放射線検出装置
【課題】装置の小型化を図りつつ、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することが可能な放射線検出装置を提供すること。
【解決手段】放射線検出装置RDは、側面部2及び底面部3を有する収容容器1と、側面部2を囲むように収容容器1に配置された第一シンチレータ10と、収容部1に配置され、第一シンチレータ10よりも小さい第二シンチレータ20と、第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出する複数の第一半導体光検出素子30,31と、第二シンチレータ20からのシンチレーション光を検出する第二半導体光検出素子40と、対応する第一半導体光検出素子30,31からの出力信号に基づいてシンチレーション光の発光を計数して計数信号を出力する複数の第一計数部51と、第二半導体光検出素子40からの出力信号の波高値を計測して波高値計測信号を出力する波高値計測部71と、を備えている。
【解決手段】放射線検出装置RDは、側面部2及び底面部3を有する収容容器1と、側面部2を囲むように収容容器1に配置された第一シンチレータ10と、収容部1に配置され、第一シンチレータ10よりも小さい第二シンチレータ20と、第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出する複数の第一半導体光検出素子30,31と、第二シンチレータ20からのシンチレーション光を検出する第二半導体光検出素子40と、対応する第一半導体光検出素子30,31からの出力信号に基づいてシンチレーション光の発光を計数して計数信号を出力する複数の第一計数部51と、第二半導体光検出素子40からの出力信号の波高値を計測して波高値計測信号を出力する波高値計測部71と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物からの放射線を検出する放射線検出装置として、複数の放射線測定手段が配置されたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された放射線検出装置によれば、被測定物からの放射線を複数の方向から検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2563341号公報(特開昭63−308590号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線測定手段として、放射線の入射によりシンチレーション光を発生するシンチレータと、シンチレータからのシンチレーション光を検出する光電子増倍管と、を有するものが知られている。シンチレータと光電子増倍管とを有する複数の放射線測定手段が配置された放射線検出装置では、装置の大型化が避けられない。
【0005】
光電子増倍管に代えて半導体光検出素子が用いられる場合、装置の大型化は回避することができる。しかしながら、半導体光検出素子の数が増加するに伴い、半導体光検出素子からの出力信号を処理する信号処理回路の数も増加してしまう。信号処理回路には、たとえば、測定対象となる所定のエネルギーを有する放射線を選別するための波高分析器、及び、波高分析器から出力されたパルス信号を計数する計数器などが含まれる。また、信号処理回路の数の増加により、信号処理回路による消費電力の増大や、処理する信号量の増加に伴う信号処理時間の増大といった問題点も生じてしまう。
【0006】
本発明は、装置の小型化を図りつつ、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することが可能な放射線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る放射線検出装置は、側面部及び底面部を有し、側面部と底面部とで被測定物の収容空間を画成する収容部と、少なくとも側面部を囲むように収容部に配置された第一シンチレータと、収容部に配置され、第一シンチレータよりも小さい第二シンチレータと、第一シンチレータからのシンチレーション光を検出する複数の第一半導体光検出素子と、第二シンチレータからのシンチレーション光を検出する少なくとも一つの第二半導体光検出素子と、複数の第一半導体光検出素子毎に設けられ、対応する第一半導体光検出素子からの出力信号に基づいてシンチレーション光の発光を計数して計数信号を出力する複数の計数手段と、第二半導体光検出素子からの出力信号の波高値を計測して波高値計測信号を出力する波高値計測手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る放射線検出装置では、第一半導体光検出素子が第一シンチレータからのシンチレーション光を検出し、第二半導体光検出素子が第二シンチレータからのシンチレーション光を検出しているので、装置の小型化を図ることができる。
【0009】
計数手段は、対応する第一半導体光検出素子からの出力信号に基づいて第一シンチレータからのシンチレーション光の発光を計数し、計数信号を出力する。波高値計測手段は、第二シンチレータからのシンチレーション光を検出する少なくとも一つの第二半導体光検出素子からの出力信号を受け、当該出力信号の波高値を計測し、波高値計測信号を出力する。これにより、計数手段からの出力に基づいて計数値が得られ、波高値計測信号からの出力に基づいて波高値が得られることとなる。一般に、波高値を計測する処理には、十分なSN比と精度とが要求されるため、波高値計測手段は、消費電力も大きく、また、信号処理時間も長くなってしまう。本発明では、複数の第一半導体光検出素子からの出力信号の波高値を計測する必要がないことから、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。計数処理は、SN比への要求が比較的高くないため、計数手段は、簡易で且つ高速処理可能な構成を採用できる。したがって、複数の計数手段が備えられていても、消費電力と信号処理時間との増大は抑制される。
【0010】
一般に、第一シンチレータよりも小さい第二シンチレータは、第一シンチレータに比して、発光量が高い。したがって、第二半導体光検出素子でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測手段による波高値の計測精度が向上する。
【0011】
第一シンチレータが、側面部に配置された第一部分と、底面部に配置された第二部分と、からなり、複数の第一光検出器が、第一部分と第二部分とにそれぞれ配置されていてもよい。この場合、第一シンチレータ(第一部分及び第二部分)からのシンチレーション光を確実に検出することができる。
【0012】
第一シンチレータが、側面部に配置された第一部分と、底面部に配置された第二部分と、からなり、複数の第一光検出器が、第一部分と第二部分との角部に配置されていてもよい。この場合、比較的少ない数の第一光検出器で第一シンチレータ(第一部分及び第二部分)からのシンチレーション光を効率よく検出することができる。
【0013】
第一シンチレータが、側面部に配置された第一部分からなり、複数の第一光検出器が、第一部分の端部に配置されていてもよい。この場合、比較的少ない数の第一光検出器で第一シンチレータからのシンチレーション光を検出することができる。
【0014】
第二シンチレータが、底面部に配置されていてもよい。この場合、被測定物と第二シンチレータとの間隔が比較的短くなり、第二半導体光検出素子でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測手段による波高値の計測精度が向上する。
【0015】
第一シンチレータが、プラスチックシンチレータであってもよい。この場合、側面部の形状に対応した第一シンチレータを容易に得ることができる。
【0016】
プラスチックシンチレータが、側面部を取り囲む筒状部を有していてもよい。
【0017】
第二シンチレータが、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータであってもよい。この場合、第二シンチレータの発光量が更に高くなり、第二半導体光検出素子でのシンチレータ光の検出精度と波高値計測手段による波高値の計測精度とがより一層向上する。
【0018】
第一半導体光検出素子と第二半導体光検出素子とが、ガイガーモードで動作する複数のアバランシェフォトダイオードと、それぞれのアバランシェフォトダイオードに対して直列に接続されたクエンチング抵抗と、を有しているフォトダイオードアレイであってもよい。この場合、装置の小型化を図りつつ、フォトンカウンティング測定が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置の小型化を図りつつ、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することが可能な放射線検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【図2】第一及び第二シンチレータの位置を説明するための図である。
【図3】フォトダイオードアレイの平面図である。
【図4】フォトダイオードアレイの斜視図である。
【図5】図4に示したフォトダイオードアレイのV−V矢印断面図(a)と、その回路図(b)である。
【図6】本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】シンチレータ、半導体光検出素子、及びフレキシブル基板を示す分解斜視図である。
【図8】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ための斜視図である。
【図9】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ためのブロック図である。
【図10】第二シンチレータに入射した放射線のエネルギーの算出処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】半導体光検出素子の平面図である。
【図12】第二シンチレータ、第二半導体光検出素子、及びフレキシブル基板を示す斜視図である。
【図13】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【図14】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【図15】第一計数部及び第二計数部の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る放射線検出装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。図2は、第一及び第二シンチレータの位置を説明するための図である。
【0023】
放射線検出装置RDは、図1に示されるように、収容容器1と、第一シンチレータ10と、第二シンチレータ20と、複数の第一半導体光検出素子30,31と、少なくとも一つの第二半導体光検出素子40と、信号処理部SPと、遮蔽容器SCと、を備えている。
【0024】
収容容器1は、一端が開口した有底容器であり、側面部2及び底面部3を有している。収容容器1では、側面部2と底面部3とで被測定物Mの収容空間4が画成されている。収容容器1は、被測定物Mを収容する収容部として機能する。側面部2は、筒形状(本実施形態では、円筒形状)を呈している。収容容器1(側面部2及び底面部3)は、たとえばプラスチックやアルミニウムなどからなる。
【0025】
底面部3は、その中央に収容空間4内に突出する突出部5を有している。突出部5は、図1にも示されるように、被測定物Mを載置する台として機能する。突出部5には、収容容器1の内側、すなわち収容空間4側に窪んだ窪み部6が設けられている。窪み部6は、収容容器1の開口方向とは反対方向に開口している。窪み部6内には、第二シンチレータ20が配置される。
【0026】
遮蔽容器SCは、一端が開口した有底筒体SCaと、有底筒体SCaの開口を塞ぐ蓋体SCbと、を有している。遮蔽容器SCは、放射線を遮蔽する材料(たとえば、鉛、鉄、又はタングステンなど)からなる。遮蔽容器SCでは、有底筒体SCaと蓋体SCbとで、収容容器1、第一シンチレータ10、第二シンチレータ20、第一半導体光検出素子30,31、第二半導体光検出素子40、及び信号処理部SPが収容される空間が画成されている。
蓋体SCbは、有底筒体SCaに開閉自在に取り付けられている。
【0027】
第一シンチレータ10は、側面部2と底面部3とを囲むように収容容器1の外側に配置されている。第一シンチレータ10は、側面部2に配置された第一部分11と、底面部3に配置された第二部分12と、からなる。第一シンチレータ10では、第一部分11と第二部分12とが一体に形成されており、第一シンチレータ10は、一端が開口した有底形状を呈する。第一シンチレータ10は、プラスチックシンチレータなどからなる。
【0028】
第一部分11は、側面部2に対応して、筒形状(本実施形態では、円筒形状)を呈している。すなわち、第一部分11は、側面部2を取り囲む筒状部である。第二部分12は、平面視で円形状を呈しており、中央、すなわち、窪み部6(突出部5)に対応する位置に、開口が形成されている。したがって、窪み部6は、第一シンチレータ10が配置された状態で、第一シンチレータ10から露出している。
【0029】
第二シンチレータ20は、底面部3の窪み部6内に配置されている。第二シンチレータ20は、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータである。第二シンチレータ20は、第一シンチレータ10よりも小さい。したがって、第二シンチレータ20は、第一シンチレータ10よりも発光量が高く、高感度を有している。第二シンチレータ20が結晶性を有するシンチレータである場合、第二シンチレータ20は、CsI又はNaIなどの結晶性材料からなる。第二シンチレータ20がセラミックシンチレータである場合、第二シンチレータ20は、無機蛍光体の焼結体などからなる。
【0030】
複数の第一半導体光検出素子30,31は、第一シンチレータ10に光学的に接続されており、第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出する。本実施形態では、放射線検出装置RDは、8個の第一半導体光検出素子30,31を備えている。4個の第一半導体光検出素子30が第一シンチレータ10の第一部分11に配置され、4個の第一半導体光検出素子31が第一シンチレータ10の第二部分12に配置されている。第一半導体光検出素子30は、主に、第一シンチレータ10の第二部分12からのシンチレーション光を検出する。第一半導体光検出素子31は、主に、第一シンチレータ10の第一部分11からのシンチレーション光を検出する。
【0031】
4個の第一半導体光検出素子30は、図2にしめされるように、等間隔(たとえば、90°間隔など)で配置されている。4個の第一半導体光検出素子31も、等間隔(たとえば、90°間隔など)で配置されている。第一半導体光検出素子30と第一半導体光検出素子31とは、同じ角度位置に配置されている。第一半導体光検出素子30と第一半導体光検出素子31とは、異なる角度位置に配置されていてもよい。
【0032】
第二半導体光検出素子40は、第二シンチレータ20に光学的に接続されており、第二シンチレータ20からのシンチレーション光を検出する。本実施形態では、放射線検出装置RDは、1個の第二半導体光検出素子40を備えている。
【0033】
ここで、図3〜図5を参照して、第一及び第二半導体光検出素子30,31,40の構成について説明する。図3は、フォトダイオードアレイの平面図である。図4は、フォトダイオードアレイの斜視図であり、図5は、図4に示したフォトダイオードアレイのV−V矢印断面図(a)と、その回路図(b)である。
【0034】
第一及び第二半導体光検出素子30,31,40は、フォトダイオードアレイPDAからなる。フォトダイオードアレイPDAは、矩形形状を呈する半導体基板1Nを備えている。半導体基板1Nは、N型(第1導電型)の半導体基板である。
【0035】
フォトダイオードアレイPDAは、半導体基板1Nに形成された複数のアバランシェフォトダイオードAPDを備えている。それぞれのアバランシェフォトダイオードAPDには、クエンチング抵抗(抵抗層)R1が直列に接続されている。複数のアバランシェフォトダイオードAPDが形成された領域は、外周配線WLによって囲まれている。外周配線WLの外側には遮光層SLなどを設けることができる。遮光層SLは、たとえば金属などからなる。
【0036】
外周配線WLの外形は、矩形環状であって、各辺がX軸又はY軸に沿って延びている。外周配線WLは、X軸に沿って延びた電極パッドPに接続されている。外周配線WLには、複数の信号読出線TLが電気的に接続されている。複数の信号読出線TLは、それぞれがY軸に沿って延びており、外周配線WLの少なくとも2箇所(Y軸に沿った両端に位置する部位)間をそれぞれが接続している。
【0037】
個々のアバランシェフォトダイオードAPDは、半導体基板1Nの一方の表面側に形成されたP型(第2導電型)の第一半導体領域1PAと、第一半導体領域1PA内に形成され且つ第一半導体領域1PAよりも高い不純物濃度を有するP型(第2導電型)の第二半導体領域1PBと、を有している。アバランシェフォトダイオードAPDは、半導体基板1Nに電気的に接続された第一電極E1と、第二半導体領域1PB上に形成された表面電極E3と、を有している。第一半導体領域1PAの平面形状は、四角形である。第二半導体領域1PBは、第一半導体領域の内側に位置し、平面形状は四角形である。第一半導体領域1PAの深さは、第二半導体領域1PBよりも深い。
【0038】
フォトダイオードアレイPDAは、個々のアバランシェフォトダイオードAPD毎に、第一半導体領域1PAの外側の半導体基板1N上に、絶縁層L(図5の(a)参照)を介して形成された金属層からなる第一反射体E2と、表面電極E3に、その一方端が連続し、第一半導体領域1PA上の絶縁層Lの表面に沿って延びたクエンチング抵抗R1と、を備えている。図4では、構造の明確化のため、図5の(a)に示した絶縁層Lの記載を省略している。
【0039】
第一反射体E2は、平面形状がL字型の金属層からなる反射体E21からなる。半導体基板1N上に位置する反射体E21(E2)と、第一開口を有する環状の表面電極E3とは、電気的に隔離されている。すなわち、アバランシェフォトダイオードAPDのアノードとカソードには、それぞれ電極が設けられるが、一方の表面電極E3は、第一反射体E2から電気的に分離している。これにより、第一反射体E2は、表面電極E3とは明確に区別され、反射に適した箇所にこれを配置するための設計の自由度が増加している。個々のアバランシェフォトダイオードAPDに接続されるクエンチング抵抗R1の他方端は、必要に応じてクエンチング抵抗R1に連続した配線電極を介して、共通の信号読出線TLに電気的に接続されている。
【0040】
図4においては、隣接する一対のアバランシェフォトダイオード(第一半導体領域1PAの直下の領域)は、共に、クエンチング抵抗R1を介して、信号読出線TLに接続されている。1つの信号読出線TLには、複数対のアバランシェフォトダイオードが、それぞれクエンチング抵抗R1を介して接続されている。
【0041】
クエンチング抵抗R1は、これが接続される表面電極E3よりも抵抗率が高く、また、第一反射体E2よりも抵抗率が高い。具体的には、クエンチング抵抗R1は、ポリシリコンからなり、残りの電極及び反射体は全てアルミニウムなどの金属からなる。半導体基板がSiからなる場合には、電極材料としては、アルミニウムの他に、AuGe/Niなどもよく用いられる。Siを用いた場合におけるP型不純物としてはBなどの3族元素が用いられ、N型不純物としては、N、P又はAsなどの5族元素が用いられる。半導体の導電型であるN型とP型は、互いに置換して素子を構成しても、当該素子を機能させることができる。これらの不純物の添加方法としては、拡散法やイオン注入法を用いることができる。
【0042】
絶縁層Lの材料としては、SiO2又はSiNを用いることができる。絶縁層Lの形成方法としては、これが例えばSiO2からなる場合には、熱酸化法やスパッタ法を用いることができる。
【0043】
上述の構造の場合、N型の半導体基板1NとP型の第一半導体領域1PAとの間に、PN接合が構成されることで、アバランシェフォトダイオードAPDが形成されている。半導体基板1Nは、基板裏面に形成された第一電極E1に電気的に接続され、第一半導体領域1PAは、第二半導体領域1PBを介して、表面電極E3に接続されている。クエンチング抵抗R1はアバランシェフォトダイオードAPDに対して直列に接続されている(図5の(b)参照)。
【0044】
フォトダイオードアレイPDAにおいては、個々のアバランシェフォトダイオードAPDをガイガーモードで動作させる。ガイガーモードでは、アバランシェフォトダイオードAPDのブレークダウン電圧よりも大きな逆方向電圧(逆バイアス電圧)をアバランシェフォトダイオードAPDのアノード/カソード間に印加する。すなわち、アノードには(−)電位V1を、カソードには(+)電位V2を印加する。これらの電位の極性は相対的なものであり、一方の電位をグランド電位とすることも可能である。
【0045】
アノードはP型の第一半導体領域1PAであり、カソードはN型の半導体基板1Nである。アバランシェフォトダイオードAPDに光(フォトン)が入射すると、基板内部で光電変換が行われて光電子が発生する。図5の(a)に示した第一半導体領域1PAのPN接合界面の近傍領域AVCにおいて、アバランシェ増倍が行われ、増幅された電子群は電極E1に向けて流れる。
【0046】
第一反射体E2は、第二半導体領域1PBに対して、相対的に低不純物濃度の第一半導体領域1PAの外側の半導体基板1Nの表面上に設けられている。半導体基板1Nの露出面の領域は、光入射に対しては、殆ど検出に寄与しないデッドスペースである。第一反射体E2は、入射した光を反射し、第二反射体(たとえば、金属パッケージ内面など)に入射させる。第二反射体は、入射した光を再度反射させ、再反射された光を、有効にアバランシェフォトダイオードAPDに導く。
【0047】
個々のアバランシェフォトダイオードAPDに接続されたクエンチング抵抗R1の他方端は、半導体基板1Nの表面に沿って共通の信号読出線TLに電気的に接続されている。複数のアバランシェフォトダイオードAPDは、ガイガーモードで動作しており、各アバランシェフォトダイオードAPDは、共通の信号読出線TLに接続されている。このため、複数のアバランシェフォトダイオードAPDに同時にフォトンが入射した場合、複数のアバランシェフォトダイオードAPDの出力は全て共通の信号読出線TLに入力され、全体としては入射フォトン数に応じた高強度の信号として計測される。信号読出線TLには、信号読み出し用の電圧降下が生じる負荷抵抗を接続してもよい。
【0048】
上述の構造は、表面入射型のフォトダイオードアレイの構造であるが、裏面入射型のフォトダイオードアレイの構造を採用してもよい。この場合には、半導体基板1Nの厚みを薄くして、裏面側の電極E1を透明電極とすればよい。また、裏面側の電極E1を、半導体基板1Nの別の位置(例えば基板表面側)に配置してもよい。
【0049】
信号処理部SPは、図6に示されるように、信号処理部SPは、複数の第一計数部(本実施形態では、8つの第一計数部)51と、第二計数部61と、波高値計測部71と、制御部81と、を有している。図6は、本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示すブロック図である。
【0050】
各第一計数部51は、アンプ52、電圧比較器53、閾値設定部54、及び計数器55を有している。第一計数部51は、第一半導体光検出素子30,31毎に設けられており、第一計数部51には、対応する第一半導体光検出素子30,31からの信号が入力される。
【0051】
アンプ52は、第一半導体光検出素子30,31からの信号を増幅及び波形整形した後、当該信号を電圧比較器53に入力する。電圧比較器53は、第一半導体光検出素子30,31からの信号と、閾値設定部54から入力されている基準電圧(所定の第一閾値)とをそれぞれ比較する。電圧比較器53は、第一半導体光検出素子30,31からの信号が基準電圧よりも大きい場合、パルス信号を計数器55に出力する。
【0052】
計数器55は、パルス信号を計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、第一計数部51は、第一半導体光検出素子30,31からの信号のうち、基準電圧よりも大きい信号を計数し、計数信号を制御部81に出力する。計数信号は、パルス信号の計数値を情報として含んでいる。
【0053】
第二計数部61は、アンプ62、電圧比較器63、閾値設定部64、及び計数器65を有している。第二計数部61は、第二半導体光検出素子40に設けられており、第二計数部61には、第二半導体光検出素子40からの信号が入力される。
【0054】
アンプ62は、第二半導体光検出素子40からの信号を増幅及び波形整形した後、当該信号を電圧比較器63に入力する。電圧比較器63は、第二半導体光検出素子40からの信号と、閾値設定部64から入力されている基準電圧(所定の第二閾値)とをそれぞれ比較する。電圧比較器63は、第二半導体光検出素子40からの信号が基準電圧よりも大きい場合、パルス信号を計数器65に出力する。
【0055】
計数器65は、パルス信号を計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、第二計数部61は、第二半導体光検出素子40からの信号のうち、基準電圧よりも大きい信号を計数し、計数信号を制御部81に出力する。計数信号は、パルス信号の計数値を情報として含んでいる。
【0056】
波高値計測部71は、アンプ62からの信号、すなわち第二半導体光検出素子40からの信号が入力される。波高値計測部71は、入力された信号の波高値を計測し、波高値計測信号を制御部81に出力する。具体的には、波高値計測部71は、入力された信号のピーク値を波高値として検出するピーク検出器と、A/Dコンバータと、を有し、検出したピーク値を記録する。波高値計測信号は、入力された信号のピーク値を情報として含んでいる。
【0057】
制御部81は、第一及び第二計数部51,61からそれぞれ出力された計数信号に基づいて、放射線の到来方向を検出する。また、制御部81は、波高値計測部71から出力された波高値計測信号に基づいて、第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出する。制御部81には、モニタが接続されており、制御部81は、算出結果をモニタ(図示省略)に表示する。
【0058】
制御部81は、たとえばCPU、記憶部、A/Dコンバータ、及びD/Aコンバータなどを有して構成されている。記憶部は、CPUによる信号処理部SPの制御及びエネルギー算出に必要なプログラム及びデータを格納して記憶している。制御部81は、外部からの駆動電圧の印加によって起動される。起動後、CPUは、記憶部に格納されたプログラムを実行して、放射線の到来方向を検出し、また、放射線検出装置RDに入射した放射線のエネルギーを算出する。A/Dコンバータは、アナログ信号である計数信号及び波高値計測信号などをディジタル信号に変換し、CPUに転送する。D/Aコンバータは、CPUによって生成されたディジタル制御信号をアナログ制御信号に変換し、制御部81の外部に供給する。
【0059】
各シンチレータ10,20と対応する半導体光検出素子30,31,40とは、光学接着剤により光学的に接続されている。半導体光検出素子30,31,40は、図7に示されるように、フレキシブル基板FSに実装されている。図7は、半導体光検出素子40がフレキシブル基板FSに実装されている例を示している。
【0060】
半導体光検出素子30,31,40の出力信号が、フレキシブル基板FSに形成された配線(図示省略)を通して、入射した放射線が有するエネルギーに応じた信号として信号処理部SPへ出力される。フレキシブル基板FSには、対応する計数部51,61及び波高値計測部71を含む回路が搭載されていてもよい。この場合、計数部51,61及び波高値計測部71からの出力信号が、フレキシブル基板FSに形成された配線を介して、制御部81に入力される。
【0061】
以上のように、本実施形態では、第一半導体光検出素子30,31が第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出し、第二半導体光検出素子40が第二シンチレータ20からのシンチレーション光を検出しているので、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
各計数部51,61は、対応する半導体光検出素子30,31,40からの出力信号に基づいてシンチレータ10,20からのシンチレーション光の発光を計数し、計数信号を出力する。波高値計測部71は、第二半導体光検出素子40からの出力信号を受け、当該出力信号の波高値(ピーク値)を計測し、波高値計測信号を出力する。これにより、計数部51,61からの出力に基づいて計数値が得られ、波高値計測部71からの出力に基づいて波高値が得られることとなる。一般に、波高値を計測する処理には、十分なSN比と精度とが要求されるため、波高値計測部71は、消費電力も大きく、また、信号処理時間も長くなってしまう。放射線検出装置RDでは、第一半導体光検出素子30,31からの出力信号の波高値を計測する必要がないことから、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。計数処理は、SN比への要求が比較的高くないため、計数部51,61は、簡易で且つ高速処理可能な構成を採用できる。したがって、複数の計数部51,61が備えられていても、放射線検出装置RDでは、消費電力と信号処理時間との増大は抑制される。
【0063】
第一シンチレータ10よりも小さい第二シンチレータ20は、第一シンチレータ10に比して、発光量が高い。したがって、第二半導体光検出素子40でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測部71による波高値の計測精度が向上する。
【0064】
本実施形態では、第一シンチレータ10が、側面部2に配置された第一部分11と、底面部3に配置された第二部分12と、からなり、第一半導体光検出素子30が第一部分11に配置され、第一半導体光検出素子31が第二部分12に配置されている。これにより、第一シンチレータ10(第一部分11及び第二部分12)からのシンチレーション光を確実に検出することができる。
【0065】
本実施形態では、第二シンチレータ20が、底面部3に配置されている。これにより、被測定物と第二シンチレータ20との間隔が比較的短くなり、第二半導体光検出素子40でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測部71による波高値の計測精度が向上する。
【0066】
本実施形態では、第一シンチレータ10が、プラスチックシンチレータである。これにより、側面部2の形状に対応した第一シンチレータ10を容易に得ることができる。
【0067】
本実施形態では、第二シンチレータ20が、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータである。これにより、第二シンチレータ20の発光量が更に高くなり、第二半導体光検出素子40でのシンチレータ光の検出精度と波高値計測部71による波高値の計測精度とがより一層向上する。
【0068】
本実施形態では、第一半導体光検出素子30,31と第二半導体光検出素子40とが、ガイガーモードで動作する複数のアバランシェフォトダイオードAPDと、それぞれのアバランシェフォトダイオードAPDに対して直列に接続されたクエンチング抵抗R1と、を有しているフォトダイオードアレイPDAである。これにより、放射線検出装置RDでは、装置の小型化を図りつつ、フォトンカウンティング測定が可能となる。
【0069】
本実施形態では、底面部3が突出部5を有している。被測定物Mが液体又は液状の物質である場合、被測定物Mは、突出部5の側面と第一部分11とで画成される空間に位置することとなる。したがって、被測定物Mからの放射線は、突出部5の側面を通して第二シンチレータ20に入射すると共に、第一部分11及び第二部分12を通して第一シンチレータ10に入射する。このように、各シンチレータ10,20への入射方向が増えるため、放射線検出装置RDの検出感度が向上する。
【0070】
続いて、図8及び図9を参照して、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置RDの構成を説明する。図8は、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ための斜視図である。図9は、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ためのブロック図である。
【0071】
変形例に係る放射線検出装置RDは、図8及び図9に示されるように、収容容器1と、第一シンチレータ10と、第二シンチレータ20と、複数の第一半導体光検出素子31と、複数の第二半導体光検出素子40と、信号処理部SPと、遮蔽容器(図示省略)と、を備えている。
【0072】
第一シンチレータ10は、複数の部分(本実施形態では、4つの部分)10aに分割されており、これらの部分10aが収容容器1の側面部2を囲むように配置されている。第一シンチレータ10の部分10a毎に第一半導体光検出素子31が設けられている。
【0073】
第二シンチレータ20は、複数の部分(本実施形態では、4つの部分)20aに分割されており、これらの部分20aが収容容器1の側面部2に配置されている。第二シンチレータ20の部分20a毎に第二半導体光検出素子40が設けられている。
【0074】
信号処理部SPは、複数の第一計数部(本実施形態では、4つの第一計数部)51と、複数の第二計数部(本実施形態では、4つの第二計数部)61と、信号選択部91と、加算部95と、波高値計測部71と、制御部81と、を有している。
【0075】
信号選択部91は、4つの第二半導体光検出素子40からの信号を選択して出力する。信号選択部91は、第二半導体光検出素子40(第二計数部61)毎に設けられた複数のスイッチ素子(本実施形態では、4つのスイッチ素子)92を有している。スイッチ素子92の一方の端子には、アンプ62からの出力が接続されている。スイッチ素子92は、制御部81からの選択制御信号により、その開閉が制御される。
【0076】
加算部95は、4つの第二半導体光検出素子40からの信号のうち信号選択部91により選択された信号を加算し、加算信号を出力する。加算部95は、複数の抵抗器(本実施形態では、4つの抵抗器)93と、アンプ96と、抵抗器97と、を有している。抵抗器93は、スイッチ素子92の他方の端子に直列接続されている。アンプ96の入力端子は、抵抗器93を介して、スイッチ素子92の他方の端子と接続され、抵抗器97を介して自己の出力端子と接続されている。
【0077】
波高値計測部71は、加算部95からの加算信号が入力される。波高値計測部71は、入力された加算信号の波高値を計測し、波高値計測信号を制御部81に出力する。具体的には、波高値計測部71は、入力された加算信号のピーク値を波高値として検出するピーク検出器と、A/Dコンバータと、を有し、検出したピーク値を記録する。波高値計測信号は、入力された加算信号のピーク値を情報として含んでいる。
【0078】
制御部81は、4つの第二計数部61からそれぞれ出力された計数信号に基づいて、信号選択部91(スイッチ素子92)の開閉を制御する。また、制御部81は、波高値計測部71から出力された波高値計測信号に基づいて、第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出する。制御部81には、モニタが接続されており、制御部81は、算出結果をモニタ(図示省略)に表示する。
【0079】
続いて、図10に基づいて、第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーの算出処理動作を説明する。図10は、第二シンチレータに入射した放射線のエネルギーの算出処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0080】
まず、各第二計数部61が、第二半導体光検出素子40からの信号のうち、基準電圧よりも大きい信号を計数し、計数信号を制御部81に出力する(S101)。放射線は、第二シンチレータ20に常時入射している。したがって、計数数を可能な限り増やすために、各第二計数部61は、並列で計数を行う。
【0081】
次に、制御部81は、各第二計数部61から出力された計数信号それぞれに基づいて、各計数信号に含まれるパルス信号の計数値のうち最小の計数値が所定の第二閾値以上であるか否かを判定する(S103)。最小の計数値が上記第二閾値以上である場合、制御部81は、最小の計数値の情報を含む計数信号を出力した第二計数部61に対応するスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する(S105)。これにより、最小の計数値の情報を含む計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号のみが、アンプ62を介して加算部95に入力されることとなる。
【0082】
次に、最小の計数値を情報として含む計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号が、加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される(S107)。そして、波高値計測部71は、波高値計測信号を制御部81に出力する。この間、各第二計数部61は、計数を継続している。
【0083】
次に、制御部81は、入力された波高値計測信号に情報として含まれるピーク値に基づいて、各第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出し、加算する(S109)。そして、制御部81は、算出結果をモニタに表示する。このとき、制御部81は、モニタに、計測値が正確でない可能性がある旨を表示する。
【0084】
S103にて、最小の計数値が上記第二閾値よりも小さい場合、制御部81は、各計数信号に含まれるパルス信号の計数値を合算し、単位時間当たりの計数値の合算値を求め、当該合算値を第二閾値と比較し、第二閾値よりも合算値が少ないか否かを判定する(S111)。単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値よりも少ない場合、制御部81は、すべてのスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する(S113)。これにより、すべての第二半導体光検出素子40からの信号が、アンプ62を介して加算部95に入力されることとなる。
【0085】
次に、すべての第二半導体光検出素子40からの信号が、加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される(S115)。そして、波高値計測部71は、波高値計測信号を制御部81に出力する。この間も、各第二計数部61は、計数を継続している。
【0086】
S111にて、単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値以上である場合、制御部81は、単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値よりも少なくなる、計数信号の組み合わせを求める。制御部81は、求めた計数信号の組み合わせに基づいて、当該計数信号を出力した第二計数部61に対応するスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する(S117)。これにより、単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値よりも少なくなる組み合わせの計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号のみが、アンプ62を介して加算部95に入力されることとなる。
【0087】
次に、すべての第二半導体光検出素子40からの信号のうち信号選択部91(スイッチ素子92)にて選択された信号が、加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される(S119)。そして、波高値計測部71は、波高値計測信号を制御部81に出力する。この間も、各第二計数部61は、計数を継続している。
【0088】
次に、制御部81は、入力された波高値計測信号に情報として含まれるピーク値に基づいて、各第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出し、加算する(S121)。
【0089】
そして、制御部81は、連続計測が否かを判定し(S123)、連続計測である場合、S103に戻り、処理を継続する。制御部81は、連続計測ではない場合、処理を終える。
【0090】
制御部81は、マニュアルモードにより、第二半導体光検出素子40が選択されている場合、選択された第二半導体光検出素子40に対応するスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する。これにより、選択された第二半導体光検出素子40からの信号のみが、アンプ62及び加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される。
【0091】
以上のように、本変形例においても、本実施形態と同様に、装置の小型化を図ることができると共に、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。
【0092】
本変形例では、第二計数部61は、対応する第二半導体光検出素子40からの信号に基づいて基準電圧以上である信号を計数し、計数信号を出力する。制御部81は、各第二計数部61からの計数信号に基づいて、信号選択部91(スイッチ素子92)を制御し、信号選択部91は、出力する信号を選択する。加算部95は、各第二半導体光検出素子40からの信号のうち信号選択部91により選択された信号を加算し、加算信号を出力する。波高値計測部71は、加算部95からの加算信号を受け、当該加算信号の波高値(ピーク値)を計測し、波高値計測信号を出力する。これにより、第二計数部61からの出力に基づいて計数値が得られ、波高値計測部71からの出力に基づいて波高値が得られることとなる。
【0093】
変形例に係る放射線検出装置RDでは、各第二半導体光検出素子40からの信号すべての波高値を常に計測する必要がないことから、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。第二計数部61での計数処理は、SN比への要求が比較的高くないため、簡易で且つ高速処理可能な構成を採用できる。したがって、複数の第二計数部61を備えていても、消費電力と信号処理時間との増大は抑制される。
【0094】
制御部81は、計数値の合算値が第二閾値よりも少ない場合、各第二半導体光検出素子40からの信号すべてを出力するように信号選択部91(スイッチ素子92)を制御している。波高値を計測する処理は、計数値が所定値以上の計数/秒になると、計測精度が悪化するが、計数値が上記所定値よりも少ない場合、計測精度が悪化することはない。したがって、放射線検出装置RDでは、計測精度が悪化することなく、すべての第二半導体光検出素子40からの信号の波高値を計測することができる。
【0095】
制御部81は、計数値の合算値が第二閾値以上である場合、計数値の合算値が第二閾値よりも少なくなるように第二半導体光検出素子40からの信号を選択して出力するように信号選択部91を制御している。この場合でも、上述したように、放射線検出装置RDでは、計測精度が悪化することなく、第二半導体光検出素子40からの信号の波高値を計測することができる。
【0096】
制御部81は、最も少ない計数値が第二閾値以上である場合、最も少ない計数値を情報として含む計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号を選択して出力するように信号選択部91を制御している。この場合にも、上述したように、計測精度の悪化を抑制することができる。
【0097】
制御部81は、波高値計測信号に基づいて、放射線のエネルギーを算出している。これにより、放射線検出装置RDでは、放射線のエネルギーを適切に算出することかできる。
【0098】
ところで、第二シンチレータ20の部分20a毎に設けられる第二半導体光検出素子40は、図10に示されるように、同一の基板上に形成することができる。図11では、4つの第二半導体光検出素子40が一つの基板上に形成されている。すなわち、図11に示された半導体光検出素子では、一つの第二半導体光検出素子40が、4分割された光感応領域うちの一つの領域として機能する。
【0099】
第二シンチレータ20と第二半導体光検出素子40とフレキシブル基板FSとは、図12に示されるように、接続されている。すなわち、4分割された第二シンチレータ20の分割中心(中心軸)と、光感応領域が4分割された半導体光検出素子の分割中心(中心軸)とが一致した状態で、第二シンチレータ20と半導体光検出素子(第二半導体光検出素子40)とは、光学接着剤により光学的に接続されている。これにより、放射線の到来方向を識別することが可能となる。各第二計数部61からの計数信号に基づいて、どの部分20a(第二半導体光検出素子40)におけるどの分割部分に放射線が入射したのかを識別することができ、この識別結果により、放射線の方向性を検出することが可能となる。
【0100】
フレキシブル基板FSに、第二計数部61、信号選択部91、加算部95、及び波高値計測部71を含む回路が搭載されていてもよい。フレキシブル基板FSは、第二計数部61、信号選択部91、加算部95、及び波高値計測部71を含む回路と、制御部81とを電気的に接続する。この場合、第二半導体光検出素子40と上記回路とは、同一基板上に形成されていてもよい。もちろん、第二半導体光検出素子40と上記回路とをそれぞれ異なるチップで形成してもよい。この場合、第二半導体光検出素子40と上記回路とは、チップオンチップにより電気的に接続されていてもよく、また、配線基板上にそれぞれが実装されることにより電気的に接続されていてもよい。更には、第二半導体光検出素子40と上記回路とは、フレキシブル基板FS上に形成された配線を介して電気的に接続されていてもよい。
【0101】
次に、図13及び図14を参照して、更なる変形例に係る放射線検出装置RDの構成を説明する。図13及び図14は、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【0102】
図13に示された変形例では、各第一半導体光検出素子30が、第一シンチレータ10の第一部分11と第二部分12との角部に配置されている。本変形例では、第一半導体光検出素子30は、第一部分11と第二部分12とからのシンチレーション光を検出する。本変形例によれば、比較的少ない数の第一半導体光検出素子30で第一シンチレータ10(第一部分11及び第二部分12)からのシンチレーション光を効率よく検出することができる。
【0103】
図14に示された変形例では、第一シンチレータ10が、第一部分11のみからなる。各第一半導体光検出素子30が、第一シンチレータ10の第一部分11の端部に配置されている。本変形例では、第一半導体光検出素子30は、第一部分11からのシンチレーション光を検出する。本変形例によっても、比較的少ない数の第一半導体光検出素子30で第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出することができる。
【0104】
続いて、図15を参照して、第一計数部51及び第二計数部61の変形例を説明する。図15は、第一計数部及び第二計数部の変形例を示すブロック図である。
【0105】
第一計数部51は、図15に示されるように、電圧比較器56と閾値設定部57とを更に有していてもよい。閾値設定部57は、閾値設定部54から入力される基準電圧(下限基準電圧)よりも高い基準電圧(上限基準電圧)を電圧比較器56に出力する。電圧比較器56は、第一半導体光検出素子30,31からの信号が上限基準電圧よりも低い場合、パルス信号を計数器55に出力する。計数器55は、電圧比較器53と電圧比較器56とからパルス信号が出力された際に、当該パルス信号を一つのパルス信号として計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、計数器55は、第一半導体光検出素子30,31からの信号のうち、上限基準電圧よりも低く且つ下限基準電圧よりも大きい信号を計数する。
【0106】
第二計数部61も、図15に示されるように、電圧比較器66と閾値設定部67とを更に有していてもよい。閾値設定部67は、閾値設定部64から入力される基準電圧(下限基準電圧)よりも高い基準電圧(上限基準電圧)を電圧比較器66に出力する。電圧比較器66は、第二半導体光検出素子40からの信号が上限基準電圧よりも低い場合、パルス信号を計数器65に出力する。計数器65は、電圧比較器63と電圧比較器66とからパルス信号が出力された際に、当該パルス信号を一つのパルス信号として計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、計数器65は、第二半導体光検出素子40からの信号のうち、上限基準電圧よりも低く且つ下限基準電圧よりも大きい信号を計数する。
【0107】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0108】
底面部3は、必ずしも突出部5を有している必要はなく、たとえば平板状に形成されていてもよい。
【0109】
各シンチレータ10,20の数、各半導体光検出素子30,31,40の数、上述した実施形態及び変形例の数に限られない。また、各半導体光検出素子30,31,40の数に対応する各計数部51,61の数も、上述した実施形態及び変形例の数に限られない。各シンチレータ10,20の分割数も、上述した数に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、食品などからの放射線を検出する放射線検出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0111】
1…収容容器、2…側面部、3…底面部、4…収容空間、5…突出部、6…窪み部、10…第一シンチレータ、11…第一部分、12…第二部分、20…第二シンチレータ、30,31…第一半導体光検出素子、40…第二半導体光検出素子、51…第一計数部、61…第二計数部、71…波高値計測部、APD…アバランシェフォトダイオード、M…被測定物、PDA…フォトダイオードアレイ、R1…クエンチング抵抗、RD…放射線検出装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物からの放射線を検出する放射線検出装置として、複数の放射線測定手段が配置されたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された放射線検出装置によれば、被測定物からの放射線を複数の方向から検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2563341号公報(特開昭63−308590号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線測定手段として、放射線の入射によりシンチレーション光を発生するシンチレータと、シンチレータからのシンチレーション光を検出する光電子増倍管と、を有するものが知られている。シンチレータと光電子増倍管とを有する複数の放射線測定手段が配置された放射線検出装置では、装置の大型化が避けられない。
【0005】
光電子増倍管に代えて半導体光検出素子が用いられる場合、装置の大型化は回避することができる。しかしながら、半導体光検出素子の数が増加するに伴い、半導体光検出素子からの出力信号を処理する信号処理回路の数も増加してしまう。信号処理回路には、たとえば、測定対象となる所定のエネルギーを有する放射線を選別するための波高分析器、及び、波高分析器から出力されたパルス信号を計数する計数器などが含まれる。また、信号処理回路の数の増加により、信号処理回路による消費電力の増大や、処理する信号量の増加に伴う信号処理時間の増大といった問題点も生じてしまう。
【0006】
本発明は、装置の小型化を図りつつ、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することが可能な放射線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る放射線検出装置は、側面部及び底面部を有し、側面部と底面部とで被測定物の収容空間を画成する収容部と、少なくとも側面部を囲むように収容部に配置された第一シンチレータと、収容部に配置され、第一シンチレータよりも小さい第二シンチレータと、第一シンチレータからのシンチレーション光を検出する複数の第一半導体光検出素子と、第二シンチレータからのシンチレーション光を検出する少なくとも一つの第二半導体光検出素子と、複数の第一半導体光検出素子毎に設けられ、対応する第一半導体光検出素子からの出力信号に基づいてシンチレーション光の発光を計数して計数信号を出力する複数の計数手段と、第二半導体光検出素子からの出力信号の波高値を計測して波高値計測信号を出力する波高値計測手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る放射線検出装置では、第一半導体光検出素子が第一シンチレータからのシンチレーション光を検出し、第二半導体光検出素子が第二シンチレータからのシンチレーション光を検出しているので、装置の小型化を図ることができる。
【0009】
計数手段は、対応する第一半導体光検出素子からの出力信号に基づいて第一シンチレータからのシンチレーション光の発光を計数し、計数信号を出力する。波高値計測手段は、第二シンチレータからのシンチレーション光を検出する少なくとも一つの第二半導体光検出素子からの出力信号を受け、当該出力信号の波高値を計測し、波高値計測信号を出力する。これにより、計数手段からの出力に基づいて計数値が得られ、波高値計測信号からの出力に基づいて波高値が得られることとなる。一般に、波高値を計測する処理には、十分なSN比と精度とが要求されるため、波高値計測手段は、消費電力も大きく、また、信号処理時間も長くなってしまう。本発明では、複数の第一半導体光検出素子からの出力信号の波高値を計測する必要がないことから、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。計数処理は、SN比への要求が比較的高くないため、計数手段は、簡易で且つ高速処理可能な構成を採用できる。したがって、複数の計数手段が備えられていても、消費電力と信号処理時間との増大は抑制される。
【0010】
一般に、第一シンチレータよりも小さい第二シンチレータは、第一シンチレータに比して、発光量が高い。したがって、第二半導体光検出素子でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測手段による波高値の計測精度が向上する。
【0011】
第一シンチレータが、側面部に配置された第一部分と、底面部に配置された第二部分と、からなり、複数の第一光検出器が、第一部分と第二部分とにそれぞれ配置されていてもよい。この場合、第一シンチレータ(第一部分及び第二部分)からのシンチレーション光を確実に検出することができる。
【0012】
第一シンチレータが、側面部に配置された第一部分と、底面部に配置された第二部分と、からなり、複数の第一光検出器が、第一部分と第二部分との角部に配置されていてもよい。この場合、比較的少ない数の第一光検出器で第一シンチレータ(第一部分及び第二部分)からのシンチレーション光を効率よく検出することができる。
【0013】
第一シンチレータが、側面部に配置された第一部分からなり、複数の第一光検出器が、第一部分の端部に配置されていてもよい。この場合、比較的少ない数の第一光検出器で第一シンチレータからのシンチレーション光を検出することができる。
【0014】
第二シンチレータが、底面部に配置されていてもよい。この場合、被測定物と第二シンチレータとの間隔が比較的短くなり、第二半導体光検出素子でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測手段による波高値の計測精度が向上する。
【0015】
第一シンチレータが、プラスチックシンチレータであってもよい。この場合、側面部の形状に対応した第一シンチレータを容易に得ることができる。
【0016】
プラスチックシンチレータが、側面部を取り囲む筒状部を有していてもよい。
【0017】
第二シンチレータが、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータであってもよい。この場合、第二シンチレータの発光量が更に高くなり、第二半導体光検出素子でのシンチレータ光の検出精度と波高値計測手段による波高値の計測精度とがより一層向上する。
【0018】
第一半導体光検出素子と第二半導体光検出素子とが、ガイガーモードで動作する複数のアバランシェフォトダイオードと、それぞれのアバランシェフォトダイオードに対して直列に接続されたクエンチング抵抗と、を有しているフォトダイオードアレイであってもよい。この場合、装置の小型化を図りつつ、フォトンカウンティング測定が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置の小型化を図りつつ、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することが可能な放射線検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【図2】第一及び第二シンチレータの位置を説明するための図である。
【図3】フォトダイオードアレイの平面図である。
【図4】フォトダイオードアレイの斜視図である。
【図5】図4に示したフォトダイオードアレイのV−V矢印断面図(a)と、その回路図(b)である。
【図6】本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】シンチレータ、半導体光検出素子、及びフレキシブル基板を示す分解斜視図である。
【図8】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ための斜視図である。
【図9】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ためのブロック図である。
【図10】第二シンチレータに入射した放射線のエネルギーの算出処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】半導体光検出素子の平面図である。
【図12】第二シンチレータ、第二半導体光検出素子、及びフレキシブル基板を示す斜視図である。
【図13】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【図14】本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【図15】第一計数部及び第二計数部の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る放射線検出装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。図2は、第一及び第二シンチレータの位置を説明するための図である。
【0023】
放射線検出装置RDは、図1に示されるように、収容容器1と、第一シンチレータ10と、第二シンチレータ20と、複数の第一半導体光検出素子30,31と、少なくとも一つの第二半導体光検出素子40と、信号処理部SPと、遮蔽容器SCと、を備えている。
【0024】
収容容器1は、一端が開口した有底容器であり、側面部2及び底面部3を有している。収容容器1では、側面部2と底面部3とで被測定物Mの収容空間4が画成されている。収容容器1は、被測定物Mを収容する収容部として機能する。側面部2は、筒形状(本実施形態では、円筒形状)を呈している。収容容器1(側面部2及び底面部3)は、たとえばプラスチックやアルミニウムなどからなる。
【0025】
底面部3は、その中央に収容空間4内に突出する突出部5を有している。突出部5は、図1にも示されるように、被測定物Mを載置する台として機能する。突出部5には、収容容器1の内側、すなわち収容空間4側に窪んだ窪み部6が設けられている。窪み部6は、収容容器1の開口方向とは反対方向に開口している。窪み部6内には、第二シンチレータ20が配置される。
【0026】
遮蔽容器SCは、一端が開口した有底筒体SCaと、有底筒体SCaの開口を塞ぐ蓋体SCbと、を有している。遮蔽容器SCは、放射線を遮蔽する材料(たとえば、鉛、鉄、又はタングステンなど)からなる。遮蔽容器SCでは、有底筒体SCaと蓋体SCbとで、収容容器1、第一シンチレータ10、第二シンチレータ20、第一半導体光検出素子30,31、第二半導体光検出素子40、及び信号処理部SPが収容される空間が画成されている。
蓋体SCbは、有底筒体SCaに開閉自在に取り付けられている。
【0027】
第一シンチレータ10は、側面部2と底面部3とを囲むように収容容器1の外側に配置されている。第一シンチレータ10は、側面部2に配置された第一部分11と、底面部3に配置された第二部分12と、からなる。第一シンチレータ10では、第一部分11と第二部分12とが一体に形成されており、第一シンチレータ10は、一端が開口した有底形状を呈する。第一シンチレータ10は、プラスチックシンチレータなどからなる。
【0028】
第一部分11は、側面部2に対応して、筒形状(本実施形態では、円筒形状)を呈している。すなわち、第一部分11は、側面部2を取り囲む筒状部である。第二部分12は、平面視で円形状を呈しており、中央、すなわち、窪み部6(突出部5)に対応する位置に、開口が形成されている。したがって、窪み部6は、第一シンチレータ10が配置された状態で、第一シンチレータ10から露出している。
【0029】
第二シンチレータ20は、底面部3の窪み部6内に配置されている。第二シンチレータ20は、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータである。第二シンチレータ20は、第一シンチレータ10よりも小さい。したがって、第二シンチレータ20は、第一シンチレータ10よりも発光量が高く、高感度を有している。第二シンチレータ20が結晶性を有するシンチレータである場合、第二シンチレータ20は、CsI又はNaIなどの結晶性材料からなる。第二シンチレータ20がセラミックシンチレータである場合、第二シンチレータ20は、無機蛍光体の焼結体などからなる。
【0030】
複数の第一半導体光検出素子30,31は、第一シンチレータ10に光学的に接続されており、第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出する。本実施形態では、放射線検出装置RDは、8個の第一半導体光検出素子30,31を備えている。4個の第一半導体光検出素子30が第一シンチレータ10の第一部分11に配置され、4個の第一半導体光検出素子31が第一シンチレータ10の第二部分12に配置されている。第一半導体光検出素子30は、主に、第一シンチレータ10の第二部分12からのシンチレーション光を検出する。第一半導体光検出素子31は、主に、第一シンチレータ10の第一部分11からのシンチレーション光を検出する。
【0031】
4個の第一半導体光検出素子30は、図2にしめされるように、等間隔(たとえば、90°間隔など)で配置されている。4個の第一半導体光検出素子31も、等間隔(たとえば、90°間隔など)で配置されている。第一半導体光検出素子30と第一半導体光検出素子31とは、同じ角度位置に配置されている。第一半導体光検出素子30と第一半導体光検出素子31とは、異なる角度位置に配置されていてもよい。
【0032】
第二半導体光検出素子40は、第二シンチレータ20に光学的に接続されており、第二シンチレータ20からのシンチレーション光を検出する。本実施形態では、放射線検出装置RDは、1個の第二半導体光検出素子40を備えている。
【0033】
ここで、図3〜図5を参照して、第一及び第二半導体光検出素子30,31,40の構成について説明する。図3は、フォトダイオードアレイの平面図である。図4は、フォトダイオードアレイの斜視図であり、図5は、図4に示したフォトダイオードアレイのV−V矢印断面図(a)と、その回路図(b)である。
【0034】
第一及び第二半導体光検出素子30,31,40は、フォトダイオードアレイPDAからなる。フォトダイオードアレイPDAは、矩形形状を呈する半導体基板1Nを備えている。半導体基板1Nは、N型(第1導電型)の半導体基板である。
【0035】
フォトダイオードアレイPDAは、半導体基板1Nに形成された複数のアバランシェフォトダイオードAPDを備えている。それぞれのアバランシェフォトダイオードAPDには、クエンチング抵抗(抵抗層)R1が直列に接続されている。複数のアバランシェフォトダイオードAPDが形成された領域は、外周配線WLによって囲まれている。外周配線WLの外側には遮光層SLなどを設けることができる。遮光層SLは、たとえば金属などからなる。
【0036】
外周配線WLの外形は、矩形環状であって、各辺がX軸又はY軸に沿って延びている。外周配線WLは、X軸に沿って延びた電極パッドPに接続されている。外周配線WLには、複数の信号読出線TLが電気的に接続されている。複数の信号読出線TLは、それぞれがY軸に沿って延びており、外周配線WLの少なくとも2箇所(Y軸に沿った両端に位置する部位)間をそれぞれが接続している。
【0037】
個々のアバランシェフォトダイオードAPDは、半導体基板1Nの一方の表面側に形成されたP型(第2導電型)の第一半導体領域1PAと、第一半導体領域1PA内に形成され且つ第一半導体領域1PAよりも高い不純物濃度を有するP型(第2導電型)の第二半導体領域1PBと、を有している。アバランシェフォトダイオードAPDは、半導体基板1Nに電気的に接続された第一電極E1と、第二半導体領域1PB上に形成された表面電極E3と、を有している。第一半導体領域1PAの平面形状は、四角形である。第二半導体領域1PBは、第一半導体領域の内側に位置し、平面形状は四角形である。第一半導体領域1PAの深さは、第二半導体領域1PBよりも深い。
【0038】
フォトダイオードアレイPDAは、個々のアバランシェフォトダイオードAPD毎に、第一半導体領域1PAの外側の半導体基板1N上に、絶縁層L(図5の(a)参照)を介して形成された金属層からなる第一反射体E2と、表面電極E3に、その一方端が連続し、第一半導体領域1PA上の絶縁層Lの表面に沿って延びたクエンチング抵抗R1と、を備えている。図4では、構造の明確化のため、図5の(a)に示した絶縁層Lの記載を省略している。
【0039】
第一反射体E2は、平面形状がL字型の金属層からなる反射体E21からなる。半導体基板1N上に位置する反射体E21(E2)と、第一開口を有する環状の表面電極E3とは、電気的に隔離されている。すなわち、アバランシェフォトダイオードAPDのアノードとカソードには、それぞれ電極が設けられるが、一方の表面電極E3は、第一反射体E2から電気的に分離している。これにより、第一反射体E2は、表面電極E3とは明確に区別され、反射に適した箇所にこれを配置するための設計の自由度が増加している。個々のアバランシェフォトダイオードAPDに接続されるクエンチング抵抗R1の他方端は、必要に応じてクエンチング抵抗R1に連続した配線電極を介して、共通の信号読出線TLに電気的に接続されている。
【0040】
図4においては、隣接する一対のアバランシェフォトダイオード(第一半導体領域1PAの直下の領域)は、共に、クエンチング抵抗R1を介して、信号読出線TLに接続されている。1つの信号読出線TLには、複数対のアバランシェフォトダイオードが、それぞれクエンチング抵抗R1を介して接続されている。
【0041】
クエンチング抵抗R1は、これが接続される表面電極E3よりも抵抗率が高く、また、第一反射体E2よりも抵抗率が高い。具体的には、クエンチング抵抗R1は、ポリシリコンからなり、残りの電極及び反射体は全てアルミニウムなどの金属からなる。半導体基板がSiからなる場合には、電極材料としては、アルミニウムの他に、AuGe/Niなどもよく用いられる。Siを用いた場合におけるP型不純物としてはBなどの3族元素が用いられ、N型不純物としては、N、P又はAsなどの5族元素が用いられる。半導体の導電型であるN型とP型は、互いに置換して素子を構成しても、当該素子を機能させることができる。これらの不純物の添加方法としては、拡散法やイオン注入法を用いることができる。
【0042】
絶縁層Lの材料としては、SiO2又はSiNを用いることができる。絶縁層Lの形成方法としては、これが例えばSiO2からなる場合には、熱酸化法やスパッタ法を用いることができる。
【0043】
上述の構造の場合、N型の半導体基板1NとP型の第一半導体領域1PAとの間に、PN接合が構成されることで、アバランシェフォトダイオードAPDが形成されている。半導体基板1Nは、基板裏面に形成された第一電極E1に電気的に接続され、第一半導体領域1PAは、第二半導体領域1PBを介して、表面電極E3に接続されている。クエンチング抵抗R1はアバランシェフォトダイオードAPDに対して直列に接続されている(図5の(b)参照)。
【0044】
フォトダイオードアレイPDAにおいては、個々のアバランシェフォトダイオードAPDをガイガーモードで動作させる。ガイガーモードでは、アバランシェフォトダイオードAPDのブレークダウン電圧よりも大きな逆方向電圧(逆バイアス電圧)をアバランシェフォトダイオードAPDのアノード/カソード間に印加する。すなわち、アノードには(−)電位V1を、カソードには(+)電位V2を印加する。これらの電位の極性は相対的なものであり、一方の電位をグランド電位とすることも可能である。
【0045】
アノードはP型の第一半導体領域1PAであり、カソードはN型の半導体基板1Nである。アバランシェフォトダイオードAPDに光(フォトン)が入射すると、基板内部で光電変換が行われて光電子が発生する。図5の(a)に示した第一半導体領域1PAのPN接合界面の近傍領域AVCにおいて、アバランシェ増倍が行われ、増幅された電子群は電極E1に向けて流れる。
【0046】
第一反射体E2は、第二半導体領域1PBに対して、相対的に低不純物濃度の第一半導体領域1PAの外側の半導体基板1Nの表面上に設けられている。半導体基板1Nの露出面の領域は、光入射に対しては、殆ど検出に寄与しないデッドスペースである。第一反射体E2は、入射した光を反射し、第二反射体(たとえば、金属パッケージ内面など)に入射させる。第二反射体は、入射した光を再度反射させ、再反射された光を、有効にアバランシェフォトダイオードAPDに導く。
【0047】
個々のアバランシェフォトダイオードAPDに接続されたクエンチング抵抗R1の他方端は、半導体基板1Nの表面に沿って共通の信号読出線TLに電気的に接続されている。複数のアバランシェフォトダイオードAPDは、ガイガーモードで動作しており、各アバランシェフォトダイオードAPDは、共通の信号読出線TLに接続されている。このため、複数のアバランシェフォトダイオードAPDに同時にフォトンが入射した場合、複数のアバランシェフォトダイオードAPDの出力は全て共通の信号読出線TLに入力され、全体としては入射フォトン数に応じた高強度の信号として計測される。信号読出線TLには、信号読み出し用の電圧降下が生じる負荷抵抗を接続してもよい。
【0048】
上述の構造は、表面入射型のフォトダイオードアレイの構造であるが、裏面入射型のフォトダイオードアレイの構造を採用してもよい。この場合には、半導体基板1Nの厚みを薄くして、裏面側の電極E1を透明電極とすればよい。また、裏面側の電極E1を、半導体基板1Nの別の位置(例えば基板表面側)に配置してもよい。
【0049】
信号処理部SPは、図6に示されるように、信号処理部SPは、複数の第一計数部(本実施形態では、8つの第一計数部)51と、第二計数部61と、波高値計測部71と、制御部81と、を有している。図6は、本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示すブロック図である。
【0050】
各第一計数部51は、アンプ52、電圧比較器53、閾値設定部54、及び計数器55を有している。第一計数部51は、第一半導体光検出素子30,31毎に設けられており、第一計数部51には、対応する第一半導体光検出素子30,31からの信号が入力される。
【0051】
アンプ52は、第一半導体光検出素子30,31からの信号を増幅及び波形整形した後、当該信号を電圧比較器53に入力する。電圧比較器53は、第一半導体光検出素子30,31からの信号と、閾値設定部54から入力されている基準電圧(所定の第一閾値)とをそれぞれ比較する。電圧比較器53は、第一半導体光検出素子30,31からの信号が基準電圧よりも大きい場合、パルス信号を計数器55に出力する。
【0052】
計数器55は、パルス信号を計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、第一計数部51は、第一半導体光検出素子30,31からの信号のうち、基準電圧よりも大きい信号を計数し、計数信号を制御部81に出力する。計数信号は、パルス信号の計数値を情報として含んでいる。
【0053】
第二計数部61は、アンプ62、電圧比較器63、閾値設定部64、及び計数器65を有している。第二計数部61は、第二半導体光検出素子40に設けられており、第二計数部61には、第二半導体光検出素子40からの信号が入力される。
【0054】
アンプ62は、第二半導体光検出素子40からの信号を増幅及び波形整形した後、当該信号を電圧比較器63に入力する。電圧比較器63は、第二半導体光検出素子40からの信号と、閾値設定部64から入力されている基準電圧(所定の第二閾値)とをそれぞれ比較する。電圧比較器63は、第二半導体光検出素子40からの信号が基準電圧よりも大きい場合、パルス信号を計数器65に出力する。
【0055】
計数器65は、パルス信号を計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、第二計数部61は、第二半導体光検出素子40からの信号のうち、基準電圧よりも大きい信号を計数し、計数信号を制御部81に出力する。計数信号は、パルス信号の計数値を情報として含んでいる。
【0056】
波高値計測部71は、アンプ62からの信号、すなわち第二半導体光検出素子40からの信号が入力される。波高値計測部71は、入力された信号の波高値を計測し、波高値計測信号を制御部81に出力する。具体的には、波高値計測部71は、入力された信号のピーク値を波高値として検出するピーク検出器と、A/Dコンバータと、を有し、検出したピーク値を記録する。波高値計測信号は、入力された信号のピーク値を情報として含んでいる。
【0057】
制御部81は、第一及び第二計数部51,61からそれぞれ出力された計数信号に基づいて、放射線の到来方向を検出する。また、制御部81は、波高値計測部71から出力された波高値計測信号に基づいて、第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出する。制御部81には、モニタが接続されており、制御部81は、算出結果をモニタ(図示省略)に表示する。
【0058】
制御部81は、たとえばCPU、記憶部、A/Dコンバータ、及びD/Aコンバータなどを有して構成されている。記憶部は、CPUによる信号処理部SPの制御及びエネルギー算出に必要なプログラム及びデータを格納して記憶している。制御部81は、外部からの駆動電圧の印加によって起動される。起動後、CPUは、記憶部に格納されたプログラムを実行して、放射線の到来方向を検出し、また、放射線検出装置RDに入射した放射線のエネルギーを算出する。A/Dコンバータは、アナログ信号である計数信号及び波高値計測信号などをディジタル信号に変換し、CPUに転送する。D/Aコンバータは、CPUによって生成されたディジタル制御信号をアナログ制御信号に変換し、制御部81の外部に供給する。
【0059】
各シンチレータ10,20と対応する半導体光検出素子30,31,40とは、光学接着剤により光学的に接続されている。半導体光検出素子30,31,40は、図7に示されるように、フレキシブル基板FSに実装されている。図7は、半導体光検出素子40がフレキシブル基板FSに実装されている例を示している。
【0060】
半導体光検出素子30,31,40の出力信号が、フレキシブル基板FSに形成された配線(図示省略)を通して、入射した放射線が有するエネルギーに応じた信号として信号処理部SPへ出力される。フレキシブル基板FSには、対応する計数部51,61及び波高値計測部71を含む回路が搭載されていてもよい。この場合、計数部51,61及び波高値計測部71からの出力信号が、フレキシブル基板FSに形成された配線を介して、制御部81に入力される。
【0061】
以上のように、本実施形態では、第一半導体光検出素子30,31が第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出し、第二半導体光検出素子40が第二シンチレータ20からのシンチレーション光を検出しているので、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
各計数部51,61は、対応する半導体光検出素子30,31,40からの出力信号に基づいてシンチレータ10,20からのシンチレーション光の発光を計数し、計数信号を出力する。波高値計測部71は、第二半導体光検出素子40からの出力信号を受け、当該出力信号の波高値(ピーク値)を計測し、波高値計測信号を出力する。これにより、計数部51,61からの出力に基づいて計数値が得られ、波高値計測部71からの出力に基づいて波高値が得られることとなる。一般に、波高値を計測する処理には、十分なSN比と精度とが要求されるため、波高値計測部71は、消費電力も大きく、また、信号処理時間も長くなってしまう。放射線検出装置RDでは、第一半導体光検出素子30,31からの出力信号の波高値を計測する必要がないことから、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。計数処理は、SN比への要求が比較的高くないため、計数部51,61は、簡易で且つ高速処理可能な構成を採用できる。したがって、複数の計数部51,61が備えられていても、放射線検出装置RDでは、消費電力と信号処理時間との増大は抑制される。
【0063】
第一シンチレータ10よりも小さい第二シンチレータ20は、第一シンチレータ10に比して、発光量が高い。したがって、第二半導体光検出素子40でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測部71による波高値の計測精度が向上する。
【0064】
本実施形態では、第一シンチレータ10が、側面部2に配置された第一部分11と、底面部3に配置された第二部分12と、からなり、第一半導体光検出素子30が第一部分11に配置され、第一半導体光検出素子31が第二部分12に配置されている。これにより、第一シンチレータ10(第一部分11及び第二部分12)からのシンチレーション光を確実に検出することができる。
【0065】
本実施形態では、第二シンチレータ20が、底面部3に配置されている。これにより、被測定物と第二シンチレータ20との間隔が比較的短くなり、第二半導体光検出素子40でのシンチレータ光の検出精度が向上すると共に、波高値計測部71による波高値の計測精度が向上する。
【0066】
本実施形態では、第一シンチレータ10が、プラスチックシンチレータである。これにより、側面部2の形状に対応した第一シンチレータ10を容易に得ることができる。
【0067】
本実施形態では、第二シンチレータ20が、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータである。これにより、第二シンチレータ20の発光量が更に高くなり、第二半導体光検出素子40でのシンチレータ光の検出精度と波高値計測部71による波高値の計測精度とがより一層向上する。
【0068】
本実施形態では、第一半導体光検出素子30,31と第二半導体光検出素子40とが、ガイガーモードで動作する複数のアバランシェフォトダイオードAPDと、それぞれのアバランシェフォトダイオードAPDに対して直列に接続されたクエンチング抵抗R1と、を有しているフォトダイオードアレイPDAである。これにより、放射線検出装置RDでは、装置の小型化を図りつつ、フォトンカウンティング測定が可能となる。
【0069】
本実施形態では、底面部3が突出部5を有している。被測定物Mが液体又は液状の物質である場合、被測定物Mは、突出部5の側面と第一部分11とで画成される空間に位置することとなる。したがって、被測定物Mからの放射線は、突出部5の側面を通して第二シンチレータ20に入射すると共に、第一部分11及び第二部分12を通して第一シンチレータ10に入射する。このように、各シンチレータ10,20への入射方向が増えるため、放射線検出装置RDの検出感度が向上する。
【0070】
続いて、図8及び図9を参照して、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置RDの構成を説明する。図8は、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ための斜視図である。図9は、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を説明ためのブロック図である。
【0071】
変形例に係る放射線検出装置RDは、図8及び図9に示されるように、収容容器1と、第一シンチレータ10と、第二シンチレータ20と、複数の第一半導体光検出素子31と、複数の第二半導体光検出素子40と、信号処理部SPと、遮蔽容器(図示省略)と、を備えている。
【0072】
第一シンチレータ10は、複数の部分(本実施形態では、4つの部分)10aに分割されており、これらの部分10aが収容容器1の側面部2を囲むように配置されている。第一シンチレータ10の部分10a毎に第一半導体光検出素子31が設けられている。
【0073】
第二シンチレータ20は、複数の部分(本実施形態では、4つの部分)20aに分割されており、これらの部分20aが収容容器1の側面部2に配置されている。第二シンチレータ20の部分20a毎に第二半導体光検出素子40が設けられている。
【0074】
信号処理部SPは、複数の第一計数部(本実施形態では、4つの第一計数部)51と、複数の第二計数部(本実施形態では、4つの第二計数部)61と、信号選択部91と、加算部95と、波高値計測部71と、制御部81と、を有している。
【0075】
信号選択部91は、4つの第二半導体光検出素子40からの信号を選択して出力する。信号選択部91は、第二半導体光検出素子40(第二計数部61)毎に設けられた複数のスイッチ素子(本実施形態では、4つのスイッチ素子)92を有している。スイッチ素子92の一方の端子には、アンプ62からの出力が接続されている。スイッチ素子92は、制御部81からの選択制御信号により、その開閉が制御される。
【0076】
加算部95は、4つの第二半導体光検出素子40からの信号のうち信号選択部91により選択された信号を加算し、加算信号を出力する。加算部95は、複数の抵抗器(本実施形態では、4つの抵抗器)93と、アンプ96と、抵抗器97と、を有している。抵抗器93は、スイッチ素子92の他方の端子に直列接続されている。アンプ96の入力端子は、抵抗器93を介して、スイッチ素子92の他方の端子と接続され、抵抗器97を介して自己の出力端子と接続されている。
【0077】
波高値計測部71は、加算部95からの加算信号が入力される。波高値計測部71は、入力された加算信号の波高値を計測し、波高値計測信号を制御部81に出力する。具体的には、波高値計測部71は、入力された加算信号のピーク値を波高値として検出するピーク検出器と、A/Dコンバータと、を有し、検出したピーク値を記録する。波高値計測信号は、入力された加算信号のピーク値を情報として含んでいる。
【0078】
制御部81は、4つの第二計数部61からそれぞれ出力された計数信号に基づいて、信号選択部91(スイッチ素子92)の開閉を制御する。また、制御部81は、波高値計測部71から出力された波高値計測信号に基づいて、第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出する。制御部81には、モニタが接続されており、制御部81は、算出結果をモニタ(図示省略)に表示する。
【0079】
続いて、図10に基づいて、第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーの算出処理動作を説明する。図10は、第二シンチレータに入射した放射線のエネルギーの算出処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0080】
まず、各第二計数部61が、第二半導体光検出素子40からの信号のうち、基準電圧よりも大きい信号を計数し、計数信号を制御部81に出力する(S101)。放射線は、第二シンチレータ20に常時入射している。したがって、計数数を可能な限り増やすために、各第二計数部61は、並列で計数を行う。
【0081】
次に、制御部81は、各第二計数部61から出力された計数信号それぞれに基づいて、各計数信号に含まれるパルス信号の計数値のうち最小の計数値が所定の第二閾値以上であるか否かを判定する(S103)。最小の計数値が上記第二閾値以上である場合、制御部81は、最小の計数値の情報を含む計数信号を出力した第二計数部61に対応するスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する(S105)。これにより、最小の計数値の情報を含む計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号のみが、アンプ62を介して加算部95に入力されることとなる。
【0082】
次に、最小の計数値を情報として含む計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号が、加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される(S107)。そして、波高値計測部71は、波高値計測信号を制御部81に出力する。この間、各第二計数部61は、計数を継続している。
【0083】
次に、制御部81は、入力された波高値計測信号に情報として含まれるピーク値に基づいて、各第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出し、加算する(S109)。そして、制御部81は、算出結果をモニタに表示する。このとき、制御部81は、モニタに、計測値が正確でない可能性がある旨を表示する。
【0084】
S103にて、最小の計数値が上記第二閾値よりも小さい場合、制御部81は、各計数信号に含まれるパルス信号の計数値を合算し、単位時間当たりの計数値の合算値を求め、当該合算値を第二閾値と比較し、第二閾値よりも合算値が少ないか否かを判定する(S111)。単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値よりも少ない場合、制御部81は、すべてのスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する(S113)。これにより、すべての第二半導体光検出素子40からの信号が、アンプ62を介して加算部95に入力されることとなる。
【0085】
次に、すべての第二半導体光検出素子40からの信号が、加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される(S115)。そして、波高値計測部71は、波高値計測信号を制御部81に出力する。この間も、各第二計数部61は、計数を継続している。
【0086】
S111にて、単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値以上である場合、制御部81は、単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値よりも少なくなる、計数信号の組み合わせを求める。制御部81は、求めた計数信号の組み合わせに基づいて、当該計数信号を出力した第二計数部61に対応するスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する(S117)。これにより、単位時間当たりの計数値の合算値が第二閾値よりも少なくなる組み合わせの計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号のみが、アンプ62を介して加算部95に入力されることとなる。
【0087】
次に、すべての第二半導体光検出素子40からの信号のうち信号選択部91(スイッチ素子92)にて選択された信号が、加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される(S119)。そして、波高値計測部71は、波高値計測信号を制御部81に出力する。この間も、各第二計数部61は、計数を継続している。
【0088】
次に、制御部81は、入力された波高値計測信号に情報として含まれるピーク値に基づいて、各第二シンチレータ20に入射した放射線のエネルギーを算出し、加算する(S121)。
【0089】
そして、制御部81は、連続計測が否かを判定し(S123)、連続計測である場合、S103に戻り、処理を継続する。制御部81は、連続計測ではない場合、処理を終える。
【0090】
制御部81は、マニュアルモードにより、第二半導体光検出素子40が選択されている場合、選択された第二半導体光検出素子40に対応するスイッチ素子92を閉じるように選択制御信号を出力する。これにより、選択された第二半導体光検出素子40からの信号のみが、アンプ62及び加算部95を介して波高値計測部71に入力され、波高値(ピーク値)が計測される。
【0091】
以上のように、本変形例においても、本実施形態と同様に、装置の小型化を図ることができると共に、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。
【0092】
本変形例では、第二計数部61は、対応する第二半導体光検出素子40からの信号に基づいて基準電圧以上である信号を計数し、計数信号を出力する。制御部81は、各第二計数部61からの計数信号に基づいて、信号選択部91(スイッチ素子92)を制御し、信号選択部91は、出力する信号を選択する。加算部95は、各第二半導体光検出素子40からの信号のうち信号選択部91により選択された信号を加算し、加算信号を出力する。波高値計測部71は、加算部95からの加算信号を受け、当該加算信号の波高値(ピーク値)を計測し、波高値計測信号を出力する。これにより、第二計数部61からの出力に基づいて計数値が得られ、波高値計測部71からの出力に基づいて波高値が得られることとなる。
【0093】
変形例に係る放射線検出装置RDでは、各第二半導体光検出素子40からの信号すべての波高値を常に計測する必要がないことから、消費電力と信号処理時間との増大を抑制することができる。第二計数部61での計数処理は、SN比への要求が比較的高くないため、簡易で且つ高速処理可能な構成を採用できる。したがって、複数の第二計数部61を備えていても、消費電力と信号処理時間との増大は抑制される。
【0094】
制御部81は、計数値の合算値が第二閾値よりも少ない場合、各第二半導体光検出素子40からの信号すべてを出力するように信号選択部91(スイッチ素子92)を制御している。波高値を計測する処理は、計数値が所定値以上の計数/秒になると、計測精度が悪化するが、計数値が上記所定値よりも少ない場合、計測精度が悪化することはない。したがって、放射線検出装置RDでは、計測精度が悪化することなく、すべての第二半導体光検出素子40からの信号の波高値を計測することができる。
【0095】
制御部81は、計数値の合算値が第二閾値以上である場合、計数値の合算値が第二閾値よりも少なくなるように第二半導体光検出素子40からの信号を選択して出力するように信号選択部91を制御している。この場合でも、上述したように、放射線検出装置RDでは、計測精度が悪化することなく、第二半導体光検出素子40からの信号の波高値を計測することができる。
【0096】
制御部81は、最も少ない計数値が第二閾値以上である場合、最も少ない計数値を情報として含む計数信号を出力した第二計数部61に対応する第二半導体光検出素子40からの信号を選択して出力するように信号選択部91を制御している。この場合にも、上述したように、計測精度の悪化を抑制することができる。
【0097】
制御部81は、波高値計測信号に基づいて、放射線のエネルギーを算出している。これにより、放射線検出装置RDでは、放射線のエネルギーを適切に算出することかできる。
【0098】
ところで、第二シンチレータ20の部分20a毎に設けられる第二半導体光検出素子40は、図10に示されるように、同一の基板上に形成することができる。図11では、4つの第二半導体光検出素子40が一つの基板上に形成されている。すなわち、図11に示された半導体光検出素子では、一つの第二半導体光検出素子40が、4分割された光感応領域うちの一つの領域として機能する。
【0099】
第二シンチレータ20と第二半導体光検出素子40とフレキシブル基板FSとは、図12に示されるように、接続されている。すなわち、4分割された第二シンチレータ20の分割中心(中心軸)と、光感応領域が4分割された半導体光検出素子の分割中心(中心軸)とが一致した状態で、第二シンチレータ20と半導体光検出素子(第二半導体光検出素子40)とは、光学接着剤により光学的に接続されている。これにより、放射線の到来方向を識別することが可能となる。各第二計数部61からの計数信号に基づいて、どの部分20a(第二半導体光検出素子40)におけるどの分割部分に放射線が入射したのかを識別することができ、この識別結果により、放射線の方向性を検出することが可能となる。
【0100】
フレキシブル基板FSに、第二計数部61、信号選択部91、加算部95、及び波高値計測部71を含む回路が搭載されていてもよい。フレキシブル基板FSは、第二計数部61、信号選択部91、加算部95、及び波高値計測部71を含む回路と、制御部81とを電気的に接続する。この場合、第二半導体光検出素子40と上記回路とは、同一基板上に形成されていてもよい。もちろん、第二半導体光検出素子40と上記回路とをそれぞれ異なるチップで形成してもよい。この場合、第二半導体光検出素子40と上記回路とは、チップオンチップにより電気的に接続されていてもよく、また、配線基板上にそれぞれが実装されることにより電気的に接続されていてもよい。更には、第二半導体光検出素子40と上記回路とは、フレキシブル基板FS上に形成された配線を介して電気的に接続されていてもよい。
【0101】
次に、図13及び図14を参照して、更なる変形例に係る放射線検出装置RDの構成を説明する。図13及び図14は、本実施形態の変形例に係る放射線検出装置の構成を示す模式図である。
【0102】
図13に示された変形例では、各第一半導体光検出素子30が、第一シンチレータ10の第一部分11と第二部分12との角部に配置されている。本変形例では、第一半導体光検出素子30は、第一部分11と第二部分12とからのシンチレーション光を検出する。本変形例によれば、比較的少ない数の第一半導体光検出素子30で第一シンチレータ10(第一部分11及び第二部分12)からのシンチレーション光を効率よく検出することができる。
【0103】
図14に示された変形例では、第一シンチレータ10が、第一部分11のみからなる。各第一半導体光検出素子30が、第一シンチレータ10の第一部分11の端部に配置されている。本変形例では、第一半導体光検出素子30は、第一部分11からのシンチレーション光を検出する。本変形例によっても、比較的少ない数の第一半導体光検出素子30で第一シンチレータ10からのシンチレーション光を検出することができる。
【0104】
続いて、図15を参照して、第一計数部51及び第二計数部61の変形例を説明する。図15は、第一計数部及び第二計数部の変形例を示すブロック図である。
【0105】
第一計数部51は、図15に示されるように、電圧比較器56と閾値設定部57とを更に有していてもよい。閾値設定部57は、閾値設定部54から入力される基準電圧(下限基準電圧)よりも高い基準電圧(上限基準電圧)を電圧比較器56に出力する。電圧比較器56は、第一半導体光検出素子30,31からの信号が上限基準電圧よりも低い場合、パルス信号を計数器55に出力する。計数器55は、電圧比較器53と電圧比較器56とからパルス信号が出力された際に、当該パルス信号を一つのパルス信号として計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、計数器55は、第一半導体光検出素子30,31からの信号のうち、上限基準電圧よりも低く且つ下限基準電圧よりも大きい信号を計数する。
【0106】
第二計数部61も、図15に示されるように、電圧比較器66と閾値設定部67とを更に有していてもよい。閾値設定部67は、閾値設定部64から入力される基準電圧(下限基準電圧)よりも高い基準電圧(上限基準電圧)を電圧比較器66に出力する。電圧比較器66は、第二半導体光検出素子40からの信号が上限基準電圧よりも低い場合、パルス信号を計数器65に出力する。計数器65は、電圧比較器63と電圧比較器66とからパルス信号が出力された際に、当該パルス信号を一つのパルス信号として計数して、計数結果を計数信号として制御部81に出力する。すなわち、計数器65は、第二半導体光検出素子40からの信号のうち、上限基準電圧よりも低く且つ下限基準電圧よりも大きい信号を計数する。
【0107】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0108】
底面部3は、必ずしも突出部5を有している必要はなく、たとえば平板状に形成されていてもよい。
【0109】
各シンチレータ10,20の数、各半導体光検出素子30,31,40の数、上述した実施形態及び変形例の数に限られない。また、各半導体光検出素子30,31,40の数に対応する各計数部51,61の数も、上述した実施形態及び変形例の数に限られない。各シンチレータ10,20の分割数も、上述した数に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、食品などからの放射線を検出する放射線検出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0111】
1…収容容器、2…側面部、3…底面部、4…収容空間、5…突出部、6…窪み部、10…第一シンチレータ、11…第一部分、12…第二部分、20…第二シンチレータ、30,31…第一半導体光検出素子、40…第二半導体光検出素子、51…第一計数部、61…第二計数部、71…波高値計測部、APD…アバランシェフォトダイオード、M…被測定物、PDA…フォトダイオードアレイ、R1…クエンチング抵抗、RD…放射線検出装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面部及び底面部を有し、前記側面部と前記底面部とで被測定物の収容空間を画成する収容部と、
少なくとも前記側面部を囲むように前記収容部に配置された第一シンチレータと、
前記収容部に配置され、前記第一シンチレータよりも小さい第二シンチレータと、
前記第一シンチレータからのシンチレーション光を検出する複数の第一半導体光検出素子と、
前記第二シンチレータからのシンチレーション光を検出する少なくとも一つの第二半導体光検出素子と、
前記複数の第一半導体光検出素子毎に設けられ、対応する前記第一半導体光検出素子からの出力信号に基づいてシンチレーション光の発光を計数して計数信号を出力する複数の計数手段と、
前記第二半導体光検出素子からの出力信号の波高値を計測して波高値計測信号を出力する波高値計測手段と、を備えていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記第一シンチレータが、前記側面部に配置された第一部分と、前記底面部に配置された第二部分と、からなり、
前記複数の第一半導体光検出素子が、前記第一部分と前記第二部分とにそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記第一シンチレータが、前記側面部に配置された第一部分と、前記底面部に配置された第二部分と、からなり、
前記複数の第一半導体光検出素子が、前記第一部分と前記第二部分との角部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記第一シンチレータが、前記側面部に配置された第一部分からなり、
前記複数の第一半導体光検出素子が、前記第一部分の端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記第二シンチレータが、前記底面部に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記第一シンチレータが、プラスチックシンチレータであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
前記プラスチックシンチレータが、前記側面部を取り囲む筒状部を有していることを特徴とする請求項6に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
前記第二シンチレータが、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項9】
前記第一半導体光検出素子と前記第二半導体光検出素子とが、ガイガーモードで動作する複数のアバランシェフォトダイオードと、それぞれの前記アバランシェフォトダイオードに対して直列に接続されたクエンチング抵抗と、を有しているフォトダイオードアレイであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項1】
側面部及び底面部を有し、前記側面部と前記底面部とで被測定物の収容空間を画成する収容部と、
少なくとも前記側面部を囲むように前記収容部に配置された第一シンチレータと、
前記収容部に配置され、前記第一シンチレータよりも小さい第二シンチレータと、
前記第一シンチレータからのシンチレーション光を検出する複数の第一半導体光検出素子と、
前記第二シンチレータからのシンチレーション光を検出する少なくとも一つの第二半導体光検出素子と、
前記複数の第一半導体光検出素子毎に設けられ、対応する前記第一半導体光検出素子からの出力信号に基づいてシンチレーション光の発光を計数して計数信号を出力する複数の計数手段と、
前記第二半導体光検出素子からの出力信号の波高値を計測して波高値計測信号を出力する波高値計測手段と、を備えていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記第一シンチレータが、前記側面部に配置された第一部分と、前記底面部に配置された第二部分と、からなり、
前記複数の第一半導体光検出素子が、前記第一部分と前記第二部分とにそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記第一シンチレータが、前記側面部に配置された第一部分と、前記底面部に配置された第二部分と、からなり、
前記複数の第一半導体光検出素子が、前記第一部分と前記第二部分との角部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記第一シンチレータが、前記側面部に配置された第一部分からなり、
前記複数の第一半導体光検出素子が、前記第一部分の端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記第二シンチレータが、前記底面部に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記第一シンチレータが、プラスチックシンチレータであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
前記プラスチックシンチレータが、前記側面部を取り囲む筒状部を有していることを特徴とする請求項6に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
前記第二シンチレータが、結晶性を有するシンチレータ又はセラミックシンチレータであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項9】
前記第一半導体光検出素子と前記第二半導体光検出素子とが、ガイガーモードで動作する複数のアバランシェフォトダイオードと、それぞれの前記アバランシェフォトダイオードに対して直列に接続されたクエンチング抵抗と、を有しているフォトダイオードアレイであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−88319(P2013−88319A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229911(P2011−229911)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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