説明

放射線検出装置

【課題】入射放射線のエネルギーに関する情報を迅速かつ容易に把握可能として利便性を向上させる放射線検出装置を提供する。
【解決手段】放射線検出装置10は、入射放射線のエネルギーを検出する放射線検出器11と、放射線検出器11により検出されたエネルギーに応じて変化する周波数の音を出力するスピーカー41とを備え、入射放射線のエネルギーを聴覚によって迅速かつ容易に把握することが可能となり、利便性を向上させた放射線検出装置となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば可搬型の放射線測定器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような放射線測定器において、線量率に加えて入射放射線のエネルギースペクトルを放射線測定器に備えられた表示画面に表示可能な放射線測定器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−25005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る放射線測定器においては、操作者は入射放射線のエネルギーに関する情報を把握するために、放射線測定器に備えられた表示画面を目視する必要が生じ、例えば移動しながら測定を行なう場合などであっても、視線の移動を伴う煩雑な動作が必要になるという問題が生じる。
このため、放射線の測定時に入射放射線のエネルギーに関する情報を迅速かつ容易に把握可能として利便性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、放射線の測定時に入射放射線のエネルギーに関する情報を迅速かつ容易に把握可能として利便性を向上させることが可能な放射線検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る放射線検出装置は、入射放射線のエネルギーを検出するエネルギー検出手段(実施の形態での放射線検出器11)と、前記エネルギー検出手段により検出された前記エネルギーに応じて変化する周波数の音を出力するスピーカー(実施の形態でのスピーカー41)とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1態様に係る放射線検出装置によれば、操作者は、例えば放射線検出装置を目視するなどの煩雑な動作を積極的に行なう必要無しに、スピーカーから出力される音によって、いわば受動的かつ直接的に聴覚が刺激されることで、入射放射線のエネルギーの情報を迅速かつ容易に把握することができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る放射線検出装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の変形例に係る放射線検出装置の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る放射線検出装置の放射線検出器から出力される検出パルス信号の波高分布(つまり、エネルギースペクトル)に対応して、スピーカーから発生する音の周波数分布の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る放射線検出装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による放射線検出装置10は、例えば図1に示すように、放射線検出器11と、処理装置12と、出力装置13とを備えて構成されている。
【0010】
放射線検出器11は、例えば、放射線の入射に応じて発光するNaIなどのシンチレータ21と、シンチレータ21の発光を電気的な検出パルス信号に変換する光電子増倍管22と、光電子増倍管22から出力される検出パルス信号を増幅するプリアンプ23とを備えて構成され、入射放射線のエネルギーに応じた波高値を有する検出パルス信号を出力する。
【0011】
処理装置12は、例えば、放射線検出器11から出力されるアナログ信号の検出パルス信号を、この検出パルス信号の波高値に応じた値を有するデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器(ADC)31と、ADC31から出力されるデジタル信号に応じて、入射放射線のエネルギーに応じた周波数の交流信号を出力する発振器(OSC)32とを備えて構成されている。
【0012】
なお、処理装置12は、例えば図2に示すように、ADC31およびOSC32の代わりに、低周波域(LF:Low Frequency)あるいは可聴帯域(AF:Audio Frequency)の電圧制御発振器(VCO)33を備えてもよい。
この場合には、先ず、放射線検出器11から出力されたアナログ信号の検出パルス信号は、電圧制御発振器(VCO)33の制御端子に制御電圧として入力される。そして、電圧制御発振器(VCO)33は、制御端子に印加された制御電圧に応じて変化する低周波域あるいは可聴帯域の発振周波数を有する交流信号を出力する。
つまり、電圧制御発振器(VCO)33は、放射線検出器11から出力される検出パルス信号の波高値(つまり、入射放射線のエネルギーに応じた波高値)に応じた低周波域あるいは可聴帯域の周波数の交流信号を出力する。
【0013】
出力装置13は、処理装置12から出力される交流信号の周波数の音を発生させるスピーカー41と、処理装置12から出力される交流信号の周波数に応じた色で発光するインジケータ42とを備えて構成されている。
【0014】
この放射線検出装置10によれば、スピーカー41から発生する音の周波数分布は、放射線検出器11から出力される検出パルス信号の波高分布(つまり、エネルギースペクトル)に対応することになり、例えば図3(A),(B)においては、137Csから放出された単一エネルギー(661.6keV)のγ線に対する検出パルス信号の波高分布に対応する周波数分布の音がスピーカー41から発生する。
【0015】
上述したように、本実施の形態による放射線検出装置10によれば、操作者は、例えば放射線検出装置10を目視するなどの煩雑な動作を積極的に行なう必要無しに、スピーカー41から出力される音(つまり、入射放射線のエネルギーに応じて周波数が変化する音)によって、いわば受動的かつ直接的に聴覚が刺激されることで、入射放射線のエネルギーの情報を迅速かつ容易に把握することができ、利便性を向上させることができる。
また、この放射線検出装置10の操作者の熟練度によっては、スピーカー41から出力される音に基づいて、核種同定や線量率の把握も可能であり、より一層、利便性を向上させることができる。
【0016】
また、インジケータ42の発光の色が入射放射線のエネルギーに応じて変化することから、例えば入射放射線のエネルギーに関する情報が数値などで表示される場合に、この数値を意識的に目視して読み込む必要があることに比べて、意識的な目視を必要としない周辺視などで、より迅速かつ容易に入射放射線のエネルギーを把握することができ、利便性を向上させることができる。
【0017】
なお、上述した実施の形態において、放射線検出装置10は、可搬型の放射線検出装置(例えば、サーベイメータや個人被爆線量計など)に限定されず、据置型などの他の放射線検出装置(例えば、エリアモニタなど)であってもよい。
なお、上述した実施の形態において、放射線検出装置10は、シンチレータ21によるシンチレーション検出器に限定されず、入射放射線のエネルギーに関する情報を検出可能な他の検出器(例えば、半導体検出器など)であってもよい。
【符号の説明】
【0018】
10 放射線検出装置
11 放射線検出器(エネルギー検出手段)
41 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射放射線のエネルギーを検出するエネルギー検出手段と、
前記エネルギー検出手段により検出された前記エネルギーに応じて変化する周波数の音を出力するスピーカーとを備えることを特徴とする放射線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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