放射線治療干渉チェック装置及び放射線治療干渉チェック方法
【課題】放射線治療の前に、治療装置と患者或いは他の治療装置との物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーションの精度を向上させる事を目的とする。
【解決手段】患者24を光学ステレオカメラ23により撮影した光学画像と放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデル15を生成する患者3Dモデル撮影部5と、患者3Dモデル15と治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部2とを備えた。
【解決手段】患者24を光学ステレオカメラ23により撮影した光学画像と放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデル15を生成する患者3Dモデル撮影部5と、患者3Dモデル15と治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部2とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、癌治療を目的とした放射線治療装置や粒子線治療装置に関し、特に治療装置同士、または治療装置と患者との干渉確認を行う放射線治療干渉チェック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線治療や粒子線治療では、治療計画時に過去の参考データや経験則に基いて、治療装置同士、または治療装置と患者との干渉予測を行っていた。そのため、場合によっては治療時になって干渉が判明することがあり、その場合には、治療を中断して治療計画を再実施していた。そのため、患者の治療開始が遅れてしまううえに、治療計画作業の手戻りが発生し、さらには治療計画毎に作成した補償フィルタが無駄になるといった問題があった。
【0003】
過去の参考データや経験則によらずに、照射計画時に放射線治療装置と治療用寝台および患者との物理的干渉を事前にチェックする照射計画装置が特許文献1に開示されている。この照射計画装置は、治療計画用に撮影したCT(Computed Tomography)画像、また
はその他の放射線源を用いて得られた患者の輪郭情報を使って、干渉有無をシミュレーションする事が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−174885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術は、治療用放射線源装置が比較的小さく、治療計画用に撮影したCT画像、またはその他の放射線源から得られた輪郭情報の範囲内で干渉有無が十分に判定できる場合は効果が期待できる。しかしながら、粒子線治療装置のように治療用放射線源装置が大きい場合には、治療計画用CT画像、及び他の放射線源で撮影した範囲外で患者や治療装置に干渉する可能性があり、干渉チェックシミュレーションの精度が十分ではない。また、干渉有無シミュレーションの為に必要十分な広い範囲をCT装置や他の放射線源を用いて患者撮影を行うことは、患者に対する曝射量を増加させる事になる為、好ましいことではなく、現実的ではない。
【0006】
この発明の目的は、干渉チェックシミュレーションの精度を向上させる事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
患者を光学ステレオカメラにより撮影した光学画像と放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデルを生成する患者3Dモデル撮影部と、患者3Dモデルと治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る放射線治療干渉チェック装置は、治療計画に用いるCT画像に関連付けされた患者3D(三次元)モデルを光学画像から生成したので、患者3Dモデルを用いた干渉シミュレーションを高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の放射線治療干渉チェック装置のブロック図である。
【図2】図1の放射線治療干渉チェック装置の画面イメージ図である。
【図3】図1の患者3Dモデル撮影部を説明する図である。
【図4】図1の患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する正面図である。
【図5】図1の患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する上面図である。
【図6】この発明の実施の形態1の干渉チェックフローを示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【図8】実施の形態2の放射線治療干渉チェック装置の3Dビュー画面である。
【図9】この発明の実施の形態3における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態4における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態5における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における放射線治療干渉チェック装置のブロック図である。放射線治療干渉チェック装置1は、干渉チェックシミュレーション部2と、治療装置3Dモデルデータベース3と、患者3Dモデルデータベース4と、患者3Dモデル撮影部5とを有する。干渉チェックシミュレーション部2は、コンピュータ及びソフトウェアで構成される。治療装置3Dモデルデータベース3には、治療室毎に干渉チェックに必要な全ての治療装置の3Dモデルである治療装置3Dモデルが格納されている。患者3Dモデルデータベース4には、患者の3Dモデルである患者3Dモデルが格納されている。患者3Dモデル撮影部5は、患者3Dモデルを撮影する機能を有し、患者の撮影及び患者の3Dモデルの作成後に、患者の3Dモデルを患者3Dモデルデータベース4へ格納する。治療計画装置10は、照射対象である患部の三次元データに基づいて、照射条件などいくつかの治療計画を立案し、粒子線治療をシミュレートする。干渉チェックシミュレーション部2は、治療計画装置10が生成した治療計画に基づいて、治療装置3Dモデルデータベース3に格納された治療装置3Dモデルと、患者3Dモデルデータベース4に格納された患者3Dモデルとの干渉チェックのシミュレーションを行う。
【0011】
図2は、放射線治療干渉チェック装置の画面イメージ図である。放射線治療干渉チェック装置1の画面は、3Dモデル表示部20と、操作メニュー部18と、位置設定部19を有する。3Dモデル表示部20には、治療装置3Dモデルの回転ガントリー11と、照射ノズル12と、治療台天板13と、治療台下部14が配置され、治療台天板13の上に患者3Dモデル15が配置される。
【0012】
回転ガントリー11は、照射角度を変更する為に360度回転することができる。照射ノズル12は、治療の際に最下部より粒子線を出射する。治療台下部14は、治療台天板13を支える。矢印16は、照射ノズル12と、治療台天板13、治療台下部14及び患者3Dモデル15との最短距離を表す。点線17は、エアギャップであり、照射ノズル12の最下部中央から回転ガントリー11の中心へ向かう直線上で、照射ノズル12の最下部中央と患者3Dモデル15の体表面との距離を表す。操作メニュー部18は、干渉チェックシミュレーションの実行制御と、実行結果として最短距離とエアギャップを表示する。位置設定部19は、患者モデルの位置設定を行う入力部であり、治療計画装置で算出した治療アイソセンタ座標と患者方向を入力することにより、患者3Dモデル15を治療計画装置10で計画した治療位置へ設定する。
【0013】
図3は、放射線治療干渉チェック装置の患者3Dモデル撮影部を説明する図である。患者3Dモデル撮影部5は、CT室のCT寝台25に固定された患者24を光学ステレオカメラ23により光学画像を撮影する。CT原点22は、CTガントリー21の中心である。CT画像原点26は、患者24がCTガントリー21の内部に入り、CT撮影時にCT画像原点となった点である。モデル基準座標点27は、光学ステレオカメラ23が撮影する撮影領域28の基準座標点であり、撮影した患者3Dモデル15の基準点となる。
【0014】
光学ステレオカメラ23はCT装置(CTガントリー21)座標系に合わせるキャリブレーションを行う。可変距離L1は、CT原点22とCT画像原点26との差分を表す。固定距離L0は、CT原点22とモデル基準座標点27との差分を表す。可変距離L2は、CT画像原点26とモデル基準座標点27との基準点を表す。ここで、CT原点22、CT画像原点26、モデル基準座標点27のそれぞれの座標は、X座標、Z座標については同一で、Y座標のみ異なる。
【0015】
図4は患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する正面図であり、図5は患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する上面図である。光学ステレオカメラ23は、2台のレンズが1筐体に組み込まれており、2台のレンズが所定の一定距離の関係である為に、三角測量の原理で撮影対象物の三次元計測が可能となるものである。1台のカメラでは死角が多くなるため、2台の光学ステレオカメラ23a、23b(レンズは4個)を使って、CT寝台25に固定された患者24の左右上方から撮影する構成が適している。これにより、死角を少なくでき、十分な画像を撮影することができる。光学ステレオカメラ23の撮影視野を確保する為に、光学ステレオカメラ23と患者24との距離は約2mにする。これにより約1000mmの範囲(患者の身長方向、Y方向)を撮影することができる。CT寝台法線60と光学ステレオカメラ23aのカメラ法線61aとの角度θと、CT寝台法線60と光学ステレオカメラ23bのカメラ法線61bとの角度θは約35度である。撮影時に撮影精度を上げる為に、ランダムドットパターンを撮影対象に投光する。光源は可視光や赤外線を用いるのが適当である。可視光でまぶしいと感じる患者の場合には、赤外線で撮影することは有効な選択肢である。
【0016】
図6は放射線治療干渉チェック装置を用いた干渉チェックフローを示す図である。ステップS001は患者3Dモデル撮影部5による患者3Dモデル作成フェーズであり、ステップS002〜S006の処理から構成する。ステップS011は治療計画装置10による治療計画の立案作業であり、ステップS012〜S014の処理から構成する。ステップS021は干渉チェックシミュレーション部2による干渉チェックシミュレーションのフェーズであり、ステップS022〜S027の処理から構成する。以下に動作について説明する。
【0017】
放射線治療装置や粒子線治療の治療計画作業ステップS011を行う前に、治療計画に用いるCT画像を撮影する。このCT画像の撮影時に、患者3Dモデル撮影部5により患者を撮影し、患者3Dモデル15を作成する。手順は次の通りとなる。治療計画用CT撮影後に患者をCT寝台25に乗せた状態で、光学ステレオカメラ23の撮影範囲へ移動し固定する(ステップS002)。治療時に治療用放射線源装置を近づける事になる治療アイソセンタはCT画像原点26付近にあると想定されるので、CT画像原点26となった位置を光学ステレオカメラ撮影範囲の中心付近に移動する。CT画像原点26となる位置は患者毎に異なるため、この時の移動距離は可変距離L1となる。
【0018】
次に、光学ステレオカメラ23を用いてCT寝台25上の患者24を撮影する(ステップS003)。図4、図5に示した撮影方法により撮影する。撮影時の情報であるCT寝
台25のCT寝台移動量と患者24の患者方向を撮影画像の属性情報として入力する(ステップS004)。
【0019】
光学ステレオカメラ23が撮影する撮影領域28の基準座標点27を初期原点とした患者3Dモデルを生成する(ステップS005)。ここで、固定距離L0は光学ステレオカメラ23とCTガントリー21との設置関係による固定距離であり、可変距離L1はCT寝台25の移動時にCT装置により計測可能であるので、可変距離L2がL0−L1として算出できる。患者モデルの初期原点27から可変距離L2だけ原点位置を移動させる処理を行うことにより、CT画像原点26を原点とする患者3Dモデル15を得ることができる。患者3Dモデル15の詳しい説明は後述する。尚、患者方向についても患者3Dモデル保存時に撮影属性として保存する。後述する干渉チェックシミュレーションは、治療計画装置10で算出した治療計画通りに患者24をシミュレーション空間に設置する必要がある。治療計画装置10での座標算出はCT画像の座標系に基づく。上記に記載した方式によって、患者3Dモデル15にCT画像原点情報を持たせることができるため、CT装置とは直接座標関係を持たない光学ステレオカメラ23で患者の撮影及び撮影した光学画像により作成した患者3Dモデル15を干渉チェックシミュレーションに使用することができる。ステップS005で作成した患者3Dモデル15は患者3Dモデルデータベース4へ格納される(ステップS006)。
【0020】
ここで、患者3Dモデル15について説明する。患者3Dモデル15は体表面を表わすポリゴンデータの集合と属性情報を有する。干渉チェック目的では、患者3Dモデル15の体表面情報だけあれば十分である。患者3Dモデル15のポリゴンデータは、具体的にはSTL(Standard Triangulated Language)というフォーマットを使用し、各ポリゴン(三角形)を頂点座標(X,Y,Z)とその法線ベクトルで表わされる。患者3Dモデル15は、属性情報として、患者ID、患者氏名、撮影日時、撮影時コメント、撮影時のCT寝台25と患者24の位置関係、撮影時のCT寝台位置(CT室内の位置)などを有する。
【0021】
患者3Dモデル15のポリゴンデータは、次のように生成する。まず、光学ステレオカメラ23で撮影し、撮影対象物体(患者24)の点群情報を得る。この時点では、撮影対象物体は多くの点(X,Y,Z)の集合である。この点の集合に対してポリゴン(三角形)を張る処理を行い、ポリゴンデータを生成する。このように患者24の体表面情報を患者3Dモデル15に構成する。患者3Dモデル15の属性情報における患者ID、患者氏名、撮影日時、撮影時コメントは、操作者が操作画面を見ながら入力する。撮影時のCT寝台25と患者24の位置関係、撮影時のCT寝台位置(CT室内の位置)は、操作者が測定して入力することもできるが、上述したようにCT装置により計測も可能である。
【0022】
次に、ステップS011に示す治療計画を行う。ステップS012で、治療計画を開始する。ステップS013で、治療アイソセンタ座標及び患者方向の算出を行う。ステップS013で、照射角度及びエアギャップの算出を行う。
【0023】
次に、ステップS021に示す干渉チェックシミュレーション部2による干渉チェックシミュレーションを行う。粒子線治療干渉チェック装置のうち、干渉チェックシミュレーション部(機能)2を起動し、ステップS022〜S027の工程を行う。干渉チェックシミュレーション部(機能)2の起動の際、治療室、患者IDを指定することによって、治療室については治療装置3Dモデルデータベース3から指定された治療室に該当する全ての治療装置3Dモデルを取り出し、干渉チェックシミュレーション空間へ配置する。同様に、患者3Dモデル15についても、患者3Dモデルデータベース4より、指定された患者IDのモデルを取り出し、干渉チェックシミュレーション空間へ配置する。
【0024】
次に、治療計画で算出したデータのうち、治療アイソセンタの座標、患者方向を放射線治療干渉チェック装置1の位置設定部19へ入力する(ステップS022)。治療アイソセンタの座標は治療計画装置10でCT画像原点26からの距離として算出されるので、CT画像原点26である患者3Dモデル15の原点から入力した距離だけ移動させることにより、シミュレーション空間で患者3Dモデル15の治療アイソセンタを粒子線照射位置である治療室の空間中心に一致させることができる。同様に患者方向についても、患者3Dモデル撮影部(機能)5で撮影した際に保存している患者方向情報を用いて、シミュレーション空間内で設定する。
【0025】
次に、放射線治療干渉チェック装置1の操作メニュー部18へ、干渉チェック条件として入力する(ステップS023)。入力する条件は、ガントリー角度、ノズル距離、治療台の回転等、各3Dモデルの位置を指定する値である。条件入力後、各3Dモデルは指定された位置へ移動する。
【0026】
次に、放射線治療干渉チェック装置1の操作メニュー部18を操作して、干渉チェックを実行する(ステップS024)。放射線治療干渉チェック装置1のシミュレーション空間では、照射ノズル12が患者24の患者3Dモデル15へ向かって徐々に伸張する。その際、照射ノズル12と患者3Dモデル15及び治療台(治療台天板13、治療台下部14)間の最短距離16と、エアギャップ17をリアルタイムで強調線表示する(図2参照)。同時に、画面右側の操作メニュー部18の上部には、エアギャップと最短距離が数値として表示される。条件入力で指定したノズル距離だけ伸張すると、照射ノズル12は停止する。もし、ノズル距離に達する迄の間に干渉が発生した場合は、その時点で照射ノズル12は停止し、操作メニュー部18の結果表示欄へ干渉発生を表示する。
【0027】
ステップS025で干渉が発生したかを判定し、治療計画で立案したノズル距離だけ照射ノズル12を伸ばした場合に干渉が発生する事が分かった場合は、操作メニュー部18の結果表示欄へ表示された干渉発生時のエアギャップを確認し(ステップS026)、この干渉発生時のエアギャップを参考に、ステップS014に戻って治療計画を修正する。
【0028】
ステップS025で干渉が発生したかを判定し、治療計画で立案したノズル距離だけ照射ノズル12を伸ばした場合に干渉が発生しない事が分かった場合は、適切なエアギャップであるかどうかを判定し(ステップS027)、適切である場合には、干渉チェックシミュレーションを終了する。この場合には、治療計画の修正はない。逆に、適切でないと判断した場合には、再度、操作メニュー部18で条件入力を行い、適切なエアギャップをシミュレーションにより確認した(ステップS026)上で、ステップS014に戻って治療計画を修正する。
【0029】
実施の形態1の放射線治療干渉チェック装置1は、治療計画に用いるCT画像に関連付けされた広範囲の患者3Dモデル15を光学画像から生成したので、患者3Dモデル15を用いた干渉シミュレーションを高精度に行うことができる。
【0030】
実施の形態1の放射線治療干渉チェック装置1は、干渉チェックシミュレーションに使用する必要十分な範囲の正確な患者3Dモデル15を得ることができる為、治療計画作成時に、立案した治療計画に基づいて治療室で治療を行った場合に干渉が発生するかどうかを3Dシミュレーションによって正確に確認することができる。また、干渉が発生しない治療装置と患者24の位置関係を必要に応じて治療計画にフィードバックし、治療計画の完成度を高めることができる。実際の治療を開始する前である治療計画作成時点でこれらのことが判断できるため、治療時になって干渉発生が判明する場合に比べて、患者24の治療を計画通りに開始できること、治療計画を再実施する手戻りを削減できること、及び治療計画に基いて作成した補償フィルタが無駄にならないこと、といった効果がある。
【0031】
以上のように実施の形態1の放射線治療干渉チェック装置1によれば、患者24を光学ステレオカメラ23により撮影した光学画像と放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデル15を生成する患者3Dモデル撮影部5と、患者3Dモデル15と治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部2とを備えたので、患者3Dモデル15を用いた干渉シミュレーションを高精度に行うことができる。
【0032】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。実施の形態1とは放射線治療干渉チェック装置1の干渉チェックシミュレーション部(機能)2へ「ノイズ除去機能(機能部)」を追加する点で異なる。「ノイズ除去機能(機能部)」を追加する事により、患者3Dモデルに含まれるノイズを除去できる為、干渉チェックの精度をさらに向上させることができる。以下に説明する。
【0033】
図7(a)は光学画像から生成した患者3Dモデルにノイズが発生している状態を示す図であり、図7(b)はノイズ除去後の患者3Dモデルを示す図である。31はノイズ除去前の患者3Dモデルであり、35はノイズ除去後の患者3Dモデルである。ノイズ32は患者3Dモデル31の体表面のポリゴンと頂点共有された腹部側面付近のノイズであり、ノイズ33は患者3Dモデル31の体表面のポリゴンと頂点非共有である腹部側面付近のノイズである。ノイズ32、33は、光学ステレオカメラ23で撮影した際の点群データに含まれてしまったノイズである。点群データを取得した際に含まれてしまったノイズは、面張り処理(ポリゴン化)を行う前に、有る程度のノイズ除去が行なわれる。しかし、完全にノイズを除去しきれない場合には、体表面近くでは、ノイズの点に対しても面張り処理が行われてしまい、体表面近くで多少の凸凹や突起が発生することがある。
【0034】
ノイズ32、33近辺に照射ノズル12を近づける干渉チェックシミュレーションを行う場合、患者3Dモデル31に含まれるノイズの影響で干渉チェック精度が低下する。そこで、図7(a)に示すように、ノイズ範囲指定34を範囲指定する事により指定したノイズを削除する。ポリゴン集合で頂点共有しているノイズ32の場合は、図8に示すように、放射線治療干渉チェック装置1の3Dビュー画面41を開き、3Dビュー画面41を使って、手動で削除する範囲であるノイズ範囲指定36を指定して削除する。図8は放射線治療干渉チェック装置の3Dビュー画面を示す図である。ノイズ範囲指定36は、例えば指定した頂点Pと指定した頂点Pからの直交する3方向の長さm1、m2、m3により指定する。ノイズ除去機能はステップS024の工程として、操作メニュー部18のチェック実行(図2参照)を操作する前に行う。
【0035】
尚、削除対象のノイズが患者3Dモデル31とは分離したデータ、つまり、ポリゴン集合で頂点共有していないノイズ33である場合、その条件を用いて自動的に削除することができる。
【0036】
実施の形態2の干渉チェックシミュレーション部(機能)2に於けるノイズ除去機能は、患者3Dモデル撮影時に自動除去しきれなかったノイズを、干渉チェックシミュレーション部(機能)2の3Dビュー画面41を用いて、操作者がノイズと判別した範囲を手動または自動機能で削除して、正確な患者3Dモデル35を得ることができる。正確な患者3Dモデル35を得ることができるので、干渉チェックシミュレーションの精度をさらに向上させるという効果がある。
【0037】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明す
る図である。実施の形態1及び2とは放射線治療干渉チェック装置1の干渉チェックシミュレーション部(機能)2へ「体表面補完機能(機能部)」を追加する点で異なる。「体表面補完機能(機能部)」を追加する事により、患者3Dモデルに含まれる欠落した体表面を補完できることにより、干渉チェック精度をさらに向上させることができる。以下に説明する。
【0038】
図9(a)は光学画像から生成した患者3Dモデルに欠落部が発生している状態を示す図であり、図9(b)は欠落部の補完後の患者3Dモデルを示す図である。42は腹部側面に欠落した体表面(欠落部)43が存在する患者3Dモデルの例であり、44は欠落部の補完後の患者3Dモデルの例である。光学ステレオカメラ23を含む光学カメラで患者24を撮影する欠点として、撮影条件によっては点群データを取得できないことがある。鏡面反射する箇所と光を強く吸収する箇所である。例えば、患者24を固定する固定具の一部で鏡面反射が発生した場合は、一方向に強い光が返ってくる為、光学ステレオカメラ23ではレンズフレア現象が起き、その箇所については三次元計測ができずに体表面が欠落してしまうことがある。逆に光を強く吸収する場合は、ほとんどの光が光学ステレオカメラ23に戻ってこない為、その箇所については三次元計測ができずに体表面が欠落してしまうことがある。
【0039】
体表面補完機能はステップS024の工程として、操作メニュー部18のチェック実行(図2参照)を操作する前に行う。欠落部43を実施の形態2で示した3Dビュー画面41で手動選択することにより、欠落部43を補完する体表面45を追加した患者3Dモデル44を得ることができる。
【0040】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態3における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。実施の形態1〜3とはCT画像の輪郭情報により修正された患者3Dモデルで干渉チェックシミュレーションを実行する点で異なる。CT画像の輪郭情報により患者3Dモデルを修正する画像フュージョンする画像フュージョン機能(機能部)を有する。CT画像の輪郭情報により修正された患者3Dモデルは光学画像とCT画像の輪郭像を画像フュージョンにより得られる。CT画像の輪郭情報により患者3Dモデルを修正することで、精度を高めた患者3Dモデルを得ることができ、その結果、干渉チェックシミュレーションの精度をさらに向上させることができる。以下に説明する。
【0041】
図10(a)は患者24のCT画像の撮影範囲を示す図であり、図10(b)は画像フュージョンの概略を示す図である。CT画像の撮影範囲46は、CT画像の上限輪郭情報49を含む上切断面47とCT画像の下限輪郭情報50を含む下切断面48との間である。光学ステレオカメラ23により撮影された光学画像の輪郭52(患者3Dモデル63)と、この光学画像の輪郭52部分に相当するCT画像の輪郭53を重ね合わせて、二重輪郭55を得る。光学画像の輪郭52をCT画像の輪郭53に近づくように収束させて、画像フュージョン後の光学画像の輪郭54(患者3Dモデル62)を得る。CT画像の撮影範囲46に画像フュージョンを行うことで、CT画像の輪郭情報により修正された患者3Dモデル62を得ることができる。
【0042】
CT画像の輪郭情報は光学画像の輪郭情報よりも正確であると考えられる。CT画像の輪郭情報に合わせて、光学ステレオカメラ23で撮影した体表面形状(輪郭)を修正する。光学ステレオカメラ23で撮影した体表面形状(輪郭)をある程度維持しつつ、CT画像の輪郭にその体表面形状(輪郭)が全体的に最も近づくように収束させる処理を行う。具体的はSTLデータ(ポリゴンデータ)の各頂点情報を変更して、収束処理を行う。
【0043】
画像フュージョンはステップS024の工程として、操作メニュー部18のチェック実
行(図2参照)を操作する前に行う。図10(a)や図10(b)の光学画像の輪郭52やCT画像の輪郭53が表示される画像フュージョン画面を開き、画像フュージョンの実行を行う。画像フュージョン画面が開くと、CT画像データベースから患者のCT画像を読み出される。患者3DモデルはCT画像の座標系に基づいているので、画像フュージョンの実行操作を行うことで、放射線治療干渉チェック装置1は、CT画像の上限輪郭情報49及び下限輪郭情報50の患者の身長方向(Y方向)のY座標からCT画像の撮影範囲46を設定し、患者3Dモデル63のSTLデータ(ポリゴンデータ)の各頂点情報を変更して、収束処理を行う。
【0044】
実施の形態4の放射線治療干渉チェック装置1は、画像フュージョンを用いてCT画像の輪郭情報により患者3Dモデル63を修正することで、精度を高めた患者3Dモデル62を得ることができ、その結果、干渉チェックシミュレーションの精度をさらに向上させることができる。
【0045】
実施の形態5.
図11はこの発明の実施の形態5における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。実施の形態1〜4とは、患者3Dモデル15は、属性情報として、CT画像原点26とCT寝台25との位置関係を有する点で異なる。干渉チェックシミュレーション時の患者3Dモデル15と治療台13との位置関係(図2参照)を、光学画像撮影時における患者24とCT寝台25との関係を正確に再現できる。干渉チェックシミュレーションにおいて患者24とCT寝台25との関係を正確に再現するので、この位置関係で治療を行う干渉シミュレーションをさらに高精度に行うことができる。
【0046】
干渉チェックシミュレーションでは、患者3Dモデル15の属性情報である撮影時のCT寝台25と患者24の位置関係及び撮影時のCT寝台位置(CT室内の位置)から患者3Dモデル15の初期位置設定を行う。図11に示すように、患者24のCT画像原点26がCT寝台25の中央線57から横方向にずれている場合には、CT画像原点26とCT寝台25との位置関係を、CT寝台両端のマーカー58、59からの距離を光学ステレオカメラ23によって自動計測する事によって求める。CT画像原点26はCTガントリー21の中心線56上にあるので、マーカー58、59のCT寝台の短手方向(X方向)の座標を得ることでCT画像原点26とマーカー58、59との位置関係を得ることができる。光学ステレオカメラ23はCT装置(CTガントリー21)座標系に合わせるキャリブレーションを行うので、マーカー58、59を三次元計測することにより、マーカー58、59のCT寝台の短手方向(X方向)の座標を得ることができる。患者3Dモデル15は、属性情報として、CT画像原点26とCT寝台25との位置関係を有する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明に係る放射線治療干渉チェック装置は、放射線治療装置や粒子線治療装置を利用する際の治療装置同士、または治療装置と患者との干渉確認を好適に行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 放射線治療干渉チェック装置 2 干渉チェックシミュレーション部
5 患者3Dモデル撮影部 15 患者3Dモデル
23 光学ステレオカメラ 23a 光学ステレオカメラ
23b 光学ステレオカメラ 24 患者
25 CT寝台 26 CT画像原点
34 ノイズ範囲指定 35 患者3Dモデル(ノイズ除去後)
36 ノイズ範囲指定 44 患者3Dモデル(欠落部の補完後)62 患者3Dモデル(画像フュージョン後)
【技術分野】
【0001】
この発明は、癌治療を目的とした放射線治療装置や粒子線治療装置に関し、特に治療装置同士、または治療装置と患者との干渉確認を行う放射線治療干渉チェック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線治療や粒子線治療では、治療計画時に過去の参考データや経験則に基いて、治療装置同士、または治療装置と患者との干渉予測を行っていた。そのため、場合によっては治療時になって干渉が判明することがあり、その場合には、治療を中断して治療計画を再実施していた。そのため、患者の治療開始が遅れてしまううえに、治療計画作業の手戻りが発生し、さらには治療計画毎に作成した補償フィルタが無駄になるといった問題があった。
【0003】
過去の参考データや経験則によらずに、照射計画時に放射線治療装置と治療用寝台および患者との物理的干渉を事前にチェックする照射計画装置が特許文献1に開示されている。この照射計画装置は、治療計画用に撮影したCT(Computed Tomography)画像、また
はその他の放射線源を用いて得られた患者の輪郭情報を使って、干渉有無をシミュレーションする事が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−174885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術は、治療用放射線源装置が比較的小さく、治療計画用に撮影したCT画像、またはその他の放射線源から得られた輪郭情報の範囲内で干渉有無が十分に判定できる場合は効果が期待できる。しかしながら、粒子線治療装置のように治療用放射線源装置が大きい場合には、治療計画用CT画像、及び他の放射線源で撮影した範囲外で患者や治療装置に干渉する可能性があり、干渉チェックシミュレーションの精度が十分ではない。また、干渉有無シミュレーションの為に必要十分な広い範囲をCT装置や他の放射線源を用いて患者撮影を行うことは、患者に対する曝射量を増加させる事になる為、好ましいことではなく、現実的ではない。
【0006】
この発明の目的は、干渉チェックシミュレーションの精度を向上させる事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
患者を光学ステレオカメラにより撮影した光学画像と放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデルを生成する患者3Dモデル撮影部と、患者3Dモデルと治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る放射線治療干渉チェック装置は、治療計画に用いるCT画像に関連付けされた患者3D(三次元)モデルを光学画像から生成したので、患者3Dモデルを用いた干渉シミュレーションを高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の放射線治療干渉チェック装置のブロック図である。
【図2】図1の放射線治療干渉チェック装置の画面イメージ図である。
【図3】図1の患者3Dモデル撮影部を説明する図である。
【図4】図1の患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する正面図である。
【図5】図1の患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する上面図である。
【図6】この発明の実施の形態1の干渉チェックフローを示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【図8】実施の形態2の放射線治療干渉チェック装置の3Dビュー画面である。
【図9】この発明の実施の形態3における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態4における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態5における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における放射線治療干渉チェック装置のブロック図である。放射線治療干渉チェック装置1は、干渉チェックシミュレーション部2と、治療装置3Dモデルデータベース3と、患者3Dモデルデータベース4と、患者3Dモデル撮影部5とを有する。干渉チェックシミュレーション部2は、コンピュータ及びソフトウェアで構成される。治療装置3Dモデルデータベース3には、治療室毎に干渉チェックに必要な全ての治療装置の3Dモデルである治療装置3Dモデルが格納されている。患者3Dモデルデータベース4には、患者の3Dモデルである患者3Dモデルが格納されている。患者3Dモデル撮影部5は、患者3Dモデルを撮影する機能を有し、患者の撮影及び患者の3Dモデルの作成後に、患者の3Dモデルを患者3Dモデルデータベース4へ格納する。治療計画装置10は、照射対象である患部の三次元データに基づいて、照射条件などいくつかの治療計画を立案し、粒子線治療をシミュレートする。干渉チェックシミュレーション部2は、治療計画装置10が生成した治療計画に基づいて、治療装置3Dモデルデータベース3に格納された治療装置3Dモデルと、患者3Dモデルデータベース4に格納された患者3Dモデルとの干渉チェックのシミュレーションを行う。
【0011】
図2は、放射線治療干渉チェック装置の画面イメージ図である。放射線治療干渉チェック装置1の画面は、3Dモデル表示部20と、操作メニュー部18と、位置設定部19を有する。3Dモデル表示部20には、治療装置3Dモデルの回転ガントリー11と、照射ノズル12と、治療台天板13と、治療台下部14が配置され、治療台天板13の上に患者3Dモデル15が配置される。
【0012】
回転ガントリー11は、照射角度を変更する為に360度回転することができる。照射ノズル12は、治療の際に最下部より粒子線を出射する。治療台下部14は、治療台天板13を支える。矢印16は、照射ノズル12と、治療台天板13、治療台下部14及び患者3Dモデル15との最短距離を表す。点線17は、エアギャップであり、照射ノズル12の最下部中央から回転ガントリー11の中心へ向かう直線上で、照射ノズル12の最下部中央と患者3Dモデル15の体表面との距離を表す。操作メニュー部18は、干渉チェックシミュレーションの実行制御と、実行結果として最短距離とエアギャップを表示する。位置設定部19は、患者モデルの位置設定を行う入力部であり、治療計画装置で算出した治療アイソセンタ座標と患者方向を入力することにより、患者3Dモデル15を治療計画装置10で計画した治療位置へ設定する。
【0013】
図3は、放射線治療干渉チェック装置の患者3Dモデル撮影部を説明する図である。患者3Dモデル撮影部5は、CT室のCT寝台25に固定された患者24を光学ステレオカメラ23により光学画像を撮影する。CT原点22は、CTガントリー21の中心である。CT画像原点26は、患者24がCTガントリー21の内部に入り、CT撮影時にCT画像原点となった点である。モデル基準座標点27は、光学ステレオカメラ23が撮影する撮影領域28の基準座標点であり、撮影した患者3Dモデル15の基準点となる。
【0014】
光学ステレオカメラ23はCT装置(CTガントリー21)座標系に合わせるキャリブレーションを行う。可変距離L1は、CT原点22とCT画像原点26との差分を表す。固定距離L0は、CT原点22とモデル基準座標点27との差分を表す。可変距離L2は、CT画像原点26とモデル基準座標点27との基準点を表す。ここで、CT原点22、CT画像原点26、モデル基準座標点27のそれぞれの座標は、X座標、Z座標については同一で、Y座標のみ異なる。
【0015】
図4は患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する正面図であり、図5は患者3Dモデル撮影部の撮影方法を説明する上面図である。光学ステレオカメラ23は、2台のレンズが1筐体に組み込まれており、2台のレンズが所定の一定距離の関係である為に、三角測量の原理で撮影対象物の三次元計測が可能となるものである。1台のカメラでは死角が多くなるため、2台の光学ステレオカメラ23a、23b(レンズは4個)を使って、CT寝台25に固定された患者24の左右上方から撮影する構成が適している。これにより、死角を少なくでき、十分な画像を撮影することができる。光学ステレオカメラ23の撮影視野を確保する為に、光学ステレオカメラ23と患者24との距離は約2mにする。これにより約1000mmの範囲(患者の身長方向、Y方向)を撮影することができる。CT寝台法線60と光学ステレオカメラ23aのカメラ法線61aとの角度θと、CT寝台法線60と光学ステレオカメラ23bのカメラ法線61bとの角度θは約35度である。撮影時に撮影精度を上げる為に、ランダムドットパターンを撮影対象に投光する。光源は可視光や赤外線を用いるのが適当である。可視光でまぶしいと感じる患者の場合には、赤外線で撮影することは有効な選択肢である。
【0016】
図6は放射線治療干渉チェック装置を用いた干渉チェックフローを示す図である。ステップS001は患者3Dモデル撮影部5による患者3Dモデル作成フェーズであり、ステップS002〜S006の処理から構成する。ステップS011は治療計画装置10による治療計画の立案作業であり、ステップS012〜S014の処理から構成する。ステップS021は干渉チェックシミュレーション部2による干渉チェックシミュレーションのフェーズであり、ステップS022〜S027の処理から構成する。以下に動作について説明する。
【0017】
放射線治療装置や粒子線治療の治療計画作業ステップS011を行う前に、治療計画に用いるCT画像を撮影する。このCT画像の撮影時に、患者3Dモデル撮影部5により患者を撮影し、患者3Dモデル15を作成する。手順は次の通りとなる。治療計画用CT撮影後に患者をCT寝台25に乗せた状態で、光学ステレオカメラ23の撮影範囲へ移動し固定する(ステップS002)。治療時に治療用放射線源装置を近づける事になる治療アイソセンタはCT画像原点26付近にあると想定されるので、CT画像原点26となった位置を光学ステレオカメラ撮影範囲の中心付近に移動する。CT画像原点26となる位置は患者毎に異なるため、この時の移動距離は可変距離L1となる。
【0018】
次に、光学ステレオカメラ23を用いてCT寝台25上の患者24を撮影する(ステップS003)。図4、図5に示した撮影方法により撮影する。撮影時の情報であるCT寝
台25のCT寝台移動量と患者24の患者方向を撮影画像の属性情報として入力する(ステップS004)。
【0019】
光学ステレオカメラ23が撮影する撮影領域28の基準座標点27を初期原点とした患者3Dモデルを生成する(ステップS005)。ここで、固定距離L0は光学ステレオカメラ23とCTガントリー21との設置関係による固定距離であり、可変距離L1はCT寝台25の移動時にCT装置により計測可能であるので、可変距離L2がL0−L1として算出できる。患者モデルの初期原点27から可変距離L2だけ原点位置を移動させる処理を行うことにより、CT画像原点26を原点とする患者3Dモデル15を得ることができる。患者3Dモデル15の詳しい説明は後述する。尚、患者方向についても患者3Dモデル保存時に撮影属性として保存する。後述する干渉チェックシミュレーションは、治療計画装置10で算出した治療計画通りに患者24をシミュレーション空間に設置する必要がある。治療計画装置10での座標算出はCT画像の座標系に基づく。上記に記載した方式によって、患者3Dモデル15にCT画像原点情報を持たせることができるため、CT装置とは直接座標関係を持たない光学ステレオカメラ23で患者の撮影及び撮影した光学画像により作成した患者3Dモデル15を干渉チェックシミュレーションに使用することができる。ステップS005で作成した患者3Dモデル15は患者3Dモデルデータベース4へ格納される(ステップS006)。
【0020】
ここで、患者3Dモデル15について説明する。患者3Dモデル15は体表面を表わすポリゴンデータの集合と属性情報を有する。干渉チェック目的では、患者3Dモデル15の体表面情報だけあれば十分である。患者3Dモデル15のポリゴンデータは、具体的にはSTL(Standard Triangulated Language)というフォーマットを使用し、各ポリゴン(三角形)を頂点座標(X,Y,Z)とその法線ベクトルで表わされる。患者3Dモデル15は、属性情報として、患者ID、患者氏名、撮影日時、撮影時コメント、撮影時のCT寝台25と患者24の位置関係、撮影時のCT寝台位置(CT室内の位置)などを有する。
【0021】
患者3Dモデル15のポリゴンデータは、次のように生成する。まず、光学ステレオカメラ23で撮影し、撮影対象物体(患者24)の点群情報を得る。この時点では、撮影対象物体は多くの点(X,Y,Z)の集合である。この点の集合に対してポリゴン(三角形)を張る処理を行い、ポリゴンデータを生成する。このように患者24の体表面情報を患者3Dモデル15に構成する。患者3Dモデル15の属性情報における患者ID、患者氏名、撮影日時、撮影時コメントは、操作者が操作画面を見ながら入力する。撮影時のCT寝台25と患者24の位置関係、撮影時のCT寝台位置(CT室内の位置)は、操作者が測定して入力することもできるが、上述したようにCT装置により計測も可能である。
【0022】
次に、ステップS011に示す治療計画を行う。ステップS012で、治療計画を開始する。ステップS013で、治療アイソセンタ座標及び患者方向の算出を行う。ステップS013で、照射角度及びエアギャップの算出を行う。
【0023】
次に、ステップS021に示す干渉チェックシミュレーション部2による干渉チェックシミュレーションを行う。粒子線治療干渉チェック装置のうち、干渉チェックシミュレーション部(機能)2を起動し、ステップS022〜S027の工程を行う。干渉チェックシミュレーション部(機能)2の起動の際、治療室、患者IDを指定することによって、治療室については治療装置3Dモデルデータベース3から指定された治療室に該当する全ての治療装置3Dモデルを取り出し、干渉チェックシミュレーション空間へ配置する。同様に、患者3Dモデル15についても、患者3Dモデルデータベース4より、指定された患者IDのモデルを取り出し、干渉チェックシミュレーション空間へ配置する。
【0024】
次に、治療計画で算出したデータのうち、治療アイソセンタの座標、患者方向を放射線治療干渉チェック装置1の位置設定部19へ入力する(ステップS022)。治療アイソセンタの座標は治療計画装置10でCT画像原点26からの距離として算出されるので、CT画像原点26である患者3Dモデル15の原点から入力した距離だけ移動させることにより、シミュレーション空間で患者3Dモデル15の治療アイソセンタを粒子線照射位置である治療室の空間中心に一致させることができる。同様に患者方向についても、患者3Dモデル撮影部(機能)5で撮影した際に保存している患者方向情報を用いて、シミュレーション空間内で設定する。
【0025】
次に、放射線治療干渉チェック装置1の操作メニュー部18へ、干渉チェック条件として入力する(ステップS023)。入力する条件は、ガントリー角度、ノズル距離、治療台の回転等、各3Dモデルの位置を指定する値である。条件入力後、各3Dモデルは指定された位置へ移動する。
【0026】
次に、放射線治療干渉チェック装置1の操作メニュー部18を操作して、干渉チェックを実行する(ステップS024)。放射線治療干渉チェック装置1のシミュレーション空間では、照射ノズル12が患者24の患者3Dモデル15へ向かって徐々に伸張する。その際、照射ノズル12と患者3Dモデル15及び治療台(治療台天板13、治療台下部14)間の最短距離16と、エアギャップ17をリアルタイムで強調線表示する(図2参照)。同時に、画面右側の操作メニュー部18の上部には、エアギャップと最短距離が数値として表示される。条件入力で指定したノズル距離だけ伸張すると、照射ノズル12は停止する。もし、ノズル距離に達する迄の間に干渉が発生した場合は、その時点で照射ノズル12は停止し、操作メニュー部18の結果表示欄へ干渉発生を表示する。
【0027】
ステップS025で干渉が発生したかを判定し、治療計画で立案したノズル距離だけ照射ノズル12を伸ばした場合に干渉が発生する事が分かった場合は、操作メニュー部18の結果表示欄へ表示された干渉発生時のエアギャップを確認し(ステップS026)、この干渉発生時のエアギャップを参考に、ステップS014に戻って治療計画を修正する。
【0028】
ステップS025で干渉が発生したかを判定し、治療計画で立案したノズル距離だけ照射ノズル12を伸ばした場合に干渉が発生しない事が分かった場合は、適切なエアギャップであるかどうかを判定し(ステップS027)、適切である場合には、干渉チェックシミュレーションを終了する。この場合には、治療計画の修正はない。逆に、適切でないと判断した場合には、再度、操作メニュー部18で条件入力を行い、適切なエアギャップをシミュレーションにより確認した(ステップS026)上で、ステップS014に戻って治療計画を修正する。
【0029】
実施の形態1の放射線治療干渉チェック装置1は、治療計画に用いるCT画像に関連付けされた広範囲の患者3Dモデル15を光学画像から生成したので、患者3Dモデル15を用いた干渉シミュレーションを高精度に行うことができる。
【0030】
実施の形態1の放射線治療干渉チェック装置1は、干渉チェックシミュレーションに使用する必要十分な範囲の正確な患者3Dモデル15を得ることができる為、治療計画作成時に、立案した治療計画に基づいて治療室で治療を行った場合に干渉が発生するかどうかを3Dシミュレーションによって正確に確認することができる。また、干渉が発生しない治療装置と患者24の位置関係を必要に応じて治療計画にフィードバックし、治療計画の完成度を高めることができる。実際の治療を開始する前である治療計画作成時点でこれらのことが判断できるため、治療時になって干渉発生が判明する場合に比べて、患者24の治療を計画通りに開始できること、治療計画を再実施する手戻りを削減できること、及び治療計画に基いて作成した補償フィルタが無駄にならないこと、といった効果がある。
【0031】
以上のように実施の形態1の放射線治療干渉チェック装置1によれば、患者24を光学ステレオカメラ23により撮影した光学画像と放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデル15を生成する患者3Dモデル撮影部5と、患者3Dモデル15と治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部2とを備えたので、患者3Dモデル15を用いた干渉シミュレーションを高精度に行うことができる。
【0032】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。実施の形態1とは放射線治療干渉チェック装置1の干渉チェックシミュレーション部(機能)2へ「ノイズ除去機能(機能部)」を追加する点で異なる。「ノイズ除去機能(機能部)」を追加する事により、患者3Dモデルに含まれるノイズを除去できる為、干渉チェックの精度をさらに向上させることができる。以下に説明する。
【0033】
図7(a)は光学画像から生成した患者3Dモデルにノイズが発生している状態を示す図であり、図7(b)はノイズ除去後の患者3Dモデルを示す図である。31はノイズ除去前の患者3Dモデルであり、35はノイズ除去後の患者3Dモデルである。ノイズ32は患者3Dモデル31の体表面のポリゴンと頂点共有された腹部側面付近のノイズであり、ノイズ33は患者3Dモデル31の体表面のポリゴンと頂点非共有である腹部側面付近のノイズである。ノイズ32、33は、光学ステレオカメラ23で撮影した際の点群データに含まれてしまったノイズである。点群データを取得した際に含まれてしまったノイズは、面張り処理(ポリゴン化)を行う前に、有る程度のノイズ除去が行なわれる。しかし、完全にノイズを除去しきれない場合には、体表面近くでは、ノイズの点に対しても面張り処理が行われてしまい、体表面近くで多少の凸凹や突起が発生することがある。
【0034】
ノイズ32、33近辺に照射ノズル12を近づける干渉チェックシミュレーションを行う場合、患者3Dモデル31に含まれるノイズの影響で干渉チェック精度が低下する。そこで、図7(a)に示すように、ノイズ範囲指定34を範囲指定する事により指定したノイズを削除する。ポリゴン集合で頂点共有しているノイズ32の場合は、図8に示すように、放射線治療干渉チェック装置1の3Dビュー画面41を開き、3Dビュー画面41を使って、手動で削除する範囲であるノイズ範囲指定36を指定して削除する。図8は放射線治療干渉チェック装置の3Dビュー画面を示す図である。ノイズ範囲指定36は、例えば指定した頂点Pと指定した頂点Pからの直交する3方向の長さm1、m2、m3により指定する。ノイズ除去機能はステップS024の工程として、操作メニュー部18のチェック実行(図2参照)を操作する前に行う。
【0035】
尚、削除対象のノイズが患者3Dモデル31とは分離したデータ、つまり、ポリゴン集合で頂点共有していないノイズ33である場合、その条件を用いて自動的に削除することができる。
【0036】
実施の形態2の干渉チェックシミュレーション部(機能)2に於けるノイズ除去機能は、患者3Dモデル撮影時に自動除去しきれなかったノイズを、干渉チェックシミュレーション部(機能)2の3Dビュー画面41を用いて、操作者がノイズと判別した範囲を手動または自動機能で削除して、正確な患者3Dモデル35を得ることができる。正確な患者3Dモデル35を得ることができるので、干渉チェックシミュレーションの精度をさらに向上させるという効果がある。
【0037】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明す
る図である。実施の形態1及び2とは放射線治療干渉チェック装置1の干渉チェックシミュレーション部(機能)2へ「体表面補完機能(機能部)」を追加する点で異なる。「体表面補完機能(機能部)」を追加する事により、患者3Dモデルに含まれる欠落した体表面を補完できることにより、干渉チェック精度をさらに向上させることができる。以下に説明する。
【0038】
図9(a)は光学画像から生成した患者3Dモデルに欠落部が発生している状態を示す図であり、図9(b)は欠落部の補完後の患者3Dモデルを示す図である。42は腹部側面に欠落した体表面(欠落部)43が存在する患者3Dモデルの例であり、44は欠落部の補完後の患者3Dモデルの例である。光学ステレオカメラ23を含む光学カメラで患者24を撮影する欠点として、撮影条件によっては点群データを取得できないことがある。鏡面反射する箇所と光を強く吸収する箇所である。例えば、患者24を固定する固定具の一部で鏡面反射が発生した場合は、一方向に強い光が返ってくる為、光学ステレオカメラ23ではレンズフレア現象が起き、その箇所については三次元計測ができずに体表面が欠落してしまうことがある。逆に光を強く吸収する場合は、ほとんどの光が光学ステレオカメラ23に戻ってこない為、その箇所については三次元計測ができずに体表面が欠落してしまうことがある。
【0039】
体表面補完機能はステップS024の工程として、操作メニュー部18のチェック実行(図2参照)を操作する前に行う。欠落部43を実施の形態2で示した3Dビュー画面41で手動選択することにより、欠落部43を補完する体表面45を追加した患者3Dモデル44を得ることができる。
【0040】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態3における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。実施の形態1〜3とはCT画像の輪郭情報により修正された患者3Dモデルで干渉チェックシミュレーションを実行する点で異なる。CT画像の輪郭情報により患者3Dモデルを修正する画像フュージョンする画像フュージョン機能(機能部)を有する。CT画像の輪郭情報により修正された患者3Dモデルは光学画像とCT画像の輪郭像を画像フュージョンにより得られる。CT画像の輪郭情報により患者3Dモデルを修正することで、精度を高めた患者3Dモデルを得ることができ、その結果、干渉チェックシミュレーションの精度をさらに向上させることができる。以下に説明する。
【0041】
図10(a)は患者24のCT画像の撮影範囲を示す図であり、図10(b)は画像フュージョンの概略を示す図である。CT画像の撮影範囲46は、CT画像の上限輪郭情報49を含む上切断面47とCT画像の下限輪郭情報50を含む下切断面48との間である。光学ステレオカメラ23により撮影された光学画像の輪郭52(患者3Dモデル63)と、この光学画像の輪郭52部分に相当するCT画像の輪郭53を重ね合わせて、二重輪郭55を得る。光学画像の輪郭52をCT画像の輪郭53に近づくように収束させて、画像フュージョン後の光学画像の輪郭54(患者3Dモデル62)を得る。CT画像の撮影範囲46に画像フュージョンを行うことで、CT画像の輪郭情報により修正された患者3Dモデル62を得ることができる。
【0042】
CT画像の輪郭情報は光学画像の輪郭情報よりも正確であると考えられる。CT画像の輪郭情報に合わせて、光学ステレオカメラ23で撮影した体表面形状(輪郭)を修正する。光学ステレオカメラ23で撮影した体表面形状(輪郭)をある程度維持しつつ、CT画像の輪郭にその体表面形状(輪郭)が全体的に最も近づくように収束させる処理を行う。具体的はSTLデータ(ポリゴンデータ)の各頂点情報を変更して、収束処理を行う。
【0043】
画像フュージョンはステップS024の工程として、操作メニュー部18のチェック実
行(図2参照)を操作する前に行う。図10(a)や図10(b)の光学画像の輪郭52やCT画像の輪郭53が表示される画像フュージョン画面を開き、画像フュージョンの実行を行う。画像フュージョン画面が開くと、CT画像データベースから患者のCT画像を読み出される。患者3DモデルはCT画像の座標系に基づいているので、画像フュージョンの実行操作を行うことで、放射線治療干渉チェック装置1は、CT画像の上限輪郭情報49及び下限輪郭情報50の患者の身長方向(Y方向)のY座標からCT画像の撮影範囲46を設定し、患者3Dモデル63のSTLデータ(ポリゴンデータ)の各頂点情報を変更して、収束処理を行う。
【0044】
実施の形態4の放射線治療干渉チェック装置1は、画像フュージョンを用いてCT画像の輪郭情報により患者3Dモデル63を修正することで、精度を高めた患者3Dモデル62を得ることができ、その結果、干渉チェックシミュレーションの精度をさらに向上させることができる。
【0045】
実施の形態5.
図11はこの発明の実施の形態5における放射線治療干渉チェック装置の機能を説明する図である。実施の形態1〜4とは、患者3Dモデル15は、属性情報として、CT画像原点26とCT寝台25との位置関係を有する点で異なる。干渉チェックシミュレーション時の患者3Dモデル15と治療台13との位置関係(図2参照)を、光学画像撮影時における患者24とCT寝台25との関係を正確に再現できる。干渉チェックシミュレーションにおいて患者24とCT寝台25との関係を正確に再現するので、この位置関係で治療を行う干渉シミュレーションをさらに高精度に行うことができる。
【0046】
干渉チェックシミュレーションでは、患者3Dモデル15の属性情報である撮影時のCT寝台25と患者24の位置関係及び撮影時のCT寝台位置(CT室内の位置)から患者3Dモデル15の初期位置設定を行う。図11に示すように、患者24のCT画像原点26がCT寝台25の中央線57から横方向にずれている場合には、CT画像原点26とCT寝台25との位置関係を、CT寝台両端のマーカー58、59からの距離を光学ステレオカメラ23によって自動計測する事によって求める。CT画像原点26はCTガントリー21の中心線56上にあるので、マーカー58、59のCT寝台の短手方向(X方向)の座標を得ることでCT画像原点26とマーカー58、59との位置関係を得ることができる。光学ステレオカメラ23はCT装置(CTガントリー21)座標系に合わせるキャリブレーションを行うので、マーカー58、59を三次元計測することにより、マーカー58、59のCT寝台の短手方向(X方向)の座標を得ることができる。患者3Dモデル15は、属性情報として、CT画像原点26とCT寝台25との位置関係を有する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明に係る放射線治療干渉チェック装置は、放射線治療装置や粒子線治療装置を利用する際の治療装置同士、または治療装置と患者との干渉確認を好適に行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 放射線治療干渉チェック装置 2 干渉チェックシミュレーション部
5 患者3Dモデル撮影部 15 患者3Dモデル
23 光学ステレオカメラ 23a 光学ステレオカメラ
23b 光学ステレオカメラ 24 患者
25 CT寝台 26 CT画像原点
34 ノイズ範囲指定 35 患者3Dモデル(ノイズ除去後)
36 ノイズ範囲指定 44 患者3Dモデル(欠落部の補完後)62 患者3Dモデル(画像フュージョン後)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療の前に、治療装置と患者或いは他の治療装置との物理的干渉の有無をシミュレーションによりチェックする放射線治療干渉チェック装置であって、
前記患者を光学ステレオカメラにより撮影した光学画像と前記放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデルを生成する患者3Dモデル撮影部と、前記患者3Dモデルと前記治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部とを備えた放射線治療干渉チェック装置。
【請求項2】
前記患者3Dモデルは、当該患者3Dモデルの原点が前記CT画像のCT画像原点であることを特徴とする請求項1記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項3】
前記患者3Dモデルにおける光学画像は、前記光学ステレオカメラにより前記患者を複数の方向から撮影されたことを特徴とする請求項1または2に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項4】
前記干渉チェックシミュレーション部は、前記患者3Dモデル撮影部で生成した患者3Dモデルにおける体表面付近のノイズを除去するノイズ除去機能部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去機能部は、画面で指定されたノイズ範囲指定の前記ノイズを削除することを特徴とする請求項4記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項6】
前記干渉チェックシミュレーション部は、前記患者3Dモデル撮影部で生成した患者3Dモデルにおける欠落した体表面を補完する体表面補完機能部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項7】
前記体表面補完機能部は、画面で指定された補完範囲指定の前記欠落した体表面を補完することを特徴とする請求項6記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項8】
前記干渉チェックシミュレーション部は、前記患者3Dモデル撮影部で生成した患者3Dモデルを前記CT画像の輪郭情報に基づいて修正する画像フュージョン機能部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項9】
前記患者3Dモデルは、前記CT画像のCT画像原点と前記光学画像の撮影の際における患者が固定された台との位置関係を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項10】
放射線治療の前に、治療装置と患者或いは他の治療装置との物理的干渉の有無をチェックする放射線治療干渉チェック方法であって、
前記患者を光学ステレオカメラにより撮影して光学画像を生成し、前記光学画像と前記放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデルを生成する手順と、前記患者3Dモデルと前記治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする手順とを含む放射線治療干渉チェック方法。
【請求項1】
放射線治療の前に、治療装置と患者或いは他の治療装置との物理的干渉の有無をシミュレーションによりチェックする放射線治療干渉チェック装置であって、
前記患者を光学ステレオカメラにより撮影した光学画像と前記放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデルを生成する患者3Dモデル撮影部と、前記患者3Dモデルと前記治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする干渉チェックシミュレーション部とを備えた放射線治療干渉チェック装置。
【請求項2】
前記患者3Dモデルは、当該患者3Dモデルの原点が前記CT画像のCT画像原点であることを特徴とする請求項1記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項3】
前記患者3Dモデルにおける光学画像は、前記光学ステレオカメラにより前記患者を複数の方向から撮影されたことを特徴とする請求項1または2に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項4】
前記干渉チェックシミュレーション部は、前記患者3Dモデル撮影部で生成した患者3Dモデルにおける体表面付近のノイズを除去するノイズ除去機能部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去機能部は、画面で指定されたノイズ範囲指定の前記ノイズを削除することを特徴とする請求項4記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項6】
前記干渉チェックシミュレーション部は、前記患者3Dモデル撮影部で生成した患者3Dモデルにおける欠落した体表面を補完する体表面補完機能部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項7】
前記体表面補完機能部は、画面で指定された補完範囲指定の前記欠落した体表面を補完することを特徴とする請求項6記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項8】
前記干渉チェックシミュレーション部は、前記患者3Dモデル撮影部で生成した患者3Dモデルを前記CT画像の輪郭情報に基づいて修正する画像フュージョン機能部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項9】
前記患者3Dモデルは、前記CT画像のCT画像原点と前記光学画像の撮影の際における患者が固定された台との位置関係を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線治療干渉チェック装置。
【請求項10】
放射線治療の前に、治療装置と患者或いは他の治療装置との物理的干渉の有無をチェックする放射線治療干渉チェック方法であって、
前記患者を光学ステレオカメラにより撮影して光学画像を生成し、前記光学画像と前記放射線治療の治療計画に用いるCT画像とを関連付けされた患者3Dモデルを生成する手順と、前記患者3Dモデルと前記治療装置の3Dモデルに基づいて物理的干渉の有無をチェックする手順とを含む放射線治療干渉チェック方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−110335(P2011−110335A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271663(P2009−271663)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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