説明

整流板用リテーナリング

【課題】整流板を固定できる整流板用リテーナリングを提供する。
【解決手段】タービンメータ1内に設けられる整流板3、4の回転を防止するリテーナリング10であって、整流板3、4の端部3b、4bに隣接してタービンメータ1に取り付けられ、一部を欠いたリング形状のリング本体11と、リング本体11の両端部にそれぞれ設けられ、整流板3、4と接触して固定する2つの回り止め部12a、12bと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンメータ内に設置される整流板の移動を防止するリテーナリングに関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや発泡酒等の飲料を容器に充填する充填装置(例えば、特許文献1、2参照。)には、充填量を測定するためタービンメータが設けられている(例えば、特許文献3参照。)。タービンメータに関する先行技術文献として例えば特許文献4が存在する。タービンメータ内には、流量を測定するロータに対して上流側及び下流側のそれぞれに整流板が設置され、その整流板がタービンメータ内で回転しないようにリテーナリングが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−31197号公報
【特許文献2】特開平8−295396号公報
【特許文献3】特開2004−18044号公報
【特許文献4】実開昭62−46325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリテーナリングは、整流板に設けられている複数の仕切り板のうちのいずれか一箇所と接触することにより回転を防止している。このため隣り合う仕切り板との間で整流板が移動してしまい、その移動による衝撃でリテーナリングが破損するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は整流板を固定できる整流板用リテーナリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の整流板用リテーナリングは、タービンメータ(1)内に設けられる整流板(3、4)の回転を防止する整流板用リテーナリング(10)であって、前記整流板の端部(3b、4b)に隣接して前記タービンメータに取り付けられ、一部を欠いたリング形状のリング本体(11)と、前記リング本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記整流板と接触して固定する回り止め部(12a、12b)と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明の整流板用リテーナリングによれば、リング本体の両端部に回り止め部がそれぞれ設けられているので、タービンメータ内に設けられた整流板に対して回り止め部が2点で接触する。これにより、整流板には回転する余地がなくなる。従って、整流板はタービンメータに固定され、回転が防止される。よって、リテーナリングの回り止め部に整流板が衝突することがなく、リテーナリングの破損を防止することができる。
【0008】
本発明のリテーナリングの一形態において、前記回り止め部は、前記リング本体から延びる両端部をそれぞれ丸めたリング形状として、前記リング本体と一体的に形成され、前記リング形状により形成される面が前記整流板と接触してもよい。この形態によれば、回り止め部をリング形状とすることで整流板と広範囲に接触し整流板を安定して固定することができる。リング本体と回り止め部が一体に形成されているので、簡易な構成で実現することができる。
【0009】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0010】
以上、説明したように、本発明の整流板用リテーナリングにおいては、リング本体の両端部に回り止め部がそれぞれ設けられているので、タービンメータ内に設けられた整流板に対して回り止め部が2点で接触する。これにより、整流板には回転する余地がなくなる。従って、整流板はタービンメータに固定され、回転が防止される。よって、リテーナリングの回り止め部に整流板が衝突することがなく、リテーナリングの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一形態に係る整流板用リテーナリングが適用されたタービンメータを示す断面概略図。
【図2】リテーナリングの拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一形態に係る整流板用リテーナリングが適用されたタービンメータを示す断面概略図である。タービンメータ1は、充填装置内を流れるビールや発泡酒等の飲料の流路に設置され、タービンメータ1内を流れる飲料の流量を測定する。これにより、充填装置にて容器に充填する飲料の充填量を制御している。タービンメータ1は、飲料の流量に応じて回転するロータ2と、ロータ2に対してタービンメータ1内を流れる飲料の流れ方向dの上流側及び下流側にそれぞれ位置する整流板3、4と、ロータ2及び整流板3、4を保持するタービンメータ本体5とを備えている。ロータ2及び整流板3、4は、軸線AXを中心として同軸に設けられている。ロータ2は、整流板3、4によって支持される軸に対して回転自在に設けられ、軸線AXを中心として複数の羽根2aが設けられている。ロータ2の回転数に基づいて流量を測定する。
【0013】
整流板3、4にはそれぞれ、軸線AXに垂直な方向の切断面が十字となるように軸線AXを中心に4枚の仕切り板3a、4aが設けられている。仕切り板3a、4aはタービンメータ1内の飲料の流れを所望の方向へ向ける。整流板3、4により飲料は軸線AXと平行な向きに流れる。タービンメータ本体5の内部には、ロータ2及び整流板3、4が組み込まれる。なお、タービンメータ1は、各種の周知技術を利用してよい。
【0014】
整流板3、4のロータ2に隣接する側と逆側の端部3b、4bにそれぞれ隣接して、リテーナリング10が取り付けられる。図2にリテーナリング10の拡大斜視図を示す。リテーナリング10はタービンメータ本体5に設けられた溝部5a、5bに嵌め込まれて、整流板3、4をそれぞれ固定する。リテーナリング10は、一部を欠いたリング形状のリング本体11と、リング本体11の両端部にそれぞれ設けられ、整流板3、4の仕切り板3a、4aを固定する回り止め部12a、12b(特に区別しない場合は参照符号12で代表することがある。)とを備えている。
【0015】
リング本体11は、タービンメータ本体5の溝部5a、5bに嵌め込まれる。回り止め部12は、リング本体11の両端部をそれぞれ丸めてリング形状に形成されたもので、このリング形状の部分が仕切り板3a、4aの向かい合う面でそれぞれ接触する。リテーナリング10は、金属製で、リング本体11及び回り止め部12は一体に形成されている。本形態では、仕切り板3a、4aは十字形状に、つまり、90度ずつの間隔で設けられているので、回り止め部12a、12bのリング形状部分が形成する角度も90度となるように設けられている。回り止め部12がリング形状に形成されているので仕切り板3a、4aと広範囲で接触し、仕切り板3a、4aを安定して固定することができる。また、リテーナリング10の断面は四角形状で溝部5a、5bに隙間なく嵌め込まれる。なお、リテーナリング10の断面形状はこれに限られない。例えば円形状でもよく、適宜変更してもよい。
【0016】
リテーナリング10の作用を説明する。ロータ2及び整流板3、4を組み合わせてタービンメータ本体5内部に組み込み、溝部5a、5bにリング本体11をそれぞれ取り付ける。リング本体11により、整流板3、4の軸線AX方向の移動が防止される。リテーナリング10の回り止め部12が整流板3、4の仕切り板3a、4aに接触するように取り付けられると(図1参照)、整流板3、4はタービンメータ本体5に対して固定され、回転が防止される。整流板3、4は、回り止め部12a、12bにより2点で固定されるので回転する余地がなくタービンメータ本体5に固定される。なお、従来のリテーナリングでは、回り止め部が一箇所に形成されているため、仕切り板3a、4aの隣り合う面の間、つまり、本形態のような整流板3、4では90度の角度の分だけ周方向に移動する。この移動により、整流板3、4が回り止め部と衝突してリテーナリングが破損するおそれがある。これに対し本形態のリテーナリング10では、タービンメータ本体5内部で整流板3、4が回転しないのでリテーナリング10の回り止め部12に仕切り板3a、4aが衝突することがなく、リテーナリング10の破損を防止することができる。
【0017】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、リテーナリング10の回り止め部12をリング形状に形成したがこれに限定されない。例えば、リング本体11から延びる両端部を折り曲げただけのストレート形状の回り止め部としてもよい。あるいは、回り止め部12を板状に形成し、仕切り板3a、4aと面接触させてもよい。回り止め部12は、整流板3、4の形状に応じて適宜間隔や形状を調整してもよい。例えば、仕切り板3a、4aが設けられる間隔に合わせて回り止め部12が形成する角度を適宜調整してよいし、仕切り板が曲面であればその形状に沿って回り止め部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 タービンメータ
3、4 整流板
10 リテーナリング
11 リング本体
12a、12b 回り止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンメータ内に設けられる整流板の回転を防止する整流板用リテーナリングであって、
前記整流板の端部に隣接して前記タービンメータに取り付けられ、一部を欠いたリング形状のリング本体と、
前記リング本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記整流板と接触して固定する回り止め部と、
を備えたことを特徴とする整流板用リテーナリング。
【請求項2】
前記回り止め部は、前記リング本体から延びる両端部をそれぞれ丸めたリング形状として、前記リング本体と一体的に形成され、前記リング形状により形成される面が前記整流板と接触することを特徴とする請求項1に記載の整流板用リテーナリング。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−181281(P2010−181281A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25167(P2009−25167)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】