説明

放射線検査システム及びそのデータ通信方法

【課題】従来技術では、データ転送信号と制御信号の通信について考慮されていない。解決しようとする問題点は、制御信号に影響を与えることなくデータの保存を可能とすることである。
【解決手段】本発明は、被検体を検査する検査装置を制御する操作卓と、前記検査装置と、前記操作卓及び前記検査装置からネットワーク接続されたデータサーバーとを有し、前記操作卓と前記検査装置の間に前記データサーバーとは独立した通信ネットワークが存在することを特徴とする放射線検査システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置,操作卓を有する放射線検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、医用情報の検索を容易かつ効率よく行うため、画像サーバ3への画像データなどの記憶時において、病院システム管理サーバ1を必ず経由させ、一対一対応で医用情報に対応する履歴情報が記録された履歴情報データテーブルが生成されて、この履歴情報データテーブルに従って所望する医用情報を検索することが開示されている(要約)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−189717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、データ転送信号と制御信号の通信について考慮されていない。解決しようとする問題点は、制御信号に影響を与えることなくデータの保存を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、被検体を検査する検査装置を制御する操作卓と、前記検査装置と、前記操作卓及び前記検査装置からネットワーク接続されたデータサーバーとを有し、前記操作卓と前記検査装置の間に前記データサーバーとは独立した通信ネットワークが存在することを特徴とする放射線検査システムとした。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、データ転送信号と制御信号を分離でき、制御信号に影響を与えることなくデータの保存が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、放射線検査システムを説明する。
【0008】
被検診者の体内の機能,形態を無侵襲で撮像する技術として、放射線を用いた検査がある。その中で、放射線を用いた代表的な検査方法として、X線CT,PET及びSPECTなどがある。X線CTはX線源から放出された放射線を被検診者に照射し、その被検診者の体内における放射線の透過率から体内の形態を撮像する方法である。
【0009】
PET検査は陽電子放出核種を薬剤に付与し被検体に投与し、薬剤がどの部位で多く消費されているかを調べる方法である。PET用薬剤から放出された陽電子が、付近の電子と結合して陽電子消滅し511keVのエネルギーを持つ、一対のガンマ線を放射する。それらのガンマ線は、互いに正反対の方向に放射されるので、それらの対ガンマ線をガンマ線検出器で検知すれば、どの2つの検出素子の間で陽電子が放出されたかがわかる。それらの多数のガンマ線対を検知することで、薬剤を多く消費する場所がわかる。そして、例えば薬剤として糖を用いた場合、糖代謝の激しい癌病巣を発見することが可能である。なお、得られたデータは、先ほど示したフィルタードバックプロジェクションなどの方法により各ボクセルのデータに変換する。
【0010】
PET検査では、陽電子消滅の際に発生するガンマ線が体内で減衰するため、トランスミッション像を撮像し補正する。トランスミッション像とは、例えば線源にセシウムを用いてガンマ線を入射させ、被検体内を透過した強度を測定することにより被検体内におけるガンマ線の減衰率を測定する方法である。得られたガンマ線減衰率を用いて被検体内部でのガンマ線減衰率を見積もりPET検査で得られたデータを補正することにより、より高精度なPET像を得ることが可能である。
【0011】
SPECTは、シングルフォトン放出核種を含む放射性薬剤を被検診者に投与し、核種から放出されるγ線をγ線検出器で検出する。SPECTによる検査時によく用いられるシングルフォトン放出核種から放出されるγ線のエネルギーは数100keV前後である。SPECTの場合、単一γ線が放出されるため、検出素子に入射した角度が得られない。そこで、コリメータを用いて特定の角度から入射するγ線のみを検出することにより角度情報を得ている。SPECTは、特定の腫瘍や分子に集積する性質を有する物質、及びシングルフォトン放出核種( 99Tc,67Ga,201Tl等)を含む放射性薬剤を被検診者に投与し、放射性薬剤より発生するγ線を検知して放射性薬剤を多く消費する場所を特定する検査方法である。SPECTの場合も、得られたデータはフィルタードバックプロジェクションなどの方法により各ボクセルのデータに変換する。なお、SPECTでもトランスミッション像を撮影することがしばしばある。SPECTに用いられる99Tc,67Ga,201Tlは、PETに用いられる放射性同位元素の半減期よりも長く6時間から3日である。
【0012】
以下、放射線検査装置で放射線を検出したデータの保存と転送について説明する。
【0013】
放射線検査装置では、3次元化や高精度化により、装置で撮像するデータの量が膨大になってきた。特にPET検査では、リストモード収集といわれる全ての検出したγ線の情報を保存することで、ユーザーの利便性向上が考えられている。
【0014】
利便性の向上としてリストデータの保持によるデータ加工性の向上が考えられる。リストデータを保持すれば、さまざまな解析が後から可能であることもユーザーの利便性を向上させる。例えば、あるデータに対して撮像結果を見た後に別の解析をしたい場合、リストデータが無ければ解析方法によってはもう一度撮像する必要があるため、患者に放射性薬剤を再投与することになり被曝量が増大する。しかしリストデータを保持しておけば、そのデータがPETの元データのため、あらゆる解析を再び行うことが可能となる。このため、無駄な被曝,無駄な検査を省くことが可能となる。
【0015】
このリストデータを保持するために、検査装置内にデータ保持機構を具備した場合、次のような3つの問題が発生する。1つめは大量のデータを転送することは他の通信の妨げになる。特に制御に関する通信を妨げた場合、エラーなどの信号が正確に伝わらなければ、システムが停止してしまう恐れがある。
【0016】
図7に通信負荷とグッドプットとの関係を示す。グッドプットとは、通信時に有効なパケットがどれだけ送信されたかを示す。最初は通信量に応じてグッドプットも増大するが、途中から通信料に比例せずなまり、さらに高負荷時にはグッドプットは悪くなる。これは次のように説明できる。
【0017】
最初は通信網にも余裕があるため、必要な通信量に応じたパケットが送信される。しかし、ある程度通信量が多くなると、通信のオーバーヘッドが多くなるため通信量に相当するグッドプットを送信できなくなる。さらに高負荷の場合は通信網でパケット損失やデータ遅延が多くなり、正常に通信ができなくなりグッドプットは低下する。
【0018】
ここで問題となるのは、本装置は操作卓と装置の間で制御を行っていることである。制御信号が遅延し、データが転送できなくなると正常に制御できなくなり、最悪の場合装置が暴走するおそれがある。これはあってはならないため、制御信号が送られる通信網は必ず負荷を下げ、通信を確保する必要がある。
【0019】
次に、PET特有の問題として、データ取得後、解析処理が必要なことである。リストデータはそのままでは診断結果を得られないため、画像(以下ではPETイメージという)に変換する必要がある。大きなサイズのリストデータを処理するため、操作卓などの装置制御にかかわる場所でデータ処理を行うと、データ量が膨大なため、その間制御関係の演算ができない状態になる。そのため、データ解析装置を別に設ける必要があるが、データ解析装置を別に設けることは、データ解析装置と操作卓間、データ解析装置とデータサーバー間の通信が発生する。それらの間でも大容量データが1つめに挙げた問題で制御信号を送れなくなるようにしなければならない。
【0020】
また、3つめにバックアップの問題がある。重要なデータはすぐに別のメディア等に保存しなおす必要がある。しかし、最近のハードディスクは数百GBとなり、他のメディアに保存することが難しくなってきている。そのため、バックアップ用のメディアもハードディスクとなってきている。この場合、装置を拡張し、更に多くのハードディスクを持つ必要がある。しかし、装置内にハードディスクを追加することは、場所,電力による制限がかかるため、いずれはシステムが破綻してしまう。
【0021】
よって、膨大なデータを保持することができ、かつ保存装置の拡張が容易に行え、さらに他の通信に影響を与えないようにするシステムを作成することが課題となる。
【0022】
以下、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0023】
一実施例である放射線検査システムを、図1,図2を用いて以下に説明する。本実施例の放射線検査システムは、操作卓101,PET装置102,再構成WS(ワークステーション)103,データサーバー104から構成される。PET装置は、被検体を検査する検査装置である。再構成WSは、撮像データを画像へ再構成を行うデータ処理装置である。それらの装置は図に示す通信網501〜505で結線されており、それらを用いて通信が可能である。
【0024】
データサーバー104に対して操作卓101と検査装置102からそれぞれ独立にネットワーク線を配置し、更に操作卓101と検査装置102間にもネットワークを配線することで、データの容易な保存と、他通信への影響をなくすことを両立する。例えば、図1に示すように、データサーバー104にアクセスする必要があるユニットは、全て直接ネットワーク接続し、また、制御信号を送信する必要があるユニット間にも直接ネットワークを接続する。例えば、図1の501,504,505がデータ保持用ネットワークであり、502,503が制御用ネットワークである。このように配線することで、データ転送信号と制御信号を分離でき、制御信号に影響を与えることなくデータの保存が可能となる。
【0025】
さらにデータサーバー104を交換することで、バックアップも可能となる。つまり、データサーバー104の記憶領域が満杯になれば、データサーバー104を新しいものと交換し、そこにデータを保存する。これにより、ユーザーはデータサーバーの入れ替えだけでバックアップ可能となる。
【0026】
操作卓101などにおける結線の一例を図2に示す。操作卓101は操作卓制御機構
201と複数の通信ポート301から構成される。同様にPET装置102,再構成WS103,データサーバー104も制御機構202〜204と通信ポート302〜304で構成される。制御機構は、インプットに対してアウトプットを求めて動作する部分で、インプットは、例えばユーザーのボタン操作や他の制御機構からの通信を指す。制御機構の例としてはPC,WS,シーケンサー,制御基盤などを指す。一方通信ポートとは、通信を司るインターフェースであり、例えばPC,WSのネットワークポートや制御基盤の通信ポートなどを指す。通信網501〜505に対して、それぞれの制御機構は独立にネットワークポートを設けているため、他の通信の影響を受けない構造となっている。これが本装置の特徴であり、これにより通信負荷を低減し、パケットロスを抑え、制御パケットのグッドプットを向上させるのである。
【0027】
では、撮像の入力手順について説明する。ユーザーは、操作卓101にて患者情報やパラメータを入力する。操作卓101は入力結果に基づいて、装置の動作順序を作成する。その情報を、通信網504を通じてPET装置102に送られる。
【0028】
PET装置102では、受信したデータを元に撮像を実施する。撮像中は撮像状態を監視するため、通信網504を通じて操作卓101に状態を送信し、ユーザーが撮像状態を監視できるようにする。また、撮像で得られたデータは通信網502を通じてデータサーバー104に蓄積される。撮像が終了すると、操作卓101は再構成WS103に通信網505を通してデータの再構成を命令する。再構成サーバーは受信した再構成命令を元に再構成を行う。まず再構成に必要なデータをデータサーバー104から通信網503を介して受け取る。受け取ったデータを再構成する。この間、再構成の状況を報告するため通信網505を通して操作卓101に進行状況報告パケットを送る。再構成が終了すると通信網503を介してデータをデータサーバー104に保存し、通信網503を用いて操作卓101に終了通知を送る。操作卓101は終了通知を受け取ると、通信網501を通じてデータサーバーからデータを取得し、撮像画像を表示する。
【0029】
このようにデータは通信網501,502,503を通り、制御コマンドは通信網504,505を通ることで大容量データを通信しても制御コマンドのパケットロスがなくなる。これにより装置を安定に動作させ、かつ大容量データを通信することが可能となる。この結果大容量データを保存することが可能、つまり、リストデータを保存することが可能になる。
【0030】
さらに、データサーバー104を入れ替えることで、バックアップが可能となる。例えばパソコン内部に存在するHDDの交換はOSの入れ替えなど手間がかかる。それに対して外部でネットワーク接続された機器の交換は容易である。そのためデータサーバー104が満杯になれば、新しいデータサーバー104を用意し、新しいデータサーバー104aを接続することで過去のデータのバックアップと新しいデータの保存が可能となる。
【0031】
尚、図9,図10の様に、操作卓101,検査装置102各々からネットワーク接続されたデータサーバー104のネットワーク501,502をルータで接続して、操作卓
101と検査装置102の間にデータサーバー104とは独立した通信ネットワーク504を設けてもデータ転送信号と検査装置への制御信号を分離できる。図1,図2と同じ符号のものは同じ機能であるので説明を省略する。操作卓101から検査装置102への制御信号は、被験者への放射線照射等に関係する為、独立した通信ネットワーク504を設けて、データ転送信号と分離できる。
【0032】
本発明により、以下のメリットが得られる。
【0033】
1)データ通信によるパケットのロスがなくなるため、システム制御に影響を与えないので、堅牢なシステムが構築可能である。
【0034】
2)大容量データを保存できるため、装置の空間分解能の向上や、無効被ばくの低下が実現可能である。
【0035】
3)データサーバーの交換が容易であるため、データサーバーの交換によるバックアップが可能となる。
【実施例2】
【0036】
実施例1では撮像データを一旦データサーバーに蓄積してから再構成WSに保存した。しかし、データサーバーに一旦保存すると、時間がかかる。例えば4GBのデータの保存には分オーダーの時間がかかる。そこで、データサーバーに保存したデータを使わず、直接リストデータを再構成WSに送り、解析時間の短縮によるユーザーへのレスポンス向上を図る。一実施例である放射線検査システムを、図3を用いて以下に説明する。本実施例の放射線検査システムは、操作卓101,PET装置102,再構成WS103,データサーバー104から構成される。それらの装置は図に示す通信網501〜506で結線されており、それらを用いて通信が可能である。
【0037】
実施例1に比べPET装置と再構成WS間に通信網506を追加し、PET装置と再構成WS間で直接データのやり取りができるようにした。
【0038】
撮像の入力手順について説明する。ユーザーは、操作卓101にて患者情報やパラメータを入力する。操作卓101は入力結果に基づいて、装置の動作順序を作成する。その情報を、通信網504を通じてPET装置102に送られる。ここまでは実施例1と同じである。
【0039】
PET装置102では、受信したデータを元に撮像を実施する。撮像中は撮像状態を監視するため、通信網504を通じて操作卓101に状態を送信し、ユーザーが撮像状態を監視できるようにする。また、撮像で得られたデータは通信網502を通じてデータサーバー104に蓄積される。さらに本実施例では通信網506を用いてデータを再構成WS103に送る。再構成WS103に送られたデータは、データが到着しだい、順次再構成処理が開始される。収集中に再構成を行っているため、操作卓101と再構成WS103の間の制御通信も収集中から行われる。撮像が終了すると、撮像中に受け取ったデータの再構成処理の残りを再構成WS103は行う。この間、再構成の状況を報告するため引き続き通信網505を通して操作卓101に進行状況報告パケットを送る。再構成が終了すると通信網503を介してデータをデータサーバー104に保存し、通信網503を用いて操作卓101に終了通知を送る。操作卓101は終了通知を受け取ると、通信網501を通じてデータサーバーからデータを取得し、撮像画像を表示する。これにより、一旦データサーバー104に送信した後再構成WS103がデータを取得していた2回の通信を、1回の通信に低減することが可能である。
【0040】
このようにリストデータが通信網506を通ることで実施例1に比べて以下のメリットがある。
【0041】
4)データ通信量が削減されるため、ネットワーク負荷が低下し、より堅牢なシステムが構築可能である。
【0042】
5)特にデータサーバーはデータ中継を行う必要が無いため、CPU負荷も低下する。そのため、他の命令に対するレスポンス速度を向上でき、アクセスに対する反応速度が向上する。
【実施例3】
【0043】
データサーバーのネットワークポートが少ない場合、実施例1や実施例2のような構成がとれない場合がある。その場合、データ転送の制御を行う装置制御WSが再構成WS、及びPET装置のデータ転送の制御を行うことで、ネットワーク負荷の異常な増大によるトラブルを防止する。つまり、ユニットが多くなった場合には、それぞれに専用線を引くのは不可能である。そのため、制御系統とデータ保存系統をそれぞれまとめることで冗長な配線をなくすことが可能である。この例として図4がある。これにより、全てに対してユニットごとに設けていたデータ転送用ネットワークポートと、制御信号用ネットワークポートを束ねて減らすことにより、システムの小型化,通信機器の簡素化が可能である。
【0044】
一実施例である放射線検査システムを、図4を用いて以下に説明する。本実施例の放射線検査システムは、操作卓101,PET装置102,再構成WS103,データサーバー104から構成される。それらの装置は図に示す通信網601〜603で結線されており、それらを用いて通信が可能である。途中602と603はネットワークが結合されているが、これらは、例えば通信網がLANの場合はハブを介するなど、パケットの送信先に応じてパケットを送信する通信網を変える機構を具備している。
【0045】
撮像の入力手順について説明する。ユーザーは、操作卓101にて患者情報やパラメータを入力する。操作卓101は入力結果に基づいて、装置の動作順序を作成する。その情報を、通信網603を通じてPET装置102に送られる。
【0046】
PET装置102では、受信したデータを元に撮像を実施する。撮像中は撮像状態を監視するため、通信網603を通じて操作卓101に状態を送信し、ユーザーが撮像状態を監視できるようにする。また、撮像で得られたデータは通信網602を通じてデータサーバー104に蓄積される。撮像が終了すると、操作卓101は再構成WSに通信網602を通してデータの再構成を命令する。再構成サーバーは受信した再構成命令を元に再構成を行う。まず再構成に必要なデータをデータサーバー104から通信網602を介して受け取る。受け取ったデータを再構成する。この間、再構成の状況を報告するため通信網
603を通して操作卓101に進行状況報告パケットを送る。再構成が終了すると通信網602を介してデータをデータサーバー104に保存し、通信網602を用いて操作卓
101に終了通知を送る。操作卓101は終了通知を受け取ると、通信網601を通じてデータサーバーからデータを取得し、撮像画像を表示する。
【0047】
このようにデータは通信網601,602を通り、制御コマンドは通信網603を通ることでデータの通信網と制御コマンドの通信網を完全に分離して通信が可能である。この方式は、(実施例1)に示す効果のほかに、次の効果も併せ持つ。
【0048】
6)通信ポートが削減可能なため、システムの小型化に貢献する。
【0049】
データサーバー104,検査装置102,データ解析装置103を結ぶネットワークをルータで結合することで、データサーバー104,検査装置102,データ解析装置103それぞれの通信ポートを削減可能である。また、操作卓101,検査装置102,データ処理装置103を結ぶネットワークをルータで結合することで、操作卓101,検査装置102,データ処理装置103それぞれの通信ポートを削減可能である。また、図10と比較して、図4では操作卓101とデータサーバー104の間の通信ネットワーク601を、操作卓101と検査装置102の間の通信網603と独立して分離したので、操作卓101からデータサーバー104の画像解析を行っている場合でも、検査装置102からの装置状態を漏れなく受信することができる。装置状態とは、例えば、撮像や再構成の進捗状況,装置のエラー情報などである。
【0050】
なお、(実施例2)のようにPET装置102から再構成WS103にデータ通信網をもつことも可能である。一件冗長に見えるが、撮像中はデータサーバーへ常時データを送っており、通信網602は非常に負荷が高い。そのため、収集データを再構成WS103に送るために専用線を引くことは上記の効果に加えて(実施例2)の効果も併せ持つ。
【0051】
また、(実施例1)の図9,図10のように、通信網をまとめても良い。
【実施例4】
【0052】
実施例1〜3では操作卓101が装置制御を行っていたが、操作卓上ではユーザーがデータ解析を行うことがあるため、マシンが高負荷になる可能性がある。そのため、操作卓101の機能をユーザー表示/解析機能と、装置制御機能にわけ、装置制御機能を別の
WSに行わせることも可能である。本実施例では、そのような場合に適用できる実施例を示す。
【0053】
一実施例である放射線検査システムを、図5を用いて以下に説明する。本実施例の放射線検査システムは、操作卓101,PET装置102,再構成WS103,データサーバー104、及び全体制御装置105から構成される。また、それらは通信網で接続されている。全体制御装置105はPET装置102,再構成WS103を制御する。全体制御装置105,PET装置102,再構成WS103は通信網701で接続されている。データサーバー104,PET装置102,再構成WS103は通信網702で接続されている。操作卓101はデータサーバー104と通信網703で接続されている。操作卓
101は全体制御装置105と通信網704で接続されている。操作卓101は、データサーバー104と全体制御装置105の通信について、独立した通信網703,704で接続されている。
【0054】
操作卓でユーザーが装置制御命令を発行した場合、全体制御装置105にその情報が転送される。全体制御装置105は指示された装置制御命令に従い装置を制御する。そして、操作卓101に対して装置状態を送信する。装置状態とは、例えば、撮像や再構成の進捗状況,装置のエラー情報などである。これにより、操作卓101は装置制御に関しては、制御情報を受信する負荷しかかからないため、他の作業を行うことが可能となる。これにより画像解析や複数の装置の制御など、多くの作業が可能となる。
【0055】
本実施例では、実施例1〜3のメリットに加え、さらに以下のメリットがある。
【0056】
7)操作卓と制御機能の分離により、操作卓の負荷が低減するため、操作卓で高負荷処理が可能となる。例えば、画像解析や他システムとの通信、さらに、複数の装置制御などが挙げられる。
【0057】
また、操作卓101は、データサーバー104と全体制御装置105の通信について、独立した通信網703,704で接続されていることにより、制御情報を受信する際に、データサーバーからのデータで制御情報に影響を与えることなく、データサーバーにアクセスすることができる。
【0058】
尚、図6では、操作卓101は、データサーバー104と全体制御装置105の通信について、共通の通信網705で接続されている。これにより、操作卓の通信ポートが少なくても接続できる。
【0059】
上述した各実施例により、放射線検査装置のメンテナンス性向上、及び検査像の画質の向上が可能となる。
【0060】
また、各実施例に合わせて、図2の様な通信ポートで接続されたネットワーク構成をとることができる。
【0061】
また、上述した実施例の放射線検査システムは、PET装置の他、SPECT装置,
CT装置等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】放射線検査システムの一実施例である。
【図2】図1に示す実施例におけるネットワーク構成図である。
【図3】実施例2における放射線検査システムである。
【図4】実施例3における放射線検査システム装置である。
【図5】実施例4における放射線検査システム装置である。
【図6】実施例4における放射線検査システム装置の、図5とは異なる例である。
【図7】通信負荷とグッドプットの関係を示すグラフである。
【図8】通信負荷とパケットロスの関係を示すグラフである。
【図9】実施例1における放射線検査システムである。
【図10】図9に示す実施例におけるネットワーク構成図である。
【符号の説明】
【0063】
101…操作卓、102…PET装置、103…再構成WS、104…データサーバー、105…全体制御装置、201…操作卓制御機構、202…PET装置制御機構、203…再構成WS制御機構、204…データサーバー制御機構、301…操作卓通信ポート、302…PET装置通信ポート、303…再構成WS通信ポート、304…データサーバー通信ポート、501〜506,601〜603…通信網。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を検査する検査装置を制御する操作卓と、
前記検査装置と、
前記操作卓及び前記検査装置からネットワーク接続されたデータサーバーとを有し、
前記操作卓と前記検査装置の間に前記データサーバーとは独立した通信ネットワークが存在することを特徴とする放射線検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線検査システムにおいて、
前記検査装置の撮像データを画像へ再構成を行うデータ処理装置を有し、
前記データ処理装置は、前記データベースとの間に通信ネットワークを有し、前記操作卓との間に前記データベースとは独立した通信ネットワークを有することを特徴とする放射線検査システム。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線検査システムにおいて、前記検査装置と前記データ処理装置の間にも前記データベースとは独立したネットワークが存在することを特徴とする放射線検査システム。
【請求項4】
請求項1に記載の放射線検査システムにおいて、前記データサーバーと前記検査装置を結ぶネットワークと、前記データサーバーと前記データ処理装置を結ぶネットワークがルーターで結合された放射線検査システム。
【請求項5】
請求項1に記載の放射線検査システムにおいて、前記操作卓と前記検査装置を結ぶネットワークと、前記操作卓と前記データ処理装置を結ぶネットワークがルーターで結合された放射線検査システム。
【請求項6】
請求項1に記載の放射線検査システムにおいて、前記操作卓と前記検査装置を結ぶネットワークと、前記操作卓と前記データ解析装置を結ぶネットワークがルーターで結合され、かつ前記データサーバーと前記検査装置を結ぶネットワークと、前記データサーバーと前記データ解析装置を結ぶネットワークがルーターで結合された放射線検査システム。
【請求項7】
前記操作卓と前記検査装置の間に全体制御装置を配置したことを特徴とする、請求項1〜6に記載の放射線検査システム。
【請求項8】
被検体を検査する検査装置を制御する操作卓,前記検査装置,データ解析装置,データサーバー及び前記検査装置と前記データ処理装置を制御する制御装置を有する放射線検査システムであって、
前記検査装置,前記データ処理装置、及び前記制御装置がネットワーク接続され、前記検査装置,前記データ処理装置、及びデータサーバーがネットワーク接続され、前記操作卓,データサーバー及び前記制御装置がネットワーク接続されることを特徴とする放射線検査システム。
【請求項9】
請求項1に記載の放射線検査システムにおいて、
前記操作卓は、前記検査装置及び前記データベースのそれぞれについて独立した通信ポートを有し、
前記検査装置へ接続された通信ポートは、制御信号を送信するものであり、
前記検査装置は、前記操作卓、及び前記データベースのそれぞれについて独立した通信ポートを有し、
前記検査装置の前記データベースへ接続された通信ポートは、検出した放射線のデータを送信するものであることを特徴とする放射線検査システム。
【請求項10】
前記検査装置がPET装置である、請求項1〜9に記載の放射線検査システム。
【請求項11】
被検体を検査する検査装置を制御する操作卓は、前記検査装置のデータを保存するデータサーバーとは独立した通信ネットワークを介して、前記検査装置へ制御信号を送信し、
前記検査装置は、前記操作卓とは独立した通信ネットワークを介して前記データベースへ検出した放射線のデータを送信することを特徴とする放射線検査システムのデータ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−271494(P2007−271494A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98517(P2006−98517)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】