の作用位置と、前記封止部材(11a)が前記少なくとも1つのくぼみ(10b)に配置されて、流体を封止せずに前記ドレン流路(4)に流す第2の減圧位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とする、流体圧接続アセンブリ。
【請求項2】
前記可動要素(11、15)が、前記固定部材(10)に摺動可能に連結されるとともに部分的に挿入された略中空円筒状の後部ボディ(11)を備え、前記固定部材(10)と前記後部ボディ(11)との間に、前記後部ボディ(11)の前記固定部材(10)内への貫入に抗するように螺旋バネ(12)がさらに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項3】
前記可動要素(11、15)が、前記後部ボディ(11)と同軸に配置されるとともに前記後部ボディ(11)に堅固に連結された内部ボディ(15)をさらに備え、前記内部ボディ(15)が、リングナット(13)に挿入されているとともに、前記後部ボディ(11)に挿入された部分(15a)を有することを特徴とする、請求項2に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項4】
前記後部ボディ(11)が、前記一体型ボディ(A)の前部に対して前記流路と同軸に堅固に接続された前記リングナット(13)の存在によって軸線方向に規制されており、前記リングナット(13)が、前記後部ボディ(11)を周囲から取り囲むことにより前記後部ボディ(11)を前記リングナット(13)に対して摺動させる略円筒状の部分(13a)を有することを特徴とする、請求項3に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項5】
前記封止部材(11a)が略環状のシールからなることを特徴とする、請求項4に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項6】
前記封止部材(11a)がポリウレタン製であることを特徴とする、請求項5に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項7】
前記封止部材(11a)が、封止領域に少なくとも1つの尖端部を有するとともに基部領域が丸い断面形状を有することを特徴とする、請求項6に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項8】
前記継手(5、6)の前記固定部材(10)は、前記継手が配置された前記流路(3)によって軸線方向に横切られる略中空円筒状のアダプタ(10)からなり、前記アダプタ(10)が、前記一体型ボディ(A)の後部に連結されているとともに、前記封止部材(11a)に面する前記1つ以上のくぼみ(10b)が形成された端部(10a)を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項9】
前記可動要素(11、15)が軸線方向に移動可能であり、前記可動要素(11、15)の軸線方向移動が、後部では前記アダプタ(10)への当接によって、前部では前記リングナット(13)への当接によって規制されており、前記可動要素(11、15)の外面が、前記リングナット(13)の内面に対して摺動することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体圧接続アセンブリ。
【請求項10】
前記可動要素(11、15)が軸線方向に後退する際には、加圧流体を前記流路から貯留室(17a)に流し、前記可動要素(11、15)が前進する際には、前記加圧流体を前記貯留室(17a)から前記流路に逆流させる接続管(17)をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の流体圧接続アセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate