説明

放水用器具

【課題】長期に亘って一定の塩素除去能力を発揮するとともに、使用時に安定してマイナスイオンを発生する放水用器具を提供する。
【解決手段】水を取り込む入水部2と、取り込んだ水を所定方向に通水する通水部4と、通水された水を外部へ流出させる出水部6とを備え、入水部から取り込まれ、通水部を通水し、出水部から流出されるまでのいずれかにおいて、水に浄水処理を施して水中の塩素を除去すると共に、水に磁気処理を施してマイナスイオンを発生させることが可能な放水用器具であって、当該入水部、通水部、出水部のうちの少なくとも1つには、浄水処理を施す浄水処理部10と磁気処理を施す磁気処理部20とが内蔵されており、浄水処理部は、銀イオンを水中に放出して水中の塩素を除去する機構を有していると共に、磁気処理部は、水に対して磁力を作用してマイナスイオンを発生させる機構を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水道水中に含まれる塩素を除去するとともに、マイナスイオンを発生する放水用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、日常使用される水道水は、その衛生を確保するため塩素などにより消毒・殺菌されている。この場合、水道水中に消毒効果のある状態で残っている塩素のことを残留塩素といい、この残留塩素には、遊離残留塩素と結合残留塩素の2種類がある。遊離残留塩素には、いずれも強い殺菌力がある塩素(Cl)、次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)の3つの態様があり、これら3態様は、水道水のpHと温度によってどの態様で存在するかの割合が変化する。また、結合残留塩素には、窒素と結合したモノクロラミン(NHCl)、ジクロラミン(NHCl)、トリクロラミン(NCL)などの態様があり、これらの態様もまた、水道水のpHによってどの態様で存在するかの割合が変化する。
そして、水道水中の残留塩素濃度を示す指標として、遊離残留塩素濃度や結合残留塩素濃度が用いられており、例えば、東京や大阪などでは、その時の天候や雨量などにより異なるが、水道水1L当たりの遊離残留塩素濃度は0.6〜0.9mg(水道水の比重を1とした場合、0.6〜0.9ppm)程度となっている。
【0003】
このような水道水中の残留塩素は、例えば、皮膚や毛髪などに直接触れると、これらを傷める原因となる虞があり、可能な限り除去することが望ましく、例えば、煮沸やくみ置きなどにより、ある程度除去することはできる。しかしながら、例えば、水道水をそのままシャワーなどとして使用する場合、当該水道水を加温(例えば、沸騰状態よりも低い35℃〜42℃程度となるように加温)したとしても、水道水中の残留塩素はほとんど除去されず、水道水中に含まれたままとなってしまう。
【0004】
そこで、従来から、例えば、内部に設けられた活性炭や亜硫酸カルシウムなどの濾材によって、水道水中の残留塩素を除去する各種のシャワー用浄水器が考えられてきた(特許文献1及び特許文献2参照)。
例えば、特許文献1に示されるシャワー用浄水器は、その上部及び下部にシャワーヘッド及び水道水を供給するホースとの連通部をそれぞれ有し、シャワーヘッドとホースとの間に介在し、両者を連通して使用される。かかる浄水器には、活性炭(例えば、ヤシガラ)を用いた濾材が内蔵されており、これによって水道水中の残留塩素を除去している。
【0005】
しかしながら、かかる浄水器では、使用するにしたがって徐々に濾材が目づまりを起こし、浄水能力(残留塩素除去能力)が低下するため、浄水器自体の定期的な交換が必要となり、その度に交換作業を行わなければならないとともに、ランニングコストが発生してしまう。
また、このような活性炭(例えば、ヤシガラ)を用いた濾材による浄水では、水道水の水流を一旦遮ることとなるため、水圧の低下を避けることができず、水道水をシャワーとして使用する場合、噴出する水(温水)の勢いが小さくなり、使い勝手が悪くなってしまう虞がある。
【0006】
また、例えば、特許文献2に示されるシャワー用浄水器は、活性炭層及び亜硫酸カルシウム層を有する濾材を格納したカートリッジがシャワーヘッドに内蔵されており、これによって水道水中の残留塩素を除去している。
しかしながら、かかる浄水器においても、使用による濾材の目づまりにより浄水能力(残留塩素除去能力)が低下するため、カートリッジの定期的な交換が必要となり、上述した特許文献1に示されるシャワー用浄水器と同様に、交換作業やランニングコストが発生してしまう。
また、同様に、シャワーヘッドから噴出する水(温水)の勢いが小さくなり、使い勝手が悪くなってしまう虞がある。
【0007】
なお、上述した特許文献1及び特許文献2に示されるシャワー用浄水器は、いずれも水道水の浄化(例えば、水道水中の残留塩素の除去)を目的としているが、シャワーを使用する際に清浄作用を発揮させる観点からは、水道水を浄化する手段の他にも、例えば、マイナスイオンを発生させる手段も考えられる。例えば、特許文献3に示されるシャワーヘッドは、シャワーヘッド本体内の水道水供給側にシャワーヘッド本体内の水道水の流れを制御するガイド部材(例えば、羽根部材)を設け、シャワーヘッド本体内を流れる水道水に旋回流を与えることによって、水道水中の水分子のクラスター構造を細分化し、シャワーヘッドから水(温水)が噴出する際、空気中にマイナスイオンを発生(放出)させている。
【0008】
しかしながら、かかるシャワーヘッドでは、噴出されるマイナスイオンの数は、シャワーヘッド内を流れる水道水の旋回流の強さ(旋回速度)によって変化し、当該旋回流の強さ(旋回速度)は、シャワーヘッド内を流れる水道水の水圧や水量などによって左右される。
したがって、例えば、シャワーヘッド内を流れる水道水の水圧や水量が大きい場合、シャワーヘッド内を流れる水道水の旋回流の強さ(旋回速度)は、それに伴って大きくなり、発生(放出)されるマイナスイオンの数も多くなる。これに対して、例えば、シャワーヘッド内を流れる水道水の水圧や水量が小さい場合、シャワーヘッド内を流れる水道水の旋回流の強さ(旋回速度)は、それに伴って小さくなり、発生(放出)されるマイナスイオンの数も少なくなってしまう。
【0009】
このように、従来のシャワーヘッドでは、当該シャワーヘッドから水(温水)が噴出する際、空気中に発生(放出)されるマイナスイオンの数は、シャワーヘッド内を流れる水道水の水圧や水量などの大きさによって変化してしまうため、マイナスイオンを所定の数だけ安定的に発生させ続けることができない虞がある。
【特許文献1】特開2005−52818号公報
【特許文献2】特開平8−215093号公報
【特許文献3】特開2003−265351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、長期に亘って一定の塩素除去能力を発揮するとともに、使用時に安定してマイナスイオンを発生する放水用器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明の放水用器具は、水を取り込む入水部と、取り込んだ水を所定方向に通水する通水部と、通水された水を外部へ流出させる出水部とを備え、入水部から取り込まれ、通水部を通水し、出水部から流出されるまでのいずれかにおいて、水に浄水処理を施して水中の塩素を除去すると共に、水に磁気処理を施してマイナスイオンを発生させることが可能な放水用器具であって、当該入水部、通水部、出水部のうちの少なくとも1つには、浄水処理を施す浄水処理部と磁気処理を施す磁気処理部とが内蔵されており、浄水処理部は、銀イオンを水中に放出して水中の塩素を除去する銀イオン放出機構を有していると共に、磁気処理部は、水に対して磁力を作用してマイナスイオンを発生させる磁気処理機構を有している。
【0012】
このような構成において、前記銀イオン放出機構は、少なくとも銀を含む素材で形成されたコイル状部材を備えており、水がコイル状部材を通過中に当該コイル状部材と接触する際、当該水中にコイル状部材から銀イオンが放出される。この場合、前記コイル状部材は、その径の大きさが一端から他端に亘って変化している。
また、前記銀イオン放出機構は、少なくとも銀を含む素材で形成された網目状部材を備えており、水が網目状部材を通過中に当該網目状部材と接触する際、当該水中に網目状部材から銀イオンが放出される。
【0013】
一方、前記磁気処理機構は、永久磁石が組み込まれた磁気発生部と、当該磁気発生部に沿って対向配置された磁性体部と、磁気発生部と磁性体部との間に形成され、水が流動可能な所定幅の流路とを備えており、磁気発生部と磁性体部との間には、流路の全体に亘って均一の磁力が作用しており、この流路内を水が流動する際、当該水の全体に対して磁力が作用する。この場合、前記磁気発生部には、複数の永久磁石が組み込まれており、少なくとも隣り合う一対の永久磁石は、同極同士が対向するように配列されている。
【0014】
なお、前記出水部には、水をシャワー状に流出させるための複数の放水孔が設けられている。
さらに、前記浄水処理部は、銀イオン放出機構に加えて、光触媒を用いて水を酸化分解して水中の塩素を除去する光触媒反応機構を有している。この場合、前記光触媒反応機構は、外光を放水用器具内に取り入れる採光部を備え、当該採光部は、少なくともその一部が透光性素材で形成されていると共に、その内部に少なくともブルッカイト型の酸化チタンを含む光触媒が設けられており、当該光触媒が外光を受けて光触媒反応する際に、水が当該光触媒と接触し、酸化分解される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、長期に亘って一定の塩素除去能力を発揮するとともに、使用時に安定してマイナスイオンが発生することで、定期的な作業やランニングコストが発生しない、使い勝手の良い快適な放水用器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る放水用器具について、添付図面を参照して説明する。
なお、放水用器具としては、例えば、家庭用水道水の蛇口に直接取り付けるタイプ、ホース状のタイプやホースの先端部に取り付けるタイプ、スプリンクラーの放水部に取り付けるタイプなど各種のタイプを想定することができる。
図1(a),(b)には、本発明の第1実施形態に係る放水用器具の一例として、ホースの先端部に取り付けるタイプに含まれるシャワーヘッドの構成例が示されている。
【0017】
かかるシャワーヘッドSは、水(例えば、水道水)を取り込む入水部2と、取り込んだ水を所定方向に通水する通水部4と、通水された水を外部へ流出させる出水部6とを備え、入水部2から取り込まれ、通水部4を通水し、出水部6から流出されるまでのいずれかにおいて、水に浄水処理を施して水中の塩素を除去すると共に、水に磁気処理を施してマイナスイオンを発生させる。この場合、当該入水部2、通水部4、出水部6のうちの少なくとも1つには、浄水処理を施す浄水処理部10と磁気処理を施す磁気処理部20とが内蔵されており、浄水処理部10は、銀イオンを水中に放出して水中の塩素を除去する銀イオン放出機構を有していると共に、磁気処理部20は、水に対して磁力を作用してマイナスイオンを発生させる磁気処理機構を有している。
【0018】
本実施形態において、シャワーヘッドSは、一例として、その通水部4に浄水処理部10と磁気処理部20とを内蔵しており、当該通水部4において、浄水処理部10の銀イオン放出機構により、銀イオンを水道水中に放出して水道水中の塩素を除去すると共に、磁気処理部20の磁気処理機構により、水道水に対して磁力を作用してマイナスイオンを発生させている。
【0019】
なお、シャワーヘッドSの入水部2は、円筒構造を成しており、水の供給源(例えば、水道用蛇口や給水栓など(図示しない))につながれた例えばホース(図示しない)と連通接続できるようになっている。この場合、入水部2とホースとは、任意の連結方法で互いに連通接続させることができ、例えば、入水部2の端部2aの内周面にネジ構造(例えば、雌ネジ)を施すと共に、外周面にネジ構造(例えば、雄ネジ)が施された連結部材(図示しない)をホースの先端部に装着し、これらの雄ネジと雌ネジを螺合させることにより入水部2とホース(連結部材)とを互いに連通接続させることができる。
また、シャワーヘッドSの入水部2の材料は、特に限定されず、任意の材料(例えば、樹脂や金属など)を適用することができる。
【0020】
また、シャワーヘッドSの出水部6は、いずれも内部が中空状態の首部6aと放水部6bとで構成されており、首部6aは、通水部4に連通した傾斜円筒構造を成していると共に、放水部6bは、当該首部6aに連通したドーム状構造を成している。この場合、放水部6bには、水道水をシャワー状に流出させるための複数の放水孔hを有する放水板6cが取り付けられており、当該放水板6cの放水孔hから水道水を放出することで、シャワーヘッドSの出水部6から水道水をシャワー状に流出させることができる。
【0021】
なお、シャワーヘッドSの出水部6は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、首部6aを介在させずに放水部6bと通水部4とを直接連通させてもよい。また、放水部6bは、その内部が中空状態の箱形構造や多面体構造などであってもよく、使用目的や使用環境に応じて任意の形状や大きさに設計することができる。
また、シャワーヘッドSの出水部6の材料は、特に限定されず、任意の材料(例えば、樹脂や金属など)を適用することができる。
【0022】
本実施形態において、浄水処理部10の銀イオン放出機構は、一例として、銀で形成されたコイル状部材12を備えており、水道水がコイル状部材12を通過中に当該コイル状部材12と接触する際、当該水道水中にコイル状部材12から銀イオンが放出される。この場合、コイル状部材12は、水道水中に銀イオンを放出することができるような銀含有素材で形成されていればよい。この場合、銀含有素材としては、例えば、銀のほか、各種の銀の化合物であってもよいが、銀イオンの放出量は銀の含有量に比例して増減するため、銀の含有量が多い素材で形成することが好ましい。なお、このような銀含有素材でコイル状部材12を一体形成する代わりに、例えば、各種の金属をコイル状に形成し、その表面に銀メッキを施してコイル状部材12を構成してもよい。
【0023】
また、本実施形態において、コイル状部材12は、その径の大きさが一端から他端に亘って変化しており、図2(a)〜(c)には、その形状の一例が示されている。この場合、コイル状部材12は、その一端側12a(図2(a),(b)の上側)からその中間部(絞り部12c)まで徐々にその径が小さくなると共に、当該中間部(絞り部12c)から他端側12b(図2(a),(b)の下側)まで徐々にその径が大きくなるように形成されている。すなわち、両端12a,12bを最大径とし、中間部(絞り部12c)を最小径とする1つの鼓状を成すように形成されている。
【0024】
このような形状によれば、通水部4内を通水する水道水に対するコイル状部材12の接触面積(領域)を大きくすることができるため、銀イオンを水道水中に万遍なく放出することが可能となり、その結果、水道水中の塩素を効率よく除去することができる。
【0025】
なお、コイル状部材12の形態は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、コイル状部材12の数や大きさ、螺旋の巻き数や向きは、使用目的や使用環境に応じて任意の個数や大きさ、巻き数や向きに設計することができる。例えば、図5(a),(b)には、本実施形態の変形例に係るコイル状部材12を銀イオン放出機構として備えたシャワーヘッドSの構成が示されている。
【0026】
図5(a)に示された第1変形例に係るコイル状部材12は、その一端側12a(図5(a)の上側)から他端側12b(図5(a)の下側)に至る途中に絞り部12cと拡張部12dとを有しており、一端側12aから絞り部12cまで徐々にその径が小さくなり、当該絞り部12cから拡張部12dまで徐々にその径が大きくなると共に、当該拡張部12dから他端側12bまで徐々にその径が小さくなるように形成されている。すなわち、一端側12a及び拡張部12dが最大径、他端側12b及び絞り部12cが最小径となるように形成されている。なお、上下を逆転させ、一端側12aが最小径、他端側12bが最大径となるように形成(配置)してもよい。
【0027】
また、図5(b)に示された第2変形例に係るコイル状部材12は、その一端側12a(図5(a)の上側)から他端側12b(図5(a)の下側)に至る途中に上側絞り部12c、拡張部12d、下側絞り部12eを有しており、その一端側12aから上側絞り部12cまで徐々にその径が小さくなり、当該上側絞り部12cから拡張部12dまで徐々にその径が大きくなると共に、当該拡張部12dから下側絞り部12eまで徐々にその径が小さくなり、当該下側絞り部12eから他端側12bまで徐々にその径が大きくなるように形成されている。すなわち、上述した本実施形態に係るコイル状部材12を2つ直列に連結させた一体構成を成している。なお、一体構成の代わりに、上述した本実施形態に係るコイル状部材12を2つ直列に配置した別体構成としてもよい。
【0028】
さらに、本実施形態において、浄水処理部10の銀イオン放出機構は、銀で形成された網目状部材14も備えており、図3(a),(b)には、その形状の一例が示されている。この場合、網目状部材14は、網部14aと縁部14bとで構成された円板状を成し、網部14aの外周に沿って環状の縁部14bが取り囲み、全体としてコイル状部材12の最大径とほぼ同径に形成されている。そして、水道水が網目状部材14を通過中に当該網目状部材14と接触する際、当該水道水中に網目状部材14から銀イオンが放出される。
【0029】
なお、網目状部材14は、コイル状部材12と同様に、少なくとも銀を含む素材で形成されていればよく、例えば、銀のほか、各種の銀の化合物であってもよいが、銀の含有量が多い素材である方が好ましい。また、各種の金属に銀メッキを施したものであってもよい。
【0030】
また、網目状部材14の形態は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、網目状部材14の数、形状や大きさ、網目の形状や細かさは、使用目的や使用環境に応じて任意の個数、形状や大きさ、網目の形状や粗さに設計することができる。例えば、図1(b)には、銀イオン放出機構として、4つの網目状部材14を配置した構成例が一例として示されている。
【0031】
この場合、2つの網目状部材14がコイル状部材12の一端側12aよりも出水部6側と、コイル状部材12の他端側12bよりも入水部2側にそれぞれ1つずつ設けられ、残りの2つの網目状部材14がコイル状部材12の一端側12aと他端側12bとの間に1つずつ設けられており、これら4つの網目状部材14がほぼ等間隔に並ぶように配置されている。
【0032】
このような構成によれば、コイル状部材12に加えて、さらに網目状部材14を備えたことで、通水部4内を通水する水道水に対する接触面積(領域)がさらに大きくなり、銀イオンの放出量を向上させることができる。
【0033】
また、上述した本実施形態及び各変形例に示すように、径の大きさを変化させたコイル状部材12を適用したことで、通水部4内を通水する水道水がコイル状部材12を通過する際、水道水と万遍なく接触すると共に、水道水をスムーズに通過させることができ、水道水中により効率よく(より多くの)銀イオンを放出させることができる。
【0034】
このような銀イオン放出機構(コイル状部材12及び網目状部材14)によれば、大量の銀イオンが水道水中に放出され、これにより、当該銀イオンと水道水中の残留塩素とを効率よく且つ万遍なく反応させることができるため、水道水中の塩素を確実に且つ短時間に除去することができる。
また、銀イオン放出機構(コイル状部材12及び網目状部材14)によれば、半永久的に水道水中に銀イオンを放出させることができる。例えば、濾材(例えば、活性炭や亜硫酸カルシウム)を用いた塩素除去では、長期に亘って一定の残留塩素除去能力を維持することができず、メンテナンスや濾材の交換が必要となるが、本実施形態の銀イオン放出機構は、その必要がなく、長期に亘って一定の塩素除去能力を発揮することができる。
【0035】
このように、コイル状部材12及び網目状部材14の定期的な交換作業(メンテナンス)が不要となることで、ランニングコストの発生しない低価格のシャワーヘッドSを実現できると共に、銀イオンの放出効率が向上し、水道水中の塩素が大幅に除去できることで、使い勝手の良い快適な(例えば、洗髪時にリンスをしなくても、洗髪後の髪がサラサラになるような)シャワーヘッドS(放水用器具)を提供することができる。
【0036】
ここで、本実施形態に係る浄水処理部10の銀イオン放出機構(コイル状部材12及び網目状部材14)の浄水能力(残留塩素除去能力)を検証した結果について、以下、説明する。この場合、室温23℃、湿度55%の環境下において、水1L(遊離残留塩素濃度1ppm)をシャワーヘッドSの入水部2から取り込み、通水部4を通水して、出水部6から流出させ、流出された水道水の遊離残留塩素を測定し、当該検証を5回、繰り返し行った。この結果、各回の流出水道水の遊離残留塩素濃度は、0.51ppm,0.47ppm,0.57ppm,0.34ppm,0.49ppmとなり、平均遊離残留塩素濃度は、0.48ppmとなった。
したがって、本実施形態の銀イオン放出機構(コイル状部材12及び網目状部材14)は、遊離残留塩素を52%減ずる浄水能力(残留塩素除去能力)を有することが検証された。
【0037】
また、本実施形態に係る浄水処理部10の銀イオン放出機構は、コイル状部材12及び網目状部材14で構成され、コイル状部材12は中空状を成していると共に、網目状部材14は薄い網目状(円板状)を成しているため、水道水中の塩素を除去する際、濾材を介在させた場合に比べて、水道水の水流を遮ることはほとんどなく、水道水の水圧を低下させることはない。
このため、出水部6から流出する水道水の勢いが低下することのない使い勝手の良い快適なシャワーヘッドS(放水用器具)を提供することができる。
【0038】
また、図4(a)〜(c)に示すように、本実施形態において、磁気処理部20の磁気処理機構は、永久磁石22aが組み込まれた磁気発生部22と、当該磁気発生部22に沿って対向配置された磁性体部24と、磁気発生部22と磁性体部24との間に形成され、水道水が流動可能な所定幅の環状の流路26とを備えている。そして、磁気発生部22と磁性体部24との間には、流路26の全体に亘って均一の磁力が作用しており、この流路26内を水道水が流動する際、当該水道水の全体に対して磁力が作用する。
【0039】
この場合、水道水に対する磁気発生部22の磁気処理能力を高めるために(磁力を最大限に発生させるために)、磁気発生部22には、複数の永久磁石22aが組み込まれており、少なくとも隣り合う一対の永久磁石22aは、同極同士が対向するように配列されている。なお、本実施形態において、永久磁石22aは円板状を成しており、当該円板状の永久磁石22aを一例として7個積層することにより、円筒状の磁気発生部22が構成されている。
【0040】
図4(b)には、かかる円筒状の磁気発生部22を構成する7個の永久磁石22aの配列の一例が示されており、隣り合う一対の永久磁石22aの間にそれぞれ1つの磁性体22bを介在させ、この磁性体22bを挟んで両側の永久磁石22aの磁極が同極(N極又はS極)同士で対向している。なお、永久磁石22aや磁性体22bの個数や配列は、上述した組合せに限定されず、使用目的や使用環境に応じて任意の個数や配列にすることができ、例えば、複数の永久磁石22aの中間位置に1つの磁性体22bを介在させてもよい。
【0041】
また、磁気発生部22に組み込む永久磁石22aには、一例として、ネオジウム系磁石を適用することが好ましい。ネオジウム系磁石は、市販されている永久磁石の中では最も強力な磁石であり、通常のフェライト磁石の10倍以上、アルニコ磁石の6〜7倍以上の磁力を有する。この結果、ネオジウム系磁石を用いた磁気発生部22では、ほぼ7000ガウス程度の強力な磁力を発生させることが可能となる。ただし、ネオジウム磁石は熱に弱く、一定の温度を超過すると磁力が低下する場合がある。このような場合を考慮すると、耐熱ネオジウム磁石を適用してもよい。なお、これ以外の永久磁石22aとして、例えば、フェライト磁石(Baフェライト、Srフェライト)、アルニコ磁石、サマリウム系磁石を適用してもよい。
【0042】
なお、磁気発生部22の永久磁石22aとしてネオジウム系磁石を適用した場合には、これら永久磁石22aを防水するための防水カバー28を設けることが好ましい。この場合、防水カバー28は、複数の永久磁石22a及び磁性体22bを覆ってその内部が気密及び液密状態となるように設けられる。また、防水カバー28の材料は、永久磁石22aを防水できるようなものであれば任意の材料(例えば、樹脂、ゴムなど)を適用することが可能であるが、永久磁石22aの磁力を減ずることのない非磁性体で形成することが必要である。
【0043】
また、隣り合う一対の永久磁石22aの間に介在させる磁性体22bの材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。
【0044】
また、図4(b)に示すように、磁気処理機構の磁性体部24は、上述したような磁気発生部22に沿って、同心円状に対向配置されている。具体的には、磁性体部24は中空筒状を成しており、円筒状の磁気発生部22の外周面全体を覆うように同心円状に対向配置されている。この場合、流路26の幅Wが一定寸法値となるように、磁気発生部22に対して磁性体部24を位置決めすることが好ましい。これにより、流路26の全体に亘って水道水に対して均一の磁力を作用させることが可能となる。本実施形態においては、一例として、磁性体部24は、その外径がコイル状部材12の最大径とほぼ同径を成すように形成されている。
【0045】
なお、磁気発生部22と磁性体部24の配置は、上述した配置に限定されるものではなく、例えば、上述した配置とは逆に、磁性体部24の外周面全体を覆うように磁気発生部22を同心円状に対向配置してもよい。この場合、磁気発生部22の各永久磁石22a及び磁性体22bは、環状に形成されることになる。
【0046】
また、磁気処理機構において、流路26の幅Wを小さくすれば、流路26を流れる水道水に対する磁気処理効果を向上させることができる。しかしながら、あまり小さくすると水道水の流動効率が低下してしまうため、流路26の幅Wは、2mm〜9mmの範囲(特に2mm)に設定することが好ましい。
【0047】
また、磁気発生部22及び磁性体部24は、支持板30及び支持板32により通水部4内に位置決め固定されるようになっており、支持板30は磁気発生部22及び磁性体部24の一端(図4(b)の下側)に配置されており、支持板32は他端(図4(b)の上側)にそれぞれ配置されている。なお、支持板30は、流路26へ水道水を流入させる複数の開口30aを有しており、支持板32は、流路26から水道水を流出させる複数の開口32aを有している。この場合、支持板30及び開口30aは、例えば、図4(c)に示す支持板32及び開口32aと同一構成としてもよい。
【0048】
本実施形態においては、図1(b)に示すように、一例として、磁気処理部20の磁気処理機構(磁気発生部22及び磁性体部24)は、支持板30,32により通水部4内の最上部(コイル状部材12及び網目状部材14よりも出水部6側)に位置決め固定されている。なお、磁気処理機構の配置は、上述した配置に限定されるものではなく、例えば、通水部4内の最下部(コイル状部材12及び網目状部材14よりも入水部6側)や中間部(例えば、コイル状部材12や網目状部材14の間)などに配置してもよい。
【0049】
このような構成によれば、シャワーヘッドSの入水部2から取り込まれた水道水は、通水部4内を出水部6方向へ通水する場合、支持板32の開口32aから流路26内に流れ込み、ここで滞留しながら流動する間に、磁気発生部22と磁性体部24との間に生じた磁力作用(磁界あるいは磁場)を受けることにより、磁気処理が施される。そして、流路26内を流動し、磁気処理が施された水道水(磁気を帯びた水)は、支持板30の開口30aから流路26外へ流れ出すと共に、通水部4内を通水し、出水部6から流出する際、空気中にマイナスイオンを発生(放出)させる。
【0050】
なお、磁気処理とは、磁界の中で導体(例えば、水道水)が動くと導体に電流が流れる現象(電磁誘導現象)を利用した処理方法であり、水道水に磁気処理する際には、水道水が磁界(磁場)に対して直角に通過することが条件になる。これは、フレミングの右手の法則により、磁界、電流、水流(力)が互いに直角に作用することで、磁気処理が成立するからである。
【0051】
このように、本実施形態の磁気処理部20の磁気処理機構によれば、シャワーヘッドSの入水部2から取り込まれ、通水部4内を出水部6方向へ通水し、出水部6から流出されるまでの水道水の水圧や水量にかかわりなく、シャワーヘッドSの使用中に安定して水道水からマイナスイオンを発生させ続けることができ、例えば、疲労度を軽減し、癒し効果を発揮する快適なシャワーヘッドS(放水用器具)を提供することができる。
【0052】
ここで、本実施形態に係る磁気処理部20の磁気処理機構(磁気発生部22及び磁性体部24)のマイナスイオン発生能力について検証した結果について、以下、説明する。この場合、室温23℃、湿度55%の環境下において、水1LをシャワーヘッドSの入水部2から取り込み、通水部4を通水して、出水部6から流出させ、流出された水道水から発生されるマイナスイオンの個数を測定し、当該検証を5回、繰り返し行った。この結果、各回の検証において、マイナスイオンは、12万個から8万個発生し、本実施形態の磁気処理機構(磁気発生部22及び磁性体部24)は、優れたマイナスイオン発生能力を有することが検証された。
【0053】
なお、本実施形態において、通水部4内を出水部6方向へ通水する水道水は、磁気処理部20の磁気処理機構によって磁気作用が施される前に、通水部4内のコイル状部材12を通過している。コイル状部材12は、その径の大きさが一端から他端に亘って変化した螺旋状を成しているため、コイル状部材12を通過する水道水は、コイル状部材12の螺旋に沿って旋回する。このように水道水が旋回することにより、水中のプラスイオンが旋回流の中心部に集まり、マイナスイオンが旋回流の外側部に集まるようになる(水分子のクラスター構造が細分化される)。したがって、コイル状部材12を通過して、磁気処理部20に流入した水道水には、より効果的に磁力を作用させることが可能となり、さらに多くのマイナスイオンを発生させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態において、浄水処理部10は、上述した銀イオン放出機構に加えて、光触媒を用いて水を酸化分解して水中の塩素を除去する光触媒反応機構を有している。この場合、図1(a)に示すように、光触媒反応機構は、外光を放水用器具(シャワーヘッドS)内に取り入れる採光部16を備え、当該採光部16は、少なくともその一部が透光性素材で形成されていると共に、その内部に少なくともブルッカイト型の酸化チタンを含む光触媒が設けられている。そして、当該光触媒が外光を受けて光触媒反応する際に、水が当該光触媒と接触し、酸化分解される。なお、ブルッカイト型の酸化チタンとは、その結晶構造が、斜めに傾いた構造を成している斜方晶系の酸化チタンのことを意味する。
【0055】
本実施形態において、光触媒反応機構は、一例として、その採光部16がシャワーヘッドSの通水部4の外側ケース4aとして構成されており、当該採光部16は、シャワーヘッドSの通水部4の外側ケース4a全体が無色透明あるいは有色透明を成すように形成されている。これにより、光触媒反応機構は、シャワーヘッドSの通水部4の外側ケース4a全体から外光を通水部4内に取り入れている。
なお、通水部4の外側ケース4a(採光部16)の材料は、通水部4内に外光を取り込むことができる透光性素材であれば、特に限定されず、例えば、ポリカーボネイトなどのアクリル樹脂を適用することができる。
【0056】
また、通水部4の外側ケース4a(採光部16)は、より外光を通水部4内に取り込み易くする形状をなしており、図1(a),(c)には、その形状の一例が示されている。本実施形態において、通水部4の外側ケース4a(採光部16)は、一例として、入水部2側から出水部6側まで徐々にその口径が大きくなる筒状を成し、その断面の外周形状が正10角形を成すと共に、その断面の内周形状が12個の頂点を持つ星形を成すように形成されている。これにより、通水部4の外側ケース4a(採光部16)の外周面及び内周面の表面積を大きくすることができ、より効率的に外光を通水部4内に取り込むことが可能となる。
【0057】
なお、通水部4の外側ケース4a(採光部16)の形状は、上述した形状に限定されるものではなく、外光を通水部4内に取り込み易い形状であれば、使用目的や使用環境に応じて任意の形状に設計することができる。例えば、通水部4の外側ケース4a(採光部16)の断面の外周形状を多数の頂点を持つ星形を成すように形成すると共に、その断面の内周形状を正多角形を成すように形成してもよく、断面の外周形状、内周形状をいずれも多数の頂点を持つ星形を成すように形成してもよい。また、通水部4の外側ケース4a(採光部16)の外側形状を波状に形成してもよい。
【0058】
また、図1(c)に示すように、本実施形態において、光触媒反応機構の光触媒には、一例として、ブルッカイト型の二酸化チタンが用いられており、通水部4の外側ケース4aの内面(通水部4内を通水する水道水と接触する面)の全体に被膜処理を施し、ブルッカイト型の二酸化チタンの薄膜18aが形成されている。さらに、磁気処理部20の表面(通水部4内を通水する水道水と接触する面)の全体にも、被膜処理を施し、ブルッカイト型の二酸化チタンの薄膜18bが形成されている(図1(b)及び図4(a)参照)。そして、当該薄膜18a,18bに通水部4の外側ケース4a全体(採光部16)から取り入れられた外光中に含まれる紫外線を照射することにより、光触媒反応を活性化させることができる。
【0059】
なお、光触媒(例えば、ブルッカイト型の二酸化チタン)の薄膜を形成するための被膜処理は、銀イオン放出機構(例えば、コイル状部材12や網目状部材14)に施してもよい。この場合、形成された薄膜によって銀イオン放出機構からの銀イオンの放出に影響を及ぼさないように被膜処理を施すことが好ましい。このように、銀イオン放出機構(例えば、コイル状部材12や網目状部材14)にも光触媒(例えば、ブルッカイト型の二酸化チタン)の薄膜を形成することで、さらに光触媒反応を活性化させることが可能となる。
【0060】
本実施形態において、ブルッカイト型の二酸化チタンの薄膜18a,18bが形成された通水部4の外側ケース4aの内面及び磁気処理部20の表面は、通水部4内を通水する水道水と接触しており、薄膜18a,18b(光触媒)に紫外線が照射され、光触媒反応が活性化する際に、当該水道水が薄膜18a,18b(光触媒)に接触し、酸化分解されることで、当該水道水中から塩素を除去することができる。
【0061】
このように、本実施形態の浄水処理部10の光触媒反応機構によれば、紫外線を照射させれば半永久的に光触媒反応を活性化させることができ、上述したように例えば、濾材(例えば、活性炭や亜硫酸カルシウム)を用いた塩素除去のように浄水能力(残留塩素除去能力)が低下することはなく、長期に亘って一定の塩素除去能力を発揮することができる。この結果、定期的なメンテナンスは必要なく、ランニングコストの発生しない、使い勝手の良い快適な(例えば、洗髪時にリンスをしなくても、洗髪後の髪がサラサラになるような)シャワーヘッドS(放水用器具)を提供することができる。
【0062】
ここで、本実施形態に係る浄水処理部10の光触媒反応機構の浄水能力(残留塩素除去能力)を検証した結果について、以下、説明する。この場合、室温23℃、湿度55%の環境下において、水1L(遊離残留塩素濃度1ppm)をシャワーヘッドSの入水部2から取り込み、通水部4を通水して、出水部6から流出させ、流出された水道水の遊離残留塩素を測定し、当該検証を5回繰り返し行った。この結果、各回の流出水道水の平均遊離残留塩素濃度は、0.92ppmとなった。
【0063】
したがって、本実施形態の光触媒反応機構は、遊離残留塩素を8%減ずる浄水能力(残留塩素除去能力)を有することが検証され、上述した銀イオン放出機構の浄水能力(残留塩素除去能力)と併せて、本実施形態のシャワーヘッドS(放水用器具)によれば、水道水中の遊離残留塩素を60%減ずる浄水能力(残留塩素除去能力)を有することが検証された。
【0064】
また、図6には、本発明の第2実施形態に係る放水用器具(シャワーヘッドS)が示されている。なお、以下の説明において、上述した第1実施形態に係るシャワーヘッドS(図1(a)〜(c))と同一の構成には図面上で同一符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
本実施形態において、浄水処理部10の銀イオン放出機構は、一例として、コイル状部材12と網目状部材14に加えて、銀で形成されたスチールウール状部材40を備えており、水道水がスチールウール状部材40を通過中にスチールウール状部材40と接触する際にも、当該水道水中にスチールウール状部材40から銀イオンが放出される。この場合、スチールウール状部材40は、上述したコイル状部材12と同様に、水道水中に銀イオンを放出することができればよく、少なくとも銀を含む素材で形成されていればよい。例えば、銀のほか、各種の銀の化合物であってもよいが、銀の含有量が多い素材である方が好ましい。なお、各種の金属に銀メッキを施したものであってもよい。
【0066】
本実施形態において、スチールウール状部材40は、一例として、銀で形成された線状の部材を所定の隙間を有するように、所定の大きさのほぼ球状を成すように任意に丸めて形成されている。なお、隙間は、水道水の通過を妨げることのない程度に空けておくことが好ましい。
また、本実施形態においては、図6に示すように、一例として、スチールウール状部材40は、通水部4内の下部(コイル状部材12よりも出水部6側)に配置されている。なお、スチールウール状部材40の配置は、上述した配置に限定されるものではなく、例えば、通水部4内の最上部(コイル状部材12、網目状部材14及び磁気処理機構よりも入水部6側)や中間部(例えば、コイル状部材12と磁気処理機構との間)などに配置してもよい。
【0067】
このように、コイル状部材12及び網目状部材14に加えて、さらにスチールウール状部材40を備えることで、銀イオンの放出量を向上させることができ、長期に亘って一定の塩素除去能力を発揮することができる。なお、その他の効果は、上述した第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0068】
なお、本発明は、上述した第1実施形態、第1変形例、第2変形例及び第2実施形態に限定されるものではなく、例えば、銀イオン放出機構は、コイル状部材や網目状部材、スチールウール状部材のほか、棒状部材や玉状部材などであってもよい。この場合、棒状部材や玉状部材は、上述したコイル状部材12と同様に、少なくとも銀を含む素材で形成されていればよく、例えば、銀のほか、各種の銀の化合物であってもよいが、銀の含有量が多い素材である方が好ましい。また、各種の金属に銀メッキを施したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態に係る放水用器具の構成例を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、内部の構成を示す斜視図、(c)は、同図(a)のC−C線に沿った断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る銀イオン放出機構を示す図であって、(a)は、コイル状部材の斜視図、(b)は、同図(a)のB矢印の方向から見た平面図、(c)は、同図(a)のC矢印の方向から見た平面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る銀イオン放出機構を示す図であって、(a)は、網目状部材の斜視図、(b)は、同図(a)のB矢印の方向から見た平面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る磁気処理機構を示す図であって、(a)は、磁気処理機構の斜視図、(b)は、同図(a)のB−B線に沿った断面図、(c)は、同図(a)のC矢印の方向から見た平面図。
【図5】(a)は、本発明の第1変形例に係る放水用器具の内部の構成を示す斜視図、(b)は、本発明の第2変形例に係る放水用器具の内部の構成を示す斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る放水用器具の内部の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0070】
2 入水部
4 通水部
4a 外側ケース
6 出水部
10 浄水処理部
12 コイル状部材
12c,12e 絞り部
12d 拡張部
14 網目状部材
16 採光部
18a,18b 薄膜
20 磁気処理部
22 磁気発生部
22a 永久磁石
22b 磁性体
24 磁性体部
26 流路
28 防水カバー
30,32 支持板
30a,32a 開口
40 スチールウール状部材
h 放水孔
S シャワーヘッド
W 流路幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を取り込む入水部と、取り込んだ水を所定方向に通水する通水部と、通水された水を外部へ流出させる出水部とを備え、入水部から取り込まれ、通水部を通水し、出水部から流出されるまでのいずれかにおいて、水に浄水処理を施して水中の塩素を除去すると共に、水に磁気処理を施してマイナスイオンを発生させることが可能な放水用器具であって、
当該入水部、通水部、出水部のうちの少なくとも1つには、浄水処理を施す浄水処理部と磁気処理を施す磁気処理部とが内蔵されており、浄水処理部は、銀イオンを水中に放出して水中の塩素を除去する銀イオン放出機構を有していると共に、磁気処理部は、水に対して磁力を作用してマイナスイオンを発生させる磁気処理機構を有していることを特徴とする放水用器具。
【請求項2】
前記銀イオン放出機構は、少なくとも銀を含む素材で形成されたコイル状部材を備えており、水がコイル状部材を通過中に当該コイル状部材と接触する際、当該水中にコイル状部材から銀イオンが放出されることを特徴とする請求項1に記載の放水用器具。
【請求項3】
前記コイル状部材は、その径の大きさが一端から他端に亘って変化していることを特徴とする請求項2に記載の放水用器具。
【請求項4】
前記銀イオン放出機構は、少なくとも銀を含む素材で形成された網目状部材を備えており、水が網目状部材を通過中に当該網目状部材と接触する際、当該水中に網目状部材から銀イオンが放出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の放水用器具。
【請求項5】
前記磁気処理機構は、永久磁石が組み込まれた磁気発生部と、当該磁気発生部に沿って対向配置された磁性体部と、磁気発生部と磁性体部との間に形成され、水が流動可能な所定幅の流路とを備えており、磁気発生部と磁性体部との間には、流路の全体に亘って均一の磁力が作用しており、この流路内を水が流動する際、当該水の全体に対して磁力が作用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の放水用器具。
【請求項6】
前記磁気発生部には、複数の永久磁石が組み込まれており、少なくとも隣り合う一対の永久磁石は、同極同士が対向するように配列されていることを特徴とする請求項5に記載の放水用器具。
【請求項7】
前記出水部には、水をシャワー状に流出させるための複数の放水孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の放水用器具。
【請求項8】
前記浄水処理部は、銀イオン放出機構に加えて、光触媒を用いて水を酸化分解して水中の塩素を除去する光触媒反応機構を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の放水用器具。
【請求項9】
前記光触媒反応機構は、外光を放水用器具内に取り入れる採光部を備え、当該採光部は、少なくともその一部が透光性素材で形成されていると共に、その内部に少なくともブルッカイト型の酸化チタンを含む光触媒が設けられており、当該光触媒が外光を受けて光触媒反応する際に、水が当該光触媒と接触し、酸化分解されることを特徴とする請求項8に記載の放水用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−54691(P2007−54691A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240220(P2005−240220)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(504186529)株式会社 日本磁化学研究所 (10)
【出願人】(305040363)
【Fターム(参考)】