説明

放射線測定装置及びその診断方法

【課題】簡単な構成で放射線測定の要である計数率測定について、精度の高い自己診断をオンラインで行うことができる放射線測定装置及びその診断方法を得る。
【解決手段】波高弁別手段2からのデジタルパルスを入力して定周期で計数する計数手段6の計数値と、上記デジタルパルスを加算すると共に、フィードバックパルスを減算する加減積算手段3の積算値をそれぞれ入力し、計数手段6の計数値および加減積算手段3の積算値に基づき第1の計数率を求めると共に、加減積算手段3の積算値に基づき第2の計数率を求め、第1の計数率と第2の計数率を比較することにより加減積算手段3の健全性を診断して出力する演算手段7を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子炉施設、使用済燃料再処理施設等の放出管理あるいは放射線管理に用いられる放射線モニタを構成する放射線測定装置及びその診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子炉施設、使用済燃料再処理施設等で使用される放射線測定装置は、放射線を検出した結果としての信号パルスの入力繰り返し周波数が10cpm程度から107cpm程度までの広いレンジをカバーして測定することが求められ、レンジ切り替えに伴う不連続性をなくすために、広いレンジをレンジ切り換えなしで高速で動作するアップダウンカウンタを用いた計数率測定が行われている。この測定方法は、アップダウンカウンタの加算入力と時定数の1次遅れで追従する減算入力がバランスしたときの積算値を演算器が定周期で読み取って計数率を演算するもので、特に高計数率まで測定できることが特徴である。(特許文献1参照)
【0003】
また、アップダウンカウンタを用いた計数率測定を外部からオンライン診断しようとすると、例えば、波高分析器とコントローラを備え、波高分析器は検出器からの信号パルスを入力して所定の測定時間のスペクトルを測定し、コントローラは波高分析器のスペクトルデータ及び演算器の計数率を入力し、スペクトルデータに基づき所定の波高範囲の積算計数を求め、その積算計数を測定時間で割り算して計数率を求め、その計数率と演算器の計数率を比較して診断していた。(特許文献2,3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−215907号公報
【特許文献2】特開2001−215279号公報
【特許文献3】特開平6−324158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の放射線測定装置は以上のように構成されているので装置が大掛かりになるという問題があった。また、精度の高い診断を行うには、アップダウンカウンタの入力と波高分析器の入力を、同じ時間軸の同じ時間帯のパルス列の取り込みになるように、コントローラでアップダウンカウンタと波高分析器を制御して同期をとらなければならないが、アップダウンカウンタは時定数がリアルタイムで変化するため、アップダウンカウンタと波高分析器の取り込みパルス列を合わせることは原理的に困難であるため診断精度を高めることができないという問題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で放射線測定の要である計数率測定について、精度の高い自己診断をオンラインで行うことができる放射線測定装置及びその診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる放射線測定装置は、放射線検出器が放射線を検出した結果としてのアナログ信号パルスを入力し、所定の波高条件を満たす時にデジタルパルスを出力する波高弁別手段と、上記デジタルパルスを入力して定周期で計数して計数値を出力する計数手段と、上記波高弁別手段から出力されたデジタルパルスを加算入力すると共に、フィードバックパルスを減算入力し、その結果の積算値を出力する加減積算手段と、この加減積算手段に入力されたパルスが標準偏差に基づき重み付けされて計数されるように制御する積算制御手段と、上記積算値を入力して上記積算値に応じた繰り返し周波数を有するパルスを上記フィードバックパルスとして上記加減積算手段に出力するパルス発生手段と、定周期で上記計数手段の計数値及び上記加減積算手段の積算値をそれぞれ入力し、上記計数手段の計数値および上記加減積算手段の積算値に基づき第1の計数率を求めると共に、上記加減積算手段の積算値に基づき第2の計数率を求め、上記第1の計数率と第2の計数率を比較することにより上記加減積算手段の健全性を診断して出力する演算手段とを備えたものである。
【0008】
この発明に係わる放射線測定装置の診断方法は、放射線検出器の出力パルスをデジタルパルスに変換し、アップダウンカウンタにより上記デジタルパルスを加算すると共に、フィードバックパルスを減算し、その結果の積算値Mを出力し、上記積算値Mに応じた繰り返し周波数を有するパルスを上記フィードバックパルスとして出力すると共に、上記積算値Mに基づく計数率mを演算する放射線測定装置の診断方法において、今回演算周期の上記アップダウンカウンタの積算値M(今回)と上記デジタルパルスを計数するカウンタの計数値N(今回)を読み込む第1のステップと、上記積算値M(今回)に基づき上記計数率m(今回)を求める第2のステップと、上記計数値N(今回)に基づき積算値Q(今回)を求め、この積算値Q(今回)に基づき上記計数率n(今回)を求める第3のステップと、計数率m(今回)/ 計数率n(今回)が1±k(kは1より小さい値)以内ならば診断結果「良」を出力し、1±kを逸脱するならば診断結果「否」を出力する第4のステップを含むものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係わる放射線測定装置及びその診断方法は、第1の計数率と第2の計数率を比較することにより上記加減積算手段の健全性を診断して出力するようにしたので、簡単な構成で放射線測定装置の要である計数率測定について、精度の高い自己診断をオンラインで行うことができ、信頼性の高い装置を安価で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すタイムチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1を示す入出力特性の概念図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示すタイムチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2を示すフロー図である。
【図7】この発明の実施の形態3を示すフロー図である。
【図8】この発明の実施の形態4を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態5を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態6を示すトレンドである。
【図11】この発明の実施の形態7を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。図1において、放射線検出器1は、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力し、波高弁別器2は、放射線検出器1から出力されたアナログ信号パルスを入力し、その電圧レベルが所定のレベル以上である場合、あるいは許容範囲内である場合、デジタルパルスを出力する。アップダウンカウンタ3は、定周期で波高弁別器2から出力されたデジタルパルスを加算入力31に入力し、パルス発生器4から出力されたデジタルパルスを減算入力32に入力し、その結果の積算値Mを出力する。
【0012】
積算制御回路5は、アップダウンカウンタ3の加算入力31及び減算入力32に入力されたパルスを、標準偏差σに基づき重み付けして計数するように、アップダウンカウンタ3を制御する。パルス発生器4はアップダウンカウンタ3から出力された積算値Mを入力して繰り返し周波数に変換してアップダウンカウンタ3の減算入力32に入力する。カウンタ6は、波高弁別器2から出力されたデジタルパルスを入力し、定周期で計数して計数値Nを出力する。演算器7は、定周期でアップダウンカウンタ3から出力された積算値Mとカウンタ6から出力されたカウント値Nをそれぞれ入力して積算値に基づく計数率m、計数率nを求め、その計数率m、計数率nに基づき工学値変換及び警報判定を行って放射線測定値及び警報を測定値出力端子8から出力する。メモリ9は演算器7の演算に必要な演算手段及び設定値を記憶すると共に演算結果を格納する。表示器100は、演算器7から出力された放射線測定値及び警報を表示する。
【0013】
次に、アップダウンカウンタ3に入力される繰り返し周波数に対して演算器7から出力される計数率の応答について説明する。アップダウンカウンタ3は、波高弁別器2から出力される繰り返し周波数FINのデジタルパルスを加算入力31に入力し、パルス発生器4から出力される繰り返し周波数FBのデジタルパルスをフィードバックパルスとして減算入力32に入力し、その結果の積算値Mをパルス発生器4及び演算器7に出力する。パルス発生器4は、積算値Mを入力して次式(1)で示す繰り返し周波数FBのデジタルパルスを出力する。同様に、演算器7は積算値Mを入力して次式により計数率mを演算する。演算器7は設定された標準偏差σに基づき積算制御回路5の計数の重み付けを決定する。FB及びmは、FINに平衡するように時定数τの一次遅れで追従して応答する。
【0014】
FB=m=eγM=2γM/In2・・・(1)
σ=1/(2mτ)1/2=(ν/2)1/2・・・(2)
τ=1/(2m(M)σ2)・・・(3)
ν=2σ2=2−λIn2・・・(4)
α=11−λ・・・(5)
【0015】
上記(4)式においてλを例えば11、9、7、5とすると、上記(2)式で示すように標準偏差σはそれぞれ1.3%、2.6%、5.2%、10.4%となる。上記(4)式でλが11の時を基準にすると、λが9、7、5の時、γはそれぞれ22倍、24倍、26倍となり、上記(2)式のように標準偏差σはそれぞれ21倍、22倍、23倍となり、上記(3)式のように時定数τはそれぞれ2−2倍、2−4倍、2−6倍となる。
【0016】
上記(1)式に示すようにmが一定の状態でγを2α倍にすると、Mは2−α倍で平衡する。
mが一定の状態において、γを変えてもMが変化しないようにするには、γを2α倍にしたらアップダウンカウンタ3は1パルスの重み付けを2α倍にして計数すればよい。すなわち、アップダウンカウンタ3の加算入力31に波高弁別器2から出力されたデジタルパルスが1個入力されると、Mは2αだけ加算計数される。一方、アップダウンカウンタ3の減算入力32にパルス発生器4から出力されるデジタルパルスが1個入力されると、Mは2αだけ減算計数される。結果として積算値Mは、加算入力と減算入力の差の積算値Pに2αを掛け算した値になる。ここでαは0または正の整数で、上記(5)式のようにλが11、9、7、5の時、αとしてそれぞれ0、2、4、6が与えられる。例えば、λが11の時は1パルスの入力に1個として加算または減算され、MとPは等しくなる。λが9の時は1パルスの入力に対して4個として加算または減算され、Mは4Pと等しくなる。
【0017】
したがって、上記(1)式においてγを2α倍に変えることは、計数の重み付けを2α倍に変えることと同等であり、計数率nは、2α倍に重み付けされた結果の積算値Mと基準のλ=11(α=0)に対応するγに基づき上記(1)式により求められる。このように、積算制御回路5がアップダウンカウンタ3の計数の重み付けを制御することにより標準偏差σを容易に変更することができる。また、標準偏差σを変更しても積算値Mが変化しないので、測定中に指示の中心値を変化させることなく応答特性を変えることができる。なお、上記(1)式はパルス発生器4の出力パルスをクロックパルスで合成する等の回路上の都合あるいは演算処理の都合に合わせて、例えば、折れ線近似してもよい。
【0018】
図2は、実施の形態1に係わるタイムチャートで、演算器7におけるアップダウンカウンタ3の積算値Mとカウンタ6の計数値Nの読み込みは、演算器7の内部のクロック(図示せず)の周期a1でシーケンシャルに制御され、例えば当該演算周期a2において、積算値Mの読み込みのタイミングa3に続くa4のタイミングで計数値Nが読み込まれ、a5のタイミングでカウンタがリセットされて計数を再開する。クロック4MHzとすると、完全同期からのずれは合計2クロックの0.5μ秒と軽微である。
【0019】
図3は、実施の形態1に係わる入出力特性の概念図で、b1は入力信号パルスの繰り返し周波数FBのステップ状の変化を、b2は標準偏差2.6%における計数率mの応答を、b3は標準偏差5.2%における計数率mの応答をそれぞれ示すもので、時間経過に対して計数率mは指数関数で応答し、標準偏差σが大きいほど計数率mの応答が速いことを示している。
【0020】
一方、今回演算周期の計数率n(今回)は、カウンタ6の今回演算周期の計数値N(今回)、アップダウンカウンタ3の前回演算周期の計数値M(前回)、計数率m(前回)、M演算周期の時間ΔTから、次式(6)で今回演算周期の積算値Q(今回)を求め、Q(今回)から次式(7)で求められる。
Q(今回)は、アップダウンカウンタ3の今回演算周期の積算値M(今回)に対応するのである。
n(今回)はM(今回)に基づき次式(8)で求めることができる。
Q(今回)=M(前回)+2α×{N(今回)−m(前回)×ΔT}・・・(6)
n(今回)=eγQ(今回)=2γQ(今回)/In2・・・(7)
m(今回)=eγM(今回)=2γM(今回)/In2・・・(8)
【0021】
図4は実施の形態1に係わる演算手順のフロー図である。演算器7は、今回演算周期のアップダウンカウンタ3の積算値M(今回)とカウンタ6の計数値N(今回)を読み込む(S1)。次に、M(今回)に基づき上記(8)式で計数率m(今回)を求める(S2)。N(今回)に基づき上記(6)式で積算値Q(今回)を求める。Q(今回)に基づき上記(7)式で計数率n(今回)を求める(S3)。m(今回)/n(今回)が1±k以内ならば診断結果「良」を出力してS1に戻る(S4)。m(今回)/n(今回)が1±kを逸脱するならば診断結果「否」を出力してS1に戻る(S5)。ここで、kは1より小さい値で、計数率測定の分解能、必然的な誤差を含むが、標準偏差σの3倍以下で設定される。
【0022】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、アップダウンカウンタ3による計数率測定とカウンタによる計数率測定を並列で行い、両方の計数率を比較することによりアップダウンカウンタ3による計数率測定の健全性を診断して出力するようにしたので、簡単な構成で放射線測定装置の要である計数率測定について、精度の高い自己診断をリアルタイムで行うことができ、信頼性の高い装置を安価で提供できる。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態1では、定周期でカウンタ6の計数値が上記演算器7に組み込まれ、続いて上記カウンタ6がリセットされて計数を再開するが、実施の形態2では、図5に示すタイムチャートのように、演算器7の内部のクロック(図示せず)のパルスc1でシーケンシャルに制御され、例えば、当該演算周期c2において、積算値Mの読み込みのタイミングc3に続くc4のタイミングで計数値Nが読み込まれる。
図6のフロー図においてNがオーバーフロー限界値N限界手前の、例えば、1/2N限界未満ならば(S11)、カウンタ6をリセットせずにS1に戻り、カウンタ6が1/2N限界以上ならば(S12)、カウンタ6が1/2N限界以上になった演算周期c6で、c4に続くc5のタイミングでカウンタ6をリセットして計数を最初から再開させ、S1に戻るようにしたものである。前記演算周期におけるカウンタ6のリセットの有無によりN(今回)の算出方法は2つに分かれる(S15)。即ち、カウンタ6をリセットした場合は、N(今回)の値は、読み込んだNの値をそのまま使用し(S14)、カウンタをリセットしない場合は、N(今回)の値は、読み込んだNの値から、N(前回)の値を引いた値を使用する(S13)。カウンタ6のオーバーフロー限界を、十分大きい値に設定しておけば、ほとんどの場合において、カウンタ6のリセットは行われず、完全同期からのずれは1クロックとなり、ここで、クロックを4MHzとすると、0.25μ秒に軽減されるため、更に精度の高い自己診断をリアルタイムで行うことができる。
【0024】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、放射線測定値は表示器100にフリッカしないで表示されるが、実施の形態3では、図7のフロー図において当該演算周期の間にカウンタ6に入力されたパルスの正味計数値が放射線測定レンジ上限以上に相当する場合(S21)、演算器7から表示器100に出力される放射線測定値にフリッカのフラグをたてS1に戻る(S22)、正味計数値が放射線測定レンジ上限未満に相当する場合(S23)、演算器7から表示器100に出力される放射線測定値はフリッカのフラグなしとしS1に戻る(S24)ようにしたので、表示器100に表示された放射線測定が測定レンジ以内の信頼できる値かどうかを一目で分かるように可視化できる。
【0025】
実施の形態4.
実施の形態4では、図8のブロック図に示すように、第1のA/D変換器400に放射線検出器1に供給する高圧電源の電圧レベルを入力してデジタルデータに変換し、第2のA/D変換器500に波高弁別器2の波高弁別レベルをデジタルデータに変換し、それぞれのデジタルデータを演算器7に入力し、それぞれ所定の許容範囲にあるかどうかを定周期で診断するようにしたので、高圧電源及び波高弁別器の健全性をリアルタイムで診断でき、高圧電源を診断することにより間接的に直流電源も診断でき、放射線測定装置の機器異常要因を網羅した総合的な診断が可能となる。
【0026】
実施の形態5.
実施の形態5では、図9のブロック図に示すように、テスト信号を発生するテスト信号発生器600と、検出器信号とテスト信号を切り換える切換スイッチ700を備え、演算器7は、テスト時に切換スイッチ700をテスト信号入力に切り換えて計数率nをテスト入力計数率とし、これに対する計数率mの比を求め、計数率指示誤差演算を行うようにしたので、測定器を接続しないでもテスト信号の周波数を測定できるので簡便で信頼性の高いテストを行うことができる。なお、指示誤差は複数回の移動平均値を表示するようにしたのでより精度の高い試験を行うことができる。
【0027】
実施の形態6.
実施の形態6では、図10に示すトレンドのように、テスト入力e1と指示応答e2を表示器100にトレンド表示するようにしたので、指示応答が安定してから指示誤差評価することにより精度の高い試験を行うことができる。
【0028】
実施の形態7.
実施の形態7では、図11に示すように、テスト信号を発生可能なテスト信号発生器600と、テスト信号発生器600の出力を、放射線検出器1の検出出力パルスを模擬した模擬パルスへ変換するための微分回路800と、放射線検出器1の検出出力パルスと模擬パルス信号を切り換え可能な切換スイッチ700を備え、演算器7はテスト時に切換スイッチ700を模擬パルス入力に切り換え、模擬パルスの波高値を変化させることで、波高弁別器2の健全性を確認することができるため、より精度の高い試験を行うことが出来る。
【符号の説明】
【0029】
1 放射線検出器
2 波高弁別器
3 アップダウンカウンタ
4 パルス発生器
5 積算制御回路
6 カウンタ
7 演算器
8 出力端子
9 メモリ
100 表示器
400 第1のA/D変換器
500 第2のA/D変換器
600 テスト信号発生器
700 切換スイッチ
800 微分回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器が放射線を検出した結果としてのアナログ信号パルスを入力し、所定の波高条件を満たす時にデジタルパルスを出力する波高弁別手段と、
上記デジタルパルスを入力して定周期で計数して計数値を出力する計数手段と、
上記波高弁別手段から出力されたデジタルパルスを加算入力すると共に、フィードバックパルスを減算入力し、その結果の積算値を出力する加減積算手段と、
この加減積算手段に入力されたパルスが標準偏差に基づき重み付けされて計数されるように制御する積算制御手段と、
上記積算値を入力して上記積算値に応じた繰り返し周波数を有するパルスを上記フィードバックパルスとして上記加減積算手段に出力するパルス発生手段と、
定周期で上記計数手段の計数値及び上記加減積算手段の積算値をそれぞれ入力し、上記計数手段の計数値および上記加減積算手段の積算値に基づき第1の計数率を求めると共に、上記加減積算手段の積算値に基づき第2の計数率を求め、上記第1の計数率と第2の計数率を比較することにより上記加減積算手段の健全性を診断して出力する演算手段とを
備えたことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
上記演算手段は、上記計数手段の計数値を読み込み、定周期では上記計数手段をリセットせずに、上記計数手段の計数値がオーバーフロー限界値手前の所定の値を超えた場合にリセットするようにしたことを特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項3】
上記係数手段の計数値が放射線測定レンジ上限以上に相当する場合に、上記演算手段の出力の指示値をフリッカするようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の放射線測定装置。
【請求項4】
上記放射線検出器に供給する高圧電源の電圧レベルを入力してデジタルデータに変換する第1のA/D変換器と、上記波高弁別手段の波高弁別レベルをデジタルデータに変換する第2のA/D変換器を備え、それぞれのデジタルデータを上記演算手段に入力して定周期で診断するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の放射線測定装置。
【請求項5】
テスト信号を発生するテスト信号発生器と、上記検出器信号と上記テスト信号を切り換える切換スイッチを備え、上記演算手段は、テスト時に上記切換スイッチをテスト信号入力に切り換え、上記第1の計数率をテスト入力計数率として指示誤差演算を行って指示誤差を表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の放射線測定装置。
【請求項6】
上記演算手段は、上記指示誤差として複数回の移動平均値を表示するようにしたことを特徴とする請求項5記載の放射線測定装置。
【請求項7】
テスト入力と指示応答をトレンド表示するようにしたことを特徴とする請求項5または6記載の放射線測定装置。
【請求項8】
上記放射線検出器の出力パルスを模擬した模擬パルスを出力する模擬パルス発生器と、上記放射線検出器の出力パルスと上記模擬パルスを切り換える切換スイッチを備え、上記演算手段は、テスト時に上記切換スイッチを模擬パルス入力に切り換えると共に、上記模擬パルスの波高を変化させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の放射線測定装置。
【請求項9】
放射線検出器の出力パルスをデジタルパルスに変換し、アップダウンカウンタにより上記デジタルパルスを加算すると共に、フィードバックパルスを減算し、その結果の積算値Mを出力し、上記積算値Mに応じた繰り返し周波数を有するパルスを上記フィードバックパルスとして出力すると共に、上記積算値Mに基づく計数率mを演算する放射線測定装置の診断方法において、
今回演算周期の上記アップダウンカウンタの積算値M(今回)と上記デジタルパルスを計数するカウンタの計数値N(今回)を読み込む第1のステップと、
上記積算値M(今回)に基づき上記計数率m(今回)を求める第2のステップと、
上記計数値N(今回)に基づき積算値Q(今回)を求め、この積算値Q(今回)に基づき上記計数率n(今回)を求める第3のステップと、
計数率m(今回)/ 計数率n(今回)が1±k(kは1より小さい値)以内ならば診断結果「良」を出力し、1±kを逸脱するならば診断結果「否」を出力する第4のステップを含む
ことを特徴とする放射線測定装置の診断方法。
【請求項10】
上記計数値N(今回)がオーバーフロー限界値手前の値か否か判定し、オーバーフロー限界値手前の値未満ならば、上記カウンタをリセットせずに上記第1のステップに戻り、オーバーフロー限界値手前の値以上ならば、上記カウンタをリセットして計数を最初から再開させ、上記第1のステップに戻るようにしたことを特徴とする請求項9記載の放射線測定装置の診断方法。
【請求項11】
上記カウンタに入力された上記デジタルパルスの正味計数値が放射線測定レンジ上限以上か否か判定し、放射線測定レンジ上限以上ならば、表示される放射線測定値にフリッカのフラグをたて、上記第1のステップに戻り、上記正味計数値が放射線測定レンジ上限未満ならば、表示される放射線測定値にフリッカのフラグなしとし、上記第1のステップに戻るようにしたことを特徴とする請求項9または10記載の放射線測定装置の診断方法。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−123009(P2011−123009A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282854(P2009−282854)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】