説明

敷布団

【課題】ヘタリを軽減し、軽量で保温性の優れた敷布団を提供する。
【解決手段】敷布団は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン−ポリプロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いて製造され、プロファイル加工が施された中芯を有してなる。特に、ポリエチレンを用いて製造され、プロファイル加工が施された中芯を有してなる。従来のポリエステルで製造された中芯を用いた敷布団よりも、ヘタリを軽減し、軽量で保温性の優れた敷布団が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷布団に関する。
【背景技術】
【0002】
寝具は、荷重を受けると圧縮されやすい。特に、敷布団は、使用者の体重の圧力を受けるため徐々に圧縮され、厚みが小さくなり、寝心地が悪くなっていく。この敷布団の厚みが小さくなることを、「ヘタリ」と表現する。
【0003】
敷布団の場合、ポリエステル製の中芯を使用することで、布団などの寝具のヘタリはある程度軽減されるが、ヘタリをさらに軽減してほしいという要求は根強いものがあった。またそれとともに、敷布団には、保温性を高めることについても強い要望がある。また、敷布団は、折りたたんで収納するため、軽量化も求められている。
【0004】
特許文献1には、ポリエチレン発泡体とポリウレタン発泡体とを積層して形成した中芯を用いた布団が開示されているが、更なるヘタリ軽減、保温性、軽量化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−196392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、ヘタリを軽減し、軽量で保温性の優れた敷布団を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る敷布団は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン−ポリプロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いて製造され、プロファイル加工が施された中芯を有してなることを特徴とする。
【0008】
本発明では、ポリエチレンを用いて製造され、プロファイル加工が施された中芯を有してなることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリエチレン製でプロファイル加工された中芯を用いた敷布団は、従来品に比べてヘタリが少なく、軽量で、保温性に優れ、新品の柔らかい感触が長期間保たれる。この作用は、ポリプロピレン製又はポリエチレン−ポリプロピレン共重合体製においても発揮される。しかも、ポリオレフィンは、従来のポリエステルと比較して軽いため、収納が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の敷布団の実施形態の一例を示す概略図である。
【図2】(a)及び(b)は、プロファイル加工の一例を示す概略図である。
【図3】中芯の一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために種々検討した結果、敷布団の中芯をポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの共重合体を用いて製造し、プロファイル加工を施すことにより、敷布団のヘタリが改善されるとともに、軽量化でき、保温性に優れることを見出した。
【0012】
本発明において、敷布団に用いられる中芯は、上記ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン−ポリプロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いて製造されるものである。この中芯は、ヘタリ軽減、軽量化、保温性という特徴を変更しない範囲内で他のポリマーを混合して製造することもできる。
【0013】
敷布団の中芯の厚みは20〜60mm、好ましくは20〜50mm、より好ましくは20〜40mmである。
【0014】
中芯としては、ポリマーの発泡体を用いることができる。ポリマーは、エチレン、プロピレンおよびこれらの混合物、あるいは、それらの低分子重合物をポリマー化して得られる。ポリマーとしては、ヘタリ軽減、軽量化、保温性のために、特にポリエチレンが好ましい。
【0015】
中芯はプロファイル加工が施されたものを用いる。プロファイル加工では、中芯の表面に凹凸が形成される。このようにプロファイル加工によって凹凸が形成されると、折り曲げるときの反発力が弱くなり、折り曲げ性が高まる。
【0016】
中芯としては、具体的には、例えば、厚み30mm、幅950mm、長さ2050mmのサイズのものを用いることができる。このサイズにおいて、ポリエチレン製の中芯の重量とポリエステル製の中芯(硬わた)の重量とを比較すると、ポリエチレン製中芯は0.8kgであるのに対し、ポリエステル製中芯は2kgである。すなわち、ポリエチレン製中芯は軽く、ポリエステル製中芯は重いため、ポリエチレン製中芯を使用することにより、軽量化が図れる。
【0017】
なお、中芯の代わりに芯材を用いてもよく、この場合も本発明の敷布団が得られる。
【0018】
敷布団は、中芯の回りに巻綿を巻いて製造される。巻綿としては公知のものを用いることができる。例えば、ポリエステル製、レーヨン、ウール等の巻綿であってよい。通常、巻綿が巻かれた中芯を布材で包み、端部などの適宜の箇所を縫合することにより、敷布団が得られる。
【0019】
図1は、敷布団Aの実施形態の一例である。板状等の適宜の形状に形成された中芯1の両面の外側に、巻綿2がほぼ均等な厚みで配設され、その全体が布などのカバー材3で被覆されることにより、敷布団Aが形成されている。なお、図1では、中芯1の片側の面は、プロファイル加工されて凹凸面1aになっており、その反対側の面は平坦面1bとなっている。凹凸は、直線状の凸部又は凹部が均等な間隔で設けられているものであってよく、例えばストライプ状であってよい。なお、敷布団Aは使用時に凹凸面1aを上にして敷くことができるが、凹凸面1aを下にして敷いてもよい。
【0020】
図2は、プロファイル加工の一例を示すものである。中芯1は、ポリエチレン製の板材4を板面と平行な方向に切断することにより、分断されて2個になって形成され得るものであるが、その際、図2に示すように、波状に板材4を切断することにより、中芯1の凹凸面1aを形成することができる。なお、プロファイル加工はこの方法に限られるものではなく、板材4を分断することなく、板材4の表面を凹凸加工して、凹凸面1aを設けるようにしてもよい。
【0021】
図2(a)では、厚み40mmの板材4を最小厚(L1)4mm、最大厚(L2)36mmで切り出すことにより、中芯1が得られている。図2(b)では、厚み40mmの板材4を最小厚(L1)13mm、最大厚(L2)27mmで切り出すことにより、中芯1が得られている。図2(b)は一般に知られているプロファイル加工であるが、このようなプロファイル加工では、凹凸幅が小さく、通常、敷布団を三折りできなくなる。一方、図2(a)に示すプロファイル加工は、極限までプロファイル加工されたものであり、三折りが容易にできるものである。このように三折りするためには、例えば、プロファイル加工における厚みの最小厚は8mm以下、もしくは5mm以下であってもよい。
【0022】
また、折り曲げ性を高めるためにスリットとして複数の孔部5を中芯1に設けてもよい。図3は、中芯1の形態の一例であり、矩形状の複数の孔部5が中芯1の幅方向に並び、その列が、中芯1の長さ方向に2列で並列されている。この形態では、スリット状の細長の孔部5が、その中央を中芯1の長さ方向の1/3及び2/3にして複数配設されている。したがってこのように孔部5が設けられることにより、折り曲げ性が高まり三折りが容易になる。さらに、孔部5を設けることによって軽量になる。
【実施例】
【0023】
[実施例1及び比較例1]
比較例1として、厚さ30mmのポリエステル製の中芯に、ポリエステルを100%にした巻綿を巻いて、従来の敷布団を製造した。
【0024】
実施例1として、ポリエステル製の中芯に代えてポリエチレン製プロファイル加工品(厚さ30mm)の中芯を用い、比較例1と同様にして敷布団を製造した。
【0025】
比較例1及び実施例1の両方の敷布団を、5人のパネラーが6カ月間使用し、表1に示す各項目について評価した。なお、評価は、◎は「非常に良好」、○は「良好」、△は「普通」で行った。この5人のパネラーの評価を平均した。
【0026】
結果を表1に示す。なお、収納性、嵩高性、弾力の維持、折りたたみ性の項目がヘタリに関連する。
【0027】
表1に示すように、実施例1の敷布団は、比較例1の敷布団よりも、軽量で、保温性がよく、ヘタリが軽減されたものであった。
【0028】
【表1】

【符号の説明】
【0029】
A 敷布団
1 中芯
2 巻綿
3 カバー材
4 板材
5 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン−ポリプロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いて製造され、プロファイル加工が施された中芯を有してなる敷布団。
【請求項2】
ポリエチレンを用いて製造され、プロファイル加工が施された中芯を有してなる請求項1に記載の敷布団。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−22183(P2013−22183A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158837(P2011−158837)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(509277523)合名会社ウェンディー (3)
【出願人】(503422804)株式会社ウエルストンクラシキ (3)
【Fターム(参考)】