説明

放熱フィン取り付け方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は放熱フィン取り付けに関するものであり、例えば、表面実装型の電子回路素子を取り付けてなるプリント配線板において、より簡単かつ確実な冷却が可能にされた放熱フィン取り付けに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の技術においては、プリント配線板のような基板に搭載された半導体回路素子について向上した放熱特性を得るために、熱伝導性の接着剤により放熱板や放熱フィン等を固定させることが行われていた。また、このような場合に、基板と放熱フィンとの双方に所要の孔部を設けて、適当なネジおよびナットを用いて固定操作をすることもあった。図3は、上記の技術による従来例の概略構成図である。その図3の(A)において、プリント配線板1上の適所に放熱フィン2が搭載されており、この両者を貫通するように孔部3が設けられている。そして、適当なネジ4およびナット5により前記の孔部3を介してプリント配線板1と放熱フィン2とを固定させている。次の図3の(B)においては、プリント配線板1と放熱フィン2とが、所要の半田6層によって互いに固着されている。これに続く図3の(C)においては、プリント配線板1上の適所に表面実装型の半導体回路素子8が実装されており、適当な接着剤7を介して放熱フィン2が搭載されている。
【0003】ところで、前述された従来の技術には次のような難点があった。即ち、ネジやナットを用いて放熱フィンをプリント配線板に対して固定するときには、この放熱フィンやプリント配線板に孔部を設けることが必要であり、例えばプリント配線板として多層のものを用意したとしても、前記孔部の位置の制約等のために配線の自由度が減少してしまう。また、半田を用いて放熱フィンをプリント配線板に対して固定するときには、放熱フィン自体の加熱をすることが困難であり、従って半田付けの作業そのものが困難である。更に、接着剤として樹脂系のものを用いて放熱フィンをプリント配線板側に対して固定するときには、該接着剤自体の熱伝導性が劣っており、また、半導体パッケージに直接的に取り付けようとするときには、接着剤自体の接着性能や一緒に組み込まれる部品の大きさ等のために余り多くを期待することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記されたように、前記の従来技術においては、ネジやナットを用いて放熱フィンをプリント配線板に対して固定するときには、プリント配線板として多層のものを用意したとしても配線の自由度が減少すること、半田を用いて固定するときには、放熱フィン自体の加熱が困難であって半田付けの作業そのものが困難になること、そして、接着剤として樹脂系のものを用いて固定するときには、該接着剤自体の熱伝導性が劣っており余り多くを期待することができない、というような幾つかの問題点があった。
【0005】この発明は上記された問題点を解決するためになされたものであり、例えば、表面実装型の電子回路素子を取り付けてなるプリント配線板に、簡単な構成でありながら確実な冷却が可能な放熱フィンを、容易に取り付けることのできる放熱フィン取り付け方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る放熱フィン取り付け方法は、放熱フィンの適所に孔部を設け、プリント配線板の表面に前記孔部に対応して他の表面実装用部品とともにナット部を搭載して半田付けを行い、前記孔部を介して前記ナット部まで貫通するネジと前記ナット部5により、前記放熱フィンを前記孔部を介してプリント配線板に固定することを特徴とするものである。
【0007】
【作用】の発明に係る放熱フィン取り付け方法によれば、プリント配線板への装着が簡略化されるとともに、当該プリント配線板自体の配線の自由度に支障が生じることもない。即ち、この発明に係る放熱フィン取り付け方法においては、放熱フィン2の取り付けに先だって、当該放熱フィン2を固定するためのナット部5がプリント配線板1上に他の表面実装用部品とともに予め実装されているために、従来の方法とは異なり、放熱フィンを固定するためのナット部をプリント配線板や放熱対象部品に別途に設けることが不要にされる。そして、ナット部としての孔部を前記プリント配線板に設ける必要がないことから、当該プリント配線板の配線自由度を損なうこともない。同様にして、放熱板等が内蔵されたQFP等の放熱対象部品に対してもナット部としての孔部を設ける必要がなく、放熱フィンの固定時に前記QFP等の放熱対象部品に対して直接応力が加わることがなく、それだけ高い信頼度を維持することがでる。
【0008】
【実施例】図1は、この発明に係る放熱フィン取り付け方法の実施例に関する概略的な説明図である。まず図1の(A)において、この発明の放熱フィン取り付け方法により製造される装置は、プリント配線板1とその適所に搭載される放熱フィン2を備えている。この放熱フィン2は、例えばアルミ合金(アルミ銅合金)の押出し成形によって作成することができる。また、この放熱フィン2の適所にはドリル等の適当な手段によって孔部3が設けられている。この実施例の方法は、まず、プリント配線板1上の適所に半導体回路素子8を載置すると共に、前記放熱フィン2の孔部3に対応する位置にナット部5を載置して、プリント配線板1に対して半田付けを行う。次に、適当なネジ4により前記の孔部3を介してプリント配線板1と放熱フィン2とを固定させる。前記ナット部5については、銅合金または4?2アロイを基にしてブロック状に形成して、ドリル操作等によって所要のネジ山を切るようにされる。そして、この部分にニッケル・スズ・メッキを施して半田付け性を向上させるとともに、その耐腐食性が良好になるようにされる。図1の(B)および図1の(C)は、いずれも、前記ナット部の変形例を示すものである。図1の(B)においては、ナット部として一対のパッド状のナット部5Bが設けられる。これをより詳細にいえば、取り付け用のナット部は半田付け等の適当な操作によって前記パッド状の部位に固定されることになる。また、図1の(C)においては、フレーム状のナット部5Cにしてその適所に設けた孔部を用いるようにされる。
【0009】図2は、この発明に係る放熱フィン取り付け方法の別の実施例に関する概略的な説明図である。まず図2の(A)において、この放熱フィン2の底部には、凹部2Aが設けられて、例えば、半導体回路部品(図示されない)に対する逃げ場が設けられている。次の図2の(B)において、前記のような逃げ場は特に設けられてはいない。なお、この両図において、部位2Bは例えば補強のために用いることができる。
【0010】
【発明の効果】以上詳細に説明されたように、この発明に係るプリント配線板は、プリント配線板にナット部としての孔部を設ける必要がないために、当該プリント配線板自体の配線自由度を損なうことがなく、同様にして、放熱板等が内蔵されたQFP等の放熱対象部品等に対してもナット部としての孔部を設ける必要がないことから、放熱フィンの固定作業時に前記QFP等の放熱対象部品に対して直接応力が加わることがなく、それだけ高い信頼度を維持することができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る放熱フィン取り付け方法の実施例に関する概略的な説明図である。
【図2】 この発明に係る放熱フィン取り付け方法の別の実施例に関する概略的な説明図である。
【図3】 上記の技術による従来例の概略構成図である。
【符号の説明】
1:プリント配線板;
2:放熱フィン;
3:孔部;
4:ネジ;
5:ナット部;
8:半導体回路素子;

【特許請求の範囲】
【請求項1】 放熱フィンの適所に孔部を設け、プリント配線板表面に前記孔部に対応して他の表面実装用部品とともにナット部を搭載して半田付けを行い、前記孔部を介して前記ナット部まで貫通するネジと前記ナット部により、前記放熱フィンを前記孔部を介してプリント配線板に固定することを特徴とする放熱フィン取り付け方

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3192245号(P3192245)
【登録日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【発行日】平成13年7月23日(2001.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−277747
【出願日】平成4年9月24日(1992.9.24)
【公開番号】特開平6−112676
【公開日】平成6年4月22日(1994.4.22)
【審査請求日】平成11年7月13日(1999.7.13)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【参考文献】
【文献】特開 平3−250697(JP,A)
【文献】実開 平4−65489(JP,U)