説明

放射能測定装置

【課題】角型の収納容器に収納された放射性廃棄物全体の放射能量を容易かつ精度良く測定すること。
【解決手段】収納容器100の相反する二面を除く四面にそれぞれ同じ距離で対向して放射能検出部2を配置した状態で、収納容器100の前記二面に直交する方向に収納容器100と各放射能検出部2とを相対的にスライド移動させるスライド移動部3と、収納容器100の前記四面のうちの相対する所定の二面に垂直な軸心で収納容器100を90度回転移動させる回転移動部4と、スライド移動部3のスライド移動、および回転移動部4の回転移動後でのスライド移動部3のスライド移動によって、収納容器100の各六面から放出される放射能量を各放射能検出部2から入力し、当該放射能量を平均して放射性廃棄物全体の放射能量を算出する放射能量算出部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器を破壊することなく、当該収納容器に収納された放射性廃棄物から放出される放射能量を測定する放射能測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射性廃棄物を収納容器に収納した状態で、収納容器を破壊することなく放射性廃棄物の放射能量を測定する装置として、特許文献1に記載の放射能測定装置(放射性廃棄物収納容器用放射能濃度測定装置)が知られている。この放射能測定装置は、垂直方向の視野を絞るコリメータを備えたGe検出器を、縦置きされた円筒型の収納容器(ドラム缶)の外側部に対し、相対的に回転かつ昇降可能に配置する。そして、収納容器を高さ方向に薄い仮想セグメントに分割し、収納容器内の放射性廃棄物の放射能量を測定する。
【0003】
近年、収納容器を大型化することにより輸送処分費の合理化を図ると共に、収納容器を角型として載置容積の合理化を図ることが検討されている。すなわち、円筒型の収納容器に代えて、それよりも大型で角型の収納容器の採用が検討されている。このため、上述した特許文献1に記載の放射能測定装置のように、検出器と収納容器との相対的な回転による測定では、検出器と収納容器との相対距離が変化することから、角型の収納容器に収納された放射性廃棄物の放射能量を精度良く測定することが困難となる。
【0004】
これに対し、特許文献2に記載の放射能測定装置(放射性物質の含有量測定方法および測定装置)は、NaI検出器とGe検出器とを、角型(直六面体)の収納容器の外側部に対し、相対的に水平方向に移動可能に配置し、かつNaI検出器およびGe検出器から外れた位置で収納容器を垂直な軸心で回転させる。そして、収納容器を水平方向に移動させることで角型の収納容器の一側面から収納容器に収納された放射性廃棄物の放射能量を測定し、かつ収納容器を回転させて角型の収納容器の他側面から収納容器に収納された放射性廃棄物の放射能量を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3225127号公報
【特許文献2】特許第3795041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の放射能測定装置は、角型の収納容器の外側部の四面からのみ放射能量を測定するものであり、かつ複数種の検出器を用いているため、放射性廃棄物全体の放射能量を得るにあたり複雑な計算を要している。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、角型の収納容器に収納された放射性廃棄物全体の放射能量を容易かつ精度良く測定することのできる放射能測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の放射能測定装置は、直六面体をなす収納容器に収納された放射性廃棄物の放射能量を測定する放射能測定装置であって、前記収納容器の相反する二面を除く四面にそれぞれ同じ距離で対向して放射能検出部を配置した状態で、前記収納容器の前記二面に直交する方向に前記収納容器と各前記放射能検出部とを相対的にスライド移動させるスライド移動部と、前記収納容器の前記四面のうちの相対する所定の二面に垂直な軸心で前記収納容器を90度回転移動させる回転移動部と、前記スライド移動部のスライド移動、および前記回転移動部の回転移動後での前記スライド移動部のスライド移動によって、前記収納容器の各六面から放出される放射能量を各前記放射能検出部から入力し、当該放射能量を平均して前記放射性廃棄物全体の放射能量を算出する放射能量算出部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この放射能測定装置によれば、直六面体をなす収納容器に収納された放射性廃棄物の放射能量を、収納容器の各面から測定するため、角型の収納容器に収納された放射性廃棄物全体の放射能量を精度良く測定することができる。しかも、この放射能測定装置によれば、収納容器の各面から測定した放射能量を平均して放射性廃棄物全体の放射能量を算出するため、放射性廃棄物全体の放射能量を容易に算出することができる。
【0010】
また、本発明の放射能測定装置は、前記放射能検出部に、前記収納容器に対向する視野を絞るコリメータを備えることを特徴とする。
【0011】
この放射能測定装置によれば、放射能検出部による放射能の検出範囲が絞られるので、当該放射能検出部が対向する収納容器の面から外部に放出される放射能を精度よく検出することができる。
【0012】
また、本発明の放射能測定装置は、前記放射能検出部を含み当該放射能検出部が前記収納容器の面に対向する範囲を覆い、装置外部から前記放射能検出部に至る放射線を遮蔽する検出部遮蔽部を備えることを特徴とする。
【0013】
この放射能測定装置によれば、検出部遮蔽部により装置外部から放射能検出部に至る放射線を遮蔽することで、装置外部からの放射能を放射能検出部で検出する事態を防ぐので、収納容器から外部に放出される放射能を精度よく検出することができる。
【0014】
また、本発明の放射能測定装置は、前記放射能検出部で放射能を検出する際の前記収納容器を覆い、装置外部から前記収納容器に至る放射線を遮蔽する収納容器遮蔽部を備えることを特徴とする。
【0015】
この放射能測定装置によれば、収納容器遮蔽部により装置外部から収納容器に至る放射線を遮蔽することで、装置外部から収納容器内に一旦至ってから収納容器の外部に放出される放射能を放射能検出部で検出する事態を防ぐので、収納容器から外部に放出される放射能を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、角型の収納容器に収納された放射性廃棄物全体の放射能量を容易かつ精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る放射能測定装置の斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるy方向視の断面図である。
【図3】図3は、図1におけるx方向視の断面図である。
【図4−1】図4−1は、本発明の実施の形態に係る放射能測定装置の動作図である。
【図4−2】図4−2は、本発明の実施の形態に係る放射能測定装置の動作図である。
【図4−3】図4−3は、本発明の実施の形態に係る放射能測定装置の動作図である。
【図4−4】図4−4は、本発明の実施の形態に係る放射能測定装置の動作図である。
【図4−5】図4−5は、本発明の実施の形態に係る放射能測定装置の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る放射能測定装置の斜視図であり、図2は、図1におけるy方向視の断面図であり、図3は、図1におけるx方向視の断面図である。なお、図に矢印で示すx方向、y方向およびz方向は、相互に90度で交差する方向であって、x方向は左右方向(水平方向)を示し、y方向は前後方向(水平方向)を示し、z方向は上下方向(鉛直方向)を示す。
【0020】
本実施の形態の放射能測定装置1は、収納容器100に収納された放射性廃棄物の放射能量を、収納容器100を破壊することなく測定するものである。収納容器100は、x方向、y方向およびz方向に垂直な面を有する鉄からなる直六面体をなすもので、例えば、x方向×y方向×z方向が160[cm]×160[cm]×160[cm]で、鉄からなる壁の厚さが15[cm]の正六面体をなしている。
【0021】
放射能測定装置1は、図1〜図3に示すように、放射能検出部2と、スライド移動部3と、回転移動部4と、放射能量算出部5とを備えている。
【0022】
放射能検出部2は、収納容器100を破壊することなくγ線を測定するものである。放射能検出部2は、収納容器100の相反する二面(y方向で相反する二面)を除くx方向およびz方向の四面に対し、それぞれ同じ距離(例えば、10[cm])で対向して配置されている。放射能検出部2は、図2に示すように、1つの面に対して2つの検出器2aを有している。具体的に、収納容器100のx方向の面に対向する放射能検出部2は、2つの検出器2aがz方向に並べて設けられている。また、収納容器100のz方向の面に対向する放射能検出部2は、2つの検出器2aがx方向に並べて設けられている。このため、4つの放射能検出部2は、図2に破線で示すように、それぞれ2つの検出器2aにより、x方向およびz方向で収納容器100の面をそれぞれ2分割し、y方向視で収納容器100の断面を4個の範囲に分割して放射能を検出する。さらに、放射能検出部2は、図3に破線で示すように、スライド移動部3による後述するスライド移動方向(y方向)で、収納容器100を4個の範囲に分割して放射能を検出する。この結果、4つの放射能検出部2は、それぞれ2つの検出器2aによって収納容器100の断面を計16分割して放射能を検出する。このように収納容器100の断面を複数に分割して放射能を検出するために、放射能検出部2は、収納容器100に対向する検出器2aの視野を絞るコリメータ2bを有している。なお、本実施の形態の放射能測定装置1は、放射能検出部2を収納容器100の底側(z方向の底側の面)に配置する領域を確保するためのフレーム1aを有している。
【0023】
また、放射能検出部2の検出器2aは、好ましくはGe検出器が用いられる。Ge検出器は、エネルギー分解能が高くピーク位置を特定しやすい特性を有する。なお、検出器2aは、Ge検出器に限定されるものではなく、例えば、NaI検出器やCdTe検出器が用いられてもよい。NaI検出器は、Ge検出器と比較してエネルギー分解能が劣るが、検出感度が高い特性を有する。また、CdTe検出器は、エネルギー分解能および検出感度が高い特性を有するが、素子が高価である。
【0024】
スライド移動部3は、上述した収納容器100の相反する二面(y方向で相反する二面)に直交する方向であるy方向に、収納容器100と各放射能検出部2とを相対的にスライド移動させるものである。本実施の形態でのスライド移動部3は、各放射能検出部2を不動として収納容器100をy方向にスライド移動させる。例えば、スライド移動部3は、図1に示すように収納容器100の底面を支持する態様でy方向に延在して設けられた一対のレール3aと、図には明示しないがレール3aの延在方向に沿って収納容器100を移動させる移動手段とを有している。
【0025】
回転移動部4は、収納容器100において放射能検出部2が対向する四面のうちの相反する二面(本実施の形態ではz方向で相反する二面)に垂直で鉛直な軸心で収納容器100を90度回転移動させるものである。本実施の形態での回転移動部4は、スライド移動部3による収納容器100のスライド移動の端部(レール3aの端部)に設けられ、z方向に沿う軸心で回転駆動される回転テーブル4aを有している。
【0026】
放射能量算出部5は、スライド移動部3のスライド移動、および回転移動部4の回転移動後でのスライド移動部3のスライド移動によって、収納容器100の各六面から放出されるγ線を各放射能検出部2から入力する。そして、放射能量算出部5は、入力したγ線量を平均し、当該γ線のCo−60およびCs−137の量を評価することにより、放射性廃棄物の総放射能量を算出する。
【0027】
また、本実施の形態の放射能測定装置1は、検出部遮蔽部6と収納容器遮蔽部7とを備えることが好ましい。
【0028】
検出部遮蔽部6は、放射能検出部2を含み当該放射能検出部2が収納容器100の面に対向する範囲を覆うものである。この検出部遮蔽部6は、例えば、鉛からなる3[cm]の厚さの鉛板により、放射能検出部2が収納容器100に対向する側のみが開放された矩形の箱体として構成され、その内部に放射能検出部2が配置されている。この構成により検出部遮蔽部6は、装置外部から放射能検出部2に至る放射線を遮蔽する。
【0029】
収納容器遮蔽部7は、放射能検出部2で放射能を検出する際の収納容器100を覆うものである。この収納容器遮蔽部7は、放射能検出部2で放射能を検出する際のスライド移動部3による収納容器100のスライド移動の範囲で、例えば、鉄からなる4[cm]の厚さの鉄板により、収納容器100のx方向およびz方向の四面を、所定の距離(例えば、10[cm])隔てて覆う矩形の箱体として構成されている。この構成により収納容器遮蔽部7は、放射能検出部2で放射能を検出するときに、装置外部から収納容器100に至る放射線を遮蔽する。また、収納容器遮蔽部7は、上述した検出部遮蔽部6を設けた部位では、放射能検出部2による放射能の検出を妨げないように収納容器100を覆わない構成である。また、収納容器遮蔽部7は、回転移動部4側ではないスライド移動部3のスライド移動方向(y方向)の端部から本装置に収納容器100を搬入する場合、y方向の両側が開放する筒体として構成されている。なお、収納容器遮蔽部7が、回転移動部4側から本装置に収納容器100を搬入する場合は、回転移動部4側ではないスライド移動部3のスライド移動方向(y方向)の端部が閉塞されていてもよい。
【0030】
本実施の形態の放射能測定装置1による放射能量の算出について説明する。図4−1〜図4−5は、本実施の形態に係る放射能測定装置の動作図である。先ず、放射能測定装置1は、図4−1〜図4−4に示すように、スライド移動部3によって収納容器100をy方向に沿ってスライド移動させる。上述したように、放射能検出部2は、スライド移動部3のスライド移動方向(y方向)で、収納容器100を4個の範囲に分割すると共に、y方向視の収納容器100の断面を4個の範囲に分割して放射能を検出する。このため、スライド移動部3は、図4−1〜図4−4に示すように、収納容器100をy方向に4段階で移動させる。
【0031】
次に、放射能測定装置1は、図4−5に示すように、スライド移動部3により収納容器100を回転移動部4の回転テーブル4aの位置に移動させる。そして、放射能測定装置1は、回転移動部4によってz方向に沿う軸心で収納容器100を90度回転させる。このため、収納容器100は、y方向に向いていた面がx方向に向き、x方向に向いていた面がy方向に向く。
【0032】
次に、放射能測定装置1は、図4−4〜図4−1の順で、先とは逆にスライド移動部3によって収納容器100をy方向に沿ってスライド移動させる。このため、先のスライド移動では放射能検出部2に対向していなかったy方向の面が、x方向に向いて放射能検出部2が対向し、当該面から新たに放射能が検出される。この結果、収納容器100の各六面から放出されるγ線が検出されることになる。放射能量算出部5は、この収納容器100の各六面から放出されるγ線を平均し、平均したγ線のCo−60およびCs−137の量を評価することにより、放射性廃棄物の総放射能量を算出する。
【0033】
このように、本実施の形態の放射能測定装置1は、収納容器100の相反する二面を除く四面にそれぞれ同じ距離で対向して放射能検出部2を配置した状態で、収納容器100の前記二面に直交する方向に収納容器100と各放射能検出部2とを相対的にスライド移動させるスライド移動部3と、収納容器100の前記四面のうちの相対する所定の二面に垂直な軸心で収納容器100を90度回転移動させる回転移動部4と、スライド移動部3のスライド移動、および回転移動部4の回転移動後でのスライド移動部3のスライド移動によって、収納容器100の各六面から放出される放射能量を各放射能検出部2から入力し、当該放射能量を平均して放射性廃棄物全体の放射能量を算出する放射能量算出部5とを備える。
【0034】
この放射能測定装置1によれば、直六面体をなす収納容器100に収納された放射性廃棄物の放射能量を、収納容器100の各面から測定するため、角型の収納容器に収納された放射性廃棄物全体の放射能量を精度良く測定することが可能である。しかも、この放射能測定装置1によれば、収納容器100の各面から測定した放射能量を平均して放射性廃棄物全体の放射能量を算出するため、放射性廃棄物全体の放射能量を容易に算出することが可能である。
【0035】
また、本実施の形態の放射能測定装置1は、放射能検出部2に、収納容器100に対向する視野を絞るコリメータ2bを備える。
【0036】
この放射能測定装置1によれば、放射能検出部2による放射能の検出範囲が絞られるので、当該放射能検出部2が対向する収納容器100の面の特定部位から外部に放出される放射能を精度よく検出することが可能である。
【0037】
また、本実施の形態の放射能測定装置1は、放射能検出部2を含み当該放射能検出部2が収納容器100の面に対向する範囲を覆い、装置外部から放射能検出部2に至る放射線を遮蔽する検出部遮蔽部6を備える。
【0038】
この放射能測定装置1によれば、検出部遮蔽部6により装置外部から放射能検出部2に至る放射線を遮蔽することで、装置外部からの放射能を放射能検出部2で検出する事態を防ぐので、収納容器100から外部に放出される放射能を精度よく検出することが可能である。
【0039】
また、本実施の形態の放射能測定装置1は、放射能検出部2で放射能を検出する際の収納容器100を覆い、装置外部から収納容器100に至る放射線を遮蔽する収納容器遮蔽部7を備える。
【0040】
この放射能測定装置1によれば、収納容器遮蔽部7により装置外部から収納容器100に至る放射線を遮蔽することで、装置外部から収納容器100内に一旦至ってから収納容器100の外部に放出される放射能を放射能検出部2で検出する事態を防ぐので、収納容器100から外部に放出される放射能を精度よく検出することが可能である。
【0041】
なお、上述した実施の形態では、スライド移動部3は、各放射能検出部2を不動として収納容器100をy方向にスライド移動させる構成として説明したが、この限りではない。図には明示しないが、例えば、スライド移動部3は、収納容器100を不動として放射能検出部2をy方向にスライド移動させる構成であってもよい。また、スライド移動部3は、収納容器100と放射能検出部2とをy方向の逆方向にスライド移動させる構成であってもよい。放射能検出部2をy方向にスライド移動させる場合であって、検出部遮蔽部6を備える場合、スライド移動部3は、放射能検出部2および検出部遮蔽部6を共にスライド移動させる。また、放射能検出部2をy方向にスライド移動させる場合であって、収納容器遮蔽部7を備える場合、スライド移動部3は、放射能検出部2および収納容器遮蔽部7を共にスライド移動させる。
【0042】
なお、上述した実施の形態では、スライド移動部3は、水平方向に放射能検出部2と収納容器100とを相対的にスライド移動させる構成とし、回転移動部4は、鉛直な軸心で収納容器100を回転移動させる構成として説明したが、この限りではない。図には明示しないが、例えば、スライド移動部3は、鉛直方向に放射能検出部2と収納容器100とを相対的にスライド移動させる構成とし、回転移動部4は、水平な軸心で収納容器100を回転移動させる構成としてもよい。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、正六面体の収納容器100を対象として説明したが、この限りではない。図には明示しないが、例えば、収納容器100が正六面体でなく、x方向、y方向およびz方向に垂直な面を有する直六面体であってもよい。ただし、長方形の面を有する直六面体であると、回転移動部4により収納容器100を回転させる前と回転させた後で、放射能検出部2と収納容器100との距離が均等でなかったり、収納容器100の面を適宜分割して放射能を検出する位置に放射能検出部2が配置されなかったりする場合がある。このため、放射能検出部2をx方向およびz方向(スライド移動する方向に直交する方向)に移動可能にする検出部移動部を備えるとよい。検出部移動部を備えることで、回転移動部4により収納容器100を回転させる前と回転させた後で、収納容器100の面に対して適した距離であって、かつ適した位置に放射能検出部2を配置することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係る放射能測定装置は、角型の収納容器に収納された放射性廃棄物全体の放射能量を容易かつ精度良く測定することに適している。
【符号の説明】
【0045】
1 放射能測定装置
1a フレーム
2 放射能検出部
2a 検出器
2b コリメータ
3 スライド移動部
3a レール
4 回転移動部
4a 回転テーブル
5 放射能量算出部
6 検出部遮蔽部
7 収納容器遮蔽部
100 収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直六面体をなす収納容器に収納された放射性廃棄物の放射能量を測定する放射能測定装置であって、
前記収納容器の相反する二面を除く四面にそれぞれ同じ距離で対向して放射能検出部を配置した状態で、前記収納容器の前記二面に直交する方向に前記収納容器と各前記放射能検出部とを相対的にスライド移動させるスライド移動部と、
前記収納容器の前記四面のうちの相対する所定の二面に垂直な軸心で前記収納容器を90度回転移動させる回転移動部と、
前記スライド移動部のスライド移動、および前記回転移動部の回転移動後での前記スライド移動部のスライド移動によって、前記収納容器の各六面から放出される放射能量を各前記放射能検出部から入力し、当該放射能量を平均して前記放射性廃棄物全体の放射能量を算出する放射能量算出部と、
を備えることを特徴とする放射能測定装置。
【請求項2】
前記放射能検出部に、前記収納容器に対向する視野を絞るコリメータを備えることを特徴とする請求項1に記載の放射能測定装置。
【請求項3】
前記放射能検出部を含み当該放射能検出部が前記収納容器の面に対向する範囲を覆い、装置外部から前記放射能検出部に至る放射線を遮蔽する検出部遮蔽部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の放射能測定装置。
【請求項4】
前記放射能検出部で放射能を検出する際の前記収納容器を覆い、装置外部から前記収納容器に至る放射線を遮蔽する収納容器遮蔽部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放射能測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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