説明

放射線の方向性を特定するための組成物および方法

放射線の方向性を特定する方法であって、放射能源に隣接する張力準安定流体液体の容積を、複数のセクターに分割することと、それぞれのセクターの対向するセクター比を特定することと、複数のセクターの対向するセクター比に基づいて、放射線の方向性を特定することと、を含む方法を開示する。該方法は、張力準安定流体検出器システムの核と相互作用する放射粒子の方向を指す気泡形状の張力圧力補助による伸長から、到来放射線の方向性を特定することをさらに含む。これらの方法を実行することが可能であるデバイスも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2009年4月30日に出願された米国暫定出願第61/174,159号の利益を請求するものであり、参照することによりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、放射線の方向性を特定する方法に関する。より具体的には、本開示は、張力準安定流体の検出システムを使用して、放射線の方向性を特定する方法に関する。
【0003】
米国政府の支援によって行われた発明
本発明は、国防総省高等研究計画局によって授与された契約番号HR0011−05−C−0141の下で、政府の支援によって行われた。政府は、本発明の特定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
放射線は、人間の感覚によって検出することはできない。放射線を検出および測定するために、ガイガー計数管等の様々な携帯用および研究用測定機器を利用することができる。しかしながら、これらのデバイスは、放射線を放出する(eminates)方向に関する情報は提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この開示は、到来放射線の方向を特定するための組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
放射線の方向性を特定する一方法は、チャンバの中の流体の張力準安定容積を複数のセクターに分割することと、流体を放射線源の近くに配置して、チャンバ内の種々の領域またはセクターの中の放射線誘発キャビテーション核形成イベントを検出することと、それぞれのセクターの中のキャビテーションの数の対向するセクター比を特定することと、複数のセクターの中の対向するセクターのキャビテーション比に基づいて、放射能源の方向を特定することとを含む。
【0007】
線源に関する方向性情報を提供する能力を有する、中性子検出システムを開示する。検出されている放射線の起源に関するいかなる方向性情報も提供しない中性子または他の放射線(例えば、光子)の相互作用に依存するのではなく、放射線がどの方向から来ているのかを示すために、音響張力準安定流体検出(ATMFD)システムを使用することができる。
【0008】
ATMFDシステムが動作している間、中性子/放射線誘発のキャビテーションイベントが生じる確率は、流体および中性子/放射線束の張力圧力または負圧力の関数である。一実施形態は、中心から等距離にある全ての地点が実質的に同じ負圧を有するように、圧力プロファイルが水平面上でほぼ軸方向に対照である、音響張力準安定流体に依存する。そのようなシステムにおいて、キャビテーションの確率は、中性子/放射線束の関数である。線源からの中性子/放射線束は、距離とともに、ならびに下方散乱および吸収の程度とともに減少するので、線源に最も近い検出器の側部セクターは、より高い検出確率を有する。キャビテーションイベントのサンプル集合の場所を検出することによって、キャビテーションイベントの場所の不均衡を観察することにより、方向性情報を特定することができる。
【0009】
中性子/放射線検出核形成部位の場所は、結果として生じるキャビテーション誘発衝撃波が、検出器壁上の種々の場所に到達する時間を記録することによって特定することができる。キャビテーション誘発衝撃波の発生源の場所を特定するために、任意の数のトランスデューサを検出器に組み込むことができる。方向性情報を得ることができるのであれば、任意の適切な数のトランスデューサを使用することができる。例えば、キャビテーションイベントによる衝撃波の到達を検出するために、4つの圧電トランスデューサ(外径約7mm)を使用することができる。少なくとも2つの、好ましくは3つ以上の信号検出トランスデューサを1つの面の中に置くことができ、1つまたは複数の信号検出トランスデューサをその面の外側に置くことができる。次いで、4つのトランスデューサからの信号を処理して、方向性に関する所望の情報を導出することができる。加えて、方向性情報は、キャビテーションイベントの発生時およびその後の気泡の形状を観察することによって得てもよい。ATMFD液体の音響張力圧力場の中の原子核に中性子/放射線が衝突することによって発生する、そのようなキャビテーション気泡は、到来放射線の方向を指す楕円のような形状にそれら自体を特異的に伸ばす。
【0010】
本明細書に記載される好適なATMFDシステムは、以下の能力を有する。
・8桁の程度を超えてSNM中性子を検出する。
・アルファ粒子を検出する。
・ガンマ光子に対するほぼ完全な非感応性を維持する。
・約90%の固有効率で動作する。
・到来放射線のリアルタイムの方向性情報を提供する。
【0011】
ベンチマーク試験および適格性確認研究が、Puに基づく中性子−ガンマおよび光子光源で実施された。この開示は、ATMFDシステムの動作の実証とともに、実験フレームワーク付きのモデリングを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】中空の円筒トランスデューサとともに位置付けられる多板トランスデューサを有するATMFD共振チャンバの概略図である。
【図1B】離間されて位置付けられる複数のトランスデューサを別々に伴うATMFD共振チャンバの概略図である。
【図2】約4.5Wおよび約10W時のチャンバ内の圧力分布の概略図である。
【図3】MCNP入力デッキの幾何学形状の原寸に比例しない図である。
【図4】アセトンおよびフレオン−113について、スタンドオフが大きい時の中性子束比の概略図である。
【図5】信号処理前の衝撃パルスのスクリーンショットの概略図である。縦軸目盛は、約500mV/divである。横軸目盛は、約100ms/divである。
【図6】方向性情報について分析された衝撃パルスのスクリーンショットの概略図である。縦軸目盛は、約500mV/divである。横軸目盛は、約5μs/divである。
【図7】方向性自動化を伴う実験装置の概略図である。
【図8】マイク1およびマイク3と一直線上でチャンバの中心軸から約−20.3cm離れたPuBe線源を使用した、イベントの検出位置の軸方向断面図である。
【図9】±30°の範囲内の線源方向を特定する概略図である。実験結果とMCNPシミュレーションとの比較である。
【図10】約4.5W時のCOMSOLシミュレーションを重ね合わせた、rz面の中に見られる、記録された全ての中性子検出イベントの概略図である。
【図11A】約4.5Wおよびのチャンバ内の圧力分布の概略図である。
【図11B】約10Wのチャンバ内の圧力分布の概略図である。
【図12】MCNP入力の幾何学形状の原寸に比例しない図である。
【図13】キャビテーション衝撃波のオシロスコープトレースの概略図である。第1の信号の縦軸目盛は約20mVであり、第2の信号は約200mVである。横軸目盛は、約50ms/divである。
【図14】方向性情報について分析される衝撃パルスのスクリーンショットの概略図である。
【図15】種々のトリガレベルについて各トランスデューサによって記録されたトリガ速度の概略図である。
【図16】方向性自動化を伴う実験装置の概略図である。
【図17】4チャネル100MHz、100MSa/秒オシロスコープによって手動で取得したデータの概略図である。
【図18】マイク1およびマイク3と一直線上でチャンバの中心軸から約−35.5cm離れたPuBe線源を使用した、キャビテーションイベントの位置の概略図である。
【図19】マイク1およびマイク3と一直線上でチャンバの中心軸から約+35.5cm離れたPuBe線源を使用した、キャビテーションイベントの位置の概略図である。
【図20】xz面の中に見られる、記録された全てのキャビテーションイベントの概略図である。マイク1および3を伴うx軸上のチャンバの中心から約−35.5cmおよび約+35.5cm離れた線源で取得したデータである。
【図21A】2つの区域(線源に最も近い、および線源から最も遠い)に分けられる、キャビテーションイベントの半径方向分布の概略図であり、x軸上のチャンバの中心から約−35.5cm離れた線源で取得したデータである。
【図21B】2つの区域(線源に最も近い、および線源から最も遠い)に分けられる、キャビテーションイベントの半径方向分布の概略図であり、x軸上のチャンバの中心から約+35.5cm離れた線源で取得したデータである。
【図22】到来放射線(この場合では、Pu−Be同位体線源からの中性子)の線源を指すATMFDの中の細長い気泡の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1つの方法において、核粒子を検出する能力は、音響張力準安定流体検出器(ATMFD)等の調整された共振音響システムを介して達成することができる、張力準安定流体状態によって提供することができる。張力準安定流体の放射線検出は、フェムトスケールの核相互作用に由来するマクロ機械的な発現を介して達成することができる。入射核粒子は、動的張力準安定流体と相互作用することができ、分子間接合は、イオン化された核の反跳が、可視スケールに成長するナノスケールの蒸気キャビティを発生させる程度に、十分に弱められる。イオン化された核は、入射放射線の最も近くに特異的に生じ、それによって、初めて、到来放射線の方向性に関する情報を確認する能力を提供する。
【0014】
本開示は、より広い範囲の核粒子の検出、8桁の程度のエネルギー範囲を超えた中性子の検出、90%を上回る改善された固有検出効率、および以前に可能であったよりも多くの到来放射線の方向性情報の確認における進歩を提供する。一実施例において、本開示は、強化された信号分析付きの信号処理を利用した方向性情報を確認すること、精緻化計算アルゴリズム、および検出器有効容積の要求に応じた拡大の精度および正確さを高める、組成物および方法を提供する。
【0015】
ATMFDシステムの開発の進歩は、実験および理論モデリングの組み合わせの使用を通して達成することができる。モデリング方法論は、MCNP5を使用したモンテカルロ法に基づく核粒子輸送、ならびにCOMSOLのMultiphysicsシミュレーションプラットフォームを介したATMFDシステムの音響、構造、および電磁結合を補う複雑なマルチフィジックスに基づく評価を含む。ベンチマーキングおよび適格性確認研究は、Puに基づく中性子−ガンマ線源を含む、特定核物質(SNM)で実施されてきた。結果は、ATMFDシステムが、その現在の構成において、少なくとも約30°の範囲内、約80%以上の信頼度で、放射能源の方向を見つけることが可能であることを示している。
【0016】
第1の実施形態
張力準安定流体の中の放射線検出は、入射核粒子が張力流体と相互作用し、核粒子が流体中の局所的な爆発的な相変化を引き起こすことが可能である程度に、分子間接合が十分に弱められるという原理に部分的に基づいている。引張状態の液体は、その標準沸点を超える過熱した熱状態にある過熱液体とは異なり、その熱平衡状態より下では準安定状態である。流体の張力は、固体構造体の延伸に類似している。固体の分子間接合を分裂させるために必要とされるエネルギーは、構造体の中の張力が増加するにつれて減少する。類似した様式で、液体分子間の分子間接合を壊すために必要とされる過剰なトリガエネルギーは、張力準安定性の増加とともに減少し、最終的に、張力のスピノーダル限界での爆発的な相変化を自然発生的に引き起こす結果となる。この安定限界以下では、張力準安定流体の相変化を引き起こすためには過剰なエネルギーが必要である。この過剰なエネルギーは、核粒子(例えば、中性子、アルファ線、光子、ベータ線、核分裂生成物等)との、さらには可視光光子との相互作用を介して提供することができる。この特性は、フェムトスケールの核スケール粒子を比較的大きい(×1013)顕微鏡スケールに増幅することを可能にし、したがって、本明細書に記載される音響張力準安定流体に基づく検出システム(ATMFD)等の、核工学および科学的な用途のための新しい低コストの超感受性検出器を可能にする。
【0017】
この開示は、検出器流体との直接的なノックオン衝突を介して、MeV範囲内の中性子(例えば、U、Pu、Cf、Am、Cm等の特定核物質によって放射される中性子)の方向性検出を対象とする。
【0018】
ATMFD手法は、入射放射線のエネルギーおよび強度を検出するだけでなく、放射能源の位置に関する情報を確認すること、国土安全保障のためにSNMからの表示中性子放射シグネチャを識別することを含む、広範囲にわたる分野での大きな潜在的使用といった特徴も可能にすると思われる。方向性情報は、中性子誘発検出イベントが線源に最も近い張力流体容積の領域セクターの中で生じる確率が高められるため、ATMFDシステムで確認することができる。中性子誘発検出イベントが起こる確率は、検出器流体の負圧と、中性子束と、エネルギーとの関数である。圧力プロファイルは、ほぼ軸対称であるので、検出イベントの確率は、中性子束と、エネルギーとの関数である。線源からの所与のエネルギーの中性子束は、距離とともに、ならびに下方散乱および吸収の程度とともに減少するので、線源に最も近い有効容積の側部は、最も高い検出確率を有する。検出器内部でこれらの検出イベントの場所を検出することで、ユーザが、放射能源の方向に関する情報を確認することを可能にする。本開示は、方向性特定の改善された機構的な処理を提供する。
【0019】
用語
ATMFD−音響張力準安定流体検出器
COMSOL−COMSOL Multiphysics(商標)
GPIB−汎用インターフェースバス(IEEE 488)
GPS−全地球測位システム
LabView(商標)−グラフィカルプログラミング言語
LET−線形エネルギー移動(dE/dxとも)
PuBe−プルトニウムベリリウム中性子線源
PZT−ジルコン酸チタン酸鉛
Mic−マイクロホン
MCNP5−モンテカルロn−粒子 バージョン5
OD−外径
SDD−過熱液滴検出器
SNM−特定核物質
TDOA−到達時間差(’tとも)
TMFD−張力準安定流体検出器
V1−線源に最も近い有効容積(またはセクター)
V2−線源から最も遠い有効容積(またはセクター)
XatMaxY−トリガ地点に関する最高ピーク時の時間
XatMinY−トリガ地点に関する最低ピーク時の時間
【0020】
ATMFDの設計
張力準安定流体、好ましくは音響張力準安定流体を作成するために使用できるのであれば、任意の適切な流体チャンバを使用することができ、例えば円筒などのように、中心軸から等距離にある全ての地点が実質的に同じ負圧を有するように、ほぼ軸方向に対象である流体圧力プロファイルを作成することができる。製造上の問題から、ガラス製の円筒は、厚さおよび直径が、円周および長さに沿ってわずかな(10〜100ミクロン程度以下)偏差を伴う可能性がある。その結果、共振チャンバの真の中心軸が中心線から偏位する可能性がある。このような偏位は、半径方向および軸方向の振動圧力プロファイルを非対称にさせる可能性がある。このような変動は、システムシステムの特徴付けによって前もって補償することができる。例えば、関心の周波数の範囲にわたる一時的な振動圧力マッピングによって、真の中心軸を見つける。実際のシステムについて、幾何学的な中心軸からの変動する圧力は、概して、方向性関連の情報を導出する時に調整することができる程度の周知のレベルに若干歪曲するが、実質的に同じである。特定の実施形態において、適切なチャンバは、チャンバに収容されている流体に持続的な音響波を発生させる様式で、外部トランスデューサからのパルスによって一時的な形態で機械的に変形させることができる特徴を有する。特定の実施形態において、チャンバは、チャンバの種々の区域の中の気泡キャビテーションイベントの下方散乱支援集積を許容する放射線の方向性検出を可能にする、サイズおよび形状を有する。圧力波は、正圧および負圧で振動することから成る可能性があり、よって、負圧は、張力のスピノーダル限界を超える範囲であるが、これは、核粒子の流体分子との相互作用によって放出されるエネルギーが、気泡核形成またはキャビテーションイベントとしても周知である、相変化を引き起こすことを可能にする。概して、フレオン−113が流体である時、負圧は、Pu−Be線源等のSNMからの4MeV以下の中性子がある場合に、約−2.5バール以下になると考えられる。アセトンが試験液体である場合、負圧は、約−3.5バール以下である。必要とされる負圧は、外部の中性子エネルギーによって変動し、(例えば、加速器システムからの、またはAm−Be、Am−Li、Am−B、Am−C、Am−Fl等のアルファ放射同位体線源の混合物からの)周知のエネルギーの中性子線源に対して比較することによって事前に較正することができる。当技術分野において周知であるように、好適なチャンバは、石英、ガラス(好ましくは、パイレックス(登録商標)ガラス)、セラミック、ポリカーボネート、および数多くの金属から製造することができる。一実施形態では、共振音響チャンバは、約70mmの外径、および長さ150mmの、半球状の頂部および底部を有する円筒の石英管を有することができる。このATMFDの概略図を図1aに示す。他の寸法も同様に、動作周波数に関する必要性に適合するように選択することができる。チャンバは、流体で満たすことができ、通常、密封される。チャンバは、チャンバの中の流体内で音響エネルギーを集束させるための機構に適合することができる。音響エネルギーは、任意の適切な手段によってチャンバ内部の流体内で集束させることができ、その手段としては、例えば、試験流体の頂部に配置される中空のガラスまたは石英反射器と、チャンバの底部に配置される同様の中空のガラスまたは石英反射器とを使用することができる。作動流体によって化学的に攻撃されないのであれば、プラスチック、テフロン(登録商標)、またはポリカーボネートを使用してもよい。例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)でできている同心で環状の圧電トランスデューサを、標準的な方法によって(機械的に、またはエポキシ接着剤に基づいて)チャンバの外側に取り付けて、音響共振チャンバに給電するために使用することができる。適切なトランスデューサは、流体内で音響共振を誘発することができる任意の材料で作製することができ、適切な材料としては、他の材料の中でも、周知であるように、チタン酸バリウム、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のセラミック材料が挙げられる。同心で環状の中空円筒を使用する必要はない。これは特に、大きい円形の同心で環状のトランスデューサを入手することがますます困難になる場合の、大径のATMFDに当てはまる。代替として、円形等の多重円板、矩形、または他の形状のトランスデューサは、図1aにあるような中空円筒とともに、または図1bに示されるようにそれ自体が、図1bに概略的に示されるように位置付けられてもよい。そのような状況では、そのような約4つの円板が所与の面の中に位置付けられて、駆動トランスデューサとして機能する。第5の円板は、より高いところに載置され、かなり小さいサイズであってもよく、その目的は、衝撃信号を受け取ることである。同じ面の中の4つは、駆動力を提供するだけでなく、内破する気泡から衝撃信号を受け取るようにも機能する。いずれの場合においても、所与の材料に対する厚さおよびサイズは、トランスデューサの静電容量および共振周波数を制御する。例えば、中空環状トランスデューサについて、静電容量は、それぞれ、環の高さに正比例し、中空円筒の内径に対する外径の比率の自然対数に反比例する。平面方向または厚さ方向のいずれかで分極化される円形の円板トランスデューサについて、静電容量は、直径の2乗に正比例し、厚さに反比例する。これらのトランスデューサは、それらの共振が、試験セルの筐体の機械的共振に一致するような様式で最適に利用される。図1に示される、外径70mm、長さ150mmの試験セルについて、機械的共振周波数(アセトンで満たした時)は、約20kHzに達し、環状トランスデューサの静電容量は、約20nFである。図1bの円板トランスデューサについて、円板トランスデューサは、同じく約20nFの静電容量を伴うが、約20kHzの共振周波数を提供するように選択された寸法を伴う、外径70mmの試験セルのために選択されるべきである。より大きい直径のシステムについて、機械的共振は、良好な1次近似に関与するシステムの直径の比率に反比例して大きく変動し(例えば、外径が140mmのシステムについて、機械的共振は、したがって、約10kHzに降下すると予想される)、したがって、トランスデューサは、駆動力の最高効率が達成できるように、トランスデューサの共振周波数も同じく10kHzに近くなるように、トランスデューサの静電容量もそれに応じて調整されなければならない。システムの機械的共振のより精緻化された見積もり(多次元3D効果を含むもの)は、圧力振動がそれらの最高レベルに到達する周波数を容易に見出すはずである、周波数の範囲にわたって試験液体の種々の上昇において、試験セルの直接圧力マッピングを介して見積もられてもよい。代替として、COMSOLマルチフィジックスシミュレーションプラットフォームの使用とともに後に示されるように、マルチフィジックスモデリングおよびシミュレーションスキームを採用してもよい。
【0021】
トランスデューサは、接着剤等の結合剤を使用して、チャンバに取り付けることができる。適切な結合剤は、媒体の密度と媒体中の音速との積を、ドライバトランスデューサおよび高周波振動トランスデューサから機械的衝撃を受け取る被駆動構造と本質的に一致させる、適切なインピーダンスを有する。結合剤は、音響エネルギーの熱への拡散等による散乱および/または浪費を最小化するように選択される。一実施例として、トランスデューサをチャンバ壁に取り付けるために、エポキシを使用することができる。結合に悪影響を及ぼす閉じ込められた気泡は、エポキシを使用することで回避される。結合インピーダンスを改善するために、ガラスフリットをエポキシ中に混合することができるが、エポキシの接合特性を過度に弱めないように、使用するガラスの量を制限しなければならない。トランスデューサを取り付けるために、Stycastと呼ばれる製品を使用することもできる。ガリンスタン(Ga、In、およびSnの共融混合物)等の室温で液体である金属、またはテトラデカンまたはグリセリン等の極めて低い蒸気圧の他の流体も、結合剤として使用することができる。音響エネルギーは、そのような薬品を通して容易に伝達される。トランスデューサからガラス壁に音響エネルギーを伝達するそのような流体を保持する空洞の縁部は、エポキシまたはシリコンゴム(RTV類似)セメントで該縁部の周囲を密封してもよい。
【0022】
ATMFDでの用途が見出される場合がある多くの流体は、全て本発明での使用が意図され、そのような流体としては、アセトン、フレオン、ベンゼン、イソペンタン、ホウ酸トリメチル、水等が挙げられる。結果として大きいスタンドオフでの方向性判定の解像度を増大する場合がある、中性子束比率に対する下方散乱の効果を高めるために、より高い水素含有量を有する検出器流体を使用することができる。
【0023】
ATMFDデバイスは、トランスデューサを取り替えるか、またはチャンバとトランスデューサとの間の間隙に流体を補充する等によって、改良することができる。その過程において、エポキシの除去中、または補充中には、容易に亀裂または故障が生じる可能性があるPZTトランスデューサを損なわないよう配慮しなければならない。
【0024】
デバイスを動作させるために、線形増幅器によって増幅した正弦波信号を使用して、半径方向または軸方向に分極化することができる圧電トランスデューサを駆動することができる。圧電材料は、所与の方向に伸ばされた時に、その第1の方向に対して直角の方向に縮む。摂動を主に半径方向に駆動することに対する必要性が、半径方向に分極化した中空の円筒PZTトランスデューサを選択するための理由であった。環の内表面および外表面上に電極リードがある。電極リードがリップ部上にあって使用してもよい場合には、垂直に分極化した中空の円筒PZTも利用することができる。代替として、平坦な円板圧電トランスデューサのバンクを、ガラス表面に(機械的に、または接着剤/エポキシを介して)取り付け、次いで、個々に、または並列に駆動してもよい。このような駆動トランスデューサのバンクは、次の2つの目的に適う。まず、駆動力をATMFDに提供すること、そして、キャビテーション気泡の圧壊によって到達する衝撃信号のためのピックアップデバイスとしての役割も果たすことである。衝撃信号は、主な駆動周波数上に重畳される。そのような場合、付加的な小型マイクロホンの必要性は、省略するか、または代替として、ATMFDの性能および方向性の監視に関連するより多くの音響情報を導き出すために使用してもよい。共振の際に、現在の寸法の石英/ガラス/セラミック/金属チャンバの機械的な変形を使用して、20kHzの範囲で正圧および負圧(すなわち、サブ真空)に振動することから成る、持続的な音響波を発生させることができる。流体分子が負圧下にある間は、準安定の状態にあり、その後、入射放射線からの核粒子の衝突を発生させることができる。
【0025】
モデリングおよびシミュレーション
ATMFDシステムにおける粒子衝突の特徴付けには、次の2つのシミュレーションツールを使用することができる。すなわち、COMSOL Multiphysics(商標)(以下、COMSOL(商標)と称する)−有限要素マルチフィジックスプログラム、およびMCNP5−核粒子輸送コードである。COMSOL(商標)数値モデルは、高度な過度変動、構造力学、強い多次元的側面、および電磁結合を含む、音響−構造相互作用の複雑なマルチフィジックス問題を解決するために使用することができる。MCNP5は、ATMFDの有効容積上で中性子/放射線輸送およびエネルギースペクトルに影響を及ぼす、空間およびエネルギー依存的な物理面を3Dで評価するために使用することができる。
【0026】
有限要素シミュレーション
共振音響チャンバのモデルは、電磁結合とともに、応力−歪および圧電効果の分析を含むCOMSOL(商標)の構造力学モジュール、および音響波搬送モジュールを利用して開発することができる。問題の複雑さのため、COMSOL(商標)モデルは、周波数ドメインの問題を解決するために、有限要素法を利用する。
【0027】
圧力分布および周波数スペクトル応答のための実験データに対して、ホスト液体としてエチレングリコールおよびアセトンを使用する同様のモデルのベンチマークを行った。ATMFDシステムは、中心軸に関して対称である軸対称としてモデル化した。モデルに使用した検出器流体は、約25℃の純粋なアセトンであった。図2は、約18.78kHzの共振周波数での、PZTにかけられる駆動力の変動とチャンバの有効容積の空間特性との関係を示す。電流検出器の構成において、チャンバの有効容積は、振動負圧の変動が−3.5バール(アセトン中の高速(MeV)中性子を検出するための閾値負圧)以下であるチャンバの容積として定義することができる。
【0028】
図2から分かるように、約4.5Wから10Wに駆動力をほぼ2倍にすることで、約50cmから約100cmへと有効容積の線形増加をもたらした。検出器のより大きい有効容積は、有効な検出効率を高めて、より多くの中性子がチャンバの有効容積の中で相互作用することを可能にするだけでなく、方向性情報の解像度を高め、かつ検出効率を高めるために使用することができる、有効容積の半径方向寸法も増加させる。
【0029】
モンテカルロシミュレーション
核粒子輸送の評価は、米国ニューメキシコ州のLos Alamos National Laboratoryで開発されたMCNP5コードを使用して実施することができる。モデルは、ATMFDの共振チャンバと、該チャンバの中心軸から約20.3cm離れたPuBe中性子線源(約2×10n/秒で放射する)から成る。チャンバは、軸対象としてモデル化することができる。反射器を含む適切な構造材料は、石英とすることができ、圧電トランスデューサは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)とすることができ、作動流体は、アセトン(CO)とすることができる。頂部反射器の上方の部分、頂部および底部反射器の内側、およびチャンバの外側は、空気としてモデル化することができる。
【0030】
この方法によれば、2つの領域的有効容積は、図3に示されるように検出器流体の中に画定される。有効容積を画定する円筒(半径=約1.25cm、高さ=約4cm)は、2つの半部に分割することができる。その1つの半部は、線源(V1)に対面し、1つの半部は、線源(V2)から背いている。2つの半円筒は、中性子タリー容積を形成する。ありのままのPuBe線源のための中性子エネルギースペクトルを使用することができ、全ての断面は、約300°Kで評価される。全ての評価は、約1%以内の相対誤差で計算することができる。
【0031】
MCNP5のシミュレーションの結果は、V1ではV2に対して、約23%高い中性子束を示している。2つの有効容積によって範囲を定めた、PuBe線源に対する立体角を比較することによって、それら自体による空間効果は、V1では、V2よりも−13%高い束をもたらす。相対的に、下方散乱は、V1の中の高速の中性子束より約10%高い割合を占める。これは、検出器に対する線源の距離が増加するにつれて、空間効果からのあらゆる可能な寄与が効果的に低減され、最終的にはゼロになるが、ATMFDの検出は、線源に最も近い区域が好都合であるので、それでも特異的で認識できるものとなることを示す。
【0032】
指数関数的減衰の法則に基づく計算は、中性子束比率に対する下方散乱の影響と、有効容積のサイズとの関係の定量的見積もりを可能にする。比較のために、第2の流体、フレオン−113(一般的に、張力準安定流体に基づく検出器システムで使用される)を含む。PuBe線源は、アセトンにおいて約5cm、フレオン−113において約10cmの平均自由行程λを有する、約4MeVの平均エネルギーで中性子を放射する。結果を図4に示す。中性子束の比率に対する下方散乱の効果は、有効容積のサイズに比例して増大する。線源が十分に離れており、よって中性子束の大きさに対する立体角効果が小さい時に、利用可能な方向性情報の量を増大させる能力が認められる。下方散乱の効果は、検出器流体の組成にも依存する。図4から分かるように、下方散乱は、フレオン−113と比較して、アセトンでより大きい効果を有する。これは、主に、アセトン中のMeV中性子のより高い水素含有量(したがって、より低いλ)に起因している。結果として大きいスタンドオフでの方向性判定の解像度を増大し得る、中性子束比率に対する下方散乱の効果を高めるために、より高い水素含有量を有する異なる検出器流体を使用することができる。したがって、アセトン、フレオン、ベンゼン、イソペンタン、ホウ酸トリメチル、水等の流体は、全て本発明での使用が意図される。
【0033】
自動化
方向性を解読する能力は、数秒から数分以内に十分に高い信頼度(例えば、75%を超える)で回答が得られるように、数百から数千の検出信号の取得およびその後の急速な解析を必要とする。自動化は、実際のシステムには非常に望ましい。核粒子相互作用によって形成される内破蒸気空洞の激しい圧壊によって、チャンバから数フィート離れても聞くことができる、可聴クリック音が生じる。圧壊蒸気空洞からの可聴クリック音は、共振チャンバの外側に取り付けることができる、4つの非常に小さいMHz応答の圧電トランスデューサを使用して記録することができる。ハードウェアおよびLab VIEW(商標)に基づく仮想計測器ソフトウェアに基づく制御システムは、これらの検出イベントを記録するため、および放射能源の方向に関する情報を取り出すために開発されている。
【0034】
圧電トランスデューサからの電気信号は、支配的な駆動周波数を排除し、したがって、高周波成分を分離するように、3次バターワース高域通過フィルタを通して送ることができる。次いで、該フィルタからの信号は、表示、記憶、およびさらなる信号処理のための、Agilent(商標)の100MHzのデジタルストレージオシロスコープに送ることができる。実験で使用された実際の信号のスクリーンショットを図4および図5に示す。信号の中のピークは、蒸気空洞の内破をもたらし、それによって、PZTトランスデューサによって検出される衝撃信号を放射する、記録された中性子検出イベントの結果である。
【0035】
Lab VIEW(商標)に基づく仮想計測器(VI)は、ATMFDシステムの動作を制御するだけでなく、実験データの収集および分析も行う、グラフィカルユーザインターフェースとして設計することができる。実験データは、オシロスコープとのGPIBインターフェースを介して、Lab VIEW(商標)仮想計測器によって獲得することができる。1つの方法において、仮想計測器は、オシロスコープからデータを獲得すると、2つの統計学的技法を使用して、獲得した電気信号を中性子検出イベントとして認証する。中性子検出イベントの認証は、衝撃痕跡の2つの特性の長所を利用することができる。図6から分かるように、中性子検出イベントの衝撃痕跡は、高周波(約250kHz)正弦波パルス形状を有する。衝撃痕跡のさらなる特徴は、それらが対称形であることである。歪度として周知である衝撃痕跡の対称性の測度は、電気信号が中性子検出イベントの電気信号であるかどうかを特定するように計算することができる。この技法は、(電気的および機械的双方の)雑音のランダムな性質の長所を利用して、誤検出を排除するのを補助する。使用することができる第2の技法は、衝撃痕跡の2つの類似性の測度である。真の中性子検出イベントの場合、記録された衝撃痕跡は、各トランスデューサ衝撃モニタによって見た時に、実質的に同じ形状を有するはずである。衝撃痕跡の2つの相互相関またはスライディングドット積を計算して、2つの個々の衝撃痕跡がどのくらい適切に一致するかを確認することができる。相互相関法も、2つの衝撃痕跡の間の到達時間差の計算を可能にする。到達時間差(τ)を図6にグラフ様式で示す。次いで、到達時間差を双曲線測位アルゴリズムで分析して、共振チャンバの中の中性子検出イベントの場所を計算することができる。次いで、Lab VIEW(商標)仮想計測器は、中性子検出イベントの場所を利用して、中性子線源の方向を確認し、それをユーザにグラフ様式で表示する。中性子検出イベントから中性子線源の方向を確認するまでの、ATMFDのために設計された統合検出システムは、ミリ秒(ms)という時間的尺度上でほぼリアルタイムで実行することができる。
【0036】
方向性測定の実験および結果
実験装置は、好ましくは、外径が約6.9cmの石英ATMFDチャンバを利用するが、MCNPおよびCOMSOL(商標)モデルで説明したように、パイレックス(登録商標)ガラスでできている球形および円錐形等の他の形状も順調に試験されている。チャンバの中で使用した液体は、約25℃で、かつ約20インチ(約50.8cm)Hgの真空下にある純粋なアセトンであった。チャンバを、波形発生器(Agilent、モデル33120A)および線形増幅器(Piezo Systems,Inc.、モデルEPA−104)とともに動作させた。共振周波数は、約18.3kHzで見出され、使用した駆動電圧は、約96Vであった。実験データは、衝撃痕跡を記録するオシロスコープを利用して取得した。オシロスコープの動作を制御し、データを収集し、そして信号の処理および分析を実行するために、Lab VIEW(商標)プログラムを使用した。オシロスコープとの通信は、GPIBインターフェースを介して達成した。3D測位を可能にするように正のZ成分について配置した第4のトランスデューサを除いて、4つの圧電トランスデューサを、同じXY面上で互いに直角に配置した。設定を図7に示す。
【0037】
実験は、マイク1およびマイク3を伴う軸上でチャンバの中心から約−20.3cmおよび約+20.3cm離れて位置する、約1CiのPuBe中性子−ガンマ線源(約2×10n/秒で放射する)で実行した。記録されるTDOAを、核形成イベントの位置を計算するために使用し、図8に示す。システムの高いQ値のため、チャンバの構造体の中のわずかな変動が、幾何学的中心と、考慮しなければならない有効容積の中心との間のわずかな変動をもたらす。有効容積の中心を確認するために、XY面の中の核形成イベントの平均位置を使用した。それに応じて位置を調整した。グラフは、最初に2つの実質的に同じサイズにした半球状の容積に分割した。放射能源に最も近い容積V1は、検出イベントの約55.2%(±2.5%)を含有したが、検出イベントの約44.8%(±2.2%)だけがV2の中で生じる。得られた中性子検出イベントの比率は、約1.23(±0.07)として与えられる。前述のように、MCNPモデルによって与えられる予測比率は、約1.23である。
【0038】
検出器の能力を特定して放射能源の角度方向をより良好に決定するために、中性子検出イベントの位置のさらなる分析を実行した。有効容積は、6つの別個の約600の角度セクターに分割した。各セクターの中性子検出イベントの総数を計算し、対向するセクターで生じた中性子検出イベントの数と比較した。同様に、有効容積の中の中性子束の円筒メッシュタリーを、MCNPシミュレーションに加えた。対向するセクターと比較すると、放射能源に最も近いセクターが中性子検出イベントの約57.8%(±4.5%)を含有すること、および中性子検出イベントの約42.2%(±3.7%)だけが放射能源から最も離れたセクターで生じることが観察された。得られた中性子検出イベントの比率は、ここでも約1.38というシミュレーションに基づく我々の予測と相関する、約1.37(±0.13)として与えられた。また、実験結果は、1つの標準偏差の範囲内で理論モデル評価に相関したことがここでも留意される。
【0039】
未知の場所に位置付けられた放射能源の方向を検出するATMFDシステムの能力を調査するために、研究を行った。正確な放射能源の方向を正確に特定するために、全てのセクターに対する対向するセクター比を計算して、図9にプロットした。線源の方向を指すセクターが、最も高い対向するセクター比率であったことが極めて明らかであった。論理上、2番目に高い対向するセクター比は、線源方向セクターに直接的に隣接するセクターで生じる。隣接するセクターのセクター比は、約1.16(±0.11)として与えられた。MCNPシミュレーションによって予測される比率は、約1.18で、実験結果の1つの標準偏差内である。結果の分析は、ATMFDシステムが、30°の範囲内、約80%の信頼度で放射能源の方向を見つけることが可能であることを示している。
【0040】
液体の圧力振幅が高くなるにつれて、中性子誘発核形成イベントが生じる確率が高くなるという原理に基づいて、チャンバ内側の圧力場を、中性子誘発気泡核生成部位の分布密度およびプロファイルによってマッピングした。実験は、検出器の方向性が要因になるのを防止するように、マイク1およびマイク3を伴う軸上でチャンバの中心から約−20.3cmおよび約+20.3cm離れた、PuBe源で行った。検出イベント部位の位置を、RZ面の中でプロットし、COMSOL(商標)モデルによって予測された有効容積圧力場の上に重ね合わせた。結果を図10に示す。結果の分析は、中性子誘発検出イベントが、主に、約−4バールよりも低い圧力で生じることを示したが、これは、約−3.5バールの予め測定した閾値と相関する。また、実質的に、中性子検出イベントの全てが、ATMFDの中心線から約1.25cmの半径の範囲内で生じたことも明らかである。したがって、MCNP評価には約1.25cmの値を使用した。
【0041】
この研究は、方向性の判定を示し、また、ATMFDシステムを、ガンマ放射線の影響を受けないように調整することができること、および検出器液体をフレオン−113およびホウ酸トリメチルに変えることによって、ATMFDシステムを、ほぼ90%の固有検出効率で動作しながら、8桁の程度に及ぶエネルギーで中性子を検出するために同時に使用することができることも示している。これは、フレオンのCl原子との(n、p)反応、およびホウ酸トリメチルの中のホウ素原子との(n、アルファ)反応を介して可能になる。
【0042】
ほぼリアルタイムで到来放射線の方向を判定するための方法を説明する。本明細書で示される実験証拠は、中性子検出イベントの場所が、約1.23(±0.07):1の比率で、線源に最も近い検出器の側部上で特異的に生じ、これが、我々のモンテカルロ法に基づくシミュレーション(約1.23:1)と一致することを示している。計算を実行したが、線源に最も近い有効容積から、線源から最も遠い有効容積への立体角の増加が、中性子束が約13%減少する原因であることを示している。アセトンを通した中性子の下方散乱は、約10%低減する原因である。方向性情報は、中性子束の大きさに対する立体角効果がごくわずかである程度に線源が十分に離れている時であっても、本質的に、ATMFD技術で得ることができる。これらの同じ計算は、有効容積の増加につれて下方散乱による中性子束の減少が増加し、したがって、大きいスタンドオフで源方向の判定の精度および正確さを高めるための手段を提供することを証明している。COMSOL(商標)が結合された物理学シミュレーションは、実験中性子検出データによってベンチマークを行い、駆動力を増加させることによって検出器の有効容積をスケーリングする能力を有することができ、したがって、線源方向の判定の高められた精度および正確さ、ならびに増強された有効検出効率をもたらす。
【0043】
中性子検出イベントの場所のさらなる分析は、対向する中性子束セクター比を介して、方向性判定の改善された方法をもたらすことができる。結果は、ATMFDシステムが、その現在の構成において、約30°の範囲、約80%の信頼度で、放射能源の方向を見つけることが可能であることを示している。
【0044】
第2の実施形態
別の実施形態において、張力準安定流体状態は、放射線検出の進歩に対する可能性を提供する。そのような準安定流体状態は、音響張力準安定流体検出(ATMFD)システムをもたらすように、調整された共振音響を使用して達成することができる。今日の中性子検出器は、時に、大き過ぎ、高価で、種々の中性子エネルギー群に異なる検出器システムを必要とする場合があり、また、どの方向に中性子放射線が到達したかに関する情報を提供することには適していない。ATMFDシステムの放射線検出は、入射核粒子が動的に張力を与えられた流体と相互作用し、分子間接合が、基本粒子さえも従来の検出システムを大幅に上回る固有効率とともにエネルギーが8桁の程度以上検出することができる程度に、十分に弱められるという原理に基づいている。中性子−核相互作用の場合、局所的に標的原子から放出されたイオン化反跳核は、そのエネルギーを付与し、サブナノスケールから可視スケールに成長する蒸気核の形成を効果的に発生させ、よって、到来放射線(中性子、アルファ線、および光子)の速度およびタイミングを記録することが可能になる。核は、到来放射線の方向に特異的に形成する。次いで、内破核は、衝撃波をもたらすが、これは、直接的に聞き取ることだけでなく、到達時間差(TDOA)方法を使用して検出器の種々の地点で電子的に監視することが容易に可能である。双曲線測位と併せて、結果的に得られた時空間的情報の畳み込みは、初めて、単に入射中性子放射線の速度だけでなく、その方向性も提供する。
【0045】
固有効率の、低コストで、耐久性のあるATMFDシステムの開発は、論理的モデリング付きの実験の組み合わせを使用して達成することができる。モデリング方法論は、MCNP5を使用したモンテカルロ法に基づく核粒子輸送、およびCOMSOLのMultiphysicsシミュレーションプラットフォームによる複雑な多次元の流体付きの電磁構造評価を含む。ATMFDシステムの自動化は、Lab Viewソフトウェアを使用した仮想計測器(VI)制御アルゴリズムのプログラミングによって達成された。
【0046】
液体は、固体と同様に、張力に耐えることができる(すなわち、液体は、分裂する前に、サブ真空圧力に持ちこたえることができる)。張力状態の液体は、その標準沸点を超える熱的な過熱状態にある準安定液体とは異なり、その熱平衡状態以下で準安定である。流体の張力は、固体構造体の(圧縮に対する)延伸に類似している。固体の分子間接合を分裂させるために必要とされるエネルギーは、構造体が延伸されるにつれて減少する。類似した様態において、液体分子間の接合を壊すために必要とされるエネルギーは、張力準安定性の増加とともに減少し、最終的に、張力のスピノーダル(熱力学的安定)限界での爆発的な相変化を自然発生的に引き起こす結果となる。
【0047】
爆発的な相変化を、安定限界以下で、準安定液体の中で引き起こすことができる。この相変化を引き起こすことは、急速な核形成および拡張する蒸気ポケットの、爆発的な蒸発を引き起こす。準安定液体の爆発的な相変化を引き起こす3つの可能な方法は、レーザ加熱、核粒子(例えば中性子)のノックオン衝突、および音響エネルギーである。以下の考察は、中性子−核のノックオン衝突の手段により引き起こすことに重点を置いている。爆発的な相変化は、したがって、レーザから、機械的に、または核粒子もしくは光子を介して開始することができる。高エネルギー粒子、特に中性子と、液体分子の個々の核との間のノックオン衝突に起因する急速なパルスエネルギー付与は、ナノスケールトリガおよび爆発的な相変化を引き起こす可能性がある。ノックオン衝突による反跳のパルスエネルギー付与は、熱エネルギーの形態であり、およそ数ナノメートルにわたって付与され、蒸気核を形成させる。エネルギーが付与される範囲は、液体の中の反跳イオンの阻止能に依存する。熱エネルギー付与速度が、臨界サイズよりも大きい蒸気核を生じさせるのに十分高い場合、核は、肉眼で見える大きさの蒸気泡へと成長し続ける。臨界半径は、概して、ナノメートル範囲であり、ナノ秒で到達する。可視光の個々の光子は、高速の(MeV)中性子と比較して、比較的に少量のエネルギー(約1eV)およびより少ない線エネルギー伝達(LET)を有するので、より多くが必要とされるが、レーザ源からの光子も爆発的な相変化を引き起こすために使用することができる。
【0048】
例えば、アセトン中の炭素原子と衝突する約4MeVの中性子は、平均で、約0.72MeVを炭素核に伝達する。これは、アセトン蒸気泡の臨界半径(約30nm)によって容積が画定される、約36.4MJ/kgのエネルギー密度を与える。相対的に、アセトンの蒸発潜熱は、約0.534MJ/kgである。約2.48eVのエネルギーを伴う青色レーザー(約400nm)からの単一の光子は、約9.6×10−7MJ/kgのエネルギー密度を有する。光量子の場合、容積は、光量子の波長によって画定される。したがって、1つの中性子のノックオン衝突のエネルギー密度に等しくするには、約1.3×10の青色光(UV)光子からの相互作用を要する。
【0049】
張力準安定状態からの核粒子の検出は、適正レベルの負圧の誘発を必要とする。これは、液体をその沸点以上にする過熱液滴検出器(SOD)に使用される有名な「泡箱」のためのものとは異なる。本開示の実施形態によるシステムにおいて、液体は、室温のままである。張力準安定性の流体の検出の理論は、構造の延伸との類似性に基づく。張力の程度が大きくなるにつれて、材料を1つに保持する結合を断ち切ることがより容易になる。類似した様式において、作動流体の分子および原子に与えられた負圧の程度が大きくなるにつれて、分子を1つに保持する結合を断ち切ること(すなわち、次いで、爆縮で再崩壊する前に、ナノメートルから、比較的に大きい数mmサイズのポケットに成長することができる、局所的な気泡を形成させること)がより容易になる。検出感度は、与えられた張力の程度および所与の入射核粒子からの空間エネルギー付与の値、すなわち、dE/dxに基づく。
【0050】
ATMFD設計
図11および12に概略的に示される、ATMFDシステムの別の実施形態は、(外径約60mm、長さ150mm)円筒ガラス、好ましくはパイレックス(登録商標)ガラスの、同心円状に取り付けられた環状の圧電トランスデューサによって動力を与えられる共振チャンバから成る、共振音響システムである。線形増幅器によって増幅された正弦波信号は、圧電トランスデューサを駆動する。チャンバの頂部および底部に配置される反射器は、持続的な圧力波の形成によって、エネルギー集束を補助する。この実施形態において、4つの円板形状の圧電トランスデューサ(外径約7mm)は、チャンバの円筒部分の外壁に固定され、検出器の有効容積の中で生じる放射線誘発キャビテーションによって発生する、衝撃波スペクトルを検出するために使用される。
【0051】
ATMFDの有効容積は、張力(負)圧の大きさが、準安定状態の分子と衝突する入射核粒子によるエネルギー付与を介して臨界サイズの蒸気核を形成することができる特定の閾値より低い、領域として定義される。
【0052】
モデリングおよびシミュレーション
ATMFDシステムの特徴付けには、次の2つのシミュレーションツールを使用することができる。すなわち、COMSOL Multiphysics(商標)(以下、COMSOLと称する)−有限要素マルチフィジックスプログラム、およびMCNP5−核粒子輸送コードである。COMSOLは、共振音響システムの音響、流体、および構造モデルの組み合わせを可能にする。MCNPは、ATMFDの有効容積にわたって中性子束およびエネルギースペクトルを生じる、空間およびエネルギー依存性の物理面の組み合わせを評価するために利用することができる。
【0053】
有限要素シミュレーション
有限要素法に基づくCOMSOL(商標)を使用する数値モデルを、周波数ドメインの分析用に開発することができ、該モデルの結果を、実験データと比較することができる。ここで設定されるマルチフィジックスモデルは、電磁結合のモデリングとともに、応力歪効果および圧電効果の分析、ならびに音響波搬送モジュールを含む、COMSOLの構造力学モジュールを利用する。
【0054】
システムは、軸対称であると仮定する。実施形態において、検出器液体は、約25℃の純粋なアセトンを選択した。アセトンの種々の特性の値を表1に列記する。
【0055】
【表1】

【0056】
液体としてエチレングリコールを使用する同様のモデルを、圧力分布および周波数スペクトル応答の実験データに対してベンチマークを行った。本実施形態では、ベンチマークを行ったモデルの同じ物理ドメイン設定および境界条件を保持し、液体の特性およびシステムの構造を変え、構造的流体減衰を導入する。
【0057】
構造体と液体との間の寸法の変動が大きいため、液体領域および固体領域のメッシュ有限要素の最も大きい相対的サイズは、それぞれ、約0.003および約0.017である。メッシュ化構造体は、合計約5237の要素を具現化した。数値的収束は、より細かいメッシュ化(約20948の要素)を使用することによって確認した。
【0058】
システムを駆動する動力とチャンバの中の有効容積との間の相関および付随する変動を可視化するために、図11に約18.85kHzの共振周波数での振動圧力分布をプロットした。
【0059】
図11に示されるように、ATMFDの有効容積は、駆動電圧を変動させることによって変動させることができる。種々の他の選択肢も(例えば、より高いモードまたは重畳を使用して)実行可能になる。このようなモデリング手法は、方向性情報を導出する能力とともに所望のレベルの検出感度を伴う、必要に応じたATMFDを設計および考案するために利用することができる。
【0060】
モンテカルロシミュレーション
システムモデルは、MCNP5コードを使用して核粒子輸送を評価するために開発することができ、図12に示す。該システムモデルは、ATMFDの共振チャンバ、およびPuBe中性子源(約2×10n/秒で放射する)から成る。チャンバは、実質的に軸対称である。反射器を含む全ての構造材料は、石英ガラスとすることができ、圧電トランスデューサは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)とすることができ、代表的な検出流体は、アセトン(CO)とすることができる。頂部反射器の上方の部分、頂部および底部反射器の内側、およびチャンバの外側は、空気としてモデル化される。
【0061】
2つの領域的有効容積は、図12に示されるように、検出器流体の中に画定される。全有効容積を画定する円筒(半径=約1.5cm、高さ=約4cm)全体は、実質的に2つの半部に分割することができる。1つの半部は、線源(V1)に対面し、1つの半部は、線源(V2)から背いている。2つの半円筒は、中性子タリー容積を形成する。
【0062】
ベアPuBe線源のための中性子エネルギースペクトルが使用され、全ての断面は、約300°Kで評価される。線源は、実験構成と一致するように、チャンバの中心軸から約35.5cmに配置される。
【0063】
MCNP5のシミュレーションの結果は、入射中性子源の方向における中性子相互作用の約25%高められた確率を示している。この結果は、第1原理の見積もりによる見積もりを確認した。
【0064】
2つの有効容積によって範囲を定められた、PuBe線源に対する、立体角を比較することによって、中性子束の空間効果が、V1ではV2よりも約15%高い束になることが分かる。相対的に、下方散乱は、V1の中の速い中性子束の約10%高い割合を占める。これは、線源がさらに離れている場合であっても、中性子束の立体角依存を効果的に無効にするが、(現在開示されているような)ATMFDの検出は、線源に最も近い側が好都合であるので、それでも特異的で認識できるものとなることを示す。
【0065】
自動化
核粒子相互作用によって形成される内破蒸気空洞の圧壊によって、チャンバから数フィート離れていても聞くことができる、可聴クリック音が生じる。圧壊空洞からの可聴クリック音は、チャンバの外側に取り付けることができる圧電トランスデューサを使用して、容易に記録することができる。次いで、衝撃波が各トランスデューサに到達する時間を記録することで、到達時間差(TDOA)を計算することが可能になる。トランスデューサ間のTDOAは、気泡キャビテーションイベントの実際の位置を計算するために、双曲線測位アルゴリズムとともに使用することができる。
【0066】
これらのキャビテーションイベントからの電気信号は、支配的な駆動周波数を排除し、したがって、高周波成分を分離するように、最初に、3次バターワース高域通過フィルタを通して送ることができる。次いで、該フィルタからの信号は、表示、記憶、およびさらなる信号処理のために、Agilent(商標)100MHzのデジタルストレージオシロスコープ等の、オシロスコープに送ることができる。実験で使用された実際の信号のスクリーンショットを図13に示す。
【0067】
図13に示される第1のチャネルは、フィルタ処理されていないトランスデューサ信号である。第2のチャネルは、高域通過フィルタの後の対応する信号である。信号の中のピークは、記録されたキャビテーションパルスの明白な結果である。Lab VIEW(商標)プログラムは、オシロスコープとのグラフィカルユーザインターフェースとして作成された。Lab VIEWプログラムを使用して、オシロスコープを、トリガチャネル上のアナログ信号が所定の閾値レベルを超えるまで実行するように設定した。オシロスコープのスクリーンショットから、次のいくつかの判定が獲得される。すなわち、XatMaxY(トリガ点に対して最も高いピークの時間(μs))、XatMinY(トリガ点に対して最も低いピークの時間(μs))、および最大(スクリーンショットに記録される最大電圧)である。使用する典型的な信号の実際のスクリーンショットを図14に示す。
【0068】
測定値XatMaxYおよびXatMinYは、2つの目的に適う。これらの測定値は、信号間のTDOAの計算、および各トランスデューサによって記録されるキャビテーションパルスの周波数の見積もりを可能にする。最大電圧測定値は、4つ全てのチャネルに対するキャビテーション信号の高さがトリガレベルよりも大きいことを確実にする。トランスデューサによって記録される各キャビテーションパルスのTDOA、周波数、最大電圧の値は、分析する信号がキャビテーションパルスの信号であるかどうかを特定するために、制約として使用された。
【0069】
データ制約
TDOA制約は、双曲線測位アルゴリズムの数値的分析を使用して設定された。Lab VIEWコンピュータプログラムは、チャンバ内側のキャビテーションイベントの無作為標本を発生させるために使用することができる。次いで、キャビテーション位置を使用して、各トランスデューサが記録するTDOAを計算する。次いで、双曲線測位アルゴリズムによってTDOAを分析する。上限制約は、TODAが、前述したように、チャンバのモデル化有効容積の外側でマッピングされたキャビテーション位置において何をもたらすことになるかを調査するために、データセットで使用されるTDOAに対して設定される。結果を表2に示す。したがって、約20μsのTDOAに対する上限制約は、チャンバの中心軸から約2cmの範囲内のキャビテーションをもたらし、実験結果と一致する。
【0070】
【表2】

【0071】
キャビテーションパルスの最大ピークの卓越周波数は、XatMaxYおよびXatMinY測定値を使用して特定することができる。図14に示されるように、XatMaxYおよびXatMinY測定値は、最も大きいキャビテーションパルスのピークで発生するはずである。周波数制約は、Lab VIEWソフトウェアおよびオシロスコープを使用して実験的に調査することができる。Lab VIEWプログラムは、キャビテーションパルスの実質的にアナログ波形全体を記録するように設計することができる。分析のために、約100のキャビテーションに基づく中性子検出イベントの実験データセットを記録することができる。次いで、高速フーリエ変換をキャビテーション波形に行う。キャビテーションパルスの最大ピークの卓越周波数が約300kHzであることが分かった。記録された信号がキャビテーションパルスを含有しているかどうかを特定するために、約200kHzの下限制約を使用することができる。記録されたキャビテーション周波数は、キャビテーション強度、記録トランスデューサまでの距離、トランスデューサの周波数応答(製造に起因する)、およびチャンバの中の減衰レベル(例えば蒸気またはガス気泡などの散乱中心に起因する)に応じて変動するので、広い範囲の周波数が許容される。
【0072】
トリガバイアスを排除するための最小電圧制約を可能にする最大電圧測定値が、手計算によって行った初期実験で発見され、後でこれを説明する。最小電圧制約は、実験データを使用して設定することができる。約450のキャビテーションから識別される最大電圧は、PuBe中性子源を使用して、4つ全てのトランスデューサによって記録した。線源の位置によるいかなる最大電圧バイアスも排除するために、トランスデューサ1および3を伴うX軸上で、ならびにトランスデューサ2および4を伴うY軸上で、チャンバの中心から約+35.5cmおよび−35.5cm離れた線源で、4組のデータを取得した。記録したキャビテーションの平均最大電圧を表3に示す。
【0073】
【表3】

【0074】
キャビテーションパルスの平均最大電圧は、各トランスデューサに対するトリガレベルを設定するために使用することができる。分析のために、4つ全てのトランスデューサのトリガレベルよりも大きい最大電圧を有するキャビテーションだけが記録された。この方法は、オシロスコープが、本質的に4つ全ての信号を同時にトリガし、したがって、いかなるトリガバイアスも排除することを可能にする。初期の結果は、トリガレベルが互いの約6%の範囲内にあり、したがって、同じトリガレベルを各トランスデューサに対して使用できることを示している。早期の実験結果は、使用するトリガレベルが結果の精度に影響することを示している。効果を調査するために、Lab VIEWプログラムを、トリガレベルが約5mVから195mVまで変動させた時に各トランスデューサによって記録されるように、キャビテーションの速度を記録するように設計することができる。結果を図15に示す。
【0075】
実験結果は、トリガ速度が、約100mVまでの小さいトリガ電圧に対しては不安定で、約200mV前後で安定したことを示している。したがって、約200mVのトリガレベルを、この実施形態のベースラインとして使用することができる。ピルマイクロホンを取り付けるためにエポキシまたは他の何らかの材料を使用する際の、製造許容差およびばらつきの変動により、ここで、今説明した方法を使用して正確なトリガレベルを開発することができる。
【0076】
方向性決定の実験および結果
実験装置は、MCNPおよびCOMSOLモデルで説明したように、約6.9cmの直径を有する石英ATMFDチャンバを利用した。チャンバの中で使用した液体は、約25℃で、かつ約20インチ(約50.8cm)Hgの真空下にある純粋なアセトンであった。チャンバは、波形発生器および線形増幅器によって動作された。共振周波数は、約18.3kHzで見出され、使用した駆動電圧は、約100Vであった。データは、衝撃痕跡を記録するオシロスコープを利用して取得された。前述のLab VIEWプログラムは、オシロスコープの動作を制御し、データを捕集した。オシロスコープとの通信は、GPIBインターフェースを介して達成することができる。3D測位を可能にするように正のZ成分を伴って配置した第4のトランスデューサを除いて、4つの圧電トランスデューサを、同じXY面上に互いに直角に配置した。設定を図16に示す。
【0077】
データは、最初に、キャビテーションパルスを記録するオシロスコープを利用して取得された。TDOAは、オシロスコープカーソルによって手動で記録した。TDOAは、次いで、前述のように双曲線測位アルゴリズムで分析した。X軸上のチャンバの中心から約13cm離れたPuBe線源による予備データ(図17に示す)は、検出器のチャンバの中のキャビテーションイベントの場所が、放射能源の方向に向かって納得のいくようにバイアスされたという証拠を提供した。
【0078】
チャンバは、2つの同じサイズにした区域に分割することもできる。線源に最も近い区域は、キャビテーションイベントの約65%(84/124)を含み、キャビテーションイベントの約32%(40/124)は、線源から最も離れた区域で生じた。これは、約2.1:1(2.1)という比率をもたらした。トリガ信号に向かってバイアスが発生することも発見した。このトリガバイアスは、1つの信号のみの上でのトリガの間にデータセットを取得したために生じる。トリガバイアスは、トリガトランスデューサにより近いキャビテーションがより大きい記録された衝撃信号振幅を有するために生じ、したがって、トリガトランスデューサの近くで生じるキャビテーションは、特異的にバイアスされる場合がある。しかしながら、このトリガバイアスは、4つ全てのトランスデューサを使用してキャビテーションイベントを引き起こせば排除することができる。このキャビテーション位置を記録する方法は非効率的であり、手動によってデータを取得するので、約2Sa/分の間記録することしか可能にしない。したがって、相当な量のデータ処理を可能にする自動化システムを設計し、その後使用した。しかしながら、手動で取得したデータは、方向性情報を提供する能力の確認としての役割を果たし、また、ベンチマークとしての役割も果たす。
【0079】
自動システムを使用して取得したデータは、前述した双曲線測位アルゴリズムで、ならびに各トランスデューサが最初に何回キャビテーションパルスを記録したかを追跡するように設計されたLab VIEWプログラムで分析される。トランスデューサのうちの2つが最初に何回キャビテーションを記録したかのカウントを、表4に列記する。
【0080】
【表4】

【0081】
チャンバは、ここでも、2つの均等にサイズ特定された区域に分割することができる。放射能源に最も近い区域は、キャビテーションイベントの約56%(170/306)を含有し、キャビテーションイベントの約44%(136/306)は、線源から最も離れた区域で生じる。得られたキャビテーションイベントの比率は、約5:4(1.25)として与えられる。これらの結果は、手動で予め取得された結果と、およびMCNPモデルによって与えられた理論値(約1.24)と相関した。コンピュータによって取得したカウントと手動によるカウントとの差は、キャビテーションの最大電圧に対して下限制約を設定することによるトリガバイアスの排除に起因すると考えられる。記録されたTDOAは、キャビテーションの位置を計算するためにも使用し、図18および19に示す。
【0082】
グラフは、また、2つの実質的に同じサイズにした区域に分割される。放射能源に最も近い区域は、キャビテーションの約56%(170/306)を含有し、キャビテーションイベントの約44%(136/306)は、キャビテーション源から最も離れた区域で生じる。得られたキャビテーションイベントの比率は、約5:4(1.25)として与えられる。第1の到達トランスデューサ方法および双曲線位置方法を使用したデータは、約100%の精度で相関し、また、約2%の範囲内で、理論モデル評価(すなわち、MCNP5およびCOMSOL)にも相関することに留意されたい。
【0083】
また、放射能源が、マイク1および3を伴うX軸上でチャンバの中心から約−35.5cmおよび+35.5cm離れた状態で、記録された全てのキャビテーションイベントを含むグラフも作成した。XZ面に示されるように、キャビテーションイベントのグラフは、チャンバの有効容積が、サイズおよび形状において、開発したCOMSOLモードに類似することを示している(図20)。全ての中性子検出(キャビテーションイベント)が、ATMFDの中心線から約1.5cmの半径の範囲内で生じ、これがCOMSOLモデルの予測と非常に一致することが見られる。したがって、約1.5cmという値をMCNP計算に使用する。
【0084】
キャビテーション場所の半径方向(空間)分布も分析を行った。キャビテーションイベントは、実質的に2つの等しい部分に分解され、チャンバの半分は線源に最も近く、チャンバの半分は線源から最も離れている。次いで、半径方向位置をヒストグラムで作表し、対向する同心円弧の中のキャビテーションの数を得た。結果を図21aおよび21bに示す。
【0085】
最大張力(負)圧を有するチャンバの中央区域は、キャビテーションイベントが特異的に生じ、双曲線測位アルゴリズムの誤差も最大であるので、この場所は、カウントから排除した。したがって、チャンバのこの区域で生じたキャビテーションは、方向性情報に対する関与が少ない。結果として生じるカウントは、キャビテーションイベントの約56%(154/274)が線源に最も近い区域で生じる一方で、約44%(120/274)は、線源から最も遠い区域で生じ、5:4(1.28)の比率と同等である。このデータ分析方法は、より単純な第1の到達トランスデューサ方法と比較した時に、方向性情報を導出するための改善されたより良好な能力を提供する。
【0086】
気泡形状の目視検査により、到来放射線の方向性を特定するための関連する手段が可能である。中性子のPu−Be源等の線源からの放射線は、線源の方向に放射線から原子核にエネルギーを送達して、肉眼で可視的な大きさに成長するナノスケールの気泡を生じさせることが分かった。振動音響駆動場において、小気泡は、前述したATMFDシステムの中で、数ミリの範囲の肉眼で見える大きさに成長し、次いで、崩壊して消滅する前に、音圧勾配を介して気泡自体をガラス壁に向かって半径方向外向きに輸送して、気泡自体を楕円形状に伸長する。この特徴を図22に示すが、図中、アセトンの核との中性子誘発衝突による細長い気泡クラスタ(ATMFDシステムの中で形成される)の主軸は、中性子源の方を指し、これと一列になる。1,000fpsカメラならびに従来の30fpsのビデオカメラで取得した動画クリップの観察結果は、10個の気泡クラスタのうちのほぼ8個がこの特異的な方向を指していることを示している。張力液体分子に衝突する到来中性子のうちのいくつかは、他の角度からの反射中性子となるか、またはグレージング角度で流体の標的原子の核に衝突すると予想することができ、したがって、真の放射線源から離れる種々の他の方向に楕円形に搬送される気泡を生じさせることが予想さ得る場合がある。それでも、この発見は、一時的な気泡クラスタの直接的な可視画像の監視および分析検査によって、比較的に瞬間的な(数秒以内の)信頼できる根拠の方向性を判定する可能性を生じさせる。そのようなシステムはまた、(例えば、十分に遮蔽された核物質から)検出器に到達する極めて弱い放射線が関与し、それによって、TDOAに基づく技法の使用がリアルタイムの方向性監視には非実用的となる状況で、極めて有用になり得る。
【0087】
要約および結び
使用する第1の到達トランスデューサ方法および双曲線測位方法のどちらでも、(外径約70mmのATMFDの中の)キャビテーションイベントの場所によって証明されるような中性子検出は、どちらも約1.25:1の比率で、線源に最も近い検出器の側部上で特異的に生じる。このサイズのチャンバにおける下方散乱イベントは、信頼性のある方向性の認識を可能にすることに重要な役割を果たし、より大きいATMFDは、さらに高い信頼度レベルをより短時間で導くことができる。したがって、3Dでのキャビテーションイベントのマッピングを可能にする双曲線測位アルゴリズムの追加は、関与する誤差を高めないと認識することができる。3次元でキャビテーションイベントをマップする能力は、2Dの方向性を検出する能力だけでなく、3Dの方向性情報も検出する能力があることを示す。
【0088】
キャビテーションイベントは、マルチフィジックスに基づくシミュレーションによる予測(約1.24:1)と比較して、約1.25:1の比率で、線源に最も近い検出器の側部上で特異的に生じることが分かる。これらの比率は、検出器に対する線源の距離が約35.5cmであるときに対するものである。計算は、この距離について、線源に最も近い有効容積から、線源から最も遠い有効容積への立体角の増加が、中性子束の約15%の減少の原因であることを確実にする。これは、アセトンを通した中性子の下方散乱が(外径約6cmのATMFDシステムであっても)、非常に顕著な(約10%)影響の原因であることを意味する。より大きい外径は、方向性についてより大きい能力を可能にする。したがって、中性子束の大きさに対する立体角効果がごくわずかである程度に、線源が十分に離れている時であっても、方向性情報を得ることができる。
【0089】
我々のCOMSOLを連結した物理学シミュレーションは、駆動力を増大させて、ベースラインケースよりも短い時間で信頼性を高めた方向性情報をもたらすことによって、検出器の有効容積をスケーリングする能力を示す。
【0090】
ATMFDは、ガンマ放射線に対して非感受性である場合があり、かつATMFDは、同時に、液体をClまたはB核から成る液体(フレオン−113またはホウ酸トリメチル)に変えることによって、熱からのエネルギーによる方向性を伴う中性子/放射線を高速で検出するためにも使用することができ、そして、TMFDシステムについては、ほぼ100%の固有効率も示されている。
【0091】
TMFDシステムの放射線の核との衝突は、TMFDシステムの液体分子の原子核への到達方向とかなり一致する特異的な方向に、エネルギーを送達する。張力圧は、気泡を、到来放射線の方向と一直線上で実質的に指す主軸を伴う、細長く、かつほぼ円筒形状の彗星のような形状に変形させることができるような方法で、気泡をナノスケールから数ミリのスケールに増幅する。
【0092】
本開示を、特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の特徴が含まれてもよい。したがって、前述の発明を実施するための形態は、限定するものではなく例示的なものであるとみなされることが意図され、発明の精神および範囲を画定することを意図しているのは、全ての同等物を含む、以下の特許請求の範囲であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の方向性を特定する方法であって、
張力準安定流体の容積を作成することと、
放射線源の近くに前記張力準安定流体の容積を配置することと、
前記張力準安定流体内の放射線誘発キャビテーションの場所を検出することと、
前記張力準安定流体内の前記放射線誘発キャビテーションに基づいて、前記放射線源の方向性を特定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記張力準安定流体の容積は、少なくとも1つの対称軸を含有する形状を有する、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項3】
前記張力準安定流体は、音響張力準安定流体である、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項4】
前記放射線誘発キャビテーションの場所を検出する前記ステップは、チャンバ上に載置された複数の信号検出トランスデューサから得られる信号を処理することによって、キャビテーション誘発衝撃信号の到達の時間遅延を検出することを含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項5】
前記放射線誘発キャビテーションの場所を検出する前記ステップは、前記チャンバ上に載置された複数の信号検出トランスデューサから得られる信号を処理することによって、キャビテーション誘発衝撃信号を検出することを含み、前記処理は、バイアスを最小化するステップをさらに含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項6】
前記放射線誘発キャビテーションの場所を検出する前記ステップは、前記チャンバ上に載置された複数の信号検出トランスデューサから得られる信号を処理することによって、キャビテーション誘発衝撃信号を検出することを含み、前記処理は、閾値電圧レベルを上回る前記信号検出トランスデューサからの信号を検出する前記ステップを含む、バイアスを最小化するステップをさらに含み、前記閾値電圧レベルは、全てのトランスデューサの漸近応答比較から特定することができる、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項7】
前記放射線誘発キャビテーションの場所を検出する前記ステップは、双曲線測位方法によってキャビテーションの場所を検出する方法を含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項8】
前記放射線の場所を検出する前記ステップは、前記チャンバの少なくとも2つの区域の中で生じるキャビテーションの比率を特定することを伴う、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項9】
前記方法は、中心線垂直軸の少なくとも一部分を含む空間の容積の中のイベントカウントを含まずに、対向するセクターの中のキャビテーションイベントを比較することをさらに含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項10】
前記方法は、キャビテーション気泡の伸長を増幅して、到来放射線から液体分子へのエネルギー伝達の方向と一致するように、圧力差を使用することをさらに含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項11】
前記方法は、前記キャビテーション気泡の核形成イベントの形状を監視することをさらに含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項12】
前記放射線源の前記方向を特定する前記ステップは、前記放射線によって誘発されるキャビテーション気泡の細長い形状の主軸を特定するステップをさらに含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項13】
前記方法は、細長いキャビテーション誘発気泡の前記主軸からの到来放射線の方向を視覚的に特定することをさらに含む、請求項1に記載の放射線の方向性を特定する方法。
【請求項14】
入射放射線の方向性を特定するためのデバイスであって、
流体を保持するチャンバと、
前記流体内に張力準安定状態を誘発して維持するようにともに動作する、前記チャンバを変形させるための機構と通信する制御システムであって、前記張力準安定状態は、前記流体分子が入射核粒子によって衝突された時に気泡の核形成を可能にするのに十分である、制御システムと、
前記流体容積内の気泡キャビテーションの場所を特定するためのシステムと電子通信する、前記チャンバ内で離間される複数の信号検出トランスデューサと、
を備える、デバイス。
【請求項15】
前記チャンバは、密封される、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項16】
前記チャンバ内の前記流体は、アセトン、フレオン、ベンゼン、イソペンタン、トリメチルホウ酸塩、水、およびそれらの混合物から成る流体の群より選択される、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項17】
前記チャンバを変形させるための前記機構は、圧電材料を含む少なくとも1つのトランスデューサをさらに備える、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項18】
前記チャンバを変形させるための前記機構は、ジルコン酸チタン酸鉛を含む圧電材料を含む、少なくとも1つのトランスデューサをさらに備える、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項19】
前記チャンバを変形させるための前記機構は、セラミックを含む圧電材料を含む、少なくとも1つのトランスデューサをさらに備える、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項20】
前記チャンバを変形させるための前記機構は、チタン酸バリウムを含む圧電材料を含む、少なくとも1つのトランスデューサをさらに備える、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項21】
前記チャンバを変形させるための前記機構は、前記チャンバに載置される少なくとも1つのトランスデューサを含み、よって、前記トランスデューサが、中間面の周囲で、または所望の振動する圧縮付きの張力圧力場に対応する面の中で前記チャンバの辺縁を囲繞する、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項22】
前記チャンバを変形させるための前記機構は、所望の振動する圧縮付きの張力圧力場に対応する面の中の別々の場所で、前記チャンバに載置される複数のトランスデューサを含む、請求項14に記載の入射放射線の方向性のためのデバイス。
【請求項23】
駆動トランスデューサの共振周波数は、ATMFDチャンバの共振周波数と実質的に同様になるように一致される、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項24】
前記チャンバを変形させるための前記機構は、前記流体分子が入射核粒子によって衝突された時に前記気泡の核形成を可能にするのに十分である共振および張力準安定状態を確立するように、正および負の圧力変動を流体内に導入することが可能である、前記チャンバ壁に載置される少なくとも1つの電動圧電素子を備える、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項25】
流体容積内のキャビテーションイベントの場所を特定するためのシステムと電子通信する前記チャンバ内で離間される前記複数の信号検出トランスデューサは、少なくとも4つの信号検出トランスデューサを含む、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項26】
前記流体容積内のキャビテーションイベントの場所を特定するためのシステムと電子通信する前記チャンバ内で離間される前記複数の信号検出トランスデューサは、同じ面の中の少なくとも3つの信号検出トランスデューサと、前記面の外側にある少なくとも1つの信号検出トランスデューサとをさらに含む、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項27】
前記流体容積内の前記気泡の場所を特定するための前記システムは、ベースライン駆動周波数信号を除去する高域通過フィルタ回路を備える、信号処理システムを含む、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項28】
前記流体容積内の前記気泡の場所を特定するための前記システムは、測位アルゴリズムを採用する信号検出トランスデューサにおいて気泡信号の到達時間遅延を特定して、前記チャンバ内で気泡が内破した位置を特定するように、前記信号検出トランスデューサからのフィルタされた信号を比較する、信号処理システムを含む、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項29】
前記流体内の気泡の場所を特定するための前記システムは、前記チャンバの中の気泡キャビテーションの数および場所を特定する、信号処理システムを含む、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項30】
前記流体内の前記気泡の場所を特定するための前記システムは、流体容積内の気泡形成をリアルタイムで捕捉し、細長いキャビテーション気泡の主軸からの方向性を特定する視覚監視システムを含む、信号処理システムを含む、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。
【請求項31】
前記チャンバは、前記チャンバの種々の区域の中のキャビテーションイベントの下方散乱支援集積を許容する放射線の方向性検出を可能にする、サイズおよび形状を有する、請求項14に記載の入射放射線の方向性を特定するためのデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−525598(P2012−525598A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508736(P2012−508736)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032991
【国際公開番号】WO2010/127131
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511262452)
【Fターム(参考)】