説明

放射線治療装置の位置決めシステム及び位置決め方法

【課題】位置決め時における患者のX線による被曝量を低減する。
【解決手段】患者4を支持する患者支持台11の移動を行う患者支持台駆動装置19と、コリメータ5が設置されるスノート9を回転駆動させるスノート駆動装置20と、スノート9を回転駆動させてコリメータ5の位置決めを行った後に、患者支持台11を移動させて患者4の位置決めを行うように、スノート駆動装置20及び患者支持台駆動装置19を制御する演算装置13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線又は陽子線をはじめとする粒子線等の放射線を患部に照射して治療する放射線治療に際し、患者及びコリメータの位置決めを行う放射線治療装置の位置決めシステム及び位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は、放射線を腫瘍部位に照射して腫瘍細胞のDNAを損傷することにより治療を行うものであり、腫瘍部位付近の正常細胞のDNAが損傷されないように正確な照射を実施する必要がある。特に陽子線などの粒子線治療においては、ビームの特性から腫瘍部位に高い線量を集中させることができるが、その反面、より高精度な位置決めが要求されることになり、ビームに対する患者の位置を精度良く決めることと、計画通りに照射領域を形成することが必要となる。
【0003】
粒子線治療は予め作成された治療計画に従って実施されるが、通常、様々な要因から患者腫瘍部位は計画された設定位置と若干のずれを生じる。このため、治療計画通りに患者を位置決めするには、位置のずれ量を正確に計算し、そのずれ量に従って患者移動装置により患者支持台の位置を補正する必要がある。
【0004】
治療室での患者位置決めは、まず、患者支持台上の固定具に患者を固定した後、体表マーカーとレーザマーカーにより粗決めを行う。次に、現在の患者位置を確認するために、撮影装置の2組のX線撮像装置を用いて患者を撮影する。このX線画像を位置決め画像と称する。この位置決め画像は位置決め演算装置に送信され、医療画像サーバに保存される。
【0005】
位置決め演算装置の表示装置の画面上に、予め作成され保存しておいた患者の参照画像と上記の位置決め画像を表示し、両画像を比較することにより患者位置のずれ量を計算する。計算の方法は、例えば、両画像上のランドマーク(例えば骨の部分などの明確に識別できる箇所が選ばれる。)にマウスを用いてオペレータが計算点を設定し、計算点の座標比較によりずれ量を最小二乗法等の近似法を用いて計算する方法(例えば、特許文献1参照。)や、両画像の画素値を比較し、各画素値の誤差の和が最小になるようなずれ量を最小二乗法等の近似法を用いて計算する方法(例えば、特許文献2参照。)が用いられる。
【0006】
このようにして計算されたずれ量(平行移動量及び回転量)は、位置決め演算装置において患者支持台の位置ずれ量に座標変換後、患者移動装置に送信される。患者移動装置の患者支持台制御装置は、上記入力されたずれ量をもとに、患者支持台駆動装置を制御して患者支持台を移動又は回転させて位置ずれを補正し、患者の位置決めを行う。
【0007】
また、計画照射領域を正確に実現するには、照射領域を決定するコリメータの位置決めを精度よく行う必要がある。一般に、コリメータは照射ノズルの先端部に回転駆動可能に設けられたスノート内に設置される(例えば、特許文献3参照。)ことから、スノートの回転角度を精度よく決めることが重要となる。
【0008】
【特許文献1】特表2000−510023号公報(第6−7図)
【特許文献2】特開2004−267250号公報(第8−12図)
【特許文献3】実開平4−58266号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
陽子線などのブラックピーク特性を持つ粒子線の場合、ビームの高い照射精度を生かすためにより正確な位置決めが要求されるが、患者への不要照射を低減するには、高精度な患者位置決めと共に照射野領域を形成するコリメータが設置されるスノートの高精度な位置決めも必要となる。
【0010】
また、治療計画において作成された参照画像と、実際のX線画像である位置決め画像は必ずしも一致しないため、位置決めを実施するにあたり、腫瘍部位と照射野領域の関係を意識することが重要である。
【0011】
従来の患者位置決め方法では、位置決め画像において十分なコントラストを得られなかった場合や、固定装置等の余計な物体が写り込んだ場合、的確な計算点設定ができない、または、画素値比較による位置ずれ量計算が適用されないことにより、位置決め精度がばらつく可能性があるという問題点があった。
【0012】
また、従来のスノート回転誤差補正方法では、オペレータが目視により回転量誤差を判断するため、補正のばらつきが生じる可能性や再現性を得られないといった問題点があった。
【0013】
更に、従来の位置決めシステムでは、患者の位置決め後にコリメータの位置決めを行う必要があるが、このとき、コリメータを設置した状態で、再度、X線撮像装置を用いて患者を撮影することになるため、患者は患者位置決め時及びコリメータ位置決め時のX線撮像によって2回の被曝を受けることになり、X線による患者の被曝量が多いという問題点がある。
【0014】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、位置決め精度のばらつきを低減し、患者の放射線による不要な被爆を低減し、かつ位置決め作業効率を向上することができる放射線治療装置の位置決めシステム及び位置決め方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第2の目的は、位置決め時の患者のX線による被曝量を低減することができる放射線治療装置の位置決めシステム及び位置決め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記第1の目的を達成する本発明の特徴は、治療計画時に参照画像情報内に登録された照射野領域を示す計画コリメータ輪郭形状の図形データを参照画像上に表示するとともに患者の位置決め画像上が表示される表示領域に計画コリメータ輪郭形状の図形データを表示させ、その表示領域に表示される計画コリメータ輪郭形状の図形と位置決め画像に基づいて、患者支持台の位置決め情報を生成することにある。
【0017】
これによりコントラスト等の位置決め画像の条件による位置決め精度のばらつきを低減し、腫瘍部位と照射野領域の関係を意識しながら的確な位置決めを実施することが可能である。
【0018】
また、上記第1の目的を達成する本発明の他の特徴は、コリメータの位置決め画像が表示される表示領域に計画コリメータ輪郭形状の図形データを表示させ、その表示領域に表示される計画コリメータ輪郭形状の図形とコリメータの位置決め画像に基づいて、コリメータの位置決め情報を生成することである。
【0019】
これによりスノートの回転量誤差補正において、画像認識により自動で調整することで、オペレータによるばらつきの低減、再現性の向上、及びオペレータ作業の減少が可能である。
【0020】
また、上記第1及び第2の目的を達成する本発明の特徴は、患者を支持する患者支持台の移動を行う患者支持台駆動装置と、コリメータが設置されるスノートを回転駆動させるスノート駆動装置と、スノートを回転駆動させてコリメータの位置決めを行うようスノート駆動装置を制御する第1位置決め情報と、患者支持台を移動させて患者の位置決めを行うよう患者支持台駆動装置を制御する第2位置決め情報とを生成する演算制御装置とを備えることにある。
【0021】
このように構成した本発明では、コリメータの位置決めを行った後に、患者を患者支持台に固定して患者の位置決めを行うことにより、患者はコリメータの位置決めと患者自身の位置決めの2度にわたってX線の被曝を受けることがなくなる。したがって、位置決め時の患者のX線による被曝量を低減することができる。
【0022】
好ましくは、放射線照射方向からコリメータの輪郭形状を撮影する撮影装置と、撮影したコリメータの画像情報及び治療計画において決定されたコリメータの輪郭を示す図形データを重ねて表示する表示装置と更に備え、上記演算制御装置は、コリメータの画像情報に写し込まれたコリメータの輪郭の位置情報及び図形データで示されるコリメータの輪郭の位置情報に基づき、コリメータの位置決めに用いる前記第1位置決め情報を生成する。これにより、スノートにコリメータが設置され且つ患者支持台に患者が支持されていない状態でX線撮像されたコリメータの画像情報と、治療計画において決定されたコリメータの輪郭を示す図形データとに基づいてコリメータの位置決めを行うことが可能となり、コリメータ位置決め時における患者の被曝をなくすことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、位置決め精度のばらつきを低減し、患者の放射線による不要な被爆を低減し、かつ位置決め作業効率を向上することができる。
【0024】
また、本発明によれば、位置決め時の患者のX線による被曝量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の放射線治療装置の位置決めシステム及び位置決め方法の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態の位置決めシステムの全体構成を表す全体構成図である。この図1に示すように、本実施形態の位置決めシステムは、回転ガントリーを備えた粒子線(例えば陽子線)治療装置に用いられるものを想定している。なお、本発明はこれ以外にもX線治療装置等の一般的な放射線治療装置に適用可能である。
【0027】
この図1において、位置決めシステムは、患者ごとに粒子線の照射計画(治療計画と称する)を作成する治療計画装置1と、治療室2の回転ガントリー3内に設けられ、患者支持台11(ベッド又はイス等)に固定された患者4の位置及びコリメータ5の位置を見るためのX線撮像装置(撮影装置)6と、上記治療計画装置1からの治療計画情報及び上記撮像装置6からの画像情報を基に、患者4の位置決めに係る各種演算を行う位置決め演算装置7と、照射ノズル8の先端に回転可能に設けられ、内部にコリメータ5が設置されるスノート9と、スノート9の回転駆動を制御するスノート制御装置10と、患者4を固定する患者支持台11(ベッド又はイス等)の駆動を制御する患者支持台制御装置12とを有している。
【0028】
位置決め演算装置7は、モニタ(表示装置)13aを有する演算装置13と、キーボード及びマウス等の入力装置14と、位置決めに使用される画像が保存される医療画像サーバ(画像情報格納装置)16とを有している。また、X線撮像装置6は、X線管装置17及びX線受像装置18からなる2組のX線撮影装置(照射ビーム方向及びこれと90°の角度をなす方向から撮影可能なように設置されている。)を有しており、これらの装置は回転ガントリー3の回転と共にアイソセンタを中心に回転する。
【0029】
図2はスノート9の全体構造を示す照射ノズル8の先端部の斜視図である。スノート9は、照射ノズル8の先端部に回転可能に設置されており、スノート制御装置10からの信号に基づいてスノート駆動装置20により照射ビーム軸mを中心に回転駆動される。スノート9のコリメータ取付部9aの側方には開口21が設けられており、この開口21を介してコリメータ5を抜き差しすることが可能となっている。
【0030】
図3はアイソセンタ方向から見たスノート駆動装置20の構成を簡易的に示す図である。この図3に示すように、スノート駆動装置20は平行駆動部22、回転駆動部23、及びこれら平行駆動部22と回転駆動部23とを連結するリンク機構24を有しており、スノート制御装置10からの信号により平行駆動部22が平行駆動することでリンク機構24を介して回転駆動部23が回転駆動する。これにより、回転駆動部23と連結されたスノート9が回転され、スノート9のコリメータ取付部9aに取り付けられたコリメータ5も一緒に回転する。
【0031】
図4は位置決め演算装置7の演算装置13により行われる制御フローである。以下、この図4を用いて本実施形態の位置決めシステムにより行われる患者4及びコリメータ5の位置決め手順について説明する。なお、このフローは操作者からの適宜の位置決め開始指示(例えば入力装置14からの指示入力)があった際に開始される。
【0032】
まず、事前の準備として、治療計画を決定するために患者をX線CTにて撮影する。治療計画では、このX線CT断層画像を用いて、照射する患部の位置や大きさを把握し、照射方向や照射線量等を決定する。また、この治療計画の作成時に、アイソセンタ(目標照射中心)であるシステムの固定座標系原点を通りX線源方向に垂直な面でのX線撮影画像を、治療計画装置上でCT画像からシミュレーション画像として作成する。このシミュレーション画像を参照画像と称する。つまり、この参照画像は、治療計画時に作成されたCT画像から生成される断層画像(DRR(Digital Reconstructed Radiograph)画像)である。この画像は位置決め演算装置7に送信され、医療画像サーバ16に保存される。
【0033】
また、本発明では、治療計画時に、画像内にコリメータ形状を写し込むのではなく、参照画像が持つ画像情報内に、計画コリメータ輸郭形状の情報を登録し、治療計画装置1から位置決め演算装置7の医療画像サーバ16に保存しておく。
【0034】
ここで、計画コリメータ輪郭形状は患者の患部(腫瘍部位)の大きさや形状に対応して決められており、計画コリメータ輪郭形状が参照画像に写り込んだ患者の患部上に位置するように(患者の患部が計画コリメータ輪郭形状内に納まって表示されるように)登録される。また、計画コリメータ輪郭形状は参照画像の中央(参照画像の表示領域の中央)に表示され、患者の患部(腫瘍部位)も参照画像の中央(参照画像の表示領域の中央)に表示されるよう登録される。
【0035】
以上の準備が完了してから図4の制御フロー手順を開始する。
【0036】
最初にコリメータ5の位置決めを開始する(ステップ31)。まず、コリメータ5が設置されたかどうかを判定する(ステップ32)。具体的には、オペレータによりスノート9のコリメータ取付部9a内にコリメータ5が取り付けられたことが適宜の検出センサ(図示せず)等により検出されたかどうかを判定する。コリメータ5が設置されたことが検出されると、次に、オペレータからX線撮像の指示入力があったかどうかを判定する(ステップ33)。オペレータが位置決め演算装置7における入力装置14を用いてX線撮像開始の指示入力を行うと、X線撮像装置6によりコリメータ5の輪郭が写り込んだアパーチャ画像が位置決め画像として撮影される(ステップ34)。撮影が終了すると、この撮影された位置決め画像をX線撮像装置6から位置決め演算装置7における医療画像サーバ16に読み込み、保存する(ステップ35)。
【0037】
次に、医療画像サーバ16から参照画像を読み込み、モニタ13aに表示する(ステップ36)。さらに、医療画像サーバ16から上記ステップ35で保存された位置決め画像を読み込み、モニタ13aに表示する(ステップ37)。
【0038】
図5はこのときのモニタ13aの表示の一例を示す図である。この図5に示すように、モニタ13aには、参照画像26と位置決め画像27とが並列して表示されている。前述したように、患者の患部(腫瘍部位)は参照画像の中央(参照画像表示領域の中央)に表示されている。参照画像26の表示領域には、操作者に対する位置の目安として、参照画像26の中心を通る縦方向及び横方向の十字状のガイドラインが表示されている。位置決め画像27には、上記ステップ34で撮影された実際のコリメータ輪郭形状28が写し込まれている。コリメータ輪郭形状28の中心位置はアイソセンタ(システムの固定座標系原点)と一致し、コリメータ輪郭形状28は位置決め画像27の中央(位置決め画像の表示領域の中央)に表示され、位置決め画像27の中心(位置決め画像の表示領域の中心)はアイソセンタと一致している。位置決め画像27にも操作者に対する位置の目安として、位置決め画像27の中心を通る縦方向及び横方向の十字状のガイドラインが表示されている。
【0039】
なお、ここでは1台のモニタ13aにより参照画像26及び位置決め画像27の両画像を表示するように図示しているが、モニタ13aでどちらか一方の画像を表示し、他のモニタで他方の画像を表示するようにしてもよい。
【0040】
このようにして参照画像26及び位置決め画像27をモニタ13aに表示した状態で、治療計画において定められる計画コリメータ輪郭形状を示す図形データ、例えば線画データ29を参照画像26上に表示し、また同様に位置決め画像27上の同一の座標位置である位置決め画像27の表示領域の中心(アイソセンタ位置)にもこの線画データ29を複写表示する(ステップ38)。この計画コリメータの輪郭形状を示す線画データ29は、前述した如く、治療計画時に予め参照画像26の画像情報内に登録されているものであり、すなわち参照画像26は線画データ入りの画像情報として医療画像サーバ16に保存されている。なお、線画データ29を参照画像26とは別に医療画像サーバ16に線画情報単体として保存しておき、モニタ13aによる表示時にそれぞれのデータを読み出して両画像データ26,27と線画データ29とを重ねて表示するようにしてもよい。
【0041】
図6に参照画像26及び位置決め画像27上に線画データ29をそれぞれ表示した場合のモニタ13aの表示の一例を示す。この図6に示すように、計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29は参照画像26上に、その中心が十字状のガイドラインの交点に一致するように表示され、かつ位置決め画像27上にも、その中心が十字状のガイドラインの交点に一致するように表示されている。つまり、位置決め画像27上の計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29は参照画像26上の線画データ29と同一の座標位置に複写表示されている。また、位置決め画像27における実際のコリメータ輪郭形状28と計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29とは若干ずれて表示されており、この例ではコリメータ5の位置が計画位置に対して若干ずれていることがわかる。
【0042】
次に、上記ステップ37において位置決め画像27上に複写表示された線画データ29を用いて、コリメータ5の位置ずれ量を計算する(ステップ39)。本実施形態では、以下に説明する2種類の方法のいずれかにより位置ずれ量の算出を行う。
【0043】
1つ目の方法を図7を用いて説明する。この図7は、モニタ13aにおいて線画データ29が重ねて表示された位置決め画像27の中心部分(アイソセンタ近傍部分)を拡大して示した図である。この図7において、オペレータは、入力装置14を操作することにより、位置決め画像27を移動(ここでは回転)させることができる。すなわち、オペレータは、位置決め画像27上に表示された線画データ29と位置決め画像27に写り込んでいる実際のコリメータ輪郭形状28とがずれた状態(このときの状態を図7(a)に示す)から、線画データ29が実際のコリメータ輪郭形状28に重なるように、入力装置14を用いて位置決め画像27を回転させる(このときの状態を図7(b)に示す)。演算装置13は、このときの位置決め画像27の回転量を基にコリメータ5の位置ずれ量(すなわちスノート9の回転量)を算出する。
【0044】
次に2つ目の方法を図8を用いて説明する。この図8において、オペレータは、入力装置14を操作することにより、計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29を移動(ここでは回転)させることができる。すなわち、オペレータは、位置決め画像27上に表示された線画データ29と位置決め画像27に写り込んでいる実際のコリメータ輪郭形状28とがずれた状態(このときの状態を図8(a)に示す)から、線画データ29が実際のコリメータ輪郭形状28に重なるように、入力装置14を用いて回転させる(このときの状態を図8(b)に示す)。演算装置13は、このときの線画データ29の回転量を基にコリメータ5の位置ずれ量(すなわちスノート9の回転量)を算出する。
【0045】
上記のいずれかの方法により計算されたコリメータ5の位置ずれ量をコリメータの位置決め情報として、スノート制御装置10に出力する(ステップ40)。そして、コリメータ5の位置ずれの補正が終了したかどうかを判定する(ステップ41)。具体的には、上記ステップ40において出力された位置ずれ量を受信したスノート制御装置10は、その位置ずれ量に基づきスノート駆動装置20を制御してスノート9を回転駆動させ、コリメータ5の位置ずれ量の補正を行う。位置ずれ補正が終了すると、スノート制御装置10は位置決め演算装置7の演算装置13にコリメータの位置決め完了信号を送信する。すなわち、このスノート制御装置10からの位置決め完了信号が入力されたかどうかを判定する。
【0046】
コリメータ5の位置ずれ補正が終了すると、コリメータ5が取り外されたかどうかを判定する(ステップ42)。これは、後述する患者4の位置決めにおけるX線撮像の際にコリメータ5が写り込まないように一時的に照射野から退避させる必要があるからである。オペレータによりスノート9のコリメータ取付部9aからコリメータ5が取り外されたことが検出されたら、コリメータの位置決めを終了する(ステップ43)。なお、ここではオペレータがコリメータ5を取り外すようにしたが、例えばスノート9のコリメータ取付部9aをコリメータ5を取り付けたまま回動させてコリメータ5を照射野から退避させることが可能な構造等にしておくことで、作業性及び復帰時のコリメータ位置の再現性を向上することができる。
【0047】
患者4の位置決めは、上述したコリメータ5の位置決めにおいて、ステップ34,35でX線撮像により位置決め画像を撮影しその画像を保存した後に、開始される(ステップ44)。まず、患者4の患者支持台11に対する固定が終了したかどうかを判定する(ステップ45)。具体的には、オペレータ等により患者4が患者支持台11に対して固定具によって固定され、その固定作業が終了したことがオペレータにより入力装置14等を用いて入力されたかどうかを判定する。なお、このオペレータ等による患者4の固定作業は、先に説明したステップ36以降のコリメータ5の位置決め動作と並行して行われる。
【0048】
患者4の患者支持台11への固定が終了し、且つ、上記ステップ43までのコリメータ5の位置決め動作が終了した場合には、オペレータにより患者4のレーザマーカーによる位置決め開始指示がされたかどうかを判定する(ステップ46)。このレーザマーカーによる位置決めは、治療計画時に例えば治療室2の壁等に取付けられたレーザ発生器(図示せず)から患者4にレーザを照射してその位置にマーキングをしておき、治療時にレーザ発生器をマーキングしたときの照射ポイントに固定して、固定具で患者の体を固定した状態でマーキングした位置がレーザに重なるように患者4(患者支持台11)を移動させることにより行われる大雑把な粗位置決めである。オペレータによる指示入力があった場合には、レーザマーカーによる位置決めを実施する(ステップ47)。
【0049】
次に、オペレータからX線撮像の指示入力があったかどうかを判定する(ステップ48)。オペレータが入力装置14を用いてX線撮像開始の指示入力を行うと、X線撮像装置6により患者支持台11上に固定された患者4の位置決め画像が撮影され(ステップ49)、その位置決め画像(第2画像情報)を医療画像サーバ16に保存する(ステップ50)。患者4の位置決め画像は患者の患部領域を含む画像情報であり、かつアイソセンタ位置の画像情報を含んでいる。
【0050】
そして、医療画像サーバ16から参照画像(第1画像情報)を読み込み、モニタ13aに表示する(ステップ51)。さらに、医療画像サーバ16から上記ステップ50で保存された位置決め画像を読み込み、モニタ13aに表示する(ステップ52)。
【0051】
次いで、モニタ13aに参照画像及び位置決め画像が表示された状態で、前述したコリメータの位置決め時と同様に、計画コリメータ輪郭形状を示す線画データを参照画像上に表示し、さらに位置決め画像上の同一の座標位置である位置決め画像の表示領域の中心(アイソセンタ位置)にも複写表示する(ステップ53)。
【0052】
図9はこのときのモニタ13aの表示の一例を示す図である。図中、26は参照画像であり、61は位置決め画像であり、両画像が並べて表示されている。位置決め画像61の表示領域の中心はアイソセンタと一致している。また、参照画像26上には計画コリメータ輪郭形状の線画データ29が表示され、位置決め画像61上には計画コリメータ輪郭形状の線画データ29が複写表示されている。参照画像26及び位置決め画像61の表示領域には、操作者に対する位置の目安として、参照画像26及び位置決め画像61の中心を通る縦方向及び横方向の十字状のガイドラインが表示され、計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29は参照画像26及び位置決め画像61上に、それぞれ、その中心が十字状のガイドラインの交点に一致するように表示されている。つまり、位置決め画像61上の計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29は参照画像26上の線画データ29と同一の座標位置(アイソセンタ位置)に複写表示されている。なお、ここでは1台のモニタ13aで参照画像26及び位置決め画像61の両画像を表示するようにしたが、モニタ13aでどちらか一方の画像を表示し、他のモニタで他方の画像を表示するようにしてもよい。また、前述したように、この計画コリメータの輪郭形状を示す線画データ29は、治療計画時に予め参照画像26の画像情報内に登録されているものである。
【0053】
この時点において、コリメータの位置決めは完了しているため、この図9で位置決め画像61上に複写表示された線画データ29は実際のコリメータ5の輪郭形状に等しいと言える。したがって、この図9では、参照画像26の画像情報(腫瘍、骨格の位置など)に対する線画データ(第1図形データ)29の相対位置と、位置決め画像61の画像情報(腫瘍、骨格の位置など)に対する線画データ(第2図形データ)29の相対位置とが若干ずれて表示されていることから、この例では患者4の位置が計画位置に対して若干ずれていることがわかる。
【0054】
次に、上記ステップ53で位置決め画像61上に表示した線画データ29を用いて、患者4(患者支持台11)の位置ずれ量を計算する(ステップ54)。本実施形態では、以下に説明する2種類の方法のいずれかにより位置ずれ量の算出を行う。
【0055】
1つ目の方法を図10を用いて説明する。この図10において、オペレータは、位置決め画像61を入力装置14を操作することにより移動及び回転させることができる。すなわち、オペレータは、参照画像26の画像情報に対する線画データ29の相対位置と、位置決め画像61の画像情報に対する線画データ29の相対位置とが若干ずれている状態(すなわち図9に示す状態)から、位置決め画像61上の線画データ29と位置決め画像61の画像情報との相対位置関係が参照画像26上の線画データ29と参照画像26の画像情報との相対位置関係となるように、具体的には、参照画像26と線画データ29の関係、特に線画データ29内の腫瘍部位を参照しながら、位置決め画像61上の線画データ29内に位置決め画像61に写り込んだ腫瘍部位が納まるように、入力装置14を用いて位置決め画像61を所望の位置に移動させる(このときの状態を図10に示す)。演算装置13は、このときの位置決め画像61の移動及び回転量を基に患者4(患者支持台11)の位置ずれ量を算出する。
【0056】
2つ目の方法を図11を用いて説明する。この図11において、オペレータは、位置決め画像61上の線画データ29を入力装置14を操作することにより移動及び回転させることができる。すなわち、オペレータは、上記と同様に、図9に示すずれた状態から、位置決め画像61上の線画データ29と位置決め画像61の画像情報との相対位置関係が参照画像26上の線画データ29と参照画像26の画像情報との相対位置関係となるように、具体的には、参照画像26と線画データ29の関係、特に線画データ29内の腫瘍部位を参照しながら、位置決め画像61上の線画データ29内に位置決め画像61に写り込んだ腫瘍部位が納まるように、入力装置14を用いて線画データ29を所望の位置に移動させる(このときの状態を図11に示す)。演算装置13は、このときの線画データ29の移動及び回転量を基に患者4(患者支持台11)の位置ずれ量を算出する。
【0057】
なお、以上の2つの方法において、必要であれば、線画データ29を用いて位置決め画像61をトリミングすることによりアパーチャ画像(前述の図5及び図6参照)を作成してもよい。
【0058】
また、上記では特に記載しなかったが、X線撮像装置6により照射ビーム方向と90°の角度をなす方向から撮影された位置決め画像を用いた位置決めについては、計画コリメータ輪郭形状である線画データ29を用いて位置決めできないため、その他の線画データ、例えば臓器形状、骨形状、体輪郭形状、又は臨床(計画)標的体積形状等の線画データを用いて、上記と同様の方法により位置ずれ量を計算する。
【0059】
上記の方法により計算された位置ずれ量を患者支持台の位置決め情報として、患者支持台制御装置12に出力する(ステップ55)。そして、患者4の位置ずれの補正が終了したかどうかを判定する(ステップ56)。具体的には、上記ステップ55において出力された位置ずれ量を受信した患者支持台制御装置12は、その位置ずれ量に基づき患者支持台駆動装置19を制御して患者支持台11を移動及び回転させて、患者4の位置ずれ量の補正を行う。位置ずれ補正が終了すると、コリメータ5が照射野に復帰されたかどうかを判定する(ステップ57)。オペレータによりコリメータ5がスノート9のコリメータ取り付け部9aに再び差し込まれ、コリメータ5が復帰されたことが検出されたら、患者4の位置決めを終了する(ステップ58)。
【0060】
以上において、位置決め演算装置7の演算装置13は、請求項1記載の患者支持台の位置決め情報を生成する演算制御装置、及び請求項9に記載のコリメータの位置決め情報(第1位置決め情報)と患者支持台の位置決め情報(第2位置決め情報)を生成する演算制御装置として機能する。また、位置決め演算装置7の演算装置13は、請求項10記載のコリメータ位置決め演算装置及び請求項16記載の患者位置決め演算装置として機能する。
【0061】
以上説明した本実施形態の位置決めシステムによれば、以下の効果を奏する。
【0062】
(1)線画データを用いることによる位置決め精度の向上効果
前述した特許文献2に記載の従来技術のようにオペレータが画面上の参照画像及び比較画像の対応する位置に計算点を入力して位置ずれ量を計算する方式の場合、例えば位置決め画像において十分なコントラストが得られなかった場合や、患者を固定する固定具等の機器が画像上に写りこんだ場合等に、的確な計算点が設定できないという問題があった。またこのような場合、前述した特許文献3に記載の従来技術については画素値の比較により位置ずれ量を計算する方式であることから、適用できないという問題があった。
【0063】
これに対し、本実施形態では、コリメータ5の位置決めにおいては、前述の図5及び図6に示すように参照画像上26の計画コリメータ輪郭形状の線画データ29をコリメータ5の輪郭が写り込んだ位置決め画像27上の同一の座標位置(アイソセンタ位置)に複写表示して位置ずれ量を算出するので、上記位置決め画像のコントラスト不良や機器の写りこみの影響を全く受けることなく位置決めを行うことができる。また、患者4の位置決めにおいては、前述したように、参照画像26及び位置決め画像61上の同一の座標位置(アイソセンタ位置)に線画データ29を表示させ、線画データ29内における線画データ29と腫瘍部位との位置関係を参照しつつ、位置決め画像61上の線画データ29内に位置決め画像61に写り込んだ腫瘍部位が納まるように位置決め画像61(又は線画データ29)を移動させることによって位置ずれ量を算出するので、上記位置決め画像のコントラスト不良や機器の写りこみの影響を低減することができる。以上により、本実施形態によれば、位置決め精度を向上することができる。また、その結果、患者の放射線による不要な被爆を低減することができる。
【0064】
(2)X線による被曝量低減効果
本実施形態の位置決めシステムにおいては、上述したように、コリメータ5の位置決めを、計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29を位置決め画像27上に表示し、モニタ13aの画像上で位置決め画像27に写りこんだコリメータ5の輪郭形状28と線画データ29とが一致するように位置決め画像27又は線画データ29を移動させることによって、その移動量からコリメータ5の位置ずれ量を算出し、その位置ずれ量に基づいてスノート9を回転駆動させることにより行う。このような位置決め方法とすることにより、患者4を含まずにコリメータ5のみをX線撮像した位置決め画像27(言い換えれば、患者支持台11に患者4が支持されていない状態でX線撮像された位置決め画像27)を用いて、コリメータ5の位置決めを行うことができる。その結果、コリメータ5の位置決めを行った後に、患者4を患者支持台11に固定してX線撮像による患者4の位置決めを行うことが可能となる。これにより、患者4はコリメータ5の位置決めと患者自身の位置決めの2度にわたってX線撮像による被曝を受けることがなくなる。したがって、位置決め時のX線による被曝量を低減することができる。
【0065】
(3)コリメータの自動位置決めによる位置決め時間の短縮等の効果
本実施形態では、計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29と位置決め画像27に写りこんだコリメータ5の輪郭形状28とが一致するように位置決め画像27又は線画データ29を移動させることによって、その移動量からコリメータ5の位置ずれ量を算出し、この位置ずれ量を用いて自動的にコリメータ5の位置決めを行う。このようにして、コリメータ5の位置決めを自動的に行うことができるので、オペレータが手動によりスノートを回転させて、又はオペレータが判断した回転量を入力してスノートを駆動装置により回転駆動させて、コリメータの位置補正を行っていた従来技術に比べ、コリメータ5の位置決めに要する時間を短縮でき、またオペレータの労力を低減することができる。さらに、上記従来技術の場合においてはオペレータが変わった場合には位置ずれ量のばらつきがでる可能性があり、位置決め精度及び位置決めの再現性に問題があったが、本実施形態では画面上で輪郭を一致させるという簡易な作業により、自動的に位置ずれ量が算出されて位置決めが行われるので、位置決め精度及び再現性を向上することができる。
【0066】
(4)並行作業による位置決め時間の短縮効果
本実施形態では、先の図4で説明したように、コリメータ5の位置決めにおけるX線撮像が終了した時点から、患者4の位置決めを開始する。これにより、コリメータ5のX線撮像後の位置決め動作が行われている間に、オペレータ等が患者4の患者支持台11への固定作業を並行して行うことが可能となる。したがって、作業を並行させることなく患者の位置決め後にコリメータの位置決めを行っていた従来技術に比べ、並行して作業を行った分、位置決め(コリメータ及び患者の位置決め)に要する時間を短縮することができる。
【0067】
本発明の他の実施形態を図12を用いて説明する。本実施形態は先の実施形態と位置決め方法の手順が異なっている。図12はその位置決め方法の手順を示す制御フローである。本実施形態の位置決め方法を実施するのに用いる位置決めシステムの全体構成は先の実施形態におけるものと同じである。以下の説明では、位置決め方法に係わるシステム構成及びモニタ表示に図1〜図3、図5〜図11に示したものと同じ符号を付し、それら図面を参照して説明する。図12に示す制御フローは位置決め演算装置7の演算装置13により行われるものである。
【0068】
第1の実施の形態と同様に、本発明の方法を実施するにあたり、治療計画時に、画像内にコリメータ形状を写し込むのではなく、参照画像が持つ画像情報内に、計画コリメータ輸郭形状の情報を登録し、治療計画装置1から位置決め演算装置7の医療画像サーバ16に参照画像を保存しておく。
【0069】
レーザマーカーによる粗位置決め後、位置決めを開始する(ステップ201)。まず、オペレータは位置決め演算装置7において、医療画像サーバ16から保存された参照画像を読み込み、モニタ13aに表示する(ステップ202)。次に、X線撮像装置6を用いて患者支持台11上に固定された患者の位置決め画像を撮影し(ステップ203)、X線撮像装置6から医療画像サーバ16に位置決め画像を保存する(ステップ204)。オペレータは位置決め演算装置7において、医療画像サーバ16から保存された位置決め画像を読み込み、モニタ13aに表示する(ステップ205)。
【0070】
参照画像及び位置決め画像が表示されると、オペレータは両画像を重ね合せた画像等から両画像を比較し、患者位置決め精度を判断する(ステップ206)。その結果、ずれ量を計算する必要がある場合、参照画像の画像情報内に登録されている計画コリメータ輪郭形状(線画データ29)を参照画像上に表示し、また位置決め画像上の同一の座標位置(表示領域中央のアイソセンタ位置)に複写表示する(ステップ207)。
【0071】
このときのモニタ13aの表示は、例えば先の実施形態における図9に示したものと同じである。図中、26は参照画像であり、61は位置決め画像であり、両画像が並べて表示されている。また、参照画像26上には計画コリメータ輪郭形状の線画データ29が表示され、位置決め画像61上の同一の座標位置(表示領域中央のアイソセンタ位置)には計画コリメータ輪郭形状の線画データ29が複写表示されている。
【0072】
このように位置決め画像16上に複写表示された計画コリメータ輸郭形状29を用いて、患者支持台11上に固定された患者の位置ずれ量を計算する(ステップ208)。この位置ずれ量の算出は、先の実施の形態における算出と同様に行うことができる。つまり、位置ずれ量の算出には2種類の方法がある。第1の方法は、図10を用いて説明したように、複写表示した計画コリメータ輪郭形状の線画データ29を位置決めの参照領域として、位置決め画像61を移動させて線画データ29に対して所望の位置に設定することで位置ずれ量を算出する方法である。第2の方法は、図11を用いて説明したように、複写表示した計画コリメータ輸郭形状の線画データ29を位置決め画像61上で移動させて所望の位置に設定することで位置ずれ量を算出する方法である。
【0073】
前記のいずれかの方法により計算された位置ずれ量を、位置決め演算装置7より患者支持台制御装置12に出力する(ステップ209)。オペレータは出力した位置ずれ量を基に、患者支持台制御装置12により患者支持台11を3次元方向に移動及び回転する(ステップ210)。
【0074】
患者位置合わせが終了後、オペレータはスノート9内にコリメータ5を設置し、X線撮像装置6を用いて患者支持台11上に固定された患者の位置決め画像を撮影し(ステップ211)、X線撮像装置6から医療画像サーバ16に位置決め画像を保存する(ステップ212)。オペレータは位置決め演算装置7において、医療画像サーバ16から保存された位置決め画像を読み込み、モニタ13aに表示する(ステップ213)。
【0075】
このときのモニタ13aの表示は、例えば先の実施形態における図5に示したものと同じである。図中、27が位置決め画像であり、28が実際のコリメータ輸郭形状である。この例では、参照画像26と位置決め画像27が並べて表示されている。
【0076】
次に、オペレータは、参照画像の画像情報内に登録されている計画コリメータ輪郭形状の線画データ29を参照画像上に表示し、また位置決め画像上の同一の座標位置(表示領域中央のアイソセンタ位置)に複写表示する(ステップ211)。
【0077】
このときのモニタ13aの表示は、例えば先の実施形態における図6に示したものと同じである。参照画像26上には計画コリメータ輪郭形状の線画データ29が表示され、位置決め画像27上の同一の座標位置(表示領域中央のアイソセンタ位置)には計画コリメータ輪郭形状の線画データ29が複写表示されている。この図6に示すように、位置決め画像27における実際のコリメータ輪郭形状28と計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29とは若干ずれて表示されており、この例ではコリメータ5の位置が計画位置に対して若干ずれていることが分かる。
【0078】
オペレータは、位置決め画像27上に複写表示された計画コリメータ輸郭形状の線画データ29と、位置決め画像27に写り込んでいる実際のコリメータ輸郭形状28より、コリメータ5の設置されているスノート9の位置決め精度を判断する(ステップ215)。その結果、スノート回転量の誤差を計算する必要がある場合、位置決め画像27上に複写表示された計画コリメータ輸郭形状29を用いて、スノート9の回転量誤差を計算する(ステップ216)。回転量誤差(位置ずれ量)の計算は、患者支持台11上の患者の位置ずれ量の計算方法と同様、2種類の方法により計算することができる。第1の方法は、先の実施の形態において図7を用いて説明したように、複写表示した計画コリメータ輪郭形状の線画データ29を位置決めの参照領域として、計画コリメータ輪郭形状29に実際のコリメータ輸郭形状28が重なるように位置決め画像27を回転させて回転量誤差を算出する方法である。第2の方法は、先の実施の形態において図8を用いて説明したように、複写表示した計画コリメータ輸郭形状の線画データ29を実際のコリメータ輸郭形状28が重なるように回転させて回転量誤差を算出する方法である。
【0079】
前記のいずれかの方法により計算されたスノート109の回転量誤差を、位置決め演算装置7よりスノート制御装置10に出力する(ステップ217)。回転量誤差を受信したスノート制御装置10は、自動でスノート9の回転量誤差補正を実施する(ステツプ218)。
【0080】
本実施の形態によっても、コントラスト等の位置決め画像の条件による位置決め精度のばらつきを低減し、腫瘍部位と照射野領域の関係を意識しながら的確な位置決めを実施することが可能である。これにより患者の放射線による不要な被曝を低減し、かつ位置決めの作業効率を向上することができる。
【0081】
また、スノートの回転量誤差補正においても、画像認識により自動で調整することで、オペレータによるばらつきの低減、再現性の向上、及びオペレータ作業の減少が可能である。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。例えば、上記実施形態では、コリメータ5の位置決めの際に、計画コリメータ輪郭形状を示す線画データ29と腫瘍部分との位置関係を参照するためにモニタ13aに参照画像26及び位置決め画像27の両画像を表示させるようにしたが、必ずしも参照画像26を表示する必要はない。すなわち、モニタ13aに位置決め画像27のみを表示してこの位置決め画像27上に線画データ29を表示することにより、先に説明した方法によりコリメータ5の位置決めを行うことができる。
【0083】
また、上記実施形態においては、患者4の位置決めの際に、照射ビーム方向から撮影した位置決め画像を用いた位置決めについては計画コリメータ輪郭形状である線画データ29を用いて位置決めを行い、照射ビーム方向と90°の角度をなす方向から撮影した位置決め画像を用いた位置決めについては、計画コリメータ輪郭形状でなく、臓器形状、骨形状、体輪郭形状、又は臨床(計画)標的体積形状などの線画データを用いて位置決めを行うようにしたが、これに限られない。すなわち、患者4の位置決めにおいては、照射ビーム方向から撮影した位置決め画像を用いた位置決めについても、もう一方の位置決め画像と同様に、計画コリメータ輪郭形状でなく、臓器形状、骨形状、体輪郭形状、又は臨床(計画)標的体積形状などの線画データを用いて位置決めを行うようにしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、スノート駆動装置20をスノート制御装置10に接続し、スノート9を演算装置13により自動で制御するようにしたが、スノート駆動装置20を手動操作式の調整機構とし、位置決め画像27から得たスノートの回転量誤差に基づいて手動でスノート9の位置を調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の好適な一実施形態である粒子線治療装置の位置決めシステムの全体構成を表す全体構成図である。
【図2】スノートの全体構造を示すための、照射ノズルの先端部の斜視図である。
【図3】図2に示すスノート駆動装置のアイソセンタ方向から見た全体構成を簡易的に示す構成図である。
【図4】図1に示す位置決め演算装置の演算装置により行われる制御フローである。
【図5】コリメータの位置決めにおいて、参照画像及び位置決め画像を表示したときのモニタ表示の一例を示す図である。
【図6】コリメータの位置決めにおいて、参照画像及び位置決め画像上に線画データをそれぞれ表示した場合のモニタ表示の一例を示す図である。
【図7】コリメータの位置決めにおいて、1つ目の位置ずれ量の算出方法を説明するための、線画データが重ねて表示された位置決め画像の中心部分(アイソセンタ近傍部分)を拡大した図である。
【図8】コリメータの位置決めにおいて、2つ目の位置ずれ量の算出方法を説明するための、線画データが重ねて表示された位置決め画像の中心部分(アイソセンタ近傍部分)を拡大した図である。
【図9】患者の位置決めにおいて、参照画像及び位置決め画像上に線画データをそれぞれ表示したときのモニタ表示の一例を示す図である。
【図10】患者の位置決めにおいて、1つ目の位置ずれ量の算出方法を説明するための、線画データが重ねて表示された参照画像及び位置決め画像を示す図である。
【図11】患者の位置決めにおいて、2つ目の位置ずれ量の算出方法を説明するための、線画データが重ねて表示された参照画像及び位置決め画像を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態による位置決め方法を説明するための制御フローである。
【符号の説明】
【0086】
4 患者
5 コリメータ
6 X線撮像装置(撮影装置)
9 スノート
10 スノート制御装置
11 患者支持台
12 患者支持台制御装置
13 演算装置(制御装置、コリメータ位置決め演算装置、患者位置決め演算装置)
13a モニタ(表示装置)
14 入力装置
16 医療画像サーバ(画像情報格納装置)
19 患者支持台駆動装置
20 スノート駆動装置
28 コリメータ輪郭形状
29 線画データ(図形データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射野を形成するコリメータと、このコリメータが設置されるスノートと、患者を支持する患者支持台とを備えた放射線治療装置の位置決めシステムにおいて、
治療計画において作成された患者の患部領域を含む画像情報である参照画像を表示する第1表示領域と、
X線撮像装置により撮影された患者の患部領域を含む画像情報である第1位置決め画像を表示する第2表示領域と、
治療計画時に前記参照画像の情報内に登録された計画コリメータ輪郭形状の図形データを前記参照画像上に表示させ、かつ前記第2表示領域に前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを表示させ、前記第2表示領域に表示される前記計画コリメータ輪郭形状の図形と前記第2表示領域に表示される前記第1位置決め画像に基づいて、前記患者支持台の位置決め情報を生成する演算制御装置とを備えることを特徴とする放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項2】
前記患者支持台の移動を行う患者支持台駆動装置と、
前記患者支持台の位置決め情報に基づき前記患者支持台駆動装置を制御して前記患者支持台の移動を行う患者支持台制御装置とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項3】
X線撮像装置により撮影された前記コリメータの実際の輪郭形状を含む画像情報である第2位置決め画像を表示する第3表示領域を更に備え、
前記演算制御装置は、前記第3表示領域に前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを表示させ、前記第3表示領域に表示される前記計画コリメータ輪郭形状の図形と前記第3表示領域に表示される前記第2位置決め画像に基づいて、前記コリメータの位置決め情報を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項4】
前記コリメータが設置されているスノートを回転駆動させるスノート駆動装置と、
前記コリメータの位置決め情報に基づき前記スノート駆動装置を制御して前記スノートの回転駆動を行うスノート制御装置とを更に備えることを特徴とする請求項3記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項5】
前記演算制御装置は、前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを前記第1表示領域の中央位置に表示させ、かつ前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを前記第2表示領域又は前記第3表示領域の中央領域に複写表示させることを特徴とする請求項1又は3記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項6】
照射野を形成するコリメータと、このコリメータが設置されるスノートと、患者を支持する患者支持台とを備えた放射線治療装置の位置決め方法において、
治療計画において作成された患者の患部領域を含む画像情報である参照画像を第1表示領域に表示し、X線撮像装置により撮影された患者の患部領域を含む画像情報である第1位置決め画像を第2表示領域に表示する第1手順と、
治療計画時に前記参照画像の情報内に登録された計画コリメータ輪郭形状の図形データを前記参照画像上に表示させ、かつ前記第2表示領域に前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを表示させる第2手順と、
前記第2表示領域に表示される前記計画コリメータ輪郭形状の図形と前記第2表示領域に表示される前記第1位置決め画像に基づいて、前記患者支持台の位置決め情報を生成する第3手順とを有することを特徴とする放射線治療装置の位置決め方法。
【請求項7】
X線撮像装置により撮影された前記コリメータの実際の輪郭形状を含む画像情報である第2位置決め画像を第3表示領域に表示する第4手順と、
前記第3表示領域に前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを表示させる第5手順と、
前記第3表示領域に表示される前記計画コリメータ輪郭形状の図形と前記第3表示領域に表示される前記第2位置決め画像に基づいて、前記コリメータの位置決め情報を生成する第6手順とを更に有することを特徴とする請求項6記載の放射線治療装置の位置決め方法。
【請求項8】
前記第4手順〜第6手順を実施し、前記コリメータの位置決め情報により前記スノートを回転駆動させて前記コリメータの位置決めを行った後に、前記第1手順〜第3手順を実施し、前記患者支持台の位置決め情報により前記患者支持台を移動させて前記患者の位置決めを行うことを特徴とする請求項7記載の放射線治療装置の位置決め方法。
【請求項9】
放射線治療に際し患者及びコリメータの位置決めを行う放射線治療装置の位置決めシステムにおいて、
前記患者を支持する患者支持台の移動を行う患者支持台駆動装置と、
前記コリメータが設置されるスノートを回転駆動させるスノート駆動装置と、
前記スノートを回転駆動させて前記コリメータの位置決めを行うよう前記スノート駆動装置を制御する第1位置決め情報と、前記患者支持台を移動させて前記患者の位置決めを行うよう前記患者支持台駆動装置を制御する第2位置決め情報とを生成する演算制御装置とを備えることを特徴とする放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項10】
放射線照射方向から前記コリメータの輪郭形状を撮影する撮影装置と、
前記撮影したコリメータの画像情報及び治療計画において決定されたコリメータの輪郭を示す図形データを重ねて表示する表示装置と更に備え、
前記演算制御装置は、前記コリメータの画像情報に写し込まれた前記コリメータの輪郭の位置情報及び前記図形データで示される前記コリメータの輪郭の位置情報に基づき、前記コリメータの位置決めに用いる前記第1位置決め情報を生成するコリメータ位置決め演算装置を有することを特徴とする請求項9記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項11】
前記撮影装置は、前記スノートに前記コリメータが設置され、且つ前記患者支持台に前記患者が支持されていない状態で、前記コリメータの輪郭形状を撮影することを特徴とする請求項10記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項12】
前記表示装置に表示された前記コリメータの画像情報を移動させるための入力装置を更に備え、
前記コリメータ位置決め演算装置は、操作者が前記コリメータの画像情報中における前記コリメータの輪郭と前記図形データで示される前記コリメータの輪郭とが一致するように前記入力装置を用いて前記コリメータの画像情報を移動させることにより得られる移動量に基づき前記第1位置決め情報を生成することを特徴とする請求項11記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項13】
前記表示装置に表示された前記コリメータの輪郭を示す図形データを移動させるための入力装置を更に備え、
前記コリメータ位置決め演算装置は、操作者が前記コリメータの画像情報中における前記コリメータの輪郭と前記図形データで示される前記コリメータの輪郭とが一致するように前記入力装置を用いて前記図形データを移動させることにより得られる移動量に基づき前記第1位置決め情報を生成することを特徴とする請求項11記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項14】
前記第1位置決め情報に基づき、前記スノート駆動装置を制御して前記スノートの回転駆動を行うスノート制御装置をさらに備えたことを特徴とする請求項12又は請求項13記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項15】
前記コリメータの画像情報に前記図形データが登録された線画入り画像情報を格納する画像情報格納装置をさらに備えたことを特徴とする請求項14記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項16】
X線撮像装置により撮影された患者の患部領域を含む画像情報である第1画像情報と、治療計画時に作成された前記患者の患部領域を含む画像情報である第2画像情報のそれぞれに、治療計画において決定されたコリメータの輪郭形状を示すデータ図形データである第1図形データ及び第2図形データをそれぞれ重ねて表示する表示装置を更に備え、
前記演算制御装置は、前記第1図形データの前記第1画像情報に対する相対位置情報及び前記第2図形データの前記第2画像情報に対する相対位置情報に基づき、前記患者の位置決めに用いる前記第2位置決め情報を生成する患者位置決め演算装置を有することを特徴とする請求項9記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項17】
前記表示装置に表示された前記第2画像情報を移動させるための入力装置を更に備え、
前記患者位置決め演算装置は、前記第2図形データと前記第2画像情報との相対位置関係が前記第1図形データと前記第1画像情報との相対位置関係となるように操作者が前記入力装置を用いて前記第2画像情報を移動させることにより得られる移動量に基づき前記第2位置決め情報を生成することを特徴とする請求項16記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項18】
前記表示装置に表示された前記第2図形データを移動させるための入力装置を更に備え、
前記患者位置決め演算装置は、前記第2図形データと前記第2画像情報との相対位置関係が前記第1図形データと前記第1画像情報との相対位置関係となるように操作者が前記入力装置を用いて前記第2図形データを移動させることにより得られる移動量に基づき前記患者の位置決め情報を生成することを特徴とする請求項16記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項19】
前記第2位置決め情報に基づき、前記患者支持台駆動装置を制御して前記患者支持台の移動を行う患者支持台制御装置をさらに備えたことを特徴とする請求項17又は18記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項20】
前記第1画像情報及び第2画像情報に前記第1図形データ及び第2図形データをそれぞれ登録した線画入り画像情報のうち少なくとも1つを格納する画像情報格納装置をさらに備えたことを特徴とする請求項19記載の放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項21】
放射線治療に際し患者及びコリメータの位置決めを行うための放射線治療装置の位置決め方法において、
前記コリメータが設置されるスノートを回転駆動させて前記コリメータの位置決めを行った後に、前記患者を支持する患者支持台を移動させて前記患者の位置決めを行うことを特徴とする放射線治療装置の位置決め方法。
【請求項22】
前記スノートに前記コリメータが設置され、且つ前記患者支持台に前記患者が支持されていない状態で、放射線照射方向から前記コリメータの輪郭形状を撮影し、
前記撮影したコリメータの画像情報と、治療計画において決定されたコリメータの輪郭を示す図形データとを重ねて表示し、
前記コリメータの画像情報に写し込まれた前記コリメータの輪郭の位置情報と前記図形データで示される前記コリメータの輪郭の位置情報とに基づき、前記コリメータの位置決めを行うことを特徴とする請求項21記載の放射線治療装置の位置決め方法。
【請求項23】
前記患者支持台に患者を支持してX線撮像装置により患者の患部領域を含む部位を撮影し、
前記撮影した患者の患部領域を含む画像情報である第1画像情報と、治療計画時に作成された前記患者の患部領域を含む画像情報である第2画像情報のそれぞれに、治療計画において決定されたコリメータの輪郭形状を示す第1図形データ及び第2図形データをそれぞれ重ねて表示し、
前記第1図形データの前記第1画像情報に対する相対位置情報と前記第2図形データの前記第2画像情報に対する相対位置情報とに基づき、前記患者の位置決めを行うことを特徴とする請求項21記載の放射線治療装置の位置決め方法。
【請求項24】
照射野を形成するコリメータと、このコリメータが設置されるスノートと、患者を支持する患者支持台とを備えた放射線治療装置の位置決めシステムにおいて、
治療計画において作成された患者の患部領域を含む画像情報である参照画像を表示する第1表示領域と、
X線撮像装置により撮影された患者の患部領域を含む画像情報である第1位置決め画像であって、アイソセンタ位置の画像情報を含む第1位置決め画像を表示する第2表示領域と、
治療計画時に前記参照画像の情報内に登録された計画コリメータ輪郭形状の図形データを前記参照画像上に表示させ、かつ前記第1位置決め画像が表示される前記第2表示領域の前記アイソセンタ位置に対応する位置に前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを複写表示させ、前記第2表示領域において、前記図形データで示される計画コリメータ輪郭形状内に前記第1位置決め画像に写り込んだ患部領域が納まるように前記計画コリメータ輪郭形状の図形データに対して前記第1位置決め画像の画像情報を相対的に移動させたことにより得られる前記計画コリメータ輪郭形状の図形データと前記第1位置決め画像の画像情報との相対的移動量に基づいて、前記患者支持台の位置決め情報を生成する演算制御装置とを備えることを特徴とする放射線治療装置の位置決めシステム。
【請求項25】
照射野を形成するコリメータと、このコリメータが設置されるスノートと、患者を支持する患者支持台とを備えた放射線治療装置の位置決め方法において、
治療計画において作成された患者の患部領域を含む画像情報である参照画像を第1表示領域に表示し、X線撮像装置により撮影された患者の患部領域を含む画像情報である第1位置決め画像であって、アイソセンタ位置の画像情報を含む第1位置決め画像を第2表示領域に表示する第1手順と、
治療計画時に前記参照画像の情報内に登録された計画コリメータ輪郭形状の図形データを前記参照画像上に表示させ、かつ前記第1位置決め画像上が表示される前記第2表示領域の前記アイソセンタ位置に対応する位置に前記計画コリメータ輪郭形状の図形データを複写表示させる第2手順と、
前記参照画像と前記第1位置決め画像とを用いて、、前記第2表示領域において、前記図形データで示される計画コリメータ輪郭形状内に前記第1位置決め画像に写り込んだ患部領域が納まるように前記計画コリメータ輪郭形状の図形データに対して前記第1位置決め画像の画像情報を相対的に移動させる第3手順と、
前記計画コリメータ輪郭形状の図形データと前記第1位置決め画像の画像情報との相対的移動量に基づいて前記患者支持台の位置決め情報を生成する第4手順とを有することを特徴とする放射線治療装置の位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−61438(P2007−61438A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252607(P2005−252607)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】