説明

文字変換支援装置

【課題】利用者が出力を所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を行う際に、同一又は類似の読みを有し、異なる意味を持つ複数の候補が存在する場合であっても、利用者が容易に適切な候補に思い至ることができるように支援する携帯電話機を提供する。
【解決手段】携帯電話機100は、読み及び承認を示す入力信号を取得する入力制御部112、読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求部110、第1候補文字及び第2候補文字とを取得する候補取得部111、取得した前記第2候補文字を音声合成する音声合成部109、音声出力するスピーカ105、承認を示す入力信号を取得した場合、第1候補文字を書き込む入出力制御部114を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者による文字入力の利便性を向上させるために様々な技術が提案されている。
特許文献1によると、携帯通信端末のダイヤルキーパッドのうちの6個のダイヤルキー(2,3,5,6,8,9)を1個の点字枠とみなし、点字の凸点を上記テンキーの押下に対応させて点字形式による文字入力を行う。
【0003】
また、日本語においては、平仮名、片仮名及び漢字を混在させて表記することが一般的である。平仮名及び片仮名は、それぞれ、48種類の文字からなる。また、漢字は、10万種類以上存在すると言われているが、約2000種類の常用漢字が、日常において日本語を書き表すために必要なものとして選ばれている。一方、コンピュータを用いて日本語を入力する際に、コンピュータの主たる入力装置として、キーボードが用いられる。キーボードは、50個程度のキーを備えている。上記のように、日常において日本語を書き表すために必要な漢字の種類が多いので、平仮名、片仮名及び漢字が混在する日本語の文章を、キーボードを用いてコンピュータにより入力するときには、かな漢字変換ソフトウェアと呼ばれる特別なコンピュータプログラムを用いる。かな漢字変換ソフトウェアでは、入力したい文章の読みをキーボードから受け取り、読みと漢字交じり文字との対応表から、受け取った読みを表した漢字を含む漢字交じり文字を読み出し、読み出した漢字交じり文字をディスプレィに表示する。所望の漢字交じり文字が表示された場合には、利用者は、それを選択する。そうでない場合には、かな漢字変換ソフトウェアは、他の候補を表示する。こうして、利用者は、所望の漢字交じり文字を入力することができる。
【0004】
しかし、視覚障害者がかな漢字変換ソフトウェアを用いて日本語の入力をする場合に、所望の文字の読みに対応する漢字交じり文字は、ディスプレィに表示されるので、視覚障害者は、表示された漢字交じり文字が所望の文字であるか否かを確認することができない。
これに対し、特許文献2によると、手書入力部から入力された文字筆跡データを、文字認識辞書部と単語辞書部を用いて文字若しくは単語情報に変換し、その結果を併せて発声部から発声し、表示部に候補文字として表示し、使用者に認識結果を伝える。また、特許文献3においても、同様に、入力されたかなを漢字及びマルチメディアに変換するかな変換装置において、辞書中の漢字に対応づけて音声を予め辞書に登録しておき、かな入力に対応して変換した辞書中の漢字に対応した音声を発声し、かなを漢字及びマルチメディアに迅速かつ簡単に変換して出力する装置を開示している。
【0005】
これらの技術を用いると、かな漢字変換の候補が音声により発声されるので、視覚障害者は、聴覚を用いて、その候補を確認することができる。
さらに、非特許文献1によると、視覚障害者用ワープロソフトには、音声出力機能が備わっている。この音声出力機能による音声の出し方には何種類かあり、かな漢字変換のときには「詳細読み」が使われる。これは、例えば、入力された読み「コウセイ」に対して、複数の漢字交じり文字の候補「構成」、「校正」等が存在するので、「構成」については、「構えるのコウ・成長するのセイ」、「校正」については「学校のコウ・正しいのセイ」のように、漢字を一つずつ説明付きで発声する手法である。これにより、画面が見えなくても、正しい漢字を選択できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−45135号公報
【特許文献2】特開平7−295584号公報
【特許文献3】特開平8−30605号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】福井哲也、「ワープロと視覚障害者」、ノーマライゼーション 障害者の福祉、日本障害者リハビリテーション協会、1996年8月、第16巻、通巻181号、p.48−50
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、非特許文献1によると、入力された読みに対して、複数の漢字交じり文字の候補が存在する場合に、各候補について、当該候補の漢字交じり文字を一つずつの漢字に分解し、各漢字について、当該漢字を含む別の慣用語の音を表記する音声記号を用いて発声するとともに、当該候補内における当該漢字の音を表記する音声記号を用いて発声する。
【0009】
例えば、入力された読み「コウセイ」に対して、複数の漢字交じり文字の候補として、「構成」と「校正」とが存在する場合について考える。この場合に、一つの候補である「構成」を漢字「構」と漢字「成」とに分解する。次に、漢字「構」について、「構」を含む別の慣用語である「構える」における音声記号「カマエル」を用いて発声するとともに、当該候補「構成」における漢字「構」における音声記号「コウ」を用いて発声する。
【0010】
この場合、前記候補と、前記別の慣用語とは、意味の上から、無関係であることが多い。非特許文献1において用いられている例示によると、候補「校正」と別の慣用語「正しい」についてのみ意味の上から若干の関係があるとは言える。ここで、「校正」とは、文字の誤りを正すことである。これに対して、「正しい」とは、 道理や法にかなっていることである。
【0011】
しかし、候補「構成」と別の慣用語「構える」とは、意味の上から関係があるとは言えない。ここで、「構成」とは、幾つかの要素を組み立てて一つのものにこしらえることである。これに対して、「構える」とは、事に備えて、ある姿勢や態度をとることである。また、候補「構成」と別の慣用語「成長」とについても、また、候補「校正」と別の慣用語「学校」についても、関係があるとは言えない。ここで、「成長」とは、育って大きくなることであり、「学校」とは、一定の教育目的のもと、組織的・計画的に教育を行う施設である。このように、候補とは意味の上から関係のない別の慣用語が発声されたとしても、利用者は、候補の文字に思い至らず、候補の漢字を認識しづらい。
【0012】
また、非特許文献1により開示された技術によると、各候補についての音声記号が分離されて発声される。例えば、「構成」については、「コウ」と「セイ」との間に「成長するの」が発声されるため、「構成」の音声記号「コウセイ」が分離されて発声される。このため、発声から候補の漢字を認識しづらい。
このように、非特許文献1により開示された方法により、漢字を一つずつ説明付きで発声する場合には、かな漢字変換の候補を認識しづらいという問題がある。
【0013】
このような状況は、視覚障害者がかな漢字変換により漢字入力をしようとするときに限られる訳ではない。同じ音で異なる意味を有する漢字は、数多くあり、健常者であっても、その区別は容易ではない。非特許文献1により開示された方法により、漢字を一つずつ説明付きで発声することは、漢字を区別するために、有効な手法であるが、この場合において、健常者であっても、視覚障害者と同様に、かな漢字変換の候補を認識しづらいという問題がある。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、利用者が出力を所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を行う際に、同一又は類似の読みを有し、異なる意味を持つ複数の候補が存在する場合であっても、利用者が容易に適切な候補に思い至ることができるように支援する文字変換支援装置、文字変換支援方法、文字変換支援用のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録している記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置であって、前記読みを取得する読み取得手段と、前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求手段と、前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得手段と、取得した前記第2候補文字を提示する候補提示手段と、提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得手段と、前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この構成によると、第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を提示するので、利用者は、提示された第2候補文字により、適切な第1候補文字に思い至ることができ、この結果、読みに対する適切な文字を確定させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態としての携帯電話システム30の構成を示す。
【図2】携帯電話機100の構成を示すブロック図である。
【図3】携帯電話機100における第2候補文字の発声及び第1候補文字の表示の例を示す。
【図4】サーバ装置200の構成を示すブロック図である。
【図5】携帯電話機100及びサーバ装置200の動作を示すシーケンス図である。
【図6】携帯電話機100及びサーバ装置200において、時間の経過に伴って各プロセスが他のプロセスとどのような関係をもって動作するかを示すタイムチャートである。
【図7】変形例としての携帯電話機100aの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.実施の形態
本発明に係る一の実施の形態としての携帯電話システム30について説明する。
1.1 携帯電話システム30
携帯電話システム30は、図1に示すように、携帯電話機100、無線基地局20、携帯電話網10及びサーバ装置200から構成されている。無線基地局20及びサーバ装置200は、それぞれ、携帯電話網10に接続されている。
【0019】
携帯電話機100は、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、他の携帯電話機(図示していない)との間で、通話又は電子メールの送受信が可能となるように構成されている。
また、携帯電話機100は、以下に示すように、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する。電子メールの文面を作成する場合などに、携帯電話機100は、利用者が所望する文字の読みを取得し、取得した読みから漢字を含む文字への変換を、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、サーバ装置200へ要求する。サーバ装置200は、読み、当該読みを表す漢字を含む第1候補文字及び前記第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を対応付けて記憶しており、前記要求を受信し、受信した前記要求に応じて、前記読みに対応する第1候補文字及び第2候補文字を読み出し、読み出した前記第1候補文字及び前記第2候補文字を、携帯電話網10及び無線基地局20を介して、携帯電話機100へ送信する。携帯電話機100は、前記第1候補文字と前記第2候補文字とを取得し、取得した前記第2候補文字を提示する。携帯電話機100は、提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得し、前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する。このようにして、携帯電話機100は、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置として機能する。
【0020】
1.2 携帯電話機100
携帯電話機100は、図2に示すように、アンテナ101、通信回路102、音声処理部103、マイク104、スピーカ105、操作部106、表示部107、制御部108、音声合成部109、変換要求部110、候補取得部111、入力制御部112、表示制御部113、入出力制御部114及びデータ記憶部115から構成されている。
【0021】
(1)アンテナ101及び通信回路102
アンテナ101は、無線基地局20との間で無線回線を介して無線信号を送受信する。通信回路102は、アンテナ101により送受信される無線信号の周波数選択や周波数変換等を行う。
(2)スピーカ105及びマイク104
スピーカ105は、音声処理部103又は音声合成部109から受け取った音声信号を変換して音声等の音響を出力する。マイク104は、音声等の音響を入力し、入力された音響を音声信号に変換して音声処理部103へ出力する。
【0022】
(3)音声処理部103
音声処理部103は、通信回路102から受信した変調された音声信号を復調してスピーカ105に対して音声信号として出力する。また、マイク104から受け取った音声信号を変調し、通信回路102へ出力する。
(4)操作部106及び入力制御部112
操作部106は、電源キー、テンキー、決定キー、文字種キー、取消キー、矢印キー、その他のキーを含み、各キーの操作に対応する操作信号を生成し、生成した操作信号を入力制御部112へ出力する。
【0023】
入力制御部112は、操作部106から操作信号を受信し、受信した操作信号を基にして、入力信号を生成する。
操作信号が操作部106に設けられたキーそのもの押下を意味する場合には、入力制御部112は、当該操作信号を入力信号として生成する。
また、その操作信号が、表示部107に表示されているメニューからの選択肢の選択を示す場合には、入力制御部112は、選択した選択肢に対応する信号を入力信号として生成する。例えば、携帯電話機100は、電話の発信、電話の着信、受信した電子メールの表示、送信すべき電子メールの作成、メモの作成、各種の設定、その他の複数の機能を備えており、これらの機能がメニューの選択肢として表示され、入力制御部112は、操作部106から、メニューの選択肢として表示された複数の機能のうちの一の機能の指定を受け取り、指定された機能の指定を示す入力信号を生成する。
【0024】
また、電子メールの文面などを作成する場合には、入力制御部112は、利用者が出力を所望する文字の読みを操作部106から受け取り、受け取った読みを入力信号として生成する。
次に、入力制御部112は、生成した入力信号を制御部108へ出力する。
(5)制御部108
ここでは、一例として、携帯電話機100が有する複数の機能のうち、利用者により文章が入力される電子メールの文面の作成の機能の指定を受け取った場合について説明する。
【0025】
制御部108は、入力制御部112から入力信号を受け取る。
受け取った入力信号が電子メールの作成の機能を指定している場合に、制御部108は、電子メールの作成の機能を起動する。
電子メールの作成の機能を起動すると、制御部108は、かな漢字変換を行うモードに遷移する。当該モード中に、利用者が出力を所望する文字の読みを入力制御部112から受け取る。読みを受け取ると、受け取った読みと、読みを反転表示する旨の指示とを表示制御部113へ出力し、また、受け取った読みを変換要求部110へ出力する。
【0026】
また、制御部108は、候補取得部111から、受け取った読みに対する変換の結果として、「第1候補文字及び第2候補文字」及び「終了情報」のいずれかを受け取る。ここで、第1候補文字は、前記読みに対応する変換候補の一つであり、前記読みを表した漢字を含む。また、第2候補文字は、第1候補文字に関連して用いられる文字である。具体的には、第2候補文字は、慣用的に第1候補文字に後続して用いられる文字である。終了情報は、受け取った読みに対する変換の結果の送信が終了したことを示す。
【0027】
ここで、一例として、入力制御部112から受け取った読みが「はやく」である場合について、説明する。
制御部108は、読み「はやく」及び読みを反転表示する旨の指示を表示制御部113へ出力する。この結果、表示制御部113は、図3に示すように、反転文字151を表示部107へ表示する。ここで、反転文字151は、白抜き文字である。白抜き文字は、「はやく」が入力され、この読みの変換が未確定であることを利用者に示している。
【0028】
また、制御部108は、読み「はやく」を変換要求部110へ出力する。この結果、読み「はやく」の変換要求が変換要求部110から通信回路102、アンテナ101、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、サーバ装置200へ送信される。サーバ装置200は、読み「はやく」に対応する第1候補文字及び第2候補文字を検索して取得する。
ここで、第1候補文字の一例は、「早く」であり、第2候補文字の一例は、「起きる」である。第1候補文字「早く」は、読み「はやく」を基にして変換して得られた一つの候補であり、読み「はやく」を表した漢字「早」を含んでいる。また、第2候補文字「起きる」は、慣用的に第1候補文字「早く」に後続して用いられる文字である。サーバ装置200は、第1候補文字及び第2候補文字を、読み「はやく」の変換要求が送信された経路とは逆の経路で、つまり、携帯電話網10、無線基地局20、アンテナ101、通信回路102及び候補取得部111を介して、制御部108へ送信する。
【0029】
制御部108は、第1候補文字及び第2候補文字を受け取ると、第1候補文字を一時的に記憶し、第2候補文字と、当該第2候補文字の音を表した音声信号を合成する指示とを音声合成部109へ出力する。
また、制御部108は、音声合成部109への合成の指示を出力した時点を起点とする応答期間内に、入力制御部112から、入力信号として承認信号及び非承認信号のいずれか一方を受け取る。また、応答期間内に、入力制御部112から承認信号及び非承認信号のいずれをも受け取らない場合もある。ここで、応答期間は、一例として、1.5秒である。また、承認信号は、決定キーに対応する操作信号であり、非承認信号は、取消キーに対応する操作信号である。
【0030】
応答期間内に、承認信号を受け取った場合、制御部108は、前記第1候補文字を、利用者の所望する漢字を含む文字として確定し、入出力制御部114を介して、前記第1候補文字(確定文字)をデータ記憶部115の文面保持領域内の書込位置ポインタにより示される位置へ書き込み、当該書込位置ポインタに、第1候補文字に含まれる文字数を加算する。また、読みの確定を示す確定情報と前記第1候補文字(確定文字)とを表示制御部113へ出力し、表示部107に表示されている白抜きの読みに代えて、当該第1候補文字(確定文字)を表示するように制御する。
【0031】
一方、応答期間内に、非承認信号を受け取った場合、又は、応答期間内に、入力制御部112から承認信号及び非承認信号のいずれをも受け取らない場合、制御部108は、変換要求部110に対して、次の変換候補の要求を出力する。続いて、制御部108は、次の変換候補の第1候補文字及び第2候補文字を受け取り、上記の動作を繰り返す。
制御部108は、候補取得部111から、第1候補文字及び第2候補文字ではなく、終了信号を受け取ると、読みそのものを、利用者の所望する文字として確定し、入出力制御部114を介して、読み(確定文字)をデータ記憶部115の文面保持領域内の書込位置ポンイタにより示される位置へ書き込み、当該書込位置ポンイタに、当該読みに含まれる文字数を加算する。また、読みの確定を示す確定情報と当該読み(確定文字)とを表示制御部113へ出力し、表示部107に表示されている白抜きの読みに代えて、当該読み(確定文字)を表示するように制御する。
【0032】
(6)音声合成部109
音声合成部109は、制御部108から、第2候補文字と、当該第2候補文字の音を表した音声信号を合成する指示とを受け取る。第2候補文字と当該指示とを受け取ると、第2候補文字の音を表した音声信号を合成し、音声信号をスピーカ105へ出力して、発音するように制御する。なお、音声信号の合成については、公知であり、詳細の説明を省略する。
【0033】
(7)変換要求部110
変換要求部110は、制御部108から、読みを受け取る。読みを受け取ると、変換要求部110は、受け取った読みに対する変換の要求を生成し、生成した変換の要求と、受け取った読みとを通信回路102、アンテナ101、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、サーバ装置200へ送信する。
【0034】
また、変換要求部110は、制御部108から、次の変換候補の要求を受け取る。次の変換候補の要求を受け取ると、当該要求を通信回路102、アンテナ101、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、サーバ装置200へ送信する。
(8)候補取得部111
候補取得部111は、サーバ装置200から、携帯電話網10、無線基地局20、アンテナ101及び通信回路102を介して、「第1候補文字及び第2候補文字」及び「終了情報」のいずれかを取得し、取得した「第1候補文字及び第2候補文字」及び「終了情報」のいずれかを制御部108へ出力する。
【0035】
(9)表示制御部113及び表示部107
表示部107は、待ち受け画面、設定画面、電子メール送受信画面、電子メール入力画面などを表示する。
表示制御部113は、表示部107において表示される電子メール等の文面を表示する文面表示領域において、次に文字を表示すべき位置を示す表示位置ポインタを記憶している。
【0036】
表示制御部113は、制御部108から、読みと、読みを反転表示する旨の指示とを受け取る。また、制御部108から、読みの確定を示す確定情報と、確定文字とを受け取る。ここでは、確定文字は、第1候補文字又は読みである。
表示制御部113は、制御部108から読みと、読みを反転表示する旨の指示とを受け取ると、当該読みと当該指示と表示位置ポインタとを表示部107へ出力する。
【0037】
また、表示制御部113は、制御部108から、読みの確定を示す確定情報と確定文字とを受け取ると、確定情報と確定文字と表示位置ポインタとを表示部107へ出力する。また、表示位置ポインタに、確定文字に含まれる文字数を加算する。
表示部107は、電子メール等の文面を表示する文面表示領域を有する。
表示部107は、当該読みと読みを反転表示する旨の指示と表示位置ポインタとを受け取る。また、表示部107は、確定情報と確定文字と表示位置ポインタとを受け取る。
【0038】
読みと読みを反転表示する旨の指示と表示位置ポインタとを受け取ると、表示部107は、文面表示領域において、受け取った表示位置ポインタにより示される位置において、受け取った読みを反転表示する。図3に示すように、反転文字151が表示部107において表示されている。反転表示された文字は、変換が確定していないことを示している。
確定情報と確定文字と表示位置ポインタとを受け取ると、表示部107は、文面表示領域において、受け取った表示位置ポインタにより示される位置において、受け取った確定文字をそのまま表示する。
【0039】
(10)入出力制御部114及びデータ記憶部115
データ記憶部115は、RAMから構成され、電子メールを作成するための文面を記憶する文面保持領域を備えている。
入出力制御部114は、制御部108から、確定文字及び書込位置ポインタを受け取る。確定文字及び書込位置ポインタを受け取ると、データ記憶部115の文面保持領域内において、受け取った書込位置ポインタにより示される位置において、受け取った確定文字を書き込む。
【0040】
1.3 サーバ装置200
サーバ装置200は、図4に示すように、通信部201、変換部202及びテーブル記憶部203から構成されている。サーバ装置200は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、通信ユニットなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAM又は前記ハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、サーバ装置200は、その機能を達成する。
【0041】
(1)通信部201
通信部201は、携帯電話機100から、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、変換の要求及び読み、並びに、次候補の要求を受信する。変換の要求及び読み、並びに、次候補の要求を受信すると、これらを変換部202へ出力する。
また、通信部201は、変換部202から、「第1候補文字及び第2候補文字」及び「終了情報」のいずれかを受け取り、受け取った「第1候補文字及び第2候補文字」及び「終了情報」のいずれかを、携帯電話網10及び無線基地局20を介して、携帯電話機100へ送信する。
【0042】
(2)テーブル記憶部203
テーブル記憶部203は、一例として、ハードディスクユニットから構成されている。
テーブル記憶部203は、図4に示すように、変換テーブル221を保持している。変換テーブル221は、この図に示すように、複数の変換情報を記憶するための領域を備えている。各変換情報は、1個の読みと、1個以上の候補情報を含み、候補情報は、第1候補文字及び第2候補文字を含む。
【0043】
ここで、読みは、利用者が出力することを所望する文字の読みである。
複数の変換情報は、読みに対する複数の変換候補を示す情報である。
第1候補文字は、読みに対する変換の候補であり、読みを表した漢字を含む文字である。
第2候補文字は、慣用的に第1候補文字に後続して用いられる文字である。なお、第2候補文字は、第1候補文字に関連して用いられる文字であるとしてもよい。
【0044】
図4に示すように、変換情報231は、読み232「はやく」、変換候補233及び変換候補234を含む。変換候補233は、第1候補文字235「早く」及び第2候補文字236「起きる」を含み、変換候補234は、第1候補文字237「速く」及び第2候補文字238「走る」を含む。
ここで、「早く」及び「速く」は、それぞれ、読み「はやく」を変換して得られる漢字「早」及び「速」を含む文字である。また、「起きる」は、慣用的に、「速く」ではなく、「早く」に後続して用いられる。さらに、「走る」は、慣用的に、「早く」ではなく、「速く」に後続して用いられる。
【0045】
(3)変換部202
変換部202は、通信部201から、変換の要求及び読み、並びに、次候補の要求を受け取る。
変換の要求及び読みを受け取ると、変換部202は、受け取った読みと同一の読みを含む変換情報を変換テーブル221から探す。同一の読みを含む変換情報が変換テーブル221に存在しない場合には、終了情報を通信部201へ出力する。
【0046】
同一の読みを含む変換情報が変換テーブル221に存在する場合には、当該変換情報内に1個の候補情報が含まれるときには、その候補情報を読み出す。当該変換情報内に複数の候補情報が含まれるときには、先頭の候補情報を読み出す。次に、読み出した候補情報に含まれる第1候補文字及び第2候補文字を通信部201へ出力する。
次候補の要求を受け取ると、変換部202は、先に同一の読みを含むとした変換情報内において、次の候補情報を読み出し、読み出した候補情報に含まれる第1候補文字及び第2候補文字を通信部201へ出力する。先に同一の読みを含むとした変換情報内において、次の候補情報が存在しない場合には、終了情報を通信部201へ出力する。
【0047】
1.4 携帯電話機100における発声及び表示の例
携帯電話機100における第2候補文字の発声及び第1候補文字の表示の例を、図3を用いて説明する。
携帯電話機100において、電子メールなどの文面を作成する場合に、図3に示すように、利用者が読み「はやく」を入力すると、表示部107は、反転文字151「はやく」を表示する。続いて、「はやく」に対応する第2候補文字「起きる」の音を表した音声信号により発声される(161)。ここで、応答期間内に利用者により承認に対応する決定キーが押されると(S101)、表示部107には、第1候補文字152「早く」が確定文字として表示される。一方、利用者により非承認に対応する取消キーが押されると又は応答期間を経過すると(S102)、次の第2候補文字「走る」の音を表した音声信号により発声される(162)。ここで、応答期間内に利用者により承認に対応する決定キーが押されると(S103)、表示部107には、第1候補文字153「速く」が確定文字として表示される。一方、利用者により非承認に対応する取消キーが押されると又は応答期間を経過すると(S104)、表示部107には、読み154「はやく」が確定文字として表示される。
【0048】
1.5 携帯電話機100及びサーバ装置200の動作
携帯電話機100及びサーバ装置200の動作について、図5に示すシーケンス図を用いて説明する。
制御部108は、かな漢字変換を行うモード中において、利用者が出力を所望する文字の読みを入力制御部112から受け取る(ステップS131)。次に、変換要求部110は、受け取った読みに対する変換の要求と受け取った読みとを通信回路102、アンテナ101、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、サーバ装置200へ送信する(ステップS132)。変換部202は、テーブル記憶部203から第1候補文字及び第2候補文字を探索し(ステップS133)、第1候補文字及び第2候補文字又は終了情報を、通信部201、携帯電話網10、無線基地局20を介して、携帯電話機100へ送信する(ステップS134)。
【0049】
第1候補文字及び第2候補文字を受け取った場合(ステップS135でNo)、音声合成部109は、第2候補文字を基にして音声信号を合成し(ステップS136)、スピーカ105は、音声を出力する(ステップS137)。制御部108は、入力制御部112から承認を示す入力信号を受け取ると(ステップS138でYes)、入出力制御部114は、第1候補文字を確定文字としてデータ記憶部115の文面保持領域に書き込む(ステップS139)。これにより、読みの変換を終了する。
【0050】
入力制御部112から非承認を示す入力信号を受け取ると、又は、応答期間内に入力信号を受け取らないと(ステップS138でNo)、次に、変換要求部110は、次の候補の要求を通信回路102、アンテナ101、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、サーバ装置200へ送信する(ステップS139)。次に、ステップS133へ制御を移す。
【0051】
終了情報を受け取った場合(ステップS135でYes)、入出力制御部114は、読みを確定文字としてデータ記憶部115の文面保持領域に書き込む(ステップS140)。これにより、読みの変換を終了する。
こうして、読みの変換が確定したので、その後は、次の読みの入力待ちの状態となり、上記を繰り返す。
【0052】
1.6 携帯電話機100及びサーバ装置200の各プロセスの動作
時間の経過に伴って、携帯電話機100及びサーバ装置200において実行される各プロセスが他のプロセスとどのような関係をもって動作するかを、図6に示すタイムチャートを用いて説明する。
図6において、横軸には、時間の経過を示し、縦軸には、携帯電話機100及びサーバ装置200において実行される各プロセスを示す。
【0053】
制御部108は、読み「はやく」を入力制御部112から受け取り(T01)、変換要求部110は、変換の要求と読みとをサーバ装置200へ送信する(T02)。変換部202は、テーブル記憶部203から第1候補文字「速く」及び第2候補文字「走る」を探索し(T03)、第1候補文字「速く」及び第2候補文字「走る」を携帯電話機100へ送信する(T04)。音声合成部109は、第2候補文字「走る」を基にして音声信号を合成し、スピーカ105は、音声信号を出力する(T05)。応答期間T06内に、制御部108は、入力制御部112から承認を示す入力信号を受け取ると(T08)、入出力制御部114は、第1候補文字「速く」を確定文字としてデータ記憶部115の文面保持領域に書き込む(T09)。
【0054】
応答期間T06内に、制御部108は、入力制御部112から非承認を示す入力信号を受け取ると(T07)、変換要求部110は、次候補の要求をサーバ装置200へ送信する(T10)。変換部202は、テーブル記憶部203から第1候補文字「早く」及び第2候補文字「起きる」を探索し(T11)、第1候補文字「早く」及び第2候補文字「起きる」を携帯電話機100へ送信する(T12)。音声合成部109は、第2候補文字「起きる」を基にして音声信号を合成し、スピーカ105は、音声信号を出力する(T13)。応答期間T14内に、制御部108は、入力制御部112から承認を示す入力信号を受け取ると(T15)、入出力制御部114は、第1候補文字「早く」を確定文字としてデータ記憶部115の文面保持領域に書き込む(T16)。
【0055】
応答期間T14内に、制御部108は、入力制御部112から入力信号を受け取らない場合(T14)、変換要求部110は、次候補の要求をサーバ装置200へ送信する(T17)。変換部202は、テーブル記憶部203から第1候補文字及び第2候補文字を探索し(T18)、候補情報が存在しないので、終了情報を携帯電話機100へ送信し(T19)、入出力制御部114は、読み「はやく」を確定文字としてデータ記憶部115の文面保持領域に書き込む(T20)
2.変形例
ここでは、携帯電話システム30の変形例としての携帯電話システム30a(図示していない)について説明する。
【0056】
携帯電話システム30aは、携帯電話機100a、無線基地局20及び携帯電話網10から構成されている。無線基地局20は、携帯電話網10に接続されている。
携帯電話システム30とは、携帯電話システム30aがサーバ装置200を含まない点において相違している。
携帯電話機100aは、携帯電話機100と同様に、無線基地局20及び携帯電話網10を介して、他の携帯電話機(図示していない)との間で、通話又は電子メールの送受信が可能となるように構成されている。
【0057】
また、携帯電話機100aは、以下に示すように、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する。携帯電話機100aは、読み、当該読みを表す漢字を含む第1候補文字及び前記第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を対応付ける変換テーブルを記憶している。電子メールの文面を作成する場合などに、携帯電話機100aは、利用者が所望する文字の読みを取得し、変換テーブルを用いて、前記読みに対応する第1候補文字及び第2候補文字を読み出し、読み出した前記第1候補文字及び前記第2候補文字を取得し、取得した前記第2候補文字を提示する。携帯電話機100は、提示された第2候補文字に対する利用者の承認を取得し、前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する。このようにして、携帯電話機100aは、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置として機能する。
【0058】
携帯電話機100aは、図7に示すように、アンテナ101、通信回路102、音声処理部103、マイク104、スピーカ105、操作部106、表示部107、制御部108、音声合成部109、変換要求部110、候補取得部111、入力制御部112、表示制御部113、入出力制御部114、データ記憶部115、変換部116及びテーブル記憶部117から構成されている。
【0059】
携帯電話機100aのアンテナ101、通信回路102、音声処理部103、マイク104、スピーカ105、操作部106、表示部107、制御部108、音声合成部109、変換要求部110、候補取得部111、入力制御部112、表示制御部113、入出力制御部114及びデータ記憶部115は、それぞれ、携帯電話機100の対応する構成要素と、以下に説明する点を除いて、同一である。
【0060】
携帯電話機100aの変換部116及びテーブル記憶部117は、サーバ装置200の変換部202及びテーブル記憶部203と、以下に説明する点を除いて、同一である。
変換要求部110は、読みと、読みに対する変換の要求とを変換部116に対して、出力する。また、次の変換候補の要求を変換部116に対して出力する。
候補取得部111は、変換部116から、「第1候補文字及び第2候補文字」及び「終了情報」のいずれかを取得する。
【0061】
変換部116は、変換要求部110から、変換の要求及び読み、並びに、次候補の要求を受け取る。また、候補取得部111に対して、第1候補文字及び第2候補文字並びに終了情報を出力する。
3.まとめ
以上説明したように、本実施の形態及び変形例では、利用者が所望する文字の読みを入力すると、読みを表した漢字を含む第1候補文字及び、第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を取得し、第2候補文字を利用者に提示し、提示に対して利用者の承認が得られると、第2候補文字とともに取得した第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する。
【0062】
このように、第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を提示するので、利用者は、提示された第2候補文字により、適切な第1候補文字に思い至ることができ、この結果、読みに対する適切な文字を確定させることができるという優れた効果を奏する。
本発明の一の実施態様は、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置であって、前記読みを取得する読み取得手段と、前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求手段と、前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得手段と、取得した前記第2候補文字を提示する候補提示手段と、提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得手段と、前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0063】
この構成によると、第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を提示するので、利用者は、提示された第2候補文字により、適切な第1候補文字に思い至ることができ、この結果、読みに対する適切な文字を確定させることができるという優れた効果を奏する。
ここで、前記候補提示手段は、取得した前記第2候補文字を基にして、当該第2候補文字の音を表した音声信号を合成する合成手段と、前記音声信号を音声として出力する音声出力手段とを含むとしてもよい。
【0064】
この構成によると、第2候補文字の音を表した音声信号を出力するので、視覚障害者であっても、第2候補文字を確認することができる。
ここで、前記候補取得手段は、前記第2候補文字として、慣用的に前記第1候補文字に後続して用いられる文字を取得するとしてもよい。
この構成によると、第2候補文字は、慣用的に第1候補文字に後続して用いられる文字であるので、第2候補文字を確認することにより、第1候補文字に思い至る可能性を高くすることができる。
【0065】
ここで、前記文字変換支援装置には、ネットワークを介して、サーバ装置が接続されており、前記変換要求手段は、ネットワークを介して、前記サーバ装置へ前記要求を送信し、前記サーバ装置は、読み、当該読みを表す漢字を含む第1候補文字及び前記第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を対応付けて記憶している記憶手段と、前記文字変換支援装置から、ネットワークを介して、前記読みから漢字を含む文字への変換の前記要求を受信する受信手段と、受信した前記要求に応答して、前記読みに対応する第1候補文字及び第2候補文字を前記記憶手段から読み出す変換手段と、読み出した前記第1候補文字及び前記第2候補文字を、ネットワークを介して、前記文字変換支援装置へ送信する送信手段とを備え、前記候補取得手段は、前記サーバ装置から、ネットワークを介して、前記第1候補文字及び前記第2候補文字を、受信することにより、取得するとしてもよい。
【0066】
この構成によると、サーバ装置に、読み、第1候補文字及び第2候補文字の対応が記憶されているので、文字変換支援装置の記憶容量が増加することはない。
ここで、前記文字変換支援装置は、さらに、読み、前記読みを表す漢字を含む第1候補文字及び前記第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を対応付けて記憶している記憶手段と、前記要求に応答して、前記読みに対応する第1候補文字及び第2候補文字を前記記憶手段から読み出す変換手段とを備え、前記候補取得手段は、前記変換手段から、前記第1候補文字及び前記第2候補文字を取得するとしてもよい。
【0067】
この構成によると、文字変換支援装置に、読み、第1候補文字及び第2候補文字の対応が記憶されているので、候補を取得するために、外部との接続が発生することがない。
また、本発明の別の実施態様は、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置で用いられる文字変換支援方法であって、前記読みを取得する読み取得ステップと、前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求ステップと、前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得ステップと、取得した前記第2候補文字を提示する候補提示ステップと、提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得ステップと、前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力ステップとを含むことを特徴とする。
【0068】
この方法によると、第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を提示するので、利用者は、提示された第2候補文字により、適切な第1候補文字に思い至ることができ、この結果、読みに対する適切な文字を確定させることができるという優れた効果を奏する。
また、本発明の別の実施態様は、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置で用いられる文字変換支援用のコンピュータプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータである文字変換支援装置に、前記読みを取得する読み取得ステップと、前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求ステップと、前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得ステップと、取得した前記第2候補文字を提示する候補提示ステップと、提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得ステップと、前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力ステップとを実行させるためのコンピュータプログラムを記録していることを特徴とする。
【0069】
また、本発明の別の実施態様は、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置で用いられる文字変換支援用のコンピュータプログラムであって、コンピュータである文字変換支援装置に、前記読みを取得する読み取得ステップと、前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求ステップと、前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得ステップと、取得した前記第2候補文字を提示する候補提示ステップと、提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得ステップと、前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力ステップとを実行させることを特徴とする。
【0070】
上記のコンピュータプログラムを実行させることにより、コンピュータが第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を提示するので、利用者は、提示された第2候補文字により、適切な第1候補文字に思い至ることができ、この結果、読みに対する適切な文字を確定させることができるという優れた効果を奏する。
4.その他の変形例
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0071】
(1)実施の形態及び上記変形例においては、携帯電話機が、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置として機能すると説明しているが、これには、限定されない。携帯電話機ではなく、パーソナルコンピュータに代表されるコンピュータシステムにおいて、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置として機能するとしてもよい。
【0072】
また、実施の形態において、パーソナルコンピュータは、インターネットに代表されるネットワークを介して、サーバ装置に接続されるとしてもよい。
(2)上記の実施の形態及び変形例において、読み「はやく」に対して、第1候補文字「速く」及び第2候補文字「走る」を取得し、第2候補文字「走る」の音を表した音声信号を出力する。ここで、非承認を示す入力信号を受け取ると、又は入力信号を受け取らないと、次の第1候補文字「早く」及び第2候補文字「起きる」を取得し、第2候補文字「起きる」の音を表した音声信号を出力する。ここで、非承認を示す入力信号を受け取ると、又は入力信号を受け取らないと、読み「はやく」を確定文字としてデータ記憶部115に書き込むとしている。しかし、これには限定されない。
【0073】
第2候補文字「起きる」の音を表した音声信号を出力したとき、ここで、入力信号を受け取らない場合に、もう一度、第1候補文字「速く」及び第2候補文字「走る」を取得し、第2候補文字「走る」の音を表した音声信号を出力してもよい。以下、承認又は非承認を示す入力信号を受け取るまで、第1候補文字「速く」及び第2候補文字「走る」の取得及び音声信号の出力と、第1候補文字「早く」及び第2候補文字「起きる」の取得及び音声信号の出力とを繰り返すとしてもよい。
【0074】
(3)上記の実施の形態及び変形例において、読み「はやく」に対して、第1候補文字「速く」及び第2候補文字「走る」を取得し、次の候補要求に応じて、次の第1候補文字「早く」及び第2候補文字「起きる」を取得している。しかし、これには限定されない。
読み「はやく」に対して、第1候補文字「速く」及び第2候補文字「走る」、並びに、次の第1候補文字「早く」及び第2候補文字「起きる」を、同時に、取得し、記憶するとしてもよい。
【0075】
(4)上記の実施の形態及び変形例において、読みに対して、第1候補文字及び第2候補文字を取得し、第2候補文字の音を表した音声信号を出力する。ここで、承認を示す入力信号を受け取ると、第1候補文字を確定させている。しかし、これには限定されない。
第1候補文字の確定に加えて、さらに、第2候補文字を確定させてもよい。この場合、さらに、入出力制御部114は、確定した第2候補文字をデータ記憶部115の文面保持領域に書き込み、表示制御部113は、確定した第2候補文字を表示部107の文面表示領域に表示するように制御する。
【0076】
(5)上記の実施の形態及び変形例において、第2候補文字を音声により出力するとしている。しかし、これには限定されない。表示制御部113は、第2候補文字を、候補文字として、表示部107に表示するように制御してもよい。
(6)上記の実施の形態及び変形例において、読みに対する候補文字が確定したときに、当該読みに対する変換が完了したことを示す完了音をスピーカにより出力するとしてもよい。
【0077】
(7)上記の実施の形態及び変形例において、第2候補文字の音を表す音声信号の出力に対して、承認を示す入力信号を受け取った場合に、第1候補文字を確定させ、その後、再度、本発明のかな漢字変換に戻るとしている。しかし、これには限定されない。
第2候補文字の音を表す音声信号の出力に対して、承認を示す入力信号を連続して2個受け取った場合に、言い換えると、第1の承認を示す入力信号を受け取った第1時点と、第2の承認を示す入力信号を受け取った第2時点との差分が閾値以下である場合に、第1候補文字を確定させ、その後、再度、第2候補文字を発声する本発明のかな漢字変換に戻るとしてもよい。また、第2候補文字の発声に対して、承認を示す入力信号を1個受け取った場合に、第2候補文字を取得せず、第2候補文字を発声しない通常のかな漢字変換に戻るとしてもよい。
【0078】
(8)本発明の一態様は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよい。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
また、本発明の一態様は、前記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラムであるとしてもよい。
【0079】
また、本発明の一態様は、前記コンピュータプログラムを、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、上記の各装置は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0080】
また、前記プログラムを前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラムを前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(9)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の文字変換支援装置は、第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を提示するので、利用者は、提示された第2候補文字により、適切な第1候補文字に思い至ることができるという優れた効果を奏し、利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する技術として有用である。
【符号の説明】
【0082】
10 携帯電話網
30、30a 携帯電話システム
100、100a 携帯電話機
101 アンテナ
102 通信回路
103 音声処理部
104 マイク
105 スピーカ
106 操作部
107 表示部
108 制御部
109 音声合成部
110 変換要求部
111 候補取得部
112 入力制御部
113 表示制御部
114 入出力制御部
115 データ記憶部
116 変換部
117 テーブル記憶部
200 サーバ装置
201 通信部
202 変換部
203 テーブル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置であって、
前記読みを取得する読み取得手段と、
前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求手段と、
前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得手段と、
取得した前記第2候補文字を提示する候補提示手段と、
提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得手段と、
前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力手段と
を備えることを特徴とする文字変換支援装置。
【請求項2】
前記候補提示手段は、
取得した前記第2候補文字を基にして、当該第2候補文字の音を表した音声信号を合成する合成手段と、
前記音声信号を音声として出力する音声出力手段と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の文字変換支援装置。
【請求項3】
前記候補取得手段は、前記第2候補文字として、慣用的に前記第1候補文字に後続して用いられる文字を取得する
を含むことを特徴とする請求項1に記載の文字変換支援装置。
【請求項4】
前記文字変換支援装置には、ネットワークを介して、サーバ装置が接続されており、
前記変換要求手段は、ネットワークを介して、前記サーバ装置へ前記要求を送信し、
前記サーバ装置は、
読み、当該読みを表す漢字を含む第1候補文字及び前記第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を対応付けて記憶している記憶手段と、
前記文字変換支援装置から、ネットワークを介して、前記読みから漢字を含む文字への変換の前記要求を受信する受信手段と、
受信した前記要求に応答して、前記読みに対応する第1候補文字及び第2候補文字を前記記憶手段から読み出す変換手段と、
読み出した前記第1候補文字及び前記第2候補文字を、ネットワークを介して、前記文字変換支援装置へ送信する送信手段とを備え、
前記候補取得手段は、前記サーバ装置から、ネットワークを介して、前記第1候補文字及び前記第2候補文字を、受信することにより、取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の文字変換支援装置。
【請求項5】
前記文字変換支援装置は、さらに、
読み、前記読みを表す漢字を含む第1候補文字及び前記第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字を対応付けて記憶している記憶手段と、
前記要求に応答して、前記読みに対応する第1候補文字及び第2候補文字を前記記憶手段から読み出す変換手段とを備え、
前記候補取得手段は、前記変換手段から、前記第1候補文字及び前記第2候補文字を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の文字変換支援装置。
【請求項6】
利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置で用いられる文字変換支援方法であって、
前記読みを取得する読み取得ステップと、
前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求ステップと、
前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得ステップと、
取得した前記第2候補文字を提示する候補提示ステップと、
提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得ステップと、
前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力ステップと
を含むことを特徴とする文字変換支援方法。
【請求項7】
利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置で用いられる文字変換支援用のコンピュータプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータである文字変換支援装置に、
前記読みを取得する読み取得ステップと、
前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求ステップと、
前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得ステップと、
取得した前記第2候補文字を提示する候補提示ステップと、
提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得ステップと、
前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力ステップと
を実行させるためのコンピュータプログラムを記録している記録媒体。
【請求項8】
利用者が所望する文字の読みから、漢字を含む文字への変換を支援する文字変換支援装置で用いられる文字変換支援用のコンピュータプログラムであって、
コンピュータである文字変換支援装置に、
前記読みを取得する読み取得ステップと、
前記読みから漢字を含む文字への変換を要求する変換要求ステップと、
前記読みを表す漢字を含む第1候補文字と、当該第1候補文字に関連して用いられる第2候補文字とを取得する候補取得ステップと、
取得した前記第2候補文字を提示する候補提示ステップと、
提示された前記第2候補文字に対する利用者の承認を取得する承認取得ステップと、
前記承認を取得した場合、取得した前記第1候補文字を、前記読みに対応する確定文字として出力する出力ステップと
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−69114(P2013−69114A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207196(P2011−207196)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】