説明

放射能3次元測定装置、放射線取扱作業管理システムおよび放射線取扱作業管理方法

【課題】放射線取扱作業環境の正確な放射能分布を測定できる放射能3次元測定装置を提供する。
【解決手段】実施形態の放射能3次元測定装置12は、複数の構造物ごとに構造情報を格納する構造DB8と、構造物の2次元可視画像を撮影する可視カメラ1と、撮影方向から入射する放射線強度分布を測定するガンマカメラ2と、撮影位置記憶部3と、複数の可視画像から構造物の形状および位置を算出する構造3次元化部4と、複数の可視画像とガンマカメラ画像とを構造物の形状表面の位置での放射線強度に換算する表面放射線分布換算部5と、構造物の形状表面での放射線強度とガンマカメラ2で測定された放射線分布とを比較して同一表面の位置において放射線強度が異なる部位を抽出する表面放射線分布差異部位抽出部6と、抽出された部位について放射線発生位置を推定して放射能量に換算する放射能推定部7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射能3次元測定装置、放射線取扱作業管理システムおよび放射線取扱作業管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントの解体時には、機器内部に残存する放射能を評価し、その線量に応じて解体計画を作成する。そのために、測定装置、測定システムにより、事前に放射線センサで機器表面の線量を測定するなどし、建屋表面や機器表面・内部の放射能量を推定している。
【0003】
なお、あらかじめ放射線源の位置を評価して、解体計画時の被ばく予測を行い、建屋などのCAD(Computer Aided Design)情報に、放射線源情報なども組み込み、その線源や機器配置データ、移動データなどをもとに、作業時の周辺の放射線分布をシミュレーション評価し、作業者にその分布を提示すること等が開示されている。
【0004】
また、作業時にその場に線量計を設置し、リアルタイムに作業に伴う線量変化をモニタリングし、作業場所周辺に複数の線量測定装置を設置し、その測定装置の位置および線量データを無線で伝送し、周辺の構造物情報も加味して、作業場所の放射線分布を可視化すること等が開示されている。
【0005】
また、測定位置での放射線入射分布をガンマカメラとよばれる装置で測定し、さらに、可視カメラの立体視から距離を割り出し、対象物位置での放射能分布を求めること等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−49148号公報
【特許文献2】特開2008−26185号公報
【特許文献3】米国特許第6782123号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した放射能測定装置等は、例えばγ(ガンマ)カメラと呼ばれる装置を用いて、γカメラのおかれている位置に飛来してくる放射線の入射方向を特定し、その方向から測定対象の構造物表面の放射能分布を算出している。しかし、測定対象の構造物の内部に放射線源が内在するか、または、構造物の表面に付着しているものか判別することが困難であった。
【0008】
したがって、上述した放射能測定装置等では、放射線取扱作業管理を行う場合に、配管などの構造物の内部に放射線源が内在するか、表面に付着しているか等を判別して測定することができないため、放射線取扱作業エリア内での、作業者などの正確な被ばく線量を予測することが困難であった。
【0009】
また、構造物の間の空気中に飛散した、ガス状のラドンや空気中のエアロゾルに付着した放射能によって被ばくする場合があり、それらの寄与を正確に把握することが困難であった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、放射線取扱作業環境の正確な放射能分布を測定できる放射能3次元測定装置を提供することである。
【0011】
また、本発明が解決しようとする課題は、放射線取扱作業環境における作業者の放射線被ばく量を正確に予測できる放射線取扱作業管理システムおよび放射線取扱作業管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、実施形態の放射能3次元測定装置は、測定対象となる複数の構造物ごとに、設置位置および形状を含む3次元データと、材料とを含む構造情報を格納する構造データベースと、測定対象となる前記構造物の2次元の可視画像を撮影する可視カメラと、前記可視カメラの画角の範囲に含まれるように配置されて、前記可視カメラの撮影方向と同方向から入射する放射線強度分布を測定して放射線画像を撮影する放射線カメラと、撮影した前記可視画像および前記放射線画像の各々に識別子を付与して、前記識別子ごとに、撮影位置、撮影方向を含む撮影情報を記憶する撮影位置記憶部と、前記可視カメラにより撮影された複数の前記可視画像から前記構造物の形状および位置を算出する構造3次元化部と、複数の前記可視画像の中でこれとともに同時に撮影された前記放射線画像を、前記構造3次元化部で算出した前記構造物の形状における表面の位置での放射線強度に換算する表面放射線分布換算部と、前記表面放射線分布換算部により換算された前記構造物の形状における表面の放射線強度と、前記放射線カメラで測定された前記放射線分布とを比較して、前記構造物についての比較した同一表面の位置において放射線強度が異なる部位を抽出する表面放射線分布差異部位抽出部と、前記表面放射線分布差異部位抽出部により抽出された前記部位について、前記撮影位置記憶部に記憶された前記撮影情報と、前記構造データベースに格納された構造物情報とから、放射線発生位置を推定して放射能量に換算する放射能推定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するために、実施形態の放射線取扱作業管理システムは、構造データベースと、放射能3次元測定装置と、放射線取扱作業管理装置とを有し、複数の構造物を含む作業エリア内の被ばく線量を予測する放射線取扱作業管理システムである。当該放射線取扱作業管理システムにおいて、前記構造データベースは、測定対象となる前記複数の構造物ごとに、設置位置および形状を含む3次元データと、材料とを含む構造情報を格納し、前記放射能3次元測定装置は、前記測定対象となる前記構造物の2次元の可視画像を撮影する可視カメラと、前記可視カメラの画角の範囲に含まれるように配置されて、前記可視カメラの撮影方向と同方向から入射する放射線強度分布を測定して放射線画像を撮影する放射線カメラと、撮影した前記可視画像および前記放射線画像の各々に識別子を付与して、前記識別子ごとに、撮影位置、撮影方向を含む撮影情報を記憶する撮影位置記憶部と、前記可視カメラにより撮影された複数の前記可視画像から前記構造物の形状および位置を算出する構造3次元化部と、複数の前記可視画像の中でこれとともに同時に撮影された前記放射線画像を、前記構造3次元化部で算出した前記構造物の形状における表面の位置での放射線強度に換算する表面放射線分布換算部と、前記表面放射線分布換算部により換算された前記構造物の形状における表面の放射線強度と、前記放射線カメラで測定された前記放射線分布とを比較して、前記構造物について比較した同一表面の位置において放射線強度が異なる部位を抽出する表面放射線分布差異部位抽出部と、前記表面放射線分布差異部位抽出部により抽出された前記部位について、前記撮影位置記憶部に記憶された前記撮影情報と、前記構造データベースに格納された構造物情報とから、放射線発生位置を推定して放射能量に換算する放射能推定部と、を備え、前記放射線取扱作業管理装置は、作業管理するエリア内の作業位置、作業時間を含む作業情報を入力する作業条件入力部と、前記放射能3次元測定装置により測定された複数の前記構造物の放射能分布データを格納する放射能分布データベースと、複数の前記構造物の中から前記作業条件入力部から入力された前記作業情報に基づいて前記放射能分布データを抽出し、抽出した前記放射能分布データに基づいて前記作業エリア内における被ばく線量を算出する被ばく線量解析部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するために、実施形態の放射線取扱作業管理方法は、測定対象となる複数の構造物ごとに、設置位置および形状を含む3次元データと、材料とを含む構造情報を格納する構造データベースと、放射能3次元測定装置と、放射線取扱作業管理装置とを有し、複数の構造物を含む作業エリア内の被ばく線量を予測する放射線取扱作業管理システムにおける放射線取扱作業管理方法である。当該放射線取扱作業管理方法において、前記放射能3次元測定装置の可視カメラが、測定対象となる前記構造物の2次元の可視画像を撮影する可視画像撮影処理ステップと、前記可視カメラの画角の範囲に含まれるように配置された前記放射能3次元測定装置の放射線カメラが、前記可視カメラの撮影方向と同方向から入射する放射線強度分布を測定して放射線画像を撮影する放射線画像撮影処理ステップと、前記放射能3次元測定装置が、撮影した前記可視画像および前記放射線画像の各々に識別子を付与して、前記識別子ごとに、撮影位置、撮影方向を含む撮影情報を撮影位置記憶部に記憶する撮影位置記憶処理ステップと、前記放射能3次元測定装置が、前記可視カメラにより撮影された複数の前記可視画像から前記構造物の形状および位置を算出する構造3次元化処理ステップと、前記放射能3次元測定装置が、複数の前記可視画像の中でこれとともに前記放射線画像撮影処理ステップにより同時に撮影された前記放射線画像を、前記構造3次元化処理ステップにより算出された前記構造物の形状における表面の位置での放射線強度に換算する表面放射線分布換算処理ステップと、前記放射能3次元測定装置が、前記表面放射線分布換算処理ステップにより換算された前記構造物の形状における表面の放射線強度と、前記放射線カメラで測定された前記放射線分布とを比較して、前記構造物の比較した同一表面の位置において放射線強度が異なる部位を抽出する表面放射線分布差異部位抽出処理ステップと、前記放射能3次元測定装置が、前記表面放射線分布差異部位抽出処理ステップにより抽出された前記部位について、前記撮影位置記憶部に記憶された前記撮影情報と、前記構造データベースに格納された構造物情報とから、放射線発生位置を推定して放射能量に換算する放射能推定処理ステップと、前記放射線取扱作業管理装置が、作業管理するエリア内の作業位置、作業時間を含む作業情報の入力を受ける作業条件入力処理ステップと、前記放射線取扱作業管理装置が、前記放射能3次元測定装置により測定された複数の前記構造物の放射能分布データを放射能分布データベースに格納する放射能分布データ格納処理ステップと、前記放射線取扱作業管理装置が、前記作業条件入力処理ステップにより複数の前記構造物の中から入力された前記作業情報に基づいて前記放射能分布データベースから前記放射能分布データを抽出し、抽出した前記放射能分布データに基づいて前記作業エリア内における被ばく線量を算出する被ばく線量解析処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る放射能3次元測定装置の実施形態によれば、放射線取扱作業環境の正確な放射能分布を測定できる。
【0016】
また、本発明に係る放射線取扱作業管理システムおよび放射線取扱作業管理方法の実施形態によれば、放射線取扱作業環境における作業者の放射線被ばく量を正確に予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る放射能3次元測定装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】図1に示す構造DB(データベース)の一例を示す図。
【図3】第1の実施形態の放射能3次元測定装置による構造物の測定の模式図。
【図4】可視画像とガンマカメラ画像とを重ね合わせた画像を示す一例の図。
【図5】放射線源の推定位置を示す模式図。
【図6】放射線源の推定位置を示す模式図。
【図7】第1の実施形態の放射能3次元測定装置の測定処理フローを示すフロー図。
【図8】第1の実施形態の放射能3次元測定装置の測定処理フローであって、図7のフローに続くフローを示すフロー図。
【図9】本発明に係る放射能3次元測定装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図。
【図10】第2の実施形態の放射能3次元測定装置による空気中の放射能量の測定方法を示す図。
【図11】放射線強度の距離との関係の一例を示す図。
【図12】本発明に係る放射線取扱作業管理システムの実施形態の構成を示すブロック図。
【図13】実施形態の放射線取扱作業管理システムの全体の処理フローを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態の放射能3次元測定装置および放射線取扱作業管理システムについて、図面を参照して具体的に説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。ここで説明する下記の実施形態はいずれも、原子炉設備における放射能3次元測定装置および放射線取扱作業管理システムの一例をとりあげて説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る放射能3次元測定装置の第1の実施形態の構成図である。図2は、図1に示す構造DB(データベース)の一例を示す図である。以下、本発明に係る放射能3次元測定装置の第1の実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0020】
放射能3次元測定装置12(12a)は、図1に示すように、可視カメラ1(1a)、ガンマカメラ2(2a)、信号処理装置11(11a)および構造DB(データベース)8を備えている。さらに、信号処理装置11は、撮影位置決定部31、撮影位置記憶部3、構造3次元化部4、表面放射線分布換算部5、表面放射線分布差異部位抽出部6および放射能推定部7を備えている。なお、図1に示す1a、2a、11a、12aの符号は、1、2、11、12と同様な部であり、後述する図3ないし図6に示す位置aにおける放射能3次元測定装置12を放射能3次元測定装置12aのように表している。同様に、1bおよび1c、2bおよび2c、11bおよび11c、12bおよび12cの符号についても同様である。
【0021】
可視カメラ1は、2次元の可視画像を測定する。可視カメラ1は、被撮影対象の複数の2次元の可視画像から立体的形状の構成を生成することができる。
【0022】
ガンマカメラ2は、可視画像カメラ1と同方向から入射する放射線強度分布を測定する。ガンマカメラ2は、可視カメラ1の撮影範囲に、ガンマカメラ2の撮影範囲が収まるような位置関係に取り付けられる。ガンマカメラ2は放射線の入射方向を定めるピンホール等が設けられたコリメータを有し、そのコリメータを通過して入射したγ線はガンマカメラ2が有するγ線検出器で検出される。
【0023】
撮影位置決定部31は、撮影ID(識別子)ごとに、撮影位置、撮影方向を決定する。一つの構造物に対する撮影位置の基準点は、はじめに、放射能3次元測定装置12の外部から入力される。これを受けた撮影位置決定部31は、この撮影位置の基準となる撮影情報を撮影位置記憶部3に記憶させる。なお、基準点以降の撮影位置の決定に伴う撮影情報の取得は、例えばガンマカメラ2が有する光ジャイロ機能により、相対的な移動位置が求められて、各撮影情報に反映される。なお、撮影位置決定部31が、光ジャイロ機能を有してもよい。
【0024】
撮影位置記憶部3は、これらの撮影位置と撮影方向(角度)とを含む撮影情報を記憶する。
【0025】
構造3次元化部4は、ガンマカメラ2によって測定した放射線強度分布と撮影位置記憶部3に記憶したデータをもとに対象の構造物の3次元構造を推定する。
【0026】
表面放射線分布換算部5は、ガンマカメラ2の測定結果を構造3次元化部4で算出した構造表面の位置での放射線強度(表面放射線分布)に換算する。
【0027】
表面放射線分布差異部位抽出部6は、表面放射線分布換算部5による複数位置での表面放射線分布を比較し、所定レベル以上の放射線強度差のある部位を抽出する。
【0028】
構造DB(データベース)8は、例えば構造物ID(識別番号)ごとに、測定対象となるエリア内の構造物についての構造物情報を格納する。構造物情報は、構造物の設置位置および形状を含む3次元データと、構造物の種類、材料・材質などを含む。
【0029】
図2に構造DB8の一例を示す。構造DB8は、図2に示すように、構造物ID(図2には「ID」と記す)ごとに、「設置位置」、「機器/構造材種類」、「用途/配管」、「材料・材質」、「汚染量/放射化量レベル」などのテーブルにより構成されている。なお、「汚染量/放射化量レベル」は、対象IDの構造物が放射能により汚染された場合に、その放射線量を示すものである。
【0030】
例えば、図2において、「ID:1」の構造物には、「設置位置:建屋A−エリアA2」、「機器/構造材種類:配管A」、「用途/配管:系統A」、「材料・材質:ステンレス」、「汚染量/放射化量レベル:XXX」が格納されている。なお、「設置位置:建屋A−エリアA2」には、例えば予め定めた基準位置に対する3次元の位置データが格納される。その他の「ID」の構造物にも、図2に示すように、同様に構造物情報が格納されている。
【0031】
図1に示す構成例では、放射能3次元測定装置12が構造DB8を備える構成としたが、構造DB8は放射能3次元測定装置12が備えなくともよい。その場合には、有線または無線LAN(Local Area Network)などを介して、放射能3次元測定装置12が外部に備えられた構造DB8をアクセスする構成であってもよい。
【0032】
放射能推定部7は、差異の抽出された部位について撮影位置記憶部3と構造3次元化部4および構造DB8の情報から放射線発生位置を推定する。さらに、放射能推定部7は、放射線発生位置にある放射線源を推定する。このために、放射能推定部7は、内部放射線計算部71、透過放射線計算部72および放射能位置収束部73を備えている。
【0033】
内部放射線計算部71は、差異の抽出された部位において、線源候補位置を、構造物の内部構造、周辺機器配置(隣接または周辺の構造物)などに基づいて推定する。
【0034】
具体的には、内部放射線計算部71は、抽出された部位について、撮影位置記憶部3から撮影情報と、構造3次元化部4により算出された構造物の形状および位置と、構造DB8の構造物情報とから、構造物の内部に放射能が含有している場合の構造物での線量を計算する。
【0035】
透過放射線計算部72は、推定されたすべての線源候補位置において、ガンマカメラ2の各位置に対する透過線強度を算出する。さらに、透過放射線計算部72は、各ガンマカメラ画像から求められた表面位置での放射線強度分布(表面放射線強度分布)について、構造物表面の同一位置での差異を算出する。
【0036】
放射能位置収束部73は、構造物表面の同一位置での表面放射線強度分布の差異について、最も差異の少ない線源候補位置を決定する。放射能位置収束部73は、差異が所定の値以上か否か判断し、線源候補位置における放射能量を、ガンマカメラ換算値と構造物遮蔽率とから推定する。
【0037】
以下、図1に示す放射能3次元測定装置12の動作について、図1ないし図8を参照しながら説明する。
【0038】
図3は、放射能3次元測定装置を配管9の周りで測定した場合の模式図である。なお、図3において、内部が空洞である配管9の長手方向に垂直な横断面を示している。
【0039】
図3において、配管9の内部には放射線源10が置かれている。放射能3次元測定装置12は、対象構造物(配管9)の周辺を移動しながら、それぞれ2次元の可視画像を測定するとともに同方向から入射する放射線強度分布を測定する。
【0040】
例えば、図3では、放射能3次元測定装置12aが移動する位置に応じて数回測定が行われたとする。その数回の測定の中で位置aでの測定、同じく位置bおよび位置cでの測定を示し、位置aにおける放射能3次元測定装置12a、位置bにおける放射能3次元測定装置12b、および位置cにおける放射能3次元測定装置12cのように区別して示す。同様に、可視カメラ1a、1bおよび1c(1a〜1c)、ガンマカメラ2a、2bおよび2c(2a〜2c)、信号処理装置11a、11bおよぶ11c(11a〜11c)についても同様とする。
【0041】
図3において、可視カメラ1a、1bおよび1cから引き出されている破線は、各カメラの撮影範囲(画角)を示している。ガンマカメラ2a〜2cは、可視カメラ1a〜1cと同方向から入射する放射線強度分布を測定する。ここで、同方向とは、例えば可視カメラ1aの撮影範囲に、ガンマカメラ2aの撮影範囲が収まる方向である。
【0042】
以下、放射能3次元測定装置12a〜12cの測定時における撮影について、図3を参照しながら説明する。
【0043】
測定のはじめに、配管9の周りでの撮影位置の開始位置を決定する。図3では、まず、最初に位置aを撮影場所とする。この位置aにおいて、可視カメラ1aにより、配管9の可視画像が撮影される。これと同時に、ガンマカメラ2aにより、配管9のガンマカメラ画像が撮影される。
【0044】
この撮影に際して、撮影位置決定部31によりその撮影方向・撮影位置が取得されて、撮影位置記憶部3にて記録される。このように位置aで撮影された可視画像とガンマカメラ画像は、同時に同じ方向を撮影しているため、あらかじめ各カメラの画角を調整しておくことで、表面放射線分布換算部5により可視画像の各画素とガンマカメラ画像の各画素を対応づけて重ね合わせて表示することができる。
【0045】
次に、放射能3次元測定装置12aは位置aから位置bに撮影場所を移動される。位置bにおいて、放射能3次元測定装置12bは、位置aと同様の撮影および記録を行う。さらに、放射能3次元測定装置12cは、位置cで、同様の撮影および記録を行う。このように、対象構造物の周りの複数の箇所で、撮影および記録が行われる。
【0046】
図4は、位置a、bおよびcで撮影した、可視画像とガンマカメラ画像の重ね合わせ後の画像Pa、PbおよびPcをそれぞれ示している。
【0047】
位置aでは、図3に示すように、ガンマカメラ2aの画角のほぼ中央に放射線源10に位置することから、撮影画像は、図4の画像Paに示すように、画像Paのほぼ中央に第1擬似放射線源10aからの放射線強度を示す濃淡で表示されている。なお、画像Paにおける第1擬似放射線源10aは、位置aの撮影により実際の放射線源10が撮影されたものであり、これは放射線源10からの放射線が配管9を透過することにより、撮影されるものである。
【0048】
位置bでは、図3に示すように、放射線源10が可視カメラ1bおよびガンマカメラ2bの画角内に含まれないため、図4の画像Pbに示すように、放射線源は撮影されない。
【0049】
一方、位置cでは、図4の画像Pcに示すように、撮影画像は図示の左側に第2擬似放射線源10cからの放射線強度を示す濃淡で表示されている。第2擬似放射線源10cは、位置cの撮影により実際の放射線源10が撮影されたものであり、これは放射線源10からの放射線が配管9を透過することにより、撮影されるものである。
【0050】
これらの画像Pa、PbおよびPcは、図4において、放射線源に相当する部分以外が白抜きで示されているが、実際には撮影光により、例えば明暗や配管表面の汚れなども撮影されてそれらの濃淡も表示される。また、一般に、可視画像用の可視カメラの画素数は、ガンマカメラの画素数よりも1桁以上多いため、可視画像にガンマカメラ画像を重ね合わせる場合に、放射能3次元測定装置12においては、ガンマカメラ2の画素に対して、ガンマカメラ2の撮影範囲を含む可視カメラ1の画素を割り当て、画像の重ね合わせを行う。
【0051】
次に、第1の実施形態の放射能3次元測定装置が、実際の放射線源の位置を推定する動作について説明する。
【0052】
一般に、異なる位置から撮影した可視画像により撮影された構造物を3次元立体構造として構成する技術は、周知である。構造3次元化部4は、このような周知な技術を用い、さらに、前述した図1に示すように、可視カメラ1による複数位置で撮影した撮影画像と、撮影位置記憶部3に記憶されたそれぞれ位置での撮影位置・撮影方向を含む撮影情報を用いて、撮影対象の構造物の3D(3次元)構造を算出する。この場合、算出される3D構造は、構造物の表面形状である。
【0053】
ここで、構造3次元化部4において、複数の可視画像を用いて構造の表面形状を算出する際に、可視画像の各画素に、予めガンマカメラ2の画素毎のガンマ線強度を割り付ける。そして、表面放射線分布換算部5が、この割り付けにより、ガンマカメラ画像ごとに、3D形状表面位置でのガンマ線強度分布を換算する。
【0054】
なお、構造3次元化部4が、各撮影位置におけるガンマカメラ2の測定結果を、構造物(配管9)とガンマカメラ2の間の距離を求めて、その距離を補正する。また、構造3次元化部4が、ガンマ線強度の入射方向についても、配管9とガンマカメラ2の位置関係から補正する。これによって、表面放射線分布換算部5は、補正された距離および方向に基づいて、構造物(配管9)の表面でのガンマ線強度分布に換算することができる。
【0055】
図5に、図4に示す重ね合わせ画像から放射線源が推定される位置を示す。図5に示す第1擬似放射線源10aは、図4に示す画像Paに示されたものに対応し、同じく図5に示す第2擬似放射線源10cは、図4に示す画像Pcに示されたものに対応する。以下、図4および図5を参照しながら、実際の放射線源10の位置を推定する動作について説明する。
【0056】
放射能推定部7は、図5に示すように、放射線源の位置を、ガンマカメラ2aおよび可視カメラ1aの画像Paから、実際の放射線源10の位置(3次元)もしくは第1擬似放射線源10aの位置と換算する。また、放射能推定部7は、放射線源の位置を、ガンマカメラ2cおよび可視カメラ1cの画像Pcから、実際の放射線源10の位置もしくは第2擬似放射線源10cの位置にあると換算する。
【0057】
しかし、このように求めた構造物の表面での放射線源は、実際は図2に示すとおり、ガンマ線は構造物を透過してくることから、放射線源が構造物の内部に存在する場合などには、従来技術では実際の線源(放射線源)配置が特定できない場合がある。
【0058】
そこで、第1の実施形態では、実際の線源配置(例えば図5に示す放射線源10)に絞り込むために、放射能3次元測定装置12において、さらに、以下のような処理が実施される。
【0059】
はじめに、第1の処理手段として、表面放射線分布差異部位抽出部6が用いられる。
【0060】
前述したとおり、表面放射線分布換算部5にて、可視カメラ1aの可視画像から求めた3次元表面形状の表面に、ガンマカメラ画像ごとに、放射線強度分布が割り付けられる。すなわち、重ね合わせ画像が生成される。
【0061】
例えば、図5に示すように、第1擬似放射線源10aが存在する場合に、この第1擬似放射線源10aが実際の放射線源であるとすると、ガンマカメラ2bで撮影されたガンマカメラ画像の重ね合わせ画像Pb(図4に示す)についても同じ位置に放射線源が撮影されている必要がある。すなわち、これら各ガンマカメラ画像の重ね合わせ画像を比較して、その差異を抽出することで、実際の放射線源位置を絞る(推定する)ことが可能となる。
【0062】
以上説明したように、表面放射線分布換算部5によって推定された、各ガンマカメラ画像から求めた表面位置での放射線強度分布について、構造物表面の同一位置で差異のあるものを、表面放射線分布差異部位抽出部6により抽出する。また、表面放射線分布差異部位抽出部6は、抽出したガンマカメラ画像の放射線強度分布からガンマカメラ撮影位置による構造物表面での放射線強度の差異の有無を判定する。
【0063】
表面放射線分布差異部位抽出部6において、差異のある部位が抽出されない場合、放射能推定部7は、対象構造物とガンマカメラ2の距離およびガンマカメラ2の画角より、構造物表面での放射能量に換算する。
【0064】
また、放射能推定部7は、構造物の表面が汚染されている場合に、測定対象に応じて、構造DB8から一定の放射能への換算係数を抽出し、それを乗ずることで放射能量に換算することができる。なお、これらの換算係数のもととなるデータは、構造DB8に含まれる。例えば、図2に示す構造DB8の汚染量/放射化量レベルである。
【0065】
一方、差異のある部位が抽出された場合、第2の手段として、放射能推定部7の内部放射線計算部71が用いられる。図1に示す内部放射線計算部71は、構造DB8から対象構造物の内部構造を取得し、放射線の構造物内での直線性などに応じて、線源候補位置を選定する。
【0066】
例えば、図6は、図5に示す配管9に加えて隣接配管9aが配置されている場合を示す。図6に示す配管9および配管9aは、構造DB8から配管9について配管内径等を取得することができるものとする。これによって、内部放射線計算部71は、配管9の内部の第3擬似放射線源10aa、および、配管9の外部の第4擬似放射線源10abを、線源候補位置として選定することができる。
【0067】
ここで、第3擬似放射線源10aaはガンマカメラ2bの画像Pbと一致しない。また、第2擬似放射線源10cについても、配管9をガンマ線が透過すると仮定した場合、ガンマカメラ2aの撮影位置が中央からはずれ、差異が生じる。
【0068】
一方、第4擬似放射線源10abについては、図6に示す3箇所の位置での撮影では、位置の判定は困難であるが、配管9の表面全面をガンマカメラ2でさらに複数回測定することで、これら位置の放射線源の有無の判定は容易となる。
【0069】
以上により、放射能推定部7は、これらの線源候補位置の中から、実際の放射線源10の位置を選定することができる。
【0070】
なお、例えば、線源候補位置としては、図6において隣接する配管9aが存在する場合には、配管9aの表面に位置する第2放射線源10acなども推定される。この場合には、隣接する配管9aの設置位置も構造DB8に格納されているため、図1に示す透過放射線計算部72が、その隣接の配管9aから配管9を透過する放射線量を算出する。
【0071】
以上説明したように、放射能推定部7では、構造物内部の線源候補位置、および、隣接する構造物での放射線源による影響を、内部放射線計算部71および透過放射線計算部72により推定することができる。これにより、各々による放射線のガンマカメラ画像への寄与を計算することができる。
【0072】
具体的な手法としては、線源候補位置によってガンマカメラ2で撮影されるガンマカメラ画像を計算評価し、実際の測定結果とのガンマ線強度のピーク位置や強度の差異をパラメータとして数値化する。図1に示す放射能位置収束部73は、このような数値化データに基づいて、各線源候補位置での差異(数値化データ)の割合を比較し、最も確からしい放射線源位置を決定することができる。
【0073】
これによって、第1の実施形態の放射能3次元測定装置12は、ガンマカメラ2で測定された放射線強度を、放射線源までの距離およびその間の構造物による遮蔽を考慮することができ、構造物内にある内在放射能量を推定することができる。
【0074】
図7および図8は、第1の実施形態の放射能3次元測定装置12の測定処理フローを示すフロー図である。以下に、図1を参照しながら、図7および図8の処理内容について説明する。
【0075】
信号処理装置11の測定処理が開始されると、はじめに、対象構造物(配管9)の周辺の位置からの撮影位置を決定する(ステップS1)。
【0076】
可視カメラ1およびガンマカメラ2における撮影位置の決定後に、配管9の周辺の位置から可視カメラ1により可視画像が撮影される(ステップS2)。これとともに、その位置からガンマカメラ2にてガンマカメラ画像が撮影される(ステップS3)。
【0077】
信号処理装置11の撮影位置記憶部3には、この位置における撮影方向・撮影場所などを含む撮影情報が可視画像およびガンマカメラ画像と関連付けられて記録される(ステップS4)。
【0078】
構造3次元化部4は、可視カメラ1により撮影された可視画像に、ガンマカメラ2により撮影されたガンマカメラ画像を重ね合せる(ステップS5)。例えば、図3に示すように位置a〜cでの撮影された画像が重ね合わされて、画像Pa〜Pcが生成される。
【0079】
撮影位置決定部31は、複数位置での撮影終了か否か判断する(ステップS6)。複数の撮影位置での撮影が行われていない場合に(ステップS6 No)、撮影位置決定部31は、ステップS1処理を戻す。例えば、図3に示すように、位置b、次に位置cのように、作業者からの撮影位置決定部31に入力される指示に従って、順にこれらの撮影位置ごとに、ステップS2ないしS5に示す処理が実施される。
【0080】
それ以外の場合には(ステップS6 Yes)、次のステップS7へ処理を進める。
【0081】
構造3次元化部4は、3D(3次元)可視画像情報から対象物の3次元構造(表面の形状)を構成する(ステップS7)。
【0082】
表面放射線分布換算部5は、可視画像にマッピングされたガンマカメラ画像データをもとに、構造物表面での放射線強度分布を算出する(ステップS8)。
【0083】
表面放射線分布差異部位抽出部6は、同一の構造物の表面において、異なるガンマカメラ画像から推定した放射線強度分布を取得する(ステップS9)。
【0084】
表面放射線分布差異部位抽出部6は、差異を有する部位を抽出する(ステップS10)。
【0085】
表面放射線分布差異部位抽出部6は、抽出した部位について差異の程度を判断する(ステップS11)。
【0086】
差異部が有る場合には、放射能推定部7の内部放射線計算部71は、構造DB8を用いて構造物(配管9)の内部構造を決定する(ステップS12)。
【0087】
内部放射線計算部71は、抽出された部位について、線源候補位置を、構造物の内部構造、周辺機器配置(隣接する構造物)などに基づいて選定する(ステップS13)。
【0088】
次に、透過放射線計算部72は、推定されたすべての線源候補位置において、各ガンマカメラ位置に対する透過線強度を算出する(ステップS14)。
【0089】
透過放射線計算部72は、各ガンマカメラ画像から求められた表面位置での放射線強度分布(表面放射線強度分布)について、構造物表面の同一位置での差異を算出する(ステップS15)。
【0090】
次に、放射能位置収束部73は、最も差異の少ない線源候補位置を決定(絞り込む)する(ステップS16)。すなわち、線源位置が決定される。
【0091】
放射能位置収束部73は、差異(数値化データ)が所定の値以上か否か判断する(ステップS17)。
【0092】
差異が所定の値より小さい場合、放射能推定部7は、線源位置における放射能量を、ガンマカメラ換算値と構造物遮蔽率とから推定する(ステップS18)。
【0093】
放射能推定部7は、構造物内の表面汚染または体積線源と仮定し、ガンマカメラ2からの距離に基づいて、内在放射能量を推定する(ステップS19)。
【0094】
放射能推定部7は、推定した内在放射能量を表示する(ステップS20)。ステップS20の後に、放射能3次元測定装置12は本処理を終了する。
【0095】
一方、ステップS11において差異部がない場合には、放射能推定部7は、表面汚染または体積線源と仮定して、ガンマカメラ2からの距離に基づいて、内在放射能量を推定する(ステップS111)。放射能推定部7は、処理をステップS20へ移す。
【0096】
ステップS17において、差異が所定の値以上である場合には、ステップS171に処理を進める。放射能推定部7は、すべての線源候補位置で差異が所定値以上かチェックする(ステップS171)。
【0097】
放射能推定部7は、すべての線源候補位置で差異が所定値以上か判断する(ステップS172)。
【0098】
差異が所定値以上の場合に(ステップS172 Yes)、放射能推定部7は、放射能3次元計測装置の外部に異常を通知する(ステップS173)。通知後、放射能3次元測定装置12は本処理を終了する。
【0099】
一方、差異が所定値より小さい場合に(ステップS172 No)、放射能推定部7は、他の測定位置での測定の要求を通知する(ステップS174)。通知後、放射能3次元測定装置12は本処理を終了する。
【0100】
第1の実施形態の放射能3次元測定装置によれば、配管等の構造物に内在する放射能に対しても、正確な放射能量を測定することができる。また、放射線取扱作業環境内における正確な放射能分布を測定することができる。さらに、カメラ台数をガンマカメラ1台と可視カメラの1台とに最小限に抑えることができるため、移動や持ち運びなどの測定作業の負担を軽減することができる。
【0101】
[第2の実施形態]
図9は、本発明に係る放射能3次元測定装置の第2の実施形態を示す構成図である。なお、図1に示す構成図と同一符号のものについては、ここでは詳細な説明を省くものとする。
【0102】
図9に示す放射能3次元測定装置12dの構成において、図1に示す放射能3次元測定装置12の構成との相違点は、空気中放射能算出部30および空気中放射能補正部74を備えている点である。以下、図9を参照しながら、放射能3次元測定装置12dの構成について主に上記相違点を中心として説明する。
【0103】
放射能3次元測定装置12dは、図9に示すように、可視カメラ1d、ガンマカメラ2d、信号処理装置11dおよび構造DB8を備えている。さらに、信号処理装置11dは、撮影位置決定部31、撮影位置記憶部3、構造3次元化部4、表面放射線分布換算部5、表面放射線分布差異部位抽出部6、空気中放射能算出部30および放射能推定部70を備えている。
【0104】
空気中放射能算出部30は、表面放射線分布換算部5により換算された空気中に浮遊する放射線源からの放射能量を換算する。
【0105】
放射能推定部70は、差異の抽出された部位について、撮影位置記憶部3と、構造3次元化部4と、構造DB8と、空気中放射算出部30などから入力される情報に基づいて、放射線発生位置を推定する。放射能推定部70は、さらに、内部放射線計算部71、透過放射線計算部72、放射能位置収束部73および空気中放射能補正部74を備えている。
【0106】
空気中放射能補正部74は、空気中放射能算出部30により算出された空気中の放射線源からの放射能量を用いて、内部放射線計算部71、透過放射線計算部72および放射能位置収束部73により推定される放射能分布について、構造物にある放射線源からの放射能量と区別して放射能分布を補正させる。
【0107】
図10は、第2の実施形態の放射能3次元測定装置による空気中の放射能量を測定するための測定方法を示す図である。
【0108】
実際の放射線取扱作業環境では、例えば図10に示すような構造物(配管9)の内部に放射線源10が存在する場合や、図10に示すような空気中に浮遊するエアロゾルに付着した放射能(放射性エアロゾル33)が存在する場合、また、Kr等の放射性希ガスなどの空気中からの放射線源が存在する場合などが想定される。
【0109】
放射能3次元測定装置12dは、測定された放射能分布から、構造物にある放射線源10からの放射線と、空気中の放射線源(放射性エアロゾル33)からの放射線との割合を、以下に説明する処理により正確に測定することができる。
【0110】
図10に示すように、測定対象のエリアの空気中に、放射性エアロゾル33(放射性希ガス成分も含む)が浮遊している。また、配管9は壁32の際に配置されており、測定時にはその壁32から距離L1の位置に放射能3次元測定装置12dが配置される。また、他の位置での測定時では、距離L1よりも短い距離L2の位置に放射能3次元測定装置12eが配置される。
【0111】
このような測定条件において、放射能3次元測定装置12dおよび12eで測定される配管9内の放射線源10からの寄与分は、距離の2乗分の1で放射線強度は弱まっていく。
【0112】
一方、放射能3次元測定装置12dおよび12eで測定される放射性エアロゾル33からの寄与分については、壁32とガンマカメラ2dおよび2e間の空間における、距離L1の距離分と距離L2の距離分とに含まれる放射性エアロゾル33の浮遊量で定まる。
【0113】
放射性エアロゾル33の核種は、一般にI−131(364keV)、Cs−137(661keV)が主であり、例えば約100keVのガンマ線でも1/eに減衰する距離は14m程度である。原子力発電所内の建屋内空間は、一般的に直線距離で10m以下が多く、この空間内では、放射性エアロゾル33による放射線量の寄与は10m以下の距離L1、距離L2の距離ではほとんど減衰しない。そのため、図10の例では、距離L1およびL2間にある放射性エアロゾル量に依存すると考えられる。厳密には、ガンマ線のエネルギーに応じて減衰を補正し、空間で積分すればよい。
【0114】
具体的には、放射性エアロゾル33による寄与の予測式は、以下の(式1)に示すようなガンマ線の空気中での減衰の近似式で表わされる。
【0115】
I=I・exp(−μx) ・・・(式1)
ここで、(式1)中に用いている係数等は、以下の通りである。
【0116】
I:x距離透過後のガンマ線強度(Bq/cm)
:発生時のガンマ線強度(Bq/cm)
μ:減衰係数(3.35×10-5 /cm)
x:透過距離(cm)
例えば、一様にガンマ線強度Iが分布している場所で、0〜L(cm)距離を積算した場合における強度は、減衰がない場合に、I=L×I (Bq)となり、ほぼ距離Lに比例する。一方、減衰がある場合には、(式1)を0〜L(cm)まで積分した(式2)となる。
【数1】

【0117】
(式2)を適用した場合、空気中でのガンマ線(例えば0.07MeV〜2MeV)の減衰は小さいことから、ほぼ長さLに比例する。一例として、図11に、(式2)に基づく放射性エアロゾルのよる放射線強度の距離との関係をグラフで示す。図11に示すように、ガンマ線の強度は、距離に比例して減衰していることがわかる。
【0118】
一方、配管9内に内在する放射線源10のガンマカメラ2dおよび2eへの寄与分は、距離L1、L2の約2乗に反比例する。
【0119】
よって、空気中のエアロゾル濃度と、配管9内の放射能濃度を求めたい値とすると、距離L1、L2を変えて測定すれば、その減衰割合からそれぞれを求めることは可能となる。なお、この場合はガンマ線のエネルギーは既知の場合であり、ガンマ線エネルギーが不明な場合は、それぞれ測定回数を増やし、計算結果との比較により、それぞれの濃度を推定することは可能である。なお、距離L1およびL2は、可視カメラ1dまたは1eの複数回の撮影によるステレオ視で求めることができる。または、レーザ距離計などの周知な手法を適用してもよい。
【0120】
すなわち、空気中放射能算出部30は、壁32の壁面に付近に設置された測定対象物に対して、測定距離の異なる2以上の位置で測定された放射能分布データに基づいて、上記計算式から空気中の放射性エアロゾル33による寄与分を算出することが可能となる。
【0121】
従来の測定装置では、可視カメラのステレオ視で求めた配管9の表面に、すべての放射能が集積しているケースのみに対応しているが、第2の実施形態の放射能3次元測定装置により途中の空間に浮遊する放射性エアロゾル33の寄与分(放射線の割合)まで識別することが可能となった。
【0122】
このように空気中の放射性エアロゾル成分も同時に測定可能となることで、別途空気中のエアロゾルをサンプリングしてその成分を測定する必要がなくなるため、効率的に放射線測定を行うことができる。また、測定された放射能分布から、汚染された構造物にある放射線源からの放射線と、空気中からの放射線源からの放射線との割合を、正確に測定することができる。
【0123】
以上説明したように、第2の実施形態の放射能3次元測定装置によれば、可視カメラおよびガンマカメラの撮影だけでは測定できない、空気中に飛散する放射能や、配管内に内在する放射能などに対しても、正確な放射能分布を測定することができる。
【0124】
なお、このような第2の実施形態の放射能3次元測定装置を用いることにより、放射線取扱作業時の被ばく管理や、配管部放射能評価への影響などを容易に把握することができる。
【0125】
[第3の実施形態]
図12は、本発明に係る放射線取扱作業管理システムの実施形態を示す構成図である。
【0126】
実施形態の放射線取扱作業管理システム60は、図12に示すように、放射能3次元測定装置12f、構造DB8および被ばく線量評価装置61を有する。なお、放射能3次元測定装置12fは、例えば前述した放射能3次元測定装置12dから構造DB8を外部に備えた構成である。
【0127】
図12において、放射線取扱作業環境には、構造物90が設置されており、空気中の放射能(放射性エアロゾル)33aが存在している。図10に示すような放射線取扱作業環境では、被ばく線量として、例えば構造物90の内部に放射線源や、空気中の放射性エアロゾル33aなどによる放射線量を評価する必要がある。
【0128】
図12の構成における放射線取扱作業管理システム60では、被ばく線量評価装置61が、放射能3次元測定装置12fによって測定された放射能分布と、構造DB8の構造物情報などを用いて、周辺の線量分布を予測する。
【0129】
被ばく線量評価装置61は、外部から指定された作業場所(エリア)、作業時間などの作業条件を受けると、その作業条件に応じた被ばく線量を予測する。このために、被ばく線量評価装置61は、図12に示すように、測定データ受信部62、DB更新部63、放射能分布DB64、作業条件入力部65、被ばく線量解析部66および評価結果出力部67を備えている。
【0130】
測定データ受信部62は、放射能3次元測定装置12fから測定対象の構造物90と、放射線源と、放射能分布とについての測定データを受信する。測定データ受信部62は、これらの測定データを、DB更新部63に送る。
【0131】
DB更新部63は、測定データ受信部62から測定対象の構造物90と、放射線源と、放射能分布とについての測定データを受けると、測定データごとにこれらを関連付けて放射能分布DB64に登録または更新する。
【0132】
放射能分布DB64には、構造物90を含めた複数の構造物と、放射線源と、放射能分布とについての測定データが、作業エリアなどに関連付けられて、放射能分布データとして格納されている。これらは、逐次更新および登録可能とされている。
【0133】
作業条件入力部65は、オペレータなどから作業場所(エリア)、作業時間などを含む作業条件情報が入力される。また、作業条件入力部65は、これとともに、作業場所周辺の構造物情報を検索し、被ばく線量を解析するための前提(解析)条件を絞り込む。
【0134】
被ばく線量解析部66は、作業条件入力部65から送られる解析条件を参照して、放射能分布DB64から放射能分布データを取得する。被ばく線量解析部66は、取得した放射能分布データと、作業場所および作業時間などに基づいて、被ばく線量を算出する。被ばく線量解析部66は、算出した被ばく線量を含む被ばく線量評価結果を評価結果出力部67に送る。
【0135】
評価結果出力部67は、被ばく線量解析部66から受けた被ばく線量評価結果を表示装置などに出力する。
【0136】
以上により、被ばく線量評価装置61は、放射能3次元測定装置12fにより測定された放射能分布、および、構造DB8の構造物情報などを用いて、放射線を取り扱う作業者の被ばく線量を予測することができる。
【0137】
なお、被ばく線量評価装置61は、上記の他にも、直接ガンマカメラ2による測定が行われている位置については、そのリアルタイム値と、放射能分布DB64から予測した値との比較を行い、放射線量の妥当性を確認してもよい。また、市販の携帯型線量計データを取り込み、線量値の校正を行えるようにしてもよい。
【0138】
図13は、実施形態の放射線取扱作業管理システムの全体処理フローを示すフロー図である。
【0139】
放射線取扱作業管理システム60において、被ばく線量評価装置61が起動されると、放射線取扱作業管理処理が開始される。被ばく線量評価装置61は、作業場所、作業時間などを含む作業条件情報を受ける(ステップS31)。
【0140】
次に、被ばく線量評価装置61の測定データ受信部62が、放射線3次元測定装置12fから測定データを受信したか否か判断する(ステップS32)。
【0141】
測定データを受信した場合(ステップS32 Yes)、測定データ受信部62は、受信した測定データを、DB更新部63に送る。DB更新部63は、送られた測定データ(放射能分布データ)について、放射能分布DB64に登録、または、放射能分布DB64を更新する(ステップS33)。
【0142】
DB更新部63は、更新前と更新後との放射能分布データを比較して、差異があるかチェックする(ステップS34)。差異がある場合に(ステップS34 Yes)、DB更新部63は、放射能分布変化のあったデータについて注意表示(または警告出力)などを行う(ステップS35)。この後に、処理がステップS36に進む。一方、差異がない場合にも(ステップS34 No)、処理がステップS36に進む。
【0143】
被ばく線量解析部66は、作業条件情報および放射能分布DB64に格納された放射線分布データに基づいて、被ばく線量を算出する(ステップS36)。
【0144】
評価結果出力部67は、被ばく線量解析部66から被ばく線量の評価結果を受けると、その評価結果を表示装置などに出力する(ステップS37)。出力後、本処理は終了する。
【0145】
ここで、図12に示す被ばく線量評価装置61の主な機器構成として、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、キーボード、マウス、モニタなどを備える構成であってもよい。また、この場合には、例えば前述したような被ばく線量評価処理などを実行するプログラムが被ばく線量評価装置61に備えられ、CPU、RAM等により当該プログラムに従って、図12に示した被ばく線量評価装置61の各々の処理部における処理を実行することになる。
【0146】
また、上記例の構成の場合に、オペレータがキーボード、マウスなどから、作業条件情報等を入力する構成であってもよい。また、被ばく線量評価装置61がLAN等を介して、外部から、作業条件情報等を入力する構成であってもよい。
【0147】
原子炉の廃止措置等で機器の撤去を行う場合、その機器の撤去状況により、配管等の機器に内在する放射能が除かれたり、または、仮置により放射能が一時的に設置され増加する場合がある。また、切断等により、空気中の放射性エアロゾル濃度の上昇ことも想定される。これらの撤去に伴う、周辺線量のモニタリングは、さらにリアルタイムも含めた細やかな監視、および、事前の予測と、被ばくを低減できる適切な作業計画が必要となる。
【0148】
図12の構成において、第1ないし第3の実施形態の放射能3次元測定装置を用いて、リアルタイムに放射能の位置を特定可能となっている。しかも、CADシステムなどと連携する構造DB8を用いることで、各機器や構造物が配置されている作業エリアでの放射能分布のマッピングが可能である。廃止措置時の機器撤去計画が決定されれば、その撤去計画に沿って、内在する放射能分布の変化を予測することが可能となる。
【0149】
本実施形態の放射線取扱作業管理システムおよび放射線取扱作業管理方法によれば、正確な放射能分布を提供できる放射能3次元測定装置を用いるため、機器の撤去に伴う放射能の移動を正確に把握することが可能となる。その結果を元に、作業エリアの線量を正確に予測することができる。これによって、より正確な被ばく線量管理により、被ばく量の低減が可能な放射線取扱作業管理を実現することができる。
【0150】
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0151】
1、1a、1b、1c、1d、1e…可視カメラ、2、2a、2b、2c、2d、2e…ガンマカメラ、3…撮影位置記憶部、4…構造3次元化部、5…表面放射線分布換算部、6…表面放射線分布差異部位抽出部、7、70…放射能推定部、8…構造DB(データベース)、9、9a…配管、10…放射線源、10a…第1擬似放射線源、10c…第2擬似放射線源、10aa…第3擬似放射線源、10ab…第4擬似放射線源、10ac…第2放射線源、11、11a、11b、11c、11d、11e…信号処理装置、12、12a、12b、12c、12d、12e、12f…放射能3次元測定装置、30…空気中放射能算出部、31…撮影位置決定部、32…壁、33、33a…放射性エアロゾル、60…放射線取扱作業管理システム、61…被ばく線量評価装置、62…測定データ受信部、63…DB更新部、64…放射能分布DB、65…作業条件入力部、66…被ばく線量解析部、67…評価結果出力部、71…内部放射線計算部、72…透過放射線計算部、73…放射能位置収束部、74…空気中放射能補正部、90…構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる複数の構造物ごとに、設置位置および形状を含む3次元データと、材料とを含む構造情報を格納する構造データベースと、
測定対象となる前記構造物の2次元の可視画像を撮影する可視カメラと、
前記可視カメラの画角の範囲に含まれるように配置されて、前記可視カメラの撮影方向と同方向から入射する放射線強度分布を測定して放射線画像を撮影する放射線カメラと、
撮影した前記可視画像および前記放射線画像の各々に識別子を付与して、前記識別子ごとに、撮影位置、撮影方向を含む撮影情報を記憶する撮影位置記憶部と、
前記可視カメラにより撮影された複数の前記可視画像から前記構造物の形状および位置を算出する構造3次元化部と、
複数の前記可視画像の中でこれとともに同時に撮影された前記放射線画像を、前記構造3次元化部で算出した前記構造物の形状における表面の位置での放射線強度に換算する表面放射線分布換算部と、
前記表面放射線分布換算部により換算された前記構造物の形状における表面の放射線強度と、前記放射線カメラで測定された前記放射線分布とを比較して、前記構造物についての比較した同一表面の位置において放射線強度が異なる部位を抽出する表面放射線分布差異部位抽出部と、
前記表面放射線分布差異部位抽出部により抽出された前記部位について、前記撮影位置記憶部に記憶された前記撮影情報と、前記構造データベースに格納された構造物情報とから、放射線発生位置を推定して放射能量に換算する放射能推定部と、
を備えることを特徴とする放射能3次元測定装置。
【請求項2】
前記放射能推定部は、
抽出された前記部位についての前記撮影位置記憶部から前記撮影情報と、前記構造3次元化部により算出された前記構造物の形状および位置と、前記構造データベースの構造物情報とから、前記構造物の内部に放射能が含有している場合の前記構造物での線量を計算する内部放射線計算部と、
前記内部放射線計算部による計算結果の線量と前記放射線画像の撮影結果から求められる線量とが所定の範囲内の差異で収束するまで、前記放射線発生位置を推定して前記計算を繰り返させる放射能位置収束部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の放射能3次元測定装置。
【請求項3】
前記放射能推定部は、
抽出された前記部位について前記撮影位置記憶部からの前記撮影位置情報と、前記構造3次元化部により算出された前記構造物の位置および形状とから、前記構造物を透過して前記構造物の透過した側の表面での線量を計算する透過放射線計算部と、
前記透過放射線計算部による計算結果の線量と前記放射線画像の撮影結果から求められる線量とが所定の範囲内の差異で収束するまで、前記放射線発生位置を推定して前記計算を繰り返す放射能位置収束部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の放射能3次元測定装置。
【請求項4】
前記放射能推定部は、
前記放射線発生位置の放射能量に換算する際に、前記構造物の周辺における空気中からの放射能成分を前記構造物に対する異なる距離での撮影結果に基づいて算出し、算出した空気中からの前記放射能成分を補正して前記放射能量に換算する空気中放射能算出補正部
をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の放射能3次元測定装置。
【請求項5】
構造データベースと、放射能3次元測定装置と、放射線取扱作業管理装置とを有し、複数の構造物を含む作業エリア内の被ばく線量を予測する放射線取扱作業管理システムであって、
前記構造データベースは、測定対象となる前記複数の構造物ごとに、設置位置および形状を含む3次元データと、材料とを含む構造情報を格納し、
前記放射能3次元測定装置は、
前記測定対象となる前記構造物の2次元の可視画像を撮影する可視カメラと、
前記可視カメラの画角の範囲に含まれるように配置されて、前記可視カメラの撮影方向と同方向から入射する放射線強度分布を測定して放射線画像を撮影する放射線カメラと、
撮影した前記可視画像および前記放射線画像の各々に識別子を付与して、前記識別子ごとに、撮影位置、撮影方向を含む撮影情報を記憶する撮影位置記憶部と、
前記可視カメラにより撮影された複数の前記可視画像から前記構造物の形状および位置を算出する構造3次元化部と、
複数の前記可視画像の中でこれとともに同時に撮影された前記放射線画像を、前記構造3次元化部で算出した前記構造物の形状における表面の位置での放射線強度に換算する表面放射線分布換算部と、
前記表面放射線分布換算部により換算された前記構造物の形状における表面の放射線強度と、前記放射線カメラで測定された前記放射線分布とを比較して、前記構造物について比較した同一表面の位置において放射線強度が異なる部位を抽出する表面放射線分布差異部位抽出部と、
前記表面放射線分布差異部位抽出部により抽出された前記部位について、前記撮影位置記憶部に記憶された前記撮影情報と、前記構造データベースに格納された構造物情報とから、放射線発生位置を推定して放射能量に換算する放射能推定部と、を備え、
前記放射線取扱作業管理装置は、
作業管理するエリア内の作業位置、作業時間を含む作業情報を入力する作業条件入力部と、
前記放射能3次元測定装置により測定された複数の前記構造物の放射能分布データを格納する放射能分布データベースと、
複数の前記構造物の中から前記作業条件入力部から入力された前記作業情報に基づいて前記放射能分布データを抽出し、抽出した前記放射能分布データに基づいて前記作業エリア内における被ばく線量を算出する被ばく線量解析部と、
を備えることを特徴とする放射線取扱作業管理システム。
【請求項6】
測定対象となる複数の構造物ごとに、設置位置および形状を含む3次元データと、材料とを含む構造情報を格納する構造データベースと、放射能3次元測定装置と、放射線取扱作業管理装置とを有し、複数の構造物を含む作業エリア内の被ばく線量を予測する放射線取扱作業管理システムにおける放射線取扱作業管理方法であって、
前記放射能3次元測定装置の可視カメラが、測定対象となる前記構造物の2次元の可視画像を撮影する可視画像撮影処理ステップと、
前記可視カメラの画角の範囲に含まれるように配置された前記放射能3次元測定装置の放射線カメラが、前記可視カメラの撮影方向と同方向から入射する放射線強度分布を測定して放射線画像を撮影する放射線画像撮影処理ステップと、
前記放射能3次元測定装置が、撮影した前記可視画像および前記放射線画像の各々に識別子を付与して、前記識別子ごとに、撮影位置、撮影方向を含む撮影情報を撮影位置記憶部に記憶する撮影位置記憶処理ステップと、
前記放射能3次元測定装置が、前記可視カメラにより撮影された複数の前記可視画像から前記構造物の形状および位置を算出する構造3次元化処理ステップと、
前記放射能3次元測定装置が、複数の前記可視画像の中でこれとともに前記放射線画像撮影処理ステップにより同時に撮影された前記放射線画像を、前記構造3次元化処理ステップにより算出された前記構造物の形状における表面の位置での放射線強度に換算する表面放射線分布換算処理ステップと、
前記放射能3次元測定装置が、前記表面放射線分布換算処理ステップにより換算された前記構造物の形状における表面の放射線強度と、前記放射線カメラで測定された前記放射線分布とを比較して、前記構造物の比較した同一表面の位置において放射線強度が異なる部位を抽出する表面放射線分布差異部位抽出処理ステップと、
前記放射能3次元測定装置が、前記表面放射線分布差異部位抽出処理ステップにより抽出された前記部位について、前記撮影位置記憶部に記憶された前記撮影情報と、前記構造データベースに格納された構造物情報とから、放射線発生位置を推定して放射能量に換算する放射能推定処理ステップと、
前記放射線取扱作業管理装置が、作業管理するエリア内の作業位置、作業時間を含む作業情報の入力を受ける作業条件入力処理ステップと、
前記放射線取扱作業管理装置が、前記放射能3次元測定装置により測定された複数の前記構造物の放射能分布データを放射能分布データベースに格納する放射能分布データ格納処理ステップと、
前記放射線取扱作業管理装置が、前記作業条件入力処理ステップにより複数の前記構造物の中から入力された前記作業情報に基づいて前記放射能分布データベースから前記放射能分布データを抽出し、抽出した前記放射能分布データに基づいて前記作業エリア内における被ばく線量を算出する被ばく線量解析処理ステップと、
を含むことを特徴とする放射線取扱作業管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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