説明

放射線画像検出装置及びその製造方法

【課題】光検出部が基板を有しない放射線画像検出装置における課題を解決しうるとともに、光検出部における放射線吸収の低減が可能であり、これによりシンチレータへの入射放射線量を増大させうる放射線画像検出装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】X線画像検出装置1の製造方法は、シンチレータ10と、シンチレータ10のX線入射側に設けられた光検出部50とを備えるX線画像検出装置1を製造する方法であって、基板51上に、ガラス材料よりもX線吸収率が低い低X線吸収性材料により形成された保護部材49を積層し、保護部材49上に、薄膜部40を形成して光検出部50を作製する光検出部作製工程と、光検出部50の保護部材49から基板51を剥離・除去する基板剥離・除去工程と、基板剥離・除去工程の前に、シンチレータ10と、光検出部50とを一体化するシンチレータ・光検出部一体化工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の放射線撮影装置などに用いられる放射線画像検出装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線像等などの放射線像をデジタルデータに変換するFPD(Flat Panel Detector)等の放射線画像検出装置を用いたDR(Digital Radiography)が実用化されている。放射線画像検出装置は、輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)からなるイメージングプレートを用いる従来のCR(Computed Radiography)方式に比べて、即時に画像を確認できるといったメリットがあり、急速に普及が進んでいる。
【0003】
放射線画像検出装置として種々の方式のものが提案されているが、その一つとしてX線を一旦、CsI:Tl、GOS(GdS:Tb)などのシンチレータで可視光に変換し、当該可視光を半導体層で電荷に変換して蓄積する間接変換方式が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1のX線画像検出装置では、シンチレータに対して光検出部側からX線が照射される。このような構成においては、シンチレータにおけるX線入射側の主発光領域と光検出部との距離が近いことから高精細な検出画像が得られる一方で、シンチレータのX線入射側に配置された光検出部の基板によるX線吸収が不可避なため、シンチレータに入射するX線量が減少してしまうという欠点がある。
【0005】
光検出部は、a−Si等でそれぞれ形成されるフォトダイオード(PD)やTFT(Thin Film Transistor)を含んで構成されており、これらPDやTFTを支持する基板には通常、無アルカリガラスが使用される。その理由は、ソーダガラスが使用される場合には、高温下でのa−Si成膜時に、ガラスからのNa汚染によってa−Siが汚染され、素子性能劣化のおそれがあるためである。しかしながら、無アルカリガラスはソーダガラスに比べて高価な上に、ソーダガラスよりもX線吸収が大きい。例えば、Al当量2mmのフィルタを適用して管電圧50kVのX線整形ビームを用いる場合、無アルカリガラス基板によるX線吸収率は16.8%にもなる。すなわち、光検出部に照射されたX線の15%以上が基板の吸収により失われてシンチレータに到達することになる。このように、a−Si膜の性能維持を考えれば基板として無アルカリガラスを使用することは不可欠であり、当該基板のX線吸収によってシンチレータへの入射X線量は大きく減少せざるを得ない。すなわち、光検出部側からシンチレータにX線を照射することで得られる高画質性が減殺されてしまう。
【0006】
特許文献2,3には、基板上にセンサを形成して光検出部とした後、当該基板を剥離し除去することが記載されている。このような光検出部が基板を有しない放射線画像検出装置は、基板による放射線吸収の点からは好ましいと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−17683号公報
【特許文献2】特開2009−133837号公報
【特許文献3】特開2008−235649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、シンチレータの光検出部側からX線を照射する方式において、特許文献2,3のように基板を剥離してしまうと、光検出部の強度が維持できずに光検出部が破損したり、外気に含まれる水分によって光検出部が腐食したり、薄い光検出部を介した透湿によってシンチレータの性能が劣化するなどの新たな問題が生じるおそれがある。このような基板剥離に伴う課題を解決して、さらなる高画質化を図ることが要求されている。
本発明の目的は、光検出部が基板を有しない放射線画像検出装置における上記課題を解決しうるとともに、光検出部における放射線吸収の低減が可能であり、これによりシンチレータへの入射放射線量を増大させうる放射線画像検出装置及びその製造方法、並びに当該放射線画像検出装置を備えた放射線撮影用カセッテを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の放射線画像検出装置の製造方法は、
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータの放射線入射側に設けられた光検出部とを備える放射線画像検出装置を製造する方法であって、
基板上に、前記基板よりも放射線吸収率が低い保護部材を積層し、前記保護部材上に、前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部を形成して光検出部を作製する光検出部作製工程と、
前記保護部材から前記基板を剥離・除去する基板剥離・除去工程と、
前記基板剥離・除去工程の前又は後に、予め作製された前記シンチレータと、前記光検出部とを一体化するシンチレータ・光検出部一体化工程とを備える。
【0010】
本発明の別の放射線画像検出装置の製造方法は、
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータの放射線入射側に設けられた光検出部とを備える放射線画像検出装置を製造する方法であって、
基板上に、前記基板よりも放射線吸収率が低い保護部材を積層し、前記保護部材上に、前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部を形成して光検出部を作製する光検出部作製工程と、
前記光検出部の前記薄膜部上に前記シンチレータを形成し、当該シンチレータの前記薄膜部側とは反対側に支持部材を設けるシンチレータ作製工程と、
前記シンチレータ作製工程により前記シンチレータと一体化された前記保護部材から前記基板を剥離・除去する基板剥離・除去工程とを備える。
【0011】
本発明の放射線画像検出装置は、
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータの放射線入射側に設けられた光検出部とを備え、
前記光検出部は、ガラス材料よりも放射線吸収率が低い低放射線吸収性材料により形成された保護部材と、前記保護部材の前記シンチレータ側で前記保護部材上に形成され前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部と、を有する。
【0012】
本発明の放射線撮影用カセッテは、
上述の放射線画像検出装置を備え、
当該放射線画像検出装置は、被写体が載置される天板を有する筐体内に、前記薄膜部が前記保護部材を介して前記天板の裏面に対向するように収納される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光検出部が保護部材を有しており、光検出部の基板が剥離除去された場合であっても、薄膜部が保護される。このように保護部材が設けられていることにより、外気の水分等や、荷重等に対して薄膜部を保護できる。すなわち、光検出部の基板を剥離したことによって生じる問題が解決されるので、シンチレータに対して光検出部側から放射線が照射される構成による高画質化の効果を十分に享受できる。その上、放射線吸収率の低い保護部材を用いるため、シンチレータの放射線入射側における放射線吸収を極力抑制でき、シンチレータへの入射放射線量が増大するので、検出画像の高画質化を最大限に実現できる。また更に、製造時において基板と薄膜部との間に保護部材が介装されていることにより、基板の影響による薄膜部の性能劣化(Na汚染など)を防止できる。上記事項の連関から、放射線が光検出部を介してシンチレータに入射する構成において、より一層の高画質化を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】X線撮影用カセッテの概略構成を模式的に示す側断面図である。
【図2】光検出部の概略構成を模式的に示す側断面図である。
【図3】光検出部の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】シンチレータの結晶構造を模式的に示す側断面図である。
【図5】シンチレータの柱状結晶断面を示す電子顕微鏡写真である(SEM画像)。
【図6】シンチレータの非柱状結晶断面を示す電子顕微鏡写真である(SEM画像)。
【図7】基板剥離前の光検出部の構成を模式的に示す側断面図である。
【図8】図7の光検出部と、支持体上に蒸着されたシンチレータとを一体化した状態を模式的に示す側断面図である。
【図9】光検出部より基板を剥離・除去する工程を示す側断面図である。
【図10】カセッテ筐体に組み込まれた状態のX線画像検出装置を模式的に示す側断面図である。
【図11】保護部材に係る変形例を示す側断面図である。
【図12】パリレン等で形成された保護膜に係る変形例を示す側断面図である。
【図13】図1とは異なるX線撮影用カセッテの概略構成を模式的に示す側断面図である。
【図14】光検出部の薄膜部の変形例を示す模式図である。
【図15】光検出部の薄膜部の別の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明するためのX線画像検出装置の一例を図1〜図10を参照して説明する。
なお、既に述べた構成と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0016】
〔1.全体構成〕
図1は、間接変換方式のX線撮影用カセッテ100の概略構成を模式的に示す側断面図である。X線撮影用カセッテ100は、X線画像検出装置1と、X線画像検出装置1を収納する筺体60とを備えている。X線画像検出装置1は、X線(図1の白抜き矢印)の照射により蛍光を発する蛍光物質を含有するシンチレータ10と、シンチレータ10のX線入射側に配置され、シンチレータ10から発せられた蛍光を電気信号として検出する光検出部50と、シンチレータ10のX線入射側とは反対側に設けられる制御モジュール70とを備えている。
【0017】
制御モジュール70は、光検出部50を駆動制御する制御部としてのICや、画像信号を処理するIC等が実装された回路基板、及び電源回路などを有し、シンチレータ10及び光検出部50に一体に組み付けられている。
筐体60は、シンチレータ10、光検出部50、及び制御モジュール70を収容する。シンチレータ10及び光検出部50のそれぞれの厚みは、模式図である図1とは違って薄いため、筺体も図1に示したものよりも薄型に形成されている。筺体60は、被写体が載置される天板60Aを有しており、この天板60Aの裏面に光検出部50が対向するようにX線画像検出装置1が配置されている。
【0018】
〔2.光検出部の構成〕
図2は、光検出部50を模式的に示す側断面図である。図3は、素子が二次元配列された光検出部50の構成を模式的に示す平面図である。
光検出部50は、保護部材49と、保護部材49上に形成された薄膜部40とを備えている。
【0019】
(薄膜部の構成)
薄膜部40は、a−Si等で形成されたPD(Photodiode)41、及びa−Si等で形成された薄膜スイッチング素子であるTFT42を有する。これらPD41及びTFT42は、図2に示すように光検出部50の厚み方向に重ねられている。
【0020】
PD41は、シンチレータ10から入射した光(図2の実線矢印)を電荷に変換する光導電層を有する。各PD41は、光検出部50によって検出される画像の画素に対応している。
各PD41には、図3に示すように、TFT42、ゲート線43、及びデータ線44がそれぞれ設けられている。各ゲート線43及び各データ線44は、接続端子45まで延設され、この接続端子45に接続された異方性導電膜等のフレキシブル配線46を介して制御モジュール70の回路基板に接続されている。その回路基板に実装された制御部からゲート線43を通じて送られる制御信号により、各TFT42のオンオフが行単位で切り替えられ、TFT42がオン状態にあるPD41の電荷が、データ線44を介して回路基板の信号処理部に画像信号として読み出される。PD41の電荷が行単位で順に読み出されることにより、二次元画像が検出される。
図2では、光検出部50の厚み方向両側の面は、平坦化層(樹脂製の膜)47によって平坦化されている。この平坦化層47は、設けられるのが好ましいが、設けられなくてもよい。
【0021】
光検出部50は、シンチレータ10に接着層48を介して貼り合わせられている。
なお、シンチレータ10と光検出部50との間には、接着層48や平坦化層47がなくてもよく、光検出部50の表面にシンチレータ10を押し当てて直接密着させてもよい。
光検出部50とシンチレータ10との間に設けられる平坦化層、接着層、透明な液体又はゲルであるマッチングオイル層などの樹脂層を構成する樹脂は、シンチレータ10から発せられるシンチレーション光を実質的に減衰させることなく光検出部50に到達させうるものであれば特に制限はない。
【0022】
平坦化層を形成する樹脂としては、ポリイミドやパリレン等を使用することができ、製膜性が良好なポリイミドが好ましい。
接着層を形成する接着剤としてはシンチレータ10から発せられるシンチレーション光に対して光学的に透明なものが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂、UV硬化接着剤、加熱硬化型接着剤、室温硬化型接着剤、両面接着基板、などが挙げられるが、画像の鮮鋭度を低下させないという観点からは、光検出部50の画素サイズに対して十分に薄い接着層を形成しうるという点で、低粘度エポキシ樹脂製の接着剤を用いることが好ましい。
また、平坦化層、接着層等の樹脂層の厚みは、感度、画質の観点からは50μm以下であることが好ましく、5μm〜30μmの範囲であることがより好ましい。
【0023】
(保護部材の構成)
保護部材49は、薄膜部40におけるX線入射側に設けられている。この保護部材49は、ガラス材料よりもX線吸収率が低くかつ、後述する基板51よりもX線吸収率が低い低X線吸収性材料により形成されており、管電圧60kVのX線に対する保護部材49のAl当量は、1.8mm未満である。
【0024】
Al当量とは、X線の吸収性をアルミニウムの透過性と比較し、何mmのアルミニウム板(純度99%以上)の板厚に相当するかで示す指標である。Al当量を測定する際には、X線源から典型的には1〜2m離れた位置に試験対象の部材を置き、当該部材を通過したX線量を測定する。X線源と部材との間には障害物を置かず、障害物によるX線吸収が生じない状態にして測定する。ここで、X線画像検出装置の使用状態によっては、保護部材49のX線入射側にX線吸収を生じさせる他の部材が配置されることが想定されるので、その部材と保護部材49との総X線吸収量を考慮すると、保護部材49のAl当量(管電圧60kV)は、1.0mm以下であることが好ましい。
一方、保護部材49は薄膜部40を支持するものであるため一定の強度は必要であり、この点と、被写体の被曝量低減とを考慮すると、保護部材49の管電圧60kVのX線に対するAl当量が0.1mm以上、1.0mm以下であるのが好ましい。
【0025】
ここでは、保護部材のX線吸収能を上記のように管電圧60kVのX線に対するAl当量として規定したが、このときのAl当量に基づいて、60kV以外の管電圧(例えば、80kV)のX線に対するAl当量を算出できることは言うまでもない。なお、X線の吸収性に関しては、JESRA(Japan Engineering Standards of Radiation Apparatus)の規格に基づいて試験することができる。例えば、JESRAの類似条件である80kV、2mA、40secでAl当量の測定を実施しても良い。
【0026】
また、図1に示すようにX線画像検出装置1が筺体60に収納されてX線撮影用カセッテが構成される場合、筺体60の天板60A及び保護部材49の両方を用いた際のAl当量(管電圧60kV)は、1.8mm未満であることが好ましい。より好ましくは、当該Al当量は0.1mm以上、1.0mm以下である。ここで、筺体60の天板60A及び保護部材49の両方を用いた際のAl当量(管電圧60kV)は、天板60A及び保護部材49が重ねられた状態において、X線源から射出されたX線が天板60A、保護部材49の順に通過した後のX線量に基づいて測定されたものであってもよいし、天板60A、保護部材49のそれぞれのAl当量を別々に測定し、これらの測定値を合計したものであってもよい。
【0027】
なお、保護部材49、天板60A等のAl当量は、照射されるX線のエネルギーを考慮して決められる。例えば、マンモグラフィー用途では一般に、照射されるX線エネルギーが28keV程度と低エネルギーであるため、それよりも高エネルギーである場合と比較して、保護部材49及び天板60AのAl当量を相対的に低くすることが好ましい。
【0028】
保護部材49の管電圧60kVのX線に対するAl当量が1.8mm未満である限りにおいて、保護部材49を形成する低X線吸収性材料に特に制限はないが、金属(金属化合物及び合金を含む)及び/又は樹脂を用いるのが好ましい。前記金属としては、Al、Mg、Cr、Zr、Ti、並びにMnの各単体金属、当該各単体金属の酸化物、及び当該各単体金属を含む合金のうちの少なくとも一種であることが好ましい。ここで、Mg、Cr、Zr、Ti、及びMnの少なくともいずれかを保護部材49の金属材料として用いることにより、薄膜部40等の耐腐食性を改善できる。例えば、Mg、Cr、Zr、Ti、及びMnの少なくともいずれかを含むAl合金を保護部材49に用いることにより、耐腐食性を改善できる。また、このようなAl合金の表面処理によってAl合金表面にアルミ酸化物層(Al)等を形成することにより、耐腐食性を更に改善できる。
【0029】
また、前記樹脂としては、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、及びアラミド(全芳香族ポリアミド)のうちの少なくとも一種であることが好ましい。また、保護部材49に用いることができる単体の樹脂フィルムとしては、例えば、透明ポリイミドフィルム、ポリアリレート(PAR)フィルム、OPS(登録商標)フィルム(ポリスチレンフィルム)、アラミドフィルム等が挙げられる。これらのフィルムはいずれもX線吸収率が低く、耐熱性が高いという利点を有する。OPSフィルムとしては、東ソー株式会社製や、旭化成ケミカルズ株式会社製のもの等があり、これらは機械的強度に優れ(コシがある)、吸水率が十分に低いという利点を有する。機械的強度に優れる点は、基板51剥離後の薄膜部40を支持する上で有利であり、また、吸水率が低い点は、薄膜部40やシンチレータ10の腐食や劣化を防止する上で有利である。
【0030】
保護部材49の耐熱温度に関しては、透明ポリイミドフィルムが約300℃、ポリアリレートフィルムが約175℃、OPSフィルムが約250℃、アラミドフィルム200℃以上であり、このような耐熱性の高さは、シンチレータが保護部材49上に蒸着される場合(図13参照)に特に有効である。
【0031】
保護部材49は、金属のみ、あるいは樹脂のみで形成されていてもよく、あるいは金属粒子が分散された樹脂等、金属と樹脂とが併用されて形成されていてもよい。また、保護部材49は単一の層で形成されていてもよく、あるいは図11に例示するように、2つ以上の層で形成されていてもよい。更に、保護部材49はシンチレータ10からの蛍光を反射する光反射部材であることが好ましい。
【0032】
保護部材49の厚みは、保護部材49を構成する低X線吸収性材料にもよるが、一般に0.01mm以上、1mm以下であることが好ましい。後述する基板51の厚みよりも、保護部材49の厚みを薄くすることによって、天板60Aに載置される被写体と薄膜部40との距離を短くできるので、高画質化を促進できる。
保護部材49上には、薄膜部40を構成する複数のPD41及び複数のTFT42がそれぞれフォトエッチングプロセス等によって形成されている。これら薄膜部40と保護部材49との間には接着層などが無く、薄膜部40は保護部材49の表面に密着している。
【0033】
ところで、保護部材49は、後述するX線画像検出装置1の製造過程において、基板51(図7)に積層された状態で基板51とは反対側に薄膜部40が形成された後、当該基板から剥離されたものである。言い換えると、保護部材49から基板51が剥離され、除去される。保護部材49の薄膜部40が形成された側とは反対側の面は、基板51から保護部材49が剥離された際の保護部材49の剥離面である。基板51の剥離により、シンチレータ10に入射するX線量が増加する。基板51が剥離された状態において、薄膜部40は保護部材49によって支持されている。
【0034】
基板51は、保護部材49形成のための補助部材であり、いずれ剥離除去されることから、基板51の材料については勿論、X線吸収を考慮することなく適宜決めることができる。薄膜部40は保護部材49上に形成されており、基板51の材料によるNa汚染等の悪影響を受けることがないので、基板51として安価なソーダガラスを用いることも検討してよい。
また、基板51によるX線吸収を考慮しなくて良いため、基板51の厚みを大きくして、製造中のハンドリング性を十分に確保することが可能となる。
また更に、基板剥離により、剥離した基板51を再利用することが可能となるので、コストダウンできる。
【0035】
基板剥離による以上のような効果を得つつ、保護部材49が薄膜部40に設けられていることによって薄膜部40を補強できる。このため、X線撮影用カセッテ100の製造時や使用時に必要な強度を確保できる。X線撮影用カセッテ100においては、落下衝撃を受ける可能性が高いため、耐衝撃性の確保が重要である。また、カセッテ天板60Aからの荷重に対する耐荷重の確保も重要である。
【0036】
そして、保護部材49が薄膜部40に設けられていることにより、外気中の水分等に対する薄膜部40及びシンチレータ10の防湿が図られるので、薄膜部40の腐食やシンチレータ10の性能劣化を防止することができる。
なお、保護部材49は、複数の画素毎に設けられていてもよいが、補強の観点からは、薄膜部40の全面に一体に設けられることが好ましい。
【0037】
上述の通り、保護部材49の材料としてAl等の軽金属や、樹脂などを用いることができる。保護部材49がAlなどであって、光の反射部材として機能する場合には、PD41を通過して保護部材49に入射した光をPD41に向けて反射させることができるので、PD41への入射光量が増え、検出感度を向上させることができる。
【0038】
更に、反射部材とする目的などでAl等の金属を保護部材49に用いる場合には、ガラス基板に比較して金属部材の熱伝導率が高いため、被写体から光検出部50への熱の伝搬による画像ムラを抑制することができる。すなわち、光検出部を支持するガラス部材における熱ムラ(温度不均一)により、画像形成領域におけるPD41の温度不均一、ひいては性能不均一が生じうるため、熱伝導率の良い金属部材を保護部材とすることにより、画質を向上させることができる。
【0039】
また、保護部材49がAl等の単体金属あるいは合金である場合には、保護部材49による薄膜部40の封止効果が高い。すなわち、そのような保護部材49を用いることで、薄膜部40の気密水密性を確保しやすいので、シンチレータ10の吸湿による性能劣化をより十分に防止することができる。
【0040】
〔3.シンチレータの構成〕
シンチレータ10は、光を反射するAl等の材料からなる支持体11上に蒸着されている。支持体11としては、Al製の板に限らず、カーボン板、CFRP(carbon fiber reinforced plastic)、ガラス板、石英基板、サファイア基板などから適宜選ぶことができ、支持体表面にシンチレータを形成させうる限りにおいて特にこれらに限定されない。ただし、支持体11が光の反射部材を兼ねる場合には、Alなどの軽金属を支持体の材料として用いるとよい。支持体11は、X線画像検出装置1においてX線入射側とは反対側に配置されるため、X線透過率が低い材料で形成されていてもよい。
なお、X線画像検出装置1において、支持体11は必須ではない。つまり、支持体11上にシンチレータを蒸着形成した後、支持体11からシンチレータを剥離して用いることも可能である。シンチレータ10の光検出部50側とは反対側に、光の反射部材が設けられてもよい。
【0041】
シンチレータ10は、パリレン等で形成された保護膜30によって被覆されている。保護膜30は、気相堆積法によって形成され、シンチレータ10を支持体11上に封止している。気相堆積法によって形成されたパリレンの保護膜は、シンチレータ10との密着性が良く、その上柔軟性を有するので、支持体11及び保護部材49のソリ等への追従性が良い。
【0042】
なお、保護膜30は、防湿フィルムでシンチレータ10を気密水密に包むなどの他の手段によってシンチレータの防湿が図られる場合には、形成されなくてもよい。
シンチレータ10は、蛍光物質を柱状に成長させた柱状結晶の群で形成されており、蛍光物質としてCsI:Tl(タリウム付活ヨウ化セシウム)が用いられている。その他、シンチレータ10の蛍光物質として、NaI:Tl(タリウム付活ヨウ化ナトリウム)、CsI:Na(ナトリウム付活ヨウ化セシウム)等を用いることも可能である。発光スペクトルがa−Siフォトダイオードの分光感度の極大値(550nm付近)と適合する点で、CsI:Tlを材料に用いることが好ましい。
【0043】
また、シンチレータ10が柱状結晶を含んでいなくてもよく、例えばGOS(GdS:Tb(テルビウム付活酸硫化ガドリニウム))を支持体に塗布することなどによってシンチレータが形成されていてもよい。
【0044】
ここで、シンチレータ10は、気相堆積法により形成されることが好ましい。気相堆積法の概要としては、真空度0.01〜10Paの環境下、母体であるCsIと付活剤であるTlとのそれぞれを抵抗加熱式のるつぼ中で通電などの手段により加熱して気化させ、支持体11の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlを支持体11上に堆積させる。真空度や支持体温度、蒸着レート等を変更することによって、シンチレータ10の結晶の形状や結晶径、空隙率などを制御することができる。
【0045】
図4は、シンチレータ10の結晶構造を模式的に示す側断面図である。シンチレータ10は、柱状結晶12Aの群で形成された柱状部12と、柱状結晶12Aの基端に形成された非柱状結晶13Aを含む非柱状部13とを有する。
X線の照射によってシンチレータ10から発せられた蛍光は、柱状結晶12Aによって柱の高さ方向(結晶成長方向)にガイドされ、光検出部50に入射する。このとき、支持体11側に向かって進行した光は、非柱状部13及び支持体11によって反射されて光検出部50に入射する。
【0046】
〔柱状部の構成〕
柱状部12は、多数の柱状結晶12Aの集合体であり、図4に示した例では、各柱状結晶12Aは支持体11上にほぼ垂直に起立する。柱状結晶12Aは、先端側がすぼまった形状とされている。柱状結晶12Aの先端部は研磨されていてもよい。光検出部50の1つの画素(PD41)に対して、複数の柱状結晶12Aが対向する。
【0047】
柱状結晶12Aは非柱状結晶に比べ結晶性が良く、蛍光の発光量が多い。また、空隙を介して隣り合う柱状結晶12Aがシンチレータの厚み方向に立設されているので、柱状結晶12Aは、光のガイドとなって柱の高さ方向に光を導光する。この柱状結晶12Aによる光ガイド効果によって画素間の光拡散が抑制されることから、検出画像を鮮鋭化できる。
図5は、図4のA−A断面(柱状部12の高さ方向略中央の断面)における柱状部12の電子顕微鏡写真である。隣り合う柱状結晶12Aの間には、空隙がある(図5で濃く見える部分)。柱状結晶12Aは、結晶の成長方向に対しほぼ均一な断面径を有する。柱状部12の領域の一部では、隣り合う柱状結晶12Aが互いに結合して一体の柱状体を構成している(例えば、図5のP)。
【0048】
柱状部12の厚みは、必要な感度に対応するX線吸収能を考慮して、マンモグラフィー用途では200μm前後、一般撮影用では500μm以上に決められる。ただし、柱状部12の厚みが厚すぎる場合には、光の吸収及び散乱等のため発光の利用効率が低下しがちである。このため、柱状部12の厚みは、感度及び発光の利用効率のそれぞれを考慮した適切な値に決められる。
【0049】
〔非柱状部の構成〕
非柱状部13は、略球形あるいは不定形の非柱状結晶13Aを含んで構成されている。なお、非柱状部13は、アモルファス(非晶質)の部分を含むことがある。
非柱状結晶13Aの形状は、結晶間に空隙が維持され易く、反射効率を高くできる観点から、略球状であることが好ましい。すなわち、非柱状部13は、球状に近い結晶(略球状結晶である非柱状結晶13A)の集合体で構成されることが好ましい。
【0050】
図6は、図4のB−B断面(非柱状部13の厚み方向基端側の断面)における非柱状部13の電子顕微鏡写真である。非柱状部13では、図5の柱状結晶12Aに比較して径の小さい非柱状結晶13Aが互いに不規則に結合したり重なり合ったりしており、結晶間の明確な空隙は殆ど認められず、図6における空隙は、図5における空隙よりも少ない。図5及び図6の観察結果から明らかなように、非柱状部13の空隙率は柱状部12の空隙率よりも低い。
非柱状部13の空隙率は、非柱状部13の支持体11への蒸着面積、非柱状部13の厚み、CsI密度、及び実際に測定したシンチレータパネルの重量などに基づいて算出される。そのようにして算出された非柱状部13の厚み方向全体の空隙率は、10%以下である。
【0051】
非柱状部13は、蒸着初期に支持体11上に形成された領域である。非柱状部13において支持体11表面に接する部分の空隙率は0あるいは略0であり、非柱状部13の基端部は支持体11との接触面全体において支持体11に密着する。
非柱状部13の厚みは、柱状部12の厚みよりも薄く、5μm以上、125μm以下であることが好ましい。すなわち、支持体11との密着性を確保するためには、非柱状部13の厚みは5μm以上あることが好ましい。また、光ガイド効果を有しない非柱状部13の厚みが厚すぎると、非柱状部13において光が画素間で交錯して画像ボケが生じ易くなるので、非柱状部13の厚みは125μm以下であることが好ましい。
また、非柱状部13の厚みは、支持体11との密着性と光の反射機能とが得られる最小の厚みで足りる。
【0052】
なお、非柱状部13は、製造時の条件等によっては単一の層でなく複数の層が積層された構造とされる場合もある。このような場合、非柱状部13の厚みは、支持体11表面から非柱状部13の最表層の表面までの厚みをいう。
【0053】
非柱状部13の如く、結晶間が癒着している場合の結晶径の測定は、隣接する非柱状結晶13A間に生じる窪み(凹)同士を結んだ線を結晶間の粒界とみなし、癒着した結晶同士を最小多角形となるように分離して結晶径を測定し、柱状部12における柱状結晶12Aの径と同様にして平均値をとり、その値を採用した。
非柱状部13の非柱状結晶13Aの径は、0.5μm以上7.0μm以下であることが、効率的な反射特性、及び支持体11との密着性を与える観点から好ましい。非柱状結晶13Aの径は、柱状結晶12Aの径よりも小さい。
【0054】
ここで、非柱状結晶13Aの径は小さい方が略球形の結晶形状が維持され易いので好ましいが、非柱状結晶13Aの径が小さすぎると空隙率が0に近づき、非柱状部13が光の反射層としての役目を有しなくなるので、非柱状結晶13Aの径は0.5μm以上であることが好ましい。また、径が大きすぎると、非柱状部13の平坦性及び表面積が低下し、支持体11との密着性が低下するとともに、結晶同士が結合して空隙率が低下し反射効果が減少するので、非柱状部13の結晶径は7.0μm以下であることが好ましい。
【0055】
このような非柱状部13が形成されていることにより、非柱状部13をベースに柱状結晶12Aを結晶性が良い状態で成長させることができる。非柱状結晶13Aの径、厚み、空隙率などは、光の反射特性、支持体11との密着性などを考慮して決められる。
非柱状部13を設けることにより、支持体11とシンチレータ10との密着性が向上するので、制御モジュール70からの熱の伝搬があるような場合でも、シンチレータ10が支持体11から剥離しにくくなる。
【0056】
上述の光検出部50(保護部材49を含む)、及び支持体11等には、例えば有機光電変換材料(OPC)、有機TFT、非晶質酸化物(例えば、a−IGZO)を用いたTFT、フレキシブル材料(アラミド、バイオナノファイバー)などを使用することができる。これらのデバイス関連材料については後述する。
【0057】
〔4.X線画像検出装置及びX線撮影用カセッテの製造方法〕
上述した各構成を備えるX線画像検出装置1の製造方法の一例について、図7〜図10を参照して説明する。
X線画像検出装置1を製造する際には、図7に示すような積層体55を用いる。積層体55を製造する際には、無アルカリガラス等の基板51上に、解体型接着剤などで形成される剥離層52を介して保護部材49を積層する。そして、保護部材49上に、フォトリソグラフィー及びエッチング等のプロセスを用いて、薄膜部40を構成するPD41及びTFT42(図2)を形成する(光検出部作製工程)。このようにして製造された積層体55は、基板51、剥離層52、保護部材49、及び薄膜部40を有している。
【0058】
ここで、基板51は後の工程で剥離・除去され、最終的に光検出部50を構成するものではないため、そのX線吸収特性を考慮する必要はなく、後の工程でのハンドリング性、剥離容易性などを確保するのに足りる十分な厚みの基板51を使用することが好ましい。
【0059】
解体型接着剤は、強固な接着が可能であるとともに、接着した物同士の剥離解体が容易であるという利点を有する。基板51がガラスなどの透光性部材である場合には、紫外線等の光照射により解体可能となるタイプの解体型接着剤を好適に用いることができる。
【0060】
次に、図8に示すように、支持体11上に形成され、保護膜30に被覆された状態のシンチレータ10と、積層体55とを接着層48を介して貼り合わせ、シンチレータ10と薄膜部40とを均一に密着させ、一体化させる(シンチレータ・光検出部一体化工程)。
なお、シンチレータ10と薄膜部40とを密着させる方法に特に制限はなく、両者が光学的に結合されればよい。両者を密着させる方法としては、両者を直接対向させて密着させる方法と、樹脂層を介して密着させる方法とのいずれをとってもよい。
【0061】
続いて、図9に示すように、積層体55(図7)を解体する。具体的には、基板51と保護部材49とを剥離して分離し、基板51及び剥離層52を除去する(基板剥離・除去工程)。この際、シンチレータ10及び支持体11によって薄膜部40が支持されているので、基板51を剥離する際の薄膜部40のハンドリング性が良い。但し、適当なハンドリング手段によって薄膜部40の保持が可能である場合には、上述のシンチレータ・光検出部一体化工程の前に基板剥離・除去工程を行ってもよい。
以上により、基板51を有しない光検出部50を備えたX線画像検出装置1が製造される。
【0062】
X線撮影用カセッテ100の製造に際しては、図10に示すように、X線画像検出装置1を筺体60内に組み込む。具体的には、X線画像検出装置1は、筺体60内に、薄膜部40が保護部材49を介して天板60Aの裏面に対向するように収納される。光検出部50はその保護部材49を介して天板60Aに貼り付けられることが好ましい。貼り付けの際には、保護部材49と天板60Aとを接着層18を介して全面的に密着させることが好ましいが、部分的に貼り合わせても構わない。天板60Aが支持する被写体の荷重は、天板60A及びX線画像検出装置1で受ける。このように天板60AとX線画像検出装置1とを積層して一体化することで、X線撮影用カセッテ100の耐荷重を大きくすることができる。
以上により、X線撮影用カセッテ100が製造される。
【0063】
〔5.光検出部内蔵の保護部材に係る作用効果〕
以上説明したX線画像検出装置1及びX線撮影用カセッテ100によれば、次のような作用及び効果が得られる。
光検出部50に保護部材49が内蔵されており、基板51の剥離後(図9)、薄膜部40はこの保護部材49によって保護される。このように保護部材49が設けられていることにより、外気の水分等から薄膜部40を保護できるとともに、外部からの荷重等に対する薄膜部40の補強も可能となる。すなわち、光検出部積層体55の基板51を剥離したことによって生じる問題が解決されるので、シンチレータに対して光検出部側からX線が照射される構成による高画質化の効果を十分に享受できる。また、保護部材49のAl当量は1.8mm未満であって、このようにX線吸収率の低い保護部材49を用いることによってシンチレータ10のX線入射側におけるX線吸収を極力低減させることができるので、シンチレータ10への入射X線量増大により検出画像の高画質化を達成することができる。更に、製造時に基板51と薄膜部40との間に保護部材49が介在していることで、薄膜部40を形成する際、基板51の影響(Na汚染など)による薄膜部40の性能劣化を防止できる。そして、基板上に直接形成された薄膜部を基板から剥離する場合と比較して基板51を剥離し易いので、薄膜部40や、薄膜部40に密着させたシンチレータ10を損傷させることなく、基板51を剥離することが可能となる。保護部材49の厚みを適宜決めることによって、光検出部におけるX線吸収の低減と、光検出部に必要とされる強度の維持とを両立させることができる。
以上から、X線が光検出部50を介してシンチレータ10に入射する構成において、より一層の高画質化を促進できる。
【0064】
また、X線撮影用カセッテ100においては、X線画像検出装置1の光検出部50がカセッテの天板60Aの裏面に貼り付けられるので、天板60A上に載置される被写体と光検出部50との距離が短くなり、感度向上及びMTF良化に繋がるところ、基板51が剥離され光検出部50が薄型化されることによってより一層、高画質化を図ることができる。すなわち、保護部材49を備えて基板51が剥離されることによる効果は、シンチレータ10に対して光検出部50側からX線が照射され、かつ天板60Aに光検出部50が貼り付けられる構成においてより一層際立つ。
【0065】
〔6.変形例〕
光検出部が備える保護部材の構成は、上述に限らず、例えば、図11のように、樹脂製の基体(樹脂層)49Aと、この基体49AのX線入射側に積層されたAl製等の光反射膜(光反射層)49Bとを有するものであってもよい。
【0066】
図12は、X線画像検出装置の変形例を示す。この変形例においては、基板剥離・除去工程後、薄膜部40及び保護部材49のそれぞれの側面及び保護部材49の基板51からの剥離面に対して、パリレン等を用いて保護膜35が設けられる。シンチレータ10に保護膜30を設けることに加えてこの保護膜35を設けることにより、シンチレータ10及び薄膜部40が確実に封止されるので、シンチレータ10及び薄膜部40の性能劣化を十分に抑制することができる。
【0067】
図13は、X線撮影用カセッテ101を示す。X線撮影用カセッテ101は、X線画像検出装置2と、筺体60とを備えている。図1のX線画像検出装置1では、シンチレータ10と光検出部50とが接着層48を介して貼り合わせられていたが、図13のX線画像検出装置2では、シンチレータ15が光検出部50上に蒸着されている。この点を除いて、X線画像検出装置2はX線画像検出装置1と同様に構成されている。X線画像検出装置2を製造する際にも、図7に示したような積層体55を使用する。積層体55が解体される前に、光検出部50上にシンチレータ15が蒸着される(光検出部作製工程)。その後、基板51を剥離・除去するが(基板剥離・除去工程)、剥離の前に支持部材21をシンチレータ15の柱状結晶12A先端側に設けてから(シンチレータ・光検出部一体化工程)、保護部材49から基板51を剥離するのが好ましい。こうすることで、剥離の際に柱状結晶12Aが、結晶同士の接触等により損傷することを防止できる。支持部材21は、Al等の光反射部材であることが好ましい。
【0068】
すなわち、X線画像検出装置2は、基板51上に、保護部材49を積層し、保護部材49上に、薄膜部40を形成して光検出部50を作製する光検出部作製工程と、光検出部50の薄膜部40上に前記シンチレータ15を形成し、当該シンチレータ15の薄膜部40とは反対側に支持部材21を設けるシンチレータ作製工程と、シンチレータ作製工程によりシンチレータ15と一体化された保護部材49から、基板51を剥離・除去する基板剥離・除去工程とを経て製造される。
【0069】
上述のX線画像検出装置1,2のシンチレータ10, 15については、上述したような非柱状結晶13Aを含む非柱状部13が形成されていなくてもよい。但し、非柱状部を形成することにより、次のような効果が得られる。非柱状部は、シンチレータの結晶成長方向の任意の位置に形成することができる。
【0070】
シンチレータの結晶成長方向における基端部又は先端部に非柱状部が形成される場合には、シンチレータ形成後に当該シンチレータと一体化される支持体や光検出部、あるいは、シンチレータが蒸着される支持体や薄膜部との密着性を確保することができる。密着性の確保により、支持体や光検出部からのシンチレータの剥離を防止でき、シンチレータの吸湿による性能劣化を防止できる。また、柱状結晶12Aの先端側に非柱状部が形成される場合には、非柱状部によってシンチレータ表面が平坦化されるので、シンチレータと光検出部とを均一に密着させることができる。これにより、検出画像の画質を向上させることができる。シンチレータの基端部(蒸着初期の部分)に非柱状部が形成される場合には、非柱状部をベースに柱状結晶を結晶性良く成長させることができる。
【0071】
また、柱状部に非柱状部を設けることによって、シンチレータの強度を向上させることができる。これにより、耐衝撃性を向上させることができるほか、シンチレータと支持体あるいは光検出部が貼り合わせられる際の負荷に対する強度を確保することができるので、シンチレータと光検出部等とを強く押し当てて均一に密着させることができる。更に、シンチレータの強度向上により、シンチレータを含んで構成されたパネルを装置筐体の天板に貼り合わせて構成されたカセッテの耐荷重を大きくすることができる。この際、光検出部から基板が剥離されていることで、天板と各光検出部とがより一層近接するため、感度及び画質向上の効果をより大きなものとできる。なお、柱状部先端部への非柱状部の形成によって保護膜材料が柱状結晶間に流入することを防止できるため、MTF悪化を抑制する効果も得られる。
【0072】
図14は、図2に示した薄膜部40に置換可能な他の薄膜部65を示す。薄膜部65が有するPD651とTFT652とは、同一面上あるいは略同一面上に配置されている。このようにPD651とTFT652とが平面的に隣り合う位置に配置されていることによって薄膜部65をより薄くできる。
【0073】
また、図2の薄膜部40、図14の薄膜部65のいずれにおいても、アモルファス酸化物半導体(a−IGZO)によって形成されたTFTを用いることができる。a−IGZOの感度は波長350nm以上であり、可視光域には殆ど感度を持たないことから、TFTのスイッチングノイズが発生しない。TFTに光反射層を設けることを不要にできる。
【0074】
また、PD、TFTには、有機材料を用いることもできる。図15は、OPC(有機光電変換材料)により形成された光導電層を有する光電変換素子661と、有機材料により形成されたTFT662とを示す。これら光電変換素子661及びTFT662を有する薄膜部66もまた、図2に示した薄膜部40に置換可能である。
【0075】
光電変換素子661及びTFT662に用いられる有機材料はX線吸収が殆どないため、光電変換素子661及びTFT662を透過してシンチレータ10に到達するX線量を多くできる。ここで、緑色光を発光するCsI:Tlがシンチレータに用いられかつ、TFTの透明有機材料が例えば特開2009−212389号公報に記載されている化学式1のフタロシアニン化合物や化学式2のナフタロシアニン化合物などである場合には、発光波長域に感度がないため、TFTのスイッチングノイズが発生しない。この場合、光電変換素子661のOPCがキナクリドンであることが好ましい。
【0076】
なお、有機材料を用いて形成された光電変換素子661及びTFT662は、図14のように同一面上あるいは略同一面上に配置されていてもよい。
【0077】
上記のような非晶質酸化物あるいは有機材料を用いたPD等の光電変換素子及びTFTは、a−Si形成時の温度に比較して低温で成膜できる。このため、保護部材49の材料選択の幅が広がり、樹脂性の保護部材の使用も可能となる。
【0078】
〔7.適用可能なデバイス材料〕
〔7−1.有機光電変換(OPC;Organic photoelectric conversion)材料〕
上述したPD41(図2)等に、例えば特開2009−32854号公報に記載されたOPC(有機光電変換)材料を用いることができる。このOPC材料により形成された膜(以下、OPC膜という)をPD41の光導電層として使用できる。OPC膜は、有機光電変換材料を含み、シンチレータから発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。このように有機光電変換材料を含むOPC膜であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータによる発光以外の電磁波がOPC膜に吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線がOPC膜で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【0079】
OPC膜を構成する有機光電変換材料は、シンチレータで発光した光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータの発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータの発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータから発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータの放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0080】
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えば、アリーリデン系有機化合物、キナクリドン系有機化合物、及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータを構成する蛍光物質としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、OPC膜で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0081】
PD41のバイアス電極及び電荷収集電極の間に設けられる有機層の少なくとも一部をOPC膜によって構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成することができる。
【0082】
上記有機層は、有機p型化合物又は有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これらに限らず、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いることができる。
【0083】
有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これらに限らず、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いることができる。
【0084】
p型有機色素又はn型有機色素としては、公知のものを用いることができるが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)等が挙げられる。
【0085】
1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体及びn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を好適に用いることができる。このように、光電変換膜において、バルクへテロ接合構造層を含ませることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、上記バルクへテロ接合構造については、特開2007−303266号公報において詳細に説明されている。
【0086】
光電変換膜の厚みは、シンチレータからの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
上述したOPC膜に関するその他の構成は、例えば、特開2009−32854号公報の記載が参考となる。
【0087】
〔7−2.有機TFT(Thin Film Transistor)〕
上述したTFT42等には、無機材料が使われることが多いが、例えば特開2009−212389号公報に記載されたように、有機材料を使用することができる。有機TFTはいかなるタイプの構造でもよいが、最も好ましいのは電界効果型トランジスタ(FET)構造である。このFET構造は、最下層に基板を配置し、その上面の一部にゲート電極を設け、更に該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層を設けている。更に絶縁体層の上面に半導体活性層を設け、その上面の一部にソース電極とドレイン電極とを隔離して配置している。なお、この構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、ソース電極とドレイン電極とが半導体活性層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。また、キャリアが有機半導体膜の膜厚方向に流れる縦型トランジスタ構造であってもよい。
【0088】
(半導体活性層)
半導体活性層は、p型有機半導体材料を用いてなる。このp型有機半導体材料は実質的に無色透明である。有機半導体薄膜の膜厚は、例えば触針式膜厚計により測定できる。膜厚の異なる薄膜を複数作製して吸収スペクトルを測定し、検量線から膜厚30nmあたりの最大吸光度に換算してもよい。
【0089】
ここでいう有機半導体材料とは、半導体の特性を示す有機材料のことであり、無機材料からなる半導体と同様に、正孔(ホール)をキャリアとして伝導するp型有機半導体材料(あるいは単にp型材料、正孔輸送材料とも言う。)と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体材料(あるいは単にn型材料、電子輸送材料とも言う。)がある。有機半導体材料は一般にp型材料の方が良好な特性を示すものが多く、また、一般に大気下でのトランジスタ動作安定性もp型トランジスタの方が優れているため、ここでは、p型有機半導体材料について説明する。
【0090】
有機薄膜トランジスタの特性の一つに、有機半導体層中のキャリアの動きやすさを示すキャリア移動度(単に移動度とも言う)μがある。用途によっても異なるが、一般に移動度は高い方がよく、1.0×10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、1.0×10-6cm2/Vs以上であることがより好ましく、1.0×10-5cm2/Vs以上であることが更に好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
【0091】
前記p型有機半導体材料は、低分子材料でも高分子材料でも良いが、好ましくは低分子材料である。低分子材料は、昇華精製や再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの様々な精製法が適用できるため高純度化が容易であること、分子構造が定まっているため秩序の高い結晶構造を取りやすいこと、などの理由から高い特性を示すものが多い。低分子材料の分子量は、好ましくは100以上5000以下、より好ましくは150以上3000以下、更に好ましくは200以上2000以下である。
【0092】
このようなp型有機半導体材料の好ましい具体例を示す。Buはブチル基、Prはプロピル基、Etはエチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。
【0093】
【化1】

【0094】
(半導体活性層以外の素子構成材料)
以下に、有機薄膜トランジスタにおける半導体活性層以外の素子構成材料について説明する。これらの各材料は、いずれも可視光又は赤外光の透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
【0095】
基板としては、必要な平滑性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムなどが挙げられる。光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。また、これらのプラスチックフィルムに、有機あるいは無機のフィラーを含有させてもよい。なお、基板として、アラミド、バイオナノファイバーなどを用いて形成されたフレキシブル基板をも好適に使用しうる。
【0096】
ゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極を構成する材料としては、必要な導電性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ITO(インジウムドープ酸化スズ)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの導電性酸化物、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)などの導電性ポリマー、カーボンナノチューブなどの炭素材料が挙げられる。これらの電極材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
【0097】
絶縁層に用いられる材料としては、必要な絶縁効果を有するものであれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、ポリエステル(PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)など)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ノボラック樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、などの有機材料が挙げられる。これらの絶縁膜材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
上述した有機TFTに関するその他の構成は、例えば、特開2009−212389号公報の記載が参考となる。
【0098】
〔7−3.非晶質酸化物半導体〕
上述したTFT42には、例えば特開2010−186860号公報に記載された非晶質酸化物を使用することができる。ここで、特開2010−186860号に記載された電界効果型トランジスタが有する非晶質酸化物含有の活性層について示す。この活性層は、電子又はホールの移動する電界効果型トランジスタのチャネル層として機能する。
【0099】
活性層は、非晶質酸化物半導体を含んだ構成とされている。この非晶質酸化物半導体は、低温で成膜可能であるために、可撓性のある基板上に好適に形成される。
活性層に用いられる非晶質酸化物半導体としては、好ましくはIn、Sn、Zn、又はCdよりなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む非晶質酸化物であり、より好ましくは、In、Sn、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物、更に好ましくは、In、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物である。
【0100】
活性層に用いられる非晶質酸化物としては、具体的には、In、ZnO,SnO、CdO,Indium−Zinc−Oxide(IZO)、Indium−Tin−Oxide(ITO)、Gallium−Zinc−Oxide(GZO)、Indium−Gallium−Oxide(IGO)、Indium−Gallium−Zinc−Oxide(IGZO)が挙げられる。
【0101】
活性層の成膜方法としては、酸化物半導体の多結晶焼結体をターゲットとして、気相成膜法を用いるのが好ましい。気相成膜法の中でも、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)が適している。更に、量産性の観点から、スパッタリング法が好ましい。例えば、RFマグネトロンスパッタリング蒸着法により、真空度及び酸素流量を制御して成膜される。
【0102】
成膜された活性層は、周知のX線回折法によりアモルファス膜であることが確認される。活性層の組成比は、RBS(ラザフォード後方散乱)分析法により求められる。
【0103】
また、この活性層の電気伝導度は、好ましくは10−4Scm−1以上10Scm−1未満であり、より好ましくは10−1Scm−1以上10Scm−1未満である。この活性層の電気伝導度の調整方法としては、公知の酸素欠陥による調整方法や、組成比による調整方法、不純物による調整方法、酸化物半導体材料による調整方法が挙げられる。
上述した非晶質酸化物に関するその他の構成は、例えば、特開2010−186860号公報の記載が参考となる。
【0104】
〔7−4.フレキシブル材料〕
フレキシブルでかつ低熱膨張、高強度といった、既存のガラスやプラスチックでは得られない特性を有するアラミド、バイオナノファイバー等を放射線画像検出装置に用いることも考えられる。
(1)アラミド
上述した支持体11や、制御モジュール70の回路基板などとして、フレキシブル材料であるアラミドによって形成されたフィルムを使用することができる。アラミド材料は、ガラス転移温度315℃という高い耐熱性、ヤング率が10GPaという高い剛性、熱膨張率が−3〜5ppm/℃という高い寸法安定性を有する。このため、アラミド製のフィルムを用いると、一般的な樹脂フィルムを用いる場合と比べて、半導体層やシンチレータの高品質の成膜が容易に行える。また、アラミド材料の高耐熱性により、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化できる。更に、ハンダのリフロー工程を含むICの自動実装にも対応できる。また更に、ITO(indium tin oxide)やガス・バリア膜、ガラス基板と熱膨張係数が近いために、製造後の反りが少ない。そして,割れにくい。ここで、ハロゲンを含まないハロゲンフリー(JPCA−ES01−2003の規定に適合)なアラミド材料を用いることが環境負荷低減の点で好ましい。
アラミドフィルムは、ガラス基板やPET基板と積層されてもよいし、デバイスの筐体に貼り付けられてもよい。
【0105】
アラミドの分子間の凝集力(水素結合力)の高さによる溶媒への低溶解性を分子設計によって解決することにより、無色透明で薄いフィルムへの成形が容易とされたアラミド材料についても、好適に用いることができる。モノマーユニットの秩序性、及び芳香環上の置換基種・位置を制御する分子設計により、アラミド材料の高剛性や寸法安定性に繋がる直線性の高い棒状の分子構造を維持しつつ、溶解性が良い成形の容易さが得られる。この分子設計により、ハロゲンフリーをも実現できる。
【0106】
また、フィルムの面内方向の特性が最適化されたアラミド材料についても、好適に用いることができる。成型中に逐次変化するアラミドフィルムの強度に応じて、溶液キャスト、縦延伸、横延伸の工程ごとに張力条件を制御することにより、直線性の高い棒状分子構造であって物性に異方性が生じやすいアラミドフィルムの面内方向の特性をバランスできる。
【0107】
具体的に、溶液キャスト工程では、溶媒の乾燥速度の制御による面内厚み方向の物性の等方化、溶媒を含んだ状態のフィルムの強度とキャスト・ドラムからの剥離強度の最適化、を図る。縦延伸工程では、延伸中に逐次変化するフィルムの強度、溶媒の残留量に応じた延伸条件を精密に制御する。横延伸工程では、加熱によって変化するフィルム強度の変化に応じた横延伸の条件の制御、フィルムの残留応力を緩和するための横延伸の条件の制御を図る。このようなアラミド材料の使用により、成型後のアラミドフィルムがカールしてしまう問題を解決できる。
【0108】
上記の成形容易さに対する工夫、及びフィルム面内方向の特性のバランスに対する工夫のいずれにおいても、アラミドならではの直線性の高い棒状の分子構造が維持されているので、熱膨張係数を低く維持できる。製膜時の延伸条件の変更などにより、熱膨張係数を更に低減することも可能である。
【0109】
(2)バイオナノファイバー
光の波長に対して十分に小さなコンポーネントは光散乱を生じないことから、ナノファイバーによって補強されたフレキシブルなプラスチック材料などを絶縁性基板や、制御モジュール70の回路基板などに好適に使用することができる。ナノファイバーの中でも、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束が幅50nmと、可視光波長に対して約1/10のサイズでかつ、高強度、高弾性、低熱膨である特徴を有するバクテリアセルロースと透明樹脂との複合材料(バイオナノファイバーということがある)を好適に使用できる。
【0110】
バクテリアセルロース基板にアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を約60〜70%と高い比率で含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示す透明バイオナノファイバーが得られる。このバイオナノファイバーにより、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(約3〜7ppm)、鋼鉄並の強度(約460MPa)、及び高弾性(約30GPa)が得られる。
上述したバイオナノファイバーに関する構成は、例えば、特開2008−34556号公報の記載が参考となる。
【0111】
以上説明したX線画像検出装置(及びX線撮影用カセッテ)は、医療用のX線撮影装置をはじめ、様々な装置に組み込んで使用することができる。特に、低放射線照射量で鮮鋭な画像を検出することを要求されるマンモグラフィ装置には、高感度、高精細であるという特徴を有する上述の各X線画像検出装置を好適に使用できる。
また、上述のX線画像検出装置は、医療用のX線撮影装置のほか、例えば、工業用のX線撮影装置として非破壊検査に用いることができる。更に、前述の実施形態の説明では、X線を用いるX線画像検出装置を例に挙げたが、X線以外の放射線(電磁波以外の粒子線であるα線、β線、γ線等)の検出装置についても、前述のX線画像検出装置1等とほぼ同様に構成することができる。
【0112】
〔8.本明細書の開示内容〕
以上、説明したように、本明細書には、
X線の照射によって蛍光を発する蛍光物質を有するシンチレータと、
前記シンチレータのX線入射側に設けられた光検出部とを備える放射線画像検出装置を製造する方法であって、
基板上に、前記基板よりもX線吸収率が低い保護部材を積層し、前記保護部材上に、前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部を形成して光検出部を作製する光検出部作製工程と、
前記保護部材から前記基板を剥離・除去する基板剥離・除去工程と、
前記基板剥離・除去工程の前又は後に、予め作製された前記シンチレータと、前記光検出部とを一体化するシンチレータ・光検出部一体化工程とを備える、放射線画像検出装置の製造方法が開示されている。
【0113】
また、本願明細書には、
X線の照射によって蛍光を発する蛍光物質を有するシンチレータと、
前記シンチレータのX線入射側に設けられた光検出部とを備える放射線画像検出装置を製造する方法であって、
基板上に、前記基板よりもX線吸収率が低い保護部材を積層し、前記保護部材上に、前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部を形成して光検出部を作製する光検出部作製工程と、
前記光検出部の前記薄膜部上に前記シンチレータを形成し、当該シンチレータの前記薄膜部側とは反対側に支持部材を設けるシンチレータ作製工程と、
前記シンチレータ作製工程により前記シンチレータと一体化された前記保護部材から前記基板を剥離・除去する基板剥離・除去工程とを備える、放射線画像検出装置の製造方法が開示されている。
【0114】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置の製造方法にあっては、
管電圧60kVのX線に対するAl当量が1.8mm未満となるように、前記保護部材を設ける、ことが好ましい。
【0115】
更に、本願明細書には、
X線の照射によって蛍光を発する蛍光物質を有するシンチレータと、
前記シンチレータのX線入射側に設けられた光検出部とを備え、
前記光検出部は、ガラス材料よりもX線吸収率が低い低X線吸収性材料により形成された保護部材と、前記保護部材の前記シンチレータ側で前記保護部材上に形成され前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部と、を有する、放射線画像検出装置が開示されている。
【0116】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記保護部材の管電圧60kVのX線に対するAl当量が1.8mm未満である、ことが好ましい。
【0117】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記保護部材の管電圧60kVのX線に対するAl当量が、0.1mm以上、1.0mm以下である、ことが好ましい。
【0118】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記低放射線吸収性材料が、金属(金属化合物及び合金を含む)及び/又は樹脂である、ことが好ましい。
【0119】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記保護部材が、樹脂層と、当該樹脂層の放射線入射側に設けられ金属からなる光反射層とを含む、ことが好ましい。
【0120】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記金属が、Al、Mg、Cr、Zr、Ti、並びにMnの各単体金属、当該各単体金属の酸化物、及び当該各単体金属を含む合金のうちの少なくとも一種である、ことが好ましい。
【0121】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記樹脂が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、及びアラミドのうちの少なくとも一種である、ことが好ましい。
【0122】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記保護部材が、前記薄膜部の前記シンチレータ側とは反対側に配置され前記蛍光を前記薄膜部に向けて反射する光反射部材である、ことが好ましい。
【0123】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記薄膜部の少なくとも一部は、非晶質酸化物あるいは有機材料により形成される、ことが好ましい。
【0124】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記保護部材の厚みが、0.01mm以上、1mm以下である、ことが好ましい。
【0125】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記シンチレータが、蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の群で形成された柱状部を含む、ことが好ましい。
【0126】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記シンチレータの前記柱状結晶の端部に、非柱状結晶を含む非柱状部が設けられる、ことが好ましい。
【0127】
本願明細書に開示された放射線画像検出装置にあっては、
前記保護部材において前記薄膜部が形成された側とは反対側の部分は、前記保護部材を支持していた基板から剥離された際の当該保護部材の剥離面である、ことが好ましい。
【0128】
また、本願明細書には、
上述の放射線画像検出装置を備え、
当該放射線画像検出装置は、被写体が載置される天板を有する筐体内に、前記薄膜部が前記保護部材を介して前記天板の裏面に対向するように収納された、放射線撮影用カセッテが開示されている。
【0129】
本願明細書に開示された放射線撮影用カセッテにあっては、
前記保護部材が、前記天板に貼り付けられる、ことが好ましい。
【0130】
本願明細書に開示された放射線撮影用カセッテにあっては、
前記保護部材と前記天板とを用いた際の管電圧60kVのX線に対するAl当量が1.8mm未満である、ことが好ましい。
【符号の説明】
【0131】
1,2 X線画像検出装置(放射線画像検出装置)
10,15 シンチレータ
11,21 支持体
12 柱状部
12A 柱状結晶
13 非柱状部
13A 非柱状結晶
18, 48 接着層
21 支持部材
30,35 保護膜
40,65,66 薄膜部
41,651 PD
42,652,662 TFT
43 ゲート線
44 データ線
45 接続端子
46 フレキシブル配線
47 平坦化層
49 保護部材
49A 基体(樹脂層)
49B 光反射膜
50 光検出部
51 基板
52 剥離層
55 積層体
60 筐体
60A 天板
100, 101 X線撮影用カセッテ(放射線撮影用カセッテ)
661 光電変換素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータの放射線入射側に設けられた光検出部とを備える放射線画像検出装置を製造する方法であって、
基板上に、前記基板よりも放射線吸収率が低い保護部材を積層し、前記保護部材上に、前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部を形成して光検出部を作製する光検出部作製工程と、
前記保護部材から前記基板を剥離・除去する基板剥離・除去工程と、
前記基板剥離・除去工程の前又は後に、予め作製された前記シンチレータと、前記光検出部とを一体化するシンチレータ・光検出部一体化工程とを備える、放射線画像検出装置の製造方法。
【請求項2】
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータの放射線入射側に設けられた光検出部とを備える放射線画像検出装置を製造する方法であって、
基板上に、前記基板よりも放射線吸収率が低い保護部材を積層し、前記保護部材上に、前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部を形成して光検出部を作製する光検出部作製工程と、
前記光検出部の前記薄膜部上に前記シンチレータを形成し、当該シンチレータの前記薄膜部側とは反対側に支持部材を設けるシンチレータ作製工程と、
前記シンチレータ作製工程により前記シンチレータと一体化された前記保護部材から前記基板を剥離・除去する基板剥離・除去工程とを備える、放射線画像検出装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の放射線画像検出装置の製造方法であって、
管電圧60kVのX線に対するAl当量が1.8mm未満となるように、前記保護部材を設ける、放射線画像検出装置の製造方法。
【請求項4】
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータの放射線入射側に設けられた光検出部とを備え、
前記光検出部は、ガラス材料よりも放射線吸収率が低い低放射線吸収性材料により形成された保護部材と、前記保護部材の前記シンチレータ側で前記保護部材上に形成され前記蛍光を電気信号として検出する薄膜部と、を有する、放射線画像検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放射線画像検出装置であって、
前記保護部材の管電圧60kVのX線に対するAl当量が1.8mm未満である、放射線画像検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の放射線画像検出装置であって、
前記保護部材の管電圧60kVのX線に対するAl当量が、0.1mm以上、1.0mm以下である、放射線画像検出装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記低放射線吸収性材料が、金属(金属間化合物及び合金を含む)及び/又は樹脂である、放射線画像検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の放射線画像検出装置であって、
前記保護部材が、樹脂層と、当該樹脂層の放射線入射側に設けられ金属からなる光反射層とを含む、放射線画像検出装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の放射線画像検出装置であって、
前記金属が、Al、Mg、Cr、Zr、Ti、並びにMnの各単体金属、当該各単体金属の酸化物、および当該各単体金属を含む合金のうちの少なくとも一種である、放射線画像検出装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記樹脂が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、およびアラミドのうちの少なくとも一種である、放射線画像検出装置。
【請求項11】
請求項4から10のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記保護部材が、前記薄膜部の前記シンチレータ側とは反対側に配置され前記蛍光を前記薄膜部に向けて反射する光反射部材である、放射線画像検出装置。
【請求項12】
請求項4から11のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記薄膜部の少なくとも一部は、非晶質酸化物あるいは有機材料により形成される、放射線画像検出装置。
【請求項13】
請求項4から12のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記保護部材の厚みが、0.01mm以上、1mm以下である、放射線画像検出装置。
【請求項14】
請求項4から13のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記シンチレータが、蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の群で形成された柱状部を含む、放射線画像検出装置。
【請求項15】
請求項14に記載の放射線画像検出装置であって、
前記シンチレータの前記柱状結晶の端部に、非柱状結晶を含む非柱状部が設けられる、放射線画像検出装置。
【請求項16】
請求項4から15のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記保護部材において前記薄膜部が形成された側とは反対側の部分は、前記保護部材を支持していた基板から剥離された際の当該保護部材の剥離面である、放射線画像検出装置。
【請求項17】
請求項4から16のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置を備え、
当該放射線画像検出装置は、被写体が載置される天板を有する筐体内に、前記薄膜部が前記保護部材を介して前記天板の裏面に対向するように収納された、放射線撮影用カセッテ。
【請求項18】
請求項17に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記保護部材が、前記天板に貼り付けられる、放射線撮影用カセッテ。
【請求項19】
請求項17または18に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記保護部材と前記天板とを用いた際の管電圧60kVのX線に対するAl当量が1.8mm未満である、放射線撮影用カセッテ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−173276(P2012−173276A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38954(P2011−38954)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】