説明

放熱板の固定構造、及び、光ディスク装置

【課題】作業性やメンテナンス性に優れる放熱板の固定構造を提供する。
【解決手段】放熱板1の板状部11の一端側には、断面略L字状のフック部12aを有する係合部12が間隔をあけて少なくとも2つ設けられ、他端側には、ネジ止めが行われる第1のネジ止め部13が形成される。回路基板2には、フック部12aと係合する少なくとも2つの第1の貫通孔21と、ネジ止めが行われる第2のネジ止め部23と、が形成される。第1の貫通孔21にフック部12aを斜めに差し込んで、フック部12aを中心として放熱板1を回転させることにより第1のネジ止め部13と第2のネジ止め部23とを重ね合わせ、放熱板1がネジ4を用いて回路基板2に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に放熱板を固定するための固定構造に関する。また、本発明は、そのような固定構造が適用された光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブルーレイディスク(以下BDと記載)、デジタル多用途ディスク(以下DVDと記載)、コンパクトディスク(以下CDと記載)等の光ディスクに記録される情報を再生したり、これらの光ディスクに情報を記録したりするために光ディスク装置が使用される。
【0003】
図5は、従来の光ディスク装置100の構成を説明するための模式図である。従来の光ディスク装置100は、筐体101内に光ディスクDを配置するための空間102を有する。この空間102への光ディスクDの出し入れ(正面側で出し入れが行われる)については、トレイを利用するタイプや、トレイを利用せずに光ディスクDを直接出し入れするタイプ(いわゆるスロットインタイプ)のものがある。
【0004】
筐体101内には、空間102内に配置された光ディスクDのディスク面と対向するように配置されるフレーム部材103が備えられる。このフレーム部材103には、光ディスクDを回転させるためのスピンドルモータ104や、光ディスクDに光を照射するとともに光ディスクからの光を受光して、情報の読み取りや書き込みを可能とする光ピックアップ105等が配置される。
【0005】
スピンドルモータ104の出力軸には、ターンテーブル(不図示)が形成される。このターンテーブルは、光ディスクDを基準としてフレーム部材103とは反対側に配置されるクランパ106と協働して光ディスクDを保持可能となっている。このように構成されるために、スピンドルモータ104の駆動によって、光ディスクDを回転させることができる。
【0006】
光ピックアップ105は、フレーム部材103に固定配置されて光ディスクDの半径方向(図5の左右方向が該当)と平行な方向に延びるガイドシャフト107に、摺動可能に支持される。また、フレーム部材103には、モータ108によって回転されるリードスクリュ109が配置される。光ピックアップ105には、リードスクリュ109と係合して、リードスクリュ109の回転を直線方向の動きに変換するティース110が固定されている。このために、光ピックアップ105は、モータ108の駆動によって光ディスクDの半径方向に移動可能となっている。
【0007】
光ディスクDの再生や記録が行われる場合には、スピンドルモータ104によって光ディスクDが回転され、モータ108の駆動によって光ピックアップ105の半径方向の位置が適宜動かされる。これにより、光ピックアップ105は、光ディスクDに形成される所望のアドレスにアクセスして、情報の読み取りや書き込みを行う。
【0008】
ところで、このように構成される光ディスク装置100においては、光ディスク装置100の駆動を行う上で必要となる電気回路が形成された回路基板が、フレーム部材103の下面側(図5を念頭においた表現;光ディスクDが配置される側とは反対側と言ってもよい)に取り付けられることがある。そして、この回路基板には、発熱部品(例えばICチップ等)が搭載されるために、通常、発熱部品から発生される熱を放熱する放熱板が取り付けられる。
【0009】
回路基板への放熱板の取り付けは、従来、例えば図6に示すように行われる。図6は、従来のおける、回路基板への放熱板の取り付け構成例を説明するための模式図で、図6(a)は取り付け途中の状態を示す側面図で、図6(b)は放熱板を回路基板に取り付ける際に最終的に行われる作業を説明するため図(拡大平面図)である。
【0010】
発熱部品203が搭載される回路基板201には、放熱板202の一部を折り曲げ形成して得られる係合部202aを挿入する貫通孔201aが形成されている。なお、放熱板202の係合部202aは、その先端側が根元側に比べて幅広に形成されている。
【0011】
回路基板201に放熱板202を取り付けるにあたっては、まず、放熱板202の係合部202a(複数設けられる)が貫通孔201aに挿入される。これにより図6(a)の状態、及び、図6(b)の左図の状態が得られる。そして、貫通孔201aから突出した係合部202aの先端側(幅広の部分)が、治具を用いて回転される。これにより、図6(b)の右図の状態となり、係合部202aの先端側が貫通孔201aから抜けない状態で固定され、放熱板202が発熱部品203に熱的に接触した状態が維持されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−269625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述の放熱板の固定構造では、最終的行う係合部202aの曲げ作業のために、回路基板201を裏返す作業が必要であり、必ずしも作業性が良いとは言えない。また、リワークやメンテナンス等のために放熱板202を回路基板201から取り外す場合には、曲げた部分を元に戻す必要があり、その作業性が悪い。
【0014】
この点、特許文献1に開示されるようにして放熱板を回路基板に取り付けることにより、上述の問題が解消される。図7は、回路基板への放熱板の取り付け構成に関する、他の従来例(特許文献1の構成例)を説明するための図で、図7(a)は放熱板の構成を示す上面図、図7(b)は回路基板に放熱板が取り付けられた状態を示す断面図である。
【0015】
図7に示す例では、放熱板302は長手方向の一端部302aが断面L字状とされ、この一端部全体が回路基板301に係止される。また、放熱板302の長手方向の他端部302bも断面L字状とされるが、こちら側はネジ止め用の貫通孔302cが形成され、回路基板301に螺着される。この構成では、回路基板301を裏返すことなく放熱板302を回路基板301に固定でき、また、ネジ304を取り外すことによって、放熱板302を回路基板301から簡単に取り外せる。
【0016】
しかしながら、図7に示す構成では、放熱板302の一端部全体が回路基板301に係止される構成であり、放熱板302の一端部302aを挿し込めるように回路基板301に設けられる貫通孔のサイズが大きくなってしまう。すなわち、この構成は、回路基板301の小型化には不利である。また、貫通孔のサイズが大きくなるために、回路基板301の中央寄りの一部にのみ放熱板302を配置するといったことは、他の部品との関係や基板強度の面から難しいと言える。
【0017】
更に、図7に示す構成では、発熱部品303と放熱板302との間の熱的な接触を得るにあたって、放熱板302から発熱部品303に大きな負荷がかかり易い(負荷の調整が難しい)といった問題もある。発熱部品303には上述のようにICチップが含まれ、ICチップに過度な負荷が加わるとICチップが破損してしまう可能性がある。
【0018】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、作業性やメンテナンス性に優れる放熱板の固定構造を提供することである。また、本発明の他の目的は、回路基板上に配置される発熱部品に過度な負荷を与えることなく適切な放熱性能が得られる放熱板の固定構造を提供することである。更に、本発明の他の目的は、以上のような放熱板の固定構造を備えることにより、適切な放熱性能を備えつつ、組み立て作業が行い易い光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明の放熱板の固定構造は、回路基板に放熱板を固定するための固定構造であって、前記放熱板の板状部の一端側には、断面略L字状のフック部を有する係合部が間隔をあけて少なくとも2つ設けられ、前記放熱板の板状部の前記一端側とは反対側となる他端側には、ネジ止めが行われる第1のネジ止め部が形成され、前記回路基板には、前記フック部と係合する少なくとも2つの第1の貫通孔と、ネジ止めが行われる第2のネジ止め部と、が形成され、前記第1の貫通孔に前記フック部を斜めに差し込んで、前記フック部を中心として前記放熱板を回転させることにより前記第1のネジ止め部と前記第2のネジ止め部とを重ね合わせ、前記放熱板がネジを用いて前記回路基板に固定される構成(第1の構成)とされる。
【0020】
本構成では、回路基板を裏返すことなく、簡単に放熱板の固定が行える。また、本構成では、放熱板の一端側を回路基板に係止するにあたって、板状部の一端側に間隔をあけて配置される複数の係合部を設ける構成としている。このために、板状部の一端側全体が回路基板に係止される構成に比べて、回路基板に設けられる貫通孔の総面積を小さくすることが可能である。すなわち、本構成は、回路基板の小型化や、回路基板の中央寄りの一部にのみ放熱板を配置するのに適した構成と言える。
【0021】
上記第1の構成の放熱板の固定構造において、前記係合部には、前記回路基板に当接して前記回路基板に対する前記放熱板の高さ位置を決める当接面が、前記フック部に並ぶように形成されている構成(第2の構成)を採用するのが好ましい。本構成によれば、放熱板と回路基板上に配置される発熱部品(例えばICチップ)との熱的な接触を確実に得つつ、放熱板によって発熱部品に過度の負荷が加わることを防止できる。
【0022】
上記第1又は第2の構成の放熱板の固定構造において、前記放熱板には、前記回路基板に設けられる第2の貫通孔と係合して、前記回路基板に対する前記放熱板の面内方向の位置を位置決めする位置決め部が形成されている構成(第3の構成)を採用するのが好ましい。本構成によれば、放熱板の回路基板への固定作業が行い易い。
【0023】
また、上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置は、上記第1から第3のいずれかの構成の放熱板の固定構造を備える構成(第4の構成)となっている。本構成の光ディスク装置は、適切な放熱性能を発揮することが期待できるとともに、組み立て作業が行い易い。
【0024】
上記第4の構成の光ディスク装置において、前記回路基板が取り付けられるフレーム部材を備えるようにし、前記放熱板と前記回路基板とが、前記ネジによって前記フレーム部材に共締めされる構成を採用してもよい。本構成では、ネジの使用数を低減でき、組み立て作業時の作業性向上が期待できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、作業性やメンテナンス性に優れる放熱板の固定構造を提供できる。また、本発明よれば、回路基板上に配置される発熱部品に過度な負荷を与えることなく適切な放熱性能が得られる放熱板の固定構造を提供できる。また、本発明によれば、適切な放熱性能を備えつつ、組み立て作業が行い易い光ディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る放熱板が回路基板に固定された状態を示す概略平面図
【図2】本発明の実施形態に係る放熱板の構成を示す概略斜視図
【図3】本発明の実施形態に係る放熱板が回路基板に取り付けられる途中の状態を示す概略斜視図
【図4】本実施形態の放熱板が回路基板に固定された状態を側面から見た拡大図
【図5】従来の光ディスク装置の構成を説明するための模式図
【図6】従来のおける、回路基板への放熱板の取り付け構成例を説明するための図
【図7】回路基板への放熱板の取り付け構成に関する、他の従来例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の放熱板の固定構造が光ディスク装置に適用される場合を例に、本発明の実施形態に関する説明が図面を参照しながら行われる。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る放熱板1が回路基板2に固定された状態を示す概略平面図である。図1においては、回路基板2が取り付けられるフレーム部材3も一緒に示されている。フレーム部材3は、上述した光ディスク装置100(図5参照)の筐体101内に配置されるフレーム部材103と同様のものであり、光ピックアップやスピンドルモータ(いずれも不図示)等が搭載される。
【0029】
回路基板2には、フレーム部材3に搭載される光ピックアップやスピンドルモータの駆動制御等、光ディスク装置の駆動を行う上で必要となる電気回路が形成されている。回路基板2のフレーム部材3への固定は、例えばネジを用いて行われる。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る放熱板1の構成を示す概略斜視図である。回路基板2で発生する熱を放熱するための放熱板は、例えば板金をプレス加工して得られる。放熱板1は、概ね平面視矩形状の板状部11を備える。板状部11には、放熱板1が取り付けられる回路基板2側に突出する突出部(凹部)11aが複数形成されている。この突出部11aは、回路基板2上に搭載される発熱部品(例えばICチップ;図1においては放熱板1に覆われて見えない)と放熱板1との間の熱的な接触を確実なものとする目的で設けられる。
【0031】
なお、放熱板1と発熱部品との間には、両者の熱的な接触をより確実なものとするために、放熱グリスや放熱シート等の熱伝導性部材を介在させるのが好ましい。
【0032】
また、板状部11には、平面視略円形状や略矩形状の複数の貫通孔11bも形成されている。これらの貫通孔11bは、回路基板2に取り付けられる部品やフレーム部材3が収容される筐体内の部品と、放熱板1とが干渉するのを防止する目的で形成されている。
【0033】
板状部11の長手方向の一端側(本発明の板状部の一端側の一例)には、板状部11に対して略直角となるように折り曲げられてなる係合部(爪部)12が2つ設けられている。この係合部12の幅(板状部11の短手方向に平行な方向の長さ)は、板状部11の短手方向の長さに比べて非常に小さい。
【0034】
2つの係合部12のうち、一方は板状部11の短手方向の端部に設けられ、他方は板状部11の短手方向の略中央部に設けられている。そして、2つの係合部12は、間隔をあけて一列に並ぶように配置されている。この係合部12は、詳細は後述するが、回路基板2に設けられる平面視略矩形状の第1の貫通孔21(図1参照;ただし、図1ではその一部しか見ていない)と係合する。この第1の貫通孔21は、本発明の回路基板に形成される第1の貫通孔の一例である。
【0035】
なお、本実施形態では係合部12の数を2つとしているが、その数は、場合によっては3つ以上としても構わない。ただし、回路基板2に設ける第1の貫通孔21の数(複数ある第1の貫通孔の総面積)があまり多く(大きく)ならないように、係合部12の数は2つが好ましい。
【0036】
また、係合部12が設けられる板状部11の短手方向の位置についても、適宜変更して構わず、2つの係合部が短手方向の両端に1つずつ配置される構成等としても構わない。本実施形態では、特に発熱量が多い発熱部品(メインICチップ)と放熱板1との熱的な接触が確実なものとなることも考慮して、2つの係合部12の位置が決められている。すなわち、2つの係合部12は、長手方向に沿って側面視した場合に、発熱量の多い発熱部品をその近傍位置で挟むように設けられている。
【0037】
2つの係合部12のそれぞれは、断面略L字状のフック部12aを備える。このフック部12が、回路基板2に形成される第1の貫通孔21と係合する。また、2つの係合部12のそれぞれは段差構造を有し、板状部11からの高さがフック部12aの先端よりも低くなる当接面12bを有する。この当接面12bは、回路基板2の表面に当接して回路基板2に対する放熱板1の高さ方向の位置(高さ位置)を決める機能を有する。当接面12bは、本発明の当接面の一例であり、フック部12aに並ぶように形成されている。
【0038】
板状部11の長手方向の一端側とは反対側となる他端側(本発明の板状部の他端側の一例)には、板状部11に対して略直角となるように折り曲げられてなるネジ止め部13(本発明の第1のネジ止め部の一例)が2つ設けられている。ネジ止め部13の板状部11に対する折り曲げ方向は、係合部12の折り曲げ方向と同じ方向である。ネジ止め部13は、断面略L字状に設けられ、板状部11と略平行となる部分にネジを通す貫通孔13aが形成されている。
【0039】
なお、本実施形態では、2つのネジ止め部13は、板状部11の短手方向の両端部に1つずつとなるように配置されている。そして、2つのうちの一方が板状部11の長手方向の側面に設けられ、他方が板状部11の短手方向の側面に設けられる構成となっている。しかし、これはあくまで一例であり、適宜変更して構わない。すなわち、2つのネジ止め部13が、いずれも長手方向の側面に設けられたり、或いは、いずれも短手方向の側面に設けられたりしてもよい。また、2つネジ止め部13の位置は、板状部13の短手方向の両端部に限定されるものではなく、一方、或いは、両方を短手方向の中央寄りに配置する構成等としても構わない。
【0040】
板状部11の中央部近傍には、板状部11に対して略直角となるように折り曲げられてなる位置決め部14が設けられている。位置決め部14の板状部11に対する折り曲げ方向は、係合部12及びネジ止め部13の折り曲げ方向と同じ方向である。この位置決め部14は、回路基板2に対する放熱板1の面内方向の位置を位置決めする機能を有する。
【0041】
位置決め部14は、平面視した場合に、先端側中央部のみが突出した略逆凸の字状に設けられる。先端側の突出部14aは、回路基板2に設けられる平面視略矩形状の第2の貫通孔22(図1参照;ただし、図1ではその一部しか見ていない)に挿入される。第2の貫通孔22は、突出部14aのサイズより若干大きく設けられるが、ほぼ同サイズとなっている。なお、この第2の貫通孔22は、本発明の第2の貫通孔の一例である。
【0042】
位置決め部14の突出部14aを除く先端部14bは、回路基板12の表面と当接して、回路基板2に対する放熱板1の高さ方向の位置を決める機能を有する。この先端部(当接面)14bの板状部11からの高さは、係合部12の当接面12bの板状部11からの高さと等しく設けられる。そして、この高さは、ネジ止め部13の板状部11からの最も高い部分(回路基板2との当接面)の高さ位置とも同じである。
【0043】
次に、図3を参照して、以上のように構成される放熱板1の回路基板2への固定方法について説明する。なお、図3は、本発明の実施形態に係る放熱板1が回路基板2に取り付けられる途中の状態を示す概略斜視図である。図3には、回路基板2が取り付けられるフレーム部材3も合わせて示されている。
【0044】
まず、放熱板1は、係合部12のフック部12aが回路基板2に設けられる第1の貫通孔21に挿入される姿勢とされる。そして、第1の貫通孔21にフック部12a(2つ)が斜めに挿し込まれる(これが図3に示す状態である)。この状態から、フック部12aを中心として、放熱板1の2つのネジ止め部13と、回路基板2に設けられる2つのネジ止め部23(本発明の第2のネジ止め部の一例)とが、それぞれ重なり合うように、放熱板1を回転させる(図3の矢印方向に回転させる)。この回転の際に、同時に、放熱板1の位置決め部14の突出部14aが回路基板2に設けられる第2の貫通孔22(図1参照)に挿入されるようにする。
【0045】
なお、回路基板2に設けられる2つの第2のネジ止め部23は、一方は貫通孔であり、他方は切り欠きとなっている。ただし、この構成に限定されず、両者とも貫通孔であったり、両者とも切り欠きであったりしても構わない。
【0046】
上述の回転によって、放熱板1に設けられる第1のネジ止め部13(正確には貫通孔13a)と、回路基板2に設けられる第2のネジ止め部23との重なりが得られたら、ネジ4(図1参照)によって放熱板1が回路基板2に固定される。なお、本実施形態では、放熱板1と回路基板2とが、ネジ4によってフレーム部材3に共締めされる構成となっている。このために、光ディスク装置を組み立てる上でのネジの数を低減可能になっている。ただし、放熱板1は、ネジによって回路基板2にのみ固定される構成であっても構わない。この場合、回路基板2に設けられる第2のネジ止め部23は、ネジ孔とする必要がある。
【0047】
次に、図4を参照して、本実施形態の放熱板1の固定構造の効果について説明する。なお、図4は、本実施形態の放熱板1が回路基板2に固定された状態を側面から見た拡大図である。なお、図4は、係合部12と回路基板2との関係が理解され易いように、係合部12近傍を拡大した図である。また、図4には、フレーム部材3も含まれている。
【0048】
放熱板1が回路基板2に固定された状態においては、フック部12aが回路基板2の下面と係合し、当接面12bが回路基板2の表面と係合した状態となり、この2つによって回路基板2が挟まれたような状態になる。このために、放熱板1が回路基板2から浮き上がるのが防止されるとともに、放熱板1の板状部11が回路基板2の表面に近づき過ぎるのを防止できる。なお、放熱板1の板状部11が回路基板2の表面に近づき過ぎるのは、位置決め部14の当接面14bによっても防止されている。
【0049】
このために、当接面12b(当接面14b)の高さ位置を適切に調整することにより、放熱板1は、回路基板2に固定された状態において、回路基板2上の発熱部品24に対して熱的な接触を確実に得られ、適切な放熱性能を発揮する。更に、板状部11が過度に発熱部品に力を加えないようにできるために、例えばICチップの破損等を防止できる。
【0050】
放熱板1に設けられる係合部12は、複数に分散されることで、従来技術(図7参照)における端部全体に設けられる係合部と同様の係止効果を発揮する。一方で、従来技術の構成に比べて、回路基板2に設けられる貫通孔の面積(総面積)を小さくできるので、回路基板2の小型化に有利であるとともに、回路基板2の強度低下も抑制できる。更に、回路基板2に設けられる貫通孔の面積を小さくできるために、例えば放熱板を回路基板の中央寄りの一部にのみ設けるといったことも可能である。
【0051】
また、本実施形態の放熱板1の固定構造では、放熱板1を回路基板2に固定するにあたって、回路基板2を裏返す必要がない。また、リワークやメンテナンス等のために放熱板1を回路基板2から容易に取り外すことが可能である。このため、本実施形態の放熱板1の固定構造を採用すれば作業性が良くなる。
【0052】
以上に示した実施形態は本発明の例示であって、本発明は以上に示した実施形態の構成に限定されるものではない。
【0053】
例えば、以上に示した実施形態では、放熱板1(板状部11)の長手方向の一端に係合部12が設けられ、他端にネジ止め部13が設けられる構成としたが、これに限定される趣旨ではない。すなわち、放熱板の短手方向の一端に係合部が設けられ、他端にネジ止め部が設けられる構成であってもよい。また、放熱板(板状部)の平面視の形状についても、例えば正方形状や楕円形状等、他の形状であっても勿論よい。
【0054】
また、以上に示した実施形態では、位置決め部14を設ける構成としたが、この位置決め部14については設けられなくもよい。また、位置決め部が設けられる場合であっても、位置決め部に回路基板2の表面と当接する当接面(本実施形態の当接面14b)を設けない構成としてもよい。
【0055】
また、本発明の放熱板の固定構造は、光ディスク装置が他の放熱板を備える場合には、その放熱板に対しても適用可能である。また、本発明の放熱板の固定構造は、光ディスク装置以外のものにも広く適用できるのは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、例えば光ディスクの再生や記録を行う光ディスク装置に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 放熱板
2 回路基板
3 フレーム部材
4 ネジ
11 板状部
12 係合部
12a フック部
12b 当接面
13 ネジ止め部(第1のネジ止め部)
14 位置決め部
21 第1の貫通孔
22 第2の貫通孔
23 ネジ止め部(第2のネジ止め部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に放熱板を固定するための固定構造であって、
前記放熱板の板状部の一端側には、断面略L字状のフック部を有する係合部が間隔をあけて少なくとも2つ設けられ、
前記放熱板の板状部の前記一端側とは反対側となる他端側には、ネジ止めが行われる第1のネジ止め部が形成され、
前記回路基板には、前記フック部と係合する少なくとも2つの第1の貫通孔と、ネジ止めが行われる第2のネジ止め部と、が形成され、
前記第1の貫通孔に前記フック部を斜めに差し込んで、前記フック部を中心として前記放熱板を回転させることにより前記第1のネジ止め部と前記第2のネジ止め部とを重ね合わせ、前記放熱板がネジを用いて前記回路基板に固定される、放熱板の固定構造。
【請求項2】
前記係合部には、前記回路基板に当接して前記回路基板に対する前記放熱板の高さ位置を決める当接面が、前記フック部に並ぶように形成されている、請求項1に記載の放熱板の固定構造。
【請求項3】
前記放熱板には、前記回路基板に設けられる第2の貫通孔と係合して、前記回路基板に対する前記放熱板の面内方向の位置を位置決めする位置決め部が形成されている、請求項1又は2に記載の放熱板の固定構造。
【請求項4】
光ディスクを回転させて、情報の再生が可能に設けられる光ディスク装置であって、
請求項1から3のいずれかに記載の放熱板の固定構造を備える、光ディスク装置。
【請求項5】
前記回路基板が取り付けられるフレーム部材を備え、
前記放熱板と前記回路基板とが、前記ネジによって前記フレーム部材に共締めされる、請求項4に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−8730(P2013−8730A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138620(P2011−138620)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】