説明

散光式警告灯装置

【課題】状況に応じて緊急車両の存在を視覚的及び聴覚的に報知することを目的とする。
【解決手段】通常時の点灯パターン、緊急時の点灯パターン、及び停車時の点灯パターンの3種類の発光パターンで点灯可能なビーコンを設け、主サイレンスイッチがオンされてビーコンにバッテリ電圧が印加された際に、シフトポジション及び副サイレンスイッチの状態を判断し(100、102、110)、シフトポジションがPレンジ以外で且つ副サイレンスイッチがオフの場合に、通常時の点灯パターンでビーコンを点灯し(104)、Pレンジ且つ副サイレンスイッチがオンの場合及びPレンジ以外かつ副サイレンスイッチがオンの場合に、緊急時の点灯パターンでビーコンを点灯し(106)、Pレンジ且つ副サイレンスイッチがオフの場合に、停車時の点灯パターンでビーコンを点灯する(112)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散光式警告灯装置にかかり、特に、救急車等の緊急車両に搭載される散光式警告灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、救急車、パトカー、消防車等の緊急車両では、散光式警告灯によって視覚的に緊急車両であることを周囲に報知すると共に、サイレンやスピーカ等を用いて聴覚的に緊急車両であることを周囲に報知するようになっている。
【0003】
一方、特許文献1に記載の技術では、ユーザの選択に応じて複数の視覚パターンから1つを発生する緊急信号発生装置が提案されている。
【特許文献1】特許第2604927号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、交差点進入時の警報の方法については特に言及されていない。従って、一般的な緊急車両と同様に、サイレン音のみを変更して緊急車両の交差点進入を報知することになり、緊急車両の存在の視覚的報知方法に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、状況に応じて緊急車両の存在を視覚的及び聴覚的に報知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、緊急車両の存在を周囲に報知するための警告モードの種類を指示するための指示信号を出力する指示手段と、緊急車両の存在を周囲に報知するための複数種類の警告音を発生可能で、かつ入力された前記指示信号に基づいて前記警告モードに対応させて予め定めた種類の警告音を発生する警告音発生手段と、緊急車両の存在を周囲に報知するための複数種類の点灯パターンで点灯可能で、かつ入力された前記指示信号に基づいて前記警告モードに対応させて予め定めた種類の点灯パターンで点灯する警告灯と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、指示手段では、緊急車両の存在を報知するための警告モードの種類を指示するための指示信号が出力される。
【0008】
警告音発生手段は、緊急車両の存在を周囲へ報知するための複数種類の警告音が発生可能とされ、指示手段から出力される指示信号に基づいて警告モードに対応させて予め定めた種類の警告音を発生する。複数種類の警告音としては、例えば、一般的な緊急走行時に使用する警告音、停車時に使用する警告音、緊急走行でかつ交差点進入時等に使用する警告音等を適用することができる。
【0009】
警告灯は、緊急車両の存在を報知するための複数種類の点灯パターンで点灯可能とされ、指示手段から出力される指示信号に基づいて警告モードに対応させて予め定めた種類の点灯パターンで点灯する。複数種類の点灯パターンとしては、例えば、一般的な緊急走行時に使用する点灯パターン、停車時に使用する点灯パターン、緊急走行でかつ交差点進入時等に使用する点灯パターン等を適用することができる。
【0010】
すなわち、指示信号に応じて警告音と点灯パターンの組合わせを切り換えることができるので、指示信号に応じて警告音を異なる種類の警告音とし、これに伴って警告灯の点灯パターンを異なる種類の点灯パターンにすることができる。例えば、緊急走行時に所定の警告音かつ所定の点灯パターンで周囲に緊急車両の存在を報知して、交差点進入時に警告音及び点灯パターンを異なるものとすることができるので、緊急車両の存在を周囲(例えば、他車や歩行者等)に認知させ易くすることができ、特に他車からの追突等の回避を行うことができる。従って、状況に応じて緊急車両の存在を視覚的及び聴覚的に報知することができる。
【0011】
例えば、請求項2に記載の発明のように、指示手段が、緊急走行時に使用する第1警告モード、及び緊急走行かつ交差点進入時に使用する第2警告モードの少なくとも2種類の警告モードを指示するための指示信号を出力し、警告音発生手段が、第1警告モード時に使用する主サイレン及び前記第2警告モード時に使用する副サイレンを含むと共に、警告灯が、第1警告モードに対応させて予め定めた第1点灯パターン及び前記第2警告モードに対応しさせて予め定めた第2点灯パターンで点灯可能としてもよい。これによって、通常の緊急走行時と交差点進入時とで、異なる警告音及び点灯パターンとして、交差点進入時に周囲に緊急車両の存在を認知させ易くすることができる。
【0012】
また、この時、警告灯は、請求項3に記載の発明のように、複数のLED群の配列によって構成され、第1点灯パターンで点灯する場合に、車幅方向に沿って車両中心側から外側に向かってLED群を順次点灯させかつ、車両左右側でそれぞれ回転して見える点灯パターンで点灯し、第2点灯パターンで点灯する場合に、LED群を点滅させて扇状に点灯する点灯パターンで点灯するようにしてもよい。すなわち、通常の緊急走行時と、交差点進入時とで光の変化を付けることができると共に、第2点灯パターンで警告灯を点灯する場合には、扇状に点滅するので、広い視野を光らせることができ、周囲の建物や道路等からの反射で緊急車両の存在を周囲に報知することができる。
【0013】
なお、指示手段から出力される指示信号として、例えば、請求項4に記載の発明のように、副サイレンの発生を指示するための副サイレン指示手段、方向指示器、及び交差点情報を出力するナビゲーション装置の少なくとも1つから得られる交差点信号を含むようにし、警告音発生手段が、交差点信号が入力された場合に、副サイレンによる警告音を発生し、警告灯が、前記交差点信号が入力された場合に、第2点灯パターンで点灯するようにしてもよい。すなわち、第2警告モードへの移行を種々の態様から実施することが可能となる。また、複数の組合わせることにより操作忘れ等も確実に防止することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、指示手段が、停車時に使用する第3警告モードを更に含む少なくとも3種類の警告モードを指示するための指示信号を出力し、警告音発生手段が、第3警告モードを指示するための指示信号が入力された場合に、警告音の発生を停止すると共に、警告灯が、第3警告モードに対応させて予め定めた第3点灯パターンで更に点灯可能としてもよい。この場合には、警告灯は、請求項6に記載の発明のように、複数のLED群の配列によって構成され、第3点灯パターンで点灯する場合には、車幅方向に沿ってLED群を順次点灯させて車幅方向全域で回転して見える点灯パターンで点灯するようにしてもよい。これによって、周囲の住環境等に優しい点灯パターンとすることが可能となる。
【0015】
また、指示信号が第3警告モードを指示するための指示信号を含む場合には、請求項7に記載の発明のように、指示信号がシフトレバーのパーキングレンジを検出又はパーキングブレーキの作動を検出する検出手段から得られる停車信号を含んで、警告灯が、停車信号を検出した場合に、第3点灯パターンで点灯するようにしてもよい。これによって、停車時に第3点灯パターンで警告灯を点灯することが可能となる。
【0016】
一方、警告灯としては、請求項8に記載の発明のように、複数のLED光源を有する複数のLED群が車幅方向に沿って配列されて構成され、複数のLED群の配列が複数のLED群が車幅方向に沿って扇状に配列された扇配列と、複数のLED群が光軸が車両中心方向を向くように配列された中心向配列と、を含むようにしてもよい。すなわち、扇配列とされたLED群によって広い視野で警告灯を点灯することができ、中心向配列によって、斜め前方方向から見た光の照射範囲を広くすることができる。
【0017】
また、警告灯は、請求項9に記載の発明のように、複数のLED群の配列が車両上下方向に3段配列され、上下段が前記扇配列とされ、中段が前記中心向配列とされたものを適用するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、緊急車両の存在を周囲に報知するための警告モードの種類を指示するための指示信号に基づいて、警告モードに対応させて予め定めた種類の警告音を発生すると共に警告モードに対応させて予め定めた点灯パターンで警告灯を点灯することにより、指示信号に応じて警告音を異なる種類の警告音とし、これに伴って警告灯の点灯パターンを異なる種類の点灯パターンにすることができるので、状況に応じて緊急車両の存在を視覚的及び聴覚的に報知することができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置のビーコンが搭載された緊急車両としての救急車を示す正面図である。
【0021】
本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置は、救急車12の天井部分に警告灯としてのビーコン14が搭載されており、ビーコン14を所定の点灯パターンで点灯させることによって、緊急車両の存在を周囲に報知するようになっている。
【0022】
ビーコン14は、図2(A)に示すように、複数のLEDからなるLED群16を複数有しており、複数のLED群16の点灯を制御することによって所定の点灯パターンでの点灯が行われる。本実施の形態では、ビーコン14は、複数のLED群16が車幅方向に沿って配列されて構成され、複数のLED群の配列が複数のLED群が車幅方向に沿って扇状に配列された扇配列と、前記複数のLED群が光軸が車両中心方向を向くように配列された中心向配列と、を含む構成とされている。
【0023】
詳細には、ビーコン14に設けられた複数のLED群16は、図2(B)に示すように、配列されている。本実施の形態では、車幅方向に沿って配列された6個のLED群16の配列が車両上下方向に2段設けられると共に、該配列の間(中段)に、車幅方向に沿って配列された4個のLED群16の配列が設けられている。すなわち、車幅方向に沿って配列されたLED群16が、車両上下方向に3段設けられている。また、本実施の形態では、3段のうち、上下段のLED群16の配列が扇状に配列され、中段のLED群16の配列はLED群16の光軸が車両中心方向に向くように配列されている。
【0024】
このように複数のLED群16を配列することによって、車両斜め前方から見た場合に、大きな面で光らせることができる。例えば、図2(C)に示すように、車幅方向に沿って配列されたLED群16を3段ともに扇状に配列した場合に比べて、車両斜め前方から見た場合により大きな面で光らせることができる。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10の構成を示すブロック図である。
【0026】
本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10のビーコン14には、図3に示すように、複数のLED群16の点灯を制御する制御部15が設けられており、制御部15にはリレー18が接続されている。リレー18には、主サイレン20のオンオフを行うための主サイレンスイッチ22が接続され、主サイレン20を鳴らすAMP24が接続されており、AMP24の動作に応じてリレー18がオンすることによっ制御部15にバッテリ電圧(12V)が印加されるようになっている。なお、制御部15は、LEDの駆動回路を適用するようにしてもよいし、CPU等のマイクロコンピュータを適用するようにしてもよい。
【0027】
AMP24に接続された主サイレンスイッチ22は、主サイレン20による警告音及びビーコン14による点灯を行うためのスイッチと、ビーコン14による点灯のみを行うスイッチとを含み、何れか一方のスイッチがオンされた場合に、AMP24を介してリレー18がオンするようになっている。具体的には、主サイレンスイッチ22によって主サイレン20を鳴らすスイッチがオンされた場合には、AMP24によって主サイレン20が、例えば、「ピーポーピーポー」と鳴らされると共に、主サイレンスイッチ22がオンされたことを表す信号をリレー18に出力することによってリレー18がオンされて制御部15にバッテリ電圧が印加される。或いは、主サイレンスイッチ22によってビーコン14のみを点灯させるスイッチがオンされた場合には、AMP24から主サイレンスイッチ22がオンされたことを表す信号をリレー18に出力することによってリレー18がオンされて制御部15にバッテリ電圧が印加される。
【0028】
また、ビーコン14の制御部15には、シフトポジションスイッチ26が接続されており、シフトレバー26AがPレンジに入力された場合に、シフトポジションスイッチ26からパーキング信号が制御部15に入力されるようになっている。なお、本実施の形態では、シフトポジションスイッチ26のパーキング信号を検出して制御部15に入力するが、これに限るものではなく、例えば、パーキングブレーキの作動を検出するパーキングブレーキスイッチの信号を制御部15に入力するようにしてもよい。
【0029】
また、ビーコン14の制御部15には、副サイレン28の使用状態を表す副サイレン信号が入力される。副サイレン信号は、副サイレンスイッチ30が接続された副サイレン28を鳴らすための副サイレン用リレー32のオンオフ信号からなる。すなわち、副サイレンスイッチ30がオンされることによって副サイレン用リレー32がオンしてバッテリ電圧が副サイレン28に印加されて、副サイレン28が、例えば、「ウーウー」と鳴らされると、副サイレン用リレー32のオン信号(バッテリ電圧)が制御部15に入力されることによって副サイレン28の使用状態が入力される。
【0030】
そして、本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10のビーコン14は、複数種類の点灯パターンで点灯可能とされており、本実施の形態では、後述する通常時の点灯パターン、緊急時の点灯パターン、及び停車時の点灯パターンの3種類の点灯パターンで点灯する。通常時の点灯パターンでビーコン14を点灯する場合には、主サイレン20を同時に鳴らすことが可能とされており、緊急時には、副サイレン28を同時に鳴らすようになっており、停車時には、主サイレン20または副サイレン28を同時に鳴らすことが可能とされている。詳細には、ビーコン14の制御部15が、主サイレンスイッチ22、シフトポジションスイッチ26、及び副サイレンスイッチ30の状態に応じて点灯パターンを変更するようになっている。
【0031】
換言すれば、本実施の形態に係わる散光式警告灯装置10は、緊急車両の存在を報知する点灯パターンと警告音の組合わせからなる警告モードを複数種類有しており、通常の緊急走行時に使用する通常時の警告モード、交差点等を通過する際の緊急走行時に使用する緊急時の警告モード、停車時に使用する停車時の警告モード等の警告モードに応じて、点灯パターンと警告音の組合わせを切り換えるようになっている。
【0032】
続いて、本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10のビーコン14の点灯パターンについて説明する。
【0033】
本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10は、上述したように、緊急車両の存在を知らせるための通常時の点灯パターンと、交差点等を通過する際に緊急車両の存在を知らせるための緊急時の点灯パターンと、停車中等に緊急車両の存在を知らせるための停車時の点灯パターンの3種類の点灯パターンを有している。
【0034】
図4は、通常時の点灯パターンを説明するための図であり、各チャンネル(LED群16)の点灯タイミングを図5に示す。なお、図4中のチャンネル(CH)は、ビーコン14の各LED群16に対応し、車両前方から見て順番に番号を付したものである。
【0035】
通常時の点灯パターンは、車幅方向に沿って車両中心側から外側に向かってLED群16を順次点灯させて、車両左右側でそれぞれ回転して見える点灯パターンとされている。詳細には、図4に示すように、3CH、4CH、8CH、9CH、13CH、14CHのLED群16がA(ms)点灯、A(ms)消灯、A(ms)点灯、A(ms)消灯し、次に2CH、3CH、4CH、5CH、8CH、9CH、12CH、13CH、14CH、15CHのLED群16がA(ms)点灯、A(ms)消灯、A(ms)点灯、A(ms)消灯し、次に1CH、2CH、5CH、6CH、7CH、10CH、11CH、12CH、15CH、16CHのLED群16がA(ms)点灯、A(ms)消灯、A(ms)点灯、A(ms)消灯し、次に1CH、6CH、7CH、10CH、11CH、16CHがA(ms)点灯、A(ms)消灯、A(ms)点灯、A(ms)消灯する。そして、この繰り返しによって、ビーコン14の車両中心を境に左右でビーコン14が回転しているように点灯する。
【0036】
すなわち、各LED群16の点灯タイミングは、3CH、4CH、8CH、9CH、13CH、14ChのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図5(A)に示すタイミングとなり、2CH、5CH、12CH、15CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図5(B)に示すタイミングとなり、1CH、6CH、7CH、10CH、11CH、16CHが同一の点灯タイミングとなって図5(C)に示すタイミングとなる。
【0037】
図6は、緊急時の点灯パターンを説明するための図であり、各チャンネル(LED群16)の点灯タイミングを図7に示す。なお、図6中のチャンネル(CH)は、ビーコン14の各LED群16に対応し、車両前方から見て順番に番号を付したものである。
【0038】
緊急時の点灯パターンは、LED群16を点滅させて扇状に点灯する点灯パターンとされている。詳細には、図6に示すように、1〜16CHのビーコン14全てのLED群16をA(ms)点灯、B(ms)消灯、A(ms)点灯、B(ms)消灯し、次に3CH、4CH、8CH、9CH、13CH、14CHのLED群16をA(ms)点灯、B(ms)消灯、A(ms)点灯、B(ms)消灯する。そして、この繰り返しによって、ビーコン14が全体的に点滅を繰り返し、ビーコン14全体の点滅と一部の点滅の繰り返すように点灯する。
【0039】
すなわち、各LED群16の点灯タイミングは、1CH、2CH、5CH、6CH、7CH、10CH、11CH、12CH、15CH、16CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図7(A)に示すタイミングとなり、3CH、4CH、8CH、9CH、13CH、14CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図7(B)に示すタイミングとなる。
【0040】
図8は、停車時の点灯パターンを説明するための図であり、各チャンネル(LED群16)の点灯タイミングを図9、10に示す。なお、図8中のチャンネル(CH)は、ビーコン14の各LED群16に対応し、車両前方から見て順番に番号を付したものである。
【0041】
停車時の点灯パターンは、車幅方向に沿ってLED群16を順次点灯させて車幅方向全域で回転して見える点灯パターンとされている。詳細には、図8に示すように、1CH、7CH、11CHのLED群16、1CH、2CH、7CH、11CH、12CHのLED群16、2CH、3CH、8CH、12CH、13CHのLED群16、3CH、4CH、8CH、9CH、13CH、14CHのLED群16、4CH、5CH、9CH、14CH、15CHのLED群16、5CH、6CH、10CH、15CH、16CHのLED群16、6CH、10CH、16CHのLED群16を順次C(ms)ずつ点灯した後に、D(ms)消灯し、6CH、10CH、16CHのLED群16、5CH、6CH、10CH、15CH、16CHのLED群16、4CH、5CH、9CH、14CH、15CHのLED群16、3CH、4CH、8CH、9CH、13CH、14CHのLED群16、2CH、3CH、8CH、12CH、13CHのLED群16、1CH、2CH、7CH、11CH、12CHのLED群16、1CH、7CH、11CHのLED群16を順次C(ms)づつ点灯した後に、D(ms)消灯する。そして、この繰り返しによって、ビーコン14が通常時よりもゆっくり全体が回転しているように点灯する。
【0042】
すなわち、各LED群16の点灯タイミングは、1CH、7CH、11CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図9(A)に示すタイミングとなり、2CH、12CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図9(B)に示すタイミングとなり、3CH、8CH、13CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図9(C)に示すタイミングとなり、4CH、9CH、14CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図10(A)に示すタイミングとなり、5CH、15CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図10(B)に示すタイミングとなり、6CH、10CH、16CHのLED群16がそれぞれ同一の点灯タイミングとなって図10(C)に示すタイミングとなる。
【0043】
続いて、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10のビーコン14の制御部15の動作について説明する。
【0044】
図11は、本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10のビーコン14の制御部15で行われる動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0045】
主サイレンスイッチ22がオンされてビーコン14の制御部15にバッテリ電圧が印加されると、ステップ100では、シフトレバー26Aがパーキングレンジか否か判定される。該判定は、シフトレバー26Aがパーキングレンジに移動されることによってシフトポジションセンサ26からパーキング信号が出力されて制御部15に入力されたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ102へ移行し、肯定された場合にはステップ110へ移行する。
【0046】
ステップ102では、副サイレンスイッチ30がオンされたか否か判定される。該判定は副サイレンスイッチ30がオンされることによって副サイレン用リレー32がオンし、バッテリ電圧が制御部15に入力されたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ106へ移行する。
【0047】
ステップ104では、通常時の点灯パターンでビーコン14が点灯されてステップ108へ移行する。すなわち、パーキングレンジではなくかつ副サイレンスイッチ30がオフの場合には、ビーコン14の車両中心を境に左右でビーコン14が回転しているように点灯させて緊急車両の存在を周囲に報知すると共に、主サイレン20の警告音によって緊急車両の存在を周囲に報知する。これによって従来の救急車と同様に緊急車両の存在を報知することができる。なお、この時、主サイレンスイッチ22のビーコン14の点灯のみを行うスイッチがオンされている場合には、主サイレン20を鳴らさずにビーコン14の点灯のみが行われる。
【0048】
また、ステップ106では、緊急時の点灯パターンでビーコン14が点灯されてステップ108へ移行する。すなわち、パーキングレンジではなくかつ副サイレンスイッチ30がオンの場合には、ビーコン14全体の点滅と一部の点滅の繰り返すように点灯され、通常時よりも目立つような点灯パターンで点灯されると共に、副サイレン28によって緊急車両の存在を周囲に報知する。例えば、交差点等を通過する際に副サイレンスイッチ30をオンすることによって緊急時の点灯パターンでビーコン14が点灯すると共に、副サイレン28によって周囲に緊急車両の存在を報知することができる。これによって、従来の救急車とは異なり、交差点等を通過する際の緊急時には、異なる警告音を切り換えるだけではなく、点灯パターンも切り換えるので、交差点等を通過を周囲(他車両や歩行者等)に認知させ易くすることができる。また、特に他車両の追突等を回避することができる。さらに、ビーコン14の点灯パターンをビーコン14全体の点滅と一部の点滅の繰り返すように点灯させることにより、広い視野を光らせることができ、周囲の建物や道路等からの反射で緊急車両の存在を周囲に報知することができる。
【0049】
一方、ステップ100の判定が肯定されてステップ110へ移行すると、ステップ110でも、副サイレンスイッチ30がオンされたか否か判定される。該判定は副サイレンスイッチ30がオンされることによって副サイレン用リレー32がオンし、バッテリ電圧が制御部15に印加されたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ112へ移行し、肯定された場合には上述のステップ106へ移行する。
【0050】
ステップ112では、停車時の点灯パターンでビーコン14が点灯されてステップ108へ移行する。すなわち、パーキングレンジで副サイレンスイッチ30がオフの場合には、ビーコン14が通常時よりもゆっくり全体が回転しているように点灯すると共に、主サイレン20によって周囲に緊急車両の存在を報知することができる。これによって、停車時には、他の点灯パターンに比べて周囲の住環境等に優しい視覚パターンでビーコン14を光らせることができる。なお、この時、主サイレンスイッチ22のビーコン14による点灯のみを行うスイッチがオンされている場合には、主サイレン20を鳴らさずにビーコン14の点灯のみが行われる。
【0051】
そして、ステップ108では、主サイレンスイッチ22がオフされたか否か判定され、該判定が否定された場合には、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、ステップ108の判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0052】
このように、本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置10は、通常の緊急走行時に使用する通常時の警告モード、交差点等を通過する際の緊急時に使用する緊急時の警告モード、及び停車時に使用する停車時の警告モードを有し、警告モードの指示するための指示信号に基づいて、警告モードに対応する警告音を発生すると共に、警告モードに対応する点灯パターンでビーコン14を点灯するので、通常の緊急走行時、交差点等を通過する際の緊急走行時、停車時などの状況に応じて緊急車両の存在を視覚的及び聴覚的に報知することができる。
【0053】
なお、上記の実施の形態では、交差点等の通過する際の緊急時の点灯パターンとする場合には、ビーコン14の制御部15が副サイレン28の使用状態を検出することによって点灯パターンを切り換えるようにしたが、これに限るものではなく、この他に、例えば、方向指示器の方向指示器動作指示を表す操作信号やナビゲーション装置から得られる交差点情報を交差点信号として検出して、点灯パターンを切り換えるようにしてもよいし、これらを組合わせて使用するようにしてもよい。
【0054】
例えば、図12に示すように、方向指示器34及びナビゲーション装置36を副サイレン用リレー32に更に接続して、副サイレンスイッチ28による副サイレンの発生指示、方向指示器34による方向指示器動作指示、及びナビゲーション装置36から得られる交差点情報の少なくとも1つによって副サイレン用リレー32がオンとなる構成とすることによって、副サイレンスイッチ30の状態からだけではなく、方向指示器34の操作状態やナビゲーション装置36等から得られる情報から交差点を検出することができ、交差点を通過する際に容易に緊急時の点灯パターンにすることが可能となる。また、種々の態様から緊急時の点灯パターンにすることが可能であるので、操作忘れ等も確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置のビーコンが搭載された緊急車両としての救急車を示す正面図である。
【図2】(A)はビーコンのLED群を示す図であり、(B)はビーコンの複数のLED群の配列の一例を示す図であり、(C)は比較対象のLED群の配列を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置の構成を示すブロック図である。
【図4】通常時の点灯パターンを説明するための図である。
【図5】通常時の点灯パターンにおける各チャンネルの点灯タイミングを示す図であり、(A)は3、4、8、9、13、14CHの点灯タイミングを示し、(B)は2、5、12、15CHの点灯タイミングを示し、(C)は1、6、7、10、11、16CHの点灯タイミングを示す。
【図6】緊急時の点灯パターンを説明するための図である。
【図7】緊急時の点灯パターンにおける各チャンネルの点灯タイミングを示す図であり、(A)は1、2、5、6、7、10、11、12、15、16CHの点灯タイミングを示し、(B)は3、4、8、13、14CHの点灯タイミングを示す。
【図8】停車時の点灯パターンを説明するための図である。
【図9】停車時の点灯パターンにおける各チャンネルの点灯タイミングを示す図であり、(A)は2、7、11CHの点灯タイミングを示し、(B)は2、12CHの点灯タイミングを示し、(C)は3、8、13CHの点灯タイミングを示す。
【図10】停車時の点灯パターンにおける各チャンネルの点灯タイミングを示す図であり、(A)は4、9、14CHの点灯タイミングを示し、(B)は5、15CHの点灯タイミングを示し、(C)は6、10、16CHの点灯タイミングを示す。
【図11】本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置のビーコンの制御部で行われる動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係わる散光式警告灯装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
10 散光式警告灯装置
12 救急車
14 ビーコン
15 制御部
16 LED群
18 リレー
20 主サイレン
22 主サイレンスイッチ
24 AMP
26 シフトポジションスイッチ
28 副サイレン
30 副サイレンスイッチ
32 副サイレン用リレー
34 方向指示器
36 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急車両の存在を周囲に報知するための警告モードの種類を指示するための指示信号を出力する指示手段と、
緊急車両の存在を周囲に報知するための複数種類の警告音を発生可能で、かつ入力された前記指示信号に基づいて前記警告モードに対応させて予め定めた種類の警告音を発生する警告音発生手段と、
緊急車両の存在を周囲に報知するための複数種類の点灯パターンで点灯可能で、かつ入力された前記指示信号に基づいて前記警告モードに対応させて予め定めた種類の点灯パターンで点灯する警告灯と、
を備えた散光式警告灯装置。
【請求項2】
前記指示手段は、緊急走行時に使用する第1警告モード、及び緊急走行かつ交差点進入時に使用する第2警告モードを含む少なくとも2種類の前記警告モードを指示するための前記指示信号を出力し、前記警告音発生手段が、前記第1警告モード時に使用する主サイレン及び前記第2警告モード時に使用する副サイレンを含むと共に、前記警告灯が、前記第1警告モードに対応させて予め定めた第1点灯パターン及び前記第2警告モードに対応しさせて予め定めた第2点灯パターンで点灯可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の散光式警告灯装置。
【請求項3】
前記警告灯は、複数のLED群の配列によって構成され、前記第1点灯パターンで点灯する場合に、車幅方向に沿って車両中心側から外側に向かって前記LED群を順次点灯させて、車両左右側でそれぞれ回転して見える点灯パターンで点灯し、前記第2点灯パターンで点灯する場合に、前記LED群を点滅させて扇状に点灯する点灯パターンで点灯することを特徴とする請求項2に記載の散光式警告灯装置。
【請求項4】
前記指示信号が、前記副サイレンの発生を指示するための副サイレン指示手段、方向指示器、及び交差点情報を出力するナビゲーション装置の少なくとも1つから得られる交差点信号を含み、前記警告音発生手段は、前記交差点信号が入力された場合に、前記副サイレンによる警告音を発生し、前記警告灯は、前記交差点信号が入力された場合に、前記第2点灯パターンで点灯することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の散光式警告灯装置。
【請求項5】
前記指示手段は、停車時に使用する第3警告モードを更に含む少なくとも3種類の前記警告モードを指示するための指示信号を出力し、前記警告音発生手段が、前記第3警告モードを指示するための前記指示信号が入力された場合に、前記警告音の発生を停止すると共に、前記警告灯が、前記第3警告モードに対応させて予め定めた第3点灯パターンで更に点灯可能とされていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の散光式警告灯装置。
【請求項6】
前記警告灯は、複数のLED群の配列によって構成され、前記第3点灯パターンで点灯する場合には、車幅方向に沿って前記LED群を順次点灯させて車幅方向全域で回転して見える点灯パターンで点灯することを特徴とする請求項5に記載の散光式警告灯装置。
【請求項7】
前記指示信号が、シフトレバーのパーキングレンジを検出又はパーキングブレーキの作動を検出する検出手段から得られる停車信号を含み、前記警告音発生手段は、前記停車信号が入力された場合に、前記警告音の発生を停止し、前記警告灯が、前記停車信号が入力された場合に、前記第3点灯パターンで点灯することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の散光式警告灯装置。
【請求項8】
前記警告灯は、複数のLED光源を有する複数のLED群が車幅方向に沿って配列されて構成され、前記複数のLED群の配列が前記複数のLED群が車幅方向に沿って扇状に配列された扇配列と、前記複数のLED群が光軸が車両中心方向を向くように配列された中心向配列と、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の散光式警告灯装置。
【請求項9】
前記警告灯は、前記複数のLED群の配列が車両上下方向に3段配列され、上下段が前記扇配列とされ、中段が前記中心向配列とされていることを特徴とする請求項8に記載の散光式警告灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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