説明

放送送信装置、放送送信方法

【課題】チャンネル数が将来、大幅に増加しても受信機でのEPG表示での極端な応答性
劣化を軽減することが可能なように、送受双方で柔軟かつ効率的かつ簡潔な方法及び装置
で実現することすることを目的とする。
【解決手段】複数チャンネル分についての放送予定の番組情報を記載するEIT(Event
Information Table)の情報であるEITスケジュール情報を、同一の再送周期で伝送す
る周期グループ単位毎に別々のSI(SI:Service Information)専用トランスポート
ストリームとした複数のトランスポートストリームを送信する送信手段とを備えた放送送
信装置とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル放送に用いられる放送送信装置、放送送信方法に関するもので、
特に将来の多チャンネル放送拡充時においても番組配列情報の送出および受信を柔軟かつ
効率的かつ簡潔に実現できるように工夫した、放送送信装置、放送送信方法である。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送では一般にチャンネル選局情報や番組情報は、番組の映像音声信号ととも
にMPEG−2 Systems規定のTS(Transport Stream)という形式の中に、放
送信号として多重伝送される。チャンネル選局情報や番組情報の符号化伝送方式は番組配
列情報として、ARIB STD−B10で規定されており、SI(Service Informatio
n)とも呼ばれる各種の情報テーブルから構成される(非特許文献1参照)。
【0003】
特に伝送周波数等を記載したチャンネル選局情報はNIT(Network Information Tabl
e)、BIT(Broadcaster Information Table)、SDT(Service Description Table
)の各テーブルに記載し、番組情報はEIT(Event Information Table)に記載される

【0004】
受信機ではこれらの情報を取得し、番組の選局処理や電子番組ガイド(EPG:Electr
onic Program Guide)等の番組情報表示に利用する。
【0005】
SIの各テーブルはセクション形式で多重されて伝送される。伝送されたSIは受信機
のTS処理(TSデコード)器でセクション抽出処理を行うが、この処理速度については
限界があるため、BSや地上等の放送メディアではその運用においてSI総計の伝送帯域
の上限(最大レート)を規定している。
【0006】
また、この伝送帯域上限内においてSIを効率的に伝送するため、各放送メディアでは
このSIの各テーブルにおいては同一の再送周期で伝送する周期グループという概念を導
入している。周期グループは基本的にNIT、BIT、SDT[actual]、SDT
[other]等のSIテーブル毎に構成されるが、特にこれから放送予定の番組情報を
記載するEIT[schedule](以下、EITスケジュール情報と記す)について
は一般に他のテーブルに比べ情報量が圧倒的に多く、SIの情報量全体においても支配的
となっている。
【0007】
このため、EITスケジュール情報に関しては、特別に放送当日を起点に直近から所定
の期間までの番組情報を更に幾つかの周期グループに分割して伝送の効率化を図っている

【0008】
ここでは以下、ARIB TR−B15“BS/広帯域CSデジタル放送運用規定”第
四編(PSI/SI運用規定)を例に、EITスケジュール情報を中心に説明する(非特
許文献2参照)。
【0009】
EITスケジュール情報では、基本周期グループと2つの拡張周期グループが定義され
ている。
EITスケジュール情報では、1日を、午前0時を起点にした3時間単位で分割したセ
グメントと呼ばれる時間帯毎にevent(以下番組)の情報をまとめて伝送する。図6
は、このEITスケジュール情報の周期グループを示す。
【0010】
ここで、基本周期グループのパラメータD1は放送当日を含み、それ以降のEITスケ
ジュール情報の最大伝送日数(例えば8日分)を示す。また、2つの拡張周期グループの
パラメータはそれぞれS1、S2で示す。
【0011】
S1は、1service(選局単位、以下チャンネル)当たりのセグメント数を示し
、現在時刻を含むセグメントも含む。S2はS1以降のセグメント数を示す。例えば、B
Sデジタル放送の場合には、S1:3(セグメント)、S2:13(セグメント)、D1
:8(日)となっている。
【0012】
そして、それぞれの周期グループに対し所定の再送周期を設定して多重伝送することに
なる。
統計的観点から通常、直近の番組情報ほど再送周期を短くする設定がなされている。例
えば、BSデジタル放送の場合には、S1:10秒、S2:10秒、D1:360秒の再
送周期をデフォルトの再送周期としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】デジタル放送に使用する番組配列情報 標準規格 ARIB STD−B10 4.3版(平成18年9月28日改訂)、発行所:社団法人 電波産業会、発行年月日:平成18年9月
【非特許文献2】BS/広帯域CSデジタル放送運用規程 技術資料 ARIB TR−B15 3.8版(平成18年9月28日改訂)、第四編(PSI/SI運用規定)、発行所:社団法人 電波産業会、発行年月日:平成18年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、BS(Broadcast Satellite)衛星放送やIP放送等のようにチャンネル数
の増加が送出設備の拡充に合わせて比較的柔軟に実現できる放送メディアにおいては、放
送開始当初と数年後とではチャンネル数で時には2〜3倍規模での大きな差が生じること
がある。
【0015】
チャンネル数の増加に比例してEITスケジュール情報の伝送情報量も増加するため、
BSや広帯域CS(Communication Satellite)のように全チャンネル(TS)で全チャ
ンネルの番組情報を伝送する放送システムの場合には、伝送帯域の増加を抑制して上限内
に収めるためにはSIテーブルの各周期グループの再送周期を放送開始当初の規定から長
くすることで対処するしかない。
【0016】
ところが、再送周期を長くすると受信機でSIテーブルの取得に要する時間が長くなっ
てしまう。受信機でのEPG表示は、これらSIテーブルを受信取得し、必要に応じて蓄
積して利用するが、受信機にたまたま必要な、最新のSI情報が蓄積されている場合を除
けば、一般にEPG表示における番組情報提示の応答速度が低下してしまう。従って、再
送周期が2〜3倍もの規模で長くなると、特定の番組情報提示までに時間がかかり過ぎ、
もはやEPG表示が事実上機能しなくなってしまうという懸念もある。
【0017】
なお、これは特定のTSにすべてのEITスケジュール情報を集中して伝送(以下、S
I専用TSと記載)する別の放送システムにおいても状況は基本的に同じである。
【0018】
このように従来の放送送信装置、放送送信方法においては、チャンネル数が増加した場
合、EPG表示における番組情報提示の応答速度が低下してしまうという問題があった。
【0019】
この発明は、チャンネル数が将来大幅に増加しても受信機でのEPG表示での極端な応
答性劣化を軽減することが可能なように、送受双方で柔軟かつ効率的かつ簡潔な放送送信
装置、放送送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、この発明においては、複数チャンネル分についての放送
予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報であるEITスケ
ジュール情報を、同一の再送周期で伝送する周期グループ単位毎に別々のSI(SI:Se
rvice Information)専用トランスポートストリームとした複数のトランスポートストリ
ームを送信する送信手段とを備えた放送送信装置を提供する。
【0021】
また、上記の目的を達成するために、この発明においては、複数チャンネル分について
の放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報であるEI
Tスケジュール情報を、同一の再送周期で伝送する周期グループ単位毎に、別々のSI(
SI:Service Information)専用トランスポートストリームとした複数のトランスポー
トストリームを送信する放送送信方法を提供する。
【0022】
また、上記の目的を達成するために、この発明においては、複数チャンネル分について
の放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報であるEI
Tスケジュール情報の中で、再送周期が近い周期グループ単位でグルーピングし、このグ
ルーピングしたグループ毎に、別々のSI(SI:Service Information)専用トランス
ポートストリームとした複数のトランスポートストリームを送信する送信手段とを備えた
放送送信装置を提供する。
【0023】
また、上記の目的を達成するために、この発明においては、複数チャンネル分について
の放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報であるEI
Tスケジュール情報の中で、再送周期が近い周期グループ単位でグルーピングし、このグ
ルーピングしたグループ毎に、別々のSI(SI:Service Information)専用トランス
ポートストリームとした複数のトランスポートストリームを送信する放送送信方法を提供
する。
【0024】
なお、装置に係る本発明は方法に係る発明としても成立し、方法に係る本発明は装置に
係る発明としても成立する。
また、装置または方法に係る本発明は、コンピュータに当該発明に相当する手順を実行
させるための(あるいはコンピュータを当該発明に相当する手段として機能させるための
、あるいはコンピュータに当該発明に相当する機能を実現させるための)プログラムとし
ても成立し、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても成立
する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の送信装置の一例を示す説明図。
【図2】EITスケジュール情報の伝送方法の例((a)3TS分割伝送、(b)2TS分割伝送、(c)1TS伝送)を示す説明図。
【図3】EITスケジュール情報の周期グループ送出指定情報のデータ構造の一例を示す説明図。
【図4】本発明の受信装置の一例を示す説明図。
【図5】本発明の受信装置のSI取得処理の一例を示すフローチャート。
【図6】EITスケジュール情報の周期グループを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
本明細書中では、IPマルチキャスト放送(IP multicast broadcasting)も放送の一
部に含まれるものとして説明する。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。まず、本発明に係るデジタル
放送の送信装置の全体構成例を図1に示す。なお、図中の実線はSI等番組データの流れ
、波線は指定、指示等の制御信号を示すものとする。
【0027】
図1において、映像や音声等から構成される放送信号111は映像/音声符号化部11
2で圧縮符号化されてTS多重化部113に出力される。TS多重化部113ではSI生
成部115で生成されたEIT[p/f]等のSI情報と共に映像や音声信号を多重化し
てトランスポートストリーム(TS)として出力する。ここでは簡単のため、1TS当た
り1serviceとして、全部でN本のチャンネル数が存在するものとしている。
【0028】
番組関連情報114は現在および将来放送予定の全チャンネル(N本)の番組に関連す
る情報とする。SI生成部115ではこれらの情報がセクション形式の各SIテーブルに
格納され、周期グループ伝送TS設定部116の設定に従って各TS多重化部121〜1
23へ出力される。周期グループ伝送TS設定部116では、テーブル種別や周期グルー
プに基づいて出力先のTSが予め設定されている。特にEITスケジュール情報は情報量
が非常に多いため、その周期グループ毎にSI専用TS131,132、133に分割し
て伝送するよう設定されている。
【0029】
SI専用TS131,132、133ではそれぞれ同じ周期グループに属する全チャン
ネル分のEITスケジュール情報を収集した上で、周期グループ再送周期設定部117で
設定されている再送周期に従って多重化送出する。
【0030】
図2(a)は、この様子を示す図である。テレビ型の拡張周期グループ1(S1)に属
する全チャンネル分のEITスケジュール情報はSI専用TS131、拡張周期グループ
2(S2)に属する全チャンネル分のEITスケジュール情報はSI専用TS132、S
1およびS2を除く基本周期グループ(D1)に属する全チャンネル分のEITスケジュ
ール情報はSI専用TS133でそれぞれ分割して伝送することになる。
【0031】
また、周期グループ伝送TS設定部116における周期グループ伝送TS情報では、E
ITスケジュール情報のどの周期グループがどのTSで伝送されているかを記載し、SI
に多重化して伝送する。
【0032】
図3に、EITスケジュール情報の周期グループ送出指定情報のデータ構造の一例を示
す。これはARIB STD−B10記載のリンク記述子である。このリンク種別(link
age_type)において、例えば周期グループ別のSI専用TSを次のように新たに定義す
る。
SI専用TS(S1含む):0x80、
SI専用TS(S2含む):0x81、
SI専用TS(S1およびS2を除くD含む):0x82、
この記述子をNITにそれぞれ配置することで指定することができる。
図2(a)の例では、SI専用TS131、132,133がそれぞれ同一のネットワ
ーク上にあり同一のoriginal_network_id(その値をXとする)を持つとして、それぞ
れを識別するtransport_stream_idをA、B、Cとすると、この記述子の構造に従い、
SI専用TS131のリンク記述子:
original_network_id=‘X’、
transport_stream_id=‘A’、
linkage_type=‘0x80’
SI専用TS132のリンク記述子:
original_network_id=‘X’、
transport_stream_id=‘B’、
linkage_type=‘0x81’
SI専用TS133のリンク記述子:
original_network_id=‘X’、
transport_stream_id=‘C’、
linkage_type=‘0x82’
として、NITのたとえばネットワークループに上記3個を配置すればよい。
なお、NITに配置される他の記述子のフィールドを使って定義しても良いし、新たに
記述子を作成して定義してもよい。これらの場合にはSIの一部として多重伝送されるが
この配信方法に制限されるものではない。IP放送の場合のように双方向チャンネルが利
用可能な放送メディアでは、これらの情報を記載した別の情報テーブルをユニキャストで
配信してもよい。
【0033】
また、EITスケジュール情報以外のSIの周期グループに関しては明に言及していな
いが、これらはいずれも必要伝送帯域がEITスケジュール情報に比べ非常に狭いため、
上記のSI専用TSや映像音声多重TSの双方に多重してアクセス効率の向上を図っても
問題にならない。
【0034】
また、特に図示していないが図1のTS多重化部121,122,123,113の出
力は衛星放送やCATV、地上放送では誤り訂正符号化や変調処理が施されて送出される
。IP放送では誤り訂正符号化処理の後、IPパケット化をはじめとするIP伝送に必要
な処理を行いマルチキャスト配信するための送信信号を生成する。
【0035】
次に受信装置の基本構成例を図4に示す。なお、この実施形態では、放送信号を放送(
オンエアー)経由で受信することも可能な構成となっているが、通信路(IPネットワー
ク)経由で受信する場合を中心に説明する。
【0036】
図4において、デジタル放送受信装置401は、チューナ部402、デスクランブラ4
03、TSデコード部404、映像音声デコード部405、表示処理部406、制御部4
07、キー入力部408、ICカードI/F部410、メモリ部412、通信処理部41
1から構成されている。
【0037】
チューナ部402は、デジタル放送受信装置401に入力された放送波から所望のチャ
ンネルを選局し、この選局したチャンネルのトランスポートストリーム(TS)をデスク
ランブラ403へ出力する。TSはコンテンツ保護のためにそのペイロード部が一般にス
クランブルされている。
【0038】
通信処理部411は、Ethernet(登録商標)等のネットワーク回線に接続され
、ネットワークを介してIPパケットデータの送受信処理を行うものである。通信処理部
411は、チューナ部402と同様に、IP放送の番組配信サーバからのIPパケット化
された放送信号を受信し、IP伝送で施された誤り訂正符号の復号処理を行い、IPパケ
ットからTS信号を抽出し、デスクランブラ403へ出力する。
【0039】
デスクランブラ403は、通信処理部411やチューナ部402から入力されたTSを
デスクランブルしてTSデコード部404へ出力する。
TSデコード部404は、デスクランブラ403から入力されたTSからPSI(Prog
ram Specific Information)を基に必要なパケットを分離し、この分離したパケットから
更に、放送番組信号(映像、音声)の抽出や各種多重データ(各種SI(Service Inform
ation)データやECM,EMM等)を分離する。また、TSデコード部404は、分離
した放送番組信号(映像、音声)を映像音声デコード部405へ出力する。
【0040】
映像音声デコード部405は、TSデコード部404から入力された放送番組信号(映
像、音声)のデコードを行い、表示処理部406へ出力する。
表示処理部406は、映像音声デコード部405から入力された放送番組信号(映像、
音声)を図示しない外部のモニタへ出力し表示・音声再生させる。また、表示処理部40
6は、ユーザとのインターフェース機能を果たすために各種エラー情報の表示画像信号を
生成し、この生成した画像信号を放送番組信号(映像、音声)に代えて出力、或いは放送
番組信号(映像、音声)と合成して出力する機能を有している。また、表示処理部406
は、TSデコード部404で分離されたSIから構成されたEPG画像信号を生成し、こ
の生成した画像信号を放送番組信号(映像、音声)に代えて出力、或いは放送番組信号(
映像、音声)と合成して出力する機能を有している。
【0041】
キー入力部408は、リモートコントローラ(リモコン)409等のユーザインターフ
ェース機器からの赤外線等による遠隔操作信号を受信する機能を有している。メモリ部4
12はRAM、不揮発性メモリで構成され、例えばチャンネル選局情報や番組情報の一部
は不揮発性メモリに格納される。
【0042】
制御部407は、上記した各機能を統括して制御する機能を有しており、バス接続やシ
リアル通信接続等で各機能ブロックをコントロールする。
ICカードI/F部410は、例えばISO規格であるISO7816に準拠したIC
カードインターフェースである。
ICカード415は契約管理や視聴制御を行うものであり、CPU419,ROM41
6,RAM417,不揮発性メモリ420,I/F部418等から構成されており、デジ
タル放送受信装置401とは、例えばISO規格であるISO7816に準拠したインタ
ーフェースで接続される。ICカード415内の不揮発性メモリ420には、少なくとも
カードID、カード固有の鍵が予め設定されている。
【0043】
制御部407は、TSデコード部404でTSから分離されたEMMやECMを、IC
カードI/F部410を介してICカード415へ出力する。ICカード415は、IC
カードI/F部410からEMMが入力された場合、ICカード415固有の鍵で復号し
て、ワーク鍵(Kw)等契約により取得される情報をICカード415内の不揮発性メモ
リ420に記憶する。また、ICカード415は、ICカードI/F部410からECM
が入力された場合、ICカード415内の不揮発性メモリ420に記憶しているワーク鍵
(Kw)で復号して、番組を視聴可能か否かの判定後、視聴可能な場合にはスクランブル
を解くためのスクランブル鍵(Ks)をデジタル放送受信装置401へ出力する。
【0044】
デジタル放送受信装置401では、制御部407がICカード415から入力されたス
クランブル鍵(Ks)をデスクランブラ403にセットすることにより、デスクランブラ
403にてコンテンツのデスクランブルが行われて番組を視聴可能となる。
【0045】
図5は、デジタル放送受信装置401での上記制御部407におけるSI取得処理の制
御動作の一例をフローチャートで示している。
ステップS501:図1の送信装置の周期グループ伝送TS設定情報を抽出取得し、ス
テップS502へ進む。具体的には図3の例で言えば、NITに配置された3個のリンク
記述子を抽出する。
【0046】
ステップS502:ステップS501で得た周期グループ伝送TS設定情報の内容を解
析し、3本のSI専用TSとそこで伝送されているEITスケジュール情報の周期グルー
プを検知し、ステップS503へ進む。
【0047】
ステップS503:周期グループS1のEITスケジュール情報を取得すべく、その伝
送TS(SI専用TS)を受信し、ステップS504へ進む。なお、これはBSデジタル
放送でいえば先に説明したように現在時刻が属するセグメントを含む3セグメント分、即
ち9時間分にそうとうする。
【0048】
ステップS504:対象のEITスケジュール情報が未取得か、取得済みであってもそ
の更新が検知された場合には、ステップS505へ進み、そうでない場合にはステップS
507へ進む。
【0049】
ステップS505:ステップS504で得たEITスケジュール情報に基づき、セグメ
ントS1のEITスケジュール情報を取得する。
ステップS506:ステップS505においてセグメントS1のEITスケジュール情
報の取得終了を検知した場合にはステップS507へ進み、まだ取得中であればステップ
S505へ戻り、取得を続ける。
【0050】
ステップS507:次の周期グループS2のEITスケジュール情報を取得すべく、伝
送TS(SI専用TS)に切り換え、ステップS504に戻り受信し、一連の処理を繰り
返す。
【0051】
なお、これは同じくBSデジタル放送の場合でいえば、S1の次の13セグメント分、
即ち39時間分に相当する。
なお、ステップS504で更新が検知されない場合にはS507へ飛び、次の伝送TS
(SI専用TS)を速やかに受信する。
なお、本発明では周期グループ単位に全チャンネル分のEITスケジュール情報をそれ
ぞれのTSに分割して伝送するため、受信機でのEPG表示でチャンネル方向のスクロー
ルを行った際にはTS切替を行う必要がないので、チャンネルでグルーピングしてグルー
プ毎にSI専用TSを作成した場合と比較し、TS境界に当たる特定のチャンネル表示に
おいて時間を要してしまうというような応答劣化は生じない。
【0052】
また、時間方向のスクロールに関しては、もともと統計的に再送周期の重み付けを行っ
ており、かつ周期グループ単位でのTS切替えとなるため、この切替えでの応答劣化は目
立ち難い。
【0053】
以上説明したとおり、この発明によれば、送信装置において1個のTSですべての周期
グループのSI、特にEITスケジュール情報を伝送する場合に比べ、各TSにおいて十
分なSI伝送帯域が確保できるため、再送周期を短くして受信機での取得効率改善を図っ
たり、デジタル放送のチャンネル数が増加しても帯域上限内に収めることが容易で、チャ
ンネル数拡充に対して柔軟性のある送出システムが可能になる。
【0054】
また、受信装置においても周期グループ単位に伝送される指定TSからEITスケジュ
ール情報を取得することで、SIの取得管理の負荷をそれほど増加させることなく、チャ
ンネル数の大幅拡充時にも一部チャンネルや全チャンネルの表示応答性の著しい劣化を伴
わずにEPG表示が可能となる。
【0055】
この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨
を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されて
いる複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態
に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に
亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0056】
(第2の実施形態)
放送開始当初のようにチャンネル数が少なく伝送帯域が許すならば図2(b)のように
2つの周期グループのEITスケジュール情報をグルーピングして1本の伝送TS(SI
専用TS)に多重したり、図2(c)のように3つの周期グループのEITスケジュール
情報を1本の伝送TS(SI専用TS)に多重して伝送してもよい。
【0057】
なお、本実施形態のようにSI専用TSの本数を少なくすれば、一般にはSI取得のた
めのTS切替に要する時間のオーバヘッドが少なくなり、より効率的である。チャンネル
数の増加に従い、段階的に周期グループ単位による分割伝送に利用するSI専用TSの本
数を簡単に増やしていくことができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態と第2の実
施形態とを組み合わせ、所望の番組属性として、ジャンル、チャンネルを組みとしたもの
としてもよい。
【0059】
この発明によれば、送信装置において1個のTSもしくは全てのTSで全ての周期グル
ープのSI、特にEITスケジュール情報を伝送するのみの方法に比べ、各TSにおいて
十分なSI伝送帯域が確保できるため、再送周期を短くして受信機での取得効率改善を図
ったり、デジタル放送のチャンネル数が増加しても帯域上限内に収めることが容易で、チ
ャンネル数拡充に対して柔軟性のある送出システムが可能になる。
また、受信装置においても周期グループ単位に伝送される指定TSからEITスケジュ
ール情報を取得することで、SIの取得管理の負荷をそれほど増加させることなく、チャ
ンネル数の大幅拡充時にも一部チャンネルや全チャンネルの表示応答性の著しい劣化を伴
わずにEPG表示が可能となる。
【0060】
(付記)
(1) 放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報で
あるEITスケジュール情報が入力される入力端と、
前記EITスケジュール情報を、同一の再送周期で伝送する周期グループ単位で複数に
分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された前記EITスケジュール情報の複数のトランスポートス
トリームを送信する送信手段とを備えたことを特長とする放送送信装置。
(2) 放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報で
あるEITスケジュール情報を入力し、
前記EITスケジュール情報を、同一の再送周期で伝送する周期グループ単位で複数に
分割し、
この分割された前記EITスケジュール情報の複数のトランスポートストリームをそれ
ぞれ送信することを特長とする放送送信方法。
(3) 放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報で
あるEITスケジュール情報が入力される入力端と、
前記EITスケジュール情報の中で、再送周期が近い周期グループ単位でグルーピング
して複数に分割する分割手段と、
前記グルーピングして複数に分割した前記EITスケジュール情報のトランスポートス
トリームをそれぞれ送信する送信手段とを備えたことを特長とする放送送信装置。
【0061】
(4) 放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Information Table)の情報で
あるEITスケジュール情報を入力し、
前記EITスケジュール情報の中で、再送周期が近い周期グループ単位でグルーピング
して複数に分割し、
前記複数のトランスポートストリームを送信することを特長とする放送送信方法。
(5) 同一の再送周期で伝送する周期グループ単位毎にSI(Service Information
)を送出するトランスポートストリームを指定するSI周期グループ送出指定手段と、
前記SI周期グループ送出指定手段により指定されたトランスポートストリームにおい
て所定の周期グループのSI(Service Information)を送出するSI送出手段と、
周期グループ単位でSI(Service Information)の再送周期を設定するSI周期グル
ープ再送周期設定手段と、
前記SI周期グループ送出指定手段の前記指定に応じたSI周期グループ送出指定情報
を伝送するSI周期グループ送出指定情報伝送手段とを有することを特徴とする放送送信
装置。
【0062】
(6) SI(Service Information)の各周期グループの送出TSを検出するための
SI周期グループ送出指定情報を受信するSI周期グループ送出指定情報受信手段と、
このSI周期グループ送出指定情報受信手段により受信した前記SI周期グループ送出
指定情報を参照して、SI(Service Information)の各周期グループの送出TSを検知
するSI周期グループ伝送検知手段と、
前記SI周期グループ伝送検知手段により検知した送出TS毎に周期グループ単位のS
I(Service Information)を受信取得するSI受信手段とを備えたことを特徴とする放
送受信装置。
【0063】
(7) SI(Service Information)の各周期グループの送出TSを検出するための
SI周期グループ送出指定情報を受信し、
この受信した前記SI周期グループ送出指定情報を参照して、SI(Service Informat
ion)の各周期グループの送出TSを検出し、
この検出した送出TS毎に周期グループ単位のSI(Service Information)を受信取
得することを特徴とする放送受信方法。
【符号の説明】
【0064】
111…放送信号、112…映像/音声符号化部、113…TS多重化部、114…番
組関連情報、115…SI生成部、116…周期グループ伝送TS設定部、117…周期
グループ再送周期設定部、121〜123…TS多重化部、131,132、133…S
I専用TS、401…デジタル放送受信装置、402…チューナ部、403…デスクラン
ブラ、404…TSデコード部、405…映像音声デコード部、406…表示処理部、4
07…制御部、408…キー入力部、409…リモートコントローラ(リモコン)、41
0…ICカードI/F部、412…メモリ部、411…通信処理部、412…メモリ部、
415…ICカード、416…ROM、417…RAM、418…I/F部、419…C
PU、420…不揮発性メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数チャンネル分についての放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Informatio
n Table)の情報であるEITスケジュール情報を、同一の再送周期で伝送する周期グル
ープ単位毎に別々のSI(SI:Service Information)専用トランスポートストリーム
とした複数のトランスポートストリームを送信する送信手段とを備えた放送送信装置。
【請求項2】
複数チャンネル分についての放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Informatio
n Table)の情報であるEITスケジュール情報を、同一の再送周期で伝送する周期グル
ープ単位毎に、別々のSI(SI:Service Information)専用トランスポートストリー
ムとした複数のトランスポートストリームを送信する放送送信方法。
【請求項3】
複数チャンネル分についての放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Informatio
n Table)の情報であるEITスケジュール情報の中で、再送周期が近い周期グループ単
位でグルーピングし、このグルーピングしたグループ毎に、別々のSI(SI:Service
Information)専用トランスポートストリームとした複数のトランスポートストリームを
送信する送信手段とを備えた放送送信装置。
【請求項4】
複数チャンネル分についての放送予定の番組情報を記載するEIT(Event Informatio
n Table)の情報であるEITスケジュール情報の中で、再送周期が近い周期グループ単
位でグルーピングし、このグルーピングしたグループ毎に、別々のSI(SI:Service
Information)専用トランスポートストリームとした複数のトランスポートストリームを
送信する放送送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227952(P2012−227952A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154979(P2012−154979)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【分割の表示】特願2007−180000(P2007−180000)の分割
【原出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】