説明

敷設体連結具

【課題】簡単に且つ強固に敷設体同士を連結することができる敷設体連結具を提供すること。
【解決手段】敷設体1同士を重ねて連結するための敷設体連結具であって、板状の連結具本体2の上面部に、この上面部に重ねた前記敷設体1の下面に食い込み係止する上向き刺状突起4を多数散在状態に設け、この連結具本体2の下面部に、この下面部に重ねた前記敷設体1の上面に食い込み係止する下向き刺状突起6を多数散在状態に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地盤補強用の敷設体同士を連結する際に用いられる敷設体連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、軟弱地盤の上に敷設することで地盤を補強し安定化させる特開2009−108660号(特許文献1)や、堤防の上に敷設することで堤防を補強し安定化させる特許第4538822号(特許文献2)を開発し、特許出願している。
【0003】
この特許文献1,2の補強用マットについて簡単に説明すると、柔軟性を有する敷設体に、下方が先細る形状の補強突体がこの敷設体の下面から下方へ突出するようにして多数並設状態に付設された構成であり、この補強用マットを地盤や堤防上に敷設すると、多数の補強突体が地盤や堤防の上側面に没入してこの上側面が拘束され、地盤や堤防に補強効果がもたらされる。
【0004】
また、この補強用マットは、敷設体の周辺部に補強突体のない継合代部が設けられていて、この継合代部を他の補強用マットの敷設体に重ねて連結することによって使用現場に応じた大きさのもの(補強用マットの集合体)を作製できるようになっている。
【0005】
この補強用マット同士のこれまでの連結構造としては、他の補強用マットの敷設体の周辺部に重ねた継合代部に、この重ね合わせ部を上方から貫くようにアンカーピン(異形鉄筋など)を打ち込んで連結したり、他の補強用マットの敷設体の周辺部に重ねた継合代部を、現地でハンドミシンなどにより縫合して連結していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−108660号公報
【特許文献2】特許第4538822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2のような補強用マットは、敷設後、上面に盛土されたり道路が構築されたりして上載荷重が加わるため、この上載荷重によって連結された敷設体が互いに離れようとする方向に引っ張られる力が生じる。
【0008】
そのため、補強用マットの敷設体同士をアンカーピンの打ち込みによって連結した場合には、敷設体同士がアンカーピンで連結(点で連結)されているから、補強用マットの上載荷重による引っ張り力がアンカーピンに貫かれた位置に集中し易く、これが敷設体の破断の原因になるのではないかとの懸念がある。
【0009】
更にこの補強用マットは、地盤上などに砕石を撒いて基礎とし、この基礎上に敷設するようにしているが、この基礎に粒径の大きい石があると、アンカーピンを打ち込めないこともある。
【0010】
一方、補強用マット同士を縫合連結した場合には上記のような問題は生じないが、現場での縫合作業は非常に面倒な作業であった。
【0011】
本発明は、このような補強用マットの従来の連結構造の問題点を見い出し、これを解決しようとするもので、連結したい敷設体の例えば周辺部間に挟み込むようにセットするだけで敷設体同士を強固に連結することができると共に、連結した敷設体に破断などの不都合も生じにくい実用性に優れた敷設体連結具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
敷設体1同士を重ねて連結するための敷設体連結具であって、板状の連結具本体2の上面部に、この上面部に重ねた前記敷設体1の下面に食い込み係止する上向き刺状突起4を多数散在状態に設け、この連結具本体2の下面部に、この下面部に重ねた前記敷設体1の上面に食い込み係止する下向き刺状突起6を多数散在状態に設けたことを特徴とする敷設体連結具に係るものである。
【0014】
また、前記上向き刺状突起4と前記下向き刺状突起6とは、夫々の突出先端部を反り返り形状に形成して、この上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とが前記敷設体1として採用した繊維シート1Aに食い込み係止し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の敷設体連結具に係るものである。
【0015】
また、複数の前記上向き刺状突起4を環状に並設した構成の上側係止部3を、前記連結具本体2の上面に多数散在状態に設け、複数の前記下向き刺状突起6を環状に並設した構成の下側係止部5を、前記連結具本体2の下面に多数散在状態に設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の敷設体連結具に係るものである。
【0016】
また、前記上側係止部3は、複数の前記上向き刺状突起4を円環状に並設した構成とし、前記下側係止部5は、複数の前記下向き刺状突起6を円環状に並設した構成としたことを特徴とする請求項3記載の敷設体連結具に係るものである。
【0017】
また、前記連結具本体2は金属板2Aで構成し、この連結具本体2に切り起こし加工を施すことで、貫通孔7の孔縁に沿って複数の前記上向き刺状突起4が環状に並設するように切り起こし形成された構成の前記上側係止部3を多数散在状態に設けると共に、貫通孔7の孔縁に沿って複数の前記下向き刺状突起6が環状に並設するように切り起こし形成された構成の前記下側係止部5を多数散在状態に設けたことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の敷設体連結具に係るものである。
【0018】
また、前記上側係止部3と前記下側係止部5とは、前記連結具本体2の所定の方向に交互に並設状態に設けたことを特徴とする請求項5記載の敷設体連結具に係るものである。
【0019】
また、少なくとも前記上向き刺状突起4は、前記連結具本体2からの突出長を5mm以下に設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の敷設体連結具に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、連結したい敷設体同士を重ねてこの重ね部(連結部)間に本連結具を配置するだけで敷設体同士を連結でき、連結施工性に優れ所望の大きさの敷設体の集合体を作製することが容易にできる上に、敷設体の連結部分が極端に厚くなってしまうような不都合もなく、また、連結した敷設体同士が上載荷重などにより互いに離れようとする方向に引っ張られた際には、この引っ張り力が多数散在する下向き刺状突起と上向き刺状突起の食い込み係止箇所に分散して加わるため、敷設体の連結部分に破断を生じにくく、しかも本発明は、敷設体への上載荷重が大きいほど下向き刺状突起と上向き刺状突起とが敷設体に深く食い込み係止して敷設体への連結強度が高くなるため、連結した敷設体の上載荷重の大小にかかわらず、敷設体同士の連結状態が強固に維持されて敷設体の位置ズレも生じにくいなど、極めて実用性に優れた敷設体連結具となる。
【0021】
また、請求項2記載の発明においては、特に上記特許文献1や特許文献2で採用される繊維シートのような敷設体の連結に適した構成の敷設体連結具となる。
【0022】
また、請求項3記載の発明においては、上側係止部と下側係止部とがあらゆる方向からの引っ張り力に対して強固な連結強度を発揮して敷設体同士を確固に連結できる一層実用性に優れた構成の敷設体連結具となる。
【0023】
また、請求項4記載の発明においては、敷設体に対して連結具本体をどのような向きに配置しても所定の連結強度を発揮するため、敷設体への配置作業が極めて容易に行われる一層施工性に優れた構成の敷設体連結具となる。
【0024】
また、請求項5記載の発明においては、連結具本体に他の部品を付設することなく、例えば金属板にプレス加工による切り起こし加工を施すことによって、複数の上向き刺状突起が環状に並設する上側係止部と複数の下向き刺状突起が環状に並設する下側係止部とが一体成形された連結具本体を構成でき、一層実現化が容易で量産性にも優れた構成の敷設体連結具となる。
【0025】
また、請求項6記載の発明においては、連結具本体の限られた範囲内に一体成形による上側係止部と下側係止部とを効率良く配設することができる一層実用性に優れた構成の敷設体連結具となる。
【0026】
また、請求項7記載の発明においては、敷設体同士の連結部に人が載っても上向き刺状突起が靴底を貫通してしまうような危険性がない安全性に優れた構成の敷設体連結具となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図2】本実施例を示す平面図である。
【図3】本実施例の連結具本体を、一方の敷設体の上面に載置した状態を示す説明斜視図である。
【図4】本実施例の使用状態(敷設体の連結状態)を示す説明斜視図である。
【図5】本実施例の使用状態における敷設体同士の連結構造を示す部分拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0029】
例えば、敷設体1の周辺部同士を連結する場合を説明する。
【0030】
一方の敷設体1の周辺部の上面に連結具本体2の下面部を重ねて載置すると、この連結具本体2の下面部に多数散在状態に設けた下向き刺状突起6が敷設体1周辺部の上面に食い込み係止し、この連結具本体2を載置した敷設体1周辺部の上面に、他方の敷設体1の周辺部の下面を重ねることでこの下面を連結具本体2の上面部にも重ねると、連結具本体2の上面部に多数散在状態に設けた上向き刺状突起4が他方の敷設体1周辺部の下面に食い込み係止して、双方の敷設体1の周辺部同士が本連結具を介して重なった状態で連結されることになる。
【0031】
従って、例えば連結したい敷設体1同士を重ねてこの重ね部間に本連結具を配置するだけの簡単な作業により、双方の敷設体1同士を連結することが可能(所望の大きさの敷設体1の集合体を作製することが可能)である。
【0032】
また、板状の連結具本体2は、敷設体1の継ぎ目の重ね部間に配置してもこの重ね部(連結部)が極端に厚くなって大きな段差を生じるような不都合はない。
【0033】
また、連結した敷設体1には、この敷設体1への上載荷重などによって双方が互いに離れようとする方向に引っ張られる力が生じるが、このような状況となっても引っ張り力は多数の下向き刺状突起6と上向き刺状突起4とが食い込み係止している敷設体1の多くの箇所へと分散して加わることとなるので、敷設体1の連結部(重ね部)に破断を生じにくい。
【0034】
また、敷設体1への上載荷重が大きいほど、下向き刺状突起6と上向き刺状突起4とが敷設体1に深く食い込み係止して敷設体1への連結強度は高くなる。即ち、敷設体1への上載荷重が大きいほど、連結した敷設体1同士が互いに離れようとする方向に引っ張られる力が大きくなるが、本発明によれば、上載荷重の増加に比例して敷設体1同士の連結強度も高くなるので、強く引っ張られても簡単に連結解除されることなく敷設体1同士の連結状態が良好に維持されることになる。
【0035】
従って、本発明によれば、連結した敷設体1の上載荷重の大小にかかわらず、敷設体1同士の連結状態が強固に維持されることになり、これにより敷設体1の位置ズレも防止されることになる。
【0036】
また、例えば、前記上向き刺状突起4と前記下向き刺状突起6とは、夫々の突出先端部を反り返り形状に形成して、この上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とが前記敷設体1として採用した繊維シート1Aに食い込み係止し得るように構成すれば、上記特許文献1,2では、敷設体として繊維シート1Aを採用することが好適であるが、このような繊維シート1Aに対して、上向き刺状突起4と下向き刺状突起6の反り返り形状の突出先端部が食い込み係止し易い。従って、特に特許文献1,2の敷設体のような繊維シート1A同士の連結に適した構成となる。
【0037】
また、例えば、複数の前記上向き刺状突起4を環状に並設した構成の上側係止部3を、前記連結具本体2の上面に多数散在状態に設け、複数の前記下向き刺状突起6を環状に並設した構成の下側係止部5を、前記連結具本体2の下面に多数散在状態に設ければ、環状に並設する複数の上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とが敷設体1に食い込み係止することになり、この環状に並設する上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とが、あらゆる方向からの引っ張り力にも抗する連結強度を発揮して敷設体1同士を強固に連結することができる。尚、請求項3中の「環状に並設」なる記載は、円環状に並設することだけを意味するのではなく、例えば角形環状に並設するような構成も含む意味合いで用いているものである。
【0038】
更に、例えば、前記上側係止部3は、複数の前記上向き刺状突起4を円環状に並設した構成とし、前記下側係止部5は、複数の前記下向き刺状突起6を円環状に並設した構成とすれば、敷設体1に対して連結具本体2をどのような向きに配置しても引っ張り力に対する連結強度に変化がないため、連結具本体2を特定の向きで配置する必要性がなく、従って本連結具の配置作業が極めて容易に行われて敷設体1同士の連結作業が一層容易に行われる。
【0039】
また、例えば、前記連結具本体2は金属板2Aで構成し、この連結具本体2に切り起こし加工を施すことで、貫通孔7の孔縁に沿って複数の前記上向き刺状突起4が環状に並設するように切り起こし形成された構成の前記上側係止部3を多数散在状態に設けると共に、貫通孔7の孔縁に沿って複数の前記下向き刺状突起6が環状に並設するように切り起こし形成された構成の前記下側係止部5を多数散在状態に設ければ、連結具本体2に他の部品を付設することなく、連結具本体2としての金属板2Aに例えばプレス加工による切り起こし加工を施すことによって複数の上向き刺状突起4が環状に並設する上側係止部3と複数の下向き刺状突起6が環状に並設する下側係止部5とを一体成形することができる。
【0040】
更に、例えば、前記上側係止部3と前記下側係止部5とは、前記連結具本体2の所定の方向に交互に並設状態に設ければ、この連結具本体2の限られた範囲内に一体成形による上側係止部3と下側係止部5とを効率良く配設することができる。
【0041】
また、例えば、少なくとも前記上向き刺状突起4は、前記連結具本体2からの突出長を5mm以下に設定すれば、この上向き刺状突起4が食い込み係止した敷設体1を貫通しにくく、従ってこの敷設体1同士の継ぎ目の連結具本体2上に人が載っても靴底を貫通してしまうような危険性がない。
【実施例】
【0042】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0043】
本実施例は、板状の連結具本体2の上面部に、この上面部に重ねた前記敷設体1の下面に食い込み係止する上側係止部3を多数散在状態に設け、この連結具本体2の下面部に、この下面部に重ねた前記敷設体1の上面に食い込み係止する下側係止部5を多数散在状態に設けている。
【0044】
具体的には、本実施例の連結具本体2は、図1,図2に示すような長方形状の金属板2Aで構成している。尚、この連結具本体2は、長方形状に限定されるものではなく、他の異なる形状の板状体で構成しても良い。
【0045】
また、この金属板2Aは、厚さ約0.5mm,長辺の長さ約150mm,短辺の長さ約60mmとして、小型・軽量で取り扱い容易となるように構成している。
【0046】
本実施例の上側係止部3は、連結具本体2の上面部に複数の上向き刺状突起4を円環状に並設して成るものとし、この円環状の上側係止部3を連結具本体2の上面部に多数散在状態に設けている。
【0047】
更に具体的には、連結具本体2を構成する前記金属板2Aにプレスによる抜き加工(切り起こし加工)を施すことで、正円形の貫通孔7を打ち抜き形成すると共にこの貫通孔7の孔縁に沿って複数の先鋭な三角形状の突片を金属板2Aの上面部側へ切り起こし形成している。そして、この複数の先鋭突片を前記上向き刺状突起4とし、この複数の上向き刺状突起4が円環状(正円状)に並設する前記上側係止部3を構成している(図1,図5参照)。
【0048】
また、本実施例の下側係止部5は、連結具本体2の下面部に複数の前記下向き刺状突起6を円環状に並設して成るものとし、この円環状の下側係止部5を連結具本体2の下面部に多数散在状態に設けている。
【0049】
更に具体的には、前記上側係止部3と同様の形成方法により、金属板2Aに正円形の貫通孔7を打ち抜き形成すると共にこの貫通孔7の孔縁に沿って複数の先鋭な三角形状の突片を金属板2Aの下面部側へ切り起こし形成している。そして、この複数の先鋭突片を前記下向き刺状突起6とし、この複数の下向き刺状突起6が円環状(正円状)に並設する前記下側係止部5を構成している。
【0050】
従って、この上側係止部3と下側係止部5とは、円環状に並設する複数の上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とが敷設体1に食い込み係止することになり、この円環状に並設する上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とが、あらゆる方向からの引っ張り力にも抗する連結強度を発揮することになる。また、複数の上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とを円環状に並設したことにより、敷設体1に対して連結具本体2をどのような向きに重合配置しても(上側係止部3と下側係止部5とをどのような向きで敷設体1に係止しても)、引っ張り力に対する連結強度に変化がない構成としている。従って、本連結具は、配置向きに制約がないため、本連結具の敷設体1への配置作業は無造作に行うことができ、敷設体1同士の連結作業を従来の連結作業に比して著しく容易に行うことができる構成としている。
【0051】
また、この上側係止部3の上向き刺状突起4と下側係止部5の下向き刺状突起6とは、その突出先端部が前記貫通孔7の中心に対し外方に向かって弓形に反るように湾曲する反り返り形状に形成している。
【0052】
従って、上向き刺状突起4と下向き刺状突起6の突出先端部が反り返り形状であるから、繊維シート1Aに対しては特に食い込み係止し易い構成としている。即ち、本実施例は、上記特許文献1,2のような、敷設体として繊維シート1Aを採用したものの連結に適する構成としている。
【0053】
また、この上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とは、前記連結具本体2の上面部と下面部からの突出長を5mm以下に設定している。
【0054】
従って、この突出長の小さい上向き刺状突起4と下向き刺状突起6とは、食い込み係止した敷設体1を貫通しにくく、よって例えばこの敷設体1同士の連結部に人が載っても、また誤って本連結具上に直接人が載っても、靴底を貫通してしまうような危険性がない構成としている。
【0055】
また、本実施例では、図2,図3に示すように、前記連結具本体2の長辺方向に前記上側係止部3と前記下側係止部5とが交互に並設するように配設すると共に、連結具本体2の短辺方向にも上側係止部3と下側係止部5とが交互に並設するように配設している。尚、図2中では、上側係止部3を二点鎖線で示し、下側係止部5を三点鎖線で示している。
【0056】
更に具体的には、連結具本体2の長辺及び短辺に対して上側係止部3を傾斜方向に多数並設状態に設けると共に、この上側係止部3の並設方向と平行に下側係止部5を多数並設状態に設けることで、前記連結具本体2の長辺方向に前記上側係止部3と前記下側係止部5とが交互に並設すると共に、連結具本体2の短辺方向にも上側係止部3と下側係止部5とが交互に並設する構成としている。
【0057】
従って、本実施例では、小型の連結具本体2としてこの連結具本体2の上下面部に夫々上側係止部3と下側係止部5とを設ける構成でありながら、この連結具本体2に一体成形による上側係止部3と下側係止部5とを効率良くしかも係止強度落ちを生じにくいように配設して、敷設体1に対する確固な係止連結強度を発揮し得るように構成している。
【0058】
次に、本実施例を用いた敷設体1の連結方法を図3〜図5に基づいて説明する。尚、図面は、上記特許文献1,2の地盤補強用マットAの敷設体(薄厚な繊維シート1A)を敷設体1として、この繊維シート1Aの周辺部同士を連結する場合を示しているが、本連結具は、ここで示した連結対象(繊維シート1A)に限られるものではなく、例えば厚手のマットや他の様々な敷設物にも使用可能である(要は上向き刺状突起4と下向き刺状突起6が食い込み係止可能な敷設物には本連結具を使用可能である。)。
【0059】
図3に示すように、一方の敷設体1周辺部の継合代部8を、他方の敷設体1周辺部の上面に重ねて連結するが、この際、他方の敷設体1周辺部の上面にこの周辺部に沿って複数の本連結具の連結具本体2を並べて重合載置してから、一方の敷設体1の継合代部8を重ねると、図5に示すように、各連結具本体2の下面部に多数散在する下側係止部5が他方の敷設体1周辺部の上面に食い込み係止すると共に、各連結具本体2の上面部に多数散在する上側係止部3が一方の敷設体1周辺部(継合代部8)の下面に食い込み係止して、双方の敷設体1の周辺部同士が複数の本連結具を介して重なった状態で連結されることになる。
【0060】
尚、図面では、他方の敷設体1の周辺部に、複数の本連結具を千鳥状に並べて配置した場合を示しているが、敷設体1周辺部の周縁に沿った直線状に並べて配置しても良い。
【0061】
また、図面では、本連結具の連結具本体2の長辺部が敷設体1の外縁に略平行となるように配置している。即ち、連結する敷設体1同士が互いに離れようとする方向に対して上側係止部3と下側係止部5とが交互に並設するように本連結具を載置した場合を示しているが、連結具本体2をどのような向きに配置しても、円環状の上側係止部3と下側係止部5は、敷設体1の引っ張り力に対して一定の連結強度を発揮するので、この載置の仕方に限定されるものではない。
【0062】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0063】
1 敷設体
1A 繊維シート
2 連結具本体
2A 金属板
3 上側係止部
4 上向き刺状突起
5 下側係止部
6 下向き刺状突起
7 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設体同士を重ねて連結するための敷設体連結具であって、板状の連結具本体の上面部に、この上面部に重ねた前記敷設体の下面に食い込み係止する上向き刺状突起を多数散在状態に設け、この連結具本体の下面部に、この下面部に重ねた前記敷設体の上面に食い込み係止する下向き刺状突起を多数散在状態に設けたことを特徴とする敷設体連結具。
【請求項2】
前記上向き刺状突起と前記下向き刺状突起とは、夫々の突出先端部を反り返り形状に形成して、この上向き刺状突起と下向き刺状突起とが前記敷設体として採用した繊維シートに食い込み係止し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の敷設体連結具。
【請求項3】
複数の前記上向き刺状突起を環状に並設した構成の上側係止部を、前記連結具本体の上面に多数散在状態に設け、複数の前記下向き刺状突起を環状に並設した構成の下側係止部を、前記連結具本体の下面に多数散在状態に設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の敷設体連結具。
【請求項4】
前記上側係止部は、複数の前記上向き刺状突起を円環状に並設した構成とし、前記下側係止部は、複数の前記下向き刺状突起を円環状に並設した構成としたことを特徴とする請求項3記載の敷設体連結具。
【請求項5】
前記連結具本体は金属板で構成し、この連結具本体に切り起こし加工を施すことで、貫通孔の孔縁に沿って複数の前記上向き刺状突起が環状に並設するように切り起こし形成された構成の前記上側係止部を多数散在状態に設けると共に、貫通孔の孔縁に沿って複数の前記下向き刺状突起が環状に並設するように切り起こし形成された構成の前記下側係止部を多数散在状態に設けたことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の敷設体連結具。
【請求項6】
前記上側係止部と前記下側係止部とは、前記連結具本体の所定の方向に交互に並設状態に設けたことを特徴とする請求項5記載の敷設体連結具。
【請求項7】
少なくとも前記上向き刺状突起は、前記連結具本体からの突出長を5mm以下に設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の敷設体連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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