説明

故障探索が可能な電力ケーブル

【課題】本発明は故障探索が可能な電力ケーブルを提供する。
【解決手段】本発明に係る電力ケーブルは、導体、及び導体と最外層の間の内部層に挿入されて長さ方向に沿って螺旋形象で延長されるように設置される補助線を含みから構成される。前記補助線は光纎維で、前記電力ケーブルが毀損される強度によって切れるようにその太さが決まる。前記補助線の螺旋ピッチは30mm以下が望ましい。また、前記内部層は、外部からの衝撃や腐食を防止するために形成された防蝕層にあたるとか前記導体を被服する絶縁体を被服するポリエチレンシースにあたる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は故障探索が可能な電力ケーブルに関し、さらに詳しくは電力の送電または配電のための各種電力ケーブルの外部故障または内部故障が発生した故障地点を容易に探索できるようにする電力ケーブル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
送電用または配電用で使われる電力線ケーブルは複数の電力使用地点までよほど長い長さの地上配電線路または地上送電線路を形成して複雑に延長されている。最近には安全性問題、環境問題を考慮して都心地域や特定の美観の保護が要求される地域を中心に漸次的に地中化される成り行きで、このような地中送電線路にはOFケーブル及びXLPEケーブルが主に使われているし、地中配電線路にはXLPEケーブルが主に使われている。
【0003】
このような電力線ケーブルは、地上配電線路または地上送電線路を形成する場合に自然災害や外部の衝撃によって毀損される可能性があって、送電線路または配電線路が地中線路を形成する場合には経年変化による腐食、事故、または外傷などによって毀損される可能性が常存するようになる。
【0004】
このような電力線ケーブルが毀損される故障が発生する場合には電力供給が中断されて、このような故障状態を適時に復旧しなくなれば波及事故によって莫大な人的、物的損失をもたらすようになる。
【0005】
従来の電力ケーブルは電気的な要求事項のみを満足する構造に設計されているし、故障を起こした時その故障地点を易しく探索することができる方法が考慮されていない。
【0006】
従来ケーブル構造で故障地点を探索する方法ではMurray Loop
Test、 Capacitive Discharge Fault Location、TDR(Time Domain
Reflectometer)、ARM(Arc Reflection
Method)などのように多様な方法が開発されているが、従来の電力ケーブルの構造的な限界のため効率的な故障地点の探索が難しいという短所がある。
【0007】
これに、電力ケーブルに要求される電気的な要求事項を充分に満足しながら故障地点の探索が容易い構造の電力ケーブルの開発が切実に要求される実情である。
【0008】
また、海底ケーブルは、陸地と島嶼地域または島嶼地域の間を連結する電力ケーブルとして、絶縁油が含浸された地絶縁ケーブルが主に使われているが、船舶の錨、トロール漁船のトロールなどによる外部からの衝撃及びケーブル内部の製造上欠陥等によって故障を起こす可能性が常存する。
【0009】
従来の海底ケーブルは海底ケーブルが取り揃えなければならない電気的な要求事項のみを満足する構造に設計されていて、故障地点を易しく探索することができる方法が具現されていない。
【0010】
従来海底ケーブルで故障地点を探索する方法ではケーブル導体に信号を印加して海上でその信号を受信する方法が主に使われているが、海底ケーブルの構造的な限界のため故障地点を探すことが効率的に成ることがにくくなっている。
【0011】
これに、電力ケーブルまたは海底ケーブルに要求される通常の電気的な要求事項を充分に満足しながら故障地点の探索が容易い構造の電力ケーブルまたは海底ケーブルの開発が切実に要求される実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は前記の従来の問題点を解決するために成り立ったこととして、本発明の目的は迅速で容易く故障地点を探索するようにする故障探索が可能な電力または海底ケーブル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を果たすために本発明に係る電力ケーブルは、導体及び前記導体と最外層の間の内部層に挿入されて長さ方向に沿って螺旋形象で延長されるように設置される補助線を含みから構成されることを特徴とする。
【0014】
前記実施形態で、前記電力ケーブルは地中で電力を運送する送電線路または配電線路とか、海底で電力を運送する海底電力ケーブルであることを特徴とする。
【0015】
前記内部層は、外部からの衝撃や腐食を防止するために形成された防蝕層にあたるとか前記導体を被服する絶縁体を被服するポリエチレンシースにあたることを特徴とする。前記補助線は前記内部層を成す多くの層の間に挿入されることもできる。
【0016】
前記補助線は光纎維で、プラスチック光纎維で成るのが望ましい。また、前記補助線は、前記電力ケーブルが毀損される強度によって切れるようにその太さが決まるのに、その太さは2mm以下が望ましい。また、前記電力ケーブルの故障状態を感知するように、前記補助線にはレーザーが常時的や一定な期間によって間歇的に印加されるのに、前記補助線が切れた地点で反射する反射波が前記レーザーが印加される地点に到逹する時間を基礎でケーブルの故障地点が検出される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電力線ケーブル及び海底ケーブルの故障地点に対する正確な位置を速かに把握するのが可能になる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では本発明に係る一つの実施形態を添付された図面を参照して詳しく説明する。
【0019】
図1は本発明の一つの実施形態に係る故障探索が可能な電力ケーブルの横断面を示す図面である。
【0020】
図1に示したように、本発明の一つの実施形態に係る電力ケーブルは、電力線の中心部に電力を運ぶ一定太さの導体10が絶縁体20によって被服されていて、その絶縁体20の外側ではシース(Sheath)(30)が被服されているし、前記シース30の外側では外部からの衝撃や腐食を防止する防蝕層40が一定厚さに形成されている。
【0021】
同図面で、故障感知のための故障探索用補助線50が前記防蝕層40内に挿入されて前記導体10が延長される方向と同一方向に延長される。図2に示したように前記故障探索用補助線50は、電力ケーブルの故障状態を全般的に感知するように、当該の電力ケーブルの長さ方向に沿って規則的な螺旋形象で延長されるように設置される。
【0022】
故障感知のための補助線が電力ケーブルの長さ方向に沿って並んで設置される電力ケーブルの場合、電力ケーブルの横断面で眺める時補助線が設置されない部分が破損されても前記補助線は破損または切断しないこともある。このような問題を解決するために、本発明では補助線が電力ケーブルの長さ方向に沿って規則的な螺旋形象で延長されるように設置される。
【0023】
しかし、補助線の素材がエナメル線のような電線の場合、このような螺旋形象はリアクタンス(reactance)を発生させて、補助線での電流の流れを邪魔するようになる。すなわち、電線が螺旋形象で設置されれば、伝送損失が大きくなるようになって、故障地点を探索するための閉回路検出器がずっと短い間隔で設置されなければならない問題が発生する。
【0024】
このような問題を解決するために、本発明では、補助線の素材で伝送損失が非常に少ない光纎維が使われる。光纎維は光源から出力される光、例えばレーザーを伝達する役目をするのに、光纎維が変形されるとか破損される場合光纎維の中を進行する光の強さ、位相、偏光、波長などに変化が発生して、これを光検出器を通じて検出することができる。本発明では、光纎維が切れれば光が光纎維の切れた部分で反射して戻る時間から光纎維が切れた地点を感知することができる。
【0025】
また、補助線の螺旋ピッチが大きければ、補助線が破損されなくケーブルの破損を検出することができない場合が発生することができるし、螺旋ピッチが小さければその位電力ケーブルに使われる補助線の長さが長くなるようになる。したがって、10cm乃至12cmの直径を持つ154kVのOFケーブルまたはXLPEケーブルには3cmまたはその以下の螺旋ピッチが適当である。
【0026】
電力ケーブルの毀損による故障状態を監視するため、光纎維からなる故障探索用補助線50には、光源からレーザーが常時的にまたは一定時間によって間歇的に印加される。また、前記補助線50は、外部からの衝撃や内部影響によってケーブルが毀損されればそれに対応する衝撃によって容易く切断するように、その太さが決まる。
【0027】
光纎維を素材にする故障探索用補助線50を電力ケーブルの防蝕層40内に挿入して、50barの圧力によってシース30が変形される変位を防蝕層40の荷重条件で加えて、防蝕層40に挿入された補助線50の直径を変更しながら解釈した結果が図3に示されている。
【0028】
図3で、光纎維の太さが2mm以下の場合、シースが破損された後光纎維に印加される応力が光纎維の引張強度である6.7kgf/mm2より大きくなる。これは電力ケーブルの破損によって光纎維補助線も破損されることを意味するので、光纎維の太さを2mm以下にすることが望ましい。
【0029】
図3に示したように、故障探索用補助線50の素材で使われる光纎維の太さによった破断特性を確保することができるようになった。これを利用して、電力ケーブルの設置位置特性及び周辺環境によって最適の太さ及びピッチを適切に合わせるのが可能になる。
【0030】
技術の発達によって電力ケーブルの太さが細くなることがある。細くなる電力ケーブルの太さがどの位比例して補助線である光纎維の螺旋ピッチ及び/または光纎維の太さが細くなる傾向は、実験または解釈を通じて確認することができる。
【0031】
故障探索用補助線50は防蝕層40内に挿入されることもできて、または絶縁体20とシース30の間、シース30と防蝕層40の間のように電力ケーブルを成す各層の間に挿入されることもできる。
【0032】
また、故障探索用補助線50である光纎維はガラスまたはプラスチックで作られることがあるのに、本発明には軟性がさらにすぐれたプラスチックからなる光纎維を使うのがさらに望ましい。
【0033】
本発明の一つの実施形態によって電力ケーブルの故障地点を探索する動作に対して図4及び図5の添付図面を参照して詳しく説明する。
【0034】
先に、電力ケーブルの防蝕層40内に補助線50が当該電力ケーブルの長さ方向をついて螺旋形象で延長されるように設置されている状態で、図5に示したように電力ケーブルの一定区間ごとに設置されている光検出器70の光源からレーザーが前記補助線50に印加されるようにする。
【0035】
図5の各光検出器70は、補助線50を通じて伝達する、例えばレーザーを発生させる光源、切れた補助線から反射する反射波を検出するフォトディテクター、及び印加されたレーザーと反射した反射波との時間差から故障が発生した地点を計算する計算部を含みから構成される。また、前記光検出器70は、検出された故障地点を遠距離に位置した、電力ケーブルの状態を管理するサーバーに知らせるための通信モジュールをさらに含むこともできる。
【0036】
前記光検出器70の光源は、次の区間の光検出器まで伝送されることができる強さの光、例えばレーザーを生成して補助線50に印加する。
【0037】
その状態で、図4に示したように外部原因または内部原因によって電力ケーブルが毀損される場合に、故障地点60の補助線50が衝撃によって切れるようになる。
【0038】
前記補助線50が電力ケーブルの故障地点60で切れるようになれば、当該の補助線が開放(Open)になりながら開放地点で反射する反射波を利用して、図5に示したように電力ケーブルの一定区間ごとに設置されている光検出器70で補助線50の切れるによる開放状態と開放地点を検出することができるようになる。
【0039】
次に、添付図面を参照して本発明の他の実施形態に対して詳しく説明する。
【0040】
図6は本発明の他の実施形態に係る故障探索が可能な海底電力ケーブルの横断面を示す図である。
【0041】
図6に示したように、本発明の他の実施形態に係る海底電力ケーブルは、電力線の中心部に電力を運ぶ一定太さの導体80が絶縁体82によって被服されていて、その絶縁体82の外側ではポリエチレンシース(Sheath)84が被服されているし、前記ポリエチレンシース84の外側では外部からの衝撃でケーブルを保護するための外装鉄線(Armour)86が設置されていて、前記外装鉄線86の外側では外装(outer
sheath)88が一定厚さに形成されている。
【0042】
同図面で、故障感知のための故障探索用補助線90が前記ポリエチレンシース84内に挿入されて前記導体80が延長される方向と同一方向に延長される。故障探索用補助線90は、ポリエチレンシース84と外装鉄線86の間または外装鉄線86と外装88の間に挿入されることもできる。
【0043】
前記故障探索用補助線90も本発明の一つの実施形態に係る故障探索用補助線50と同じく海底電力ケーブルの故障状態を全般的に感知できるように、当該の海底ケーブルの長さ方向に沿って規則的な螺旋形象で延長されるように設置される。
【0044】
海底電力ケーブルの毀損による故障状態を監視するため、前記故障探索用光纎維補助線90には、光源からレーザーが常時的にまたは一定時間によって間歇的に印加される。また、前記補助線80には、外部からの衝撃や内部影響によってケーブルのポリエチレンシース84が毀損されれば彼に対応する衝撃によって容易く切断するように、2mm以下の太さの光纎維、例えばプラスチック光纎維を使うのが望ましい。
【0045】
本発明の他の実施形態によって海底電力ケーブルの故障地点を探索する動作に対して図6を参照して詳しく説明する。
【0046】
先ず、海底ケーブルのポリエチレンシース84内に補助線90が該当該の海底ケーブルの長さ方向をついて螺旋形象で延長されるように設置されている状態で、前記補助線90にレーザーが印加されるようにする。
【0047】
その状態で、外部原因または内部原因によって海底ケーブルが毀損される場合に、故障地点の補助線90が衝撃によって切れるようになる。
【0048】
前記補助線90が海底ケーブルの故障地点で切れるようになれば、当該の補助線が開放されながら開放地点で反射する反射波を利用して、海底ケーブルの一定区間ごとに設置されている光検出器で補助線90の開放状態と開放地点を検出することができるようになる。
【0049】
以上とように本発明によれば、電力線ケーブル及び海底ケーブルの故障地点に対する正確な位置を速かに把握するのが可能になる効果を持つようになる。
【0050】
一方、本発明は前述の典型的な望ましい実施形態にだけ限定されるのではなく本発明の要旨を脱しない範囲内でいろいろに改良、変更、代替えまたは付け加えて実施することができることなのは当該技術分野に通常の知識を持った者なら容易く理解することができる。このような改良、変更、代替えまたは付け加えによる実施が特許請求範囲の範疇に属することならその技術思想も本発明に属することで見なければならない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る故障探索が可能な電力ケーブルの横断面を示す図である。
【図2】本発明に係る電力ケーブルに故障探索用補助線が設置された状態を示す図面である。
【図3】本発明に係る故障探索用補助線のストレス実験結果を示す図である。
【図4】電力ケーブルの毀損によって本発明の一つの実施形態に係る故障探索用補助線が切断する状態を例示的に示す図である。
【図5】本発明の望ましい事実施形態によって電力ケーブルの故障感知及び故障地点探索のための補助線の連結状態を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る故障探索が可能な海底電力ケーブルの横断面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、
前記導体と最外層の間の内部層に挿入されて、長さ方向に沿って螺旋形象で延長されるように設置される補助線を含みから構成される電力ケーブル。
【請求項2】
前記電力ケーブルは地中で電力を運送する送電線路または配電線路の内で何れか一つであることを特徴とする、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項3】
前記電力ケーブルは海底で電力を運送する海底電力ケーブルであることを特徴とする、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項4】
前記補助線が挿入される内部層は外部からの衝撃や腐食を防止するために形成された防蝕層にあたることを特徴とする、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項5】
前記補助線が挿入される内部層は外部からの衝撃や腐食を防止するために形成された防蝕層にあたることを特徴とする請求項2記載の電力ケーブル。
【請求項6】
前記補助線が挿入される内部層は前記導体を被服する絶縁体を被服するポリエチレンシースにあたることを特徴とする、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項7】
前記補助線が挿入される内部層は前記導体を被服する絶縁体を被服するポリエチレンシースにあたることを特徴とする、請求項3記載の電力ケーブル。
【請求項8】
前記補助線は前記内部層を成す多くの層の間に挿入されることを特徴とする、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項9】
前記補助電線は光纎維であることを特徴とする、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項10】
前記補助電線はプラスチックからなる光纎維であることを特徴とする、請求項9記載の電力ケーブル。
【請求項11】
前記補助線は前記電力ケーブルが毀損される強度によって切れるようにその太さが決まることを特徴とする、請求項9記載の電力ケーブル。
【請求項12】
前記補助線の太さは2mm以下であることを特徴とする、請求項11記載の電力ケーブル。
【請求項13】
前記電力ケーブルの故障状態を感知するように、前記補助線にはレーザーが常時的や一定な期間によって間歇的に印加されることを特徴とする、請求項9記載の電力ケーブル。
【請求項14】
前記補助線が切れた地点で反射する反射波が前記レーザーが印加される地点に到逹する時間を基礎でケーブルの故障地点が検出されることを特徴とする、請求項13記載の電力ケーブル。
【請求項15】
前記補助線の螺旋ピッチは30mm以下であることを特徴とする、請求項1記載の電力ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−531826(P2009−531826A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502648(P2009−502648)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001094
【国際公開番号】WO2007/111389
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(500581814)コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティチュート (14)
【Fターム(参考)】