説明

放送受信機

【課題】無意味な領域を表示画面に表示することを防止して、無駄なスクロール動作を防
止することができる放送受信機及び表示装置を提供する。
【解決手段】スクロール動作が行われると、スクロール移動量算出部1でスクロール移動量が算出され、このデータに基づいて表示領域判定部3は、仮想画面メモリ2の仮想画面領域から表示画面で表示できるサイズのウインドウを移動させて、データを切り出し、表示画面メモリ5に送信する。表示領域判定部3は、仮想画面メモリ2の仮想画面領域内に存在するデータを監視し、仮想画面領域の最も下方に配置されている要素や可視要素等を検出して、スクロール制御を行う。イベント発生部4は、仮想画面領域にイベント発生設定があるか否かを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
文書の一部をタグと呼ばれる特別な文字列で囲うことにより、見出しやハイパーリンクなどの文書の構造や、文字の大きさや組版の状態などの修飾情報を文書中に記述していく記述言語としてマークアップ言語が知られている。マークアップ言語により記述された文書は、1つの仮想画面領域を構成している。この仮想画面領域とモニタなどの表示画面の表示領域とはサイズが異なるために、仮想画面領域全体を表示画面で表示するには、画面のスクロール機能を用いて、仮想画面領域から切り出す領域をずらしていくことにより表示領域に表示する。
【0003】
特に、地上デジタルテレビジョン放送や地上デジタルラジオ放送等の地上デジタル放送おける端末向けデータ放送サービスでは、マークアップ言語により記述されたBML文書等によりデータ放送が行われ、受信用端末に実装されたBMLブラウザでBML文書を解釈・処理し、受信用端末の画面上にマルチメディアコンテンツを表示している。
【0004】
例えば、図12(a)に示すように、仮想画面領域100のサイズが、“W240×H480”と定められている場合には、この範囲内でコンテンツの要素が配置される。図12(b)の符号200は、受信用端末の表示器を示している。この例では、表示器200のサイズは、“W240×H320”であり、表示領域は、上側の動画表示領域(AVデータ表示領域)201と、下側のデータ表示領域(マルチメディアコンテンツ表示領域)202とに分割されている。受信用端末では、例えば、“W240×H140”のデータ表示領域202に、仮想画面領域の一部が縦スクロール可能に表示され、スクロールによって仮想画面領域の全部を見ることができるようになっている。
【0005】
仮想画面領域に配置される要素は、必ずしも仮想画面領域の下端まで配置されるとは限られず、例えば、仮想画面領域の上半分にしか要素が配置されない場合もある。このような場合に、スクロールを続けると、要素が1つも無い状態が表示領域に表示されることになる。
【0006】
ところで、BML文書を構成する各要素にはvisibility特性を指定することによって、その要素を表示領域に表示するかどうかを決定することができる。例えば、図13に示すように、文書には要素として、月、日、曜日とその日の天気予報が記述されているが、3/13(日)〜3/16(水)までの要素についてはvisibility特性がhiddenと指定されているので、この領域の要素は不可視となり、要素が配置されているにもかかわらず、不可視の要素については、画面に表示されない。
【0007】
図14(a)は、図13の文書の内容が仮想画面領域に展開された状態を、図14(b)は表示領域(画面)を示し、表示領域の大きさは仮想画面領域の3行分の要素を表示できる例としている。仮想画面領域においては、3/13(日)〜3/16(水)までの要素が配置されているものの、これらのvisibility特性の値がhiddenであるため、図14(a)の線引きされた位置まで上スクロールすると、図14(b)に示すように、画面に何も表示されない状態となる。
【0008】
また、図15は、要素の背景色を指定した例であり、div要素のbackground-color特性の値がtransparent(透明)と指定されている。図16(a)は、図15の文書による仮想画面領域の状態を示すもので、picture1 とpicture2(図の斜線部分)のimg要素の下端よりも仮想画面領域の下方に透明のdiv要素の下端が存在する。このように、下方の要素が透明である場合には、この要素は不可視となり、要素が配置されているにもかかわらず、不可視の要素については、画面に表示されない。したがって、スクロールを続けると、図16(b)のように画面に何も表示されない状態となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術では、マークアップ言語により記述された文書が展開された仮想画面領域の途中から要素が配置されていない場合、すなわち仮想画面領域の下端よりも仮想画面領域の最も下方に配置された要素の下端が上にある場合や、仮想画面領域に要素が配置されていても、要素の途中から下端まで不可視要素となっている場合には、仮想画面領域の下端までスクロールを行ってしまうと、画面に何も表示されない状態が出現する。このスクロール動作は、無意味な領域まで画面上に表示させることになるとともに、ユーザに無駄な動作を行わせることになっていた。
【0010】
また、仮にスクロール動作を制御しようとしても、文書中の要素の特性により背景画像画が指定されている場合、背景画像の下辺を考慮しなければ、背景画像の全体が表示されないという問題が生じる。さらに、仮想画面領域の下端を越えてスクロールさせようとしたときに所定のイベントを発生させる設定がされている場合には、このような条件も考慮してスクロール制御を行う必要がある。
【0011】
そこで、本発明は、無意味な領域を表示画面に表示することを防止して、無駄なスクロール動作を防止するとともに、文書中の要素の特性により背景画像画が指定されている場合や仮想画面領域の下端において所定のイベントを発生させる条件が設定されている場合等でも、これらの状態に応じて適切なスクロール制御を行うことができる放送受信機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の放送受信機は、BML文書を受信する受信部と、情報を表示する表示部と、スクロール指示を行う入力部と、仮想画面領域の最も下方に配置された要素の下辺を前記BML文書から特定する特定部と、スクロール指示に基づいてスクロール動作を行うスクロール制御部と、を備え、スクロール制御部は、スクロール指示により、前記特定部が特定した下辺が表示部の表示領域の下端を越えるとき、上方向スクロール動作を制限させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無駄なスクロール動作を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は地上デジタル放送受信用端末におけるスクロール制御部の構成を示す。
【0015】
スクロール制御部は、スクロール移動量算出部1、仮想画面メモリ2、表示領域判定部3、イベント発生判定部、表示画面メモリ5等で構成されており、コンピュータにより制御されている。
【0016】
スクロール移動量算出部1は、表示画面上で表示されている上カーソルキー、下カーソルキーが押し下げられたときに、信号が入力され、所定単位量のスクロール移動量を算出する。仮想画面メモリ2は、マークアップ言語により記述された文書等の文書ファイルが外部から入力されると、その文書の内容を分析してメモリ上に展開して、要素を配置し、また、要素の属性、特性等も記憶する。
【0017】
上記文書は、1つの仮想画面を構成するため、文書中の要素の特性により、仮想画面メモリにおける仮想画面領域の大きさが決定される。具体的には、body要素のresolution特性により指定される。例えば、240×480が指定されれば、仮想画面領域は縦×横が240px(ピクセル)×480pxの領域となる。また、文書中に特に指定のない場合は、運用規定により定められた領域の大きさが設定される。この仮想画面領域に配置された要素が実際にモニタ等の画面上で表示されることになるが、画面の表示領域の大きさと仮想画面領域の大きさは異なり、通常画面の表示領域の方が小さいので、仮想画面領域全体の内容を一度に表示領域で表示することができない。
【0018】
そこで、仮想画面領域から表示画面で表示できるサイズに切り出して表示画面メモリ5に記憶させ、このデータを用いて画面の表示を行い、画面のスクロール機能を用いて、仮想画面領域から切り出す領域をずらしていき、この切り出された領域によって表示画面メモリ5を逐次更新していくことにより、表示画面上では画面が上方向あるいは下方向に移動して見え、仮想画面領域全体を見ることができる。
【0019】
表示領域判定部3は、仮想画面メモリ2の仮想画面領域内に存在するデータをすべて監視するとともに、仮想画面領域から表示画面で表示できるサイズに切り出されてきたデータを表示画面メモリ5に送信する。表示画面メモリ5の内容がモニタやディスプレイ等の表示手段の表示領域に表示される。
【0020】
イベント発生判定部5は、仮想画面メモリ2の仮想画面領域の下端においてイベントを発生させる条件設定となっているかを検出する。例えば、イベント発生の形態としては、ブザーを鳴らす等がある。また、イベント発生判定部5は、その検出機能をオン/オフできるようになっている。
【0021】
次に、図1の地上デジタル放送受信用端末の動作を説明する。まず、イベント発生判定部5の機能がオフにされているか、イベント発生判定部5の機能がオンになっていても、動作していない例で説明する。
【0022】
図2は、図12で示した受信用端末の表示器の画面構成と同じものである。図2(a)に示すように、仮想画面領域100の途中まで要素が配置されており、要素の下端から仮想画面領域100の下端までは空白となっている。この場合、仮想画面メモリ2に展開されている仮想画面領域100の全データを表示領域判定部3は監視しており、要素が配置されている領域と、配置されていない領域との境界位置を検出して記憶する。図2(a)では、「和歌山 曇り」という要素の下辺が境界になる。
【0023】
次に、ユーザが下カーソルキーを押して画面を上方向にスクロールさせようとすると、スクロール移動量算出部1で所定単位量のスクロール移動量が算出され、この移動量に基づいて、仮想画面領域100に展開されている要素から切り出すウインドウ(図の破線部分)を下方向にずらせる。このウインドウは、表示領域202に対応したサイズとなっている。そしてこのウインドウ内の要素を表示画面メモリ5に入力し、表示画面メモリ5からデータが出力されて表示器の表示領域202に表示される。
【0024】
下カーソルキーを押す動作を継続すると、仮想画面領域100に展開されている要素から切り出すウインドウは、順次下方向に下がっていくが、表示領域判定部3は要素が配置されている領域と配置されていない領域との境界位置を記憶しているので、このウインドウの下端が「和歌山 曇り」という要素の下辺に到達したときに、スクロール動作を中止する。スクロール動作の中止は、ウインドウを移動させるのをストップして、表示画面メモリ5の記憶データを更新しないようにする。このようにして、要素の下端よりも仮想画面領域の下端の方が下にあるときには、要素の下端が表示領域の下端を越えないように最も下方にある要素の下辺までに上方向スクロール動作を制御する。
【0025】
このように、仮想画面領域の最も下方に配置された要素の下辺が表示領域の下端を越えないようにスクロール動作を制御する場合は、要素の下辺位置と表示領域の下端位置とが全く一致するようにスクロール動作を中止するのではなく、要素の下辺位置と表示領域の下端位置との間には数ピクセル程度のマージンを持つようにスクロール動作を中止するようにしても良い。この要素の下辺位置と表示領域の下端位置との関係は、以下に述べるスクロール制御例においても同様とする。
【0026】
次に、仮想画面領域に展開された文書中の要素の特性に背景画像が指定されている場合のスクロール制御動作を図3に示す。背景画像とは、文書中のbody要素のbackground-image特性で指定された画像のことである。
【0027】
図3(a)は、仮想画面メモリ2に展開されている仮想画面領域を示し、図3(b)はモニタ等の表示画面における表示領域を示す。図3(a)は、同じ背景画像が繰り返して仮想画面領域に配置されている状態を示す。背景画像は、文書中のbackground-repeat特性の値によって繰返し回数が指定されるようになっている。仮想画面領域に配置されている要素からウインドウ内(図の破線部分)の要素を切り出し、下カーソルキーが押された場合のスクロール制御動作は、図2と同様であるので説明を省略するが、表示領域判定部3では、図3(a)で示される仮想画面領域の全データを監視して、要素の下端位置ではなく、繰り返される背景画像の下辺位置を記憶するととともに、繰り返しの最初の背景画像の下辺位置(図3(a)の横線位置)を表示領域判定部3の判定基準位置とし、スクロール動作を制御する。
【0028】
ウインドウの下端が繰返し1回目の背景画像の下辺位置に到達したときに、スクロール動作を中止する。上方向スクロール動作が制限された結果、図3(b)に示すように表示領域では表示される。このようにして、同一の背景画像が繰り返して表示されるようになっており、しかも繰返し1回目の背景画像の下辺が仮想画面領域に配置された要素の下端よりも下方にあるときには、表示領域の下端を繰返し1回目の背景画像の下辺までに上方向スクロール動作の制御を行うことにより、背景画像のみが繰り返して表示されている無意味な画面を表示することを防ぐことができる。
【0029】
図4は、図14に示したvisibility特性の値によって不可視となった要素がある場合のスクロール制御動作を示す。図4(a)は、仮想画面領域に配置された要素を示す。要素には、visibility特性というものを指定できるようになっており、visibility特性をhiddenと指定すると指定された要素は、仮想画面領域に存在しているにもかかわらず、表示画面では表示されなくなる(不可視)。このような場合でも、表示領域判定部3は、各要素のvisibility特性を監視し、visibility特性がvisibleとなっている可視要素の下端位置を記憶する。そして、仮想画面領域に展開されている要素から切り出すウインドウの下端が可視要素の下端位置に到達したときに、上方向スクロール動作をストップする。このように、下端にある可視要素の下辺までに上方向スクロール動作を制限した結果が、図4(b)となる。
【0030】
図5は、図16に示した背景色が透明となっている場合のスクロール制御動作を示す。要素として背景色を指定することができるが、background-color特性をtransparentとすると背景色が透明となり、表示画面上では、何も表示されない状態となる(不可視)。そこで、可視となっている要素の下端位置(図の2番目に表示されている斜線部分の下辺)を表示領域判定部3に記憶させておき、ウインドウの下端が可視要素の下端に到達したときに、スクロール動作が中断するように制御する。可視要素の下端位置までに上方向スクロール動作を制限した場合の表示領域での表示結果が図5(b)となる。
【0031】
次に、仮想画面領域に配置された要素が可視要素から不可視要素に動的に変更された場合のスクロール制御動作について説明する。図6(a)は、仮想画面領域に配置された要素を示す。仮想画面領域に配置された全ての要素のvisibility特性がvisibleならば、図6(b)に示すように「3/10(木)晴」という要素まで表示領域に表示されている(可視)が、この状態から「3/10(木)晴」と「3/11(金)雨」の各要素についてvisibility特性がhiddenに変更されると、これらの要素は表示領域では表示されなくなる(不可視)。図6(b)の斜線部分が、表示領域において可視から不可視に変化した領域を示す。
【0032】
このような場合でも、表示領域判定部3は、各要素のvisibility特性を監視し、visibility特性が変更された後に、visibleとなっている最下端の可視要素である「3/12(土)雪」の下辺位置(図6(a)の1段目の実線位置)を検出して記憶する。そして、仮想画面領域に展開されている要素から切り出すウインドウを上に移動させていき、ウインドウの下端が最下端の可視要素である「3/12(土)雪」の下辺位置に到達したときに、下方向スクロール動作をストップする。このときの表示領域での表示結果を示すのが図6(c)である。上記のように、仮想画面領域に配置された要素が可視要素から不可視要素に動的に変更された場合、変更後に最も下方に配置されている可視要素の下辺を表示領域の下端まで強制的に下方向スクロール動作を行わせることにより、表示領域に無意味な領域を表示することを防止する。
【0033】
ところで、受信用端末等では、仮想画面領域の下端を越えてスクロールさせようとしたときに所定のイベントを発生させることが可能となっている。イベントを発生させるか否かおよびイベントが発生したときに行うべき動作は、当該仮想画面領域に対応し、マークアップ言語により記述されたBML文書に記述される。例えば、イベント発生によってブザーを鳴らすような記述を行うことも可能である。
【0034】
図7は、BML文書の記述例を示している。<head>内の<bevent>には、イベント識別子(id)、イベントタイプ(type)、当該イベントを有効とさせるか無効とさせるかを示す属性(subscribe)、イベント発生時に実行すべき関数名(onoccur)が記述されている。この例では、イベントタイプは、仮想画面の下端を超えてスクロールさせようとしたときに発生させるタイプ(EndOfPagePassedイベント)であることが記述されている。当該イベントを有効とするか無効とするかを示す属性(subscribe)は、動的に変化させることができるものであるため、各時点によって変化する可能性がある。関数名は、”EoPfunc();”であり、その内容が、<head>内の<script>に記述されている。この例では、関数の内容は、アラーム音を鳴らすことを意味している。
【0035】
図8は、BML文書(仮想画面領域)が表示されている場合において、上方向へのスクロールのための下カーソルキーが押下げられた際の、地上デジタル放送受信用端末の動作を示している。
【0036】
下カーソルキーが押下げられると(上方向のスクロール指令が入力されると)、この指令にしたがって予め定められた所定単位量だけ上スクロールしたと仮定した場合に、仮想画面領域の下端を越えるか否かを判別する(ステップS1)。具体的には、仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面の最下位置までの距離が、上記所定単位量未満であるか否かを判別する。仮想画面の下端を越えない場合(仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最下位置までの距離が、上記所定単位量以上である場合)には、上スクロールを実行して(ステップS2)、今回の処理を終了する。
【0037】
上記ステップS1において、仮想画面領域の下端を越えると判別した場合(仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最下位置までの距離が、上記所定単位量未満である場合)には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっているか否かを判別する(ステップS3)。つまり、表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、かつ当該イベントが有効となっているか否かを判別する。表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されていないか、記述されていても当該イベントが有効となっていない場合には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっていないと判別し、今回の処理を終了する。
【0038】
上記ステップS3において、表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、かつ当該イベントが有効となっている場合には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっていると判別し、EndOfPagePassedイベントを発生させるとともに(ステップS4)、EndOfPagePassedイベントに対応した処理を実行する(ステップS5)。そして、今回の処理を終了する。
【0039】
上記のように、イベント発生を行うような設定がされていると、仮想画面領域の下端までスクロール動作を行わないと、イベントが発生しないので、図2〜図6までに説明したように、仮想画面領域の途中までのスクロール動作しかできないと、問題が生じる。そこで、イベント発生判定部4が構成されている。
【0040】
まず、地上デジタル放送受信機能を備えた携帯型電話機における地上デジタル放送受信部の構成を図11を用いて説明しておく。
【0041】
地上デジタル放送波は、地上波アンテナ11を介してチューナ12に送られ、高周波処理および復調が行われる。チューナ12からの出力はDEMUX回路13に送られ、パケットの復号が行われる。
【0042】
DEMUX回路13において、パケットは、AVストリーム、マルチメディアコンテンツおよび番組配列情報に分別される。番号配列情報とは、デジタル放送において伝送される放送番組に関わる各種情報であり、ARIB STD-B10において規定されている。番組配列情報のうち、イベント情報テーブル(EIT: Event Information Table)には、各サービス(チャンネル)に含まれるイベント(番組)に関するイベント名、イベント開始時刻、イベント継続時間等の情報が含まれている。DEMUX回路13によって分別されたAVストリームは、AVデコーダ14に送られる。DEMUX回路13によって分別されたマルチメディアコンテンツ(データ放送のコンテンツ)および番組配列情報は、システムコントローラ20に送られる。
【0043】
システムコントローラ20は、この例では、プログラム等を記憶するROM21、必要なデータを記憶するRAM22および必要なデータを記憶する不揮発性メモリ23を備えている。
【0044】
システムコントローラ20は、DEMUX回路13から送られてきたマルチメディアコンテンツおよび番組配列情報を、RAM22に格納する。システムコントローラ20は、操作部12からの操作信号が入力される。
【0045】
システムコントローラ20は、チューナ12およびDEMUX回路13の選局のための情報等を送る。また、システムコントローラ20は、マルチメディアコンテンツ、各種操作画面等をLCD18に表示させるためのグラフィック制御信号を、グラフィック表示回路24に送る。グラフィック表示回路24は、マルチメディアコンテンツ、各種操作画面等の要素を生成して、グラフィック信号としてマルチプレクサ(合成回路)16に送る。マルチプレクサ(合成回路)16に送られたグラフィック信号は、映像出力回路17を介して、LCD18に送られる。
【0046】
AVデコーダ14は、DEMUX回路13から送られてきた映像データを復号する。AVデコーダ14によって得られた映像信号は、映像処理回路15、マルチプレクサ16および映像出力回路17を介して、LCD18に送られる。
【0047】
AVデコーダ14によって得られた音声信号は、音声処理回路19および音声出力回路26を介してスピーカ27に送られる。
【0048】
操作部25には、例えば、図12に示したように、データ放送のコンテンツ(BML文書)がLCD18のデータ表示領域に表示されている場合に、画面をスクロールするための上カーソルキーと下カーソルキーが設けられている。上カーソルキーが押下げられると、画面が下側に所定単位量だけスクロールされ、下カーソルキーが押下げられると、画面が上側に所定単位量だけスクロールされる。また、図1で示されたスクロール制御部は、システムコントローラ20に内蔵されており、操作部25からのスクロール動作入力に対してスクロール制御が行われた後、LCD18に反映させるようになっている。
【0049】
第1の実施例による携帯型電話機は、仮想画面領域(BML文書)の一部を表示しているときにおいてスクロール動作によって要素が1つも無い表示状態が発生しないようにするために、下カーソルキーが押下げられた際に、通常通り所定単位量スクロールさせたと仮定すると仮想画面領域中の最も下にある要素の下辺を越えると表示領域判定部3で判別したときには、原則的にはスクロール動作を行わないようにする機能を備えている。
【0050】
上述したように、仮想画面領域100の内容が図2に示すような内容である場合には、LCD8のデータ表示領域領域201の最下端行に仮想画面領域100中の最も下にある要素が表示されているときには、それ以上、上方向にスクロール動作は行われなくなる。
【0051】
しかしながら、このようにすると、当該BML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、当該イベントが有効になっている場合においても、そのイベントを発生できなくなってしまう可能性がある。そこで、当該BML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、当該イベントが有効となっている場合には、通常通りの動作を行うようにしている。
【0052】
図1のイベント発生判定部4の機能がオンになっていると、仮想画面メモリ2に記憶されているデータにEndOfPagePassedイベントに関する記述があるかどうかを検出し、EndOfPagePassedイベントの記述があり、かつ当該イベントが有効となっている場合にイベント発生判定部4は、表示領域判定部3に信号を送り、表示領域判定部3の機能を動作させずに、仮想画面領域の下端までスクロール動作を行えるようにする。
【0053】
図9は、BML文書(仮想画面領域)が表示されている場合において、上スクロールのための下カーソルキーが押下げられた際の、携帯型電話機の動作を示している。
【0054】
下カーソルキーが押下げられると(上方向のスクロール指令が入力されると)、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっているか否かをイベント発生判定部4で判別する(ステップS11)。つまり、表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、かつ当該イベントが有効となっているか否かをイベント発生判定部4で判別する。
【0055】
表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されおり、かつ当該イベントが有効となっている場合には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定になっていると判別し、上記上方向のスクロール指令にしたがって予め定められた所定単位量だけ上スクロールしたと仮定した場合に仮想画面領域の下端を越えるか否かをイベント発生判定部4で判別する(ステップS12)。
【0056】
具体的には、仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最下位置までの距離が、上記所定単位量未満であるか否かを判別する。仮想画面領域の下端を越えない場合(仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最下位置までの距離が、上記所定単位量以上である場合)には、上スクロールを実行して(ステップS13)、今回の処理を終了する。
【0057】
上記ステップS12において、仮想画面領域の下端を越えると判別した場合(仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最下位置までの距離が、上記所定単位量未満である場合)には、EndOfPagePassedイベントを発生させるとともに(ステップS14)、EndOfPagePassedイベントに対応した処理を実行する(ステップS15)。そして、今回の処理を終了する。
【0058】
上記ステップS11において、表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されていないか、記述されていても当該イベントが有効になっていない場合には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっていないとイベント発生判定部4で判別し、上記上方向スクロール指令にしたがって予め定められた所定単位量だけ上スクロールしたと仮定した場合に仮想画面領域の最も下にある要素の下辺を越えるか否かを表示領域判定部3で判別する(ステップS16)。
【0059】
具体的には、仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最も下にある要素の下辺までの距離が、上記所定単位量未満であるか否かを判別する。仮想画面領域の最も下にある要素の下辺を越えないと判別した場合(仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最も下にある要素の下辺までの距離が、上記所定単位量以上である場合)には、スクロールを実行して(ステップS17)、今回の処理を終了する。
【0060】
上記ステップS16において、仮想画面領域の最も下にある要素の下辺を越えると判別した場合(仮想画面領域内における現在表示されている部分の最下位置から仮想画面領域の最も下にある要素の下辺までの距離が、上記所定単位量未満である場合)には、上スクロールを実行することなく、今回の処理を終了する。
【0061】
第2の実施例について述べるが、地上デジタル放送受信機能を備えた携帯型電話機における地上デジタル放送受信部の構成は第1の実施例と同じ(図11と同じ)である。
【0062】
第2の実施例による携帯型電話機は、第1の実施例と同様に、仮想画面領域(BML文書)の一部を表示しているときにおいてスクロール動作によって要素が1つも無い表示状態が発生しないようにするために、下カーソルキーが押下げられた際に、通常通り所定単位量スクロールさせたと仮定すると仮想画面領域中の最も下にある要素の下辺を越えると判別したときには、原則的にはスクロール動作を行わないようにする機能を備えている。
【0063】
第1の実施例でも説明したように、このようにすると、当該BML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、当該イベントが有効となっている場合においても、そのイベントを発生できなくなってしまう可能性がある。第2の実施例では、下カーソルキーが押下げられた際に、通常通り所定単位量スクロールさせたと仮定すると仮想画面領域中の最も下にある要素の下辺を越えると表示領域判定部3で判別したときにおいて、当該BML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、当該イベントが有効となっているとイベント発生判定部4で判別された場合には、仮想画面領域中の最も下にある要素の下辺までに上方向スクロール動作を制限するとともに、その時点でEndOfPagePassedイベントを発生させるようにしている。
【0064】
図10は、BML文書(仮想画面領域)が表示されている場合において、上スクロールのための下カーソルキーが押下げられた際の、携帯型電話機の動作を示している。
【0065】
下カーソルキーが押下げられると(上方向のスクロール指令が入力されると)、この上方向スクロール指令にしたがって予め定められた所定単位量だけ上スクロールしたと仮定した場合に仮想画面領域の最も下にある要素の下辺を越えるか否かを表示領域判定部3で判別する(ステップS21)。当該仮想画面領域の最も下にある要素の下辺を越えないと判別した場合は、下スクロールを実行して(ステップS22)、今回の処理を終了する。
【0066】
上記ステップS21において、仮想画面領域の最も下にある要素の下辺を越えると判別した場合には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっているか否かをイベント発生判定部4で判別する(ステップS23)。つまり、表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、かつ当該イベントが有効となっているか否かを判別する。表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されていないか、記述されていても当該イベントが有効となっていないと判別した場合には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっていないと判別し、今回の処理を終了する。
【0067】
上記ステップS23において、表示中のBML文書にEndOfPagePassedイベントが記述されており、かつ当該イベントが有効となっている場合には、EndOfPagePassedイベントを発生させる指定となっていると判別し、EndOfPagePassedイベントを発生させるとともに(ステップS24)、EndOfPagePassedイベントに対応した処理を実行する(ステップS25)。そして、今回の処理を終了する。
【0068】
なお、図9、図10の実施例では、図2に示されるような仮想画面領域の最も下にある要素の下辺が表示領域の下端を越えるかどうかを表示領域判定部3で判定させる場合について説明したが、図3〜図6で述べたような仮想画面領域の途中までにスクロール動作が制限される場合であっても、イベント発生判定部4の機能と連動させることで、上記実施例と同様なスクロール制御動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】地上デジタル放送受信用端末のスクロール制御部を示すブロック図である。
【図2】スクロール制御動作の一例を示す図である。
【図3】スクロール制御動作の一例を示す図である。
【図4】スクロール制御動作の一例を示す図である。
【図5】スクロール制御動作の一例を示す図である。
【図6】スクロール制御動作の一例を示す図である。
【図7】BML文書の記述例を示す模式図である。
【図8】地上デジタル放送受信用端末の動作の一例を示すフローチャート図である。
【図9】地上デジタル放送受信用端末の動作の一例を示すフローチャート図である。
【図10】地上デジタル放送受信用端末の動作の一例を示すフローチャート図である。
【図11】地上デジタル放送受信用端末における受信部の構成を示すブロック図である。
【図12】従来のスクロール制御動作の一例を示す図である。
【図13】マークアップ言語により記述された文書の一例を示す図である。
【図14】従来のスクロール制御動作の一例を示す図である。
【図15】マークアップ言語により記述された文書の一例を示す図である。
【図16】従来のスクロール制御動作の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 スクロール移動量算出部
2 仮想画面メモリ
3 表示領域判定部
4 イベント発生判定部
5 表示画面メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BML文書を受信する受信部と、
情報を表示する表示部と、
スクロール指示を行う入力部と、
仮想画面領域の最も下方に配置された要素の下辺を前記BML文書から特定する特定部と、
スクロール指示に基づいてスクロール動作を行うスクロール制御部と、を備え、
スクロール制御部は、スクロール指示により、前記特定部が特定した下辺が表示部の表示領域の下端を越えるとき、上方向スクロール動作を制限させることを特徴とする放送受信機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−146057(P2011−146057A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36605(P2011−36605)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【分割の表示】特願2009−63385(P2009−63385)の分割
【原出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】