説明

放射線検出装置

【目的】放射線を検出したとき、誰がどの値の放射線強度を検出したのか、あるいは被爆したのかを確認できる放射線検出装置を得る。
【構成】放射線センサ9により放射線強度を検出するとともに、検出した放射線強度データをメモリ10に格納する放射線検出回路部1と、予め複数の指紋データを格納するとともに、指紋センサ13の指紋認証により、放射線を検出する人物の指紋データを格納するメモリ14を有する指紋検出回路部2と、放射線検出回路部1および指紋検出回路部2とデータの送受信を行い、指紋検出回路部2の指紋センサで認証された指紋データと、指紋検出回路部2のメモリ14に予め格納されている指紋データとが一致した場合に、放射線検出回路部1を動作させるコントローラ5を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子力プラント等の放射線施設などにおいて、放射線を検出する放射線検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線施設や管理地域などで、例えば入場者の放射線の被爆量を検知する放射線検出装置として、携帯用の検知部と、この検知部と交信を行い、この検知部に測定場所を送信するとともに、この検知部のメモリに記録された放射線の強さおよび測定場所を読み出す複数個の固定用のコントローラと、これらコントローラで読み出された放射線の強さおよび測定場所が通知され、放射線の強さが許容値を超えたとき警報を発する制御部とで構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−63857号公報(要約の欄、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された放射線検出装置によれば、放射線施設や管理地域の入場者が帯同する放射線センサで検知した放射線の強さおよび測定した場所を、例えばこの管理センタで速やかに検知し、放射線の強さが許容値を超えたときはこの管理センタにおいても警報が発せられるので、即時に対策を講じることができる。
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された放射線検出装置は、放射線を検出するとき、放射線センサからのデータを取得するのみであり、誰が検出したのか、あるいは誰が被爆したのか、という情報を得ることが出来ない課題がある。また、放射線施設や管理地域の外部への連絡も出来ない課題がある。更に、放射線検出時の周囲の環境を映像として入手することもできない課題もある。
【0006】
また、上記特許文献1に開示された放射線検出装置は、放射線センサが放射線の強度を検出し、その強度が基準値を超えていた場合、管理センタの要所要所に設置されたコントローラが、放射線センサの検知部からデータを読み取って管理センタに送信し、管理センタが警報を発するものであるため、放射線の検出から警報を発するまでに時間遅れが生じる課題がある。
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、放射線を検出したとき、誰がどの値の放射線強度を検出したのか、あるいは被爆したのかを確認できる放射線検出装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る放射線検出装置は、放射線センサにより放射線強度を検出するとともに、検出した放射線強度データをメモリに格納する放射線検出回路部と、予め複数の指紋データを格納するとともに、指紋センサの指紋認証により、放射線を検出する人物の指紋データを格納するメモリを有する指紋検出回路部と、上記放射線検出回路部、および上記指紋検出回路部とデータの送受信を行い、上記指紋検出回路部の指紋センサで認証された指紋データと、上記指紋検出回路部のメモリに予め格納されている指紋データとが一致した場合に、上記放射線検出回路部を動作させるコントローラと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、放射線を検出したとき、誰がどの値の放射線強度を検出したのか、あるいは被爆したのかを確認できる放射線検出装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係る放射線検出装置について好適な実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1を示すブロック構成図である。実施の形態1に係る放射線検出装置100は、放射線検出回路部1、指紋検出回路部2、無線制御回路部3、表示制御回路部4、およびこれら各回路部1、2、3、4を制御するコントローラ5を備えている。
【0012】
コントローラ5は、放射線検出装置全体の制御を司る中央演算処理装置(以下、各実施の形態においてCPUという。)6と、CPU6により制御されるメモリ7と、インタフェース回路8を備え、インタフェース回路8を介して各回路部1、2、3、4との間でデータの送受信を行う。
【0013】
放射線検出回路部1は、周囲環境の放射線強度を測定するセンサである放射線センサ9と、放射線センサ9により検出した放射線強度データを格納するメモリ10、および放射線センサ9を制御し、放射線センサ9で検出された放射線強度データをメモリ10に格納するとともに、インタフェース回路11を介してコントローラ5との間で放射線強度データの送受信を行うマイクロコンピュータ12を備えている。
【0014】
指紋検出回路部2は、放射線検出時にだれが検出したのか、あるいはだれが被爆したのかを明確にするため、放射線を検出した人物の特定を目的としたセンサである指紋センサ13と、指紋センサ13で検出した指紋データを格納するメモリ14、および指紋センサ13を制御し、指紋センサ13からの指紋データをメモリ14に格納するとともに、インタフェース回路15を介してコントローラ5との間で指紋データの送受信を行うマイクロコンピュータ16を備えている。
【0015】
無線制御回路部3は、アクセスポイント17を介して放射線施設や管理地域の外部にある関係機関18とリアルタイムでデータの送受信を行う無線モジュール19と、衛星20と通信を行うことにより、位置情報データを受信するGPS(Global positioning system)21と、GPS21と衛星20との通信で受信した位置情報データを格納すると共に、無線モジュール19を介して外部関係機関18との間で送受信するデータを格納するメモリ22、およびGPS21、無線モジュール19、メモリ22の制御を行うとともに、インタフェース回路23を介してコントローラ5とデータの送受信を行うマイクロコンピュータ24を備えている。
【0016】
表示制御回路部4は、CPU6から送られてきたデータをLCD(Liquid crystal display)に描画するLCDモジュール25と、コントローラ5のインタフェース回路8とデータの送受信を行うインタフェース回路26を備えている。
【0017】
実施の形態1に係る放射線検出装置100は、上記のように構成されており、次にその動作について説明する。まず、放射線を検出した人物を特定する指紋認証および放射線検出時の動作について図1および図2を用いて説明する。
【0018】
図2は、指紋認証および放射線検出時の動作フローを示す図である。図2において、CPU6は、インタフェース回路8を介して指紋検出回路部2のインタフェース回路15に
指紋認証開始情報を出力すると、マイクロコンピュータ16は、インタフェース回路15に受信した指紋認証開始情報を受けて指紋認証を開始する。そして、マイクロコンピュータ16は、指紋センサ13を制御して指紋データを摘出し、摘出された指紋データはメモリ14に一度格納される。メモリ14に格納された指紋データは、インタフェース回路15を介してコントローラ5のインタフェース回路8に送信され、CPU6がインタフェース回路8に受信した指紋データをメモリ7に格納する。(ステップ200)
【0019】
CPU6は、予め格納されている指紋データと指紋センサ13によって摘出された指紋データとを比較する。(ステップ201)
【0020】
予め格納されている指紋データと指紋センサ13によって摘出された指紋データが不一致の場合には、CPU6は認証NGとしてステップ200に戻り(ステップ202)、指紋データが一致した場合は、CPU6は認証者の情報および認証時間、日付をメモリ7に格納し、放射線検出機能のロックを解除する。(ステップ203)
【0021】
ステップ202およびステップ203の処理は、認証が正常に行われ、放射線を検出する人物が明らかになったとき初めて放射線検出が可能となる仕組みであり、これにより放射線を検出した人物を特定することができる。
【0022】
次に、CPU6は、インタフェース回路8を介して、放射線検出回路部1のインタフェース回路11に放射線検出許可情報を送信する。(ステップ204)
【0023】
放射線検出回路部1のマイクロコンピュータ12は、インタフェース回路11に受信した放射線検出許可情報を受けて放射線センサ9を制御し、放射線検出を開始する。(ステ
ップ205)
【0024】
放射線センサ9は放射線強度を検出し(ステップ206)、放射線センサ9から出力された放射線強度データをマイクロコンピュータ12は一度メモリ10に格納し、格納した放射線強度データは、インタフェース回路11を介してコントローラ5のインタフェース回路8に送信する。(ステップ207)
【0025】
CPU6は、インタフェース回路8で受信した放射線強度データをメモリ7に格納し、予めメモリ7に格納されている基準値データと放射線センサ9で測定された放射線強度データを比較する。(ステップ208)
【0026】
コントローラ5のメモリ7に格納されたデータは、放射線強度、測定者、測定日時であり、その測定データが基準値以下であればステップ206に戻り、その測定データが基準値を超える場合には、CPU6は異常と判断し、その測定データを、インタフェース回路8を介して無線制御回路部3のインタフェース回路23に送信する。(ステップ209)
【0027】
無線制御回路部3のマイクロコンピュータ24は、インタフェース回路23が受信した測定データをメモリ22に一度格納し(ステップ210)、格納した測定データを無線モジュール19の制御により、アクセスポイント27を経由し、外部関係機関28に通知する。(ステップ211)
【0028】
以上のように、実施の形態1に係る放射線検出装置は、外部関係機関18が、受信した測定データを基にしてリアルタイムで誰がどの値の放射線強度を検出したのか、あるいは被爆したのかを確認することが可能となる。
【0029】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る放射線検出装置について説明する。実施の形態2は、放射線検出エリアあるいは被爆エリアを作成する放射線検出装置について説明するものである。放射線検出装置の構成は実施の形態1と同様であるので、図1を参照しながらその動作を図3に基づいて説明する。
【0030】
図3は、放射線検出エリアあるいは被爆エリアを作成するときの動作フローを説明する図である。図3において、指紋検出回路部2における指紋センサ13の指紋認証により認証者が特定されると、CPU6は、インタフェース回路8を介して無線制御回路部3のインタフェース回路23にGPS機能ON情報を送信する。(ステップ300)
【0031】
無線制御回路部3のマイクロコンピュータ24は、インタフェース回路23に受信したGPS機能ON情報を基にGPS制御を開始し(ステップ301)、衛星20と通信を開始する。(ステップ302)
【0032】
GPS21は、衛星20から受信した位置情報データをマイクロコンピュータ24に渡し、マイクロコンピュータ24は位置情報データを一度メモリ22に格納し(ステップ303)、格納した位置情報データを、インタフェース回路23を介してコントローラ5のインタフェース回路8に送信する。(ステップ303)
【0033】
CPU6はインタフェース回路8に受信した位置情報データをメモリ7に格納する(ステップ305)とともに、メモリ7に格納した位置情報データを基に放射線検出エリア情報あるいは被爆エリア情報を作成し、メモリ7に格納する。(ステップ306)
【0034】
CPU6は、インタフェース回路8を介して作成した放射線検出エリアデータあるいは被爆エリアデータを無線制御回路部3のインタフェース回路23に送信する。(ステップ307)
【0035】
無線制御回路部3のインタフェース回路23に受信した放射線検出エリアデータあるいは被爆エリアデータを、マイクロコンピュータ24はメモリ22に一度格納し、格納した放射線検出エリアデータあるいは被爆エリアデータを、無線モジュール19を使用してアクセスポイント17を経由し、外部関係機関18に送信する。(ステップ309)
【0036】
また、ステップ306においてメモリ7に格納した位置情報データを、LCDに描画するか否か判断し(ステップ310)、LCDに描画するのであれば、CPU3は、作成した放射線検出エリアデータあるいは被爆エリアデータを、インタフェース回路8を介して表示制御回路部4のインタフェース回路26にも送信する。(ステップ311)
【0037】
表示制御回路部4のインタフェース回路26は、受信した放射線検出エリアデータあるいは被爆エリアデータをLCDモジュール25に送り、LCDモジュール25は受信した放射線検出エリア情報あるいは被爆エリア情報をLCDに描画する。(ステップ312)
【0038】
以上のように、実施の形態2に係る放射線検出装置によれば、外部関係機関18は、作成された放射線検出エリア情報あるいは被爆エリア情報をリアルタイムで受信することにより、放射線検出エリアあるいは被爆エリアの状況確認が可能となる。
【0039】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る放射線検出装置について説明する。実施の形態3は、放射線を検出した位置情報データあるいは被爆した位置情報データを作成する放射線検出装置を説明するものである。放射線検出装置の構成は実施の形態1と同様であるので、図1を参照しながらその動作を図4に基づいて説明する。
【0040】
図4は、放射線を検出した位置情報データあるいは被爆した位置情報データを作成するときの動作フローを示す図である。図3において、無線制御回路部3のマイクロコンピュータ24は、無線モジュール19およびアクセスポイント17を経由して外部関係機関18とデータの送受信を行っている。無線モジュール19は、アクセスポイント17にアクセスすることにより、アクセスポイント17から位置情報データを受信し(ステップ400)、マイクロコンピュータ24は、受信した位置情報データを一度メモリ22に格納する。(ステップ401)
【0041】
そして、マイクロコンピュータ24は、メモリ22に格納した位置情報データをインタフェース回路23を介して、コントローラ5のインタフェース回路8に送信する。(ステップ402)
【0042】
CPU6は、インタフェース回路8に受信した位置情報データをメモリ7に格納し(ステップ403)、実施の形態2で作成済みの検出エリアデータあるいは被爆エリアデータとアクセスポイント17から受信した位置情報データとを組み合わせることによって、放射線を検出した位置、あるいは被爆した位置が検出エリアあるいは被爆エリアのどの位置に存在するのかを特定し、詳細な位置情報データを作成する。(ステップ404)
【0043】
CPU6は、作成した放射線の検出位置情報データあるいは被爆位置情報データを、インタフェース回路8を介して無線制御回路部3のインタフェース回路23に送信する。(ステップ405)
【0044】
無線制御回路部3のインタフェース回路23で受信した放射線の検出位置情報データあるいは被爆位置情報データを、マイクロコンピュータ24は一度メモリ22に格納する。そして、格納した放射線の検出位置情報データあるいは被爆位置情報データをマイクロコンピュータ24が無線モジュール19を制御することにより、アクセスポイント17を経由して外部関係機関18に送信する。(ステップ406)
【0045】
また、無線制御回路部3のメモリ22に格納された放射線の検出位置情報データあるいは被爆位置情報データをLCDに描画するか否か判断し(ステップ407)、LCDに描画するのであれば、CPU6は、作成した放射線の検出位置情報データあるいは被爆位置情報データをインタフェース回路8を介して表示制御回路部4のインタフェース回路26にも送信する。(ステップ408)
【0046】
表示制御回路部4のインタフェース回路26は、受信した放射線の検出位置情報データあるいは被爆位置情報データをLCDモジュール25に送り、LCDモジュール25はLCDに放射線の検出位置情報あるいは被爆位置情報を描画する。(ステップ409)
【0047】
以上のように、実施の形態3に係る放射線検出装置によれば、外部関係機関18は、受信した放射線の検出位置情報データあるいは被爆位置情報データから放射線を検出した場所あるいは被爆した場所のより詳細な位置を把握することが可能となる。
【0048】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4に係る放射線検出装置について説明する。実施の形態4は、放射線を検出した人物あるいは被爆した人物を既定避難場所へナビゲーションする放射線検出装置のオートナビゲーション機能を説明するものである。放射線検出装置の構成は実施の形態1と同様であるので、図1を参照しながらその機能を図5に基づいて説明する。
【0049】
図5は、放射線を検出した人物あるいは被爆した人物を既定避難場所へナビゲーションする放射線検出装置のオートナビゲーション機能の動作フローを示す図である。図5において、実施の形態1で説明した指紋認証により人物を特定し(ステップ501)、実施の形態3で作成された情報により、放射線の検出位置あるいは被爆位置の特定を行う。(ステップ502)
【0050】
ステップ501における人物の特定およびステップ502における放射線の検出位置、あるいは被爆位置の特定が終了したのち、CPU6は、CPU6の保有するナビゲーション機能をONにする。(ステップ503)
【0051】
CPU6は、実施の形態3で作成された放射線の検出位置あるいは被爆位置の情報を基に、予めメモリ7に格納されている既定避難場所の位置情報を組み合わせて、現在位置から既定避難場所への避難ルートデータを作成する。(ステップ504)
【0052】
ステップ504で作成された避難ルートデータを基に、CPU6は既定避難場所へのナビゲーションを開始することが可能になる。
【0053】
また、CPU6で作成された避難ルートデータをLCDに描画するのであれば(ステップ505)、CPU6は作成した避難ルートデータをインタフェース回路8を介して、表示制御回路部4のインタフェース回路26に送信する。(ステップ506)
【0054】
表示制御回路部4のインタフェース回路26は、受信した避難ルートデータをLCDモジュール25に渡すことにより、LCDモジュール25はLCDにナビゲーション情報を描画し(ステップ507)、既定避難場所へのナビゲーションを開始する。(ステップ508)
【0055】
放射線を検出した人物あるいは被爆した人物が既定避難場所に到着したとき(ステップ509)、CPU6はナビゲーション機能を終了させ(ステップ510)、既定避難場所への到着情報をインタフェース回路8を介して無線制御回路部3のインタフェース回路23に送信する。(ステップ511)
【0056】
無線制御回路部3のマイクロコンピュータ24は、インタフェース回路23に受信した既定避難場所への到着情報を一度メモリ22に格納し、無線モジュール19を制御して格納されたデータを、アクセスポイント17を経由して外部関係機関18に送信する。(ステップ512)
【0057】
以上のように、実施の形態4に係る放射線検出装置によれば、部関係機関18は、受信したデータにより放射線を検出した人物あるいは被爆した人物が既定避難場所に到着したことを把握することができる。
【0058】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5に係る放射線検出装置について説明する。実施の形態5は、放射線検出エリアあるいは被爆エリアを隔離する放射線検出装置を説明するものである。放射線検出装置の構成は実施の形態1と同様であるので、図1を参照しながらその動作を図6に基づいて説明する。
【0059】
図6は、外部関係機関による放射線検出エリアあるいは被爆エリアの自動隔離機能のフローを示す図である。
図6において、外部関係機関18は、アクセスポイント17を経由して実施の形態2で受信した放射線検出エリア情報あるいは被爆エリア情報を基に、放射線検出エリアあるい
は被爆エリア内に機器の反応が無いことを確認し、かつ放射線流出時に放射線検出エリアあるいは被爆エリアに存在した特定の人物が全て、実施の形態4により既定避難場所に到着したことを確認できた場合(ステップ600)、放射線検出エリアあるいは被爆エリアを自動で隔離することを可能とする。(ステップ601)
【0060】
しかし、(1)放射線検出エリアあるいは被爆エリアに機器の反応があり、既定避難場所到着情報を未受信の場合、(2)放射線検出エリアあるいは被爆エリアに反応があるが、既定避難場所到着情報を受信した場合、(3)放射線検出エリアあるいは被爆エリアに機器の反応はないが、既定避難場所情報を受信してない場合においては、放射線検出エリアあるいは被爆エリアにおいて機器の反応が無いことが確認でき、かつ放射線検出エリアあるいは被爆エリアに存在した特定の人物が全て既定避難場所に到着した情報を受信するまで待機する。(ステップ602)
【0061】
以上のように、実施の形態5に係る放射線検出装置によれば、放射線検出エリアあるいは被爆エリアを自動で隔離することが出来る。
【0062】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6に係る放射線検出装置について説明する。図7は、実施の形態6を示すブロック構成図である。実施の形態6に係る放射線検出装置200は、カメラ制御回路部70、無線制御回路部71、表示制御回路部72、およびこれら各回路部70、71、72を制御するコントローラ73を備えている。
【0063】
コントローラ73は、放射線検出装置全体の制御を司るCPU74と、CPU74により制御されるメモリ75と、インタフェース回路76を備え、インタフェース回路76を介して各回路部70、71、72との間でデータの送受信を行う。
【0064】
カメラ制御回路部70は、放射線検出時に周囲の環境の状況を撮影するカメラモジュール77と、カメラモジュール77の制御を行うとともに、カメラモジュール77で撮影したデータをメモリ78に格納し、インタフェース回路79を介してコントローラ73とデータの送受信を行うマイクロコンピュータ80を備えている。
【0065】
無線制御回路部71は、アクセスポイント17を介して放射線施設や管理地域の外部にある関係機関18とリアルタイムでデータの送受信を行う無線モジュール81と、衛星20と通信を行うことにより、位置情報データを受信するGPS82と、GPS82と衛星20との通信で受信した位置情報データを格納すると共に、無線モジュール81を介して外部関係機関18との間で送受信するデータを格納するメモリ83、およびGPS82、無線モジュール81、メモリ83の制御を行うとともに、インタフェース回路84を介してコントローラ73とデータの送受信を行うマイクロコンピュータ85を備えている。
【0066】
表示制御回路部72は、CPU74から送られてきたデータをLCDに描画するLCDモジュール86と、コントローラ73のインタフェース回路76とデータの送受信を行うインタフェース回路87を備えている。
【0067】
実施の形態6に係る放射線検出装置200は、上記のように構成されており、次にその動作について図8を用いて説明する。
【0068】
図8は、放射線検出時のカメラ撮影機能のフローを示す図である。図8において、放射線検出時にカメラモジュール77にて撮影を可能とするため、CPU74は放射線検出許可情報をマイクロコンピュータ80に送信したのち、インタフェース回路76を介してカメラ制御回路部70のインタフェース回路79にカメラ機能ON情報を送信する。(ステ
ップ800)
【0069】
マイクロコンピュータ80は、インタフェース回路79で受信したカメラ機能ON情報を受けて(ステップ801)、カメラモジュール77の制御を行う。(ステップ802)
【0070】
マイクロコンピュータ80はカメラモジュール77で撮影されたカメラデータを一度メモリ78に格納するとともに(ステップ803)、格納されたカメラデータを、インタフェース回路79を介してコントローラ73のインタフェース回路76に送信する。(ステップ804)
【0071】
CPU74は、インタフェース回路76でカメラデータを受信し、受信したカメラデータをメモリ75に格納し(ステップ805)、格納されたカメラデータを、インタフェース回路76を介して無線制御回路部71のインタフェース回路84に送信する。(ステップ806)
【0072】
無線制御回路部71のマイクロコンピュータ85は、インタフェース回路84で受信したカメラデータを一度メモリ83に格納するとともに、格納したカメラデータを、無線モジュール81を制御することにより、アクセスポイント17を経由して外部関係機関18に送信する。(ステップ807)
【0073】
カメラ機能を停止する場合(ステップ808)、CPU74はカメラ制御回路部70のマイクロコンピュータ80にカメラ機能OFF情報を送信し(ステップ809)、マイクロコンピュータ80はカメラ機能を停止する。
【0074】
以上のように、実施の形態6に係る放射線検出装置によれば、外部関係機関18は、放射線検出時に撮影された周囲環境の状況をリアルタイムで受信することが可能となり、放射線検出時における現場の状況が把握できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
この発明は、原子力プラント等の放射線施設などにおいて、放射線を検出する放射線検出装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施の形態1を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る指紋認証および放射線検出時の動作フローを示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る放射線検出エリアあるいは被爆エリアを作成するときの動作フローを説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る放射線を検出した位置情報データあるいは被爆した位置情報データを作成するときの動作フローを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る放射線を検出した人物あるいは被爆した人物を既定避難場所へナビゲーションする放射線検出装置のオートナビゲーション機能の動作フローを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る外部関係機関による放射線検出エリアあるいは被爆エリアの自動隔離機能のフローを示す図である。
【図7】この発明の実施の形態6を示すブロック構成図である。
【図8】この発明の実施の形態6に係る放射線検出時のカメラ撮影機能のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 放射線検出回路部
2 指紋検出回路部
3、71 無線制御回路部
4、72 表示制御回路部
5、73 コントローラ
6、74 CPU
7、10、14、22、75、78、83 メモリ
8、11、15、23、26、76、79、84、87 インタフェース回路
9 放射線センサ
12、16、24、80、85 マイクロコンピュータ
13 指紋センサ
17 アクセスポイント
18 関係機関
19、81 無線モジュール
20 衛星
21、82 GPS
25、86 LCDモジュール
70 カメラ制御回路部
77 カメラモジュール
100、200 放射線検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線センサにより放射線強度を検出するとともに、検出した放射線強度データをメモリに格納する放射線検出回路部と、
予め複数の指紋データを格納するとともに、指紋センサの指紋認証により、放射線を検出する人物の指紋データを格納するメモリを有する指紋検出回路部と、
上記放射線検出回路部、および上記指紋検出回路部とデータの送受信を行い、上記指紋検出回路部の指紋センサで認証された指紋データと、上記指紋検出回路部のメモリに予め格納されている指紋データとが一致した場合に、上記放射線検出回路部を動作させるコントローラと、
を備えたことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
上記コントローラとデータの送受信を行うともに、GPSを有する無線制御回路部を備え、上記GPSにより上記指紋検出回路部の指紋センサで認証された指紋の人物の存在地域を特定し、上記GPSからの情報を基に被爆エリアを作成することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
上記無線制御回路部に所定のアクセスポイントとアクセスできる無線モジュールを備え、上記無線モジュールがアクセスしたアクセスポイントを特定することにより、上記被爆エリアのどの位置に上記指紋センサで認証された指紋の人物が存在するかを特定することを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
上記コントローラに予め既定避難場所の位置情報を格納し、上記指紋センサで認証された指紋の人物の存在位置情報と上記予め格納された既定避難場所の位置情報とにより、避難ルートデータを作成し、上記既定避難場所へナビゲーションすることを特徴とする請求項3に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
上記既定避難場所へのナビゲーションが完了した場合、その情報を上記無線モジュールにより送信し、受信側は上記被爆エリアに上記指紋センサで認証された指紋の人物がいないことを確認して上記被爆エリアを隔離することを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
放射線検出時に周囲の環境の状況を撮影するカメラモジュールを備えたカメラ制御回路部と、
上記カメラ制御回路部とデータの送受信を行うコントローラと、
上記コントローラとデータの送受信を行うとともに、上記コントローラから送信される上記カメラモジュールで撮影された放射線検出時における周囲の環境の状況を外部関係機関に配信する無線制御回路部と、
を備えたことを特徴とする放射線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−117221(P2010−117221A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289900(P2008−289900)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】