説明

放電ランプ

【課題】製造が容易で耐久性のある放電ランプを提供する。
【解決手段】筒状の封止管部を有する透光性封体内に一対の電極を有する放電ランプであって、少なくとも陽電極または陰電極のいずれかは、電極から延設される電極リード棒に前記電極側から順に導電体A、石英板Aおよび導電体Bを貫通させて前記封止管部に配設され、前記電極リード棒の他端は密閉体に挿入され、かつ電極リード棒は導電体B貫通孔内で固定され、前記密閉体と導電体Bとの表面は複数枚の導電箔が長軸方向に巻装され、前記密閉体は前記導電箔を介して前記封止管部に気密に固定され、かつ前記石英板Aの直径が前記導電体Bの直径よりも大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性に優れる放電ランプに関し、より詳細には、筒状の封止管部を有する透光性封体内に一対の電極を有する放電ランプであって、後端を密閉体に挿入される電極リード棒が、更に石英板によって封止管部に固定され、使用時の熱膨張や振動に対する耐久性に優れる、放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の導電箔を有する放電ランプは、図5に示すように、発光管部111aとその両端に円筒状に延設された封止管部111bとからなる透光性封体111内に、陽電極120と陰電極130との一対の電極を含み、前記電極から延設される電極リード棒121は、導電体122を貫通させ、その後端を密閉体124に挿入される構造となっている。また、密閉体124の後端には、導入線126の端部が固定された集電用ディスク125が面同士を接して配設されている。そして前記導電体122と密閉体124および集電用ディスク125の表面にはストリップ状の導電箔123が巻装され、密閉体124は封止管部111bに気密に固定されている。
【0003】
放電ランプは、使用時の発熱によって各部材が熱膨張するが、部材によって膨張率が相違する。特に、モリブデンからなる導電体122と石英ガラスからなる密閉体124とは膨張率が大きく異なる。このため、熱膨張による封止管部111bの破損を防止するため導電体122と封止管部111bとの間には微小空間Sが設けられ、かつ導電体122と封止管部111bとの間は溶着などによる固着はされておらず、導電体122は、導電箔123によって支持される構造となっている。
【0004】
このような放電ランプ110は、一般に垂直点灯、すなわち陰電極側の電極リード棒121が垂下するように固定して使用される。しかしながら、取付時や運搬時の振動によって、電極(陽電極120または陰電極130)、電極リード棒121や導電体122の重量が導電体122を傾ける力となる。前記したように、導電体122と封止管部111bとの間には微小空間Sが設けられているため、このような負荷力によって導電体122が微小空間S内で傾き、導電体122と密閉体124との表面に巻装される導電箔123に引っ張り力が付加される。その結果、図6に示すように、導電箔123は引き延ばされ、ついには切断されてしまう。
【0005】
この問題を解決するために、導電体の厚みを軸方向に大きくすることによって、導電体の傾きを少なくする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。導電体の傾きが少なくなるため、導電箔が引っ張られる距離が短くなり切断には至らなくなる、というものである。
【特許文献1】特公平4−67297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、放電ランプには放射光量増加の要請があり、上記特許文献1記載の方法は、このような要請に十分対応できるものではない。
【0007】
というのも、放射光量を増加するには入力電流を増加すればよいが、入力電流を増加すると電極間を流れる電子流も増加し、増加した電子流に耐えられるように電極を大きくし、これに伴い放電ランプ全体を大型化する必要が生ずる。放電ランプを大型化すると、電極の重量が増大するばかりか電極の重心から導電体122までの距離も増大し、放電ランプに振動が加わった場合には、導電体122を傾けようとする力も大きくなり、より大きな引っ張り力が導電箔123に加わるためこれを切断してしまう。
【0008】
また、電極の大型化に伴って封止管部111bの内径も大きくする必要があり、封止管部111b、と微小空間Sをもって遊嵌する導電体122の直径も大きくする必要がある。上述のように導電体122の方が封止管部111bよりも膨張率が大きいので、導電体122の直径を大きくする場合には、導電体122と封止管部111bとの間に設けられる微小空間Sも大きくする必要があり、導電体122が傾く角度も大きくなり、より大きな引っ張り力が導電箔123に加わりこれを切断しやすくする。
【0009】
このような大型化した放電ランプにおいて、前記特許文献1記載のように導電体122の厚みを軸方向に大きくする方法を用いると、導電体122の重量も増大するため、放電ランプに振動が加えられた場合には導電箔123に加わる引っ張り力も増大し、かえって導電箔123が切断されやすくなる場合がある。更に、導電体122の厚みを大きくした分だけ放電ランプを更に大型化する必要があり、放電ランプを組み込んだ装置(例えば液晶のカラーフィルターの製造工程における露光装置など)全体も大型化し、不利である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、耐久性のある放電ランプ、特にランプの大型化にも対応できる耐久性に優れる放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、封止管部における導電箔の切断状況を詳細に検討した結果、電極リード棒の振動を抑制することで導電箔の切断を防止できること、この際、密閉体に加えて更に別個の構造物によって電極リード棒を固定すると効果的に振動を抑制できること、このような別個の構造物として石英板が好適であることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電極リード棒の端末を密閉体への挿入することに加えて導電体より直径の大きい石英板を封止管部の電極よりに配設することで、導電体を確実に固定して電極リード棒の振動を抑制できる。
【0013】
本発明によれば、放電ランプのサイズによらず電極リード棒の振動を抑制できるため、放電ランプの大型化にも適応できる。
【0014】
本発明の放電ランプにおいて、石英板は電極リード棒に貫通して配置することができるため、製造が容易である。
【0015】
本発明によれば、封止管部の電極側に更に石英板を設けることで、放電ランプ内に存在するアルカリ性物質などの不純物によるランプの劣化を防止でき、電球寿命を延命することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、筒状の封止管部を有する透光性封体内に一対の電極を有する放電ランプであって、少なくとも陽電極または陰電極のいずれかは、電極から延設される電極リード棒に前記電極側から順に導電体A、石英板Aおよび導電体Bを貫通させて前記封止管部に配設され、前記電極リード棒の他端は密閉体に挿入され、かつ電極リード棒は導電体B貫通孔内で固定され、前記密閉体と導電体Bとの表面は複数枚の導電箔が長軸方向に巻装され、前記密閉体は前記導電箔を介して前記封止管部に気密に固定され、かつ前記石英板Aの直径が前記導電体Bの直径よりも大きいことを特徴とする、放電ランプである。
【0017】
本発明の好適な実施態様を示す図1を用いて、本発明を説明する。
【0018】
図1において、10は放電ランプ、11は透光性封体、11aは発光管部、11bは封止管部、20は陽電極、21は電極リード棒、22は導電体、23は導電箔、24は密閉体、25は集電用ディスク、26は導入線、30は陰電極、40は導電体B、43は石英板A、45は導電体A、47は石英板B、50は外部端子を示す。
【0019】
本発明の放電ランプは、筒状の封止管部11bを有する透光性封体10内に、陽電極20と陰電極30とからなる一対の電極を有し、前記電極には電極リード棒21が延設され、電極リード棒21の後端は密閉体24に挿入されている。封止管部11bには、前記電極側から順に導電体A45、石英板A43および導電体B40が配設され、これらはいずれも円盤状であり、その中央部で電極リード棒21を貫通させている。なお、前記石英板Aの直径は前記導電体Bの直径よりも大きい。また、封止体24の後ろには、導入線26を固定した集電用ディスク25が配置され、該集電用ディスク25は前記導入線26を介して外部端子50と接続している。なお、前記導電体B40、密閉体24および集電用ディスク25の表面には、該周面に沿って軸方向に伸びた複数枚のストリップ状の導電箔23が巻装され、前記導電箔23は、通常2〜3mm程度の間隔で、密閉体24のほぼ全周にわたって配設されている。密閉体24と封止管部11bとが導電箔23を介して溶着され、放電ランプ10内を気密にするとともに導電箔23の介在によって導電を可能としている。なお、導電箔23と、導電体B40および集電用ディスク25とは、それぞれ溶接などによって導電的に固着されている。
【0020】
本発明は、導電体B40の電極側に、導電体B40よりも直径の大きい石英板B43を配設するため、密閉体24に挿入された電極リード棒21の移動範囲を限定し、電極リード棒21の振動を抑制して、導電箔23の切断を防止することができる。しかも、透光性封体の原料は石英であるため、封止管部11bと石英板A43との熱膨張率が等しく、熱膨張率の相違による封止管部11bの破損を効率的に抑制することができる。
【0021】
石英板A43は、その中央部で電極リード棒21を貫通させるが、電極リード棒21の熱膨張による管径の増加に対応できるように、および隣接する導電体B40の熱膨張による電極方向への移動に対応できるように、石英板A43に電極リード棒21の外径よりも大きい孔径の貫通孔が設けられている。従って、石英板A43の貫通孔径は、熱膨張の際に電極リード棒の管径と同じかそれよりも大きくなるように調整されることが好ましい。また、前記封止管部11bの内径に対する前記石英板A43の直径の比(石英板Aの直径/封止管部の内径)は、0.5〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.0である。0.5を下回ると、電極リード棒21の振動を抑制する効果が十分でなく、導電箔23が切断される場合がある。また、前記封止管部11bの内径に対する前記石英板A43の幅の比(石英板Aの幅/封止管部の内径)は、0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0である。0.1を下回ると電極リード棒21の固定効果が弱い場合があり、一方2.0を超えると、リード線が長くなり温度が下がりすぎて水銀などを透光性封体内に導入した場合にこの水銀などがたまるので不利となる。
【0022】
本発明では、電極リード棒21の端部は密閉体24に挿入され、かつ密閉体24に接触して導電体B40が配設されている。この導電体B40は、その中央部で電極リード棒21を貫通させているが、該電極リード棒21は導電体B40の貫通孔内で溶接固定などによって固定されている。このように電極リード棒21が導電体B40と溶着していると、導電体A45と導電体B40とによって石英板A43を挟み込むことで、石英板A43の固定を確実にして電極リード棒21の動きを抑制して導電箔23の切断を防止することができる。この際、電極リード棒21と導電体B40との溶着の際、導電体A45と石英板A43との間には緩衝材のようなものを使用して、圧縮力の調整を行うことが好ましい。このような圧縮力の調整は、例えば、図3に示すように、導電体A45と石英板A43との間に、中心部に穴をあけた反発力のあるエンボス円板などの緩衝材49を挟むことができ、またはタングステンスプリングなどのスプリングを挿入して調節してもよい。タングステンスプリングを使用する場合には、図4に示すように、石英板A43の中心部を一部えぐる事により、スプリング49’が外部に出ないようにすることが好ましい。なお、導電体B40と石英板A43との間の圧縮力は、0.1〜10kg/cm2(常温時)となるよう、特には0.1〜5kg/cm2となるように固定することが好ましい。この範囲であれば、使用時の熱膨張によって密封体24や石英板A43を破壊することもなく、かつ石英板A43を確実に固定することができる。なお、電極リード棒21の導電体B40の貫通孔内での固定方法としては、上記したように溶接などによる溶着のほか、電極リード棒21にネジを切り、導電体B40にもこれに対応するネジを切って固定することもできる。
【0023】
前記封止管部11bの内径に対する前記導電体B40の直径の比(導電体Bの直径/封止管部の内径)は、0.5〜0.98であることが好ましく、より好ましくは0.8〜0.98である。0.5を下回ると電極リード棒21の固定効果が十分でなく、一方、0.98を超えると使用時の熱膨張によって封止管部11bを破損する場合がある。また、前記封止管部11bの内径に対する前記導電体B40の幅の比(導電体Bの幅/封止管部の内径)は、0.07〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.5である。0.07を下回ると、導電体B40による電極リード棒21の固定強度が十分でなく、一方、0.5を超えると使用時の熱膨張によって隣接する密封体24を破損する場合がある。
【0024】
更に、本発明では、石英板A43に隣接して電極側に導電体A45が配置される。導電体A45は、その中央部で電極リード棒21を貫通させるが、電極リード棒21の熱膨張による管径の増加に対応できるように、導電体A45には電極リード棒21の外径よりも大きい孔径の貫通孔が設けられている。従って、導電体A45の貫通孔径は、常温時および熱膨張の際に電極リード棒の管径と同じかそれよりも大きくなるように調整されることが好ましい。また、前記封止管部11bの内径に対する前記導電体A45の直径の比(導電体Aの直径/封止管部の内径)は、0.5〜0.98であることが好ましく、より好ましくは0.8〜0.98である。0.5を下回ると、電極リード棒21の振動を抑制する強度が十分でなく、導電箔23が切断される場合がある。一方、0.98を超えると、使用時の熱膨張によって封止管部11bを破損する場合がある。また、前記封止管部11bの内径に対する前記導電体A45の幅の比(導電体Aの幅/封止管部の内径)は、0.04〜0.2であることが好ましく、より好ましくは0.07〜0.16である。0.04を下回ると、前記したように電極リード棒21の振動を抑制する強度が十分でなく、導電箔23が切断される場合がある。一方、0.2を超えると、石英板B47に応力がかかり不利である。
【0025】
本発明では、封止管部11bの前記電極と導電体A45との間に、更に石英板B47を配設してもよい。透光性封体11内には、電極部材から発生するアルカリ性物質などの不純物が存在する場合がある。ランプ使用時の発熱によって、このような不純物が石英部材と結合し、ランプを劣化させる場合がある。特に、封止管部11に移行し、石英板A43と結合すると石英板A43の体積を増加させ破壊する。そこで、予め封止管部11のもっとも電極よりに石英板B47を設けることで石英板A43の劣化、ひいては放電ランプ10の劣化を防止することができる。石英板B47は、その中央部で電極リード棒21を貫通させるが、電極リード棒21の熱膨張による管径の増加に対応できるように、および隣接する導電体A45の熱膨張による電極方向への移動に対応できるように、電極リード棒21の外径よりも大きい孔径の貫通孔が設けられている。従って、石英板B47の貫通孔径は、熱膨張の際に電極リード棒の管径と同じかそれよりも大きくなるように調整されることが好ましい。また、前記封止管部11bの内径に対する前記石英板B47の直径の比(石英板Bの直径/封止管部の内径)は、0.5〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.0である。0.5を下回ると、シール作業が困難となり不良率が高くなる。また、前記封止管部11bの内径に対する前記石英板B47の幅の比(石英板Bの幅/封止管部の内径)は0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5である。0.1を下回ると不純物の封止管部11bへの移行阻止効果が十分でなく、封止管部11bに不純物が移行して石英板A43を劣化させ、放電ランプを短命にする場合があり、一方、2.0を超えても効果が増加することなく、不利である。
【0026】
本発明の放電ランプ10では、上記したように電極側から順に石英板B47、導電体A45、エンボス円板またはタングステンスプリング、石英板A43および導電体B40を設け、これらの中央部に貫通孔を設けて電極リード棒21を貫通させている。しかも、使用時の電極リード棒21の熱膨張に対応できるよう、これらの貫通孔径は熱膨張の際の電極リード棒の管径と同じかそれよりも大きくなるように調整されている。一方、石英板A43は導電体B40との間で常温時でも0.1〜10kg/cm2の圧縮力を確保しつつ固定される必要がある。従って、これらが熱膨張に対応しつつ、かつ封止管部11内で不要に移動しないように移動範囲を制限させる必要がある。このような方法として、例えば、導電体A45の貫通孔の孔径と電極リード棒21の太さと段差を設けて横方向の移動の制限を行い、または、導電体A45、石英板A43および導電体B40の貫通孔の空間について熱膨張を考慮して調整し、移動を制限することができる。
【0027】
この態様を図2に例示する。図2において、電極リード棒21は、石英板A43、石英板B47内では管径を変化させないが、導電体A45内では管径を細くしている。このため、例えば石英板A43の貫通孔の孔径が、石英板B47内の電極リード棒21の管径(φ1)よりも狭い場合には、石英板A43は、図2に示す石英板B47のところに移動することはできない。
【0028】
このような各部材の移動を制限しつつ放電ランプを製造する方法としては以下の方法がある。例えば、図2に示すように石英板A43の貫通孔の孔径を、石英板B47内の電極リード棒21の管径(φ1)よりも狭くした電極リード棒21を、この管径に適するように貫通孔を設けた石英板B47、導電体A45、石英板A43および導電体B40に順次貫通させる。この構成では、石英板A43は、電極リード棒21の管径(φ1)の段差によって、それよりも電極リード棒の太い箇所に移動することはできず、固定される。次いで、導電体B40から石英板A43および導電体A45に向けて0.1〜10kg/cm2(常温時)となるように加圧しつつ電極リード棒21を導電体B40の貫通孔内で溶接などによって溶着し固定する。なお、上記範囲で圧縮力を維持しつつ固定できれば、導電体B40、石英板A43、導電体A45、石英板B47の間に緩衝材として円形のモリブデン箔などをはさみこんでもよい。次いで、密封体24に電極リード棒21の端部を圧入によって固定する。また、導入線26の端部を溶接固定した集電用ディスク25を調製し、前記密閉体24の電極リード棒21が存在しない側に密着させ、集電用ディスク25、密閉体24および導電体B40の表面に複数枚の導電箔23を長軸方向に巻装する。このようにして気密性および導電性を確保するための固定化部材を連結した電極を調製しておく。次いで、この電極を、封止管部を有する透光性封体内に挿入し、封止管部を通常酸水素バーナーを使用して加熱して溶融させ気密に固定すれば、本発明の放電ランプを製造することができる。本発明の放電ランプは、石英板Aを封止管部11bに固定するが、両者は材質が同じであるから熱融着が容易である。また、従前のように電極リード棒21の熱膨張による封止管部の破損を防止するために図3に示すように空間部sを設ける方法では、微少空間を作成するため作業時の導電体温度のバランスが必要であるが、このような温度制御を不要とすることができる。
【0029】
本発明では、陽電極、陰電極の少なくともいずれか一方において、電極リード棒21が封止管部11bで上記構成を有すればよく、陽電極と陰電極との双方が、上記構成であってもよい。しかしながら、重量が重くそのため導電箔23の切断率が高い陽極において本発明の構成とすることがより好ましい。
【0030】
本発明の放電ランプは、封止管部において電極リード棒が上記構成によって固定される以外は、従前のいずれの態様であってもよい。例えば、発光管部11aと封止管部11bとからなる透光性封体11は、石英ガラスなど従来公知の材料にて構成され、陽電極20および陰電極30は放電に適した材料にて形成され、通常タングステンなどの高融点の金属にて形成される。また、電極リード棒21は導電性材料にて形成され、通常タングステンにて形成される。導電体Aや導電体Bは導電性材料にて形成され、通常モリブデンにて形成される。導電箔23は導電性材料にて形成され、通常モリブデンにて形成される。密閉体24は透光性封体11と膨張率が近く、かつ、密閉に適した材料にて形成され、通常、石英ガラスにて形成される。集電用ディスク25は導電性材料にて形成され、通常モリブデンにて形成される。導入線26は従来公知の導電性材料にて構成される。
【0031】
また、陽電極20および陰電極30の形状には限定はないが、一般には、円錐または円錐を軸と垂直に切断した一部と円柱とを結合した形状である。さらに、電極リード棒21の形状にも限定はなく、一般には丸棒状に形成されている。外部端子50は装置の取付け形状により任意の形状とすることができ、集電用ディスク25と外部端子50を接続する導入線26は丸棒やフレキシブルな導電可能なリード線を使用することができる。
【0032】
前記したように、電極リード棒21は導電体B40に溶接などの手段によって固定され、導入線26も集電用ディスク25の中央部に溶接などの手段によって導電的に固定される。また、外部端子50と導入線26とも、溶接などの手段によって導電的に固定できる。なお、外部端子50は、金属製のキャップ状に形成され、外部端子50の内径は封止管部11bの外径よりも大きく、両者はセメントなどの従来公知の技術を利用して固定できる。なお、外部端子50の中心部には導入線26を貫通するための貫通孔が形成され、導入線26と外部端子50の貫通孔との隙間は溶接によって導通状態で封じられている。
【0033】
本発明の放電ランプは、封止管内に石英板を配置して電極リード棒の振動を抑制するものであり、かつ石英板のサイズは、放電ランプの封止管部の直径に準じて調整することができる。このため、放電ランプの大型化に容易に対応できる利点があり、一般には電極重量が100〜5,000gのものに適用することができる。
【0034】
本発明の放電ランプとしては、例えば、箔シール構造を有する放電ランプがあげられ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプおよびキセノンランプなどが含まれる。なかでも、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプが好ましい。また、ショートアーク型放電ランプであるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の放電ランプを説明する横断面図である。
【図2】図1の放電ランプの導電体付近の拡大図である。
【図3】図1の放電ランプの導電体付近の拡大図であって、導電体Aと石英板Aとの間に緩衝材が挿入されている状態を示す図である。
【図4】図1の放電ランプの導電体付近の拡大図であって、石英板Aの中心部を一部えぐり、スプリングを配設した状態を示す図である。
【図5】従来の放電ランプを説明する横断面図である。
【図6】導電箔の切断を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
10・・・放電ランプ、
11・・・透光性封体、
11a・・・発光管部、
11b・・・封止管部、
20・・・陽電極、
21・・・電極リード棒、
22・・・導電体、
23・・・導電箔、
24・・・密閉体、
25・・・集電用ディスク、
26・・・導入線、
30・・・陰電極、
40・・・導電体B、
43・・・石英板A
45・・・導電体A、
47・・・石英板B、
49・・・緩衝材
49’・・・スプリング、
50・・・外部端子、
110・・・放電ランプ、
111・・・透光性封体、
111a・・・発光管部、
111b・・・封止管部、
120・・・陽電極、
121・・・電極リード棒、
122・・・導電体、
123・・・導電箔、
124・・・密閉体、
125・・・集電用ディスク、
126・・・導入線、
127・・・外部端子、
130・・・陰電極、
s・・・スペース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の封止管部を有する透光性封体内に一対の電極を有する放電ランプであって、
少なくとも陽電極または陰電極のいずれかは、電極から延設される電極リード棒に前記電極側から順に導電体A、石英板Aおよび導電体Bを貫通させて前記封止管部に配設され、前記電極リード棒の他端は密閉体に挿入され、かつ電極リード棒は導電体B貫通孔内で固定され、前記密閉体と導電体Bとの表面は複数枚の導電箔が長軸方向に巻装され、前記密閉体は前記導電箔を介して前記封止管部に気密に固定され、かつ前記石英板Aの直径が前記導電体Bの直径よりも大きいことを特徴とする、放電ランプ。
【請求項2】
前記封止管部の内径に対する前記石英板Aの直径の比(石英板Aの直径/封止管部の内径)が0.5〜1.0であり、前記封止管部の内径に対する前記石英板Aの幅の比(石英板Aの幅/封止管部の内径)が、0.1〜2.0である、請求項1記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記封止管部の内径に対する前記導電体Bの直径の比(導電体Bの直径/封止管部の内径)が0.5〜0.98であり、前記封止管部の内径に対する前記導電体Bの幅の比(導電体Bの幅/封止管部の内径)が、0.07〜0.5である、請求項1または2記載の放電ランプ。
【請求項4】
前記封止管部の前記電極と導電体Aとの間に、前記電極リード棒を貫通して更に石英板Bが配設されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の放電ランプ。
【請求項5】
前記封止管部の内径に対する前記石英板Bの直径の比(石英板Bの直径/封止管部の内径)が0.5〜1.0であり、前記封止管部の内径に対する前記石英板Bの幅の比(石英板Bの幅/封止管部の内径)が、0.1〜2.0である、請求項4記載の放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−157647(P2007−157647A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355116(P2005−355116)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(505470937)株式会社ワコム電創 (7)
【Fターム(参考)】