説明

放送受信装置

【課題】2個のチューナとデジタル復調器とその間の伝送線路とを配線基板上にコンパクトに配設できると共に、両伝送線路をほぼ等長で短く設定できる放送受信装置を提供すること。
【解決手段】配線基板10上に第1のチューナ11と第2のチューナ12を平面視L字状の配置で実装し、両チューナ11,12によって2辺が仕切られる方形領域20にMPEGデコーダ15を実装する。アンテナ等から第1のチューナ11の入力コネクタ11aに入力された放送信号は、チューナ部101と出力コネクタ11bとに分配される。出力コネクタ11bから第2のチューナ12の入力コネクタ12aに入力された放送信号は、チューナ部102と外部機器用の出力コネクタ12bとに分配される。各チューナ11,12の端子部から出力された放送信号は、それぞれ伝送線路16,17を介してMPEGデコーダ15に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板上にデジタル放送受信用のチューナが2個配設されているデジタルビデオデッキ等の放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ等から入力された放送信号の中から特定の放送番組を選択して復調器へ出力するチューナがビデオデッキ等の放送受信装置に2個内蔵されていると、同じ時間帯に視聴したい番組が2種類放送されていても対応できるため便利である。このように2個のチューナを備えた放送受信装置では、通常、両チューナを内蔵している筐体の一側面に入力コネクタが複数突設されており、これらのコネクタを介して各チューナに放送信号が入力されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、近年、デジタル放送受信用のチューナを2個内蔵して2種類の放送番組を同時に録画できるようにしたデジタルビデオデッキが普及しつつある。かかるデジタルビデオデッキでは、ほぼ同じ機能を有する2個のチューナと、これら両チューナから放送信号が供給されるMPEGデコーダ等のデジタル復調器とが、共通の配線基板上に実装されており、アンテナ等から入力された放送信号は分配器等によって各チューナに分配されるようになっている。
【0004】
図3はこの種のデジタルビデオデッキにおいて一般的な両チューナとデジタル復調器の配線基板上での位置関係を示す模式平面図である。同図に示すように、配線基板10上において第1のチューナ1と第2のチューナ2は互いに平行に配置され、第1のチューナ1の入力コネクタ1aと第2のチューナ2の入力コネクタ2aがそれぞれ、分配器3の出力コネクタ3bと出力コネクタ3cに接続されている。分配器3には、アンテナ等から放送信号が入力される入力コネクタ3aが出力コネクタ3b,3cと逆向きに突設されていると共に、入力コネクタ3aと同じ向きに外部機器用の出力コネクタ3dが突設されている。この分配器3は入力コネクタ3aに供給された放送信号を出力コネクタ3b〜3dに分配するというものである。すなわち、分配器3によって分配された放送信号が、コネクタ3b,1aを介して第1のチューナ1に供給され、かつコネクタ3c,2aを介して第2のチューナ2に供給され、かつコネクタ3dを介してテレビジョン受像機等の外部機器へ供給されるようになっている。また、配線基板10上には両チューナ1,2を長手方向に延長した領域にMPEGデコーダ等のデジタル復調器4が実装されており、このデジタル復調器4と各チューナ1,2の端子群との間にそれぞれ伝送線路5,6がパターニングされている。そして、第1のチューナ1で選択された放送信号が伝送線路5を介してデジタル復調器4へ出力され、同様に第2のチューナ2で選択された放送信号が伝送線路6を介してデジタル復調器4へ出力されて、それぞれ所望のデジタル信号に変換されるようになっている。
【0005】
なお、デジタル復調器4は両チューナ1,2からほぼ等距離の位置にあって、チューナ1用の伝送線路5とチューナ2用の伝送線路6は図3に示すように略線対称なレイアウトでパターニングされているため、両伝送線路5,6はほぼ等長である。したがって、どちらのチューナ1,2を使用してもデジタル復調器4へ供給される信号の減衰の度合いは同等であり、それゆえ、いずれか一方のチューナを使用すると品位が劣化するという不具合は起こらない。
【特許文献1】特開2006−60474号公報(第10頁、図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3に示す従来例では、2個のチューナ1,2が互いに平行に配置されていると共に、両チューナ1,2を長手方向に延長した領域にデジタル復調器4が配置されているため、チューナ1用の伝送線路5とチューナ2用の伝送線路6とが略線対称にパターニングでき、こうすることで両伝送線路5,6の長さの相違に起因する品位の差が生じないように配慮されている。しかしながら、両チューナ1,2を長手方向に延長した領域にデジタル復調器4を配置させて、両伝送線路5,6を略線対称にパターニングするためには、配線基板10上に広いスペースが必要となるので、図3に示す従来例では装置全体を小型化しにくいという問題があった。また、この従来例では伝送線路5,6の一部を長く引き回さなければならないため、信号の減衰という点でも改善の余地があった。
【0007】
そこで図4に示すように、デジタル復調器4を一方のチューナ(例えばチューナ2)の側方に配置させることによって、このチューナから導出される伝送線路(例えば伝送線路6)の長さを短くすることが考えられるが、こうすると両伝送線路5,6の長さが大きく異なってしまうため、使用するチューナによって品位が大きく異なってしまうという別の問題が発生する。また、この場合、他方のチューナから導出される伝送線路(例えば伝送線路5)の一部を不所望に長く引き回さなければならないため、信号が大きく減衰する虞がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、2個のチューナとデジタル復調器とその間の伝送線路とを配線基板上にコンパクトに配設できると共に、両伝送線路をほぼ等長で短く設定できる放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の放送受信装置では、配線基板上にデジタル放送受信用の第1のチューナと第2のチューナを平面視L字状の配置で実装し、分配手段の入力コネクタを介して入力される放送信号が前記第1および第2のチューナに分配されるように接続すると共に、前記配線基板上で前記第1および第2のチューナによって2辺が仕切られる方形領域にデジタル復調器を実装し、このデジタル復調器に前記第1および第2のチューナから放送信号が供給されるように配線した。
【0010】
このように第1のチューナと第2のチューナを略直角な位置関係で配置させ、かつ両チューナで仕切られる内側の方形領域にデジタル復調器を配置させるというレイアウトを採用すると、第1および第2のチューナから導出されてデジタル復調器に接続される伝送線路も方形領域にパターニングできるため、これらすべてを配線基板上にコンパクトに配設するという省スペース化を実現できる。また、第1のチューナ用の伝送線路と第2のチューナ用の伝送線路をほぼ等長に形成することは容易なので、どちらのチューナを使用しても品位に差が生じないように設定できる。また、各伝送線路の長さが短くなるため、信号の減衰も抑制できる。
【0011】
上記の構成において、分配手段が単体の分配器であってもよいが、第1のチューナが分配手段を含み、この第1のチューナの長手方向の一端面に分配前の放送信号が入力される入力コネクタが突設されていると共に、この第1のチューナの前記入力コネクタ近傍の側面に出力コネクタが突設されており、かつ第2のチューナの長手方向の一端面に、前記出力コネクタに接続される第2入力コネクタが突設されていると、単体の分配器を用いることなく第1および第2のチューナを平面視L字状に配置させることができるため、部品点数を削減できて組立性が向上する。この場合において、第2のチューナが前記第2入力コネクタを介して入力された放送信号を分配する第2分配手段を含み、この第2のチューナの前記第2入力コネクタ近傍の側面に分配された放送信号を外部機器へ出力するための第2出力コネクタが突設されていると、前記入力コネクタに入力される放送信号を第1のチューナと第2のチューナと外部機器とに分配できるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の放送受信装置は、配線基板上に、第1のチューナと第2のチューナを平面視L字状に配置させ、かつ両チューナで仕切られる内側の方形領域にデジタル復調器を配置させるというレイアウトを採用しているため、第1および第2のチューナから導出されてデジタル復調器に接続される伝送線路も方形領域にパターニングできる。それゆえ、これらすべてを配線基板上にコンパクトに配設するという省スペース化を実現できて、装置全体の小型化を促進できる。また、第1のチューナ用の伝送線路と第2のチューナ用の伝送線路をほぼ等長に形成することは容易なので、どちらのチューナを使用しても品位に差が生じないように設定できる。また、各伝送線路の長さが短くなるため、信号の減衰も抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例における2個のチューナとMPEGデコーダの配線基板上での位置関係を示す模式平面図であり、これら両チューナとMPEGデコーダはデジタルビデオデッキ等の放送受信装置に組み込まれている。
【0014】
図1において、第1のチューナ11と第2のチューナ12はいずれもデジタル放送受信用のチューナである。第1のチューナ11には長手方向の一端面に入力コネクタ11aが突設されていると共に、入力コネクタ11a近傍の側面に出力コネクタ11bが突設されており、入力コネクタ11aにはアンテナ等から放送信号が入力される。また、第2のチューナ12には長手方向の一端面に入力コネクタ12aが突設されていると共に、入力コネクタ12a近傍の側面に出力コネクタ12bが突設されており、出力コネクタ12bはテレビジョン受像機等の外部機器に接続可能である。これら両チューナ11,12は配線基板10上に平面視L字状の配置(略直角な位置関係)で実装されており、第1のチューナ11の出力コネクタ11bに第2のチューナ12の入力コネクタ12aが接続されている。第1のチューナ11には長手方向の一端部に分配器13が内蔵されており、この分配器13によって、入力コネクタ11aに入力された放送信号が増幅されて該チューナ11の本体部分(チューナ部101)と出力コネクタ11bとに分配されるようになっている。また、第2のチューナ12の長手方向の一端部にも分配器14が内蔵されており、この分配器14によって、入力コネクタ12aに入力された分配後の放送信号が該チューナ12の本体部分(チューナ部102)と出力コネクタ12bとに分配されるようになっている。すなわち、アンテナ等から入力コネクタ11aに入力された放送信号が、分配器13,14によってチューナ部101とチューナ部102とテレビジョン受像機等の外部機器とに供給されるようになっている。
【0015】
また、配線基板10上には第1および第2のチューナ11,12によって2辺が仕切られる方形領域20、つまり両チューナ11,12で仕切られる内側の方形領域20に、MPEG(Moving Picture Experts Groop)デコーダ15が実装されている。このMPEGデコーダ15はデジタル復調器であって、各チューナ11,12の端子群からそれぞれ導出された伝送線路16,17が方形領域20内を引き回されてMPEGデコーダ15に接続されている。そして、第1のチューナ11のチューナ部101で選択された放送信号が伝送線路16を介してMPEGデコーダ15へ出力され、同様に第2のチューナ12のチューナ部102で選択された放送信号が伝送線路17を介してMPEGデコーダ15へ出力されて、それぞれ所望のデジタル信号に変換されるようになっている。
【0016】
このように本実施形態例では、配線基板10上に第1のチューナ11と第2のチューナ12を平面視L字状に配置させると共に、両チューナ11,12で仕切られる内側の方形領域20にMPEGデコーダ15を配置させるというレイアウトを採用しており、各チューナ11,12から導出されてMPEGデコーダ15に接続される伝送線路16,17も方形領域20にパターニングされている。それゆえ、これらすべて(チューナ11,12とMPEGデコーダ15と伝送線路16,17)を配線基板10上にコンパクトに配設するという省スペース化が実現されており、装置全体の小型化が促進しやすくなっている。また、第1のチューナ11用の伝送線路16と第2のチューナ12用の伝送線路17をほぼ等長に形成することが容易なので、どちらのチューナを使用しても品位に差が生じないように設定できる。また、各伝送線路16,17の長さが短くなるため、信号の減衰も抑制できる。
【0017】
また、本実施形態例では、第1のチューナ11と第2のチューナ12にそれぞれ分配器13と分配器14が内蔵されているため、単体の分配器を用いることなく両チューナ11,12を平面視L字状に配置させることができる。それゆえ、部品点数を削減できて組立性も良好である。
【0018】
ただし、図2に示すように、アンテナ等から放送信号が入力される図示上向きの入力コネクタ30aと、第1のチューナの入力コネクタに接続される図示下向きの出力コネクタ30bと、第2のチューナの入力コネクタに接続される図示横向きの出力コネクタ30cと、外部機器に接続される図示上向き出力コネクタ30dとを備えた分配器30を用いれば、両チューナとMPEGデコーダを図1とほぼ同等のレイアウトで配線基板上に実装することができる。
【0019】
なお、本発明が、2個のチューナを備えたデジタルビデオデッキ以外の放送受信装置にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態例における2個のチューナとMPEGデコーダの配線基板上での位置関係を示す模式平面図である。
【図2】本発明の他の実施形態例に係る分配器の説明図である。
【図3】従来技術を示す説明図である。
【図4】他の従来技術を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
10 配線基板
11 第1のチューナ
11a 入力コネクタ
11b 出力コネクタ
12 第2のチューナ
12a 入力コネクタ(第2入力コネクタ)
12b 出力コネクタ(第2出力コネクタ)
13 分配器(分配手段)
14 分配器(第2分配手段)
15 MPEGデコーダ(デジタル復調器)
16,17 伝送線路
20 方形領域
30 分配器
30a 入力コネクタ
101,102 チューナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板上にデジタル放送受信用の第1のチューナと第2のチューナを平面視L字状の配置で実装し、分配手段の入力コネクタを介して入力される放送信号が前記第1および第2のチューナに分配されるように接続すると共に、前記配線基板上で前記第1および第2のチューナによって2辺が仕切られる方形領域にデジタル復調器を実装し、このデジタル復調器に前記第1および第2のチューナから放送信号が供給されるように配線したことを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記第1のチューナが前記分配手段を含み、この第1のチューナの長手方向の一端面に前記入力コネクタが突設されていると共に、この第1のチューナの前記入力コネクタ近傍の側面に出力コネクタが突設されており、かつ前記第2のチューナの長手方向の一端面に、前記出力コネクタに接続される第2入力コネクタが突設されていることを特徴とする放送受信装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記第2のチューナが前記第2入力コネクタを介して入力された放送信号を分配する第2分配手段を含み、この第2のチューナの前記第2入力コネクタ近傍の側面に分配された放送信号を外部機器へ出力するための第2出力コネクタが突設されていることを特徴とする放送受信装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記デジタル復調器がMPEGデコーダであることを特徴とする放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−205602(P2008−205602A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36697(P2007−36697)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】