放射線画像撮影制御装置、放射線画像撮影制御システム、及び放射線画像撮影制御プログラム
【課題】動体において最適なタイミングで撮影を行う。
【解決手段】放射線技師または医師が撮影を開始すると、ステップS3、ステップS4にて、被検者が撮影台に接している部位に配置されている荷重センサ部から、荷重値の取得が開始される。ステップS5にて取得した荷重値が規定値より大きい場合、ステップS6の放射線照射が開始され、以降ステップS11の荷重値が規定値以下となるまで、ステップS7からステップS10の放射線画像の取得処理が所定時間間隔で行われる。ステップS11にて荷重値が規定値以下となったタイミングで、ステップS12の放射線照射を停止し、放射線撮影処理を終了する。
【解決手段】放射線技師または医師が撮影を開始すると、ステップS3、ステップS4にて、被検者が撮影台に接している部位に配置されている荷重センサ部から、荷重値の取得が開始される。ステップS5にて取得した荷重値が規定値より大きい場合、ステップS6の放射線照射が開始され、以降ステップS11の荷重値が規定値以下となるまで、ステップS7からステップS10の放射線画像の取得処理が所定時間間隔で行われる。ステップS11にて荷重値が規定値以下となったタイミングで、ステップS12の放射線照射を停止し、放射線撮影処理を終了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体動する被検体を適切なタイミングで撮影することができる放射線画像撮影制御装置、放射線画像撮影制御システム、及び放射線画像撮影制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野の放射線撮影において、医師または放射線技師が被検者の体の所望部位を撮影するため、被検者の位置決めを行い、被検者の体を静止した状態で撮影ボタンを押下することが行われている。これは、放射線撮影において被検者が体動すると、適切な画像が取得できないためであり、例えば、胸部であれば息を吸ったタイミングで呼吸をとめて撮影することが行われている。この際、静止した状態か否かの確認は、医師または放射線技師が被検者を目視することによって行われる。
【0003】
特許文献1には、圧力センサで被検者の体動を測定し、その情報を表示する画像診断装置用寝台が開示されている。この画像診断装置用寝台では、寝台の長手方向に、複数の空気を封入した圧力センサを配置し、その上に寝る被検者からの圧力を検知する。検知した圧力信号を解析し、被検者の体動、呼吸、心拍を画面に表示する。これにより、技師は被検者が体動していないこと、息を止めていること等を把握した上で、撮影ボタンを押下することができる。
【0004】
また、整形外科において、人工骨のフィット状態を確認する際に、例えば足であれば被検者が歩いている状態で、関節等を何枚か撮影を行いたい場合がある。このように動体を撮影する場合、一般的には前述したように所望の状態で被検者を静止させて撮影したり、医師や放射線技師が目視によって被検者の動作を確認し、適切なタイミングで撮影ボタンを押下することが行われている。もしくは、撮影ボタンを押下して放射線が照射された状態で、被検者が所望の動作を行い、その間放射線検出機で画像を定期的に取得することが行われる。
【0005】
更に、人工骨のフィット状態の確認には、比較のため予め撮影してある人工骨装着前の画像と同じ条件で撮影したい場合があり、過去の画像と被検者の動作を目視にて確認しながら撮影することも行われている。
【0006】
しかしながら、被検者が一定時間静止した姿勢を維持した状態で撮影することは患者にとって肉体的負担であった。
【0007】
また、動体に対して、医師または技師が目視で被検者を確認しながら撮影タイミングを計るやり方では、最適なタイミングで撮影をすることが難しいという問題があった。特に、比較読影のため、過去に撮影した画像と同じ条件で撮影したい場合において、過去の画像と被検者の動作を見ながら撮影することは非常に困難であった。過去の画像が複数ある場合は尚更困難を極める。
【特許文献1】特開2005−143661
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された技術では、被検者の状態をセンサで検知し、技師が撮影し易いようにその結果を表示することができる。しかしながら、最終的には表示された情報を見ながら同じく目視にて撮影を行うことになるため、最適なタイミングで撮影することが難しい。また、検知する内容が、体動していないこと、呼吸、心拍であるため、整形外科の脚部等その他の動体撮影に適用することができない。
【0009】
また、放射線を照射した状態で、被検者が所望の動作を行い撮影する場合、撮影したい状態以外においても放射線が照射され続けているため、必要以上に被検者が被爆してしまう問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、動体において被検者の肉体的負担を軽減しつつ最適なタイミングで撮影を行うことができる放射線画像撮影制御装置、放射線画像撮影制御システム、及び放射線画像撮影制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の放射線画像撮影制御装置は、被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して前記所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値が前記規定値より大きいこととすることができる。
【0013】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影制御手段は前記撮影可否判断手段により撮影可と判断されている間は、一定の間隔で撮影を行うようにすることができる。
【0014】
一定の間隔で撮影する際に、撮影を開始する直前に放射線が照射されるように制御し、撮影が終了後放射線の照射が停止されるように制御すると、被検者の被爆量が低減される。
【0015】
また、前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値と前記規定値が等しいこととしてもよい。
【0016】
また、前記特徴量は圧力または荷重の分布から抽出される所定方向の長さまたは外形形状であり、前記規定値は予め設定された所定方向の長さまたは外形形状であり、前記所定条件は前記抽出された所定方向の長さまたは外形形状が規定値と等しいことであるとしてもよい。
【0017】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影可否判断手段は前記特徴量と複数の前記規定値とを順次比較し撮影可否を判断してもよい。
この場合、撮影可と判断されて撮影する際に、撮影を開始する直前に放射線が照射されるように制御し、撮影が終了後放射線の照射が停止されるように制御すると、被検者の被爆量が低減される。
【0018】
前記規定値は、同一被検者の過去の撮影データから取得してもよい。
【0019】
被検者が痛みを感じた時に信号を通知するための痛み通知手段を備え、前記痛み通知手段からの痛み通知信号を受信して、前記痛み通知信号を受信した時刻を記憶することもできる。
【0020】
前記圧力または荷重の値と、前記撮影された放射線画像と、前記痛み通知信号の受信時刻を同時に表示する表示手段を備えてもよい。
更に本発明の放射線画像撮影システムは、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出器と、被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段、前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段、及び前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段を備えた放射線画像撮影制御装置と、を含む。
【0021】
上記の放射線画像撮影制御装置には、前記規定値と前記所定条件を記憶する記憶手段を更に設けても良く、放射線画像撮影制御装置に記憶手段を設けることなく、前記ネットワークに接続された他の装置に前記規定値及び前記所定条件を記憶する記憶手段を設け、放射線画像を撮影する際に前記規定値及び前記所定条件を読み出して使用してもよい。
【0022】
更に本発明の放射線画像撮影プログラムは、コンピュータを、被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信し、前記圧力または荷重から特長量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被検者が所望の状態となったタイミングを自動的に検知し撮影を実行するため、最適なタイミングで撮影を行うことができる、という効果が得られる。
また、動体において複数枚の撮影を行う際、所望の状態でのみ放射線照射を行って撮影することにより、被検者の被爆量を低減することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における概略構成を示すものである。第1の実施形態では、放射線撮影を行うための放射線撮影装置が設けられている。放射線撮影装置は、放射線(例えば、X線)を被検者方向に照射する放射線源32と、放射線源32から照射されかつ被検者を透過した放射線を検出して検出した放射線の線量に応じた電荷を発生することにより、被検者の所定部位の放射線画像を撮影する放射線検出器35とにより構成されている。
【0025】
放射線源32は、放射線源32から放射線の放射が開始され、かつ放射されている放射線の放射を停止するように制御するための放射線源制御装置2に接続されている。また、放射線検出器35は、放射線検出器35内に発生した電荷を読み出すように放射線検出器35を制御するためのコンソール1に接続されている。コンソール1には、撮影される被検者が乗降する撮影台4、被検者が痛みを感じた際に押下する痛み通知スイッチ34、及び被検者の動作を撮影するためのカメラ33が接続されている。放射線源制御装置2には、放射線撮影を開始する際に操作される撮影開始スイッチ31が接続されている。また、コンソール1及び放射線源制御装置2には、通信インターフェース(IF)15,25が設けられている。通信IF15,25は、撮影した画像を保存するためのサーバー8、及び保存した画像を閲覧するためのビューワー装置9にローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続されている。
【0026】
放射線源制御装置2とコンソール1の各々は、例えばパーソナルコンピュータ本体など、CPU13,23、RAM12,22、ROM11,21等を用いて構成された演算処理を行う装置である。本実施の形態における放射線画像を撮影するように制御する制御ルーチンのプログラムはコンソール1の記憶媒体としてのROM11に記憶されており、実行時に読み出されてCPU13で実行される。また、ROM11には、制御ルーチンのプログラムを実行する際に使用される規定値が記憶されている。プログラムを記憶する記憶媒体としては、その他DVD−ROM、CD−ROM、外付けハードディスク、またはメモリカード等であってもよい。
【0027】
コンソール1及び放射線源制御装置2には、周辺装置を専用ケーブルを用いて接続するためのIOポート14、24を備える。放射線源32、及び撮影開始スイッチ31は、放射線源制御装置2のIOポート24に接続され、放射線検出器35、撮影台4、痛み通知スイッチ34、及びカメラ33は、コンソール1のIOポート14に接続されている。
【0028】
医師または技師によって放射線撮影を開始する撮影開始スイッチ31が押下されると、放射線源制御装置2及びLANを介して撮影開始信号がコンソール1に通知される。撮影開始スイッチ31押下後に、放射線撮影が実行されると、放射線源制御装置2にて設定された線量等の設定値に従い放射線源32が制御され、放射線源32から放射線が照射される。照射された放射線は、被検体を透過し、放射線検出器35によって透過後の放射線として検知され、画像が形成される。撮影された画像は、コンソール1にて取得され、コンソール1のRAM12に一時保存される。この画像はコンソール1に付随のディスプレイに表示され、放射線技師または医師が、画像の良否確認を行うことができる。その後、コンソール1からサーバー8に撮影された画像が送信され、患者の識別情報と共にデータベースに保存される。
【0029】
放射線技師または医師は、所望のタイミングで患者毎の画像をビューワー9にて参照することができる。ビューワー9にて参照したい患者の識別情報を接続されているキーボードから入力するかまたはマウスを操作して入力すると、ビューワー9からサーバー8へ患者の識別情報が送信される。サーバー8では、患者の識別情報に対応する画像をデータベースから取得し、ビューワー9に送信する。ビューワー9にはディスプレイが備えられており、患者の識別情報、及び撮影した画像等を同時に表示して参照することができる。
撮影台4には、図2に示すように、被検者が乗降した際に被検者の荷重を検知するための複数の荷重センサ部41が上面に2次元状に配置されている。複数の荷重センサ部41は、複数の荷重センサ部41から出力された荷重の値に基づいて荷重分布信号を生成して出力する荷重信号処理部42、及び通信IF43を介してコンソール1のIOポート14に接続されている。例えば、被検者が片足を撮影台4に載せると、足が接触している部位の荷重が個々の荷重センサ部41で検知される。この個々の荷重の値が、荷重信号処理部42に集約され、荷重分布信号としてコンソール1に送信される。センサ部41のセンサはひずみゲージ等荷重を検知できるものであれば如何なるものでもよい。また、センサは、荷重ではなく圧力を検知するセンサであってもよい。
【0030】
痛み通知スイッチ34は、被検者が撮影中痛みを感じたときに、痛みを感じたことを知らせるために用いる。被検者によって保持され痛みを感じたタイミングでボタンが押下される。ボタンが押下されると、痛み開始通知としてコンソール1に信号が送信される。痛みがなくなった際は、ボタンがリリースされ、痛み終了通知として同様にコンソール1に信号が送信される。
【0031】
図3を用いて放射線画像を撮影するように制御するメインルーチンについて説明する。図3はコンソール1における制御ルーチンの処理フローである。本実施の形態では、例えば、整形外科の分野で人工骨を装着している被検者に対し人工骨のフィッティングを確認するため、被検者が歩いている状態において、膝関節の放射線撮影を行うことを例にあげて説明する。
【0032】
まず放射線技師、または医師が撮影開始スイッチ31を押下して撮影開始が指示されると、放射線源制御装置2に撮影準備信号が通知される。この撮影準備信号は、更に通信IFを介して、放射線源制御装置2からLANを介してコンソール1に伝達される。
コンソール1では、ステップS1において撮影準備信号が入力されたか否か、すなわち撮影開始支持が入力されたか否かが判断され、撮影準備信号を受信して入力されたと判断すると、ステップS2において接続されているカメラ33に撮影開始信号を送信して、動画の撮影を開始させる。動画は、後で被検者の動きを参照するために撮影される。
【0033】
次のステップS3では、撮影台4の荷重信号処理部42に荷重検知開始信号を送信する。すると、撮影台4の荷重信号処理部42、及び荷重センサ部41の電源が入り、被検者の荷重を検知できる状態となる。荷重センサ部41は逐次荷重を検知しており、荷重信号処理部42を介して荷重分布としてコンソール1に送信されるので、ステップS4において荷重信号処理部42で生成された荷重分布信号を受信することにより荷重分布信号を取得する。
【0034】
この状態で、被検者が片足を持ち上げ撮影台4の上に載せると、足が接している部位の荷重センサ部41で荷重が検知され、荷重信号処理部41にて集約されて生成された荷重分布信号がコンソール1に送信される。コンソール1では、荷重分布信号により荷重合計値が算出され、ステップS5において荷重合計値が規定値より大きいか否かが判断され、合計値が規定値より大きい場合に撮影可と判断し、ステップS6において放射線源制御装置2へ放射線照射開始指示を通知する。放射線源制御装置2はこの指示を受け取ると、放射線源32より放射線の照射が開始されるように制御する。
【0035】
ステップS7において、放射線検出器35によって検出された被検者透過後の放射線から、透過画像を取得する。取得した画像は、画像取得時刻及び荷重分布信号と対応させてRAM12に記憶される(ステップS8)。
【0036】
透過画像撮影後、ステップS9において次の撮影の準備のため所定時間待機する処理を行い、ステップS10で再度荷重分布信号を取得し、ステップS11において荷重合計値が規定値より大きいか否かが判別される。荷重合計値が規定値を超えている場合には、ステップS7に戻り、以降、荷重合計値が規定値以下となるまでステップS7からステップS11の処理を繰り返し行う。これによって、被検者が歩いている動作中、すなわち、荷重合計値が規定値を超えている場合に放射線の照射を継続した状態で等間隔で複数回の放射線撮影が行われる。なお、複数回の放射線撮影を行う際に、撮影直前で放射線の照射を開始するように制御し、撮影終了後に放射線の照射が停止されるように制御してもよい。これにより、放射線の被爆量が低減される。
【0037】
被検者は撮影中、痛み通知スイッチ34を手に持っている。痛みを感じた際に被検者がボタンを押下すると、痛み開始信号がコンソール1の処理に割り込み入力され、図4に示す割り込みルーチンが実行され、ステップS16で現在時刻を取得し、ステップS17で痛み開始時刻としてRAM12に保存し、メインルーチンにリターンする。
【0038】
また、被検者が痛みを感じなくなったタイミングで、痛み通知スイッチ34のボタンをリリースすると、痛み終了信号がコンソール1の処理に割り込み入力され、図5に示す割り込みルーチンが実行され、ステップS20で現在時刻を取得し、ステップS21で痛み終了時刻として、痛み開始時刻と対応させて上記と同様にRAM12に保存される。
【0039】
被検者が撮影台4に載せている足を降ろし始めたところで、ステップS11で荷重合計値が規定値以下となったと判断されると、ステップS12で放射線源制御装置2へ放射線照射停止指示を通知し、ステップS13で撮影台4の荷重信号処理部42に荷重検知終了信号を通知する。すると放射線源32は放射線の照射を停止し、撮影台4は荷重の検知を終了する。更に、ステップS14においてカメラ33に撮影終了信号が送信されて撮影した動画がRAM12に保存され、撮影が完了する。
【0040】
一連の撮影が完了すると、取得した放射線画像を示すデータ、撮影時刻(画像取得時刻)を示すデータ、荷重分布を示すデータ、動画を示すデータ、痛み開始時刻を示すデータ、及び痛み終了時刻を示すデータを含む情報が、サーバー8へ送信され、コンソール1から入力された患者の識別情報とともにサーバー8に接続されているデータベースに保存される。
【0041】
図6は上述してきた撮影で取得した各データをビューワー9の画面上へ表示する例を示す図である。まずビューワー9で技師または医師が患者の識別情報を入力するとサーバー8へ送信され、患者の識別情報に対応する該当情報がデータベースから検索されてビューワー9に送信され、ビューワー9上で表示される。
【0042】
画面92,93,94の各々は、患者情報表示領域922、放射線画像表示領域921、荷重分布表示領域923、動画表示領域924、及び前述した各領域に表示されるデータが取得された時刻を表現するスクロールバー925で構成される。スクロールバー925は左端が撮影開始時刻、右端が撮影終了時刻、スクロールバー925のノブ927の表示位置が画面に表示中のデータが取得された時刻を各々表す。また、同時にスクロールバー925上に、痛み開始時刻から痛み終了時刻までの領域が明確にわかるように、例えば塗りつぶされた状態で痛み検知領域926として表示される。
【0043】
図6では、膝において3枚の放射線画像が撮影された例を示している。まず、画面92に示される最初の画像は、被検者が片足の踵を撮影台4に載せた状態で撮影されている。画面93に示される2枚目の画像は片足の裏側全体を撮影台4に載せた状態で撮影されている。そして、最初の撮影から2枚目の撮影までの間に、被検者が痛みを感じたことを表わす痛み開始時刻が記録されている。2枚目の撮影時にはまだ被検者が痛みを感じ続けており、画面94に示される3枚目の撮影前に被検者の痛みが終わり痛み終了時刻が記録されている。この場合、痛み検知領域926は2枚目の撮影時間に重なる形でスクロールバー925上に表示される。3枚目は足を撮影台4から降ろす直前の画像であり、片足の爪先側を撮影台4に載せた状態で撮影されている。
【0044】
これらの表示から、医師は患者が痛みを感じた時に撮影された放射線画像、図6においては2枚目の放射線画像を確認することができ、膝関節における人工骨のフィッティング良否確認等を行うことができる。また、足裏の荷重分布のデータから、痛みを感じた時に膝関節にかかるおおよその負荷の推定もできるため、人工骨のフィットがうまくいっていない時の改善方法の検討に有用である。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以降の説明において第1の実施の形態で説明した図3と同等の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図7、図8に示すように、第2の実施の形態では、撮影台5に放射線検出器52を内蔵し、上方から照射される放射線を検出する。これにより、例えば被検者の足首からつま先にかけて足の下方の放射線画像を撮影することができる。なお、図8において、荷重センサ部51、荷重信号処理部53、及び通信IF54は、図2の荷重センサ部41、荷重信号処理部42、及び通信IF43と同一のものである。
【0045】
次に、図9を参照して本実施の形態の制御ルーチンを説明する。放射線検出器52は、撮影台5上面の荷重センサ部51の下方に配置される。この場合、撮影した放射線画像に荷重センサ部51が映りこむこととなる。このため、ステップS1において撮影開始指示が入力されたと判断されると、ステップS25において、放射線源32に放射線照射開始指示を送信し、撮影台5に被検体が載置されていない状態で撮影台5の放射線画像を撮影し、撮影終了後、放射線源32に放射線照射停止指示を送信して放射線の照射を停止する。
また、ステップ5で荷重合計値が規定値以上と判断されると、ステップS26で放射線源32に放射線照射開始指示を送信し、ステップS7において放射線検出器52で検出された放射線画像(透過画像)を取得し、ステップ27において放射線源32に放射線照射停止指示を送信する。
【0046】
ステップS11で荷重合計値が規定値以下と判断されて撮影が終了したら、ステップS28において撮影した全ての放射線画像からステップS25で取得した撮影台5の放射線画像を減算する。こうすることで、写りこむ荷重センサ部51の画像を放射線画像の各々から除去することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、放射線検出器52で透過画像を取得する(ステップS7)直前で放射線の照射を行い(ステップS26)、直後に放射線の照射を停止する(ステップS27)ことを例示した。こうすることで、被検者の被爆量を最小限に低減することができる。
【0048】
なお、上記第1及び第2の実施の形態においてステップS5の規定値は0であってもよいし、被検者の体重に対する割合を示す係数を乗算して求めてもよい。規定値が0である場合は、被検者が撮影台4に乗った直後から撮影を開始でき比較的多くの枚数の放射線画像を撮影することができる。体重に対する割合を示す係数を乗算した場合は、被検者の膝にある一定の体重がかかった状態、すなわち負荷がかかることにより痛みが発生し易い膝に、一定の負荷をかけた状態から撮影を開始することができ、より所望の状況下でのみ放射線を照射できるため、被検者が撮影台4に乗った直後から撮影を開始する場合と比較して被爆量を低減するとともに撮影効率を向上することができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態について説明する。図10は第3の実施の形態における制御ルーチンを示す処理フローである。なお、本実施の形態において図9と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。ステップS1で撮影開始指示が入力されたと判断されると上記と同様にして、荷重検知が開始され、ステップS32において荷重分布信号から所定値以上の値をもつ荷重分布が抽出され、抽出された荷重分布の所定方向の長さが算出される。ステップS33において、算出された所定方向の長さを複数の規定値と順次比較して、所定方向の長さが複数の規定値の中のいずれかの規定値と一致した場合、撮影可能と判断し以降の撮影処理が行われる。
【0049】
なお、所定方向の長さと規定値は値が完全に一致していなくてもよく、所定方向の長さを規定値で除算した値が所定の値以上となった時に撮影可能と判断、すなわち例えば90%以上となった時に所定方向の長さと規定値がほぼ等しくなったと判断して、撮影可能としてもよい。
【0050】
ここで、所定方向の長さとは、荷重分布を予め定められた方向、例えば、足の踵から爪先方向に平行に走査していったときに最長となる部分の長さである。複数の規定値は被検者の足のサイズに応じて、予め設定される複数の1以下のパラメータ(例えば0.2、0.3、0.4)を乗算して求められる。
所定方向の長さをL,足のサイズをf、パラメータをk1、k2、k3(k1<k2<k3)とした場合、L=f×k1、L=f×k2、L=f×k3の場合に撮影可能と判断される。
【0051】
次に、ステップS38において、撮影したい条件が全て取得済みか否か、すなわち複数の既定値のうちまだ合致していない規定値が存在するか否かが判別され、まだ存在する場合はステップS32に戻ってステップS32からステップS37が繰り返し実行される。
これによって、例えば、被検者の歩く方向が所定方向となるように被検者に予め指示をしておけば、被検者の足が撮影台に載ったときに、最初にかかとが載った状態(L=f×k1の場合)で一枚、続いて全体が載った状態(L=f×k3の場合)で一枚、最後にかかとが撮影台から離れてつま先が接している状態(L=f×k2の場合)で一枚、といったように複数の所望の条件で放射線撮影が可能となる。
【0052】
更に、所定値以上の荷重分布から所定方向の長さを算出するため、例えば、足全体が撮影台に載った状況下においても、被検者の上半身の体重移動まで考慮した複数枚の撮影を行うことができる。通常、歩く動作を行う場合、例えば左足の全面が撮影台に載り、もう一方の右足が地面から離れた時点から、次に右足が地面に着地するまで、左足に全体重がかかっているが、その間にも上半身は様々な姿勢をとり、膝には様々な条件の負荷がかかる。整形外科等において、体重移動まで考慮して撮影できることは非常に有用である。
【0053】
なお、所定方向は、時間とともに遷移する被検者の荷重分布に対して、荷重分布の重心座標の経時変化から移動方向を算出して、自動的に決定してもよい。こうすることで被検者がどの方向に歩いても適切なタイミングで撮影することができる。
【0054】
また、荷重分布の所定方向の長さを用いるのではなく、所定値以上の荷重分布から外形形状を取得し、規定値と比較するようにしてもよい。この場合、規定値としては同じく外形形状を持ち、それぞれの外形形状同士の近似度を算出して撮影可否を判断する。近似度の算出は、例えば、それぞれの外形形状の重心位置を用いて位置あわせを行ったあと、規定の外形形状の輪郭に沿って画素を走査し、規定の外形形状の画素から所定方向にある、取得した外形形状の画素との距離を誤差として求め、全ての誤差の合計値を求めることで行われる。この合計値が基準以下となった場合に、所望の条件と一致したと判断して撮影可とする。またその他、一般的に顔認証等の分野で用いられている形状認証技術を使用してもよい。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態について説明する。第1の実施の形態から第3の実施の形態は、足の撮影を行うことを例として記載してきたが、図11に示すように立位の撮影装置において胸部が接する放射線検出部6に放射線検出器と荷重センサが内蔵されていてもよい。これによって、胸部や手の撮影にも応用できる。
【0055】
胸部であれば、胸が荷重センサに接している状態で撮影を開始し、接している部位の荷重を検知する。この荷重分布を基に放射線撮影を行う。例えば、息を吸った際に接している部位に大きな荷重がかかり、息を吐いたときに接している部位の荷重が最小となる。これにより、一般的に胸部の撮影で行われているように、息を大きく吸ったタイミングを自動的に検知して撮影することもできるし、息を吸って吐く間に所望の条件で複数枚の撮影を行うこともできる。
【0056】
手を撮影する場合であれば、例えば、ひじから上腕にかけての上腕三頭筋側が荷重センサに接触した状態で撮影を開始し、ひじを曲げたり、延ばしたりすることで上腕三頭筋の筋肉が収縮し、荷重センサに加わる荷重が変化する。これにより、同様に所望の条件を設定しておけば、所望のタイミングで放射線撮影を行うことができる。
【0057】
なお、上述してきた第1、第2、及び第3の各実施の形態においては複数の荷重センサ部41を用いて荷重分布を測定する例について説明したが、撮影台4の荷重センサ部41は複数ではなく1つであってもよい。この場合は、撮影台4上面の中央か、撮影台4の下側に設置され体重計のように被検者の荷重を検知することが好ましい。図3及び図9のステップS5及びステップS11における規定値との比較は、荷重合計値ではなく1つの荷重値で行うこととなる。この場合、ビューワー9の表示画面上には荷重分布表示領域923は設けない。
【0058】
なお、上記第1〜第3の実施の形態では、規定値をコンソールに設けた記憶媒体であるROMに記憶する例について説明したが、規定値は、被検者の過去の撮影データをサーバー8から取得し、その値をコンソールのRAMに設定して用いてもよい。被検者の過去の撮影データから取得した場合は、被検者が過去の撮影とほぼ同じ姿勢になったタイミングで撮影することができるため、過去の画像との比較読影がし易く有用である。
【0059】
上記各実施の形態における制御ルーチンは、コンソール1における制御として説明したが、放射線源制御装置2側で制御ルーチンを実行することによりコンソールを介して制御されてもよいし、コンソール1で制御ルーチンの一部を実行すると共に放射線源制御装置2で制御ルーチンの残りの部分を実行しても良く、コンソール1及び放射線源制御装置2と全く別に中央制御装置を設け、その中央制御装置で実行されてもよい。また、装置構成として放射線源制御装置2がなく、コンソール1が直接放射線源32に接続されて放射線源32を直接制御する構成であってもよい。
【0060】
センサは荷重センサではなく接触を検知するだけのセンサであってもよい。この場合、撮影台に被検者が接触したときに信号を出力する少なくとも1つの接触検出手段を設け、接触検出手段の少なくとも1つから信号が出力されたときに撮影可と判断し、放射線撮影が行われるように制御される。例えば、図2に示した構成と同様に、撮影台4の上面に荷重センサ部41の代わりに接触センサ部を2次元状に配列する。センサとしては、例えば電車のはさまれ防止等に用いられているような、荷重が加わると基盤が湾曲することによって電気的な接続が確立し電流がながれることによって接触を検知するセンサ等一般的なものが用いられる。
【0061】
被検者が撮影台4に載った際に、被検者が載っている部位に配置された接触センサ部に被検者の荷重が作用して基盤が湾曲し電流が流れる。電流が流れることによって接触が検知される。荷重信号処理部は、接触が検知されたことと、接触が検知された接触センサ部の情報をコンソール1に送信する。この場合、撮影可否の判断は規定値との比較ではなく、接触しているか否かで撮影可否の判断を行う。接触センサ部のうち、一つでも接していると判断できた場合は撮影可と判断し、一つも接していない場合は撮影不可と判断する。撮影可と判断した場合には、図3のステップS6からステップS11の撮影処理を行う。この場合、ビューワー9の表示画面上には荷重分布表示領域923の代わりに接触面の形状表示する接触面表示領域を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】放射線撮影システムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における撮影台の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における痛み開始通知処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における痛み終了通知処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるビューワーの画面表示例である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるシステム構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における撮影台の構成図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態における撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施の形態におけるシステム構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1 コンソール
2 放射線源制御装置
31 撮影開始スイッチ
32 放射線源
33 カメラ
34 痛み通知スイッチ
35、52 放射線検出機
4、5 撮影台
41、51 荷重センサ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、体動する被検体を適切なタイミングで撮影することができる放射線画像撮影制御装置、放射線画像撮影制御システム、及び放射線画像撮影制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野の放射線撮影において、医師または放射線技師が被検者の体の所望部位を撮影するため、被検者の位置決めを行い、被検者の体を静止した状態で撮影ボタンを押下することが行われている。これは、放射線撮影において被検者が体動すると、適切な画像が取得できないためであり、例えば、胸部であれば息を吸ったタイミングで呼吸をとめて撮影することが行われている。この際、静止した状態か否かの確認は、医師または放射線技師が被検者を目視することによって行われる。
【0003】
特許文献1には、圧力センサで被検者の体動を測定し、その情報を表示する画像診断装置用寝台が開示されている。この画像診断装置用寝台では、寝台の長手方向に、複数の空気を封入した圧力センサを配置し、その上に寝る被検者からの圧力を検知する。検知した圧力信号を解析し、被検者の体動、呼吸、心拍を画面に表示する。これにより、技師は被検者が体動していないこと、息を止めていること等を把握した上で、撮影ボタンを押下することができる。
【0004】
また、整形外科において、人工骨のフィット状態を確認する際に、例えば足であれば被検者が歩いている状態で、関節等を何枚か撮影を行いたい場合がある。このように動体を撮影する場合、一般的には前述したように所望の状態で被検者を静止させて撮影したり、医師や放射線技師が目視によって被検者の動作を確認し、適切なタイミングで撮影ボタンを押下することが行われている。もしくは、撮影ボタンを押下して放射線が照射された状態で、被検者が所望の動作を行い、その間放射線検出機で画像を定期的に取得することが行われる。
【0005】
更に、人工骨のフィット状態の確認には、比較のため予め撮影してある人工骨装着前の画像と同じ条件で撮影したい場合があり、過去の画像と被検者の動作を目視にて確認しながら撮影することも行われている。
【0006】
しかしながら、被検者が一定時間静止した姿勢を維持した状態で撮影することは患者にとって肉体的負担であった。
【0007】
また、動体に対して、医師または技師が目視で被検者を確認しながら撮影タイミングを計るやり方では、最適なタイミングで撮影をすることが難しいという問題があった。特に、比較読影のため、過去に撮影した画像と同じ条件で撮影したい場合において、過去の画像と被検者の動作を見ながら撮影することは非常に困難であった。過去の画像が複数ある場合は尚更困難を極める。
【特許文献1】特開2005−143661
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された技術では、被検者の状態をセンサで検知し、技師が撮影し易いようにその結果を表示することができる。しかしながら、最終的には表示された情報を見ながら同じく目視にて撮影を行うことになるため、最適なタイミングで撮影することが難しい。また、検知する内容が、体動していないこと、呼吸、心拍であるため、整形外科の脚部等その他の動体撮影に適用することができない。
【0009】
また、放射線を照射した状態で、被検者が所望の動作を行い撮影する場合、撮影したい状態以外においても放射線が照射され続けているため、必要以上に被検者が被爆してしまう問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、動体において被検者の肉体的負担を軽減しつつ最適なタイミングで撮影を行うことができる放射線画像撮影制御装置、放射線画像撮影制御システム、及び放射線画像撮影制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の放射線画像撮影制御装置は、被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して前記所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値が前記規定値より大きいこととすることができる。
【0013】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影制御手段は前記撮影可否判断手段により撮影可と判断されている間は、一定の間隔で撮影を行うようにすることができる。
【0014】
一定の間隔で撮影する際に、撮影を開始する直前に放射線が照射されるように制御し、撮影が終了後放射線の照射が停止されるように制御すると、被検者の被爆量が低減される。
【0015】
また、前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値と前記規定値が等しいこととしてもよい。
【0016】
また、前記特徴量は圧力または荷重の分布から抽出される所定方向の長さまたは外形形状であり、前記規定値は予め設定された所定方向の長さまたは外形形状であり、前記所定条件は前記抽出された所定方向の長さまたは外形形状が規定値と等しいことであるとしてもよい。
【0017】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影可否判断手段は前記特徴量と複数の前記規定値とを順次比較し撮影可否を判断してもよい。
この場合、撮影可と判断されて撮影する際に、撮影を開始する直前に放射線が照射されるように制御し、撮影が終了後放射線の照射が停止されるように制御すると、被検者の被爆量が低減される。
【0018】
前記規定値は、同一被検者の過去の撮影データから取得してもよい。
【0019】
被検者が痛みを感じた時に信号を通知するための痛み通知手段を備え、前記痛み通知手段からの痛み通知信号を受信して、前記痛み通知信号を受信した時刻を記憶することもできる。
【0020】
前記圧力または荷重の値と、前記撮影された放射線画像と、前記痛み通知信号の受信時刻を同時に表示する表示手段を備えてもよい。
更に本発明の放射線画像撮影システムは、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出器と、被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段、前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段、及び前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段を備えた放射線画像撮影制御装置と、を含む。
【0021】
上記の放射線画像撮影制御装置には、前記規定値と前記所定条件を記憶する記憶手段を更に設けても良く、放射線画像撮影制御装置に記憶手段を設けることなく、前記ネットワークに接続された他の装置に前記規定値及び前記所定条件を記憶する記憶手段を設け、放射線画像を撮影する際に前記規定値及び前記所定条件を読み出して使用してもよい。
【0022】
更に本発明の放射線画像撮影プログラムは、コンピュータを、被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信し、前記圧力または荷重から特長量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被検者が所望の状態となったタイミングを自動的に検知し撮影を実行するため、最適なタイミングで撮影を行うことができる、という効果が得られる。
また、動体において複数枚の撮影を行う際、所望の状態でのみ放射線照射を行って撮影することにより、被検者の被爆量を低減することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における概略構成を示すものである。第1の実施形態では、放射線撮影を行うための放射線撮影装置が設けられている。放射線撮影装置は、放射線(例えば、X線)を被検者方向に照射する放射線源32と、放射線源32から照射されかつ被検者を透過した放射線を検出して検出した放射線の線量に応じた電荷を発生することにより、被検者の所定部位の放射線画像を撮影する放射線検出器35とにより構成されている。
【0025】
放射線源32は、放射線源32から放射線の放射が開始され、かつ放射されている放射線の放射を停止するように制御するための放射線源制御装置2に接続されている。また、放射線検出器35は、放射線検出器35内に発生した電荷を読み出すように放射線検出器35を制御するためのコンソール1に接続されている。コンソール1には、撮影される被検者が乗降する撮影台4、被検者が痛みを感じた際に押下する痛み通知スイッチ34、及び被検者の動作を撮影するためのカメラ33が接続されている。放射線源制御装置2には、放射線撮影を開始する際に操作される撮影開始スイッチ31が接続されている。また、コンソール1及び放射線源制御装置2には、通信インターフェース(IF)15,25が設けられている。通信IF15,25は、撮影した画像を保存するためのサーバー8、及び保存した画像を閲覧するためのビューワー装置9にローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続されている。
【0026】
放射線源制御装置2とコンソール1の各々は、例えばパーソナルコンピュータ本体など、CPU13,23、RAM12,22、ROM11,21等を用いて構成された演算処理を行う装置である。本実施の形態における放射線画像を撮影するように制御する制御ルーチンのプログラムはコンソール1の記憶媒体としてのROM11に記憶されており、実行時に読み出されてCPU13で実行される。また、ROM11には、制御ルーチンのプログラムを実行する際に使用される規定値が記憶されている。プログラムを記憶する記憶媒体としては、その他DVD−ROM、CD−ROM、外付けハードディスク、またはメモリカード等であってもよい。
【0027】
コンソール1及び放射線源制御装置2には、周辺装置を専用ケーブルを用いて接続するためのIOポート14、24を備える。放射線源32、及び撮影開始スイッチ31は、放射線源制御装置2のIOポート24に接続され、放射線検出器35、撮影台4、痛み通知スイッチ34、及びカメラ33は、コンソール1のIOポート14に接続されている。
【0028】
医師または技師によって放射線撮影を開始する撮影開始スイッチ31が押下されると、放射線源制御装置2及びLANを介して撮影開始信号がコンソール1に通知される。撮影開始スイッチ31押下後に、放射線撮影が実行されると、放射線源制御装置2にて設定された線量等の設定値に従い放射線源32が制御され、放射線源32から放射線が照射される。照射された放射線は、被検体を透過し、放射線検出器35によって透過後の放射線として検知され、画像が形成される。撮影された画像は、コンソール1にて取得され、コンソール1のRAM12に一時保存される。この画像はコンソール1に付随のディスプレイに表示され、放射線技師または医師が、画像の良否確認を行うことができる。その後、コンソール1からサーバー8に撮影された画像が送信され、患者の識別情報と共にデータベースに保存される。
【0029】
放射線技師または医師は、所望のタイミングで患者毎の画像をビューワー9にて参照することができる。ビューワー9にて参照したい患者の識別情報を接続されているキーボードから入力するかまたはマウスを操作して入力すると、ビューワー9からサーバー8へ患者の識別情報が送信される。サーバー8では、患者の識別情報に対応する画像をデータベースから取得し、ビューワー9に送信する。ビューワー9にはディスプレイが備えられており、患者の識別情報、及び撮影した画像等を同時に表示して参照することができる。
撮影台4には、図2に示すように、被検者が乗降した際に被検者の荷重を検知するための複数の荷重センサ部41が上面に2次元状に配置されている。複数の荷重センサ部41は、複数の荷重センサ部41から出力された荷重の値に基づいて荷重分布信号を生成して出力する荷重信号処理部42、及び通信IF43を介してコンソール1のIOポート14に接続されている。例えば、被検者が片足を撮影台4に載せると、足が接触している部位の荷重が個々の荷重センサ部41で検知される。この個々の荷重の値が、荷重信号処理部42に集約され、荷重分布信号としてコンソール1に送信される。センサ部41のセンサはひずみゲージ等荷重を検知できるものであれば如何なるものでもよい。また、センサは、荷重ではなく圧力を検知するセンサであってもよい。
【0030】
痛み通知スイッチ34は、被検者が撮影中痛みを感じたときに、痛みを感じたことを知らせるために用いる。被検者によって保持され痛みを感じたタイミングでボタンが押下される。ボタンが押下されると、痛み開始通知としてコンソール1に信号が送信される。痛みがなくなった際は、ボタンがリリースされ、痛み終了通知として同様にコンソール1に信号が送信される。
【0031】
図3を用いて放射線画像を撮影するように制御するメインルーチンについて説明する。図3はコンソール1における制御ルーチンの処理フローである。本実施の形態では、例えば、整形外科の分野で人工骨を装着している被検者に対し人工骨のフィッティングを確認するため、被検者が歩いている状態において、膝関節の放射線撮影を行うことを例にあげて説明する。
【0032】
まず放射線技師、または医師が撮影開始スイッチ31を押下して撮影開始が指示されると、放射線源制御装置2に撮影準備信号が通知される。この撮影準備信号は、更に通信IFを介して、放射線源制御装置2からLANを介してコンソール1に伝達される。
コンソール1では、ステップS1において撮影準備信号が入力されたか否か、すなわち撮影開始支持が入力されたか否かが判断され、撮影準備信号を受信して入力されたと判断すると、ステップS2において接続されているカメラ33に撮影開始信号を送信して、動画の撮影を開始させる。動画は、後で被検者の動きを参照するために撮影される。
【0033】
次のステップS3では、撮影台4の荷重信号処理部42に荷重検知開始信号を送信する。すると、撮影台4の荷重信号処理部42、及び荷重センサ部41の電源が入り、被検者の荷重を検知できる状態となる。荷重センサ部41は逐次荷重を検知しており、荷重信号処理部42を介して荷重分布としてコンソール1に送信されるので、ステップS4において荷重信号処理部42で生成された荷重分布信号を受信することにより荷重分布信号を取得する。
【0034】
この状態で、被検者が片足を持ち上げ撮影台4の上に載せると、足が接している部位の荷重センサ部41で荷重が検知され、荷重信号処理部41にて集約されて生成された荷重分布信号がコンソール1に送信される。コンソール1では、荷重分布信号により荷重合計値が算出され、ステップS5において荷重合計値が規定値より大きいか否かが判断され、合計値が規定値より大きい場合に撮影可と判断し、ステップS6において放射線源制御装置2へ放射線照射開始指示を通知する。放射線源制御装置2はこの指示を受け取ると、放射線源32より放射線の照射が開始されるように制御する。
【0035】
ステップS7において、放射線検出器35によって検出された被検者透過後の放射線から、透過画像を取得する。取得した画像は、画像取得時刻及び荷重分布信号と対応させてRAM12に記憶される(ステップS8)。
【0036】
透過画像撮影後、ステップS9において次の撮影の準備のため所定時間待機する処理を行い、ステップS10で再度荷重分布信号を取得し、ステップS11において荷重合計値が規定値より大きいか否かが判別される。荷重合計値が規定値を超えている場合には、ステップS7に戻り、以降、荷重合計値が規定値以下となるまでステップS7からステップS11の処理を繰り返し行う。これによって、被検者が歩いている動作中、すなわち、荷重合計値が規定値を超えている場合に放射線の照射を継続した状態で等間隔で複数回の放射線撮影が行われる。なお、複数回の放射線撮影を行う際に、撮影直前で放射線の照射を開始するように制御し、撮影終了後に放射線の照射が停止されるように制御してもよい。これにより、放射線の被爆量が低減される。
【0037】
被検者は撮影中、痛み通知スイッチ34を手に持っている。痛みを感じた際に被検者がボタンを押下すると、痛み開始信号がコンソール1の処理に割り込み入力され、図4に示す割り込みルーチンが実行され、ステップS16で現在時刻を取得し、ステップS17で痛み開始時刻としてRAM12に保存し、メインルーチンにリターンする。
【0038】
また、被検者が痛みを感じなくなったタイミングで、痛み通知スイッチ34のボタンをリリースすると、痛み終了信号がコンソール1の処理に割り込み入力され、図5に示す割り込みルーチンが実行され、ステップS20で現在時刻を取得し、ステップS21で痛み終了時刻として、痛み開始時刻と対応させて上記と同様にRAM12に保存される。
【0039】
被検者が撮影台4に載せている足を降ろし始めたところで、ステップS11で荷重合計値が規定値以下となったと判断されると、ステップS12で放射線源制御装置2へ放射線照射停止指示を通知し、ステップS13で撮影台4の荷重信号処理部42に荷重検知終了信号を通知する。すると放射線源32は放射線の照射を停止し、撮影台4は荷重の検知を終了する。更に、ステップS14においてカメラ33に撮影終了信号が送信されて撮影した動画がRAM12に保存され、撮影が完了する。
【0040】
一連の撮影が完了すると、取得した放射線画像を示すデータ、撮影時刻(画像取得時刻)を示すデータ、荷重分布を示すデータ、動画を示すデータ、痛み開始時刻を示すデータ、及び痛み終了時刻を示すデータを含む情報が、サーバー8へ送信され、コンソール1から入力された患者の識別情報とともにサーバー8に接続されているデータベースに保存される。
【0041】
図6は上述してきた撮影で取得した各データをビューワー9の画面上へ表示する例を示す図である。まずビューワー9で技師または医師が患者の識別情報を入力するとサーバー8へ送信され、患者の識別情報に対応する該当情報がデータベースから検索されてビューワー9に送信され、ビューワー9上で表示される。
【0042】
画面92,93,94の各々は、患者情報表示領域922、放射線画像表示領域921、荷重分布表示領域923、動画表示領域924、及び前述した各領域に表示されるデータが取得された時刻を表現するスクロールバー925で構成される。スクロールバー925は左端が撮影開始時刻、右端が撮影終了時刻、スクロールバー925のノブ927の表示位置が画面に表示中のデータが取得された時刻を各々表す。また、同時にスクロールバー925上に、痛み開始時刻から痛み終了時刻までの領域が明確にわかるように、例えば塗りつぶされた状態で痛み検知領域926として表示される。
【0043】
図6では、膝において3枚の放射線画像が撮影された例を示している。まず、画面92に示される最初の画像は、被検者が片足の踵を撮影台4に載せた状態で撮影されている。画面93に示される2枚目の画像は片足の裏側全体を撮影台4に載せた状態で撮影されている。そして、最初の撮影から2枚目の撮影までの間に、被検者が痛みを感じたことを表わす痛み開始時刻が記録されている。2枚目の撮影時にはまだ被検者が痛みを感じ続けており、画面94に示される3枚目の撮影前に被検者の痛みが終わり痛み終了時刻が記録されている。この場合、痛み検知領域926は2枚目の撮影時間に重なる形でスクロールバー925上に表示される。3枚目は足を撮影台4から降ろす直前の画像であり、片足の爪先側を撮影台4に載せた状態で撮影されている。
【0044】
これらの表示から、医師は患者が痛みを感じた時に撮影された放射線画像、図6においては2枚目の放射線画像を確認することができ、膝関節における人工骨のフィッティング良否確認等を行うことができる。また、足裏の荷重分布のデータから、痛みを感じた時に膝関節にかかるおおよその負荷の推定もできるため、人工骨のフィットがうまくいっていない時の改善方法の検討に有用である。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以降の説明において第1の実施の形態で説明した図3と同等の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図7、図8に示すように、第2の実施の形態では、撮影台5に放射線検出器52を内蔵し、上方から照射される放射線を検出する。これにより、例えば被検者の足首からつま先にかけて足の下方の放射線画像を撮影することができる。なお、図8において、荷重センサ部51、荷重信号処理部53、及び通信IF54は、図2の荷重センサ部41、荷重信号処理部42、及び通信IF43と同一のものである。
【0045】
次に、図9を参照して本実施の形態の制御ルーチンを説明する。放射線検出器52は、撮影台5上面の荷重センサ部51の下方に配置される。この場合、撮影した放射線画像に荷重センサ部51が映りこむこととなる。このため、ステップS1において撮影開始指示が入力されたと判断されると、ステップS25において、放射線源32に放射線照射開始指示を送信し、撮影台5に被検体が載置されていない状態で撮影台5の放射線画像を撮影し、撮影終了後、放射線源32に放射線照射停止指示を送信して放射線の照射を停止する。
また、ステップ5で荷重合計値が規定値以上と判断されると、ステップS26で放射線源32に放射線照射開始指示を送信し、ステップS7において放射線検出器52で検出された放射線画像(透過画像)を取得し、ステップ27において放射線源32に放射線照射停止指示を送信する。
【0046】
ステップS11で荷重合計値が規定値以下と判断されて撮影が終了したら、ステップS28において撮影した全ての放射線画像からステップS25で取得した撮影台5の放射線画像を減算する。こうすることで、写りこむ荷重センサ部51の画像を放射線画像の各々から除去することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、放射線検出器52で透過画像を取得する(ステップS7)直前で放射線の照射を行い(ステップS26)、直後に放射線の照射を停止する(ステップS27)ことを例示した。こうすることで、被検者の被爆量を最小限に低減することができる。
【0048】
なお、上記第1及び第2の実施の形態においてステップS5の規定値は0であってもよいし、被検者の体重に対する割合を示す係数を乗算して求めてもよい。規定値が0である場合は、被検者が撮影台4に乗った直後から撮影を開始でき比較的多くの枚数の放射線画像を撮影することができる。体重に対する割合を示す係数を乗算した場合は、被検者の膝にある一定の体重がかかった状態、すなわち負荷がかかることにより痛みが発生し易い膝に、一定の負荷をかけた状態から撮影を開始することができ、より所望の状況下でのみ放射線を照射できるため、被検者が撮影台4に乗った直後から撮影を開始する場合と比較して被爆量を低減するとともに撮影効率を向上することができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態について説明する。図10は第3の実施の形態における制御ルーチンを示す処理フローである。なお、本実施の形態において図9と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。ステップS1で撮影開始指示が入力されたと判断されると上記と同様にして、荷重検知が開始され、ステップS32において荷重分布信号から所定値以上の値をもつ荷重分布が抽出され、抽出された荷重分布の所定方向の長さが算出される。ステップS33において、算出された所定方向の長さを複数の規定値と順次比較して、所定方向の長さが複数の規定値の中のいずれかの規定値と一致した場合、撮影可能と判断し以降の撮影処理が行われる。
【0049】
なお、所定方向の長さと規定値は値が完全に一致していなくてもよく、所定方向の長さを規定値で除算した値が所定の値以上となった時に撮影可能と判断、すなわち例えば90%以上となった時に所定方向の長さと規定値がほぼ等しくなったと判断して、撮影可能としてもよい。
【0050】
ここで、所定方向の長さとは、荷重分布を予め定められた方向、例えば、足の踵から爪先方向に平行に走査していったときに最長となる部分の長さである。複数の規定値は被検者の足のサイズに応じて、予め設定される複数の1以下のパラメータ(例えば0.2、0.3、0.4)を乗算して求められる。
所定方向の長さをL,足のサイズをf、パラメータをk1、k2、k3(k1<k2<k3)とした場合、L=f×k1、L=f×k2、L=f×k3の場合に撮影可能と判断される。
【0051】
次に、ステップS38において、撮影したい条件が全て取得済みか否か、すなわち複数の既定値のうちまだ合致していない規定値が存在するか否かが判別され、まだ存在する場合はステップS32に戻ってステップS32からステップS37が繰り返し実行される。
これによって、例えば、被検者の歩く方向が所定方向となるように被検者に予め指示をしておけば、被検者の足が撮影台に載ったときに、最初にかかとが載った状態(L=f×k1の場合)で一枚、続いて全体が載った状態(L=f×k3の場合)で一枚、最後にかかとが撮影台から離れてつま先が接している状態(L=f×k2の場合)で一枚、といったように複数の所望の条件で放射線撮影が可能となる。
【0052】
更に、所定値以上の荷重分布から所定方向の長さを算出するため、例えば、足全体が撮影台に載った状況下においても、被検者の上半身の体重移動まで考慮した複数枚の撮影を行うことができる。通常、歩く動作を行う場合、例えば左足の全面が撮影台に載り、もう一方の右足が地面から離れた時点から、次に右足が地面に着地するまで、左足に全体重がかかっているが、その間にも上半身は様々な姿勢をとり、膝には様々な条件の負荷がかかる。整形外科等において、体重移動まで考慮して撮影できることは非常に有用である。
【0053】
なお、所定方向は、時間とともに遷移する被検者の荷重分布に対して、荷重分布の重心座標の経時変化から移動方向を算出して、自動的に決定してもよい。こうすることで被検者がどの方向に歩いても適切なタイミングで撮影することができる。
【0054】
また、荷重分布の所定方向の長さを用いるのではなく、所定値以上の荷重分布から外形形状を取得し、規定値と比較するようにしてもよい。この場合、規定値としては同じく外形形状を持ち、それぞれの外形形状同士の近似度を算出して撮影可否を判断する。近似度の算出は、例えば、それぞれの外形形状の重心位置を用いて位置あわせを行ったあと、規定の外形形状の輪郭に沿って画素を走査し、規定の外形形状の画素から所定方向にある、取得した外形形状の画素との距離を誤差として求め、全ての誤差の合計値を求めることで行われる。この合計値が基準以下となった場合に、所望の条件と一致したと判断して撮影可とする。またその他、一般的に顔認証等の分野で用いられている形状認証技術を使用してもよい。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態について説明する。第1の実施の形態から第3の実施の形態は、足の撮影を行うことを例として記載してきたが、図11に示すように立位の撮影装置において胸部が接する放射線検出部6に放射線検出器と荷重センサが内蔵されていてもよい。これによって、胸部や手の撮影にも応用できる。
【0055】
胸部であれば、胸が荷重センサに接している状態で撮影を開始し、接している部位の荷重を検知する。この荷重分布を基に放射線撮影を行う。例えば、息を吸った際に接している部位に大きな荷重がかかり、息を吐いたときに接している部位の荷重が最小となる。これにより、一般的に胸部の撮影で行われているように、息を大きく吸ったタイミングを自動的に検知して撮影することもできるし、息を吸って吐く間に所望の条件で複数枚の撮影を行うこともできる。
【0056】
手を撮影する場合であれば、例えば、ひじから上腕にかけての上腕三頭筋側が荷重センサに接触した状態で撮影を開始し、ひじを曲げたり、延ばしたりすることで上腕三頭筋の筋肉が収縮し、荷重センサに加わる荷重が変化する。これにより、同様に所望の条件を設定しておけば、所望のタイミングで放射線撮影を行うことができる。
【0057】
なお、上述してきた第1、第2、及び第3の各実施の形態においては複数の荷重センサ部41を用いて荷重分布を測定する例について説明したが、撮影台4の荷重センサ部41は複数ではなく1つであってもよい。この場合は、撮影台4上面の中央か、撮影台4の下側に設置され体重計のように被検者の荷重を検知することが好ましい。図3及び図9のステップS5及びステップS11における規定値との比較は、荷重合計値ではなく1つの荷重値で行うこととなる。この場合、ビューワー9の表示画面上には荷重分布表示領域923は設けない。
【0058】
なお、上記第1〜第3の実施の形態では、規定値をコンソールに設けた記憶媒体であるROMに記憶する例について説明したが、規定値は、被検者の過去の撮影データをサーバー8から取得し、その値をコンソールのRAMに設定して用いてもよい。被検者の過去の撮影データから取得した場合は、被検者が過去の撮影とほぼ同じ姿勢になったタイミングで撮影することができるため、過去の画像との比較読影がし易く有用である。
【0059】
上記各実施の形態における制御ルーチンは、コンソール1における制御として説明したが、放射線源制御装置2側で制御ルーチンを実行することによりコンソールを介して制御されてもよいし、コンソール1で制御ルーチンの一部を実行すると共に放射線源制御装置2で制御ルーチンの残りの部分を実行しても良く、コンソール1及び放射線源制御装置2と全く別に中央制御装置を設け、その中央制御装置で実行されてもよい。また、装置構成として放射線源制御装置2がなく、コンソール1が直接放射線源32に接続されて放射線源32を直接制御する構成であってもよい。
【0060】
センサは荷重センサではなく接触を検知するだけのセンサであってもよい。この場合、撮影台に被検者が接触したときに信号を出力する少なくとも1つの接触検出手段を設け、接触検出手段の少なくとも1つから信号が出力されたときに撮影可と判断し、放射線撮影が行われるように制御される。例えば、図2に示した構成と同様に、撮影台4の上面に荷重センサ部41の代わりに接触センサ部を2次元状に配列する。センサとしては、例えば電車のはさまれ防止等に用いられているような、荷重が加わると基盤が湾曲することによって電気的な接続が確立し電流がながれることによって接触を検知するセンサ等一般的なものが用いられる。
【0061】
被検者が撮影台4に載った際に、被検者が載っている部位に配置された接触センサ部に被検者の荷重が作用して基盤が湾曲し電流が流れる。電流が流れることによって接触が検知される。荷重信号処理部は、接触が検知されたことと、接触が検知された接触センサ部の情報をコンソール1に送信する。この場合、撮影可否の判断は規定値との比較ではなく、接触しているか否かで撮影可否の判断を行う。接触センサ部のうち、一つでも接していると判断できた場合は撮影可と判断し、一つも接していない場合は撮影不可と判断する。撮影可と判断した場合には、図3のステップS6からステップS11の撮影処理を行う。この場合、ビューワー9の表示画面上には荷重分布表示領域923の代わりに接触面の形状表示する接触面表示領域を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】放射線撮影システムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における撮影台の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における痛み開始通知処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における痛み終了通知処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるビューワーの画面表示例である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるシステム構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における撮影台の構成図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態における撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施の形態におけるシステム構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1 コンソール
2 放射線源制御装置
31 撮影開始スイッチ
32 放射線源
33 カメラ
34 痛み通知スイッチ
35、52 放射線検出機
4、5 撮影台
41、51 荷重センサ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、
前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段と、
を含む放射線画像撮影制御装置。
【請求項2】
前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値が前記規定値より大きいことであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項3】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影制御手段は前記撮影可否判断手段により撮影可と判断されている間は、一定の間隔で撮影を行うことを特徴とする請求項2記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項4】
前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値と前記規定値が等しいことであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項5】
前記特徴量は圧力または荷重の分布から抽出される所定方向の長さまたは外形形状であり、前記規定値は予め設定された所定方向の長さまたは外形形状であり、前記所定条件は前記抽出された所定方向の長さまたは外形形状が規定値と等しいことであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項6】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影可否判断手段は前記特徴量と複数の前記規定値とを順次比較し撮影可否を判断することを特徴とする請求項4から5のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項7】
前記規定値は、同一被検者の過去の撮影データから取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項8】
被検者が痛みを感じた時に信号を通知するための痛み通知手段を備え、前記痛み通知手段からの痛み通知信号を受信して、前記痛み通知信号を受信した時刻を記憶することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項9】
前記圧力または荷重の値と、前記撮影された放射線画像と、前記痛み通知信号の受信時刻とを同時に表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項10】
前記規定値と前記所定条件を記憶する記憶手段を更に含む請求項1から8のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項11】
放射線を照射する放射線源と、
放射線を検出する放射線検出器と、
被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段、及び前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段を備えた放射線画像撮影制御装置と、
を含む放射線画像撮影制御システム。
【請求項12】
コンピュータを、
被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信し、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、
前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段と、
して機能させるための放射線画像撮影制御プログラム。
【請求項1】
被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、
前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段と、
を含む放射線画像撮影制御装置。
【請求項2】
前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値が前記規定値より大きいことであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項3】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影制御手段は前記撮影可否判断手段により撮影可と判断されている間は、一定の間隔で撮影を行うことを特徴とする請求項2記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項4】
前記特徴量は圧力または荷重の合計値であり、前記規定値は予め設定された圧力または荷重の値であり、前記所定条件は前記合計値と前記規定値が等しいことであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項5】
前記特徴量は圧力または荷重の分布から抽出される所定方向の長さまたは外形形状であり、前記規定値は予め設定された所定方向の長さまたは外形形状であり、前記所定条件は前記抽出された所定方向の長さまたは外形形状が規定値と等しいことであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項6】
前記検出手段は圧力または荷重を逐次検出するとともに、前記撮影可否判断手段は前記特徴量と複数の前記規定値とを順次比較し撮影可否を判断することを特徴とする請求項4から5のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項7】
前記規定値は、同一被検者の過去の撮影データから取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項8】
被検者が痛みを感じた時に信号を通知するための痛み通知手段を備え、前記痛み通知手段からの痛み通知信号を受信して、前記痛み通知信号を受信した時刻を記憶することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項9】
前記圧力または荷重の値と、前記撮影された放射線画像と、前記痛み通知信号の受信時刻とを同時に表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項10】
前記規定値と前記所定条件を記憶する記憶手段を更に含む請求項1から8のいずれか1項記載の放射線画像撮影制御装置。
【請求項11】
放射線を照射する放射線源と、
放射線を検出する放射線検出器と、
被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信して、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段、及び前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段を備えた放射線画像撮影制御装置と、
を含む放射線画像撮影制御システム。
【請求項12】
コンピュータを、
被検者が接した状態で、前記被検者から当該被検者が接した部位に作用する圧力または荷重を検出する検出手段で検出された圧力または荷重の値を受信し、前記圧力または荷重から特徴量を算出するとともに、前記特徴量を撮影可否を判断する際に使用する規定値と比較して所定条件を満たすときに撮影可と判断する撮影可否判断手段と、
前記撮影可否判断手段によって撮影可と判断された場合に放射線画像の撮影が実行されるように制御する撮影制御手段と、
して機能させるための放射線画像撮影制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【公開番号】特開2010−154992(P2010−154992A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335701(P2008−335701)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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