説明

放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法

【課題】放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートの0.5mm以下の微細なひび割れの深部まで充填が可能な注入材を用いて、ひび割れ深部までの全体にわたり長期的な溶脱抑制効果が大きい放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法を提供する。
【解決手段】放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れに、超微粒子球状シリカと水を含有する注入材を注入し、前記ひび割れの表層から深部まで充填された前記注入材の超微粒子球状シリカを、前記モルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウムとの反応により硬化させることを特徴とする。前記注入材は、前記超微粒子球状シリカの濃度が60%を超えるものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れを超微粒子球状シリカによって補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性廃棄物処分場では、放射性廃棄物の拡散抑制を長期的に期待する部材としてモルタルを用いることがあり(図1)、それには一般のコンクリート構造物に比べて高緻密性と高耐久性が要求される。そこで、これまでは弱点となるひび割れを発生させない工夫が検討されてきたが、モルタルに微細なひび割れが発生する場合には、長期的な品質保証の観点からひび割れ補修が必要となる。また、コンクリートについても同様に、放射性廃棄物処分場で用いられるが、やはり、微細なひび割れが発生する場合にはひび割れ補修が必要となることが考えられる。
【0003】
上記のようなモルタル又はコンクリートのひび割れ補修に用いられる注入材に対する要求性能としては、1)0.05mmまでの微細なひび割れ(表層〜深部)の全体にわたり充填すること、2)モルタル又はコンクリートの放射性物質に対する収着性などへの悪影響がない無機材料を主材とすること、3)モルタル又はコンクリートのひび割れ面からの長期的な溶脱を抑制する効果があることが挙げられるが、このような要求性能を満たす注入材は知られていなかった。
【0004】
従来、コンクリートのひび割れ補修技術として、普通ポルトランドセメントやシリカサンド、触媒性化合物などを主成分とした無機質の材料(ザイペックス:商標名など)をコンクリートの表面に塗布・吹付し、内部に浸透させて改質させる技術があるが、この技術を放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートに適用した場合、モルタルやコンクリートそのものが高緻密化されたもので表面からは浸透しにくいので、表面から改質させるという方法には問題点があった。
また、エポキシ・アクリル樹脂系などの注入材料やポリマーセメントをコンクリートのひび割れに注入し硬化させる技術を放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートに適用した場合、0.2mm以下の微細なひび割れへの充填が難しい、主材が有機材料であるため、モルタル又はコンクリートの放射性物質に対する収着性などに悪影響がある、一般に供用期間中の止水性向上が主目的の注入材料のため、長期的な溶脱抑制効果は考慮されていないという問題点があった。
【0005】
一方、土木、建築分野で基礎地盤の遮水性、固密性、及び変形性等を改良するために使用する注入材に関する発明として、「微粒子シリカと水を主成分とし、濃度が5〜60%で、粘度が100mPa・S以下であるシリカスラリーを含有してなる注入材。」の発明がある(特許文献1参照)。しかし、この発明は、シリカスラリーを地盤に注入するものであり、モルタルやコンクリートのひび割れに注入するものではなく、シリカスラリーの濃度が高いと浸透性が充分でないという問題点があった。さらに、特許文献1には、「本発明で使用する微粒子シリカは、金属シリコン、フェロシリコン、又はジルコニアを製造する過程で電気炉から発生するフューム(シリカフューム)を捕集する方法、例えば、金属シリコン粉末を分散させたスラリーを高温場に噴射し燃焼、酸化させる方法、並びに、例えば、四塩化ケイ素等のハロゲン化物のように、ガス化したケイ素化合物を火炎中に送り製造する方法等の、いわゆる、乾式法で製造されるもの、又は、例えば、ケイ酸塩水溶液からのゾルゲル法により沈降生成させ製造する湿式法のいずれの製法で製造されたシリカ粉末を使用することができ、特に限定されるものではない。」(段落[0015])と記載されているから、特定の微粒子シリカを注入材とすることによる効果を期待したものではない。
【0006】
また、「予めポゾラン物質と水を含有するA材と、予めカルシウム含有物質と水を含有するB材を、別々に注入する注入材の施工方法。」の発明も公知である(特許文献2参照)。特許文献2には、「ポゾラン物質として、フライアッシュ、シリカヒューム、及び球状シリカ等のシリカ質物質等が挙げられる。これらの中では、浸透性の点で、シリカヒューム及び/又は球状シリカが好ましく、球状シリカがより好ましい。球状シリカとしては、平均粒径1μm以下に粉砕した原料珪石を高温の火炎中で溶融し、球状にした球状シリカが好ましい。」(段落[0007])、「本発明の注入材の施工方法は、止水性、浸透性、強度発現性が大きい。本発明の注入材の施工方法は地山改良の他に、コンクリートのひび割れ補修の用途にも適応できる。」(段落[0026])と記載されているが、球状シリカと水を含有するスラリーをコンクリートのひび割れに注入することは、具体的に記載されていない。コンクリートのひび割れに注入した場合でも、球状シリカと水を含有するA材だけではなく、カルシウム含有物質と水を含有するB材を注入するものであるから、注入材のポゾラン反応で硬化させるものであり、コンクリートから溶脱するカルシウムとの反応は意図していない。さらに、上記のA材として具体的に記載されているのは、「球状シリカ100質量部、水400質量部」(段落[0019]、[0023])の割合のスラリーであるから、球状シリカのスラリーの濃度は薄いものであり、高濃度のスラリーの浸透性については確認されていない。
【0007】
本発明者らは、放射性廃棄物処分場の岩盤の微細な亀裂に充填可能なグラウト材料として超微粒子球状シリカを用いることを報告した(非特許文献1参照)。このグラウト材料は、超微粒子球状シリカと超微粒子水酸化カルシウム(超微粒子消石灰と同じ)を併用して、SiOとCa(OH)のポゾラン反応により不溶性化合物であるC−S−Hを生成させて硬化させるものであり、超微粒子球状シリカ単独では、硬化させることができないものである。また、この報告には、超微粒子球状シリカ、超微粒子水酸化カルシウム及び水を含むグラウト材料をモルタルやコンクリートのひび割れに注入することは示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−217453号公報
【特許文献2】特開2009−299291号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】土木学会第64回年次学術講演会講演概要集(CD−ROM)平成21年8月3日、第145頁〜第146頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートの0.5mm以下の微細なひび割れの深部まで充填が可能な注入材を用いて、ひび割れ深部までの全体にわたり長期的な溶脱抑制効果が大きい放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れに、超微粒子球状シリカ(Super Fine silica Powder、以下SFPという)と水を含有する注入材を注入し、前記ひび割れの表層から深部まで充填された前記注入材のSFP(シリカ)を、前記モルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウムとの反応により硬化させることを特徴とする放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法である。
(2)前記モルタルは、その外面がベントナイト系材料で囲まれたモルタルであることを特徴とする前記(1)の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法である。
(3)前記注入材は、前記SFPの濃度が60%を超えるものであることを特徴とする前記(1)又は(2)の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法である。
(4)前記注入材が、さらに超微粒子消石灰を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法である。
(5)前記ひび割れは、ひび割れ幅が0.5mm以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法である。
(6)前記ひび割れ幅が0.05〜0.2mmであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一項の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法である。
なお、本発明に記載する部や%は、記載が無い限りは、質量部、質量%を意味する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の注入材による補修方法を採用することにより、SFPを放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートの0.05mmまでの微細なひび割れ(表層〜深部)の全体にわたり充填することができる。また、注入材の主材が無機材料(シリカ)であるから、モルタル又はコンクリートの放射性物質に対する収着性などへの悪影響がほとんどない。さらに、ひび割れ深部まで充填された注入材のSFP(シリカ)をモルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウムとの反応により硬化させ、かつ、ひび割れ内の反応生成物(硬化生成物)がモルタル又はコンクリートの成分と同様のカルシウムシリケート水和物になるので、モルタル又はコンクリートからのカルシウムの溶脱が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】モルタルを用いる放射性廃棄物場の断面図の想定例である。
【図2】SFPの自硬性確認の模擬試験を示す図である。
【図3】水酸化カルシウム水溶液の濃度と圧縮強度の関係を示す図である。
【図4】硬化生成物のX線回折図である。
【図5】ひび割れ充填性確認試験の試験手順を示す図である。
【図6】ひび割れ充填性確認試験の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態につき具体的に説明する。
本発明の対象とするモルタルは、セメントに水及び細骨材、必要に応じ混和剤(混和材)を加えて硬化させたものであり、放射性廃棄物場で用いられるモルタルである。このモルタルは、図1の想定例では、その外面がベントナイト系材料で囲まれ、その内面がコンクリートピットで囲まれたモルタルである。ベントナイト系材料に低透水性、コンクリートピットに構造安定性、モルタルに低拡散性が期待され、セメント系部材に放射性物質に対する収着性が期待されている。
上記のモルタルに微細なひび割れが発生する場合があり、本発明は、この微細なひび割れの補修方法に関する。この微細なひび割れは、0.05mmから0.5mmの範囲が主として想定されるが、本発明のSFPと水を含有する注入材を用いると、0.02mmまでの微細なひび割れに充填することが可能である。本発明のSFPを用いた補修方法は、0.05〜0.2mmのひび割れに充填する場合、他の補修方法に比べて優位性を発揮できる。
また、本発明は、放射性廃棄物処分場で用いられるコンクリート(セメントに水、細骨材及び粗骨材、必要に応じ混和剤(混和材)を加えて硬化させたもの)の同様なひび割れにも適用できる。
【0015】
本発明者らは、SFPと水を含有する注入材は高濃度でも浸透性が大きく、放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートの微細なひび割れの表層から深部までの全体にわたり充填できること、そして、ひび割れの表層から深部まで充填されたSFPは、図2に示されるように、水の存在下で、モルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウム(モルタル又かコンクリートのひび割れ面の表層付近から水酸化カルシウムが遊離したものを含む)との反応(ポゾラン反応)によりカルシウムシリケート水和物を生成して硬化することを知見して、本発明に到達した。同様の組成の超微粒子シリカでも、シリカフュームでは高濃度のスラリーにすると凝縮し易く、ひび割れの表層から深部までの全体にわたり充填ができないから、上記のようなポゾラン反応は期待できない。
球状シリカは、特許文献2に記載されているように、高温気流中でシリカ質材料を溶融することで得られるシリカの球状体である。この球状体を冷却、分級、捕集して本発明で使用するSFPが得られる。最大粒径がより小さいものが浸透性の点から好ましい。最大粒径1μm以下が好ましい。
【0016】
本発明の注入材には、硬化材として、さらに超微粒子消石灰を含有することができる。本発明は、SFPとモルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウムとを反応させるものであり、ひび割れ内に未反応シリカを残存させる必要があるから、超微粒子消石灰を含有させる場合でも、SFPの比率が高くなければならない。注入材のうち、SFP/超微粒子消石灰の粉体分の質量比は1.4以上とすることが好ましく、3以上とすることがより好ましく、4以上とすることが特に好ましい。
本発明で使用する超微粒子消石灰の粒径は、最大粒径が使用するSFPと同等以下のものが好ましい。最大粒径1μm以下が好ましい。
【0017】
注入材の濃度は特に限定されるものではないが、SFPの濃度が高いものが好ましい。SFPの濃度は、50〜80%が好ましく、60%を超えることがより好ましい。SFPの濃度が高いと、充填されたSFPは、モルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウムと反応し易くなって強度が高くなり、SFPの濃度が低いと浸透性は高くなるが、濃度が高い場合に比べて強度が低くなる。
【0018】
注入材には、分散剤として高性能減水剤を使用することが好ましい。高性能減水剤とは、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤、及び、ポリカルボン酸塩系高性能減水剤などのいずれかを主成分とするものであり、これらの一種又は二種以上が使用される。ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤には、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物などがあり、減水率が大きくて空気連行性がなく、凝結遅延性も小さい特徴を有し、特に、ナフタレンスルホン酸系高性能減水剤は、セメント系材料の収着性などを低下させる影響が少ないので、好ましい。市販品としては電気化学工業(株)商品名「FT-500」とそのシリーズ、花王(株)商品名「マイティー100(粉末)」や「マイティー150」とそのシリーズなどが代表的である。高性能減水剤の添加量は特に限定はされないが、SFPの量、超微粒子消石灰を用いる場合にはSFPと超微粒子消石灰の合計量に対して、固形分換算10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。高性能減水剤の添加量によりゲルタイムを調整でき、添加量が多いほどゲルタイムを長くすることができる。
【0019】
注入工法としては、二重管ダブルパッカー工法、ストレーナー工法などの注入工法、またスラリーの混合方法として1、1.5、2ショット方法などが使用できる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0021】
(実施例1)
モルタル又はコンクリートのひび割れに注入した注入材のSFP(シリカ)が、モルタル又はコンクリートから溶脱したカルシウムとポゾラン反応で硬化する(すなわち、SFPが自硬性を有する)ことを確認するための模擬試験(図2)を行った。
【0022】
試験の手順を次に示す。
(1)SFP(電気化学工業(株)商品名「SFP20M」、最大粒径1.0μm)を水に分散させたスラリー(80%濃度)を和紙袋(寸法:φ13mm×長さ120mm、折りしろ:10mm、有効容積:φ13mm×長さ110mm)に入れた。
(2)和紙袋を1〜2日かけて100℃で乾燥し、水分を蒸発させ、スラリーを固形化した。ここで、スラリーを固形化しない場合、またはSFPを粉末のまま和紙袋に充填する場合でも浸漬試験は行えるが、和紙袋面付近の反応が卓越することでポーラスな供試体となり、所定の期間の経過後に圧縮強度を測定することが難しいので、スラリー化→乾燥→固形化の手順を踏んだ。
(3)500cmのビーカーに濃度を0wt%〜24wt%で変化させた水酸化カルシウム水溶液(表1、吉澤石灰工業製の特号水酸化カルシウムを利用)を投入した。
(4)和紙袋を5本ずつ、過飽和の水酸化カルシウム水溶液内に固定して静置した。
(5)7日後及び28日後に和紙袋を取り出し、φ13mm×26mmの寸法に切断した。
(6)円柱供試体を用いたモルタル又はセメントペーストの圧縮強度試験方法(JSCE-G 505-1999)に準拠して圧縮強度の平均値を測定した。
【0023】
【表1】

【0024】
表2及び図3に圧縮強度試験結果を示す。硬化生成物のX線回折結果を図4に示す。
【0025】
【表2】

【0026】
表2及び図3より、浸漬28日の圧縮強度は、約1MPa程度を上限とし、水酸化カルシウム水溶液の濃度が0〜16wt%の範囲ではほぼ比例的に増加していることがわかる。また、硬化生成物として、カルシウムシリケート水和物(C−S−H)が生成されていることを確認した(図4参照)。
【0027】
以上の模擬試験の結果から、放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れにSFPを充填した場合、施工時〜材齢28日で高強度にはならないが、SFPとモルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウムが、練混ぜ・攪拌を行うことなく硬化する、すなわち、SFPが自硬性を有することが確認された。
【0028】
(実施例2)
SFPと水を含有する注入材を用いて、ひび割れ充填性確認試験を、図5に示す試験手順で行った。
注入材は、以下のようにして作製した。
SiO純度99%以上のSFP(電気化学工業(株)商品名「SFP20M」)を水に分散し50%濃度のスラリーを作製した。粒度分布計による測定結果は最大粒径が1.0μmであった。
超微粒子消石灰(純度99%以上)を37%濃度のスラリーとし硬化材を作製した。粒度分布計による測定結果は最大粒径が1.0μmであった。
スラリーのうち、SFP/超微粒子消石灰の粉体分の質量比を1.45とした。
上記のスラリーにナフタレンスルホン酸系高性能減水材(花王(株)商品名「マイティー150」)をSFPと超微粒子消石灰の合計量に対して、固形分換算で5%添加した。
【0029】
試験結果を図6に示す。
図6に示されるように、SFPと水を含有する注入材を、鉄筋コンクリート供試体で強制的に発生させたひび割れ(開口幅0.2〜0.3mm)へ低圧注入し、養生後にコンクリートカッターで切断して、微細なひび割れの深部の0.1mm程度のところまで完全に充填されていることを確認した。したがって、SFPと水を含有する注入材は、モルタル又はコンクリートの0.5mm以下の微細なひび割れの深部まで充填されるといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れに、超微粒子球状シリカと水を含有する注入材を注入し、前記ひび割れの表層から深部まで充填された前記注入材の超微粒子球状シリカを、前記モルタル又はコンクリートから溶脱するカルシウムとの反応により硬化させることを特徴とする放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法。
【請求項2】
前記モルタルは、その外面がベントナイト系材料で囲まれたモルタルであることを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法。
【請求項3】
前記注入材は、前記超微粒子球状シリカの濃度が60%を超えるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法。
【請求項4】
前記注入材が、さらに超微粒子消石灰を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法。
【請求項5】
前記ひび割れは、ひび割れ幅が0.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法。
【請求項6】
前記ひび割れ幅が0.05〜0.2mmであることを特徴とする請求項5に記載の放射性廃棄物処分場のモルタル又はコンクリートのひび割れ補修方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−196806(P2011−196806A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63462(P2010−63462)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)