説明

整列供給装置

【課題】 汎用性が広く、小型で簡単な構造であって非整列ワークのバケットへの戻りを速くして作業能率の向上を図ることができる整列供給装置を提供する。
【解決手段】 下部が水平直線状を成す側壁と、側壁に向けて傾斜する底板を有する上部開放のバケットと、バケットの前記側璧下部に沿って配置された昇降可能な掻上板と、掻上板を昇降させる昇降装置と、前記側壁に沿って配置された整列レールと、レール加振機と、レールの上面に設けた選別手段と、前記整列レールと並列に且つワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させた平面を有するワーク戻し板を設け、ワーク戻し板に振動を加える手段を設ける。
また、前記掻上板が上昇して干渉する部分を避けて前記バケット側に延伸させた傾斜平面を有するワーク戻しシューターとして設け、シューターの先端に向けて流体を吹き付ける。
加えて、前記整列レールの前記掻上板に接する側のレールの角だけに非整列の切り欠き部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば機械部品などを整列状態にして次の工程に供給する整列供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の整列供給装置については、多く用いられているが、経済状態が厳しい最近は、顧客の要望として、安価で確実性の高い整列供給装置を開発して欲しいとの要請が多くある。また、自動車、電機、機械、薬品・医療、食品などの各種業界で数多くの整列供給装置が利用されている中で未だ、普及が十分でないのは整列供給装置の価格が高いことが採用のネックとなっている。
更に、現時点での整列供給装置の業界ではボウルフィーダーが主流であり、円周上での整列用アタッチメントを職人が手加工で製作しているために、整列供給装置の品質の不安定やコストが高い原因となっている。
従って、簡単な構造で安価な整列供給装置が市場で強く求められている。
【背景技術】
【0003】
従来から簡単な構造の掻上げ式の整列供給装置が存在したが、そのいずれもがワークが特定品、例えば段付き柱状体などに限定された単機能なものである。(特許文献1参照)
【0004】
または整列レールの一方に切り欠きを設けたもので、このものは、ワークの非整列のものが混在して搬送されてしまうと言う問題があった。(特許文献2参照)
【0005】
更に、上記の問題解決の改良をして特許公開され、有頭ワークに限定されたものに、垂直の案内部材の下方側に向かって低くなる傾斜底板を有するワーク貯留用のバケットと前記案内部材に沿って昇降する掻上板と前記案内部材に沿って前記掻上板の反対側に位置してバケットの外側まで延びた加振機付き整列搬送路と、大きく傾斜した部品戻し斜面を設けたもの(特許文献3参照)がある。
【0006】
前記特許文献3のものには以下のような多くの欠点や問題がある。
1) 有頭パーツに限定されているため、汎用性が狭い。
2) 整列したワークを掻上板の反対側に並べたり、または非整列品を高い所から落下 させ後で、それを拾い上げて循環させるために整列装置の高さとスペースを確保 しなければならず、装置全体が大型になる。
3) 戻し板のシュートの傾斜角度が30度以上必要であるため、バケットの深さを深 く必要として、掻上板の往復シリンダのストロークが長く必要となり、剛性の面 でも高価なシリンダが必要となる。故に装置全体のコスト高となる。
4) 構成する部品点数が多く構造的に複雑で故障し易く、製作価格も高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献1】 実開平5−68968
【特許文献2】 特公平7−5183
【特許文献3】 特許第2974640
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題を解決すると共に、多くの市場の要求に応えようとするもので、本発明は汎用性が広く、小型で簡単な構造であって非整列ワークのバケットへの戻りを速くして作業能率の向上を図ることができる整列供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
下部が水平直線状を成す側壁と、当該側壁に向けて傾斜する底板を有する上部開放のバケットと、当該バケットの前記側壁下部に沿って配置された、上端にてワークを掻上げる昇降可能な掻上板と、当該掻上板を昇降させる昇降装置と、前記側壁の上端外側に前記側壁に沿って配置されたワークの整列レールと、当該整列レールを加振してワークを前進させる加振機と、前記整列レールの上面に設けてワークを選別して非整列ワークを落下させる手段と、前記整列レールの掻上板を越えたワーク進行方向の所定位置で、前記整列レールの前記掻上板と接する側に整列レールと隣接して並列に且つワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させた平面を有するワーク戻し板を少なくとも一箇所設け、当該ワーク戻し板に振動を加える手段を設けることである。
【0009】
前記ワーク戻し板を、前記整列レールの内側に整列レールと並列に、ワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させるとともに、前記掻上板が上昇して干渉する部分を避けて前記バケット側に延伸させた平面を有するワーク戻しシューターとして設け、当該ワーク戻しシューターの先端に向けて流体を吹き付ける手段を設けると好ましい。
【0010】
更に、前記ワーク戻し板または前記ワーク戻しシューターへの振動伝達を止めて、下部が水平直線状を成す側壁と、当該側壁に向けて傾斜する底板を有する上部開放のバケットと、当該バケットの前記側壁下部に沿って配置された、上端にてワークを掻上げる昇降可能な掻上板と、当該掻上板を昇降させる昇降装置と、前記側壁の上端外側に前記側壁に沿って配置されたワークの整列レールと、当該整列レールを加振してワークを前進させる加振機と、前記整列レールの上面に設けてワークを選別して非整列ワークを落下させる手段と、前記整列レールの掻上板を越えたワーク進行方向の所定位置で前記整列レールの前記掻上板と接する側に整列レールと隣接して並列に且つワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させた平面を有するワーク戻し板または、前記整列レールの内側に整列レールと並列に、ワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させるとともに、前記掻上板が上昇して干渉する部分を避けて前記バケット側に延伸させた平面を有するワーク戻しシューターとして設け、当該ワーク戻しシューターまたは前記ワーク戻し板の先端に向けて流体を吹き付ける手段を設けることもできる。
【0011】
更に、前記それぞれの手段に加えて、前記整列レールの前記掻上板に接する側(バケット側)の角だけに、非整列のワークを落下させる略円弧状の切り欠き部を少なくとも一箇所設けると良い。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明の整列供給装置によれば、以下の多くの優れた効果を奏する。
請求項1の発明によれば、
1) 一台の装置で整列搬送と非整列のワークを戻し循環させる機能を併せ持ったもの で、ワークの供給動力源を小型な往復シリンダだけでよく、構造が簡単であり、 従来のボウルフィーダに比べて安価である。
2) 非整列ワークを僅かな傾斜角度の戻し板に加振動することによって、供給ワーク の貯留上面に戻すことができるのでワーク貯留バケットを浅くでき、装置全体が 小型なので省スペースが可能である。
3) 装置の整列レール(整列用トラフ)が容易に交換できるので形状の異なるワーク などを一つの整列供給装置で兼用することができる。
4) 装置の作動音は整列レール振動用の加振機だけなので低騒音である。
5) ワーク整列レールの搬送路面の磨耗が少ないので寿命が長く経済的である。
故に、特別な熟練を必要としないので誰でもが同等品質の製品を整列搬送することが可能となり、安定した品質と安価な製品を供給することができる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、ワークが流れやすい傾斜しているワーク戻しシューターへの振動と共に上流から下流の先端に向けて流体をワークに吹き付けることによって、
戻されるワークをバケットの中央部且つ掻上板の上端面付近に戻すことができ、再び掻上板の上端面に乗りやすく、即掻上げられるので、より速く整列し易い。
特に、ワークが小型で、プラスチックを主体とする軽量なものや、油などが付着したものには、素晴らしい効果が得られる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、前記ワーク戻し部材への振動伝達を止めて、ワーク戻しシューターやワーク戻し板の先端に向けて流体を吹き付ける手段を設けたことによって、
ワーク戻しシューターやワーク戻し板に充分な剛性を必要とせず、また、整列レールへの着脱、交換も容易にできるので、これらを各種にアレンジして、より汎用性を高めることができる。しかも、ワーク戻し部材への新たな振動源も必要としない。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、前記整列レールの前記掻上板に接する側のレールの角だけに、非整列のワークを落下させる円弧状の切り欠き部を設けたことによって、
ワークが整列レール上面を振動走行中に所定外姿勢のワーク即ち非整列ワークを脱落させて粗い選別をしてしまうので、整列供給の作業能率が向上され、また整列の精度も向上することができる。しかもレールの一角部だけを円弧状に切り欠いたために、ワークはレール上を途切れることがなく連続して円滑に流れ、従来案の部分的にレール全部を切り欠いた時のように、切り欠き部にワークが引っ掛かってしまう恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の整列供給装置の第1の実施例の正面図で、図2は同じく右側面図で、図3は主要部構成を示す拡大した部分平面図(a)と正面図(b)で、図4は本整列装置の作動原理の説明図で、図5は本整列装置のワークがボルトの場合の選別方法の説明図で、図6は本整列装置のワークがツバ付ナットの場合の選別方法の説明図である。
図の中の符号1はバケットで、2は掻上板、3はシリンダ、4は整列レール、5は加振機、6は選別ガイドであり、そして、7のワーク戻し板、とで主に構成されている。
【0017】
図1乃至図3で示すように、下部が水平直線状を成す略垂直な側壁11と、当該側璧11に向けて下方に傾斜する底板15を有する上部開放のバケット1と、当該バケット1の前記側壁11の下部に沿って配置された、上端にてワークWを掻上げる昇降可能な掻上板2と、当該掻上板2を往復昇降させる昇降装置であるシリンダ3と、前記側壁1の上端外側に前記側壁11に沿って配置された整列レール4と、当該整列レール4を加振してワークWを前進させる整列レール4と連結された加振機5と、前記整列レール4の上面に設けてワークWを選別して非整列ワークWを落下させる手段である選別ガイド6と、前記整列レール4の掻上板2を越えたワーク進行方向の所定位置で、前記整列レール4の前記掻上板2と接する側に整列レール4と隣接して並列に且つワークWの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度(約15度)低下して傾斜させた平面を有するワーク戻し板7を設け、当該ワーク戻し板7に振動を加える手段として、本実施例では図1乃至図3で示すように、前記整列レール4とワーク戻し板7が離れている場合には両者を接続して振動させるための連結部材8を設けている。
尚、作製上可能ならば、振動している整列レール4とワーク戻し板7を一体的に形成するか、両者を直接溶接などで接着するのが好ましい。
【0018】
前記バケット1は、整列前のワークWの所定量を貯留させるもの(ホッパーとも言われるもの)であって、下部が水平直線状を成す略垂直な側壁11と、当該側壁11に向けて下方に傾斜する底板15を有する上部開放で、周囲を壁面によって囲まれ、中にワークWを貯留することができるようになっていて、底板15の最下部の前記側壁11の内側に沿って掻上板2が通過するだけの窓が開いている。そして、バケット1は機台10に固定したスティ9によって所定の高さ・場所に支持されている。
図1および図2に示すように、一般的な形状は傾斜板を底板15とした箱状の容器であるが、掻上板2の案内基準となる側壁11だけ垂直な平面であれば、他の周壁は曲面でもよい。従って、垂直と水平面で軸に沿って四分割した横置き円筒体の垂直切断面に側壁11を設けた形状でもよい。
【0019】
前記掻上板2は上端面にワークWを搭載可能な板厚を有し、その上端面はバケット1の外側整列レール4の方向即ち底板15と同じ方向に低下して傾斜する傾斜面に形成され、上端面に掻上げられたワークWがバケット1に落下するのを阻止するとともに、最も上昇した位置でワークWが整列レール4に乗り移りやすいようにしている。また、掻上板2は側壁11の上端を越え、整列レール4上面を超えた位置からバケット1の底板15までの距離とを昇降往復するように支持アーム21を介してエアーのシリンダ3によって駆動される。このシリンダ3は図示しないコントローラで、昇降ストロークや動作速度とタイミングが制御されている。
【0020】
前記バケット1の側壁11の上端外側には、この側壁11に沿ってワーク整列用の整列レール4が設けられ、必要ならば図2のように整列レール4は軸を中心にレール面を傾斜させて、先端がバケット1の横幅を越えて整列されたワークWが供給されるところまで水平に延伸して配置されている。そして整列レール4には掻上げられて搭載されたワークWをその前方端に向けて搬送(前進)させるための振動を加える加振機5が整列レール取付台51を介して接続されている。この整列レール取付台51は4本のボルトで締め付けられているので、同じ装置でもってワークの種類や大きさ・形状に合わせて最適な整列レール4に簡単に交換することができるので、ワークWに応じた汎用性が広くなって経済的でもある。また、収納や運搬にも便利である。
また、整列レール4の外側(バケット1の反対側には、整列レール4に沿ってストッパプレート48(図2参照)を設けてワークWが外側に脱落しないようにしている。更に、整列レール4の上面には異種ワークや必要としない姿勢のワークW(非整列ワークWと言う)を落下させてバケット1内に戻す各種の選別ガイド6(図1、図5、図6参照)が設けられている。
【0021】
前記ワーク戻し板7は、本実施例においては、図1から図3に示すように、前記整列レール4の掻上板を越えたワーク進行方向の所定位置即ちバケット1のワーク進行方向側面の位置に、前記整列レール4の前記掻上板2と接する側に、前記整列レール4と平行に隣接して設けているが、前記整列レール4とワーク戻し板7が離れているので連結部材8を介して両者を溶接で接続している。そして、このワーク戻し板7は、ワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度(本実施例では約マイナス15度)低下して傾斜させた平面を有していて、開放口であるその先端がバケット1のワークWの貯留レベルより上にあって、全体を箱または樋枡状に形成して、整列レール4との連結部及びバケット1への開口部を除いた二辺は壁板75を取り付けてワークWが外に脱落しないように囲っている。
また、ワーク戻し板7は、前述の連結部材8によって、整列レール4と同じ振動を効率よく受けている。更に必要ならば、振動の伝達効率を向上したり、余分な異常振動を受けないために、このワーク戻し板7の剛性を上げるべく板厚を増したり、裏面に補強リブ71を追加する。また、場合によっては必要に応じて新たな別の加振機を設けてもよい。
【0022】
更に、本実施例では、ワーク戻し板7は、ワークの進行方向とは逆の方向に水平から約マイナス15度低下して傾斜させた平面であるが、前記整列レール4との隔たった方向(整列レール軸のx軸方向に対して垂直なz軸方向)への僅かな外側への傾斜例えば水平からマイナス2度からマイナス5度程度の角度を持たせてもよい。
ワークWの形状や種類によっては、こうした外側への傾斜のワーク戻し板7がバケット1への戻りが円滑な場合も考えられる。
【0023】
以下に本発明の全く新しい技術思想による作動原理を図4に基づいて説明する。
図4で示すように、本装置の最大のポイントは前記整列レール4と平行に配置した前記ワーク戻し板7の傾斜角度を水平からマイナス15〜マイナス20度とすることで、整列レール4から脱落された非整列のワークWをできる限りバケット1の貯留ワークWの上部位置から戻し入れるようにしていることである。
一般に、この程度(−15〜−20度)の傾斜角の板面では振動を与えないと、板上面のワークWは板面を滑り落ちることができなく、その位置に滞留して溜まってしまうものであるが、本発明は、このワーク戻し板7に整列レール4と同等な振動を加えることによって、ワークWは整列レール4上の流れとは反対の、戻し板7の上面を逆走することを十分な研究によってつきとめ、この新たな技術思想を活用したものである。この振動によれば、ワーク戻し板7のある程度の表面摩擦があっても、ワークWに多少の油などが付着していても問題なく、非整列ワークW2は傾斜した戻し板7の面を走行してバケット1の上部位置すなわち図示するH1レベルでバケット1内の貯留ワークWの上面に落下させて戻すことができるのである。もしできれば、図示するH2レベルのワーク貯留満杯状態の上からが好ましく、後述する別のワーク戻しシューターやその他のアタッチメントなどを用いれば、これも可能であると考えられる。
【0024】
本装置の更に詳細な説明と、図1と図2に基づいて、その作動を以下に説明する。
シリンダ3が下死点にある状態でバケット1に多数のワークWをまとめて投入した後、図示しないスタートスイッチを押すと、シリンダ3の往復昇降運動が作動して掻上板2を上昇させる。この時、掻上板2はバケット1の側壁11に沿って上昇し、上端面に貯留したままの不揃いなワークWを保持した状態でシリンダ3の上死点の位置に側壁11と並んで配置された整列レール4まで持ち上げることになる。そして掻上板2は元の位置であるバケット1の底まで下降して、その上にはバケット1内の貯留ワークWが乗り上げる。これを繰り返すことによって、最初に多数一括してバケット1に投入された貯留ワークWは順次掻き上げられる。その際、掻上板2の上端面はバケット1の外側に向かって低下する傾斜面であるので、上端面の上に保持されたワークWはバケット側への脱落がし難く、整列レール4の上面に移動しやすい。
【0025】
続いて整列レール4に載せられたワークWは、整列レール4は加振機5によって振動しているため、その振動を受けて整列レール4の前先端の方向に移動搬送される。こうして移動搬送途中、整列レール4の上にある選別ガイド6に差し掛かるとワークWは正しい姿勢にあるものはそのまま通過するが、不正な姿勢のものは横転したりして整列レール4から脱落してバケット1の中、またはワーク戻し板7の上に落下する。すなわち、整列レール4の掻上板幅長の前進方向先端位置に到達するまでに正しく整列できなかったワークWは、そのままバケット1内に脱落すか、その位置を超える前方整列レール4の延伸した部位での、ワーク戻し板7が設けられたところにおいて最後の選別ガイド6によって樋枡形のワーク戻し板7の上に落下する。そして、このワーク戻し板7は整列レール4と同等の振動があるので僅かな傾斜角度でもワークWは逆送してバケット1の高さ上部位置に滑り落ちて戻される。この結果、正しい姿勢で整列したワークWだけが整列レール4に乗って先端まで前進して整列状態で供給される。
【0026】
図3および図4に示すように、整列レール4はワークWが流れる方向に水平なレールに振動を与えることによって、ワークWを搬送しながら必要とする姿勢で整列して供給するもので、必要としない姿勢のワークW(非整列ワーク)は整列レール4から脱落させ、バケット1に戻し、再び掻きあげて整列レール4の上面に並べるのである。
図5はワークWがボルト形状の整列供給を示すもので、図5(a)では昇降する掻上板2で掻き上げられたボルトWは、掻上板2の上端面が、整列レール4側に傾斜(この傾斜角度は整列レール傾斜角以上に高角度にしておくと良い)しているので、整列レール4の上面に容易に乗り移る。続いて、ボルトWが頭部を上にして整列しやすいように整列レール4の断面の上面が傾斜している整列レール4の上に配置された選別ガイド6の奥深くにボルトWの頭部だけが掛かって振動で整列しながら搬送され、選別ガイド6が連続曲線で形成されて、選別ガイド6の面が次第に図5(b)のように整列レール4の端に寄ってくると、ワークWであるボルト頭部が整列レール4の角に落込んで引っ掛かり確実に整列される。この間に所定の姿勢になれなかったボルト(ワークW)は、整列レール4から脱落していくので、最後まで残ったボルトWだけが完全に整列して供給される。
【0027】
図6は、ワークWがツバ付ナットの場合であって、整列レール4はワークWによって異なり、先述のボルトWの場合より上面の傾斜角度は浅く、図6(a)のように整列レール4の上面の選別ガイド6は2段の形状で成り、奥の一段目はツバ押さえ61で、続いてナット上面から所定の隙間を有する二段目は上下方向以外の姿勢ナットの上下位置選別板62となっている。従って、振動で整列しながら搬送され、前記ツバ押さえ61と上下位置選別板62両者の条件を満たして、最後まで残ったツバ付ナットWだけが完全に整列して供給される。そして、連続曲線で形成された選別ガイド6が図6(b)のように次第に整列レール4の端に寄ってくると、ツバが上になったものや、その他所定の姿勢になれなかったツバ付ナット(ワークW)は、整列レール4の上から脱落していく。
尚、整列レール4はワークWに応じて最適なものに交換するので、図2に示す整列レール取付台51から容易にボルトにて分解組み立てができるようになっている。
【0028】
図7は第2の実施例の主要部を拡大した図3に対する平面図(a)と正面図(b)である。
図7で示すように、先述の第1の実施例におけるワーク戻し板7を、前記整列レール4の内側に整列レール4と並列に、ワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させるとともに、前記掻上板2が上昇して干渉する部分を避けて、前記バケット1側に延伸させた傾斜平面を有するワーク戻しシューター76として設け、当該ワーク戻しシューター76の先端に向けて流体である圧縮空気を吹き付ける手段としてエアーパイプ 78を設けたものである。
このワーク戻しシューター76は図7のように、根元を整列レール4に接続された略L文字形に形成した底板が傾斜した平面であり、その両側をシューター側壁761で所定の高さ囲まれた樋に似たもので、その下流の先端は掻上板2の手前、バケット1の中央部まで延びている。そして、エアーパイプ78は、ワーク戻しシューター76の中心軸上、且つ底板の延伸方向に略並行で先端をやや下向きにして設置され、この先端からコンプレッサー(図示しない)からの圧縮空気を吐出させて、ワークを押し流すように、このエアーパイプ78をパイプ支持板79に溶接固定して設けている。前記パイプ支持板79は取付ネジ77でバケット1の側壁に取り付けられていて、前記エアーパイプ78は横U文字形に曲げられて、パイプの塑性によって吐出口の位置を調整することができる。
従って、当該エアーパイプ78の先端であるエアーの吐出口を前記ワーク戻しシューター76の上流から下流に効率良く流すことができる。
エアーの吐出タイミングは、前記掻上板2が最下位置にある時に連動させると好い。
また、このワーク戻しシューター76の底板表面を円滑材でコーティングしておくと、摩擦係数が低下してワークWが滑り易くなって好ましい。
【0029】
こうすることによって、圧縮空気の流れの勢いで図4の想像線や図8で示すように、戻されるワークWをバケット1の中央部且つ掻上板2の上端面付近に戻すことができ、そのまま再度掻き上げられて再び選別されるので能率良く整列供給することができる。
また、戻されたワークWがバケット1の片隅一箇所に溜まらないので、ワークWが平均的に保たれて、順次前記掻上板2に平均的に乗るので好ましい。
【0030】
図8は第3の実施例の主要部を拡大した斜視図である。
図8で示すように、前記ワーク戻し部材への振動伝達を止めて、ワーク戻しシューター76の先端に向けて流体を吹き付ける手段を設けたものである。
故に、ワーク戻しシューター76は整列レール4に固着する必要がないので、整列レール4との隣接した適宜の場所に簡単に取付ネジ77で取り付けたり、場合によっては整列レール4との隙間をとることもできる。そして、ワーク戻し板に充分な剛性を必要とせず、また、整列レールへの着脱、交換も容易にできるので、これらを各種にアレンジして、より汎用性を高めることができる。
しかも、ワーク戻し部材への新たな振動源も必要としない。
【0031】
図9は第4の実施例の主要部で、図3と同様な平面図(a)と正面図(b)である。
図9では、先述のワーク戻し板の場合において示しており、前記整列レールの前記掻上板に接する側(バケット側)の角だけに、非整列のワークを落下させる略円弧状の切り欠き部を設けたものである。
【0032】
図9に示すように、前記整列レール4の前記掻上板2に接する側即ちバケット1側のレールの角だけを円弧状または図のように円弧中央部を平らにした皿状にして、切り欠き部42を整列レール4の前方部のワーク戻し板7との接する場所と、整列レール4の中央部の二箇所に設けている。いずれも、Y−Y断面図で示すように、整列レール4の断面の切り欠き部42の向かい側の上端の角と、手前側の切り欠き部42の下端の角を残すように切り欠いている。従って、ワークWが進行するレール辺は連続していることになる。
この切り欠き部42の形状を変化(上面を多く欠き、側面を少なく欠くこと)させたり、切り欠き部42の数を増す、又位置を変えると、より効果的である。
【0033】
こうすることによって、所定外の姿勢のワークWを早めに落下して粗い選別をさせるので、作業能率と整列精度が極めて向上することができる。特に整列レール4の上面、側面ともに対辺角を残した円弧状または皿形状にした切り欠き部42を設けたので、レール上面では常にレールの角が途切れなく当たっていてワークWの流れ(走行)に支障しないことや、非整列ワークWがバケット1内に脱落し易いガイドにもなっている。
【0034】
以上に述べたように、本発明の整列供給装置の実施の形態は、現時点での発明の最も好ましい形態を示すものであり、本発明はこれに限定されない。
発明の趣旨を逸脱しない範囲においての変化も、この発明に含むものとする。
例えば、バケット1の底板が直線傾斜であるものを、円弧状の曲線板とすることや、側璧1を掻上板とともに所定角度傾斜させることや、掻上板を昇降させる手段を機械式(クランク機構またはラックとピニオン)や油圧シリンダなどにすることである。
また、掻上板の上端面にワーク幅等に合わせた溝や凹凸を設けて、掻き上げながら一次選別をさせて、能率を上げることも考えられる。
また、ワーク戻し板7や戻しシューター76は、バケット1の外側又は内側いずれにも設けることができるものとする。
更に、前記ワーク戻し板7の傾斜角度を水平から略マイナス10〜マイナス25度とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の整列供給装置の正面図である。
【図2】本発明の整列供給装置の側面図である。
【図3】本発明の主要部構成を示す拡大した平面図(a)と正面図(b)である。
【図4】本発明の整列供給装置の作動原理を示す概略説明図である。
【図5】本発明の整列供給装置のワークがボルトの場合の選別方法の説明図である。
【図6】本発明の整列供給装置のワークがツバ付ナットの場合の選別方法の説明図である。
【図7】図3に対する第2の実施例の平面図(a)と正面図(b)である。
【図8】第3の実施例の主要部の拡大斜視図である。
【図9】図3に対する第4の実施例の平面図(a)と正面図(b)である。
【符号の説明】
【0036】
1 バケット 11 側壁 15 底板
2 掻上板 21 支持アーム
3 シリンダ
4 整列レール 42 切り欠き部 48 ストッパプレート
5 加振機 51 整列レール取付台
6 選別ガイド 61 ツバ押さえ 62 上下位置選別板
7 ワーク戻し板 71 補強リブ 75 壁板
76 ワーク戻しシューター 761 シューター側壁
77 取付ネジ
78 エアーパイプ 79 パイプ支持板
8 連結部材
9 スティ
10 機台
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部が水平直線状を成す側壁と、当該側壁に向けて傾斜する底板を有する上部開放のバケットと、当該バケットの前記側壁下部に沿って配置された、上端にてワークを掻上げる昇降可能な掻上板と、当該掻上板を昇降させる昇降装置と、前記側壁の上端外側に前記側壁に沿って配置されたワークの整列レールと、当該整列レールを加振してワークを前進させる加振機と、前記整列レールの上面に設けてワークを選別して非整列ワークを落下させる手段と、前記整列レールの掻上板を越えたワーク進行方向の所定位置で、前記整列レールの前記掻上板と接する側に整列レールと隣接して並列に且つワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させた平面を有するワーク戻し板を少なくとも一箇所設け、当該ワーク戻し板に振動を加える手段を設けることを特徴とした整列供給装置。
【請求項2】
前記ワーク戻し板を、前記整列レールの内側に整列レールと並列に、ワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させるとともに、前記掻上板が上昇して干渉する部分を避けて前記バケット側に延伸させた傾斜平面を有するワーク戻しシューターとして設け、当該ワーク戻しシューターの先端に向けて流体を吹き付ける手段を設けた請求項1に記載する整列供給装置。
【請求項3】
下部が水平直線状を成す側壁と、当該側壁に向けて傾斜する底板を有する上部開放のバケットと、当該バケットの前記側壁下部に沿って配置された、上端にてワークを掻上げる昇降可能な掻上板と、当該掻上板を昇降させる昇降装置と、前記側壁の上端外側に前記側壁に沿って配置されたワークの整列レールと、当該整列レールを加振してワークを前進させる加振機と、前記整列レールの上面に設けてワークを選別して非整列ワークを落下させる手段と、前記整列レールの掻上板を越えたワーク進行方向の所定位置で、前記整列レールの前記掻上板と接する側に整列レールと隣接して並列に且つワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させた平面を有するワーク戻し板または、前記整列レールの内側に整列レールと並列に、ワークの進行方向とは逆の方向に水平から所定角度低下して傾斜させるとともに、前記掻上板が上昇して干渉する部分を避けて前記バケット側に延伸させた平面を有するワーク戻しシューターとして設け、当該ワーク戻しシューターまたは前記ワーク戻し板の先端に向けて流体を吹き付ける手段を設けた整列供給装置。
【請求項4】
前記整列レールの前記掻上板に接する側の角だけに、非整列のワークを落下させる略円弧状の切り欠き部を少なくとも一箇所設けた請求項1乃至請求項3に記載する整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−116563(P2011−116563A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256291(P2010−256291)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(501353535)
【Fターム(参考)】