説明

放電加工装置及び原子炉内構造物補修装置

【課題】
本発明は、原子炉内に存在するような狭隘部でも適用可能な放電加工装置を、または前記放電加工装置を用い、原子炉内狭隘部において補修作業が実施可能な原子炉内構造物補修装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、放電加工装置であって、中実円柱の構造を有する放電加工電極、前記放電加工電極を回転可能に支持する内筒を有する金属製ブッシュ、前記放電加工電極を固定し回転させる駆動部及び前記金属製ブッシュと前記駆動部を内部に保持する枠体を具備する電極本体部と、前記金属製ブッシュに電力を給電する手段と、を有することを第1の特徴とする。また、本発明は、前記放電加工装置を固定する台座を原子炉内で遠隔で移動させ、原子炉内のノズル構造物内部の部材を放電加工することを第2の特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、放電加工装置と原子力発電プラントにおける原子炉内構造物の保全技術に必要な遠隔・水中下での原子炉内構造物補修装置に係り、特に狭隘部に適用可能な放電加工装置及びその装置を適用した原子炉内構造物補修装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、既設の原子力発電プラントでは、安全運転の維持・継続及び将来的なプラント運転の長寿命化をにらみ、特に原子炉内の構造物を中心に材料対策及び構造物の強度等の健全化を念頭に大型の予防保全あるいは事後保全技術が多数適用され、その工事が急速に推進されている。
【0003】
図4に原子炉内構造物10(以下、単に構造物という)の保全技術工事の作業環境を示す。構造物10の保全技術を推進するにあたり、構造物10は高放射線量および高放射能濃度を有しており、人が接近して作業をすることが不可能なため、その作業環境は、原子炉2とその上部に構成される原子炉ウェル3内に純水を満水にはり、構造物10からの放射線や放射性物質をさえぎり、その上部から作業台車4を用い水深約25m下の対象物をねらった高度な遠隔・水中作業が要求される。
【0004】
その構造物10の保全技術の中で、既設の構造物を補修する必要がある場合、当該部位を除去し、新規部材を設置する様な補修工法が適用されている。
【0005】
補修工法の適用は構造物10の多種多様な部位に亘るが、そのひとつにノズル内部材の撤去加工があり、その一例として図4のA部に示すような狭隘部のスプレイノズル内部のデフレクタがある。
【0006】
図6に図4のA部を拡大した構造概要を示す。デフレクタ7は、パイプ構造のスプレイノズル(以下、単にノズルという)8の内側に、ノズル8の軸と同心に取り付けられた棒状の部材で、外径の異なる二つの中実円柱7a、7bからなる構造である。このデフレクタ7を放電加工装置で撤去する試みが行われている。
【0007】
このような放電加工装置の従来例(特許文献1、2)を図7に示す。図7に示す放電加工装置は、放電加工用電極11を回転させる電極回転方式であり、駆動部19kを有する固定部19と、駆動部19kによりシャフト13を回転させる電極回転機構14と、そのシャフト13の先に絶縁体15を介して電極取付部18に取り付けられた放電加工用電極11と、放電加工用電極11の根元側あるいは電極取付部18で摺動し、放電加工用電源16からの電力を放電加工電極11に供給する給電機構17とを有する。特に、特許文献2においては、主軸ハウジングが図7の電極回転機構14に、転動体が図7の給電機構17にあたる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−122316号公報
【特許文献2】実用開平4−29318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ノズル8は原子炉2の内壁周囲に複数設けられており、そのうち幾つかの箇所において、図6に示すようにノズル8の開口側にはフック9等の構造物10が存在し、このフック9とデフレクタ7間のギャップGは、約60mm程であり狭隘である。図7に示すような放電加工装置では、固定部19から電極取付部18までの長さが長く、前述したような狭隘部に適用することが困難である。
さらに、このノズル内部材の撤去を放射線環境下における遠隔・水中作業で行うための装置設備が必要である
従って、本発明の第1の目的は、前述したような狭隘部でも適用可能な放電加工装置を提供することである。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、第1の目的を達成する放電加工装置を用い、原子炉内狭隘部において補修作業が実施可能な原子炉内構造物補修装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも以下の特徴を有する。
本発明は、放電加工装置であって、中実円柱の構造を有する放電加工電極、前記放電加工電極を回転可能に支持する内筒を有する金属製ブッシュ、前記放電加工電極を固定し回転させる駆動部及び前記金属製ブッシュと前記駆動部を内部に保持する枠体を具備する電極本体部と、前記金属製ブッシュに電力を給電する手段とを有することを第1の特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記放電加工電極は金属製のブッシュの内筒を摺動回転することを第2の特徴とする。
さらに、本発明は、前記放電加工電極と前記内筒の間に金属製の転動体を設け、前記放電加工電極への給電は前記金属製ブッシュと前記転動体を介して行われることを第3の特徴とする
また、本発明は、前記駆動部はプーリーであり、前記電極本体部とは離間した位置に設けられ、前記他のプーリーにより駆動され、前記プーリーを前記絶縁ベルトを介して駆動する他のプーリーと、前記他のプーリーを駆動する駆動源と、前記駆動源と前記他のプーリーとを固定する台座を具備する電極回転駆動部を有することを第4の特徴とする。
さらに、本発明は、前記絶縁ベルトを内在し、前記電極回転駆動部と前記枠体とを連結し、前記電極回転駆動部と前記枠体とを絶縁する絶縁部を具備する保持筒を有することを第5の特徴とする。
【0013】
また、本発明は、原子炉内構造物補修装置であって、特徴4または5に記載の放電加工装置と、原子炉水中内を遠隔での前記台座を加工部材の加工方向に移動させる第1の移動手段を有することを第6の特徴とする。
さらに、本発明は、原子炉水中内を遠隔で、前記台座を原子炉の周方向移動させる第2の移動手段と原子炉の上下方向移動させる第3の移動手段を有することを第7の特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記加工部材は原子炉内のノズル構造物内部の部材であることを第8の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前述したような狭隘部でも適用可能な放電加工装置を提供できる。
【0016】
また、本発明によれば、前記放電加工装置を用い、原子炉内狭隘部において補修作業が実施可能な原子炉内構造物補修装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態である放電加工装置の第1の実施例(実施例1)の放電加工装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1における放電加工装置の電極回転機構部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態である放電加工装置の第2の実施例(実施例2)の放電加工装置の電極回転機構部を示す図である。
【図4】原子炉内構造物の保全技術工事の作業環境と設備構成の概要と、本発明の原子炉内構造物補修装置の実施形態である原子炉内ノズル内部材撤去装置の例を示す図である。
【図5】原子炉内ノズル内部材撤去装置を構成し、図1又は図3に示す放電加工装置を走査する放電加工電極走査装置であるデフレクタ追込装置の構造概要を示す図である。
【図6】原子炉内狭隘部におけるデフレクタを有するスプレイノズル内部とその付近を示す図である。
【図7】放電加工装置の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
(放電加工装置の実施例1)
図1、図2用いて本発明の実施形態である放電加工装置の第1の実施例(実施例1)を説明する。図1は放電加工装置50の全体構成を示す図である。図1(a)は放電加工装置50を側面から見た図で、図1(b)は図1(a)において矢印Aから見た正面図である。図2は、放電加工装置50の電極回転機構部20の構成を示す図である。
【0020】
放電加工装置50は、大別して電極回転駆動部40と電極回転機構部20とに分かれる。放電加工装置50は放電加工用電極21の消耗のばらつきによる加工面の不均一が軽減でき、かつ放電加工の効率が良い回転方式としている。
まず電極回転機構20を説明する。図2に示す電極回転機構20は、放電加工用電極21と、放電加工用電極21に直接固定されたプーリー22と、放電加工用電極21を回転可能に摺動させる内筒を有する金属製ブッシュ23と、金属ブッシュ23を介して内部に放電加工用電極21等を固定し、後述する保持筒25と共に閉空間を構成する枠体24とを具備する電極本体部1、枠体24を保持する保持筒25及び保持筒25の枠体24と反対側に設けられた絶縁体26(図1参照)を有する。
【0021】
放電加工用電極21は、異なる径の中実円柱から成る構造を有し、径の大きい大径部分21aが、デフレクタ7を追込むための電極としての役割を果たし、径の小さい小径部分21bが、電極回転機構部20のシャフトとしての役割を果たしている。この電極の小径部分21bは、枠体24に嵌めこまれた金属製ブッシュ23に差込まれ、プーリー22に直接固定された構造である。
【0022】
また、金属製ブッシュ23は放電加工用電極21の回転を支持する摺動部品としての役割を有するが、この摺動面を図4に示す放電加工用電源27から放電加工用電極21への給電回路の一部として利用することで、回転体である放電加工用電極21に、給電ブラシなどを用いずに、連続的に電力を供給することが可能である。
【0023】
一方、電極回転駆動部40は、図1示すように、電極回転機構部20を固定する台座41と、台座41に固定されプーリー44を駆動する駆動源であるモータ42と、プーリー44の回転を電極回転機構20のプーリー22に伝達する絶縁ベルトであるタイミングベルト43とを有する。
【0024】
これ等電極回転駆動部40と電極回転機構部20により、タイミングベルト43介して伝達されたモータ等の動力により、プーリー22と放電加工用電極21が回転し、放電加工用電極21が金属製ブッシュ23を摺動回転することで、放電加工用電極21が連続的に回転する。
【0025】
上述したように、実施例1によれば、放電加工用電極21と金属製ブッシュ23との摺動回転機構30により、図7に示す電極回転機構14と給電機構17の両方機能を有する一体化構成としたことで、言い換えれば放電加工用電極21を支持する金属製ブッシュ23に、電極回転機構14の摺動機構としての役割と、回転体への給電機構17としての役割を集約することで、放電加工装置50、特に電極本体部1を小型化することができる。なお、放電加工用電極21と金属製ブッシュ23の間のギャップは、放電加工用電極21、および金属製ブッシュ23に使用する材質の種類や、摺動抵抗、給電能力との兼ね合いを加味して、適正な嵌め合いを決定する必要がある。
【0026】
また、上述した一体化構成により、図7に示す従来例のように固定部19から電極取付部18までオフセット量を設ける必要がなく、回転による放電加工用電極21の振れがなく、加工面の均一化と、放電加工用電極21の消耗の均一化を果たすことができる。この加工面と放電加工用電極の均一化により加工効率が向上を図ることができる。
【0027】
さらに、放電加工用電極21を回転させながられ加工するので、電極消耗量のばらつきを小さくできるので、消耗量のばらつきによる加工面の不均一が低減でき、合せて電極の回転により生じる水の流れにより、二次生成物の排除性も向上するので、放電加工の効率を改善できる。
【0028】
以上説明した、本実施例1によれば、幅60mmを有する狭隘部でも適用可能な放電加工装置を提供できる。
【0029】
また、後述する原子炉内ノズル内部材撤去装置の実施例に示すように台座41を加工部材側に移動させることで、例えば加工部材を溶かし込み(以後、追込み加工と称す)撤去することができる。
【0030】
(放電加工装置の実施例2)
図3は放電加工装置50の第2の実施例(実施例2)を示す図である。実施例2が実施例1と異なる点は電極本体部1である。実施例1では放電加工用電極21と金属製ブッシュ23との間で摺動回転させていたのに対し、実施例2では、電極回転機構部20の間にベアリングなどの金属製の転動体28を設けてより放電加工用電極21の回転をスムーズにした点である。また、実施例2では、放電加工用電極21への給電は金属製ブッシュ23及び金属製の転動体28を介して行われる。
実施例2においても、実施例1と同様な効果を奏することができる。
【0031】
次に本発明の原子炉内構造物補修装置の実施形態として原子炉内狭隘部におけるノズル内部材の撤去に用いた原子炉内ノズル内部材撤去装置200の例を説明する。
【0032】
課題で説明したデフレクタ7の撤去は、デフレクタ7の外周を囲むノズル8を損傷しない様に行う必要がある。そのため、デフレクタ7の加工方向はノズル8の開口側からに限定される。更に、前述した図6に示すようにノズル8の開口側に構造物10、例えばフック9が存在するため、加工装置を設定可能な空間が狭隘となる。この狭隘部におけるデフレクタ7の撤去への適用を可能な原子炉内ノズル内部材撤去装置の課題を以下に説明する。
【0033】
図6の様な狭隘部におけるデフレクタ7の撤去方法としては、放電加工を用いて、ノズル8の開口側から放電加工用電極をノズル8の軸方向に動作させ、部材を溶かし込む追込み加工で撤去する方法必要である。
また、この方法を適用するための装置は、ノズル8の開口側の構造物10と、装置の干渉を回避するために、放電加工用電極21と、それを支持する構造体、および放電加工用電極への給電機構を、デフレクタ7と構造物10間のギャップ内に設定可能な大きさのユニットに納め、図7に示す従来例のように固定部19から電極取付部18までオフセット量を設ける必要がなく、回転による放電加工用電極21の振れがない剛性を有する放電加工装置が必要であり、上述した実施例で説明した本発明の放電加工装置50が有用である。
(原子炉内ノズル内部材撤去装置の実施例)
原子炉内狭隘部における原子炉内ノズル内部材撤去装置200は、図4に示す作業台車4、原子炉ウェル3周辺の気中フロア上に設置し、作業員が直接オペレートする放電加工用電源27、作業者が後述するボルトヘッドを操作する先端にボルトヘッド操作具6を有する遠隔操作体5と、図1又は図3に示す放電加工装置50を走査する放電加工電極走査装置である図5に示すデフレクタ追込装置100と、放電加工用電源27とデフレクタ追込装置100との間に配設された給電ケーブルを含むケーブル48(図5参照)とを有する。
以下、図5を用いて、図4に示すデフレクタ追込装置100を説明する。デフレクタ追込装置100は、放射線環境下での遠隔・水中で作業を実施するために、構造物10に固定するための固定機構60と、放電加工装置50と、放電加工装置50の放電加工用電極21を有する摺動回転機構30を加工対象のデフレクタ7に位置合せするための原子炉2の周(紙面表裏)方向の周方向位置調整機構70、上下方向の高さ位置調整機構80及び原子炉2の径(紙面左右)方向の径方向位置調整機構90と、を有する。
【0034】
固定機構60は、加工対象のデフレクタ7近傍の構造物10に着座し把持固定する。固定機構60は、先端に平坦なパッドを有する固定クランプ61と、その反力を受けるガイド62による構成とし、加工対象のデフレクタ7の近傍、かつデフレクタ7の軸に対して直交する構造物10の部材に把持固定される。
この固定機構60により、加工対象のデフレクタ7の軸と、放電加工用電極21の軸の位置関係をほぼ平行とすることが可能である。
【0035】
周方向位置調整機構70は、加工対象のデフレクタ7の軸に対して直交する、横行レール71と、その横行レール71上を走行する横行テーブル72とを有する。横行テーブル72の有する遠隔操作用ボルトヘッド75の操作により、遠隔操作用ボルトヘッド75と連動するピニオン76を操作し、横行レール71上のラック77との噛み合せにより、横行テーブル72を紙面表裏方向に横行させる。
この構造により、放電加工装置50全体を紙面表裏方向に移動させ、加工対象のデフレクタ7と放電加工用電極21の紙面表裏方向の位置調整を行う。
【0036】
高さ位置調整機構80は、ネジ波形が台形の形状有する台形ネジ82とLMガイド83と有する。遠隔操作用ボルトヘッド84により台形ネジ82を回転させ、上下テーブル85を昇降させる構造とする。
この構造により、放電加工装置50全体を紙面上下方向に移動させ、加工対象のデフレクタ7と放電加工用電極21の上下方向の位置調整を行う。
【0037】
径方向位置調整機構90は、放電加工用電極21をデフレクタ7の軸方向に追込んで加工撤去するための駆動機構であり、モータ91を駆動源とし、ボールネジ97とLMガイド98とを有する。放電加工装置50を搭載した台座41をテーブル99上で紙面左右方向に移動させる。
この構造によって、放電加工装置50全体を紙面左右方向に移動させ、放電加工用電極21をデフレクタ7の軸方向に移動させる。
【0038】
なお、電極本体部1は、構造物10との干渉を回避するため、電極回転駆動部40からオフセットした構造としている。そのため、電極本体部1の上下方向の位置合せを行う際には、水中TVカメラで監視しながら、枠体24がフック9と干渉しない様、高さ位置調整機構80と径方向位置調整機構90の動作を組み合わせて階段状の操作を行う。
【0039】
また、放電加工用電極21の放電面側の大径部分21aの外径は、加工対象のデフレクタ7の外径や、ノズル8の内径など寸法上の取合いと、放電加工用電極21の振れや、放電加工装置50の剛性の兼ね合いを加味し、適正な径を決定する。
【0040】
さらに、放電加工用電極21の軸方向の長さは、放電加工用電極21の消耗や、加工可能な深さに配慮すると、長い方が好ましいが、実際には、加工対象のデフレクタ7と構造物10間のギャップと、摺動回転機構30の構造との兼ね合いを加味し適正な長さを決定する。
【0041】
放電加工用電極21に対する給電は、放電加工電源27からのケーブル48内の給電ケーブルを枠体24に接続することで、枠体24、金属製ブッシュ23を介して放電加工用電極21に伝わる経路で行われる。放電加工用電極21とデフレクタ追込装置100は、絶縁体26と絶縁材で構成されたタイミングベルト43により絶縁されるため、デフレクタ追込装置100側に放電加工電源27からの、もう一方のケーブルを構造物10に接続することにより、構造物10を介して、放電回路が形成される。
【0042】
上記に説明した本実施形態を試作し、図6のような狭隘部を模擬した環境において、リフレクタ7の撤去を実施することができた。
【0043】
以上説明した本発明の実施形態によれば、図6の様な狭隘部においても放電加工用電極21を回転させて放電加工が出来るようになり、また、電極を回転させない形彫りの加工に比べ、加工の効率を向上させることができる。
この結果、図6の様な狭隘部のノズル内部材においても、回転電極を用いての放電加工が出来るようになり、加工を効率化がする事が可能となる。これにより、定期検査期間の短縮に貢献でき、原子力発電プラントの発電効率の向上に貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、原子力発電プラントの原子炉内構造物の保全技術と、その工事への適用見通しがある。
【符号の説明】
【0045】
1:電極本体部 2:原子炉
3:原子炉ウェル 4:作業台車
5:操作ポール 6:ソケットポール
7:デフレクタ 8:スプレイノズル(ノズル)
9:フック 10:原子炉構造物(構造物)
11:従来技術における放電加工用電極
13.シャフト 14.電極回転機構
15:従来技術の絶縁体 16:従来技術の放電加工用電源
17:給電機構 18:従来技術の電極取付部
19:従来技術の固定部 20:電極回転機構部
21:放電加工用電極 22:プーリー
23:金属製ブッシュ 24:枠体
25:保持筒 26:絶縁体
27:放電加工用電源 28:金属製の転動体
30:摺動回転機構 31:ラック
32:台形ネジ 40:電極回転駆動部
41:台座 42:モータ
43:タイミングベルト 44:プーリー
48:ケーブル 50:放電加工装置
60:固定機構 61:固定クランプ
62:ガイド 70:周方向位置調整機構
71:横行レール 72:横行テーブル
75:遠隔操作用ボルトヘッド 76:ピニオン
77:ラック 80:高さ位置調整機構
82:台形ネジ 83:LMガイド
84:遠隔操作用ボルトヘッド 85:上下テーブル
90:径方向位置調整機構 91:モータ(駆動源)
97:ボールネジ 98:LMガイド
99:放電加工装置載置テーブル
100:デフレクタ追込装置(放電加工電極走査装置)
200:原子炉内ノズル内部材撤去装置(原子炉内構造物補修装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実円柱の構造を有する放電加工電極、前記放電加工電極を回転可能に支持する内筒を有する金属製ブッシュ、前記放電加工電極を固定し回転させる駆動部及び前記金属製ブッシュと前記駆動部を内部に保持する枠体を具備する電極本体部と、前記金属製ブッシュに電力を給電する手段とを有することを特徴とする放電加工装置。
【請求項2】
前記放電加工電極は金属製のブッシュの内筒を摺動回転することを特徴とする請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項3】
前記放電加工電極と前記内筒の間に金属製の転動体を設け、前記放電加工電極への給電は前記金属製ブッシュと前記転動体を介して行われることを特徴とする請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項4】
前記駆動部はプーリーであり、前記電極本体部とは離間した位置に設けられ、前記他のプーリーにより駆動され、前記プーリーを前記絶縁ベルトを介して駆動する他のプーリーと、前記他のプーリーを駆動する駆動源と、前記駆動源と前記他のプーリーとを固定する台座を具備する電極回転駆動部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の放電加工装置。
【請求項5】
前記絶縁ベルトを内在し、前記電極回転駆動部と前記枠体とを連結し、前記電極回転駆動部と前記枠体とを絶縁する絶縁部を具備する保持筒を有することを特徴とする請求項4に記載の放電加工装置。
【請求項6】
前記放電加工電極は、前記金属ブッシュを回転する第1の電極と、前記第1の電極より径が大きく、加工部材を処理する第2の電極を有することを特徴とする請求項4に記載の放電加工装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の放電加工装置と、原子炉水中内を遠隔での前記台座を加工部材の加工方向に移動させる第1の移動手段を有することを特徴とする原子炉内構造物補修装置。
【請求項8】
原子炉水中内を遠隔で、前記台座を原子炉の周方向移動させる第2の移動手段と原子炉の上下方向移動させる第3の移動手段を有することを特徴とする請求項7に記載の原子炉内構造物補修装置。
【請求項9】
前記第2の移動手段、第3の移動手段は、それぞれボルトヘッドを有し、先端にボルトヘッド操作具を有する遠隔操作体により前記ボルトヘッドを操作し、前記台座を移動させることを特徴とする請求項8に記載の原子炉内構造物補修装置。
【請求項10】
前記加工部材は原子炉内のノズル構造物内部の部材であること特徴とする請求項8または9に記載の原子炉内構造物補修装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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