説明

放電ランプの接続構造及び照明ユニット

【課題】放電ランプの各閉塞部への水銀の凝集を抑制することにより、放電ランプの輝度低下を抑制する。
【解決手段】放電ランプの接続構造100は、軸方向に沿って延在し、内部に放電ガスが封入された放電管10と、放電管10の両端部を閉塞する閉塞部11a,11bと、放電管10の外周面において、放電管の両端部を閉塞する各閉塞部11a,11b近傍に形成された一対の電極12とを有する放電ランプ1と、互いに対向する対向部材2と、対向部材2の各端面20にそれぞれ設けられ且つ各電極12に接続される一対の給電部材3とを備えている。給電部材3は、被支持部30と、被支持部30に接続される被接続部31とを備えている。また、各閉塞部11a,11bは、各電極12が各給電部材3に接続された状態で、給電部材3が閉塞部11a,11bと対向部材2の端面20との間に介在することなく、対向部材2の端面20と対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプの接続構造、及び、この放電ランプの接続構造を適用した照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている外部電極型蛍光ランプ(以下、蛍光ランプと略記する)は、両端に形成された閉塞部によって閉塞され、内部に水銀等の放電ガスが封入されたガラスバルブと、ガラスバルブ両端の外周面に形成された電極とを含んでいる。そして、これらの電極間に電圧を印加すると、ガラスバルブ内で放電が発生し、蛍光ランプが点灯するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−286448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の図2には、蛍光ランプ100の両端部に形成された外部電極が装着されるソケット台50が開示されている。このソケット台50は、弾性のあるステンレス、りん青銅等で形成された一対の電極ソケット51,52と、例えば樹脂材料で形成されたランプ支持台53とを有している。各電極ソケット51,52は、蛍光ランプ100の各外部電極へ給電するための部材及び蛍光ランプ100の両端部を保持するための部材であって、ソケット台50の表面に対して鉛直な方向に延びる延在部分と、開口部が形成された筒形状の接触部分とを有している。図2に示されるように、蛍光ランプ100の両端部に形成された各外部電極は、蛍光ランプ100の長手方向に対して鉛直な方向に沿って各電極ソケット51,52の接触部分へ挿入される構成となっている。
【0005】
一方、従来のソケット台50ではなく、所定の間隔をおいて互いに平行な位置に配置された対向部材に、蛍光ランプ100の両端部に形成された外部電極を装着しようとした場合には、蛍光ランプ100の両端部に形成された各外部電極を、対向部材の端面に取り付けられた各電極ソケット51,52の接触部分に対して、蛍光ランプ100の長手方向に沿って挿入する構成とならざるを得ない。この場合には、蛍光ランプ100の端部を塞ぐ閉塞部及び各外部電極の大部分が各電極ソケット51,52に囲われてしまうため、蛍光ランプ100の両端を塞ぐ閉塞部が、空気を介して、あるいは、直接的に、各閉塞部から各電極ソケット51,52に向かって熱が奪われてしまう。その結果、蛍光ランプ100の各閉塞部に水銀が凝集し、放電ガス中の水銀が減少し、蛍光ランプ100の輝度が低下する虞がある。
【0006】
本発明の目的は、放電ランプの各閉塞部への水銀の凝集を抑制することにより、放電ランプの輝度低下を抑制することのできる放電ランプの接続構造及び照明ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
第1の発明に係る放電ランプの接続構造は、軸方向に沿って延在し、内部に放電ガスが封入された放電管と、放電管の両端部を閉塞する閉塞部と、放電管の外周面において、放電管の両端部を閉塞する各閉塞部近傍に形成された一対の電極とを有する放電ランプと、互いに対向する対向部材と、対向部材の各端面にそれぞれ設けられ且つ各電極に接続される一対の給電部材とを備え、各閉塞部は、各電極が各給電部材に接続された状態で、給電部材が閉塞部と対向部材の端面との間に介在することなく、対向部材の端面と対向している。
【0008】
この放電ランプの接続構造では、各電極が各給電部材に接続された状態で、給電部材が閉塞部と対向部材の端面との間に介在することなく、閉塞部が対向部材の端面と対向している。従って、上記閉塞部が熱伝導率の高い金属製の部材に囲われて配置される場合と比べて、各閉塞部の放熱量を抑制することができる。その結果、放電ランプの各閉塞部に水銀が凝集することを抑制でき、放電ランプの輝度低下を抑制することができる。
【0009】
また、第2の発明に係る放電ランプの接続構造は、第1の発明に係る放電ランプの接続構造において、給電部材は、放電ランプの軸方向から見たときに、その全体が放電ランプの外周面より外側に配置されている。
【0010】
この放電ランプの接続構造では、給電部材の全体が放電ランプの軸方向から見たときに、放電ランプの外周面より外側に配置されている。従って、第1の発明の効果に加えて、給電部材の少なくとも一部が放電ランプの軸方向から見たときに、放電ランプの外周面より内側に配置される場合と比較して、対向部材の各端面間の距離を放電ランプの管路長と同じ程度に短くすることができる。その結果、放電ランプの接続構造のコンパクト化を図ることができる。
【0011】
また、第3の発明に係る放電ランプの接続構造は、第1または第2の発明に係る放電ランプの接続構造において、各給電部材は、対向部材に設けられる被支持部と、被支持部に接続される被接続部とを備え、被支持部は、対向部材の端面から放電ランプと軸をずらすとともに、軸方向と平行な方向に沿って突出する突出部分を備え、被接続部は、電極の外周面と接触する接触部分と、接触部分の一部から突出部分に延在する延在部分とを備えている。
【0012】
この放電ランプの接続構造では、被支持部の突出部分や、被接続部の接触部分及び延在部分からなる簡易な機構で、給電部材が、閉塞部の側面及びさらに端面までの部分を囲わない給電部材を構成できる。
【0013】
また、第4の発明に係る放電ランプの接続構造は、第3の発明に係る放電ランプの接続構造において、被支持部は、突出部分に形成される抜け止め部を備えている。
【0014】
この放電ランプの接続構造では、被支持部の突出部分に形成された抜け止め部を、延在部分と当接させることで、抜け止め部を被接続部の抜け止めとして機能させることができる。従って、放電ランプの一端が、給電部材の抜け止め部により抜け止めとして作用することにより、放電ランプが軸方向に移動して、放電ランプの他端の閉塞部が対向部材の端面と衝突して閉塞部が破損することを防止できる。
【0015】
また、第5の発明に係る放電ランプの接続構造は、第4の発明に係る放電ランプの接続構造において、突出部分は、対向部材と抜け止め部との間に、延在部分が接触すると共にスライドする部分を備えている。
【0016】
この放電ランプの接続構造では、一端は対向部材の端面、他端は被支持部における突出部分の抜け止め部として、被接続部における接触部分の一端部に設けられた延在部分が一端から他端まで接触すると共にスライドする。これにより、放電ランプの製造時の軸方向の距離の誤差や、放電ランプの駆動時の熱膨張による軸方向の距離の誤差が生じても吸収することができる。ゆえに、放電ランプが軸方向に移動または軸方向の伸縮に対しても自由度を確保して且つ放電ランプを給電部材に対して確実に固定することができる。
【0017】
また、第6の発明に係る放電ランプの接続構造は、第1〜第5の発明のいずれかに係る放電ランプの接続構造において、放電ランプは、一対の電極間に設けられ、放電管の外周面と接触する放熱部材を備えている。
【0018】
この放電ランプの接続構造では、放熱部材と接触した放電管の接触箇所を放電ランプにおいて最も冷たい箇所(最冷点)として設定するような構造を採用することによって、各閉塞部における放熱を抑制しようとする負荷を軽減させることができる。
【0019】
また、第7の発明に係る放電ランプの接続構造は、第1〜第6の発明のいずれかに係る放電ランプの接続構造において、複数本の放電ランプを備え、対向部材の各端面には、複数本の放電ランプの各電極に共用の給電部材が形成され、複数本の放電ランプの各閉塞部は、各電極が各給電部材に接続された状態で、共用の給電部材が閉塞部と対向部材の端面との間に介在することなく、対向部材の端面と対向している。
【0020】
この放電ランプの接続構造では、複数の放電ランプを並列駆動させる照明ユニットの給電構造であって、複数の放電ランプに対して、夫々別個に放電ランプの接続構造を設ける場合と比較して、各閉塞部の放熱量を抑制する接続構造を複数本の放電ランプを1つにまとめて容易に形成することができる。
【0021】
また、第8の発明に係る照明ユニットは、第1〜第7のいずれかに係る放電ランプの接続構造と、放電ランプ及び給電部材を収納するカバー部材と備えている。
【0022】
この照明ユニットでは、第1〜第7の発明に係る放電ランプの接続構造と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による放電ランプの接続構造の斜視図である。
【図2】(a)被支持部の背面側を示した斜視図である。(b)被支持部の正面側を示した斜視図である。
【図3】(a)被接続部の背面側を示した斜視図である。(b)被接続部の正面側を示した斜視図である。
【図4】(a)被接続部の平面視図である。(b)被接続部の側面視図である。(c)被接続部の上面視図である。
【図5】被接続部の被支持部への接続手順を示した説明図である。
【図6】本実施形態による放電ランプの接続構造の変形例を示した模式図である。
【図7】本実施形態による放電ランプの接続構造の変形例を示した模式図である。
【図8】本実施形態による放電ランプの接続構造を適用した照明ユニットの内部構造を模式的に示した側断面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。
【0025】
<放電ランプの接続構造>
本発明の一実施形態による放電ランプの接続構造100は、図1に示されるように、所定の間隔をおいて互いに平行な位置に配置された2本の放電ランプ1と、一対の対向部材2と、一対の給電部材3とを備えている。
【0026】
<放電ランプ>
図1に示されるように、各放電ランプ1は、軸方向に沿って延在した放電管10と、放電管10の両端部を閉塞する2つの閉塞部11a,11bと、放電管10の外周面に形成された2つの電極12とを有している。放電管10は、内壁に蛍光体層が塗布された円筒状のガラス管から構成されており、その内部に水銀を含む放電ガスが封入されている。つまり、一端部が閉塞された円筒状のガラス管の他端部から、内部に放電ガスが充填された状態でその他端部が閉塞されて、放電管10が構成されている。なお、放電ガスのガス圧は例えば30〜50Torrに設定されている。
【0027】
図1に示されるように、閉塞部11a,11bは、各電極12が各給電部材3に接続された状態で、給電部材3が閉塞部11a,11bと対向部材2の各端面20との間に介在することなく、対向部材2の各端面20とそれぞれ対向している。また、本実施形態において、閉塞部11a,11bは、放電管10の軸方向に沿って先端に近づくにつれて幅が狭くなる先細り形状を有しているが、丸みを帯びた形状であってもよい。
【0028】
電極12は、導電ペーストを固化させたものであり、2つの閉塞部11a,11b間であって閉塞部11a,11bの近傍において放電管10の全周にわたって形成されている。なお、電極12は、導電性を有しておれば、どのような材質から形成されてもよい。
【0029】
<対向部材>
対向部材2は、樹脂製の材質を用いて構成されており、所定の厚みを有し、互いに対向する2枚の板状部材として形成されている。また、各対向部材2は、後述する給電部材3が取り付けられる平坦状の端面20を有している。なお、対向部材2は、熱伝導率の高い金属製の部材と比べて、閉塞部11a,11bから対向部材2への放熱量を抑制することができるものであれば、どのような材料で形成されてもよい。
【0030】
<給電部材>
給電部材3は、導電性を有する金属材料で構成されている。図1に示されるように、給電部材3は、端面20に設けられる被支持部30と、放電ランプ1の軸方向に沿って被支持部30に接続される被接続部31とを備えている。また、本実施形態において、給電部材3の全体は、放電ランプ1の軸方向から見たときに、放電ランプ1の外周面よりも外側に配置されている。
【0031】
<被支持部>
被支持部30は、インバータ電源(図示省略)と電気的に接続されている。また、被支持部30は、図2(a),(b)に示されるように、略十字形状を有する支持基板30a上端部分の表面から突出するとともに、相互に対向する一対の突出部分300を有している。被支持部30は、支持基板30aが対向部材2の内部に挟み込まれる、又は、対向部材2にインサート成形される等して対向部材2に取り付けられている。ここで、対向部材2の端面20は、放電ランプ1の軸方向の端部である閉塞部11aが対向する部分の端面20であり、この端面20は、閉塞部11aの保護となる部材や給電端子3を対向部材2に固定するボンド等の別部材で形成されていてもよい。
【0032】
突出部分300は、板状に形成されており、その先端に抜け止め部が形成され、抜け止め部は、略矩形状の切欠部分3000と、弾性変位可能な板状の係止突起3001とを備えている。
【0033】
図2(a),(b)に示されるように、切欠部分3000は、突出部分300の先端部300a近傍に形成されており、突出部分300の延在方向に対して垂直な方向に延びる一対の辺部3000a,3000bを有している。なお、切欠部分3000は、係止突起3001が切欠部分3000に向かって弾性変位可能なものであれば、半円形状や半楕円形状等に形成してもよい。
【0034】
図2(b)に示されるように、係止突起3001は、その一端部3001aが切欠部分3000の対向部材2と反対側の辺部3000bに接続され且つ辺部3000bから離れるに連れて支持基板30aに近づくように傾斜している。これにより、係止突起3001は、上記辺部3000bを支点として切欠部分3000に向かって弾性変位可能となっている。
【0035】
<被接続部>
図3に示されるように、被接続部31には、開口部31aが形成されている。被接続部31は、一対の接触部分310と、一対の延在部分311とを備えており、これらの部分は、一体で成形されている。
【0036】
図4(a)に示されるように、接触部分310は、一枚板で構成されており、上記開口部31aを形成するために略C形状を有している。また、図3(a),(b)に示されるように、接触部分310は、放電ランプ1の軸方向に沿って延在する略筒形状を有しており、放電ランプ1を、被接続部31の開口部31aを広げつつ、放電ランプ1の軸方向に沿って挿入することにより、電極12の外周面12aと接触する。また、本実施形態では、接触部分310が、電極12の外周面12aの半周を超える領域を覆うことが可能となっている。
【0037】
図4(b)に示されるように、延在部分311は、板状に形成されており、接触部分310の一端部に設けられ且つ略L字形状を有している。延在部分311は、凸状部分3110と、係合突起3111とを備えている。弾性変位可能な板状の係止突起3001とを備えている。図4(b)に示されるように、延在部分311には、延在部分311の接触部分310と反対側の端部(延在部分311と係合突起3111との境界部分B)と略隣接する位置に、円形の凸状部分3110が形成されている。この凸状部分3110は、放電ランプ1の軸方向と鉛直な方向に突出しており、被支持部30と被接続部31との接触を確保するための接触片として設けられている。なお、凸状部分3110は円形状に限らず、楕円形状や矩形状等の種々の形状に形成可能である。
【0038】
図4(b),(c)に示されるように、係合突起3111は、上記境界部分Bから上記係止突起3001と平行な方向に傾斜するようにして突出している。係合突起3111は、被接続部31を被支持部30に接続する際に係止突起3001を押圧するための部位として設けられている。係合突起3111は、板状に形成されており、図4(b)に示されるように、境界部分Bと反対側の先端部には面取り加工が施されている。
【0039】
[被接続部の被支持部への接続手順] 以下では、図5を参照しつつ、被接続部31の被支持部30への接続手順について説明する。
【0040】
まず、図5(a)に示す初期状態において、被接続部31の接触部分310と電極12の外周面12aとが接触している。また、この状態では、被接続部31の被支持部30への接続方向(放電ランプ1の軸方向に沿う方向)に関して、係止突起3001と係合突起3111の対向面間の軸方向への距離はD1となっている。
【0041】
次いで、図5(b)に示す状態では、被接続部31が被支持部30に向かって図中の矢印方向に距離D1だけ移動することによって、係止突起3001と係合突起3111の各対向面が相互に接触する。
【0042】
そして、図5(c)に示す状態では、被接続部31が被支持部30に向かって図中の矢印方向にさらに距離D2だけ移動することによって、係合突起3111が突出部分300の外側に広がるとともに、係止突起3001を押圧しつつ乗り越えて、対向部材2の端面20に向かって進行する。一方、係合突起3111による押圧が解除された係止突起3001の端面20に対向する対向面3001b(図2(b)参照)は、延在部分311の係合突起3111と反対側の端面311a(図3(a),(b)参照)と当接する。この当接により、係止突起3001が被接続部31の抜け止めとして機能し、被接続部31が被支持部30への接続方向と反対の方向に抜けることを規制できる。このとき、被接続部31の延在部分311の凸状部分3110は、被支持部30の突出部分300と接触して電気的に接続される状態となる。また、一端は対向部材2の端面20、他端は被支持部30における突出部分300の抜け止め部である係止突起3001として、被接続部31における接触部分310の一端部に設けられた延在部分311が、一端から他端まで接触すると共にスライドすることができる。
【0043】
さらに、給電部材3において、被支持部30は、対向部材2の端面20から放電ランプ1と軸をずらすとともに、軸方向と平行な方向に沿って突出する突出部分300を備え、被接続部31は、電極12の外周面12aと接触する接触部分310と、接触部分310の一部から突出部分300に延在する延在部分311とを備えているので、閉塞部11aは、図5(c)に示されるように、給電部材3が、閉塞部11aの側面及びさらに端面20までの部分を囲わない。また、閉塞部11aと対向する端面20が給電部材3ではない。従って、給電部材3が閉塞部11aと対向部材2の端面20との間に介在することなく、閉塞部11aが、対向部材2の端面20と対向している。また、図5(c)ではその図示を省略したが、閉塞部11bも同様に、給電部材3が閉塞部11bと対向部材2の端面20との間に介在することなく、対向部材2の端面20と対向している。
【0044】
また、図5(c)に示されるように、係止突起3001を備える被支持部30と、接触部分310と延在部分311を備える被接続部31とが、接続された状態で、2本の放電ランプ1を備え、対向部材2の端面20には、2本の放電ランプの各電極12の外周面12aに共用の給電部材3が形成され、2本の放電ランプ1の各閉塞部11aは、各電極12が給電部材3に接続された状態で、共用の給電部材3が各閉塞部11aと対向部材2の端面20との間に介在することなく、対向部材2の端面20と対向している。
【0045】
[放電ランプの動作]
本実施形態の放電ランプ1では、被接続部31が、インバータ電源(図示省略)と電気的に接続された被支持部30に接続されることで、被接続部31とインバータ電源と電気的に接続され、被接続部31の接触部分310と接触した状態にある電極12へ電圧を印加することが可能となる。こうして、高周波高電圧がインバータ電源から被支持部30及び被接続部31を介して電極12に印加されると、放電管10内で放電が発生して放電ガスが発光する。これにより、放電ランプ1が発光する。
【0046】
[本実施形態による放電ランプの接続構造の特徴]
以上、本実施形態の放電ランプの接続構造100では、放電ランプ1の各電極12が各給電部材3に接続された状態で、給電部材3が各閉塞部11a,11bと対向部材2の端面20との間に介在することなく、各閉塞部11a,11bが対向部材2の端面20と対向している。従って、上記閉塞部11a,11bが熱伝導率の高い金属製の部材に囲われて配置される場合と比べて、各閉塞部11a,11bから対向部材2への放熱量を抑制することができる。その結果、放電ランプ1の各閉塞部11a,11bに水銀が凝集することを抑制でき、放電ランプ1の輝度低下を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の放電ランプの接続構造100では、給電部材3の全体が放電ランプ1の軸方向から見たときに、放電ランプ1の外周面より外側に配置されている。従って、給電部材3の少なくとも一部が放電ランプ1の軸方向から見たときに、放電ランプ1の外周面1aより内側に配置される場合と比較して、対向部材2の各端面20間の距離を放電ランプ1の管路長と同じ程度まで短くすることができる。その結果、放電ランプの接続構造100のコンパクト化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態の放電ランプの接続構造100では、給電部材3は、対向部材2に設けられる被支持部30と、被支持部30に接続される被接続部31とを備え、被支持部30は、対向部材2の端面20から放電ランプ1と軸をずらすとともに、軸方向と平行な方向に沿って突出する突出部分300を備え、被接続部31は、電極12の外周面12aと接触する接触部分310と、接触部分310の一部から突出部分300に延在する延在部分311とを備えているので、被支持部30の突出部分300や、被接続部31の接触部分310及び延在部分311からなる簡易な機構で、給電部材3が、閉塞部11aの側面さらに端面20までの部分を囲わないようにできる。
【0049】
また、本実施形態の放電ランプの接続構造100では、各給電部材3は、対向部材2に設けられる被支持部30と、被支持部30に接続される被接続部31とを備え、被支持部30は、対向部材2の端面20から放電ランプ1の軸方向に沿って突出する突出部分300と、突出部分300に形成される抜け止め部とを備え、被接続部31は、放電ランプ1の軸方向に沿って延在し且つ電極12の外周面12aと接触する接触部分310と、接触部分310の一端部に設けられた延在部分311とを備え、突出部分300は、対向部材2と抜け止め部の間に、延在部分311が接触すると共にスライドする部分を備えているので、被支持部30の突出部分300に形成された抜け止め部を、延在部分311と当接させることで、抜け止め部を被接続部31の抜け止めとして機能させることができる。従って、放電ランプ1の一端が、給電部材3の抜け止め部により抜け止めとして作用することにより、作業者の組付け時や地震などの災害時に、放電ランプ1が軸方向に移動して、放電ランプ1の他端の閉塞部11a、11bが対向部材2の端面20と衝突して閉基部11a、11bが破損することを防止できる。また、被接続部31における接触部分310の一端部に設けられた延在部分311が一端から他端まで接触すると共にスライドすることにより、放電ランプ1の製造時の軸方向の距離の誤差や、放電ランプ1の駆動時の熱膨張による軸方向の距離の誤差が生じても吸収することができる。
【0050】
また、抜け止め構造としては、係止突起3001の対向面3001bを、延在部分311の係合突起3111と反対側の端面311aと当接させることで、係止突起3001を被接続部31の抜け止めとして機能させることができる。従って、被支持部30に接続された被接続部31が、その接続方向と反対の方向に抜けることを確実に規制できる。これにより、放電ランプ1を給電部材3に対して確実に固定することができる。
【0051】
また、本実施形態の放電ランプの接続構造100では、被接続部31の係合突起3111が係止突起3001と平行な方向に傾斜しているので、被接続部31を被支持部30に接続する際に、係合突起3111が係止突起3001の外側に広がることを確実に保証できる。また、被支持部30の係止突起3001が、辺部3000bから離れるに連れて支持基板30aに近づくように傾斜しているので、被接続部31の被支持部30への挿入性を向上させることができる。その結果、被接続部31の被支持部30への接続作業の容易化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態の放電ランプの接続構造100では、2本の放電ランプ1を備え、対向部材2の端面20には、2本の放電ランプ1の各電極12の外周面12aに共用の給電部材3が形成され、2本の放電ランプ1の各閉塞部11aは、各電極12が給電部材3に接続された状態で、共用の各給電部材3が各閉塞部(11a、11a、11b、11b)と対向部材2の端面20との間に介在することなく、対向部材2の端面20と対向しているので、従来のような、2本の放電ランプを並列駆動させる照明ユニットの給電構造であって、複数の放電ランプに対して、夫々別個に放電ランプの接続構造を設ける場合と比較して、各閉塞部の放熱量を抑制する接続構造を複数本の放電ランプを1つにまとめて容易に形成することができる。
【0053】
また、本実施形態の放電ランプの接続構造100では、2本の放電ランプを並列駆動させる照明ユニットの給電構造であって、例えば、2本の放電ランプの各電極と接触する接触部材を1つずつ設け、これら2つの接触部材を接続する1つの接続部材からなる3つの別部品からなる給電構造と比較して、被接続部31の接触部分310の全体を一体部材で構成できるので、従来よりも部品点数を減らすことができ、製造コストを削減することができる。また、接触部分310の全体を一枚板で製造できるため、接触部分310の成形を容易に行うことができる。さらに、従来のように、2本の放電ランプの各電極と接触する接触部材のそれぞれに個別に放電ランプの挿入口を広げる開口部を設けた場合と比較して、2本の放電ランプの挿入時に2つの開口部のそれぞれを広げる必要がなく、1つの開口部31aを広げるだけで済むため、組み立て作業の向上を図ることができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
上述した実施形態では、放電ランプ1を、被接続部31の開口部31aを広げつつ、放電ランプ1の軸方向に沿って被接続部31に挿入する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されず、放電ランプ1を、被接続部31の開口部31aを広げつつ、放電ランプ1の軸方向に直交する方向に移動させて被接続部31に挿入してもよい。
【0056】
上述した実施形態では、給電部材3が被支持部30及び、被支持部30と接続される被接続部31とからなる2つの分割部材で構成される例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されず、図6に示されるように、給電部材が接続を含め一体部材として構成されるものでもよい。より具体的には、給電部材503が、対向部材502の端面520に設けられたL字状の被支持部530と、開口部531aが形成された筒形状の接触部531とを有し、被支持部530と接触部531が一体で構成されていてもよい。また、図示のように、放電ランプ501を、接触部531に対して放電ランプの軸方向に移動させて挿入してもよいし、放電ランプ501を、接触部531の開口部531aに対して、放電ランプの軸方向に直交する方向に移動させて挿入してもよい。
【0057】
上述した実施形態では、被接続部31に開口部31aを設けて、この開口部31aを広げつつ、放電ランプ1の軸方向に沿って被接続部31に挿入する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されず、被接続部31に開口部31aを設けずに、例えば、筒形状の被接続部を構成し、放電ランプを、放電ランプの軸方向に沿って挿入してもよい。
【0058】
上述した実施形態では、給電部材を2つの部材で構成する一例として、給電部材3は、被支持部30における2枚板の突出部分300に、被接続部31における2枚板の延在部分311が接続される例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されず、給電部材を2つの部材で構成する別の例として、図7に示されるように、対向部材600の端面600aに円柱状の突出部601を設けて、この突出部601に図中の矢印方向に被接続部602を接続する円筒状の挿入部を設けた構成であってもよい。抜け止め部としては、突出部601と、被接続部602の円筒状の挿入部に、夫々凹部、凸部を組み合わせるなどして抜け止め部を構成することができる。
【0059】
上述した実施形態では、給電部材を被支持部30及び被接続部31の2つの部材で構成する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されず、
給電部材を3つ以上の部材で構成してもよい。
【0060】
上述した実施形態では、被接続部31が、被支持部30に放電ランプ1の軸方向に沿って接続される例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されず、被接続部31が、被支持部30に放電ランプ1の軸方向に直交する方向、あるいは、該直交方向に対して斜め方向に移動させて接続してもよい。
【0061】
また、本実施形態の放電ランプの接続構造100を図8に示すような照明ユニットに適用してもよい。より具体的には、図8(a),(b)に示されるように、放電ランプの接続構造100を照明ユニット700に適用することができる。この照明ユニット700は、長手方向に沿って延在した長尺なランプカバー(カバー部材)701と、ランプカバー701に挿入された2本の放電ランプ1と、円筒状のランプカバー701の両端に夫々設け、両側から嵌め込むように構成されたキャップ状の電極ケース(対向部材)702と、一対の給電部材3とを含んでいる。図8に示すランプカバー701は、透明又は透光性のあるポリカーボネート樹脂から構成されているが、透明又は透光性を有するものであれば、どのような材料でもよい。例えば、アクリル樹脂やガラスなどの材料から構成されていてもよい。また、ランプカバー701の形状には、円筒状等、種々の形状を採用できる。また、上記したキャップ状の電極ケース702は、インバータ電源から引き込まれたリード線が給電端子3と接続するようにしてもよいし、上記したキャップ状の電極ケースをプラグとして、インバータ電源へのソケットに接続してもよい。また、ランプカバー701内にインバータ回路を収納するように構成してもよい。
【0062】
なお、図8では、各閉塞部における放熱を抑制しようとする負荷を軽減させることを目的として、放電ランプ1において最も冷たい箇所(最冷点)を設定する構造が採用されている。
【0063】
より具体的には、図8に示されるように、ランプカバー701内には、放電ランプ1の2つの電極12の中間において、放電管10の外周面と接触すると共にランプカバー701の内周面と接触して配置されている放熱部材704が設けられている。この放熱部材704は、例えば円板形状を有しており、その外周面全体がランプカバー701の内周面と接触している。また、放熱部材704は、シリコン樹脂等の空気よりも熱伝導率が大きい材料が用いられており、放電管10からの放熱部材704を介した放熱量は、放電管10からの空気を介した放熱量よりも大きくなるように構成されている。この構成によれば、放熱部材704と接触した放電管10の接触箇所は、放電ランプ10を放電させたときに、閉塞部11a、11bよりも温度が低くなる。このため、放電ガス中に含まれる水銀が閉塞部11a、11bにおいて凝集しにくくなる。このように、本実施形態の放電ランプの接続構造100に放熱部材704の放熱効果を組み合わせることによって、放電ランプ1の各閉塞部11a、11bに水銀が凝集することを、より効果的に抑制することができる。
【0064】
また、最冷点を設定する別の具体例として、ランプカバー701無しの放電ランプの接続構造100に、上記の放熱部材704を適用することができる。例えば、図1の放電ランプの接続構造100において、2本の放電ランプ1の軸方向における中間に、夫々の放電管10を径方向から把時する一対の金属製の平板などから構成される熱伝導率の高い放電管を支持すると共に放熱する放熱部材701を設け、それらの放熱部材704を、放電ランプ1を把時すると共に、天井側に熱伝導率の高い金属等で構成された反射板を設け、この反射板に固定する。このとき、放熱部材704は、金属等の熱伝導率が大きい材料が用いられており、放電管10からの放熱部材704を介した放熱量は、放電管10の閉塞部11a、11bから空気を介した放熱量よりも大きく、この構成によれば、放電管10から放熱部材704を介して大面積の反射板へ放熱させることができる。従って、放電管10の放熱部材704が把持する部分は、放電ランプ1を放電させたときに、閉塞部11a、11bよりも温度が低くなる。このため、放電ガス中に含まれる水銀が閉塞部11a、11bにおいて凝集しにくくなる。このような形態でも、放電ランプの接続構造100に放熱部材704の放熱効果を組み合わせることによって、放電ランプ1の各閉塞部11a、11bに水銀が凝集することを、より効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 放電ランプ
2 対向部材
3 給電部材
10 放電管
11a,11b 閉塞部
12 電極
20 端面
30 被支持部
31 被接続部
100 放電ランプの接続構造
300 突出部分
310 接触部分
311 延在部分
700 照明ユニット
701 ランプカバー(カバー部材)
702 電極ケース(対向部材)
704 放熱部材
3000 切欠部分
3000a,3000b 辺部
3001 係止突起
3111 係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延在し、内部に放電ガスが封入された放電管と、前記放電管の両端部を閉塞する閉塞部と、前記放電管の外周面において、放電管の両端部を閉塞する各閉塞部近傍に形成された一対の電極とを有する放電ランプと、
互いに対向する対向部材と、
前記対向部材の各端面にそれぞれ設けられ且つ各電極に接続される一対の給電部材とを備え、
各閉塞部は、各電極が各給電部材に接続された状態で、前記給電部材が前記閉塞部と前記対向部材の端面との間に介在することなく、前記対向部材の端面と対向していることを特徴とする放電ランプの接続構造。
【請求項2】
前記給電部材は、前記放電ランプの軸方向から見たときに、その全体が前記放電ランプの外周面より外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプの接続構造。
【請求項3】
各給電部材は、
前記対向部材に設けられる被支持部と、
前記被支持部に接続される被接続部とを備え、
前記被支持部は、
前記対向部材の端面から前記放電ランプと軸をずらすとともに、前記軸方向と平行な方向に沿って突出する突出部分を備え、
前記被接続部は、
前記電極の外周面と接触する接触部分と、
前記接触部分の一部から前記突出部分に延在する延在部分とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の放電ランプの接続構造。
【請求項4】
前記被支持部は、
前記突出部分に形成される抜け止め部を備えることを特徴とする請求項3に記載の放電ランプの接続構造。
【請求項5】
前記突出部分は、
前記対向部材と前記抜け止め部との間に、前記延在部分が接触すると共にスライドする部分を備えることを特徴とする請求項4に記載の放電ランプの接続構造。
【請求項6】
前記放電ランプは、
前記一対の電極間に設けられ、前記放電管の外周面と接触する放熱部材を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放電ランプの接続構造。
【請求項7】
複数本の放電ランプを備え、
対向部材の各端面には、複数本の放電ランプの各電極に共用の給電部材が形成され、複数本の放電ランプの各閉塞部は、各電極が各給電部材に接続された状態で、共用の給電部材が閉塞部と対向部材の端面との間に介在することなく、対向部材の端面と対向している
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放電ランプの接続構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の放電ランプの接続構造と、
前記放電ランプ及び前記給電部材を収納するカバー部材と備えることを特徴とする照明ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−89344(P2012−89344A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234878(P2010−234878)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(593122789)ユーテック株式会社 (118)
【Fターム(参考)】