救命の状況における支援のためのスタンドアロン・システム
本発明は、圧迫測定手段(9,10)と、換気測定手段(4,11)と、処理手段とを備える心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するためのシステムおよび方法に関する。少なくとも1つの測定値がそれぞれの基準範囲から外れている場合、処理手段はその偏位の表示を提供する。また、本発明は心肺蘇生の実行中に患者の胸の上に置くための装置にも関し、装置は圧迫を測定し、測定値に関連する触覚出力を提供するためのフィードバック・モジュール(13)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心拍停止の被災者または訓練目的のためのマネキンに対して適用される心肺蘇生(CPR)の作業について測定、記録、フィードバックするために設計されたシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生(CPR)は、突然心停止の場合における救命救急処置として実行される手順である。その手順は、胸部圧迫および換気を含む。最近の公報はCPRが専門家らによって現在どのように実行されているかについての多くの問題を指摘している。
【0003】
アウフデルハイド他は、公報「心肺蘇生時の過度呼吸によって誘起される低血圧」(Hyperventilation−Induced Hypotension During Cardiopulmonary Resuscitation)、Circulation 2004;109において、訓練された「救急医療サービス」(EMS)のスタッフが換気を正しく行うことについての問題を抱えていることを示した。再訓練の後でさえも、蘇生に関する国際連絡委員会と共同で米国心臓協会によって発行された「心肺蘇生および救急心臓血管治療に対するガイドライン2000」(Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care)(以下「ガイドライン」と呼ぶ)に比較して換気率がまだ高過ぎた。
【0004】
ファン・アレム(van Alem)、サノウ(Sanou)およびコスター(Koster)は、「病院外での心拍停止における自動体外式除細動器の使用による心肺蘇生の中断」(Interruption of Cardiopulmonary Resuscitation With the Use of the Automated External Defibrillator in Out−of−Hospital Cardiac Arrest)、Annals of emergency medicine 42:4(2003年10月)において、実行されたCPRについての別の問題、すなわち、CPRを実行した訓練されたEMSスタッフでさえも、その場面において行われた圧迫または換気の時間が50%未満であったこと、すなわち、手空き時間/非活動時間が長過ぎたことを指摘した。
【0005】
2005年1月19日発行の全米医学学会誌(JAMA)、293巻、3号に記載の2つの論文、アベラ(Abella)他による「病院内での心拍停止における心肺蘇生の品質」(Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During In−Hospital Cardiac Arrest)および、ウイク(Wik)他による「病院外での心拍停止における心肺蘇生の品質」(Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During Out−of−Hospital Cardiac Arrest)は、手空き時間が長過ぎ、正しい圧迫深さが到達されず、圧迫率が低過ぎるか、あるいは高過ぎたこと、および過換気がしばしば発生したことを結論付けている。
【0006】
多くのCPR支援装置が周知である。マイクルバスト(Myklebust)他の米国特許第6,306,107号、「救命の状況または訓練の状況における圧迫のチェック時のパラメータの測定および使用のためのシステムおよびその用途」(System for Measuring and Using Parameters During Check Compression in a Life−Saving Situation or a Practice Situation and Also Application Thereof)は、上記装置を記載している。この装置は換気、換気の不活動性または圧迫の不活動性を考慮していない。
【0007】
CPR装置についての別の説明が、ハルペリン(Halperin)他によって米国特許第6,390,996号、「CPRの圧迫チェックモニタ」(CPR Check Compression Monitor)に記載されている。この装置は圧迫だけを考慮している。他のもっと簡単なCPR支援装置はそのフィードバックを力および時間に基づいている。そのような装置の1つはメドテック イノーベーション社(Medteq Innovations Pty .Ltd.)からのCPREzyである。
【0008】
いくつかのCPR支援装置は自動体外除細動器(AED)また除細動器の一部である。そのような装置の1つが、ゾールメディカルコーポレーション(Zoll Medical Corporation)からのAEDPlusの一部である。その装置は圧迫だけを考慮している。CPR支援装置付きの新しい除細動器は、十分に機能しているAED/除細動器システムを既に有している「救急医療システム」(EMS)のオプションとしては使用することができない。そのようなEMSシステムはCPRの測定およびフィードバックに対するスタンドアロンの解決方法をむしろ考えることになる。
【0009】
CPRの全手順を通じての不活動性についてのフィードバックと同様に、圧迫および換気の両方の活動性についてのフィードバックを提供する先行技術のシステムまたは装置はない。これらの問題はCPR性能の向上、それ故、生存率の向上において非常に重要であると考えられる。
【0010】
周知のシステム、たとえば、ゾールからのAEDplusなどに関連したもう1つの問題は、それらが比較的高価で、大きく、かつ複雑であることであり、したがって、素人の救急員がそれらを常に利用できる状態にないことである。素人の救急員のために作られた装置がEP1578340に記載されており、それは救急員を支援するための音声信号を出力する力感応装置、特に、胸部圧迫を実行している人の手と患者の胸との間に置くための装置を記載している。より詳細には、EP1578340の主題であるその装置は、規定値を超えている力で胸の圧迫が行われる時に音を発生するように、また、オプションとして胸の圧迫の望ましい率を示している音も発生するように設計されている。これはバッテリー独立であり、それ故、常に使用準備ができている安価でコンパクトな装置において、あるいは消費電力の非常に小さいバッテリーを使用した実施形態において得られる。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,306,107号
【特許文献2】米国特許第6,390,996号
【特許文献3】EP1578340
【非特許文献1】アウフデルハイド他、Hyperventilation−Induced Hypotension During Cardiopulmonary Resuscitation、Circulation 2004;109
【非特許文献2】国際連絡委員会と米国心臓協会による共同発行、Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care
【非特許文献3】ファン・アレム(van Alem)、サノウ(Sanou)およびコスター(Koster)、Interruption of Cardiopulmonary Resuscitation With the Use of the Automated External Defibrillator in Out−of−Hospital Cardiac Arrest、Annals of emergency medicine 42:4(2003年10月)
【非特許文献4】2005年1月19日発行の全米医学学会誌(JAMA)、293巻、3号に記載の論文、アベラ(Abella)他、Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During In−Hospital Cardiac Arrest
【非特許文献5】2005年1月19日発行の全米医学学会誌(JAMA)、293巻、3号に記載の論文、ウイク(Wik)他、Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During Out−of−Hospital Cardiac Arrest
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
訓練では、場合によっては、特にいくつかの緊急事態においては、音声信号が聞き取り難い可能性があることが示されている。また、ある例においては、使用者に対するフィードバックのためのより正確なベースに対する必要性がある。たとえば、加える力が強過ぎる場合、患者を痛める危険性がある。したがって、そのような場合においては、信頼性が高く、すべての状況下で救急員が受け取り易い方法でフィードバックが提供される高品質のCPRフィードバックを提供するための、エネルギー効率の良い、コンパクトな装置の開発が待望されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、CPR治療に関連する選択されたパラメータの測定およびフィードバックに基づいてCPRを通じてCPR実行者をガイドし、したがって、より良い治療を患者に提供し、生存のチャンスをより大きくするCPRを個人が正しくかつ効率的に実行できるようにする、CPR実行中のパラメータを監視するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらにもう1つの目的は、CPR治療を改善するために救急員に対してフィードバックを提供するための、小型で、多様性があり、信頼性が高く、手頃な価格で入手できる装置を提供することである。
【0015】
本発明の目的は、参照された先行技術の制限をさらに克服することである。
【0016】
ガイディングは、ここでは補正的および指示的なフィードバックとして定義され、フィードバックは音声、言語、触覚、振動、光の形式および/またはグラフィックなプロンプトの形式であってもよい。指示的フィードバックはCPRの特定のステップを実行する方法についての助言とすることができる。
【0017】
そのフィードバックは、一実施形態においては、エネルギー効率のよい方法で、たとえば、バッテリーの寿命を長くし、したがって、充電なしで格納される時の装置の信頼性を高めるために提供される、救急員の手に対する触覚フィードバックによる救急員に対する表示によって与えられる。
【0018】
本発明によるシステムからの監視された信号に基づいてフィードバックを与えることができる重要なパラメータは、圧迫深さ、圧迫率、圧迫の不活動性、圧迫の不完全な解放、換気率、1回換気量、換気の膨張時間および換気の不活動性であるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態においては、フィードバックは主として圧迫の監視に基づいて提供される。
【0019】
本発明は、たとえば、空港、スポーツ競技場、ショッピングモール、地下鉄、バスなど、多くの人が集まるどんな場所にも配置することができる。本発明は素人および訓練者の両方によって使用されるのに適している。また、それはEMS、警察および/または消防の車内に配置することもでき、あるいは一次救命処置(BLS)を提供する人に対して個人的装置として貸し出すこともできる。
【0020】
本発明による測定された情報は、後での報告のために記録すること、および/または医療用救急(通信)センターおよび/または病院に対して送信することもできる。その転送されたデータを、その患者が病院に委託されている場合はさらにその病院の治療に合わせて調整するために使用することができる。
【0021】
本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に記載のシステムおよび装置を使用して達成される。
【0022】
一実施形態の場合には、心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するための本発明によるシステムは、圧迫測定手段と、換気測定手段と、圧迫測定手段および換気測定手段に接続されていて、圧迫および換気測定手段からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、その偏位の表示を提供することができる処理手段とを備え、2つ以上の測定値がそれぞれの基準範囲から外れている場合、処理手段は優先順位に従って一連の表示を提供することができる。
【0023】
他の実施形態の場合には、本発明によるシステムは音声、視覚および/または触覚出力の形式で偏位の表示を提供するフィードバック・ユニットを備える。
【0024】
一実施形態の場合には、そのフィードバック・ユニットは中央の孔の周りに巻かれたコイルとそのコイルの中央の孔内で動くように配置されている磁気コアとを含み、そのコイルは磁気コアの運動を誘起するためにオン/オフされる電源に接続されている。
【0025】
他の実施形態の場合には、換気測定手段は換気率、1回換気量および/または膨張時間を測定する。
【0026】
他の実施形態の場合には、圧迫測定手段は圧迫率および/または圧迫深さを測定する。
【0027】
他の実施形態の場合には、圧迫測定手段および/または換気測定手段および処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0028】
他の実施形態の場合には、圧迫測定手段、フィードバック・ユニットおよび処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0029】
他の実施形態においては、表示信号の優先順位付けが、処理手段内に格納されている優先順位リストによって、偏位している測定値に対応しているそれぞれの被測定量を比較することによって実行される。
【0030】
また、本発明は救命の状況において、あるいは訓練の状況において心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するための方法も含み、その方法は、圧迫を測定するステップと、換気を測定するステップと、圧迫および換気の測定からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、その偏位の表示を提供し、2つ以上の測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、優先順位に従って一連の表示を提供するステップとを含む。
【0031】
一実施形態においては、偏位の表示がフィードバック・ユニットからの音声、視覚および/または触覚出力の形式で与えられる。
【0032】
一実施形態においては、換気を測定するステップは、換気率、1回換気量および/または膨張時間を測定するステップを含む。
【0033】
他の実施形態においては、換気の測定が気道アダプタ内で行われる。
【0034】
一実施形態においては、圧迫を測定するステップは、圧迫率および/または圧迫深さを測定するステップを含む。
【0035】
圧迫測定は患者/マネキンの胸に接触している圧迫ユニットによって実行することができる。
【0036】
一実施形態においては、圧迫を測定するための手段および/または換気を測定するための手段および処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0037】
本発明の一実施形態においては、圧迫を測定するための手段と、フィードバック・ユニットおよび処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0038】
他の実施形態においては、表示信号の優先順位付けが、偏位している測定値に対応しているそれぞれの被測定量を優先順位リストによって比較することによって実行される。
【0039】
本発明の目的は、心肺蘇生の実行中に患者の胸の上に配置するための装置の手段によってさらに達成することができ、その装置は、少なくとも圧迫深さを測定する圧迫測定手段と、圧迫測定手段に接続され、圧迫測定手段からの値を基準範囲と比較し、測定値が基準範囲内に入っている場合、表示信号を提供することができる処理手段と、処理手段からの表示信号に関連する触覚出力を提供するための処理手段に接続されているフィードバック・ユニットとを含む。
【0040】
一実施形態においては、フィードバック・ユニットが中央の孔の周りに巻かれたコイルと、コイルの中央の孔内で移動できるように配置されている磁気コアとを含み、コイルはその磁気コアの運動を誘起するためにオン/オフされる電源に接続されている。
【0041】
他の実施形態においては、フィードバック・ユニットがその装置の中心から外れて配置されている。
【0042】
他の実施形態においては、その装置はカバーを含み、そのカバー内でフィードバック・ユニットの直上に凹部が設けられている。
【0043】
本発明の一実施形態においては、その装置は換気測定手段などの他の測定手段に接続するための接続手段を含む。
【0044】
圧迫測定手段は圧迫率を測定する。
【0045】
本発明を、添付の図面を参照しながら以下により詳細に説明するが、これは単なる例示としてのものにすぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、胸に圧迫ユニット2を付けた患者1を示す。このユニットは接着テープを使用して取り付けることができる。救急員が患者の胸の上で圧迫を実行する時、救急員はユニット2の上に自分の手を置く。したがって、そのユニットは胸が圧迫されるのと同じ距離だけ移動する。圧迫ユニット内部に計算手段を含んでいるか、あるいは計算手段に接続されている運動センサがその距離/深さを検出する。この運動センサは加速度計であってもよいが、ジャイロの使用または基準点からの距離測定、または三角測量によるなどの他の解決方法を使用することもできる。加速度計の場合、深さを知るために、当業者であれば周知であるように、センサからの信号がフィルタリングされて二重積分されなければならない。追加の力感応装置(その最も簡単な形式では力で作動されるスイッチだけの装置)もそのユニットの一部である。この力感応装置は救急員が圧迫を実行するたびに作動され、したがって、圧迫/積分時間ウィンドウ/間隔を定義する。これによって間違った肯定的圧迫検出の発生が減少する。力作動型スイッチの代わりに力センサを備えることによって、CPRプロトコル/ガイドラインにおける圧迫手段に対する深さから力への、あるいはそれらの組合せでの、将来のあり得る変更に容易に対処することができる。一実施形態においては、その圧迫ユニットを運動センサの代わりに力変換器で構成することができる。本発明の一実施形態の場合には、圧迫ユニット2は距離/深さ測定に関して触覚的表示を提供するための触覚フィードバック・ユニットを備える。
【0047】
図2は、胸に圧迫ユニット2が取り付けられている患者1を示す。図1の圧迫ユニットに関して記述されたことの他に、圧迫ユニットはマスクまたはET管5と通風袋または換気装置6との間に置かれている気道アダプタ4に、ホースまたは電線3のいずれかによって接続されている。
【0048】
一実施形態においては、気道アダプタはある種の換気測定手段を有する。1つの解決方法は、気道内に制限部分を設け、この制限部分での圧力降下を測定することである。この場合、1つまたは複数の圧力センサを圧迫ユニット2内に、または気道アダプタ4内に/気道アダプタ4のそばに配置することができる。次に、流量が圧力降下の平方根に比例しているとして流量を計算することができる。流量を積分することによって、換気量が分かる。
【0049】
差圧監視以外の手段、たとえば、気道内の温度変動の監視(空気が人に対して出入りしているか否かを示す)、単独の圧力変換器(気道アダプタ4内部の気道圧力を測定し、換気の事象および関係付けられた圧力プロファイルを検出することができる)、または小型のタービンを、それらをすべて気道内に置くことによって、代替換気測定手段を構成することができる。
【0050】
代替的に、あるいは追加的に、次節で説明されるように、肺の中の空気の体積を示すために胸のインピーダンス測定を使用することができる。
【0051】
システムの他のセットアップも可能である。たとえば、換気測定手段を、マスクに内蔵することができ、そこに通風袋が有ってもよいし無くてもよい。代わりに、救急員が自分の口を使用して患者を換気することができる。
【0052】
流量測定の他に、あるいはその代わりに、呼気終末炭酸ガス濃度(ETCO2)測定も実施することができる。ETCO2は、その治療がどの程度良好であるか、したがって、CPRを改善することができるかどうかを示す指示子として使用することができる。
【0053】
「高度救命処置」(ALS)スタッフは、心拍停止の被災者を挿管し、圧迫および換気を同時に実行することができる。その圧迫は肺を圧迫することになり、肺から空気を押し出すので、圧迫が換気測定に影響する可能性がある。したがって、換気測定の低域フィルタリングまたは適応フィルタリングが必要である可能性がある。適応フィルタリングは力、加速度、速度および/または深さを追加的な入力として、単独で、あるいはそれらの組合せで使用することができる。何故なら、それらはすべて圧迫の活動に関連するからである。これを行うための方法はそれ自体、信号処理の当業者であれば周知である。
【0054】
図3は、上記機能の他に、ユニット両側に電極7が取付けられている圧迫ユニット2を付けた患者1を示す。これらの電極を使用してその患者の胸部のインピーダンスを測定することができる。胸部のインピーダンスは、普通は電極間にほぼ一定の交流電流を供給し、同時に電極間の交流電圧を測定することによって測定される。また、電極間にほぼ一定の交流電圧を印加し、同時に電極間に流れる交流電流を測定することもできる。この電極は、除細動電極も患者の上に置かれる可能性があるので、サイズが小さいこと以外に、圧迫ユニットに近接して置かれる必要がある。電極が近接していること、および比較的小さい電極であることのために、インピーダンスを測定するための好ましい周波数は通常使用される周波数より高い可能性があり、その電極のサイズに依存して0.1kHz〜500kHzまたはそれより高い周波数が使用される可能性がある。肺が膨張しているとき、胸部のインピーダンスが増大し(電極間の経路が増大し)、空気が実際に肺の中に入ったかどうかをそのユニットにより検出することができる。インピーダンス測定それ自体は他の/同様な用途から周知であるので、ここではこれ以上の説明は省略する。また、フィルタリングも図2に関連して説明されたように適用することができる(圧迫の活動を取り除くために)。
【0055】
本発明によるシステムはある種の処理手段、たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはある種のプログラマブル論理装置(CPLDまたはFPGA)を備える。その処理手段は圧迫ユニット2内に、あるいは換気測定手段に内蔵されていてもよく、または別のユニットであってもよい。処理手段には、書換可能な手段、たとえば、プログラムおよび、偏位が分かる好ましい活動の所定のセットを更新するためのフラッシュメモリなどが備えられていることが好ましい。処理手段を更新するための機能は、「ガイドライン」が定期的に更新されるので有利である。
【0056】
処理手段はセンサ/測定手段から情報を収集することを担当し、個々の信号を処理して救急員にどんな種類のフィードバックを提供するかを決定する。このプロセスが図4に要約されている。2つ以上のパラメータを補正する必要がある場合、処理手段は優先順位付けのプロセスを含むことができ、優先順位リストに基づいて最も重要なパラメータ(複数の場合もある)に関して与えるフィードバックを選択することができる。優先順位リストは、処理手段に格納され、たとえば、「ガイドライン」で述べられているような標準リスト、またはそのシステムの特定の使用に従って使用者または製造者によって定義されているリストであってもよい。
【0057】
本発明によるシステムは、たとえば、圧迫ユニット2内に備えられているある種のフィードバック・アクチュエータ13と一緒に、さらに構成される。救急員は普通は十分に受入れ準備ができているので、フィードバックは音声プロンプトの手段によって与えられることが好ましい。しかし、これはその装置の意図された使用に依存する。何故なら、ある場合には音声のプロンプトは混雑した領域などにおいては、見物人によって誤って解釈されるか、あるいは雑音の中に埋もれてしまう可能性があるからである。そのような場合、音声、視覚、触覚または振動によるフィードバック信号(たとえば、ポケットベル、点滅しているLED、ソレノイドまたは振動モータ)を使用することができる。異なる構成を使用することもできる。1つの例においては、圧迫率のフィードバックを提供するためにポケットベルが使用される。その形式は、救急員が正しい率の範囲/ウィンドウから外れている時には正しい率を示し、救急員が正しい率の範囲/ウィンドウ内に入っているときには静かになっている矯正的メトロノームの形式、または望ましい率を絶えず示し、圧迫深さが十分である時は手の中で装置の振動または小打撃音が発生し、換気率についての指示的フィードバックを提供するためにLEDが点滅する、指示的メトロノームの形式のいずれかである。もう1つの例においては、LEDのスタックが使用されて圧迫深さを示し、各LEDはある深さに達した時に点灯する。したがって、一実施形態は言語、音声、視覚、振動および/または触覚フィードバックの組合せを使用することができる。また、圧迫ユニット2、換気測定手段および/または処理手段は別のフィードバック・ユニットに接続されていてもよく、そのフィードバック・ユニットはその場所において使用するための任意の他の表示/フィードバック装置の一部であってもよい。
【0058】
さらに、記録の機能が利用でき、たとえば、生のセンサのデータ、および/またはイベントおよび配送されたフィードバックを、後で呼び出すために格納しておくことができる。測定された情報を処理手段12に、あるいは別の記憶装置、たとえば、フラッシュ型メモリ(カード)14に格納することができる。その記録機能は各救急員のニーズに従って訓練方法を調整するために使用することができ、連続的品質改善(CQI)プログラムの一部とすることができる。記録機能は装置に実施すること、あるいはコンピュータまたは他の装置へ、たとえば、無線通信によって転送することができる。1つの可能性は、その装置が除細動器と通信することができ、それ故、より大きな救命装置のセットの一部を構成している場合である。そのような状況においては、使用者へのフィードバックのいくつかを、AED/除細動器から与えることができる。ただし、測定は圧迫ユニット2によって行われる。そのような通信は無線または有線の通信の形式が可能である。
【0059】
本発明によるシステムの一実施形態においては、すべての構成要素が圧迫ユニット2に実施されており、単独で使用されるのに十分なエネルギー供給および処理パワーを備え、測定信号として電子的に、あるいは1つまたは複数の適切な管、または圧迫ユニット2内で直接測定するための物理特性の他の適切な物理的転送を通じて転送される圧力としてのいずれかの換気データを受信するための入力手段および/または接続手段が付いていることが好ましい。また、圧迫ユニット2は、インピーダンス測定のための電極、または電極に対する接続/結合を含むことができる。
【0060】
これは図5に示されている。処理手段12、運動センサ9、および換気測定手段11(これは代わりにハウジングの外部に配置され、信号がハウジング8の内部の電子回路に転送されるようになっていてもよい)などのほとんどの構成要素がハウジング8内にある。力感応ユニット10がハウジングの外側に示されているが、他の方法も可能である。他の解決方法の1つは、曲がるハウジング、すなわち、力が加えられると外側のハウジング間の距離が僅かに減少するハウジングを有することである。したがって、そのハウジングの内部から力を測定することができる。フィードバック・アクチュエータ13はハウジングの外側に配置され、そのハウジングの壁を通して処理手段12に対して接続するようになっていてもよい。スピーカを通じての音声フィードバックの場合、そのスピーカを圧迫ユニットの内部に置くことができ、その圧迫ユニットは、装置から音を外へ出すためにハウジング8の内部にスロットを設けることができる。触覚フィードバックの場合、そのフィードバック・アクチュエータはハウジングに内蔵されることが好ましい。
【0061】
このシステムの2つの代替実施形態が図6に示されている。これらの代替実施形態は2つのモジュールを備える。1つは1回使用(使い捨て)のモジュール61であり、もう1つは複数回使用のモジュール60である。この2つのモジュールの方法に対する理由は、患者に接触している部分は衛生上の理由で廃棄されるべきであるということである。それはエネルギー供給を更新するための方法としても機能する。これらのモジュールの間に電気的相互接続および機械的相互接続の両方が可能である。通常、使い捨てのモジュール61はエネルギー供給、フィードバック手段および外部流量測定手段への接続を含んでいる。複数回使用のモジュール60は、通常、処理手段、運動センサおよび力感応ユニットを含む。
【0062】
図7は、本発明の好ましい実施形態における1つの可能な信号の流れを示すフローチャートである。この実施形態は圧迫および換気を測定するための手段を備える。それは必要な各フィードバックに関連する異なる信号を提供する必要があり得ることを意味する。ある時間間隔において、問題となるすべての信号、このケースにおいては圧迫を監視するための力センサの信号以外に加速度信号および換気を監視するための圧力信号が収集/サンプルされ、次に、対象となるパラメータ、たとえば、圧迫深さ、圧迫率、圧迫の不活動性、不完全解放、換気率、1回換気量、膨張時間および換気の不活動性などを発生するために別々に処理される。
【0063】
この示された例においては、加速度データは線形の変位(深さ)に変換される。深さを検証するために力感応ユニットが使用されている。すなわち、力があるしきい値未満であるときは、深さは考慮されない。検証された深さから、統計的データ、たとえば、立上り/立下り時間、圧迫率などが抽出され、一方、サンプルされた圧力信号は流量に変換され、次に換気量に変換され、立上り/立下り時間、換気率などの統計的データが抽出される。その統計的データのいずれかが所定の限界値を外れていた場合、そのデータは使用者へのフィードバックとしてマークされる。所定の限界値は、統計的モデルまたは、たとえば、上記の「ガイドライン」に記載されているような好ましいCPR手順からの既知の偏位に対応している以前の使用から記録された前のサンプルに基づくことができる格納された値である。
【0064】
したがって、次に各メインループ(圧迫または換気)が、パラメータについて何らかのフィードバックが必要か否かを決定し、所与のフィードバックとしてこれをマークする。次に、共通(音声)のフィードバック・モジュールが、どのパラメータがフィードバックされるべきかを優先順位リストに基づいて決定する。その優先順位リストはこの場合にはフィードバック・モジュールに格納されている。
【0065】
一実施形態においては、フィードバック・モジュールは処理手段12に内蔵されているプログラム・モジュールである。
【0066】
これらのループは本発明による装置またはシステムがオフにされるまで、あるいは場合によっては力スイッチまたはセンサがあるレベル以上の活動を検出するまで継続して動作する。
【0067】
これらループのうちの1つだけが適している可能性のある、たとえば、素人によって使用されるためのより簡単な装置の例がある。しかし、図7に記載されているシステムは、各種の状況におけるその柔軟性、および高い出力品質の両方のために好ましい。また、本発明の適用範囲内で、パラメータを組み合わせることによってこれらのループを他のパラメータについてのベースとするか、たとえば、力センサなどからの、より多くのループを追加することができる。
【0068】
図8は、1つの可能な加速度信号の処理フローについてより詳しく示す。この信号処理はほとんどをアナログ領域(ディジタル化の前)において、あるいはディジタル領域においてのいずれかにおいて行うことができる。しかし、ここではすべての処理がディジタル領域において行われる場合だけを説明する。先ず最初に加速度信号の直流成分を取り除く必要がある。これはIIR型またはFIR型のフィルタのいずれかである高域通過フィルタを使用することによって行うことができる。ノッチ・フィルタも使用することができる。長さMのFIRフィルタを使用すると下記の数1の結果が得られる。
【0069】
【数1】
【0070】
ここで、aは生の加速度信号であり、afiltはフィルタリングされた加速度信号である。
【0071】
次に、フィルタリングされた加速度信号は下記の数2に数値的に積分される。
【0072】
【数2】
【0073】
ここで、Cはサンプリング間隔の半分(T/2)である。この生の積分された信号は次に第1のフィルタに類似しているフィルタで高域通過フィルタリングされる。
【0074】
【数3】
【0075】
このフィルタリングされた信号がふたたび下記の数4に数値的に積分される。
【0076】
【数4】
【0077】
ここで、sは次に深さとして使用される。深さ信号内のドリフトを最小に保つための1つの可能な解決方法は、力センサ、すなわちスイッチまたは実際の力センサのいずれかが作動されていないかぎり、積分変数をゼロに保つことである。もう1つの解決方法は、深さが折り返し点(一次微分がほぼゼロ(正から負へ)、二次微分が負)になるたびに、積分(νrawおよびsの両方)をゼロに近い深さにリセットすることである。この後、他のパラメータをsから抽出することができる。たとえば、圧迫深さ(2つのリセットの間の最大値に対するチェック)および圧迫率(2つの最大値の間の時間)。
【0078】
CPR誤差が検出されると、それは僅かに修正された後入れ先出し(LIFO)バッファを使用してフィードバック・ソフトウェア・モジュールに転送される。すなわち、それは常にフィードバックのために考慮される最近のCPR誤差である。バッファ内でA秒以上前の誤差は削除される。音声によるフィードバックが配送された後、次のフィードバックが、通常、B秒後に考慮される。AおよびBは、通常、2〜6秒の範囲内にある構成設定可能なパラメータである。
【0079】
フィードバックの優先順位付けを行うための1つの方法は、ある時間ステップにおいて発生したすべてのCPRの誤差を優先順位に従ってソートし、最高優先順位のCPRの誤差だけをLIFOバッファ内に置くことによる方法である。この方法では、フィードバックのソフトウェア・モジュールは、そのフィードバック警告を実行する前に他のフィードバック・メッセージが与えられていないことを検証するだけでよい。これは最も重要な誤差が最初にフィードバックとして考慮されることを確保する。もう1つの方法は、すべてのCPRの誤差をLIFOバッファ内に置き、フィードバック・ソフトウェア・モジュール内で優先順位付けを実行する方法である。これによって、さらにカスタム化することができる。すなわち、異なる誤差がその誤差の重要度に依存して、他より長い時間の間LIFOバッファ内に存在することができる。
【0080】
図1および図2に示されている装置2内に含まれている触覚ユニットの一実施形態の詳細を図9〜図15に示す。救急員は自分の手を装置2の上に置いてCPRを実行する。図9に示されている本発明による装置の好ましい一実施形態の場合には、その装置は、正しく実行された各圧迫において圧迫が十分な深さに達した時にその救急員の手の上にたとえば、小さな小打撃を提供することによって、所望の圧迫深さを実行するように救急員に指令するためのフィードバックを提供する。
【0081】
図9、図10および図11を参照すると、フィードバック・ユニットは、装置2の内部に置かれていて、装置の端部において中心がずれていることが好ましいコイル22を含み、そのコイルは、その中央に配置されている磁性材料のコア23を挿入することができる中央の孔21を有する(図2a)。電流が印加されているときのコアおよびコイルの磁場の方向は、コアを中央の孔21から外へ動かすように選択されている(図2b)。これは以下により詳しく説明する。
【0082】
図2aおよび図2bから分かるように、巻型26の周りに線が巻かれてコイル22を生成し、それはまたそのコイルの中央位置を固定する。
【0083】
コア23には、使用者との接触を、より触覚的で検出し易くするために選択された材料の丸められた端部27が装備されている。これは任意の所望の材料であってよい。
【0084】
コア23の少なくとも1つの端部を鉄から作ることによって、その磁石からの磁力線がその鉄内で半径方向の分布に変更されるという更なる利点が提供される。これは磁場をコアの磁石の外側の比較的狭い領域に集中させ、その端部において磁力線がより好ましい方向/分布になるようにし、それ故、コイルからの電磁場とのより強力な相互作用を提供する。したがって、これはその効率を向上させる。この概念の更なる改善が図2cに示されており、この中で鉄の部分27a、27bが磁石の両端に追加されている。図2cにおいて、追加のコイル22bも加えられ、それを別に、あるいは同時に第1のコイル22aに対して制御し、磁気コアと相互作用するための、より一様な磁場を作ることができる。2つのコイル22a、22bの中を流れる電流を、たとえば、コアの1つの端部に対して吸引を起こさせ、そして網一方の端部の反発を起こさせるように反対の方向に流すことができる。
【0085】
図9から明らかなように、フィードバック・アクチュエータはセンサの中心から外れた場所に置かれることが好ましい。何故なら、長時間にわたってCPRを実行しているとき、手の中央に小打撃を感じるのが不快であることが試験によって示されているからである。
【0086】
装置2の上部カバーは、示されている実施形態においては柔らかい、および/または柔軟性のある材料から作られており、フィードバック・アクチュエータの打撃点の周りの領域においてカバー内に凹部が設けられ、この領域が中空であるようにしている(図3)。磁石のコアがそのカバーを叩くとき、カバーの限られた一部分だけが動いており、これによってその小打撃をより効果的にしている。代わりに、いくつかの材料を打撃点において取り除くことができるが、これは手に対する不快な、硬い小打撃を与える可能性がある。装置2は、孔21および磁気コア23を覆っているゴムの皮25またはそれと同様なものを有し、コア23がトリガされたときに皮25を通じて触覚的な小打撃を与えるようにすることが好ましい。
【0087】
この回路の原理は、たとえば、電磁銃の原理として周知であり、また、触覚フィードバック・ユニットは図12a、図12bおよび図13a、図13bを参照して概略的に説明され、一方、関連回路は図14および図15に記載されている。この解決方法の主な特徴は、構造が簡単で、それに関連するエネルギー消費に比較してフィードバックの効率が良いことである。何故なら、それは比較的低いエネルギーのパルスに対する応答としてコアに対して大きい運動量を提供するからである。図示されている例においては、コイルは巻線の向きが反時計方向(上から見た場合)になっており、磁性材料のコア23は正極が装置の底に向かって降りる向きに、および負極が上を向くように配置されている。装置が動作していない時、コアは装置のハウジング24上の下がった位置に乗っている(図13b参照)。
【0088】
図12aにおいて、フィードバック・ユニットは電気コイル22および、中央に接地されているコアを構成している強力な永久磁石23の磁力を利用する。このコイルの孔内に磁場が生成されると、フィードバック・ユニットはコイルの孔21から磁石23を追い出す。その磁場はコイルの巻線を流れる電流によって生成される。
【0089】
コイルおよびコアの機能を、図12a、図12bおよび図13a、図13bを参照して詳しく説明する。コイル22に電流が印加されると、磁石23と同じ方向の磁場が生成される。これは磁石を加速し、図13bに見られるように、救急員の手に向かって上に磁場から外へ移動させる。
【0090】
フィードバック・ユニットは、永久磁石23およびコイル22が図13aおよび図13bに示されているような向きになっていて、コイルを流れる電流がそのコイルに対してNおよびSによって示されている方向の磁場を発生する場合に、磁石がコイルから「発射」されるように機能する。その方向は電流が印加される前に永久磁石がどの程度オフセットされているかによって変わる。実際、磁石を完全に中央に置くことができた場合、それは動かずにじっとしていることができる。しかし、これは実際には実現できず、この場合、上に向かう方向に中央から僅かに外れている磁石23に対して支持体24を提供し、磁石の運動の方向があらかじめ定められているようにするのが便利である。磁石上の力は、磁石がギャップを離れるまでコイルの約半分程度上に上がってからかなり安定している(コイルによって生成される磁場が一定になっている場合)。ギャップの上部ではその力は急速に減少し、磁力は磁石に対して回転を加えようとする。
【0091】
磁石がコイルから加速されて出ていくので、磁場をコイル内で短時間だけ加え、磁石に十分な運動量を与えて装置の皮25を通じて触覚的運動が感知されるのにちょうど十分なだけの磁場を加えるのが、エネルギー効率が良い。
【0092】
好ましい実施形態においては、装置は救急員の手に対する方向が上向きである向きにおいて使用されるように設計されており、コアは、動かされた後、元の場所に落ちて戻るためにスプリングその他類似のものは不要である。次の圧迫および電子的パルスの可能な照射の前に、その装置のハウジングによって定義されている支持体24において重力が単純にそれを出発位置に戻す。スプリングなどの他の解決方法もある条件下では考えられるが、結果としてより複雑な触覚ユニットとなる。
【0093】
また、孔21上に皮のないある実施形態においては、その装置から磁石が落ちるのを止めるために、磁石またはコイルのハウジング上に突出した特徴的構造またはそれと類似の構造を提供することもできる。
【0094】
寸法、設計および線に関して各種コイルを設計することができる。コイルの設計においては次のパラメータが重要である。
【0095】
・サイズ
・電力
・複雑性
・価格
・信頼性
抵抗が小さく、インダクタンスが大きいコイルが多くの用途に対して望ましい。大きいインダクタンスは大きい磁場強度(Φ)と同義であることから大きいインダクタンスが望ましい。より大きいインダクタンスを得るには、より多くの巻線が必要である。抵抗をより小さくするには、その線の断面積がより広くなければならない。これによってインダクタンスに関してコイルがより大きくなる。巻型はできるだけ大きくするべきであり(CPRセンサにおいて使用するには20×13mmが実際的な寸法である)、そして巻線数および線の寸法の選択はその巻型のサイズに基づいて行われる必要がある。このことはそのコイルが設計によって設定されている制限に見合ってできるだけ最適であることを意味する。図15に示されている駆動回路によって、線のゲージおよび巻線数に関してより柔軟に選択することができる。
【0096】
例示としての実施形態においては、巻型26(図10b参照)の全体の高さは13mmである。線は巻型の6mmの高さの部分において巻かれるだけで、巻型の残りの部分はその磁石に対するガイダンスとして使用されている。
【0097】
コイルの下端を蓋(図示せず)によって閉じることができる。実用的な実施形態においては、蓋の中央片は直径が8mmであり、そのコイルのエアギャップ内に突き出て磁石23に対する支持体24を形成している。中央片の頂部には厚さ1mmのゴムが取り付けられている。そのゴムは、永久磁石がその出発位置に戻る時、可聴雑音を発生しないようにする。また、中央片は上記のように「放出力」を得るために必要な磁石のオフセットを提供する。この例示としての実施形態においてコイルを巻くために使用される線は、厚さ0.15〜0.18mmの標準のラッカー絶縁型銅線である。
【0098】
この例示としての実施形態において使用された永久磁石は強力なネオジム(N35)稀土類磁石である。このタイプの磁石は携帯電話装置の中のスピーカなどの、多くの装置において広く使用されるようになってきている。これらの磁石はその質量に比較して強力な磁場を有しているが、それらは機械的に壊れ易く、そして80℃以上の温度においては磁力が弱くなる。要求された仕様に依存して、他の磁石を使用することもできる。
【0099】
磁石23の頂部には、図2bに示されている磁石の頂部に示されているような、小打撃をより「集中させる」ためにドームがあることが好ましい。磁石は一体型に作られていることが好ましいが、ドームが鉄から作られている図27および図27aに示されているように、必要な特性によって変わるドームなどのある種の特徴的構造を別に作ることができる。
【0100】
図14および図15には、コイル22に結合されている電子回路が示されている。その回路、およびそれ故、フィードバック・アクチュエータの動作は処理手段によって制御される。
【0101】
図14および図15の電子回路参照。キャパシタ充電回路35がバッテリーから効率的にキャパシタ32を充電する。バッテリーの電圧は通常低い(3〜5V)が、キャパシタを高い電圧(通常、20〜50V)まで充電する必要がある。これはコイル22内により強力な磁場を発生し、したがって、フィードバック装置が作動されると、そこに置かれている磁石23をより強力に加速する。電流スイッチ34はコイル22を通って流れる電流を正しい時刻にオンにする。磁石23がコイルのギャップを過ぎて加速されたとき、電流スイッチはオフになる。
【0102】
より高度な回路が図15に示されており、この回路には、回路のエネルギー効率を改善するためにいくつかの構成要素が追加されている。
【0103】
図15においては、キャパシタ32はキャパシタ充電回路35によって充電される。正しい時点においてスイッチQ1およびQ3がオンにされる(スイッチQ2はオフ)。電流がコイル内で立ち上がる。電流が、コイルのギャップにおける最大磁場強度と同義である最大電流に達すると、Q1およびQ3がオフにされる。この直後にQ2がオンにされる。ここで、電流がコイルおよびQ2を通って流れ続ける。コイルの抵抗によって、あるいはコイル22の中の磁場によって加速されるときの永久磁石23へのエネルギー転送のいずれかによってエネルギーが消費されるにつれて電流が減少する。永久磁石がコイル22から外へ移動したとき、スイッチQ2がオフにされ、コイルの中の残っているエネルギーがD2およびD3を通してキャパシタに戻るように流れる。ダイオードD1はこの切換工程の間の過渡現象を防止することができる。
【0104】
この回路の主な利点は次の通りである。
【0105】
・最大磁場が確立されるまでエネルギーはキャパシタからのみ引き出される。
【0106】
・コイルの抵抗値が小さい場合、コイルのエネルギーは磁石の機械的運動に変換される。
【0107】
・コイル内に残っているエネルギーはキャパシタへ戻される。
【0108】
キャパシタ充電回路35は胸の各圧迫の間にキャパシタ32を完全に充電するように設計される。同時に、充電回路は、高いピーク電流に起因するバッテリー電力の損失を避けるために、ほとんど一定の速度でバッテリーから電流を引き出すように設計される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施のために圧迫ユニットを付けた人を示す概略図である。
【図2】本発明の実施のために圧迫および気道のアダプタを付けた人を示す概略図である。
【図3】本発明の実施のために電極が追加された圧迫および換気のユニットを付けた人を示す概略図である。
【図4】処理手段内の情報の一般化された流れを示す図である。
【図5】装置に対するシステム構成要素の概略図である。
【図6】その装置の代替実施形態を示す図である。
【図7】典型的な信号のフローチャートである。
【図8】典型的な加速度計信号のフローチャートである。
【図9】本発明による触覚フィードバック装置の斜視図である。
【図10a】図9の触覚フィードバック装置のフィードバック・ユニットを示す図である。
【図10b】図9の触覚フィードバック装置のフィードバック・ユニットを示す図である。
【図10c】図9の触覚フィードバック装置のフィードバック・ユニットを示す図である。
【図11】図9の装置内部のフィードバック・ユニットの位置を示す図である。
【図12a】本発明の一実施形態によるフィードバック・ユニットの概略図である。
【図12b】本発明の一実施形態によるフィードバック・ユニットの概略図である。
【図13a】本発明によるフィードバック・ユニットの原理を示す図である。
【図13b】本発明によるフィードバック・ユニットの原理を示す図である。
【図14】フィードバック・ユニットの回路の一例を示す図である。
【図15】本発明の好ましい実施形態によるフィードバック・ユニットの回路を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、心拍停止の被災者または訓練目的のためのマネキンに対して適用される心肺蘇生(CPR)の作業について測定、記録、フィードバックするために設計されたシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生(CPR)は、突然心停止の場合における救命救急処置として実行される手順である。その手順は、胸部圧迫および換気を含む。最近の公報はCPRが専門家らによって現在どのように実行されているかについての多くの問題を指摘している。
【0003】
アウフデルハイド他は、公報「心肺蘇生時の過度呼吸によって誘起される低血圧」(Hyperventilation−Induced Hypotension During Cardiopulmonary Resuscitation)、Circulation 2004;109において、訓練された「救急医療サービス」(EMS)のスタッフが換気を正しく行うことについての問題を抱えていることを示した。再訓練の後でさえも、蘇生に関する国際連絡委員会と共同で米国心臓協会によって発行された「心肺蘇生および救急心臓血管治療に対するガイドライン2000」(Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care)(以下「ガイドライン」と呼ぶ)に比較して換気率がまだ高過ぎた。
【0004】
ファン・アレム(van Alem)、サノウ(Sanou)およびコスター(Koster)は、「病院外での心拍停止における自動体外式除細動器の使用による心肺蘇生の中断」(Interruption of Cardiopulmonary Resuscitation With the Use of the Automated External Defibrillator in Out−of−Hospital Cardiac Arrest)、Annals of emergency medicine 42:4(2003年10月)において、実行されたCPRについての別の問題、すなわち、CPRを実行した訓練されたEMSスタッフでさえも、その場面において行われた圧迫または換気の時間が50%未満であったこと、すなわち、手空き時間/非活動時間が長過ぎたことを指摘した。
【0005】
2005年1月19日発行の全米医学学会誌(JAMA)、293巻、3号に記載の2つの論文、アベラ(Abella)他による「病院内での心拍停止における心肺蘇生の品質」(Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During In−Hospital Cardiac Arrest)および、ウイク(Wik)他による「病院外での心拍停止における心肺蘇生の品質」(Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During Out−of−Hospital Cardiac Arrest)は、手空き時間が長過ぎ、正しい圧迫深さが到達されず、圧迫率が低過ぎるか、あるいは高過ぎたこと、および過換気がしばしば発生したことを結論付けている。
【0006】
多くのCPR支援装置が周知である。マイクルバスト(Myklebust)他の米国特許第6,306,107号、「救命の状況または訓練の状況における圧迫のチェック時のパラメータの測定および使用のためのシステムおよびその用途」(System for Measuring and Using Parameters During Check Compression in a Life−Saving Situation or a Practice Situation and Also Application Thereof)は、上記装置を記載している。この装置は換気、換気の不活動性または圧迫の不活動性を考慮していない。
【0007】
CPR装置についての別の説明が、ハルペリン(Halperin)他によって米国特許第6,390,996号、「CPRの圧迫チェックモニタ」(CPR Check Compression Monitor)に記載されている。この装置は圧迫だけを考慮している。他のもっと簡単なCPR支援装置はそのフィードバックを力および時間に基づいている。そのような装置の1つはメドテック イノーベーション社(Medteq Innovations Pty .Ltd.)からのCPREzyである。
【0008】
いくつかのCPR支援装置は自動体外除細動器(AED)また除細動器の一部である。そのような装置の1つが、ゾールメディカルコーポレーション(Zoll Medical Corporation)からのAEDPlusの一部である。その装置は圧迫だけを考慮している。CPR支援装置付きの新しい除細動器は、十分に機能しているAED/除細動器システムを既に有している「救急医療システム」(EMS)のオプションとしては使用することができない。そのようなEMSシステムはCPRの測定およびフィードバックに対するスタンドアロンの解決方法をむしろ考えることになる。
【0009】
CPRの全手順を通じての不活動性についてのフィードバックと同様に、圧迫および換気の両方の活動性についてのフィードバックを提供する先行技術のシステムまたは装置はない。これらの問題はCPR性能の向上、それ故、生存率の向上において非常に重要であると考えられる。
【0010】
周知のシステム、たとえば、ゾールからのAEDplusなどに関連したもう1つの問題は、それらが比較的高価で、大きく、かつ複雑であることであり、したがって、素人の救急員がそれらを常に利用できる状態にないことである。素人の救急員のために作られた装置がEP1578340に記載されており、それは救急員を支援するための音声信号を出力する力感応装置、特に、胸部圧迫を実行している人の手と患者の胸との間に置くための装置を記載している。より詳細には、EP1578340の主題であるその装置は、規定値を超えている力で胸の圧迫が行われる時に音を発生するように、また、オプションとして胸の圧迫の望ましい率を示している音も発生するように設計されている。これはバッテリー独立であり、それ故、常に使用準備ができている安価でコンパクトな装置において、あるいは消費電力の非常に小さいバッテリーを使用した実施形態において得られる。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,306,107号
【特許文献2】米国特許第6,390,996号
【特許文献3】EP1578340
【非特許文献1】アウフデルハイド他、Hyperventilation−Induced Hypotension During Cardiopulmonary Resuscitation、Circulation 2004;109
【非特許文献2】国際連絡委員会と米国心臓協会による共同発行、Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care
【非特許文献3】ファン・アレム(van Alem)、サノウ(Sanou)およびコスター(Koster)、Interruption of Cardiopulmonary Resuscitation With the Use of the Automated External Defibrillator in Out−of−Hospital Cardiac Arrest、Annals of emergency medicine 42:4(2003年10月)
【非特許文献4】2005年1月19日発行の全米医学学会誌(JAMA)、293巻、3号に記載の論文、アベラ(Abella)他、Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During In−Hospital Cardiac Arrest
【非特許文献5】2005年1月19日発行の全米医学学会誌(JAMA)、293巻、3号に記載の論文、ウイク(Wik)他、Quality of Cardiopulmonary Resuscitation During Out−of−Hospital Cardiac Arrest
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
訓練では、場合によっては、特にいくつかの緊急事態においては、音声信号が聞き取り難い可能性があることが示されている。また、ある例においては、使用者に対するフィードバックのためのより正確なベースに対する必要性がある。たとえば、加える力が強過ぎる場合、患者を痛める危険性がある。したがって、そのような場合においては、信頼性が高く、すべての状況下で救急員が受け取り易い方法でフィードバックが提供される高品質のCPRフィードバックを提供するための、エネルギー効率の良い、コンパクトな装置の開発が待望されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、CPR治療に関連する選択されたパラメータの測定およびフィードバックに基づいてCPRを通じてCPR実行者をガイドし、したがって、より良い治療を患者に提供し、生存のチャンスをより大きくするCPRを個人が正しくかつ効率的に実行できるようにする、CPR実行中のパラメータを監視するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらにもう1つの目的は、CPR治療を改善するために救急員に対してフィードバックを提供するための、小型で、多様性があり、信頼性が高く、手頃な価格で入手できる装置を提供することである。
【0015】
本発明の目的は、参照された先行技術の制限をさらに克服することである。
【0016】
ガイディングは、ここでは補正的および指示的なフィードバックとして定義され、フィードバックは音声、言語、触覚、振動、光の形式および/またはグラフィックなプロンプトの形式であってもよい。指示的フィードバックはCPRの特定のステップを実行する方法についての助言とすることができる。
【0017】
そのフィードバックは、一実施形態においては、エネルギー効率のよい方法で、たとえば、バッテリーの寿命を長くし、したがって、充電なしで格納される時の装置の信頼性を高めるために提供される、救急員の手に対する触覚フィードバックによる救急員に対する表示によって与えられる。
【0018】
本発明によるシステムからの監視された信号に基づいてフィードバックを与えることができる重要なパラメータは、圧迫深さ、圧迫率、圧迫の不活動性、圧迫の不完全な解放、換気率、1回換気量、換気の膨張時間および換気の不活動性であるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態においては、フィードバックは主として圧迫の監視に基づいて提供される。
【0019】
本発明は、たとえば、空港、スポーツ競技場、ショッピングモール、地下鉄、バスなど、多くの人が集まるどんな場所にも配置することができる。本発明は素人および訓練者の両方によって使用されるのに適している。また、それはEMS、警察および/または消防の車内に配置することもでき、あるいは一次救命処置(BLS)を提供する人に対して個人的装置として貸し出すこともできる。
【0020】
本発明による測定された情報は、後での報告のために記録すること、および/または医療用救急(通信)センターおよび/または病院に対して送信することもできる。その転送されたデータを、その患者が病院に委託されている場合はさらにその病院の治療に合わせて調整するために使用することができる。
【0021】
本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に記載のシステムおよび装置を使用して達成される。
【0022】
一実施形態の場合には、心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するための本発明によるシステムは、圧迫測定手段と、換気測定手段と、圧迫測定手段および換気測定手段に接続されていて、圧迫および換気測定手段からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、その偏位の表示を提供することができる処理手段とを備え、2つ以上の測定値がそれぞれの基準範囲から外れている場合、処理手段は優先順位に従って一連の表示を提供することができる。
【0023】
他の実施形態の場合には、本発明によるシステムは音声、視覚および/または触覚出力の形式で偏位の表示を提供するフィードバック・ユニットを備える。
【0024】
一実施形態の場合には、そのフィードバック・ユニットは中央の孔の周りに巻かれたコイルとそのコイルの中央の孔内で動くように配置されている磁気コアとを含み、そのコイルは磁気コアの運動を誘起するためにオン/オフされる電源に接続されている。
【0025】
他の実施形態の場合には、換気測定手段は換気率、1回換気量および/または膨張時間を測定する。
【0026】
他の実施形態の場合には、圧迫測定手段は圧迫率および/または圧迫深さを測定する。
【0027】
他の実施形態の場合には、圧迫測定手段および/または換気測定手段および処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0028】
他の実施形態の場合には、圧迫測定手段、フィードバック・ユニットおよび処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0029】
他の実施形態においては、表示信号の優先順位付けが、処理手段内に格納されている優先順位リストによって、偏位している測定値に対応しているそれぞれの被測定量を比較することによって実行される。
【0030】
また、本発明は救命の状況において、あるいは訓練の状況において心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するための方法も含み、その方法は、圧迫を測定するステップと、換気を測定するステップと、圧迫および換気の測定からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、その偏位の表示を提供し、2つ以上の測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、優先順位に従って一連の表示を提供するステップとを含む。
【0031】
一実施形態においては、偏位の表示がフィードバック・ユニットからの音声、視覚および/または触覚出力の形式で与えられる。
【0032】
一実施形態においては、換気を測定するステップは、換気率、1回換気量および/または膨張時間を測定するステップを含む。
【0033】
他の実施形態においては、換気の測定が気道アダプタ内で行われる。
【0034】
一実施形態においては、圧迫を測定するステップは、圧迫率および/または圧迫深さを測定するステップを含む。
【0035】
圧迫測定は患者/マネキンの胸に接触している圧迫ユニットによって実行することができる。
【0036】
一実施形態においては、圧迫を測定するための手段および/または換気を測定するための手段および処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0037】
本発明の一実施形態においては、圧迫を測定するための手段と、フィードバック・ユニットおよび処理手段が1つのハウジングに内蔵されている。
【0038】
他の実施形態においては、表示信号の優先順位付けが、偏位している測定値に対応しているそれぞれの被測定量を優先順位リストによって比較することによって実行される。
【0039】
本発明の目的は、心肺蘇生の実行中に患者の胸の上に配置するための装置の手段によってさらに達成することができ、その装置は、少なくとも圧迫深さを測定する圧迫測定手段と、圧迫測定手段に接続され、圧迫測定手段からの値を基準範囲と比較し、測定値が基準範囲内に入っている場合、表示信号を提供することができる処理手段と、処理手段からの表示信号に関連する触覚出力を提供するための処理手段に接続されているフィードバック・ユニットとを含む。
【0040】
一実施形態においては、フィードバック・ユニットが中央の孔の周りに巻かれたコイルと、コイルの中央の孔内で移動できるように配置されている磁気コアとを含み、コイルはその磁気コアの運動を誘起するためにオン/オフされる電源に接続されている。
【0041】
他の実施形態においては、フィードバック・ユニットがその装置の中心から外れて配置されている。
【0042】
他の実施形態においては、その装置はカバーを含み、そのカバー内でフィードバック・ユニットの直上に凹部が設けられている。
【0043】
本発明の一実施形態においては、その装置は換気測定手段などの他の測定手段に接続するための接続手段を含む。
【0044】
圧迫測定手段は圧迫率を測定する。
【0045】
本発明を、添付の図面を参照しながら以下により詳細に説明するが、これは単なる例示としてのものにすぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、胸に圧迫ユニット2を付けた患者1を示す。このユニットは接着テープを使用して取り付けることができる。救急員が患者の胸の上で圧迫を実行する時、救急員はユニット2の上に自分の手を置く。したがって、そのユニットは胸が圧迫されるのと同じ距離だけ移動する。圧迫ユニット内部に計算手段を含んでいるか、あるいは計算手段に接続されている運動センサがその距離/深さを検出する。この運動センサは加速度計であってもよいが、ジャイロの使用または基準点からの距離測定、または三角測量によるなどの他の解決方法を使用することもできる。加速度計の場合、深さを知るために、当業者であれば周知であるように、センサからの信号がフィルタリングされて二重積分されなければならない。追加の力感応装置(その最も簡単な形式では力で作動されるスイッチだけの装置)もそのユニットの一部である。この力感応装置は救急員が圧迫を実行するたびに作動され、したがって、圧迫/積分時間ウィンドウ/間隔を定義する。これによって間違った肯定的圧迫検出の発生が減少する。力作動型スイッチの代わりに力センサを備えることによって、CPRプロトコル/ガイドラインにおける圧迫手段に対する深さから力への、あるいはそれらの組合せでの、将来のあり得る変更に容易に対処することができる。一実施形態においては、その圧迫ユニットを運動センサの代わりに力変換器で構成することができる。本発明の一実施形態の場合には、圧迫ユニット2は距離/深さ測定に関して触覚的表示を提供するための触覚フィードバック・ユニットを備える。
【0047】
図2は、胸に圧迫ユニット2が取り付けられている患者1を示す。図1の圧迫ユニットに関して記述されたことの他に、圧迫ユニットはマスクまたはET管5と通風袋または換気装置6との間に置かれている気道アダプタ4に、ホースまたは電線3のいずれかによって接続されている。
【0048】
一実施形態においては、気道アダプタはある種の換気測定手段を有する。1つの解決方法は、気道内に制限部分を設け、この制限部分での圧力降下を測定することである。この場合、1つまたは複数の圧力センサを圧迫ユニット2内に、または気道アダプタ4内に/気道アダプタ4のそばに配置することができる。次に、流量が圧力降下の平方根に比例しているとして流量を計算することができる。流量を積分することによって、換気量が分かる。
【0049】
差圧監視以外の手段、たとえば、気道内の温度変動の監視(空気が人に対して出入りしているか否かを示す)、単独の圧力変換器(気道アダプタ4内部の気道圧力を測定し、換気の事象および関係付けられた圧力プロファイルを検出することができる)、または小型のタービンを、それらをすべて気道内に置くことによって、代替換気測定手段を構成することができる。
【0050】
代替的に、あるいは追加的に、次節で説明されるように、肺の中の空気の体積を示すために胸のインピーダンス測定を使用することができる。
【0051】
システムの他のセットアップも可能である。たとえば、換気測定手段を、マスクに内蔵することができ、そこに通風袋が有ってもよいし無くてもよい。代わりに、救急員が自分の口を使用して患者を換気することができる。
【0052】
流量測定の他に、あるいはその代わりに、呼気終末炭酸ガス濃度(ETCO2)測定も実施することができる。ETCO2は、その治療がどの程度良好であるか、したがって、CPRを改善することができるかどうかを示す指示子として使用することができる。
【0053】
「高度救命処置」(ALS)スタッフは、心拍停止の被災者を挿管し、圧迫および換気を同時に実行することができる。その圧迫は肺を圧迫することになり、肺から空気を押し出すので、圧迫が換気測定に影響する可能性がある。したがって、換気測定の低域フィルタリングまたは適応フィルタリングが必要である可能性がある。適応フィルタリングは力、加速度、速度および/または深さを追加的な入力として、単独で、あるいはそれらの組合せで使用することができる。何故なら、それらはすべて圧迫の活動に関連するからである。これを行うための方法はそれ自体、信号処理の当業者であれば周知である。
【0054】
図3は、上記機能の他に、ユニット両側に電極7が取付けられている圧迫ユニット2を付けた患者1を示す。これらの電極を使用してその患者の胸部のインピーダンスを測定することができる。胸部のインピーダンスは、普通は電極間にほぼ一定の交流電流を供給し、同時に電極間の交流電圧を測定することによって測定される。また、電極間にほぼ一定の交流電圧を印加し、同時に電極間に流れる交流電流を測定することもできる。この電極は、除細動電極も患者の上に置かれる可能性があるので、サイズが小さいこと以外に、圧迫ユニットに近接して置かれる必要がある。電極が近接していること、および比較的小さい電極であることのために、インピーダンスを測定するための好ましい周波数は通常使用される周波数より高い可能性があり、その電極のサイズに依存して0.1kHz〜500kHzまたはそれより高い周波数が使用される可能性がある。肺が膨張しているとき、胸部のインピーダンスが増大し(電極間の経路が増大し)、空気が実際に肺の中に入ったかどうかをそのユニットにより検出することができる。インピーダンス測定それ自体は他の/同様な用途から周知であるので、ここではこれ以上の説明は省略する。また、フィルタリングも図2に関連して説明されたように適用することができる(圧迫の活動を取り除くために)。
【0055】
本発明によるシステムはある種の処理手段、たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはある種のプログラマブル論理装置(CPLDまたはFPGA)を備える。その処理手段は圧迫ユニット2内に、あるいは換気測定手段に内蔵されていてもよく、または別のユニットであってもよい。処理手段には、書換可能な手段、たとえば、プログラムおよび、偏位が分かる好ましい活動の所定のセットを更新するためのフラッシュメモリなどが備えられていることが好ましい。処理手段を更新するための機能は、「ガイドライン」が定期的に更新されるので有利である。
【0056】
処理手段はセンサ/測定手段から情報を収集することを担当し、個々の信号を処理して救急員にどんな種類のフィードバックを提供するかを決定する。このプロセスが図4に要約されている。2つ以上のパラメータを補正する必要がある場合、処理手段は優先順位付けのプロセスを含むことができ、優先順位リストに基づいて最も重要なパラメータ(複数の場合もある)に関して与えるフィードバックを選択することができる。優先順位リストは、処理手段に格納され、たとえば、「ガイドライン」で述べられているような標準リスト、またはそのシステムの特定の使用に従って使用者または製造者によって定義されているリストであってもよい。
【0057】
本発明によるシステムは、たとえば、圧迫ユニット2内に備えられているある種のフィードバック・アクチュエータ13と一緒に、さらに構成される。救急員は普通は十分に受入れ準備ができているので、フィードバックは音声プロンプトの手段によって与えられることが好ましい。しかし、これはその装置の意図された使用に依存する。何故なら、ある場合には音声のプロンプトは混雑した領域などにおいては、見物人によって誤って解釈されるか、あるいは雑音の中に埋もれてしまう可能性があるからである。そのような場合、音声、視覚、触覚または振動によるフィードバック信号(たとえば、ポケットベル、点滅しているLED、ソレノイドまたは振動モータ)を使用することができる。異なる構成を使用することもできる。1つの例においては、圧迫率のフィードバックを提供するためにポケットベルが使用される。その形式は、救急員が正しい率の範囲/ウィンドウから外れている時には正しい率を示し、救急員が正しい率の範囲/ウィンドウ内に入っているときには静かになっている矯正的メトロノームの形式、または望ましい率を絶えず示し、圧迫深さが十分である時は手の中で装置の振動または小打撃音が発生し、換気率についての指示的フィードバックを提供するためにLEDが点滅する、指示的メトロノームの形式のいずれかである。もう1つの例においては、LEDのスタックが使用されて圧迫深さを示し、各LEDはある深さに達した時に点灯する。したがって、一実施形態は言語、音声、視覚、振動および/または触覚フィードバックの組合せを使用することができる。また、圧迫ユニット2、換気測定手段および/または処理手段は別のフィードバック・ユニットに接続されていてもよく、そのフィードバック・ユニットはその場所において使用するための任意の他の表示/フィードバック装置の一部であってもよい。
【0058】
さらに、記録の機能が利用でき、たとえば、生のセンサのデータ、および/またはイベントおよび配送されたフィードバックを、後で呼び出すために格納しておくことができる。測定された情報を処理手段12に、あるいは別の記憶装置、たとえば、フラッシュ型メモリ(カード)14に格納することができる。その記録機能は各救急員のニーズに従って訓練方法を調整するために使用することができ、連続的品質改善(CQI)プログラムの一部とすることができる。記録機能は装置に実施すること、あるいはコンピュータまたは他の装置へ、たとえば、無線通信によって転送することができる。1つの可能性は、その装置が除細動器と通信することができ、それ故、より大きな救命装置のセットの一部を構成している場合である。そのような状況においては、使用者へのフィードバックのいくつかを、AED/除細動器から与えることができる。ただし、測定は圧迫ユニット2によって行われる。そのような通信は無線または有線の通信の形式が可能である。
【0059】
本発明によるシステムの一実施形態においては、すべての構成要素が圧迫ユニット2に実施されており、単独で使用されるのに十分なエネルギー供給および処理パワーを備え、測定信号として電子的に、あるいは1つまたは複数の適切な管、または圧迫ユニット2内で直接測定するための物理特性の他の適切な物理的転送を通じて転送される圧力としてのいずれかの換気データを受信するための入力手段および/または接続手段が付いていることが好ましい。また、圧迫ユニット2は、インピーダンス測定のための電極、または電極に対する接続/結合を含むことができる。
【0060】
これは図5に示されている。処理手段12、運動センサ9、および換気測定手段11(これは代わりにハウジングの外部に配置され、信号がハウジング8の内部の電子回路に転送されるようになっていてもよい)などのほとんどの構成要素がハウジング8内にある。力感応ユニット10がハウジングの外側に示されているが、他の方法も可能である。他の解決方法の1つは、曲がるハウジング、すなわち、力が加えられると外側のハウジング間の距離が僅かに減少するハウジングを有することである。したがって、そのハウジングの内部から力を測定することができる。フィードバック・アクチュエータ13はハウジングの外側に配置され、そのハウジングの壁を通して処理手段12に対して接続するようになっていてもよい。スピーカを通じての音声フィードバックの場合、そのスピーカを圧迫ユニットの内部に置くことができ、その圧迫ユニットは、装置から音を外へ出すためにハウジング8の内部にスロットを設けることができる。触覚フィードバックの場合、そのフィードバック・アクチュエータはハウジングに内蔵されることが好ましい。
【0061】
このシステムの2つの代替実施形態が図6に示されている。これらの代替実施形態は2つのモジュールを備える。1つは1回使用(使い捨て)のモジュール61であり、もう1つは複数回使用のモジュール60である。この2つのモジュールの方法に対する理由は、患者に接触している部分は衛生上の理由で廃棄されるべきであるということである。それはエネルギー供給を更新するための方法としても機能する。これらのモジュールの間に電気的相互接続および機械的相互接続の両方が可能である。通常、使い捨てのモジュール61はエネルギー供給、フィードバック手段および外部流量測定手段への接続を含んでいる。複数回使用のモジュール60は、通常、処理手段、運動センサおよび力感応ユニットを含む。
【0062】
図7は、本発明の好ましい実施形態における1つの可能な信号の流れを示すフローチャートである。この実施形態は圧迫および換気を測定するための手段を備える。それは必要な各フィードバックに関連する異なる信号を提供する必要があり得ることを意味する。ある時間間隔において、問題となるすべての信号、このケースにおいては圧迫を監視するための力センサの信号以外に加速度信号および換気を監視するための圧力信号が収集/サンプルされ、次に、対象となるパラメータ、たとえば、圧迫深さ、圧迫率、圧迫の不活動性、不完全解放、換気率、1回換気量、膨張時間および換気の不活動性などを発生するために別々に処理される。
【0063】
この示された例においては、加速度データは線形の変位(深さ)に変換される。深さを検証するために力感応ユニットが使用されている。すなわち、力があるしきい値未満であるときは、深さは考慮されない。検証された深さから、統計的データ、たとえば、立上り/立下り時間、圧迫率などが抽出され、一方、サンプルされた圧力信号は流量に変換され、次に換気量に変換され、立上り/立下り時間、換気率などの統計的データが抽出される。その統計的データのいずれかが所定の限界値を外れていた場合、そのデータは使用者へのフィードバックとしてマークされる。所定の限界値は、統計的モデルまたは、たとえば、上記の「ガイドライン」に記載されているような好ましいCPR手順からの既知の偏位に対応している以前の使用から記録された前のサンプルに基づくことができる格納された値である。
【0064】
したがって、次に各メインループ(圧迫または換気)が、パラメータについて何らかのフィードバックが必要か否かを決定し、所与のフィードバックとしてこれをマークする。次に、共通(音声)のフィードバック・モジュールが、どのパラメータがフィードバックされるべきかを優先順位リストに基づいて決定する。その優先順位リストはこの場合にはフィードバック・モジュールに格納されている。
【0065】
一実施形態においては、フィードバック・モジュールは処理手段12に内蔵されているプログラム・モジュールである。
【0066】
これらのループは本発明による装置またはシステムがオフにされるまで、あるいは場合によっては力スイッチまたはセンサがあるレベル以上の活動を検出するまで継続して動作する。
【0067】
これらループのうちの1つだけが適している可能性のある、たとえば、素人によって使用されるためのより簡単な装置の例がある。しかし、図7に記載されているシステムは、各種の状況におけるその柔軟性、および高い出力品質の両方のために好ましい。また、本発明の適用範囲内で、パラメータを組み合わせることによってこれらのループを他のパラメータについてのベースとするか、たとえば、力センサなどからの、より多くのループを追加することができる。
【0068】
図8は、1つの可能な加速度信号の処理フローについてより詳しく示す。この信号処理はほとんどをアナログ領域(ディジタル化の前)において、あるいはディジタル領域においてのいずれかにおいて行うことができる。しかし、ここではすべての処理がディジタル領域において行われる場合だけを説明する。先ず最初に加速度信号の直流成分を取り除く必要がある。これはIIR型またはFIR型のフィルタのいずれかである高域通過フィルタを使用することによって行うことができる。ノッチ・フィルタも使用することができる。長さMのFIRフィルタを使用すると下記の数1の結果が得られる。
【0069】
【数1】
【0070】
ここで、aは生の加速度信号であり、afiltはフィルタリングされた加速度信号である。
【0071】
次に、フィルタリングされた加速度信号は下記の数2に数値的に積分される。
【0072】
【数2】
【0073】
ここで、Cはサンプリング間隔の半分(T/2)である。この生の積分された信号は次に第1のフィルタに類似しているフィルタで高域通過フィルタリングされる。
【0074】
【数3】
【0075】
このフィルタリングされた信号がふたたび下記の数4に数値的に積分される。
【0076】
【数4】
【0077】
ここで、sは次に深さとして使用される。深さ信号内のドリフトを最小に保つための1つの可能な解決方法は、力センサ、すなわちスイッチまたは実際の力センサのいずれかが作動されていないかぎり、積分変数をゼロに保つことである。もう1つの解決方法は、深さが折り返し点(一次微分がほぼゼロ(正から負へ)、二次微分が負)になるたびに、積分(νrawおよびsの両方)をゼロに近い深さにリセットすることである。この後、他のパラメータをsから抽出することができる。たとえば、圧迫深さ(2つのリセットの間の最大値に対するチェック)および圧迫率(2つの最大値の間の時間)。
【0078】
CPR誤差が検出されると、それは僅かに修正された後入れ先出し(LIFO)バッファを使用してフィードバック・ソフトウェア・モジュールに転送される。すなわち、それは常にフィードバックのために考慮される最近のCPR誤差である。バッファ内でA秒以上前の誤差は削除される。音声によるフィードバックが配送された後、次のフィードバックが、通常、B秒後に考慮される。AおよびBは、通常、2〜6秒の範囲内にある構成設定可能なパラメータである。
【0079】
フィードバックの優先順位付けを行うための1つの方法は、ある時間ステップにおいて発生したすべてのCPRの誤差を優先順位に従ってソートし、最高優先順位のCPRの誤差だけをLIFOバッファ内に置くことによる方法である。この方法では、フィードバックのソフトウェア・モジュールは、そのフィードバック警告を実行する前に他のフィードバック・メッセージが与えられていないことを検証するだけでよい。これは最も重要な誤差が最初にフィードバックとして考慮されることを確保する。もう1つの方法は、すべてのCPRの誤差をLIFOバッファ内に置き、フィードバック・ソフトウェア・モジュール内で優先順位付けを実行する方法である。これによって、さらにカスタム化することができる。すなわち、異なる誤差がその誤差の重要度に依存して、他より長い時間の間LIFOバッファ内に存在することができる。
【0080】
図1および図2に示されている装置2内に含まれている触覚ユニットの一実施形態の詳細を図9〜図15に示す。救急員は自分の手を装置2の上に置いてCPRを実行する。図9に示されている本発明による装置の好ましい一実施形態の場合には、その装置は、正しく実行された各圧迫において圧迫が十分な深さに達した時にその救急員の手の上にたとえば、小さな小打撃を提供することによって、所望の圧迫深さを実行するように救急員に指令するためのフィードバックを提供する。
【0081】
図9、図10および図11を参照すると、フィードバック・ユニットは、装置2の内部に置かれていて、装置の端部において中心がずれていることが好ましいコイル22を含み、そのコイルは、その中央に配置されている磁性材料のコア23を挿入することができる中央の孔21を有する(図2a)。電流が印加されているときのコアおよびコイルの磁場の方向は、コアを中央の孔21から外へ動かすように選択されている(図2b)。これは以下により詳しく説明する。
【0082】
図2aおよび図2bから分かるように、巻型26の周りに線が巻かれてコイル22を生成し、それはまたそのコイルの中央位置を固定する。
【0083】
コア23には、使用者との接触を、より触覚的で検出し易くするために選択された材料の丸められた端部27が装備されている。これは任意の所望の材料であってよい。
【0084】
コア23の少なくとも1つの端部を鉄から作ることによって、その磁石からの磁力線がその鉄内で半径方向の分布に変更されるという更なる利点が提供される。これは磁場をコアの磁石の外側の比較的狭い領域に集中させ、その端部において磁力線がより好ましい方向/分布になるようにし、それ故、コイルからの電磁場とのより強力な相互作用を提供する。したがって、これはその効率を向上させる。この概念の更なる改善が図2cに示されており、この中で鉄の部分27a、27bが磁石の両端に追加されている。図2cにおいて、追加のコイル22bも加えられ、それを別に、あるいは同時に第1のコイル22aに対して制御し、磁気コアと相互作用するための、より一様な磁場を作ることができる。2つのコイル22a、22bの中を流れる電流を、たとえば、コアの1つの端部に対して吸引を起こさせ、そして網一方の端部の反発を起こさせるように反対の方向に流すことができる。
【0085】
図9から明らかなように、フィードバック・アクチュエータはセンサの中心から外れた場所に置かれることが好ましい。何故なら、長時間にわたってCPRを実行しているとき、手の中央に小打撃を感じるのが不快であることが試験によって示されているからである。
【0086】
装置2の上部カバーは、示されている実施形態においては柔らかい、および/または柔軟性のある材料から作られており、フィードバック・アクチュエータの打撃点の周りの領域においてカバー内に凹部が設けられ、この領域が中空であるようにしている(図3)。磁石のコアがそのカバーを叩くとき、カバーの限られた一部分だけが動いており、これによってその小打撃をより効果的にしている。代わりに、いくつかの材料を打撃点において取り除くことができるが、これは手に対する不快な、硬い小打撃を与える可能性がある。装置2は、孔21および磁気コア23を覆っているゴムの皮25またはそれと同様なものを有し、コア23がトリガされたときに皮25を通じて触覚的な小打撃を与えるようにすることが好ましい。
【0087】
この回路の原理は、たとえば、電磁銃の原理として周知であり、また、触覚フィードバック・ユニットは図12a、図12bおよび図13a、図13bを参照して概略的に説明され、一方、関連回路は図14および図15に記載されている。この解決方法の主な特徴は、構造が簡単で、それに関連するエネルギー消費に比較してフィードバックの効率が良いことである。何故なら、それは比較的低いエネルギーのパルスに対する応答としてコアに対して大きい運動量を提供するからである。図示されている例においては、コイルは巻線の向きが反時計方向(上から見た場合)になっており、磁性材料のコア23は正極が装置の底に向かって降りる向きに、および負極が上を向くように配置されている。装置が動作していない時、コアは装置のハウジング24上の下がった位置に乗っている(図13b参照)。
【0088】
図12aにおいて、フィードバック・ユニットは電気コイル22および、中央に接地されているコアを構成している強力な永久磁石23の磁力を利用する。このコイルの孔内に磁場が生成されると、フィードバック・ユニットはコイルの孔21から磁石23を追い出す。その磁場はコイルの巻線を流れる電流によって生成される。
【0089】
コイルおよびコアの機能を、図12a、図12bおよび図13a、図13bを参照して詳しく説明する。コイル22に電流が印加されると、磁石23と同じ方向の磁場が生成される。これは磁石を加速し、図13bに見られるように、救急員の手に向かって上に磁場から外へ移動させる。
【0090】
フィードバック・ユニットは、永久磁石23およびコイル22が図13aおよび図13bに示されているような向きになっていて、コイルを流れる電流がそのコイルに対してNおよびSによって示されている方向の磁場を発生する場合に、磁石がコイルから「発射」されるように機能する。その方向は電流が印加される前に永久磁石がどの程度オフセットされているかによって変わる。実際、磁石を完全に中央に置くことができた場合、それは動かずにじっとしていることができる。しかし、これは実際には実現できず、この場合、上に向かう方向に中央から僅かに外れている磁石23に対して支持体24を提供し、磁石の運動の方向があらかじめ定められているようにするのが便利である。磁石上の力は、磁石がギャップを離れるまでコイルの約半分程度上に上がってからかなり安定している(コイルによって生成される磁場が一定になっている場合)。ギャップの上部ではその力は急速に減少し、磁力は磁石に対して回転を加えようとする。
【0091】
磁石がコイルから加速されて出ていくので、磁場をコイル内で短時間だけ加え、磁石に十分な運動量を与えて装置の皮25を通じて触覚的運動が感知されるのにちょうど十分なだけの磁場を加えるのが、エネルギー効率が良い。
【0092】
好ましい実施形態においては、装置は救急員の手に対する方向が上向きである向きにおいて使用されるように設計されており、コアは、動かされた後、元の場所に落ちて戻るためにスプリングその他類似のものは不要である。次の圧迫および電子的パルスの可能な照射の前に、その装置のハウジングによって定義されている支持体24において重力が単純にそれを出発位置に戻す。スプリングなどの他の解決方法もある条件下では考えられるが、結果としてより複雑な触覚ユニットとなる。
【0093】
また、孔21上に皮のないある実施形態においては、その装置から磁石が落ちるのを止めるために、磁石またはコイルのハウジング上に突出した特徴的構造またはそれと類似の構造を提供することもできる。
【0094】
寸法、設計および線に関して各種コイルを設計することができる。コイルの設計においては次のパラメータが重要である。
【0095】
・サイズ
・電力
・複雑性
・価格
・信頼性
抵抗が小さく、インダクタンスが大きいコイルが多くの用途に対して望ましい。大きいインダクタンスは大きい磁場強度(Φ)と同義であることから大きいインダクタンスが望ましい。より大きいインダクタンスを得るには、より多くの巻線が必要である。抵抗をより小さくするには、その線の断面積がより広くなければならない。これによってインダクタンスに関してコイルがより大きくなる。巻型はできるだけ大きくするべきであり(CPRセンサにおいて使用するには20×13mmが実際的な寸法である)、そして巻線数および線の寸法の選択はその巻型のサイズに基づいて行われる必要がある。このことはそのコイルが設計によって設定されている制限に見合ってできるだけ最適であることを意味する。図15に示されている駆動回路によって、線のゲージおよび巻線数に関してより柔軟に選択することができる。
【0096】
例示としての実施形態においては、巻型26(図10b参照)の全体の高さは13mmである。線は巻型の6mmの高さの部分において巻かれるだけで、巻型の残りの部分はその磁石に対するガイダンスとして使用されている。
【0097】
コイルの下端を蓋(図示せず)によって閉じることができる。実用的な実施形態においては、蓋の中央片は直径が8mmであり、そのコイルのエアギャップ内に突き出て磁石23に対する支持体24を形成している。中央片の頂部には厚さ1mmのゴムが取り付けられている。そのゴムは、永久磁石がその出発位置に戻る時、可聴雑音を発生しないようにする。また、中央片は上記のように「放出力」を得るために必要な磁石のオフセットを提供する。この例示としての実施形態においてコイルを巻くために使用される線は、厚さ0.15〜0.18mmの標準のラッカー絶縁型銅線である。
【0098】
この例示としての実施形態において使用された永久磁石は強力なネオジム(N35)稀土類磁石である。このタイプの磁石は携帯電話装置の中のスピーカなどの、多くの装置において広く使用されるようになってきている。これらの磁石はその質量に比較して強力な磁場を有しているが、それらは機械的に壊れ易く、そして80℃以上の温度においては磁力が弱くなる。要求された仕様に依存して、他の磁石を使用することもできる。
【0099】
磁石23の頂部には、図2bに示されている磁石の頂部に示されているような、小打撃をより「集中させる」ためにドームがあることが好ましい。磁石は一体型に作られていることが好ましいが、ドームが鉄から作られている図27および図27aに示されているように、必要な特性によって変わるドームなどのある種の特徴的構造を別に作ることができる。
【0100】
図14および図15には、コイル22に結合されている電子回路が示されている。その回路、およびそれ故、フィードバック・アクチュエータの動作は処理手段によって制御される。
【0101】
図14および図15の電子回路参照。キャパシタ充電回路35がバッテリーから効率的にキャパシタ32を充電する。バッテリーの電圧は通常低い(3〜5V)が、キャパシタを高い電圧(通常、20〜50V)まで充電する必要がある。これはコイル22内により強力な磁場を発生し、したがって、フィードバック装置が作動されると、そこに置かれている磁石23をより強力に加速する。電流スイッチ34はコイル22を通って流れる電流を正しい時刻にオンにする。磁石23がコイルのギャップを過ぎて加速されたとき、電流スイッチはオフになる。
【0102】
より高度な回路が図15に示されており、この回路には、回路のエネルギー効率を改善するためにいくつかの構成要素が追加されている。
【0103】
図15においては、キャパシタ32はキャパシタ充電回路35によって充電される。正しい時点においてスイッチQ1およびQ3がオンにされる(スイッチQ2はオフ)。電流がコイル内で立ち上がる。電流が、コイルのギャップにおける最大磁場強度と同義である最大電流に達すると、Q1およびQ3がオフにされる。この直後にQ2がオンにされる。ここで、電流がコイルおよびQ2を通って流れ続ける。コイルの抵抗によって、あるいはコイル22の中の磁場によって加速されるときの永久磁石23へのエネルギー転送のいずれかによってエネルギーが消費されるにつれて電流が減少する。永久磁石がコイル22から外へ移動したとき、スイッチQ2がオフにされ、コイルの中の残っているエネルギーがD2およびD3を通してキャパシタに戻るように流れる。ダイオードD1はこの切換工程の間の過渡現象を防止することができる。
【0104】
この回路の主な利点は次の通りである。
【0105】
・最大磁場が確立されるまでエネルギーはキャパシタからのみ引き出される。
【0106】
・コイルの抵抗値が小さい場合、コイルのエネルギーは磁石の機械的運動に変換される。
【0107】
・コイル内に残っているエネルギーはキャパシタへ戻される。
【0108】
キャパシタ充電回路35は胸の各圧迫の間にキャパシタ32を完全に充電するように設計される。同時に、充電回路は、高いピーク電流に起因するバッテリー電力の損失を避けるために、ほとんど一定の速度でバッテリーから電流を引き出すように設計される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施のために圧迫ユニットを付けた人を示す概略図である。
【図2】本発明の実施のために圧迫および気道のアダプタを付けた人を示す概略図である。
【図3】本発明の実施のために電極が追加された圧迫および換気のユニットを付けた人を示す概略図である。
【図4】処理手段内の情報の一般化された流れを示す図である。
【図5】装置に対するシステム構成要素の概略図である。
【図6】その装置の代替実施形態を示す図である。
【図7】典型的な信号のフローチャートである。
【図8】典型的な加速度計信号のフローチャートである。
【図9】本発明による触覚フィードバック装置の斜視図である。
【図10a】図9の触覚フィードバック装置のフィードバック・ユニットを示す図である。
【図10b】図9の触覚フィードバック装置のフィードバック・ユニットを示す図である。
【図10c】図9の触覚フィードバック装置のフィードバック・ユニットを示す図である。
【図11】図9の装置内部のフィードバック・ユニットの位置を示す図である。
【図12a】本発明の一実施形態によるフィードバック・ユニットの概略図である。
【図12b】本発明の一実施形態によるフィードバック・ユニットの概略図である。
【図13a】本発明によるフィードバック・ユニットの原理を示す図である。
【図13b】本発明によるフィードバック・ユニットの原理を示す図である。
【図14】フィードバック・ユニットの回路の一例を示す図である。
【図15】本発明の好ましい実施形態によるフィードバック・ユニットの回路を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するためのシステムであって、圧迫測定手段を備え、
前記システムは、
換気測定手段と、
前記圧迫測定手段および前記換気測定手段に接続されている処理手段であって、前記圧迫および換気測定手段からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、その偏位の表示を提供することができる処理手段とを備え、
2つ以上の測定値が前記それぞれの基準範囲から外れていた場合、前記処理手段が優先順位に従って一連の表示を提供することができることを特徴とするシステム。
【請求項2】
音声、視覚および/または触覚出力の形式で偏位の表示を提供するフィードバック・ユニットを備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィードバック・ユニットが、中央の孔の周りに巻かれているコイルと、前記コイルの前記中央の孔内で動くことができるように配置されている磁気コアとを備え、前記コイルが前記磁気コアの運動を誘起するためにオンおよびオフに切り換えられる電源に接続されることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記換気測定手段が、換気率、1回換気量および/または膨張時間を測定することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記圧迫測定手段が、圧迫率および/または圧迫深さを測定することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記圧迫測定手段および/または前記換気測定手段および前記処理手段がハウジングに内蔵されていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記圧迫測定手段、前記フィードバック・ユニットおよび前記処理手段がハウジングに内蔵されていることを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記表示信号の優先順位付けが、前記処理手段に格納されている優先順位リストによって、前記偏位している測定値に対応するそれぞれの被測定量を比較することによって実行されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
救命状況においてまたは訓練状況において、心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するための方法であって、圧迫を測定するステップを含み、
前記方法は、
換気を測定するステップと、
前記圧迫および換気の測定からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値が前記それぞれの基準範囲から外れている場合、その偏位の表示を提供し、2つ以上の測定値が前記それぞれの基準範囲から外れている場合には、優先付けされた順位において一連の表示を提供するステップとをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記偏位の表示が、音声、視覚および/または触覚出力の形式でフィードバック・ユニットから与えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記換気測定が気道アダプタ内で実行されることを特徴とする、請求項9〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
圧迫測定のステップが、圧迫率および/または圧迫深さの測定を含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記圧迫測定が患者/マネキンの胸に接触している圧迫ユニットによって実行されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記圧迫を測定するための手段および/または前記換気を測定するための手段および前記処理手段が、ハウジングに内蔵されていることを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記圧迫を測定するための手段、前記フィードバック・ユニットおよび処理手段がハウジングに内蔵されていることを特徴とする、請求項10〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記表示信号を優先順位付けするステップが、前記偏位している測定値に対応する前記それぞれの被測定量を優先順位リストと比較することによって実行されることを特徴とする、請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
心肺蘇生の実行中に患者の胸の上に設置するための装置であって、少なくとも圧迫深さを測定する圧迫測定手段を備え、
前記装置は、
前記圧迫測定手段に接続されている処理手段であって、前記圧迫測定手段からの値を基準範囲と比較し、前記測定値が前記基準範囲内に入っている場合に、表示信号を提供することができる処理手段と、
前記処理手段からの表示信号に関連する触覚出力を提供するための前記処理手段に接続されているフィードバック・ユニットとをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
前記フィードバック・ユニットが、中央の孔の周りに巻かれたコイルと、前記コイルの中央の孔内で動くことができるように配置されている磁気コアとを備え、前記コイルが前記磁気コアの運動を誘起するためにオンおよびオフに切り換えられる電源に接続されることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記フィードバック・ユニットが前記装置の中央から外れて配置されることを特徴とする、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
カバーを備え、前記カバー内で前記フィードバック・ユニットの直上に凹部が設けられることを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記圧迫測定手段が圧迫率を測定することを特徴とする、請求項17〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
換気測定手段および/または他のフィードバック・ユニットなどの他の装置に接続するための接続手段を備えることを特徴とする、請求項17〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項1】
心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するためのシステムであって、圧迫測定手段を備え、
前記システムは、
換気測定手段と、
前記圧迫測定手段および前記換気測定手段に接続されている処理手段であって、前記圧迫および換気測定手段からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値がそれぞれの基準範囲から外れていた場合、その偏位の表示を提供することができる処理手段とを備え、
2つ以上の測定値が前記それぞれの基準範囲から外れていた場合、前記処理手段が優先順位に従って一連の表示を提供することができることを特徴とするシステム。
【請求項2】
音声、視覚および/または触覚出力の形式で偏位の表示を提供するフィードバック・ユニットを備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィードバック・ユニットが、中央の孔の周りに巻かれているコイルと、前記コイルの前記中央の孔内で動くことができるように配置されている磁気コアとを備え、前記コイルが前記磁気コアの運動を誘起するためにオンおよびオフに切り換えられる電源に接続されることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記換気測定手段が、換気率、1回換気量および/または膨張時間を測定することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記圧迫測定手段が、圧迫率および/または圧迫深さを測定することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記圧迫測定手段および/または前記換気測定手段および前記処理手段がハウジングに内蔵されていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記圧迫測定手段、前記フィードバック・ユニットおよび前記処理手段がハウジングに内蔵されていることを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記表示信号の優先順位付けが、前記処理手段に格納されている優先順位リストによって、前記偏位している測定値に対応するそれぞれの被測定量を比較することによって実行されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
救命状況においてまたは訓練状況において、心肺蘇生の実行中にパラメータを監視するための方法であって、圧迫を測定するステップを含み、
前記方法は、
換気を測定するステップと、
前記圧迫および換気の測定からの値をそれぞれの基準範囲と比較し、少なくとも1つの測定値が前記それぞれの基準範囲から外れている場合、その偏位の表示を提供し、2つ以上の測定値が前記それぞれの基準範囲から外れている場合には、優先付けされた順位において一連の表示を提供するステップとをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記偏位の表示が、音声、視覚および/または触覚出力の形式でフィードバック・ユニットから与えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記換気測定が気道アダプタ内で実行されることを特徴とする、請求項9〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
圧迫測定のステップが、圧迫率および/または圧迫深さの測定を含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記圧迫測定が患者/マネキンの胸に接触している圧迫ユニットによって実行されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記圧迫を測定するための手段および/または前記換気を測定するための手段および前記処理手段が、ハウジングに内蔵されていることを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記圧迫を測定するための手段、前記フィードバック・ユニットおよび処理手段がハウジングに内蔵されていることを特徴とする、請求項10〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記表示信号を優先順位付けするステップが、前記偏位している測定値に対応する前記それぞれの被測定量を優先順位リストと比較することによって実行されることを特徴とする、請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
心肺蘇生の実行中に患者の胸の上に設置するための装置であって、少なくとも圧迫深さを測定する圧迫測定手段を備え、
前記装置は、
前記圧迫測定手段に接続されている処理手段であって、前記圧迫測定手段からの値を基準範囲と比較し、前記測定値が前記基準範囲内に入っている場合に、表示信号を提供することができる処理手段と、
前記処理手段からの表示信号に関連する触覚出力を提供するための前記処理手段に接続されているフィードバック・ユニットとをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
前記フィードバック・ユニットが、中央の孔の周りに巻かれたコイルと、前記コイルの中央の孔内で動くことができるように配置されている磁気コアとを備え、前記コイルが前記磁気コアの運動を誘起するためにオンおよびオフに切り換えられる電源に接続されることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記フィードバック・ユニットが前記装置の中央から外れて配置されることを特徴とする、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
カバーを備え、前記カバー内で前記フィードバック・ユニットの直上に凹部が設けられることを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記圧迫測定手段が圧迫率を測定することを特徴とする、請求項17〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
換気測定手段および/または他のフィードバック・ユニットなどの他の装置に接続するための接続手段を備えることを特徴とする、請求項17〜21のいずれかに記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−529714(P2008−529714A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556100(P2007−556100)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/NO2006/000061
【国際公開番号】WO2006/088373
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507154664)レルダル メディカル アクティーゼルスカブ (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/NO2006/000061
【国際公開番号】WO2006/088373
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507154664)レルダル メディカル アクティーゼルスカブ (13)
【Fターム(参考)】
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