説明

放射線防護システム

本発明は、放射線の減衰のためのシールドに関する。本シールドは、人間の組織、例えば皮膚への局所適用に適したキャリアーを含む。このようなキャリアーは、キャリアー全体に均一に分散された活性成分を含む。活性成分は、放射線を減衰させるのに適しており、大きい原子番号を有する元素を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年1月7日付けで出願された米国特許出願第12/683,727号の優先権を主張している2010年10月4日付けで出願された係属中の米国特許出願第12/897,611号の優先権を主張するものであり、これら双方の開示は、ここでの参照により全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、放射線エネルギーを用いる蛍光イメージングシステムからの放射線エネルギーを減衰させるための遮蔽用組成物、器具およびシステムに関し、特に、外科手術およびその他の医療処置で用いられるX線および類似のその他の高エネルギーの放射線の傷害作用から医療スタッフおよび患者を防護するための遮蔽用組成物、器具およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
医師やそれと同類の医療従事者(集合的に医療スタッフと称される)は、一般的に、患者の医療処置に従事しており、そこでは蛍光透視法およびその他のタイプの放射線システム(例えばコンピューター断層撮影法またはCTシステム)が診断的検出またはガイドのために用いられる。これらの放射線システムは、医療スタッフが、最低限の侵襲で患者の体の組織を見ることを可能にする。形成された画像は、単一の画像の形態のこともあれば、動画配信の形態のこともあり、これらはいずれも生中継の場合もある。例えば、医療スタッフが蛍光透視鏡観察スクリーンを用いた処置を実施することができるように、患者の組織にX線照射される場合もある。一例において、X線透視法は、外科手術中に、患者の体内で外科処置用装置の配置を間接的に誘導するのに用いることができる。
【0004】
しかしながら、医療処置において蛍光透視法による放射線システムの使用が増加することによって生じる懸念の一つは、医療スタッフおよび患者両方に対する放射線暴露の量である。疫学的なデータから、生涯にわたり「わずか」5〜10remの暴露でも、癌を発症させる危険が増加することが示唆されている。また文献からも、許容できるとみなすことができる放射線量の下限の閾値はないことが示されている。さらに、患者の体の大きい部分が画像化される場合、または、医療スタッフの体の一部(例えば手足)がX線源の近くにあるか、または、じかにX線照射野にある場合、高い放射線暴露レベルが予想されることも研究から示されている。
【0005】
組織に傷害を与える可能性がある暴露レベルは現在議論が行われており、より多くの情報が証明されるにつれて継続的に改正されているが、一貫した放射線暴露の累積的な作用は不明のままである。すなわち、ある1人の連続イメージングで使用される選択された放射線量は、通常、安全な暴露限界よりもかなり低くすることができるが、1人またはそれより多くの患者が関わる処置において、1回またはそれより多くの放射線の連続照射による医療スタッフおよび患者への繰り返しの暴露は、一般的に安全な操作手順とみなされるものを超えて、医療スタッフおよび患者にとって暴露の危険を高める可能性がある。これは、一般的に安全とみなされる量を超えた累積放射線量の増加のために起こる可能性がある。近年の診断的な医療行為における調査から、線量および暴露は、「合理的である限り低く(As Low As Reasonable)」というアプローチであるべきであると示唆される。
【0006】
例えば、外科チームのメンバーは、蛍光透視イメージング技術を使用して患者に外科手術を行う際に不必要にX線に暴露される可能性がある。一例として、X線またはコンピューター断層撮影(CT)スキャンを用いた診断手順において、放射線専門医は、乳児または動物(獣医学分野の仕事の場合)のような患者の場合は、申し分のない画像解像度を得るために患者を固定して動きを抑制することが必要な場合がある。このようなケースにおいて、最低でも放射線専門医またはその他の医療スタッフの手がX線などの有害な放射線に暴露する可能性がある。加えて、1人またはそれより多くの患者に対する複数回の処置によって繰り返し暴露されることも、医療スタッフへの放射線暴露の危険を高める可能性がある。
【0007】
また、より一般的な医師/患者の環境でますますX線が用いられることから、患者も高い危険に晒される可能性がある。例えば、蛍光透視イメージングシステムとしての可動式Cアームを備えたイメージインテンシファイアが、手術室、外来患者の診療所および救急部において、骨盤または背骨のような比較的広範囲で光線を通しにくい体の領域を画像化するためによりいっそう利用されつつある。このような画像は、選択的および非選択的な外科手術の間に撮影されるが、そこで、標的ではない骨や筋肉、ならびにその下に存在する比較的放射線に対する感受性が高いその他の内臓が高い放射線に暴露される可能性がある。さらに、同様の患者が、彼または彼女の生涯にわたり複数回の暴露を受ける可能性もあり、それによって線量が蓄積し、患者に傷害を与える危険も高くなる。
【0008】
解決法の一つとしては、このような放射線から医療スタッフおよび患者両方を防護するために、可能な限り鉛エプロンを使用することがある。これらの鉛エプロンは、エプロンの一方の側から入射してエプロンを透過して他方の側に出る放射線をブロックする場合には効果的であり、エプロンの真下にあるものなら何でも放射線から防護する。例えば、患者の体の標的部分を画像化する場合、患者の周囲に1またはそれより多くの鉛エプロンを配置することによって、体の標的部分は放射線照射されるが、同時に体の標的ではない部分の放射線暴露を最小化する場合もある。また、患者が蛍光透視イメージングで処置される場合、医療スタッフは、自分を放射線から防護するために鉛エプロンを着用してもよい。
【0009】
しかしながら、このような鉛エプロンは重くなり得る。この重さによって医療スタッフの腕と手の動きが制限されるために、医療スタッフによって着用される鉛エプロンは、典型的には、外科手術を行うために腕と手は自由に動けるようにしてある。そのようなものとして、このような鉛エプロンは、医療スタッフの手が繰り返しの照射に晒されるために、医療スタッフに限定的な防護しか提供しない。
【0010】
さらに、鉛化合物またはその他の金属を含むグローブも手への暴露を少なくするための十分な解決にならず、医療スタッフによって着用されることはあまり一般的ではない。このようなグローブは柔軟性が低いか、または、裂ける危険が高い可能性がある。結果として、繰り返しの処置の際に医療スタッフの腕および手を防護するものがないために、許容レベルを超えた累積的な放射線暴露が起こる可能性がある。
【0011】
例えばこのようなグローブは、鉛または鉛化合物を含む柔軟なポリマーで作製される。これらはまた、柔軟なグローブの内部表面を鉛を含む混合物に浸漬することによって製造された鉛または鉛化合物の層を含んでいてもよい。このような鉛含有グローブは、放射線をブロックするのに適している。鉛の代替物は、カドミウム、タングステン等を含むその他の重金属または重金属化合物である。しかしながら、このような鉛化合物およびその他の重金属化合物は、人間の組織にとって有毒であることがわかっている。そのようなものとして、このような鉛化合物およびその他の重金属化合物を含むグローブは、ただ普通にグローブを使用するだけで患者の皮膚上または医師の皮膚上に微量に残存する可能性がある。さらに、放射線をブロックするためにこのようなグローブに十分な濃度の鉛またはその他の重金属化合物を添加することによって、グローブの引き裂き抵抗が弱くなる可能性がある。グローブが引裂かれると、グローブ中の鉛化合物またはその他の重金属化合物が患者に露出する可能性がある。これらのいずれのケースにおいても、このようなグローブの使用は、患者および医療スタッフの体内への望ましくない鉛またはその他の重金属化合物の吸収が起こる可能性がある。
【0012】
さらに、放射線をブロックするために十分な濃度の鉛が注入されたグローブは、柔軟性が低いか、または、硬くなる可能性がある。この低い柔軟性のために、デリケートな操作に必要な医師の手の柔軟な運動が制限される。すなわち、このようなグローブのために、医師の指が器用に動かなくなる。さらに、このようなグローブの低い柔軟性のために、グローブを装着した人の手および指の触覚が鈍くなる。医師は、蛍光透視鏡観察スクリーンで観察しながら、この触覚を第二の情報源として信頼している。例えば、医師の手および指が患者の内部にあり直接観察できないような場合、触覚によってそれらの方向を導くのに用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、医療スタッフおよび患者両方にとって放射線暴露への注意及び制限が必要である。また、医療スタッフのメンバーが処置を行うことを制限しないような方法で、彼等を放射線から防護することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施態様は、放射線の減衰のためのシールドに関する。
いくつかの実施態様において、放射線をブロックするシールドは、人間の組織、例えば皮膚への局所適用に適した有機または無機キャリアーを含む。このようなキャリアーは、キャリアー全体に均一に分散された活性成分を含む。この活性成分は、放射線を減衰させるのに適した、大きい原子番号の元素を有する無機化合物を含む。具体的には、本シールドは、局所適用されるクリームを含み、このようなクリームとしては、これらに限定されないが、X線照射の傷害作用から人間の組織を防護するのに適したペースト、ゲル、溶液、懸濁液、または、液体が挙げられる。これらのクリームは、患者に蛍光透視法またはその他の放射線イメージングを施す際の医療的な診断および治療の間に、放射線の過剰暴露から自分自身を防護するために医療スタッフおよび患者が使用してもよい。
【0015】
その他の実施態様において、本発明は、放射線不透過性フィルムの様々な実施態様を含む。本発明の放射線不透過性フィルムは、一対の閉込め層の間に少なくとも1つの放射線不透過性材料の層を含む。放射線不透過層は、放射線不透過性材料の粒子と、放射線不透過性材料の粒子をまとめるための結合剤とを含んでもよい。放射線不透過層が2つの柔軟な閉込め層の間に保持される場合は、放射線不透過層も柔軟であってもよい。
【0016】
放射線不透過性材料は、非毒性の材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、原子番号50(または52または59)またはそれより大きい原子番号を有する元素種を含んでもよい。このような元素種の例としては、これらに限定されないが、バリウム、ビスマス、および、ランタンが挙げられる。いくつかの実施態様において、放射線不透過性材料は、塩(例えば硫酸バリウム、酸化ビスマスなど)を含んでもよい。
【0017】
本発明の放射線不透過性フィルムのいくつかの実施態様は、2つまたはそれより多くの放射線不透過層を含む。このような実施態様において、隣接する層が、異なる放射線不透過性材料を含んでいてもよい。異なる放射線不透過性材料を含む層は、放射線不透過性フィルムの全体の厚さを最小にしつつ、電離放射線の減衰が最適化されるように構成することもできる。
【0018】
また、放射線不透過性フィルムの製造方法も本発明の範囲内である。このような方法において、放射線不透過性材料を第一の閉込め層の表面上に堆積させて、その放射線不透過性材料の上に第二の閉込め層を堆積させ、第一および第二の閉込め層を互いにしっかり固定してもよく、その間に放射線不透過性材料を捕捉することができる。また、第一および第二の閉込め層に放射線不透過性材料の粒子をまとめる結合剤を付着させてもよく、そのようにすることによって第一および第二の閉込め層を互いにしっかり固定することができる。
【0019】
少なくとも一部が放射線不透過性フィルムから作製された衣服およびその他の器具も本発明の教示に包含され、これらも本発明の範囲内である。
本発明のその他の形態、加えて様々な形態の特徴および利点は、以下に記載される説明、添付の図面および添付の請求項を考察することによって当業者にとって明らかになるであろう。
【0020】
現時点で考えられる好ましい実施態様とみなされるものを説明した図面を参照しながら、代表的な実施態様を説明する。本明細書において開示された実施態様および図面は、限定ではなく説明とみなされることとする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施態様に従って、放射線を減衰させることができる活性成分を含む、皮膚への局所適用に適した手段を説明する図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施態様に従って、様々な化合物の厚さに対するグレースケールで示される強度を説明するグラフである。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施態様に従って、様々な化合物の放射線を減衰させる能力を説明するグラフである。
【図3】図3は、本発明の一実施態様に係る放射線を減衰させることができるシステムである。
【図4】図4は、本発明の放射線不透過性フィルムの実施態様の断面図である。
【図5】図5は、一対の閉込め層の間に、直接隣接する放射線不透過層を複数含む放射線不透過性フィルムの実施態様の断面図である。
【図6】図6は、一対の閉込め層の間に、物理的に別個の放射線不透過層を複数含む放射線不透過性フィルムのその他の実施態様の断面図である。
【図7】図7は、閉込め層の一方に固定した基板材料を含む放射線不透過性フィルムを説明する断面図である。
【図8】図8は、放射線不透過性フィルムまたは放射線不透過性フィルムを含む器具の使用を模式的に示す。
【図9】図9は、様々な強度の電離放射線において、複数の放射線不透過性フィルムサンプルおよびコントロール小片によってもたらされた減衰を説明するグラフである。
【図10】図10は、様々な強度の電離放射線において、複数の放射線不透過性フィルムサンプルおよびコントロール小片によってもたらされた減衰を説明するグラフである。
【図11】図11は、60kVpにおけるX線エネルギーのスペクトルを示す。
【図12】図12は、90kVpにおけるX線エネルギーのスペクトルを示す。
【図13】図13は、120kVpにおけるX線エネルギーのスペクトルを示す。
【図14】図14は、本発明の放射線不透過性フィルムの実施態様が電離放射線を減衰する程度度合いを、様々なその他の放射線不透過性材料と比較して示すグラフである。
【図15】図15は、市販の鉛非含有の前面放射線シールドの質量と比較した、前面放射線シールドに本発明の放射線不透過性フィルムを用いることによって達成が可能な軽量化の例を示すグラフである。
【図16】図16のグラフは、市販の鉛非含有の材料で製造された衣服の推定質量と比較した、放射線をブロックする衣服の製造に本発明の放射線不透過性フィルムを使用した場合に達成が可能な軽量化の例を示す。
【図17】図17は、本発明の一実施態様に従って放射線を遮蔽する方法を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本発明の好ましい実施態様、患者と外科医、内科医および臨床医などの医療スタッフとを放射線から遮蔽するための手段、および、この手段を実施する方法をより詳細に述べる。本発明を好ましい実施態様と共に説明するが、当然のことながらそれらは、本発明をこれらの実施態様に限定することを目的としない。それとは逆に、本発明は、本発明の本質および範囲内に含まれる可能性がある代替法、改変および等価体も包含することとする。
【0023】
従って、本発明の実施態様は、有害なX線照射を減衰させる、および/または、吸収するのに適した活性成分を含む、局所適用可能な手段を提供する。これらの局所的に適用できる手段の使用は、蛍光透視イメージングシステムの使用中に、放射線に晒されることが多い医療スタッフのメンバーまたは患者の体の一部に放射線防護を提供する。加えて、本発明のその他の実施態様は、上記の利点を提供し、さらに、医療処置中に使用するにあたり、医療スタッフのメンバーの手および指が十分に器用に動くようにするものである。本発明の実施態様のさらなる利点は、金属製の遮蔽材料の使用に伴う画像の歪みまたは人為的な結果をまったく引き起こすことなく、医療処置中に放射線防護を提供することを含む。本発明のその他の実施態様はまた、上記の利点を提供し、さらに、医療処置中における医療スタッフのメンバーの手および指の触覚も提供する。
【0024】
図1は、本発明の一実施態様に係る放射線の減衰のためのシールド100の図解である。図1は、シールド100を二次元で示したものであり、シールド100は、人間の組織、例えば皮膚への局所適用に適した有機または無機キャリアー110を含む。またシールド100は、有機キャリアー全体に均一に分散された活性成分120も含む。より具体的には、活性成分120は、大きい原子番号を有し、放射線を減衰させるのに適した元素を含む。
【0025】
有機または無機キャリアー110は、水性分散液にすることができる形態を有しており、人間の組織、例えば皮膚上への即時的かつ効果的に適用されるように配合される。例えばこのようなキャリアーはクリーム組成物の形態であり、一実施態様において揺変性の特徴を示す。すなわち、このようなクリームは、最初のうちは剪断応力がかかると流れに抵抗を示すが、十分な力がかかると、流動して、皮膚上に滑らかて連続的なフィルムを形成する。一実施態様において、このようなクリーム組成物は、33〜50パーセントレベルの固体含量を含み、pHは5.0〜6.5の範囲であり、スキンケアやハンドローションで使用されるクリームにおいて一般的に使用される成分を含むことを特徴とする。
【0026】
その他の実施態様において、本クリーム組成物は、アルコールベースのゲルの形態である。美容上/皮膚科学的に許容できる基剤、希釈剤またはキャリアーを用いてゲルを調合してもよい。このようなゲル組成物は、力または振動に晒すと固形状態から液化するかまたは自由に流動することを特徴とする。これらのアルコールベースのゲル組成物は、速乾性でべたつかないものであってもよいが、または、水中油型エマルジョンからなっていてもよい。一例として、アルコールベースの組成物は、防水性で、クリーム組成物中に存在する活性成分の摩擦落ちが少ないダーマクリル(Dermacryl).RTM.LTのような皮膜形成性の有機ポリマーを含んでいてもよい。
【0027】
さらにその他の実施態様において、有機または無機キャリアー110は、噴霧可能な形態であってもよい。例えば、有機キャリアー110は、流体、液体または適切なあらゆる状態で存在し、蒸気または微細な微粒子として分散させることができる様々な化合物で構成される。スプレー器具を使用すれば、放射線防護を必要とするより広い領域への本シールドの迅速な適用が可能になる。
【0028】
図1で示されるように、本発明の一実施態様によれば、シールド100は、放射線を減衰させるのに適した活性成分120を含む。ある器具において、活性成分は「x」という記号で示され、キャリアー110全体に均一に分散されている。より具体的には、活性成分120は、放射線を減衰させる性能を示す。すなわち活性成分120は、X線照射をブロックする、吸収する、散乱させる、または、反射することのいずれか、または、これらの組み合わせを行うことができる。
【0029】
実施態様において、活性成分は、X線照射を減衰させるのに適しており、以下に示す特徴のうち1種またはそれより多くを示すあらゆる無機塩化合物からなる:人間の組織に対して非毒性であること、安定であること、不燃性であること、流動しやすいこと、表面積が大きい粒子を有すること、および、均一に分散させることができること。具体的には、活性成分120は、大きい原子番号を有する少なくとも1種の元素を含む無機塩化合物で構成される。すなわち、このような無機塩化合物としては、X線照射を効果的にブロックするのに十分な程度の高い原子番号を有するカチオンが挙げられる。より具体的には、活性成分は、蛍光透視イメージングシステムおよびその他の医療的な診断および治療システムから発せられるX線照射を効果的に減衰させることができるような、大きい原子番号のカチオンを含むあらゆる元素、化合物または化合物の組み合わせで構成される。
【0030】
一実施態様において、活性成分は、ビスマス、バリウム、および、ランタンからなる群より選択される元素を含む。例えば、このような元素は、有機塩化合物においてカチオンを形成する。
【0031】
一実施態様において、活性成分は、バリウム塩である。例えば、バリウム塩化合物は、硫酸バリウム(例えば、BaSO)である。硫酸バリウムは、人間に対して安全で毒性ではないことが証明されている。その他の実施態様において、活性成分は、ランタン塩である。例えば、ランタン塩化合物は、酸化ランタン(例えば、La)である。さらにその他の実施態様において、活性成分は、ビスマス塩である。例えば、ビスマス塩化合物は、酸化ビスマス(例えば、Bi)である。さらにその他の実施態様において、活性成分は、硫酸バリウム、酸化ビスマスおよび酸化ランタンの組み合わせであり、これらの比率は0〜100の範囲で様々であってよい。すなわち、活性成分を配合した組成物中で、それぞれの化合物の割合は0〜100の範囲で様々であってよい。
【0032】
さらにその他の好ましい実施態様において、有機物質で構成される活性成分が考えられる。このような有機物質も、放射線を減衰させるのに適している。
一実施態様において、活性成分は、キャリアー110と活性成分120とを含むシールド100を形成する組成物の少なくとも25質量パーセントを構成する。その他のより具体的な実施態様において、活性成分は、シールド100を形成する組成物の33〜50質量パーセントを構成する。その他の実施態様において、活性成分は、シールド100を形成する組成物の1〜20質量部を構成し、ここでこのような組成物としては、キャリアーと活性成分とを含む組成物が挙げられ、キャリアーはこのような組成物の約1質量部を構成する。その他の実施態様において、活性成分は、キャリアーと活性成分とを含む組成物の少なくとも10体積パーセントを構成する。その他の実施態様において、活性成分は、このような組成物の10〜67体積パーセントを構成する。さらにその他の実施態様において、キャリアーは、キャリアー110と活性成分120とを含む組成物の0.1〜99.9質量パーセントを構成し、ここで活性成分は、組成物の質量部からキャリアーの質量部を差し引いた残りを構成する。これらの実施態様それぞれにおいて、活性成分は、放射線暴露から十分に防護する放射線減衰能力を有する。手および指の器用さを保ち、手および指の触覚を維持しながら、所定の防護レベルが達成される。そのようなものとして、臨床技術の実行を妨げたり、このような臨床技術の結果に悪影響を与えたりすることなく、所定の防護レベルが達成される。
【0033】
それと合わせて、本発明の実施態様において、クリームベースの組成物と活性成分とを含むシールド100の組成物が、放射線が防護されるように配合される。シールド100のクリームベースの組成物は、美容上許容できる基剤、キャリアーまたは希釈剤を含み、水性の分散相と油性の分散相とを含むという特徴を示す。活性成分は、1種またはそれより多くの非毒性の米国食品医薬品局(FDA)によって承認された放射線を減衰させる化合物からなり、様々な濃度を有し、有害なX線照射からの防護を提供することができるものである。
【0034】
ある種の特定の器具において、シールド100は、活性成分がブレンドされたクリームベースの組成物からなり、ここでこの活性成分は、粉末状であってもよい。活性成分としては、例えば、粉末状の放射線を吸収する無機塩、例えば硫酸バリウム、酸化ランタン、酸化ビスマス、または、それらの組み合わせが挙げられる。シールド100を形成するために、活性成分をキャリアーを含むベースと均一にブレンドして、放射線を実質的に減衰させる、局所適用される放射線防護用クリーム組成物を形成することができる。
【0035】
さらにその他の好ましい実施態様において、活性成分を形成する化合物または化合物群は、望ましい放射線防護因子(radiation protection factor)に応じて選択される。放射線防護因子は、例えば金属箔(例えばアルミニウム)についてすでに存在する標準などの既知の標準と比較したX線照射減衰の程度によって数学的に示すことができる。そのようなものとして、放射線減衰の有効性を高くしたり低くしたりするために、活性成分を形成する化合物または化合物群を様々な濃度で存在させることができる。例えば、活性成分の質量パーセントは、適切な放射線防護因子が得られるように高くしたり低くしたりすることができる。
【0036】
上記の様々な濃度に加えて、または、それとは別に、化合物は、組み合わせた際の、それらの放射線減衰の有効性を高くしたり低くしたりする能力に基づいて選択してもよい。例えば、活性成分としては、バリウム塩化合物、および、ビスマス塩化合物が挙げられる。一般的に、ビスマス塩化合物は、理由の一つとして原子番号が比較的高いために、バリウム塩化合物よりも高い放射線減衰能力を示す。そのようなものとして、バリウム塩化合物に対するビスマス塩化合物の濃度は、適切な放射線防護因子が達成されるように様々な濃度であってよい。
【0037】
図2Aおよび2Bは、様々なシールド組成物についての実験結果を説明するグラフである。例えば、これらの様々なシールド組成物は、活性成分としての硫酸バリウム、酸化ビスマス、および、硫酸バリウムおよび酸化ビスマスの均質な混合物を含む。活性成分が混合物である場合、活性成分は、バリウムとビスマスとの原子数の比が50:50になるように配合される。
【0038】
様々な活性成分はそれぞれ、微細で均質な粉末状になるまですりつぶされ、それぞれのシールド組成物に共通のキャリアーとブレンドされる。一例として、さらに実験のために、このようなキャリアー調合物は、水性混合物中に、グリセリン、ステアリン酸、グリコールステアリン酸塩、グリセリンステアリン酸塩、および、カルボマーを含む。微粉末の活性成分とキャリアーとを、キャリアー組成物1質量部に対して粉末5.5〜8質量部の質量比で混合した。この粉末を均一にブレンドすることによって、例えば化粧用皮膚保湿クリームまたは太陽の紫外線から防護するのに使用されるサンブロッククリームなどのクリームのように一般的に局所適用に使用される滑らかで均一なクリーム状の質感が得られた。
【0039】
そのようなものとして、上述のような3種の異なるクリームベースのシールド組成物を配合し、上記で示したようにして試験した。製造されたクリームそれぞれを、試験用ポリマーフィルム上に3種のクリームの厚さ:0.13mm(0.005インチ)、0.20mm(0.008インチ)、および、0.25mm(0.010インチ)が達成されるように塗布した。続いてこの試験フィルムをファキシトロン(Faxitron)X線キャビネットに置き、18kVで120秒励起させたX線源に暴露した。コントロールとして、0.076mm(0.003インチ)、0.15mm(0.006インチ)、および、0.23mm(0.009インチ)の階段を有するアルミニウムの階段光学くさびも同時にX線源に暴露し、これを試験フィルムのX線吸収を校正するのに用いた。
【0040】
X線源からの放射線に暴露した後に試験フィルムを展開させたところ、意図された組成および厚さを有するクリームから得られた画像から、様々な程度の放射線の減衰が示された。これらの試験フィルムからの画像を解析し、アルミニウムの階段光学くさびから提供された画像と比較した。より具体的に言えば、試験フィルムを試験する際に、より高レベルのX線減衰を示す画像の領域は、明るいグレーで示されるコントラストで表示される。逆に言えば、より低いレベルのX線減衰を示す画像の領域は、暗いグレーで示されるコントラストで表示される。まとめると、適用されたクリーム厚さおよび組成による放射線の減衰が大きければ大きいほど、それに対応する画像にはより明るいグレーで示されるコントラストが表れる。
【0041】
図2Aは、発明の一実施態様に係る試験された3種のクリームベースのシールド組成物の厚さに対するグレースケールで示される強度を説明するグラフである。具体的には、ライン210は、様々な厚さの硫酸バリウム(BaSO)を含むクリームベースの組成物に相当する。またライン220は、様々な厚さの酸化ビスマス(Bi)を含むクリームベースの組成物に相当する。さらにライン230は、硫酸バリウムの均質な混合物を含むクリームベースの組成物に相当する。
【0042】
それぞれのクリームベースの組成物について、グレースケールで示される強度を定量し、コントロールのアルミニウムの階段光学くさびから得られたグレースケールで示される強度値に対して校正した。図2Aで示されるように、ライン210に相当する硫酸バリウム(BaSO)を含む組成物は、試験されたいずれの厚さについての最も低いグレースケールで示される強度値を示した。言い換えれば、これらの値は最も暗いグレースケールのコントラストと一致した。ライン230に相当する硫酸バリウム(BaSO)と酸化ビスマス(Bi)との均質な混合物を含む組成物は、硫酸バリウム(BaSO)を含む組成物と比較してより高いグレースケールで示される強度値を示した。これらのライン230に相当する値は、ライン210に相当する値と比較してより明るいグレースケールのコントラストによるものである。さらに、ライン220に相当する酸化ビスマス(Bi)を含む組成物は、試験された3種の組成物のうち最大のグレースケールで示される強度値を示し、これは、最大のグレースケールのコントラストに相当する。
【0043】
図2Bは、試験された様々なクリームベースの組成物の放射線を減衰させる能力を説明するグラフであり、これは、本発明の一実施態様に従って図2Aで示されたグレースケールで示される強度値に基づいている。具体的には、図2Aで示されたグレースケール値を等価な放射線の減衰のパーセンテージに変換し、臨床条件で一般的に使用される60kVのX線源に基づく値が再現されるように調節した。具体的には、ライン215は、様々な厚さの硫酸バリウム(BaSO)を含むクリームベースの組成物についての放射線の減衰の測定値に相当する。またライン225も、様々な厚さの酸化ビスマス(Bi)を含むクリームベースの組成物についての放射線の減衰の測定値に相当する。さらに、ライン235は、硫酸バリウム(BaSO)と酸化ビスマス(Bi)との均質な混合物を含むクリームベースの組成物についての放射線の減衰の測定値に相当する。
【0044】
予想通りに、図2Bに示される値は、図2Aで示されたグレースケールで示される強度に対応してそれぞれの組成物の性能を反映している。すなわち、図2Bで示されるように、ライン225に相当する酸化ビスマス(Bi)を含む組成物は、試験された厚さそれぞれについて最大の放射線減衰を示した。ライン235に相当する硫酸バリウム(BaSO)と酸化ビスマス(Bi)との均質な混合物を含む組成物は、酸化ビスマス(Bi)を含む組成物と比較したところ、それより小さい放射線減衰を示した。さらに、ライン215に相当する硫酸バリウム(BaSO)を含む組成物は、試験された3種の組成物のなかでも最も小さい放射線減衰を示した。
【0045】
より具体的には、図2Bで示されるように、それぞれのクリームベースの組成物によって有意な量のX線照射を減衰させるのに成功した。例えば、ライン215に相当する硫酸バリウム(BaSO)を含む組成物は、40〜50パーセントの減衰値を示した。ライン235に相当する硫酸バリウム(BaSO)と酸化ビスマス(Bi)との均質な混合物を含む組成物は、50〜60パーセントの減衰値を示した。さらに、ライン225に相当する酸化ビスマス(Bi)を含む組成物は、55〜60パーセントの減衰値を示した。
【0046】
さらにその他の実施態様において、放射線をブロックすることができる活性成分は、ドレープを構成する織物層に直接注入されるか、または、ドレープを構成する基板層に隣接する層に注入される。より具体的には、本発明の一実施態様によれば、天然または合成の織物繊維または不織繊維をベースとした使い捨ての紙または布製品中またはその上に、放射線を防護する無機塩化合物を含浸させてもよい。無菌を保ち、また、医療処置中に使いやすくするために、放射線防護用ドレープを密閉することも考えられる。
【0047】
図3は、本発明の一実施態様に従って、放射線を減衰させることができるシステム300を説明する。本システムは、蛍光透視イメージングを実施するあらゆる医療現場、または、医療処置を行う際の診断剤検出、治療またはガイド目的で放射線を用いるその他の医学的な診断または治療システムを実施するあらゆる医療現場で実施することができる。具体的には、システム300は、医療スタッフの腕および手を放射線から防護することができる。
【0048】
システム300は、放射線照射野315に放射線を放出する放射線源310を含む。標的の試料320、例えば患者の体の標的の部分は、放射線照射野315内に配置される。例えば、試料は、接近しやすいように上昇するプラットフォームまたはテーブル上に配置されてもよい。試料320は、明確にするために三次元のボックスとして表示されているが、これは、あらゆるタイプの試料を代表するものであり、例えば腕、腹部、脚またはその他のあらゆる人間または人間以外の患者の体の部分であってよい。
【0049】
例えば、放射線源は、標的の試料320、例えば患者の体の標的の部分を画像化するのに用いられる蛍光透視法による放射線システムである。実用的な例として、可動式Cアーム蛍光透視イメージングシステムが、入院患者に対しても外来患者に対しても一般的に使用される。そのようなものとして、このCアームイメージングシステムは放射線源310を含み、医療処置を行う際の試料の画像化に用いられる。
【0050】
図3で示されるように、放射線照射野315が完全に試料を取り囲み、試料が配置されたところ以外の領域にまで広がっている。標的ではない体の部分は何度も放射線照射野315内に配置され、そこでその体の部分は画像化の標的にはならないが、放射線に晒される。例えば、放射線照射野315内に配置されて、放射線源310からのX線照射に晒される体の部分は、手330である。場合によっては、手は標的ではない体の部分であるが、試料とつながっている。例えば、手330は、患者の一部であり得る。その他の例において、標的ではない体の部分である手が、医療スタッフのメンバーの一部であることもあり、このような場合、この手は、試料を安定させたり、または、医療処置を行う際に患者に接触する外科装置を維持したりするのに用いられる。適切な防護がないと、手330は、試料を画像化する間に放射線源310からの放射線に被曝する危険がある。
【0051】
溶液の場合、システム300はまた、人間の体の部分の組織に局所適用される放射線シールド340を含み、このようなシステムは、放射線源310と体の部分320との間に有利に配置させることができる。図3で示されるように、放射線シールド340は手330の皮膚に局所適用され、このシールドは、必要に応じて、手330の一部に適用してもよいし、または、手330全体に適用してもよい。より具体的には、放射線シールド340は、放射線源310からの放射線を減衰させるのに適している。
【0052】
一実施態様において、放射線シールド340は、揺変性を有するキャリアー(例えば有機または無機物質)を含む。例えばこのようなキャリアーは、皮膚に即時的かつ効果的に適用されるように配合されたクリームベースの有機組成物である。放射線シールド340はまた、キャリアー全体に均一に分散された活性成分も含む。より具体的には、活性成分は、大きい原子番号を有する元素を有し、放射線を減衰させるのに適した無機塩化合物を含む。例えば、実施態様において、このような無機塩化合物は、以下に記載されたもの:硫酸バリウム、酸化ビスマス、酸化ランタンまたはそれらの組み合わせからいずれか1種が選択される。
【0053】
その他の実施態様において、蛍光透視法による放射線システムは、実質的に単色放射を生産する。すなわち、放射線照射野315における放射線は、実質的に単一波長を有する。そのようなものとして、放射線シールド340中の活性成分は、具体的に放射線源310から発せられる単色放射を減衰するように設計される。
【0054】
その他の実施態様において、システムは、図3ですでに述べたように、放射線源、標的の試料、および、標的ではない体の部分を含む。加えて、このようなシステムは、人間の標的ではない体の部分の組織に局所適用される放射線シールドを含む。このような放射線シールドは、放射線源からの放射線を減衰させるのに適している。より具体的には、このような放射線シールドは、キャリアー(例えば、有機ベースまたは無機ベースのキャリアー)、および、キャリアー全体に均一に分散された活性成分を含む。活性成分は、大きい原子番号を有し、放射線を減衰させるのに適した少なくとも1種の元素を含む無機塩化合物を含む。また、キャリアーと活性成分とを含む組成物は、噴霧できる形態であってもよい。
【0055】
その代わりに、または、それに加えて、このようなシステムは、放射線不透過性フィルム、例えば放射線を減衰させるためのドレープを含んでいてもよい。このような放射線不透過性フィルムは、放射線源からの放射線に晒される危険性があるその他の体の部分を覆うのに適している。このような放射線不透過性フィルムは、患者を覆うこともできるし、または、医療スタッフによって使用されてもよい。このような放射線不透過性フィルムは、フレキシブル基板を含み、例えば柔軟な織物で作製される基板を含む。このような放射線不透過性フィルムはまた、フレキシブル基板に隣接する層も含み、ここでこのような層は、層全体に均一に分散されており、放射線シールド340での使用についてすでに述べられた活性成分に類似しているか、または、そのような活性成分を含む組成物を含む。
【0056】
さらにその他の実施態様において、システムは、図3ですでに述べられたように、放射線源、標的の試料、および、標的ではない体の部分を含む。加えて、本システムは、放射線の減衰のための放射線不透過性フィルムを含む。このような放射線不透過性フィルムは、体の部分を覆うのに適している。このような放射線不透過性フィルムは、フレキシブル基板を含む。加えて、このような放射線不透過性フィルムは、フレキシブル基板に隣接する層を含み、ここでこのような層は、層全体に均一に分散されており、放射線シールド340での使用についてすでに述べられた活性成分を含む組成物を含む。さらにその他の器具において、このような放射線不透過性フィルムは活性成分を含み、ここで、活性成分がフレキシブル基板内に包含されるように、活性成分はフレキシブル基板全体に均一に分散されている。
【0057】
本発明の教示を包含する放射線不透過性フィルムは、多種多様な方法で用いることができる。本発明の範囲を制限することなく、本発明の放射線不透過性フィルムは、外科用ドレープとして用いることができ、個体に電離放射線からの防護を提供するシールドおよび防護装置において用いることができ、健康管理を施す人(例えば内科医、内科医の助手、看護師、専門家など)が電離放射線に暴露される可能性がある処置(例えば外科手術など)中に健康管理を施す人によって着用される衣服において用いることができ、さらに、放射線を遮蔽するカーテンにおいて用いることができる。図4〜9に本発明の教示を包含する放射線不透過性フィルムの様々な実施態様が示される。
【0058】
図4において、一対の閉込め層20および30の間に挟まれた放射線不透過層40を含む放射線不透過性フィルム10の実施態様が示される。各閉込め層20、30は、薄く柔軟なフィルムを含んでもよい。各閉込め層20、30の材料は、閉込め層20および30を含む放射線不透過性フィルム10が配置される、例えば患者の体の一部などの対象の形状にある程度あわせることができる。いくつかの実施態様において、閉込め層20および30は、閉込め層20および30が含まれる放射線不透過性フィルムを折り畳めるように設計してもよい。
【0059】
いくつかの実施態様において、閉込め層20および30の一方または両方は、例えば、有効な表面積を増やす、および/または、閉込め層20、30と隣接する放射線不透過層40との接着を強化する、パターン化した模様またはランダムな模様を有するといった特徴を有する表面を少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0060】
一例として、これらに限定されないが、各閉込め層20および30は、約15ミル(0.015インチまたは約0.375mm)またはそれ未満の厚さを有していてもよい。当然ながら、その他の厚さの閉込め層20、30を含む放射線不透過性フィルム10の実施態様も本発明の範囲内である。
【0061】
閉込め層として使用するのに適した多種多様の材料があり、このような材料としては、これらに限定されないが、ポリマー、紙、および、織物が挙げられる。各閉込め層20、30として用いられる材料は、様々な要因に基づき選択することができ、このような要因としては、これらに限定されないが、材料の多孔率、耐水性(これは、材料そのものの多孔率に相関する可能性がある)、菌耐性(これは、多孔率、材料への抗菌剤の取り込み等と相関する可能性がある)、フレキシビリティー、感触、および、その他のあらゆる要因が挙げられる。いくつかの実施態様において、各閉込め層20、30は、ポリマー、または、ポリマーベースの材料を含んでもよい。より具体的には、閉込め層20、30の一方または両方は、紙に似た特徴または織物に似た特徴を有するポリマーの織物繊維または不織繊維のポリマーフィルムまたはシートを含んでもよい。その他の実施態様において、閉込め層20、30の一方または両方は、ポリマーを含んでもよいが、それらは、(例えば、外科用ドレープ等として使用する場合)紙に似た構造(例えば、一方向に配向した繊維)を有するか、または、(例えば、ガウン等で使用する場合)織物に似た構造を有する。
【0062】
いくつかの実施態様において、封じ込め層の一方または両方は、電離放射線に対するある程度の不透過性を有していてもよいし、または、放射線不透過性を有していてもよい。
本発明の放射線不透過性フィルム10の放射線不透過層40は、電離放射線を減衰する材料、または、放射線不透過性材料を含む。いくつかの実施態様において、放射線不透過層40の放射線不透過性材料は、微粒子状でもよいし、または、粉末化した形態でもよい。このような実施態様において、放射線不透過層40は、放射線不透過性材料の粒子をまとめる結合剤を含んでいてもよい。
【0063】
放射線不透過性材料は、非毒性であってもよい。様々な実施態様において、このような放射線不透過性材料は、原子番号56を有する、または、それより大きい原子番号を有する元素種を含むか、または、それらをベースとしたものでもよい。このような元素種の例としては、これらに限定されないが、バリウム種、ビスマス種、および、ランタン種が挙げられる。いくつかの実施態様において、このような放射線不透過性材料は、無機塩を含んでもよい。非毒性の放射線不透過性の無機塩の例としては、これらに限定されないが、硫酸バリウム、および、酸化ビスマスが挙げられる。
【0064】
放射線不透過層40が結合剤を含む実施態様において、結合剤として、放射線不透過性材料の密度を実質的に低下させることなく放射線不透過性材料の粒子をまとめるあらゆる材料を用いることができる。結合剤は、保持する放射線不透過性材料の粒子を緩くまとめることができるものであり、隣接する粒子間により強い結合を提供するものでもよいし、および/または、滑らかで均一なコーティングまたはフィルムの形成を可能にするようなものでもよい。このような材料の例としては、これらに限定されないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、カプリン酸トリグリセリド、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、および、これらの材料のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0065】
いくつかの実施態様において、結合剤でまとめられた放射線不透過性材料の粒子を有する放射線不透過層40において、放射線不透過性材料は、放射線不透過層40の少なくとも約50質量%を構成していてもよく、ここで結合剤は、放射線不透過層40の質量の約50%またはそれ未満を構成する。放射線不透過層40のその他の実施態様は、約75質量%またはそれより多くの放射線不透過性材料、および、約25質量%またはそれ未満の結合剤で構成される。さらにその他の好ましい実施態様において、放射線不透過性材料は、放射線不透過層40の質量の約97%またはそれより多くを構成していてもよく、ここで結合剤は、放射線不透過層40の約3質量%以下しか構成しない。
【0066】
いくつかの実施態様において、本発明の放射線不透過性フィルム10の放射線不透過層40は、約40ミル(0.040インチまたは1mm)、またはそれ未満の厚さを有する。その他の実施態様において、放射線不透過性フィルム10は、約25ミル(0.020インチまたは約0.6mm)またはそれ未満の厚さを有する放射線不透過層40を含んでいてもよい。さらにその他の好ましい実施態様において、放射線不透過性フィルム10の放射線不透過層40は、約15ミル(0.015インチまたは約0.375mm)またはそれ未満、約10ミル(0.010インチまたは約0.25mm)またはそれ未満、または、約5ミル(0.005インチまたは約0.125mm)またはそれ未満の厚さを有していてもよい。
【0067】
放射線不透過層40の電離放射線を減衰させる能力は様々な要因によって決まるが、このような要因としては、これらに限定されないが、放射線不透過層40が形成される各放射線不透過性材料の減衰能力、放射線不透過層40における放射線不透過性材料と結合剤との相対量、および、放射線不透過層40の厚さが挙げられる。
【0068】
閉込め層20および30は、互いに様々な方法で放射線不透過層40に固定することができる。一例として、放射線不透過層40が微粒子状または粉末化した放射線不透過性材料と結合剤を含む実施態様において、結合剤によって、閉込め層20および30を互いに放射線不透過層40に接着するか、または、別の方法でそれらを固定することができる。その他の実施態様において、閉込め層20および30は、閉込め層20と30との間に存在する実質的にその他全ての領域を占める(すなわち実質的に領域の全てを占める)放射線不透過層40と、複数の所定間隔で離れた位置で(例えば、母材中の所定間隔で離れたポイントで、所定間隔で離れた行のラインと列のラインとの格子で)互いに直接的または間接的に固定されてもよく、例えば閉込め層20および30は、(例えば熱接着、溶剤接着などによって)互いに直接融合していてもよい。その他の例として、接着剤の材料を、閉込め層20および30上の所定間隔で離れた複数の位置の間に堆積させてもよい。
【0069】
本発明の教示を具体化した放射線不透過性フィルム10を製造するために、既知のプロセスが用いられる可能性がある。いくつかの実施態様において、放射線不透過性材料および結合剤は、溶媒中で実質的に均一に混合されてもよい。このような溶媒は、結合剤がすでに含まれているキャリアー溶媒を含んでもよいし、または、溶媒は別々に添加してもよい。より具体的な実施態様において、結果得られたスラリーは、約75w/w%〜約80w/w%の固体含量または固体充填量を有していてもよい。続いてこのようなスラリーは、閉込め層20全体に放射線不透過性材料の薄膜が形成されるようにして閉込め層20の一方に適用してもよい。具体的な実施態様において、ドクターブレード、または、類似のドクターブレード技術を用いて、放射線不透過層40を形成してもよい。その他の実施態様において1またはそれより多くのローラーを用いて、閉込め層20と30との間に放射線不透過層40を形成し、分散させてもよい。続いて他方の閉込め層30を放射線不透過層40全体に適用してもよい。大量生産に適した具体的な実施態様において、カレンダーロール技術を用いてもよい。
【0070】
ここで図5を参照すると、本発明の放射線不透過性フィルム10のその他の実施態様が示される。図4に示した放射線不透過性フィルム10と同様に、放射線不透過性フィルム10’は、一対の向かい合った閉込め層20および30を含み、閉込め層20と30との間に放射線不透過層40’を含む。しかしながら、放射線不透過層40’は2つ(図示された通り)またはそれより多くのサブレイヤー42’、44’等を含む点で、放射線不透過層40’は放射線不透過層40とは異なる。各サブレイヤー42’、44’等は、隣接する各サブレイヤー44’、42’等とは異なる放射線不透過性材料、または、放射線不透過性材料の混合物を含む。いくつかの実施態様において、各サブレイヤー(例えばサブレイヤー42’)は、その次の連続したサブレイヤー(例えばサブレイヤー44’)のベースとなる放射線不透過性材料の元素種の原子番号よりも小さい原子番号を有する元素種(例えばバリウム、ビスマス、ランタンなど)をベースとしてもよい。非限定的な例として、サブレイヤー42’は硫酸バリウム(バリウムまたはBa、原子番号56を有する)を含んでもよく、サブレイヤー44’は、酸化ビスマス(ビスマスまたはBi、原子番号83を有する)を含んでもよい。当然ながら、サブレイヤー42’、44’等のその他の配置も本発明の範囲内である。
【0071】
複数のサブレイヤー42’、44’等を使用することによって、放射線不透過層40’と同じ厚さの放射線不透過性材料の層が一つしか用いられていない場合に比べて、放射線不透過層40’に高い減衰効果を付与することができる。重ねて積層された異なる放射線不透過性材料のサブレイヤー42’、44’等が用いられる場合、各サブレイヤー42’、44’についての放射線不透過性材料は、それらの減衰作用のある化学種の配置(例えば、格子構造、それらの減衰作用のある化学種が互いに所定間隔で配置された距離等)に基づいて選択してもよく、これはなぜなら、サブレイヤー42’および44’に含まれる減衰作用のある化学種が異なって配置されれば、そのようなサブレイヤー42’および44’によって電離放射線は異なって減衰される可能性があるためである。各サブレイヤー42’、44’の材料または材料群は、様々な周波数または波長の帯域幅(または範囲)にわたり電離放射線を減衰する能力に基づいて選択してもよく、そうすることにより、放射線不透過層40’に、放射線不透過層40’と同じ厚さを有する単一の放射線不透過性材料の層を使用した場合よりも広い電離放射線の周波数の帯域幅にわたり減衰する能力を付与することができる。
【0072】
例えば図4に示される放射線不透過性フィルム10の実施態様について説明されるプロセスなどの適切なプロセスを用いて、2またはそれより多くの隣接するサブレイヤー42’、44’等を有する放射線不透過性フィルム10’を製造することができる。当然ながら、放射線不透過性フィルム40’を形成するために複数のサブレイヤー42’、44’等を使用するには、上述のプロセスに多少の変更が必要であり、例えば、第一サブレイヤー42’だけを閉込め層20に直接形成し;このようにして予め形成されたサブレイヤー42’等に、サブレイヤー44’等ぞれぞれを連続的に形成する。サブレイヤー42’、44’等が全て形成されたら、続いてその他の閉込め層30を、最上にあるサブレイヤー44’等の上に配置し貼り付けてもよい。
【0073】
図6は、放射線不透過層40’の隣接するサブレイヤー42’、44’等が隔離層50によって互いに物理的に離れている放射線不透過性フィルム10”のその他の実施態様を説明する。隔離層50は、低密度ポリエチレンのようなポリマー、または、その他のあらゆる適切な材料を含んでもよい。隔離層50それ自身が放射線不透過性を有していてもよいし、または、電離放射線を実質的に透過させるものであってもよい。
【0074】
放射線不透過性フィルム10”は、放射線不透過性フィルム10を形成するのに用いられるプロセスと類似したプロセスによって製造することもでき、ここで各隔離層50は、サブレイヤー42’等の上に配置されて(例えばカレンダーロール等によって)そこに固定され、続いて隔離層50上に続いてサブレイヤー44’等がそれぞれ形成される。最上の(または最も外側の)サブレイヤー44’等が所定位置に形成されたら、閉込め層30をそのサブレイヤー44’等の上に配置してそこに固定される。
【0075】
図7において、閉込め層30の一方に固定した追加の基板60を含む放射線不透過性フィルム10”’の実施態様が説明される。基板60は、放射線不透過性フィルム10”’に望ましい特性を付与する可能性があるあらゆる適切な材料を含んでもよい。
【0076】
例えば、基板60が紙または紙に似た材料(例えば、ポリエチレン繊維など)から形成されるような実施態様において、このような基板は、それが用いられる表面(例えば皮膚など)にくっつかずに容易に配置したり位置を直したりすることができる。またこのような材料で形成された基板60は、放射線不透過性フィルム10”’に液体を吸収する能力を付与する場合もある。このような放射線不透過性フィルム10”’の実施態様は、外科用ドレープまたは患者診察室で使用される可能性がある類似の物品として有用であり得る。
【0077】
その他の実施態様において、基板60は、布または布に似た材料(例えばポリエチレン繊維など)から形成することもでき、それにより、放射線不透過性フィルム10”’に布のような見た目を付与することができ、これは、放射線不透過性フィルム10”’が防護衣服、防護シールド(例えばシート等)または同種のものを形成するのに用いられるような状況において望ましい場合がある。
【0078】
上述したように、本発明の放射線不透過性フィルム(例えば放射線不透過性フィルム10、10’、10”、10”’、または、放射線不透過性フィルムのその他のあらゆる実施態様)は、患者、健康管理を施す人またはその両方を電離放射線から防護するのに用いることができる。図8は、本発明の放射線不透過性フィルム10、または、放射線不透過性フィルム10を含むその他の物品(例えば外科用ドレープなど)によって、患者および/または医療従事者の電離放射線への暴露を少なくしたり、または、そのような暴露をなくしたりするのに用いられているような実施態様を説明する。
【0079】
図8において、イメージング装置110(例えば、X線装置、CATスキャン(コンピューター断層撮影)装置、蛍光透視鏡など)を被検体の体Oの外側の位置から用いて、被検体の体Oの内部を画像化することができる。イメージング装置110の放射線照射野112内の被検体の体Oの領域は、放射線不透過性フィルム10で覆われていてもよい。加えて、放射線照射野112内またはその近傍に配置される可能性がある各医療従事者の体の一部も、放射線不透過性フィルム10で覆われていてもよい。さらに、放射線照射野112の内部および/またはその外側に配置された被検体の体Oの一部、加えて、放射線照射野112の内側および/またはその外側に配置された、被検体と同じ室内にいる医療従事者の体の一部も、そのような体の一部を放射線不透過性フィルム10で覆うことによって間接的または付随的な電離放射線から遮蔽することができる。
【0080】
以下に示す実施例で、本発明の教示を具体化する放射線不透過性フィルム10の電離放射線を減衰する能力を実証する。
【実施例】
【0081】
実施例1
ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム上に酸化ビスマスを堆積させることによって放射線不透過性フィルムの数種のサンプルを形成し、ここでこのようなフィルムとしては、例えばE.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. du Pont Nemours & Co, デラウェア州ウィルミントン)からマイラー(MYLAR(R))という商標名で市販されているものがある。PETフィルムを5cm×5cmの寸法になるように横方向に切断した。酸化ビスマスをPVB結合剤とブレンドしたところ、80%酸化ビスマスを含み、その残りとしてPEG結合剤、グリセリン、カプリン酸トリグリセリド、セチルアルコールおよびステアリン酸グリセリルを含む混合物が得られた。続いてこの混合物を水に懸濁して、約80w/w%の固体含量を含むスラリーを形成した。
【0082】
PETフィルムと酸化ビスマススラリーを用いて2セットのサンプルを形成した。第一のサンプルセットにおいて、酸化ビスマススラリーを、予め切断したPETフィルムに意図的に厚さ0.010インチ(0.25mm)にして適用し、続いてこの酸化ビスマススラリー上にその他の予め切断したPETフィルムを置き、スラリーから水を蒸発させた。第二のサンプルセットを、酸化ビスマススラリーを意図的に厚さ0.015インチ(0.38mm)にして適用した以外は同じ方式で製造した。
【0083】
酸化ビスマスサンプルに加えて、コントロールサンプルを製造した。コントロールサンプルを、ボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific, マサチューセッツ州ナティック)より入手可能なESPTM放射線遮蔽試験用グローブから5cm×5cmの小片を切断することによって製造した。この放射線遮蔽グローブは、およそ60質量%の固体含量でエラストマー全体に分散された鉛粒子を含む。
【0084】
サンプルおよびコントロール小片の製造が終わったら、3種の試験を行った。各試験において、各サンプルおよびコントロール小片の真下に線量計を置き、フィリップス(Philips)の可動式CアームX線装置からの電離放射線に暴露した。第一の試験において、サンプルおよびコントロール小片を60秒で60kVpの強度でX線照射に暴露した。第二の試験において、サンプルとコントロール小片を60秒で95kVpの強度でX線照射に暴露した。第三の試験において、サンプルおよびコントロール小片を60秒で110kVpの強度でX線照射に暴露した。
【0085】
図9および10は、各放射線不透過性フィルムサンプルおよびコントロール小片によってもたらされた減衰を説明しており、この減衰を、線量計に暴露された放射線量によって、各強度で減衰した放射線のパーセンテージとして決定した。図9は、0.25mmの酸化ビスマス層を有する放射線不透過性フィルムのX線減衰能力を、市販のエラストマーと鉛とを含む放射線不透過性フィルムのX線減衰能力と比較したものである。図10は、厚さ0.38mmの酸化ビスマス層を有する放射線不透過性フィルムのX線ブロック能力を、市販のエラストマーと鉛とを含む放射線不透過性フィルムのX線減衰能力と比較したものである。
【0086】
図9と図10の両方によって示されたデータから、酸化ビスマスフィルムのサンプルは、鉛ベースのコントロール小片よりも多くのX線照射を有意に減衰することが示される。図9によって実証されているように、厚さ0.25mmの酸化ビスマスフィルムを有するサンプルは、市販の鉛ベースのフィルムよりも約73%も多くのX線を減衰する。図10から、厚さ0.38mmの酸化ビスマスフィルムは、コントロール小片の鉛ベースの化合物のほぼ2倍のX線照射を減衰することが示される。
【0087】
実施例2
第二の研究において、放射線不透過性フィルム10のX線照射を減衰する能力(図4)を、3種のその他の材料の減衰能力と比較し、ここでこの3種のその他の材料は、参照としての鉛箔;鉛シールドからの放射線不透過層(これは、0.5mmの鉛に相当する減衰を有するものとして評価される);および、鉛非含有のシールドからの放射線不透過層(これも、0.5mmの鉛に相当する減衰を有するものとして評価される)である。これらの製品を同じエネルギーのX線に同じ時間暴露した。
【0088】
2種の放射線不透過性フィルム10を評価した:第一のフィルムは、単一の放射線不透過層(厚さ0.75mmの酸化ビスマス層)を有するものであり;および、第二のフィルムは、2種の放射線不透過性材料で作製された厚さ0.7mmの二つの層を含むものであり、ここでこの二つの層は、厚さ0.35mmの酸化ビスマス層(80w/w%の酸化ビスマス、20w/w%の結合剤(実施例1を参照);および、厚さ0.35mmのビスマス−酸化ビスマス層(50w/w%のビスマスと50w/w%の酸化ビスマスとを含むビスマス−酸化ビスマスが80w/w%であり、その残りが結合剤である(実施例1を参照))である。両方の放射線不透過性フィルムは、間に放射線不透過層を有する2つのタイベック(TYVEK(R))フラッシュスパンポリエチレン繊維シート(厚さ約0.1mm)を含む。
【0089】
この研究で用いられる鉛箔は、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)より入手可能な99.9%純粋な鉛箔であった。1.5mmの厚さを有する鉛シールドは、バー・レイ・プロダクツ(Bar Ray Products, ペンシルベニア州リトレスタウン(Littlestown))より入手可能な0.5mmの鉛に相当するスター・ライト(STAR LITE)放射線シールド(ロット番号10166)であった。鉛非含有のシールドとしては、0.5mmの鉛に相当する1.9mmの厚さを有するバー・レイ・プロダクツより入手可能なトゥルー・ライト(TRUE LITE)放射線シールド(ロット番号10467)を用いた。この厚さ1.9mmを有する鉛非含有のシールドは、約1:1の質量比でエラストマー材料に埋め込まれた粒子の形態の元素アンチモン(Sb)から作成されたものである。
【0090】
ランダウア社(Landauer, Inc., イリノイ州グレンデール)より入手可能なナノドット(NANODOT(R))線量計を用いて、それぞれの試験された製品を通過したX線照射量を検出した。
【0091】
2セットの試験を行った。第一の試験セットにおいて、0.75mmの単一層の試料のX線減衰能力を評価した。第二の試験セットにおいて、0.7mmの2層の試料のX線照射を減衰する能力を評価した。
【0092】
各試験セットにおいて、60kVp、90kVpおよび120kVpのX線エネルギーで減衰を評価した。このような試験をそれぞれ5回繰り返し、それぞれの試験では未使用の線量計を用いた。
【0093】
第一の試験セットにおいて、5個の線量計を直径約250mmの暴露が予想される領域内の表面上に置いた。4個の線量計の上に、タイベック試験片と、3種の比較用製品(すなわち、鉛フィルム、鉛シールド、および、鉛非含有のシールド)それぞれのサンプルとを置いた。その他の線量計は覆いをしなかった。各製品に同時にX線照射するために、ランダウアの研究所で利用可能な米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology; NIST)およびISOによって校正されたX線源を用いた。続いて、試験された製品および比較製品、加えて暴露領域内のむき出しの線量計に予め決められたX線エネルギーの一つを発生させた。電離箱を用いて、各試験(すなわち異なるエネルギー)の開始時における放射線量を測定した。測定の再現性を検証するために、電離箱のカウントを3回行った。各試験において(すなわちX線照射の各エネルギーについて)、X線照射暴露は60秒間続けられた。
【0094】
各試験のあと、線量計を取り除き、トレーサビリティーを維持するために慎重に保存した。続いて線量計からデータを得て、測定されたX線照射の入射線量(コントロールは、むき出しの線量計によって提供される)、および、透過したX線照射線量(各製品によって減衰したX線照射線量、これは、覆われた線量計によって測定された)を決定した。
【0095】
図11〜13は、60kVp、90kVpおよび120kVpにおけるそれぞれのX線エネルギーのスペクトルを示す。表1に、各線量計(すなわち、むき出しの線量計、0.75mmの試験製品(「ドレープ」)で覆われた線量計、3種の比較製品「鉛箔」、「鉛非含有」、「鉛シールド」で覆われた線量計)に暴露されたX線照射線量の測定値(単位はミリラド(mrad))に対応するデータを示す。各値は、X線照射のエネルギー(kVp)それぞれにおいて5回繰り返した試験の平均値である。
【0096】
【表1】

【0097】
これらのデータから、基準として0.5mmの鉛箔(「鉛箔」)による減衰を用いて各製品による減衰量を計算した。具体的には、その他の製品の場合の透過値(mrad)を、0.5mmの鉛箔の場合の透過値(mrad)で割った。続いて、減衰のパーセンテージ(%)を得られた商の補数として計算した。
【0098】
0.5mmの鉛箔は、その他の製品よりも良好にX線照射を減衰する。X線減衰能力の高いものから順に言えば、1.5mmの鉛シールド(98%)、1.9mmの鉛非含有のシールド(92%)、および、それらよりかなり薄い0.75mmのタイベック試験片(約85%)となる。当然ながら、試験製品の放射線不透過層の厚さを大きくすることによって、そのX線照射を減衰する能力も高まり、鉛箔に近くなると予想される。
【0099】
第二の試験セットにおいて、0.7mmの試験製品(以下の表2に記載の「2LBB」)の2つの層の3種の異なるエネルギーのX線照射を減衰する能力を評価した。それぞれの試験において、線量計を試験製品の真下に置き、他方の線量計をX線照射に直接暴露されるようにした。各エネルギーにおいて、5セットのデータを得た。表2に、3種のX線照射エネルギー(kVp)それぞれにおける平均線量(mrad)をまとめた。
【0100】
【表2】

【0101】
図14は、厚さ0.5mmの鉛箔、厚さ1.5mmの鉛ベースの放射線不透過層、および、厚さ1.9mmの鉛非含有の放射線不透過層と比較した、0.7mmの本発明の放射線不透過層の電離放射線を減衰する能力を説明する。図14によって説明されるデータから示される徴候(promise)に基づいて、0.7mmの本発明の放射線不透過性フィルムで作製された前面放射線シールド(frontal radiation shield)の推定質量を計算し(ベースとして、いくつかの市販の前面放射線シールドに用いられる面積5,000cmの放射線不透過性材料に基づく)、同じサイズの鉛製の前面放射線シールドの既知の質量と比較した。
【0102】
図15において、0.7mmの本発明の放射線不透過性フィルムで作製された前面放射線シールドによって提供されたと思われる軽量化は、軽量化した割合(パーセント)を単位として示し、この割合は、鉛非含有の前面放射線シールドが鉛製の前面放射線シールドと比べて軽量化された分の質量である。図16は、0.7mmの放射線不透過性フィルムで作製された完全なガウン(全体の面積が約10,000cm)の質量は、鉛製の前面放射線シールドの質量とタイベック(R)フラッシュスパンポリエチレン繊維シートで作製された滅菌ガウンの質量とを合わせた質量よりもなお有意に軽い(約35%未満)と予想されることを示す。それに対して、1.9mmの鉛非含有の放射線不透過性材料で作られたガウンは、鉛製の前面放射線シールドの質量と滅菌ガウンの質量とを合わせた質量よりも有意に重い質量を有すると予想される(約20%高い)。
【0103】
前述したことから、本発明の教示を包含する放射線不透過性フィルムは、有意に少ない厚さおよび質量で、現存の放射線不透過性材料に匹敵する放射線の減衰を提供することができることは明白である。
【0104】
図17は、放射線の減衰を提供する方法を説明する流れ図400である。流れ図400の方法は、医療処置を行う際に、蛍光透視イメージングシステムおよびその他の医療的な診断および治療システムが診断剤検出、治療またはガイドのために用いられるあらゆる医療現場で実施することができる。具体的には、流れ図400の方法は、医療スタッフの腕および手に放射線防護を提供することができる。
【0105】
410において、蛍光透視法による放射線システムを用いて試料が画像化される。蛍光透視法による放射線システムは、放射線照射野にX線を放出する。試料は放射線照射野内に配置され、蛍光透視鏡観察スクリーンを用いて観察することができる。
【0106】
420において、体の部分が放射線に暴露される。この体の部分は画像化の標的ではなく、放射線暴露の危険性がある。この体の部分は、患者のものである場合もあるし、または、患者に医療処置を行う医療スタッフのメンバーのものである場合もある。例えば、このような体の部分は、医療処置を行う医者の手または腕でもあり得る。
【0107】
430において、標的ではない体の部分の人間の組織(例えば皮膚)を放射線を減衰させることができる放射線シールドで覆う。放射線シールド340は、活性成分を含み、この活性成分は、キャリアー全体に均一に分散されていてもよい。より具体的には、活性成分は、大きい原子番号(例えば50またはそれより大きい原子番号、52またはそれより大きい原子番号、59またはそれより大きい原子番号など)を有する無機塩化合物を含んでもよく、放射線を減衰させるのに適している。いくつかの実施態様において、このような放射線シールドは、人間の組織に局所適用することができる。ある種の器具において、放射線シールドは、揺変性を有するキャリアーを含む。例えばこのようなキャリアーは、皮膚に即時的かつ効果的に適用されるように配合されたクリームベースの有機組成物である。その他の実施態様において、このようなキャリアーは、噴霧することができる形態であるか、または、皮膚に巻き付けることができる形態である。あるいはこのような放射線シールドは、例えば放射線から遮蔽しようとする体の部分の上に配置されるドレープまたは衣服のような放射線不透過性フィルムの一部であってもよい。
【0108】
明確にするために言えば、本放射線シールドは、放射線への過剰な暴露から防護するのに有利に適用され、さらに、ある種の器具において、本放射線シールドは、放射線暴露の危険が少しでも生じる前に適用され、さらに、その他の器具において、本放射線シールドは、放射線に暴露している間に適用されることが認識される。
【0109】
その他の実施態様において、人間の組織に防護的な被覆が配置される。例えば、防護的な被服は、医療スタッフのメンバーの手の指の皮膚上になされる可能性がある。ある種の医療処置の間に、人間の組織の上に防護的な被覆の二重層が配置される。例えば、手をさらに防護するために、手にグローブを二重にはめてもよい。
【0110】
上述の説明には多くの具体的事項が含まれるが、これらは、本発明の範囲または添付の請求項のいずれかを制限するものとして解釈されるべきではなく、単に本発明および添付の請求項の範囲内に含まれ得るいくつかの具体的な実施態様に関連する情報を提供するものとして解釈されることとする。また、本発明の範囲および添付の請求項に包含されるその他の本発明の実施態様が、考案されてもよい。異なる実施態様からの特徴は、組み合わせで用いられてもよい。それゆえに、本発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの法的に同等なものによってのみ指定され限定される。請求項で示される意味および範囲内に含まれる本発明へのあらゆる付加、欠失および改変は、本明細書において開示されたように、そのようなものとして本発明に包含されることとする。
【符号の説明】
【0111】
100 シールド
110 有機または無機キャリアー
120 活性成分
310 放射線源
315 放射線照射野
320 試料
330 手
340 放射線シールド
10、10’、10”、10”’ 放射線不透過性フィルム
20、30 各閉込め層
40 放射線不透過層
42、42’、42”、42”’ サブレイヤー
44、44’、44”、44”’ サブレイヤー
50 隔離層
60 基板
110 イメージング装置
112 放射線照射野

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電離放射線を減衰させるための組成物であって:
キャリアー;および、
キャリアー全体に均一に分散され、電離放射線を減衰させるのに適した非毒性の物質を含む活性成分、
を含む、上記組成物。
【請求項2】
前記非毒性の物質は、原子番号が50以上である原子種を少なくとも1種含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性成分は、ビスマス種、バリウム種、および、ランタン種のうち少なくとも1種を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記活性成分は、少なくとも1種の原子種の無機塩、および、少なくとも1種の酸化種の酸化された形態のうち少なくとも1種を含む、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
揺変性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
皮膚の上に柔軟なフィルムが形成されるように作製された、請求項1、2、3または5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記キャリアーは、局所適用に適したクリーム、局所適用に適したアルコールベースのゲル、噴霧できるように作製された液体、および、粉末のうちの少なくとも1種を含む有機キャリアーを含む、請求項1、2、3または5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1質量部〜20質量部の前記活性成分、および、約1質量部のキャリアー;
5.5質量部〜8質量部の前記活性成分、および、約1質量部のキャリアー;
少なくとも25質量%の前記活性成分;
33%〜50質量%の前記活性成分;
少なくとも10体積%の前記活性成分;または、
10%〜67体積%の前記活性成分、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
第一のポリマー層;
第二のポリマー層;および、
第一のポリマー層と第二のポリマー層との間の放射線不透過層、
を含み、ここで該放射線不透過層は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を含み、少なくとも約50質量%の前記放射線不透過性材料を含む、放射線不透過性フィルム。
【請求項10】
前記放射線不透過層のキャリアーは、隣接する活性成分の粒子をまとめるための結合剤を含む、請求項9に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項11】
前記結合剤は、最大で前記組成物の約50質量%を構成する、請求項10に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項12】
前記結合剤は、ポリマーを含む、請求項10に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項13】
前記組成物の密度は、約11グラム/cm未満である、請求項9に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項14】
前記放射線不透過層は、約0.5mmまたはそれ未満の厚さ、0.38mmまたはそれ未満の厚さ、または、約0.25mmまたはそれ未満の厚さを有する、請求項9〜13のいずれか一項に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項15】
第一のポリマー層に隣接する基板をさらに含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載のに記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項16】
前記基板は、紙または紙様の材料を含む、請求項15に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項17】
少なくとも放射線不透過層を貫通する放射線透過性のウィンドウをさらに含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載のに記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項18】
前記放射線透過性のウィンドウは、第一のポリマー層、放射線不透過層および第二のポリマー層を貫通する開口部を含む、請求項17に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項19】
前記放射線不透過層は、複数のサブレイヤーを含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載のに記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項20】
前記放射線不透過層の複数のサブレイヤーのうち少なくとも1つのサブレイヤーと、前記放射線不透過層の複数のサブレイヤーのうちそれと隣接するサブレイヤーとが、異なる放射線不透過性材料を含む、請求項19に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのサブレイヤーは、それと隣接するサブレイヤーに比べて電離放射線源に近い位置に配置されるように設計され;および、
前記少なくとも1つのサブレイヤーの放射線不透過性材料は、それと隣接するサブレイヤーの異なる放射線不透過性材料のベースとなるその他の元素の原子番号よりも小さい原子番号を有する元素をベースとする、請求項20に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項22】
前記放射線不透過層の複数のサブレイヤーのうち少なくとも1つのサブレイヤーと、前記放射線不透過層の複数のサブレイヤーのうちそれと隣接するサブレイヤーとが、それぞれ異なるように電離放射線を減衰する、請求項19〜21のいずれか一項に記載のに記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのサブレイヤーは、それと隣接するサブレイヤーの第二の放射線不透過性材料のベースとなる第二の元素の原子番号よりも大きい原子番号を有する第一の元素をベースとする第一の放射線不透過性材料を含む、請求項22に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのサブレイヤーは、それと隣接するサブレイヤーに比べて第二のポリマー層に近い位置に配置され、さらに:
第一のポリマー層に隣接する基板を含み、ここで該基板は、放射線源に面するように設計される、請求項23に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項25】
複数のサブレイヤーの隣接するサブレイヤー間に存在するバリア、
をさらに含む、請求項19〜24のいずれか一項に記載の放射線不透過性フィルム。
【請求項26】
請求項9〜25のいずれか一項に記載の放射線不透過性フィルムの製造方法であって、該方法は:
第一のポリマー層の表面上に放射線不透過性材料を堆積させること;
放射線不透過性材料に第二のポリマー層を堆積させること;および、
第二のポリマー層を第一のポリマー層に固定して、第一のポリマー層と第二のポリマー層との間に放射線不透過性材料を固定すること、
を含む、上記方法。
【請求項27】
第一のポリマー層の表面上の前記放射線不透過性材料に、別の放射線不透過性材料を堆積させること、
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記別の放射線不透過性材料を堆積させる前に、前記放射線不透過性材料にバリアを適用すること、
をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記放射線不透過性材料を堆積させることは、第一のポリマー層の表面上に前記放射線不透過性材料を印刷することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記固定は、第一のポリマー層と第二のポリマー層とを接着によって互いに固定することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記固定は、第一のポリマー層と第二のポリマー層とを互いに熱接着することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記熱接着は、第一のポリマー層と第二のポリマー層との間の物質を、第一のポリマー層と第二のポリマー層に熱接着することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
イメージングシステムであって、該システムは:
放射線照射野に放射線を放出する放射線源;
放射線照射野内に配置された標的の試料;
放射線照射野内に配置された標的ではない体の部分(ここで該体の部分は、標的の試料が画像化される間に放射線に過剰暴露される危険性がある);および、
標的ではない体の部分を覆う放射線シールド、
を含み、ここで放射線シールドは、少なくとも請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物および請求項9〜25のいずれか一項に記載の放射線不透過性フィルムのいずれか1種を含み、電離放射線を減衰するように設計されたものである、上記イメージングシステム。
【請求項34】
イメージング方法であって、該方法は:
請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物および請求項9〜25のいずれか一項に記載の放射線不透過性フィルムのうち少なくとも1種を含む放射線シールドで、電離放射線に過剰暴露される危険性がある体の部分の少なくとも一部を覆うこと;
放射線照射野に電離放射線を放出させること;
放射線照射野内の試料を画像化すること;および、
放射線シールドで電離放射線を減衰させること、
を含む、上記方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−516631(P2013−516631A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548194(P2012−548194)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020608
【国際公開番号】WO2011/085273
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512178754)ブロエックスアール・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】