説明

整地装置付きの苗移植機

【課題】ロータなどからなる整地装置で均平化した圃場の泥を減少させることない苗移植機を提供することである。
【解決手段】走行車体2の後部に昇降自在に設けた苗植付部4を設け、苗植付部4に対して昇降自在にロータ27を設け、後輪11の後方位置の一部にロータ27が設置されていない領域を設けている。そのため後輪11により圃場面から排除された泥水がロータ27が設置されていない領域から後ろに向けて流出可能となり、苗移植機の機体側方から泥が排出しないので、圃場面を荒らさない効果があり、特に高速運転時に効果が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施肥装置や薬剤散布装置等の粉粒体繰出し装置を備えた整地装置付きの苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
フロート付きの苗植付装置を備えた苗移植機(田植機ということがある)において、苗植付装置による苗植付の直前に圃場を均平化するための整地装置(以下、ロータということがある)を備えた構成が知られている。
なお、本明細書では苗移植機の前進方向を前側、後退方向を後側といい、前進方向に向いて左右方向をそれぞれ左側、右側ということにする。
【特許文献1】特開平6−125617号公報
【特許文献2】特許第3592682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示された苗移植機は、苗植付装置を油圧シリンダにより昇降させ、該苗植付装置の前方に圃場を均平化するためのロータを備えている。
前記ロータは苗移植機の後輪の後方位置を含めた左右方向全体に配置されているため、後輪で排斥された圃場の泥がロータで側方に流れ易く、隣接条に泥押ししやすかった。
そこで、本発明の課題は、ロータなどからなる整地装置で均平化した圃場の泥を減少させることない苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、前輪(10)と後輪(11)を備えた走行車体(2)の後部に昇降自在に設けた苗植付部(4)と、該苗植付部(4)に対して昇降自在に設けた整地装置(27)と、後輪(11)の後方位置の一部に設けた、整地装置(27)が設置されていない領域とを備えた苗移植機である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によれば、後輪(11)により圃場面から排除された泥水が整地装置(27)が設置されていない領域から後ろに向けて流出可能となり、苗移植機の機体側方から泥が排出しないので、泥押しを防止できる。特に高速運転時に効果が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した施肥装置付き7条植え乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0007】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0008】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0009】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0010】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0011】
苗植付部4は7条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ17等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動がポテンショメータからなる迎角制御センサ57(図5)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブ79(図5)を切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0012】
苗植付部4の昇降感度の変更幅の調整用の制御ブロック図の図6(a)に示すコントローラ100の感度調整ノブ54により、上記迎角制御センサ57の制御目標の設定変更で変える。前記感度の変更幅(図6(b)に示す車速に対する感度補正直線の傾斜角度を変更することで行う)は制御装置(コントローラ)100で設定可能な構成にする。苗植付部4の昇降感度の変更幅の調整は車速に対する感度補正直線の傾斜角度を変更することで行う。すなわち、後輪回転センサ53から得られる車速情報に応じて車速が速いほど、例えば操縦席に設けた最大感度調節ノブ54を鈍感側(圃場面の硬い側)へ変える。
【0013】
また、図1等に示す施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。電動モータ63で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0014】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0015】
図3の側面図と図4の背面図にロータ支持構造の要部を示し、図5にロータ27とフロート55,56と苗植付装置52部分の要部平面図を示す。
ロータ支持構造には、苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられている。該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(27a,27b)の駆動軸70(70a,70b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
【0016】
図5に示すように、フロート55,56との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にあるロータ27bはサイドフロート56の前方にあるロータ27aより前方に配置されている。そのためロータ27aの駆動軸70aへの動力は後輪11のギアケース18内のギアから自在継手72等を介して伝達され、ロータ27bの駆動軸70bは両方のロータ27a,27aの駆動軸70a,70aの車体内側の端部からそれぞれ動力が伝達される左右一対のチェーンケース73,73内の一対のチェーン(図示せず)から動力伝達される。
【0017】
ロータ27bの駆動軸70bは左右一対のチェーンケース73,73を介して支持されているだけなので、チェーンケース73,73の補強のために左右一対のチェーンケース73,73を橋渡しする補強部材74が設けられている。
また、ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
【0018】
該一対のリンク部材76,77は梁部材66に一端部が固着支持された第一リンク部材76と該第一リンク76の他端部に一端が回動自在に連結した第二リンク部材77からなり、該第二リンク部材77の他端部と補強部材74に回動自在に支持された取付片74aとの間に前記スプリング78が接続している。
【0019】
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向(図4の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動する。該突出部66aの前記回動により第一リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ27bを上方に上げることができる。ロータ27bを上方に移動させると、駆動軸70bと駆動軸70aを介してロータ27aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
【0020】
また、梁部材66にはクラッチレバーを兼ねるロータ収納用レバー84が固着しており、該レバー84を矢印T方向(図3)に回動すると梁部材66の回動に連動して支持アーム67が同じく矢印T方向に回動する。該支持アーム67の矢印T方向への回動で該ロータ支持フレーム68が上方に移動するので、ロータ27a,27bを収納位置、すなわち苗載台51の裏面側に収納状態となるように移動させることができる。
【0021】
本実施例ではロータ上下位置調節レバー81の標準位置で圃場面より40mmの高さにあるロータ27a,27bを図4の矢印S方向への回動で標準位置より最大15mm高くでき、図4の矢印S方向の反対方向への回動で標準位置より最大15mm低くできるように設定している。
【0022】
本実施例では後輪11の後方位置の一部において、整地用のロータ27a、27bが配置されない欠如域を設けている。このようなロータ27a、27bの配置により、後輪11により排斥される圃場の泥がロータ27a、27bに掛からないので前記泥がロータ27a、27bの前記欠如域から後方に流れ易くなる。
【0023】
こうして後輪11から発生する泥水流を良好に後方へ排出でき、側方への泥水流を抑えることができる。特に高速運転時に効果が大きい。
また、サイドフロート56は隣接位置にあるサイドフロート56と入れ替え可能にしているので、サイドフロート56を入れ替えた後でも車輪11の後方にサイドフロート56があることになる。
【0024】
センタフロート55の両方にそれぞれサイドのロータ27a、27aを2組配置し、軸受87を支持部材86とロータ支持フレーム68で支持し、ロータ上下調節レバー81によるロータ27a、27bの上下調節時に、一対のロータ支持フレーム68、68でセンタフロート55の両サイドにあるそれぞれ2組のローラ27a及びセンターフロート55の前方にあるロータ27bを上下させる。
センタフロート55の両サイドにある2組のロータ27a、27aを、各軸受87、87と支持部材86を用いてロータ支持フレーム68で支持するのでロータ27a、27aが剛性にある支持構造で支持できる。
【0025】
また、ロータ支持フレーム68とロータ27aの駆動軸70aの交点部分にある軸受87に隣接した駆動軸70上のロータ27aが設置されていない部分にはロータ27aの谷径にほぼ等しい径を有するカラー69を設ける。
カラー69を設けることにより、軸受87のセットボルト(図示せず)に藁等が引掛かるのを防止すると共にカラー69の外径で圃場にできた凸部を押しならす効果も有する。
【0026】
また、本実施例の苗移植機は、次のような自動制御機能を備えている。
先ず、マーカ制御で次のような機能がある。すなわち、次回の苗植付位置の先導用に用いる苗移植機の左右に設ける一対のマーカ17、17のどちら側を使用するか(圃場面に下ろすか)を決定する際には旋回する側の前輪10又は後輪11の所定時間内の回転数に対応する車輪回転パルスが小さいので、車輪回転パルスに従って左右いずれかのマーカ17を作動させる。しかし、ときには反対側のマーカ17が作動することがあり得るので、車輪回転パルスは苗移植機が前進中である時だけカウントして、後進時にはカウントしないように設定する。
【0027】
例えば、右旋回中には左マーカ17を圃場に下ろすことができる。しかし旋回中に機体がバックに入ると左右後輪11、11の回転数がマイナスとなり、前記車輪の回転数が互いに似た値になってくるので、旋回制御が難しくなる。そこで機体が旋回中にバックに入ると、後輪11、11の回転数をカウントしない。
【0028】
この場合は、図7(a)に示すフローチャートで示す制御が行われる。
また、図7(b)に示すフローチャートにあるように、マーカ17の作動ができない状態、すなわちマーカ17を「切」とした場合には、苗植付部4が自動的に上昇する機構が作動しないようにする。
【0029】
これは、畦際で苗植付部4が自動上昇すると畦に衝突するおそれがあるので、このような事態を防止するために畦際でマーカ17を「切」とした場合には苗植付部4が自動的に上昇しないようにするためである。
なお、マーカ17が「切」でない場合には、ハンドル切れ角が所定角度以上になると苗植付部4を自動的に上昇させる制御を行う。これを苗植付部4の自動上昇機能ということにする。
【0030】
さらに、本実施例の苗移植機は、機体の左右方向の傾斜角度に応じてマーカ作動制御を行う機能を備えている。
苗植付部4に設けた苗植付部の左右ローリングセンサ63(図6(a))が苗植付部4の略水平状態を検出し、かつ迎角制御センサ57がセンタフロート55が接地状態であることを検知したことを条件とし(このとき機体の左右方向の傾斜角度が不感帯幅0.2度とする)、この条件を満たすときは苗植付部4が浮き上がっていないため、左右ローリングセンサ63からの信号に基づきマーカ作動用のモータ64を動かす。
また、線引きマーカ17の作動タイミングが早すぎると、苗植付部4の下げ時にマーカ17を引っ掛けるおそれがあるため、苗植付部4が接地してからマーカ17を作動させる。
【0031】
本実施例の苗移植機は、苗植付部4の植付クラッチ(図示せず)が「入り」から一定距離経たないと苗植付部4の自動上昇機能が作動しない制御機能を備えている。しかしこの制御機能があると、機体の旋回手前で苗補給等で一度苗植付部4を上げてしまうと、次に苗植付部4を下げて植付クラッチ「入り」にした状態で少し前進した後、旋回しようとしても、前記一定距離の走行をしていないので、旋回時に苗植付部4がリフトしないまま回してしまう不具合がある。
【0032】
そこで、一定距離移動しないと苗植付部4の自動上昇機能しない制御は自動で旋回して植付クラッチ「入り」にした時だけ有効とし、手動で植付クラッチ「入り」にした時は一定距離移動しないと苗植付部4の自動上昇機能が作動しないという条件は適用しないように制御することで、前記不具合が解消できる(図7(c))。
【0033】
さらに、本苗移植機には肥料搬送用のブロア58を設けているが、肥料散布の不具合を無くすために、本苗移植機は次のような制御ができる。
すなわち、ブロア58が作動しないときには操縦席にある表示部の肥料詰まりランプ80(図6(a))を点灯させることで、ブロア58を停止させたことを忘れてしまい、肥料が圃場面に散布されることがある。
そのような不具合を無くすためにブロア58が作動してないときには肥料詰まりランプ80を点灯させて、肥料搬送のトラブル発生を素早く発見できるようにしている。
【0034】
さらに、本苗移植機には次に説明する油圧ロック継続時は昇降操作をキャンセルする機能がある。
本苗移植機には苗植付部4の下降を規制するため、油圧ロック(油圧ロックレバーは座席の右側後寄りの位置にある)を作動させて苗植付部4を所定の高さに維持する機能を備えているが、苗植付部4の高さ調節をするときすぐに手動で油圧ロックを解除する場合は良いが、時間が経過した後に油圧ロックを解除したら、苗植付部4が上下方向のどちら側に動くか忘れている場合がある。
【0035】
油圧ロック状態が15秒以上継続したときは、苗植付部4の昇降操作をキャンセルし、油圧ロックを解除しても昇降しないように昇降用油圧バルブを中立に戻す。このとき、油圧ロックレバーも中立に戻り、油圧ロックレバーセンサはOFFとなる。苗植付部4を昇降させるためには、再度、苗植付部昇降スイッチで苗植付部4の昇降操作を行う(下げ操作の後、油圧ロックを解除した時にフロートが接地している場合を除く)。この制御フローを図8に示す。
【0036】
本実施例の苗移植機に図9(a)の正面図と図9(b)の左側面図に示すように操縦部にサンバイザ93を設ける場合にはサンバイザ支柱部94に苗枠95のステー96を設けることができる。
サンバイザ支柱部94に苗枠95のステー96を設けると、苗枠取付部を新たに設ける必要がなく、部品点数削減、重量低減効果がある。さらにデザイン性が良く、サンバイザ支柱部94が苗枠ステー96と同位置にあるので作業性も向上する。
【0037】
また、図9(a)の網目線部で示すスペース(フロア上のスペース)は苗枠ステー96が設置されないスペースであるので、このスペースでの作業がし易くなり、また苗枠95を前方に回動するための回動軸97をサンバイザ支柱部の基部に設けることで、苗枠95の取付の自由度がある。
またサンバイザ93の上下移動用のリンク機構99の回動部99aより下方に苗枠95を固定することができるのでサンバイザ93が上下移動して、その取り付け高さが変っても苗枠95の位置が一定なので作業しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は田植機の苗植付部を簡易な構成とすることができ利用可能が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を用いた一実施例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した施肥装置付き7条植え乗用型田植機の側面図である。
【図2】図1の乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1のロータ支持構造の要部側面図である。
【図4】図1のロータ支持構造の要部背面図である。
【図5】図1のロータとフロートと苗植付装置部分の要部平面図である。
【図6】図1の迎角制御センサの昇降感度の変更幅の調整用の制御ブロック図を図6(a)に示し、車速に対する感度補正直線の傾斜角度を図6(b)に示す。
【図7】図1の乗用型田植機の線引きマーカ制御のフローチャートを図7(a)に、線引きマーカを「切」とした場合の苗植付部の自動上昇機能制御のフローチャートを図7(b)に、手動旋回時の苗植付部の自動上昇機能制御のフローチャートを図7(c)にそれぞれ示す。
【図8】図1の乗用型田植機の油圧ロック継続時は昇降操作をキャンセルする機能を示す。
【図9】図1の乗用型田植機の正面図を図9(a)に示し、左側面図を図9(b)に示す。
【符号の説明】
【0040】
1 施肥装置付き7条植え乗用型田植機 2 走行車体
3 昇降リンク装置 4 苗植付部
5 粉粒体繰出し装置(施肥装置) 10 前輪
11 後輪 12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース 15 メインフレーム
17 線引きマーカ 18 後輪ギヤケース
20 エンジン 21 ベルト伝動装置
23 HST 25 植付クラッチケース
26 植付伝動軸 27(27a,27b) ロータ
28 施肥伝動機構 30 エンジンカバー
31 座席 32 フロントカバー
34 ハンドル 35 フロアステップ
36 リヤステップ 38 予備苗載台
40 上リンク 41 下リンク
42 リンクベースフレーム 43 縦リンク
44 連結軸 46 昇降油圧シリンダ
50 伝動ケース 51 苗載台
51a 苗取出口 51b 苗送りベルト
52 苗植付装置 53 後輪回転センサ
54 最大感度調節ノブ 55 センターフロート
56 サイドフロート 57 迎角制御センサ
58 ブロア 59 エアチャンバ
60 肥料ホッパ 61 繰出部
62 施肥ホース 63 左右ローリングセンサ
64 マーカモータ 65 苗植付部支持枠体
65a 支持ローラ 65b 両側辺部材
66 梁部材 66a 突出部
67 支持アーム 68 ロータ支持フレーム
69 カラー 70(70a,70b) 駆動軸
71 連結部材 72 自在継手
73 チェーンケース 74 補強部材
74a 取付片 76 第一リンク部材
77 第二リンク部材 78 スプリング
79 昇降用油圧バルブ 80 肥料詰まりランプ
81 ロータ上下位置調節レバー 82 折曲片
84 ロータ収納用レバー 94 サンバイザ支柱部
95 苗枠 96 苗枠ステー
97 回動軸 99 リンク機構
99a 回動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(10)と後輪(11)を備えた走行車体(2)の後部に昇降自在に設けた苗植付部(4)と、
該苗植付部(4)に対して昇降自在に設けた整地装置(27)と、
後輪(11)の後方位置の一部に設けた、整地装置(27)が設置されていない領域と
を備えたことを特徴とする苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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