説明

文書管理装置、文書管理システムおよび文書管理プログラム

【課題】文書の文字のメトリクス情報を用いない場合に比べて、文書のレイアウトを損なうことがない文書管理装置、文書管理システムおよび文書管理プログラムを提供する。
【解決手段】HTMLファイル100から、指定文字のメトリクス情報(幅及び高さ)を求め、コメント112として埋め込んだHTMLファイル110を生成し、文字を出力(表示や印刷)するときのフォント(117)に置き換えたときの文字の大きさと、作成されたときの大きさとを比較する。指定されたフォントの形状情報が存在しない場合であっても、埋め込まれたメトリクス情報から大きさが定まる。大きさの比較結果の大小に応じて、フォントを置き換えたときの文字の大きさに拡大縮小率の逆数を乗じて出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理装置、文書管理システムおよび文書管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信回線上で端末から送信された文書データを元にその端末から指定された出力形式の文書を生成する文書生成システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、文書を生成する場合、その文書に使用されているフォント情報を文書自体に保持させている。使用されているフォント情報を保持した文書を出力側の端末に出力する。
【0003】
また、テキスト表示するときに指定したフォントが使用できない場合、置換(代用)フォントを使用してテキストを表示する電子文書表示装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この装置は、指定したフォントが使用できないときに置換フォントで表示した後に使用可能なフォントを獲得し直し、再表示して指定フォントに近いものを選びレンダリングし、テキスト表示する。
【特許文献1】特開2002−334059号公報
【特許文献2】特表2000−500887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、文書の文字のメトリクス情報を用いない場合に比べて、文書のレイアウトを損なうことがない文書管理装置、文書管理システムおよび文書管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の文書管理装置は、文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書について、文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、前記電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、前記出力装置で用いる形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報と、前記メトリクス情報と、前記比率とに基づいて、前記電子文書に指定された文字の占有領域の大きさとなるように、前記出力装置で使用する形状情報による文字の占有領域の大きさを調整する調整手段と、を備える。
【0006】
請求項2に記載の文書管理装置は、請求項1に記載の文書管理装置において、抽出したメトリクス情報を、電子文書の画像表示に影響を与えないコメント情報として電子文書に埋め込む埋込手段と、前記電子文書に埋め込まれたコメント情報からメトリクス情報を読み取り前記比率調整手段へ出力する読取出力手段と、を備える。
【0007】
請求項3に記載の文書管理装置は、請求項1または請求項2記載の文書管理装置において、前記調整手段は、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報による文字の占有領域の大きさを、前記比率を乗じた大きさとする画像を生成する。
【0008】
請求項4に記載の文書管理装置は、文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報を取得する取得手段と、前記電子文書内における文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、前記取得手段で取得した形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、前記出力装置で使用する形状情報と、前記電子文書に指定されたサイズ情報に前記比率を乗じたサイズ情報と、に対応させて表した電子文書を作成する作成手段と、を備える。
【0009】
請求項5に記載の文書管理システムは、文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書について、文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、抽出したメトリクス情報を、電子文書の画像表示に影響を与えないコメント情報として電子文書に埋め込む埋込手段と、前記コメント情報が埋め込まれた前記電子文書を通信回線により出力する出力手段と、を備えた文書生成装置と、前記コメント情報が埋め込まれた電子文書を前記通信回線により入力する入力手段と、前記電子文書に埋め込まれたコメント情報に基づいてメトリクス情報を解釈する解釈手段と、前記電子文書を出力する自機で用いる形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記自機で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、前記自機で用いる形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報と、前記メトリクス情報と、前記比率とに基づいて、前記電子文書に指定された文字の占有領域の大きさとなるように、前記自機で使用する形状情報による文字の占有領域の大きさを調整する調整手段と、前記文字の占有領域の大きさが調整された電子文書を出力する出力手段と、を備えた文書処理装置と、を備える。
【0010】
請求項6に記載の文書管理システムは、文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書を出力する文書処理装置で用いる形状情報を取得する取得手段と、前記電子文書内における文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、前記取得手段で取得した形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記文書処理装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、前記文書処理装置で使用する形状情報と、前記電子文書に指定されたサイズ情報に前記比率を乗じたサイズ情報と、に対応させて表した電子文書を作成する作成手段と、前記作成された前記電子文書を通信回線により出力する出力手段と、を備えた文書生成装置と、前記電子文書を出力する自機で用いる形状情報を通信回線により送出する送出手段と、前記文書生成装置から出力された電子文書を前記通信回線により入力する入力手段と、前記入力された電子文書を出力する出力手段と、を備える。
【0011】
請求項7に記載文書管理プログラムは、文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書について、文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出ステップと、前記電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算ステップと、前記出力装置で用いる形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報と、前記メトリクス情報と、前記比率とに基づいて、前記電子文書に指定された文字の占有領域の大きさとなるように、前記出力装置で使用する形状情報による文字の占有領域の大きさを調整する調整ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0012】
請求項8に記載の文書管理プログラムは、請求項7記載のコンピュータに実行させるための文書管理プログラムであって、抽出したメトリクス情報を、電子文書の画像表示に影響を与えないコメント情報として電子文書に埋め込む埋込ステップと、前記電子文書に埋め込まれたコメント情報からメトリクス情報を読み取り出力する読取出力ステップと、を備える。
【0013】
請求項9に記載の文書管理プログラムは、請求項7または請求項8記載のコンピュータに実行させるための文書管理プログラムであって、前記調整ステップは、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報による文字の占有領域の大きさを、前記比率を乗じた大きさとする画像を生成する。
【0014】
請求項10に記載の文書管理プログラムは、文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報を取得する取得ステップと、前記電子文書内における文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、前記取得手段で取得した形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算ステップと、前記出力装置で使用する形状情報と、前記電子文書に指定されたサイズ情報に前記比率を乗じたサイズ情報と、に対応させて表した電子文書を作成する作成ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、文書のレイアウトが損なわれない、という効果が得られる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、フォント情報を埋め込む場合に比べ、データ容量が削減される、という効果が得られる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、指定された文字の大きさで画像が生成される、という効果が得られる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、文書のレイアウトが損なわれない、という効果が得られる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、文書のレイアウトが損なわれない、という効果が得られる。
【0020】
請求項6に記載の本発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、文書のレイアウトが損なわれない、という効果が得られる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、文書のレイアウトが損なわれない、という効果が得られる。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、フォント情報を埋め込む場合に比べ、データ容量が削減される、という効果が得られる。
【0023】
請求項9に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、指定された文字の大きさで画像が生成される、という効果が得られる。
【0024】
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、文書のレイアウトが損なわれない、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態にかかる文書管理システムを図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態で扱う文書には、テキスト等からなる文字による文書、図形や写真等のイメージとテキスト等からなる文字との両方からなる文書が含まれる。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施の形態に係る文書管理システム10の概略構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、本実施の形態に係る文書管理システム10は、文書管理サーバ12、文書を表示するユーザが操作するユーザ端末14,及びLAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット等のネットワークを含む通信回線16で構成されており、文書管理サーバ12、及びユーザ端末14は、通信回線16を介して相互に接続されている。なお、図1では、文書管理サーバ12は1台を示すが、2台以上でもよい。また、ユーザ端末14は1台で示すが、複数台でもよい。
【0027】
本実施の形態では、文書管理サーバ12とユーザ端末14を通信回線16を介して相互に接続される場合を説明するが、これに限定されるものではなく、画像形成出力のためのプリンタを接続してもろい。このプリンタには、印刷機能を有する専用プリンタや、印刷機能を有する画像出力装置、スキャナ等の画像読取装置、ファックス等の画像送信装置等の多機能を有する複合装置がある。
【0028】
この文書管理システム10は、例えば、ユーザがユーザ端末14にログオンして文書管理サーバ12に対して文書要求を行うと、文書管理サーバ12から文書データが、ユーザ端末14に提供される。これより、文書管理サーバ12に蓄積されている文書をユーザ端末14で表示したり印刷したりすることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、文書管理サーバ12単体で機能するシステムを構成しているが、これに限定されるものではなく、複数のサーバから構成してもよい。具体的には、文書管理サーバの他に、認証サーバやプリントサーバの一部または全部の機能を独立したバーバ構成としてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、文書にブラウザ等で表示するためのHTML文書を挙げ、そのHTML文書を表示装置に出力する場合を一例として説明する。しかし、文書はHTML文書に限定されるものではなく、一般的なページ記述言語に対応してもよい。また、文書の出力は、表示装置への出力に限定されるものではなく、印刷装置などの画像形成装置へ出力するようにしてもよい。この場合、HTML文書をそのまま印刷装置へ出力して文書を出力する場合や、HTML文書を印刷装置の言語に変換して出力する場合が挙げられる。これらの場合にあっても御実施形態は有効に機能する。
【0031】
(ユーザ端末)
ユーザ端末14は、文書管理サーバ12へ文書を要求するユーザが操作するものであり、クライアント端末として機能する。ユーザ端末14は、各部を制御するCPU22と、Webブラウザ等のCPU22のプログラムやデータを記憶するROM24,RAM26,HDD28等からなる記憶部と、キーボード,マウス等を備えた入力部30と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部32と、通信回線16に接続された通信インターフェース(I/F)34とを備えて構成されている。HDD28には各種フォント情報が格納されたフォント記憶部46が備えられている。CPU22,ROM24,RAM26,HDD28,入力部30,表示部32,及び通信I/F34は、コントロールバスやデータバス等のバス20を介して互いに情報等の授受が可能に接続されている。また、バス20には画像処理部36が情報等の授受が可能に接続されている。CPU22では、詳細を後述する文書処理が実行される。
【0032】
画像処理部36は、HTML解釈部38,メトリクス抽出部40,および大きさ調整部42を備えている。調整部42には、ラスタライザ44が備えられている。画像処理部36は、詳細を後述するように、文書の一例であるHTML文書をWebブラウザで表示するときに、文字の大きさを調整するものである。HTML解釈部38は、文書管理サーバ12から送出されたHTML文書について文字の大きさを調整するための情報(後述するコメント情報)を解釈するものである。メトリクス抽出部40は、HTML解釈部38で解釈した情報から文字に関するメトリクス情報を抽出するものである。調整部42は、ユーザ端末14で表示する文字について文書管理サーバ12から送出されたHTML文書に基づく文字をユーザ端末14用に調整するものである。この調整部42に接続されたラスタライザ44は、文字をラスタライズするものである。
【0033】
メトリクス情報とは、フォントが占有する領域の大きさを定義した情報であり、例えば幅と高さで規定され、フォントが収容される箱で表現できる。なお、メトリクス情報には、幅や高さの基準となるベースラインをさらに規定してもよい。
【0034】
ラスタライズとは、ユーザ端末14が扱う文字や画像を、プリンタで印刷したりディスプレイに表示したりできるように、小さな点の集まりで表現することである。例えば、点(ピクセル)の座標とそれを結ぶ線や面の数式のパラメータ、および塗りつぶしなどの描画情報(ベクタ形式)によって記憶しているフォント(文字)や画像を、そのベクタ形式の情報を展開して、点の集まりに変換する変換処理をいう。
【0035】
(文書管理サーバ)
文書管理サーバ12は、文書管理システム10においてHTML文書等のユーザ端末に供される文書データの格納部として機能するものであり、ユーザにより要求された文書の提供を実行するための装置である。文書管理サーバ12は、文書管理サーバ12の各部を制御するCPU52と、プログラムや文書情報等のデータを記憶するROM54,RAM56,HDD58等からなる記憶部と、入力部60と、表示部62と、通信回線16に接続された通信I/F64とを有する。HDD58には各種フォント情報が格納されたフォント記憶部72が備えられている。CPU52,ROM54,RAM56,HDD58,入力部60,表示部62及び64は、コントロールバスやデータバス等のバス50を介して互いに情報等の授受が可能に接続されている。また、バス50には画像処理部66が情報等の授受が可能に接続されている。CPU52では、詳細を後述する文書処理が実行される。
【0036】
画像処理部66は、HTML生成部68及びメトリクス抽出部70を備えている。画像処理部66は、詳細を後述するように、Webブラウザで表示させる文書の一例であるHTML文書について、クライアントであるユーザ端末14において文字の大きさを調整するための情報(後述するコメント情報)を埋め込むものである。HTML生成部68は、HTML文書について文字の大きさを調整するための情報(後述するコメント情報)を埋め込むものである。メトリクス抽出部70は、HTML生成部68で埋め込む情報であるメトリクス情報を抽出するものである。
【0037】
なお、文書管理サーバ12のHDD58には帳票デザインツール等により作成された帳票フォーマット情報が格納されたフォント記憶部が備えられている。帳票フォーマット情報とは、文書を表示や印刷するときの表示領域や印刷領域における文字や画像の位置及び大きさを定めた描画情報である。
【0038】
(文書管理システムの概要)
次に、本実施の形態に係る文書管理システム10の動作概要を説明する。
【0039】
図2は、文書管理システム10の電子文書が推移する概念を示すイメージ図である。ここでは、電子文書として、HTML形式で記述されたHTMLファイル100を用いて説明する。電子文書は、HTML形式で記述されたものに限定されるものではなく、ページ記述言語で記述されたものでもよく、また、例えば、点(ピクセル)の座標とそれを結ぶ線や面の数式のパラメータ、および塗りつぶしなどの描画情報(ベクタ形式)によって格納したフォント(文字)や画像を、そのベクタ形式の情報を含む文書として記述されたものであってもよい。
【0040】
HTMLファイル100は、作成されたときの文字に関する情報としてフォント指定(形状情報),文字の大きさ(サイズ情報)、及び文字指定(ABCDE)を含んでいる。この文字に関する情報を用いて、指定の大きさ及び形状で文字を出力(表示や印刷)可能となる。このHTMLファイル100で指定されたフォント(形状情報)及びサイズ(サイズ情報)を用いて、指定文字のメトリクス情報(幅情報及び高さ情報)を求めて、コメント情報112を埋め込んだHTMLファイル110を生成する生成処理115を実行する。このまでの過程を文書管理サーバ12で実行することが好ましいが、全ての過程をユーザ端末14で実行してもよい。
【0041】
次に、文字を出力(表示や印刷)するときのフォントの形状情報(フォント情報117)に置き換えたときのHTMLファイル110の指定文字の大きさと、作成されたときのフォントの形状情報によるHTMLファイル110の指定文字の大きさとを比較するサイズ演算処理118を実行する。このとき指定されたフォントの形状情報が存在しない場合であっても、埋め込まれたコメント情報112に基づくメトリクス情報から大きさが定まる。この作成時のフォントによる文字の大きさと、置き換えたフォントにより出力(表示や印刷)するときの文字をラスタライズ(120)し、大きさを比較する。
【0042】
サイズ演算処理118を実行した結果の大小に応じて、拡大縮小率を求めて(122)、フォントを置き換えたときのHTMLファイル110の指定文字の大きさに拡大縮小率の逆数を乗じてその大きさでラスタライズする。これを出力(表示や印刷:124)することで、対象の文字132を得る。この文字132は、HTMLファイル100が作成されたときのフォント指定による出力領域内の文字130に大きさが等価である。一方、コメント情報に基づくメトリクス情報から大きさを定めずに出力(表示や印刷)すると、HTMLファイル100が作成されたときのフォント指定による出力領域から、例えばはみ出した文字134が出力される。
【0043】
(文書管理システムの具体的動作例)
次に、本実施の形態に係る文書管理システム10の文書管理サーバ12およびユーザ端末14の動作を詳細に説明する。ここでは、上述の文書管理システム10における動作概要において、文書管理サーバ12がHTMLファイル110を生成、ユーザ端末14がメトリクス情報により文字の大きさを調整する場合を説明する。
【0044】
・文書管理サーバ12
図3は、文書管理サーバ12で実行される文書処理の流れを示したフローチャートである。図3に示すように、文書管理サーバ12では、URLの指定等によりHTMLファイル100の出力の要求を示すデータをユーザ端末14から受信すると(ステップ200で肯定)、ステップ202において記憶部内の文書データを参照し、ユーザ端末14から要求されたHTMLファイル100を読み取る。次のステップ204では、HTMLファイル100で指定された文字についてフォント記憶部72を参照して文字のメトリクス情報を決定する。このステップ204では、指定された文字についてフォント記憶部72から読み出したフォントをラスタライズして幅及び高さを求めてメトリクス情報を決定してもよく、予め記憶されているフォントのメトリクス情報を読み取ることによって決定してもよい。このメトリクス情報の決定処理は、メトリクス抽出部70(図1参照)で実行される。
【0045】
図4は、HTMLファイル100の一例を示す構成図である。HTMLファイル100は、作成時に指定したフォント(形状情報)を格納するフォント指定領域102、作成時に指定した文字のサイズ(サイズ情報)を格納する文字サイズ指定領域104、作成時に指定した文字を格納する文字指定領域106,およびHTMLファイル100に関して作成者が記入するコメントを格納するコメント領域108を含んで構成されている。なお、このコメント領域108は、HTMLファイル100の記載方式について一般的に規定された記述によるコメント項目の記載であって、本実施形態におけるコメント情報112の記述とは相違する(詳細後述)。
【0046】
図3のステップ204では、HTMLファイル100の文字指定領域106に記述された文字について、該当文字に対応するフォント情報としてフォント記憶部72の文字情報を読み取って、これに基づいてメトリクス情報を決定する。
【0047】
次のステップ206では、ステップ204で決定したメトリクス情報を、文字と関連づけたコメント情報として作成し、次のステップ208においてHTMLファイル100に埋め込んで、HTMLファイル110を生成する。このHTMLファイル110の生成処理は、HTML生成部68(図1参照)で実行される。これらステップ204乃至ステップ208の処理を指定された文字の全てについて終了するまで繰り返し実行し、終了すると(ステップ210で肯定)、ステップ212に進む。ステップ212では、生成させたHTMLファイル110を、要求のあったユーザ端末14へ向けて送信して本ルーチンを終了する。
【0048】
図5は、HTMLファイル110の一例を示す構成図である。HTMLファイル110は、HTMLファイル100と同様であるが、作成時に指定したフォント(形状情報)を格納するフォント指定領域102、作成時に指定した文字のサイズ(サイズ情報)を格納する文字サイズ指定領域104、作成時に指定した文字を格納する文字指定領域106,およびHTMLファイル110に関して作成者が記入するコメントを格納するコメント領域108を含んで構成されている。HTMLファイル110とHTMLファイル100の相違点は、HTMLファイル110にコメント情報112が追加されていることである。コメント情報112には、文字指定領域106に格納された指定文字の各々のメトリクス情報がコメントとして格納される。なお、コメント情報112は、HTMLファイル100に一般的なコメント項目の記載、つまり通常のコメントと差異をつけるため、本実施形態では、コメント情報として記号「%%」を各行の文頭に付与している。また、「%%コメント開始」、「%%コメント終了」の項目は、見出しとしてコメント情報の開始端と終了端の識別子として機能するように追加している。
【0049】
なお、上記では、メトリクス情報を決定し、コメント情報として1文字づつ処理した例を説明したが、これに限定されない。例えば、帳票のように、文字列を格納するための領域としてセルが定められている場合には、このセル単位でメトリクス情報を処理してもよい。具体的には、文字列「ABCDE」の出力領域として指定されるセルの幅及び高さが指定されている場合、このセルの幅及び高さを文字列「ABCDE」のメトリクス情報とすればよい。
【0050】
・ユーザ端末14
一方、ユーザ端末14では、ユーザ端末14上で実行されるWEBブラウザ等のプログラム配下で、文書管理サーバ12に対して、URLの指定等によりHTMLファイルの出力の要求を示すデータを送信し、HTMLファイル100またはHTMLファイル110が返信されることを待機する。
【0051】
図6は、ユーザ端末14において実行される文書処理の流れの一例を示すフローチャートである。本文書処理では、文書出力の一例として、ユーザ端末14上で実行されるWEBブラウザ等のプログラム実行により、表示部32へHTMLファイルの文書を表示する場合について説明する。ユーザがユーザ端末14を操作してURLの指定等によりHTMLファイルの出力の要求を示すデータを送信し、HTMLファイルの返信を待機した状態になると、ステップ300へ進み、HTMLファイルからメトリクス情報を所得する。
【0052】
この取得処理では、HTMLファイルに上記コメント情報(図5参照)が記述されているか否か(「%%」が文頭にあるコメント行が有るか否か)を判別することにより、メトリクス情報の有無を判断可能である。メトリクス情報が記述されていないHTMLファイル100が文書管理サーバ12から返信された場合は、一般的なHTMLファイル100であるため、以下の処理をスキップし、返信されたHTMLファイル100について、通常のWEB画面表示を実行して本ルーチンを終了する。
【0053】
一方、メトリクス情報が記述されているHTMLファイル110が文書管理サーバ12から返信された場合は、HTMLファイル110からメトリクス情報を取得し、ステップ302へ進む。ステップ302は、ユーザ端末14において文字を出力するときに用いるフォントの形状情報を置換フォント情報として取得する処理である。具体的には、フォント記憶部46から、HTMLファイル110で指定された形状情報に対して予め置換(代替)が定められたフォントの形状情報を読み取る。なお、置換(代替)するフォントの形状情報は、ユーザが指定するようにしてもよい。
【0054】
なお、上記取得処理は、HTML解釈部38およびメトリクス抽出部40(図1参照)で実行される。
【0055】
また、ステップ302において、HTMLファイル110の形状情報がフォント記憶部46に存在する場合には、通常出力が可能であるため、以下の処理をスキップし、HTMLファイル110について、通常のWEB画面表示を実行して本ルーチンを終了する。
【0056】
次のステップ304では、文字の大きさを比較する処理を実行する(図2のサイズ演算処理118)。このサイズ比較処理では、フォント記憶部46に記憶された文字を出力(表示や印刷)するときのフォントの形状情報(図2のフォント情報117)に置き換えたときのHTMLファイル110の指定文字の大きさと、作成されたときのフォントの形状情報によるHTMLファイル110の指定文字の大きさとを比較する処理を実行する。
【0057】
ステップ304の比較処理では、まず、置換(代替)するフォントの形状情報により出力される文字をラスタライズする。これにより得られる置換フォントによる文字の幅及び高さの大きさ(例えばバウンディングボックスの大きさ)と、HTMLファイル110から出力すべき文字のメトリクス情報を取り出して得た、文字の幅及び高さの大きさ(例えばバウンディングボックスの大きさ)と、を比較する。
【0058】
次のステップ306では、ステップ304の比較結果により、大きさが相違するか否かを判断する。否定された場合には、(拡大縮小率を「1」として)ステップ310へ進み、肯定された場合には、ステップ308において拡大縮小率を演算した後にステップ310へ進む。ステップ310では、拡大縮小率に応じて文字をWEBブラウザ上に表示する。
【0059】
具体的には、ステップ304の比較結果から、実際にラスタライズした結果がHTMLファイル110のコメント情報として埋め込まれたメトリクス情報による大きさ(図7に示すバウンディングボックス136)よりも大きい場合には、ラスタライズして得られた大きさ(図7に示すバウンディングボックス138)を分母に、HTMLファイル110で指定された大きさ(図7に示すバウンディングボックス136)を分子とした縮小率を元の文字の大きさに乗じた大きさで、同じ文字を再度ラスタライズする。このラスタライズした文字をWEBブラウザ上に表示する。
【0060】
なお、上記比較処理および拡大縮小率計算処理は、ラスタライザ44を備えた大きさ調整部42(図1参照)で実行される。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態では、文書管理サーバ12においてHTMLファイル100に内包される文字のメトリクス情報をコメント情報として埋め込んだHTMLファイル110を生成する。ユーザ端末14では、コメント情報が埋め込まれたHTMLファイル110から文字の大きさと実際に出力される文字の大きさを比較し、その結果で文字を拡大縮小して、文書を出力させる。
【0062】
このように、本実施の形態の文書管理システム10では、HTMLファイル100に内包される文字のメトリクス情報をコメント情報として埋め込み、これを解釈して自機に存在しないフォントによる大きさを決定し、その大きさに文字を拡大縮小する。このため、出力(表示や印刷)するときに、存在しないフォントを置換したことによる枠からのはみ出しが発生することがない。
【0063】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態は第1実施形態と同一の構成を含むので、同一部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、相違する部分について説明する。
【0064】
図8は、本実施の形態に係る文書管理システム10の概略構成の一例を示す概略図である。図8に示すように、本実施の形態に係る文書管理システム10では、文書管理サーバ12、及びユーザ端末14は、通信回線16を介して相互に接続されている。
【0065】
本実施形態は、ユーザ端末14から文書管理サーバ12へ、ユーザ端末14が所持するフォントのリストを、予め送信するものである。本実施形態の文書管理システム10は、例えば、ユーザがユーザ端末14にログオンして文書管理サーバ12に対して文書要求を行うときに、ユーザ端末14が所持するフォントのリストを併せて送信する。これにより文書管理サーバ12から文書データが、ユーザ端末14に提供される。これより、文書管理サーバ12に蓄積されている文書をユーザ端末14で表示したり印刷したりすることができる。
【0066】
(ユーザ端末)
ユーザ端末14の画像処理部36は、HTML解釈部38,およびHTML表示要求部43を備えている。画像処理部36は、詳細を後述するように、文書の一例であるHTML文書をWebブラウザで表示するときに、文字の大きさを調整するものである。HTML解釈部38は、本実施形態では、文書管理サーバ12から送出されたHTML文書について文字の大きさを解釈するものである。HTML表示要求部43は、文書管理サーバ12に対して文書要求するときに併せて、ユーザ端末14が所持するフォントのリストを送信するものである。
【0067】
(文書管理サーバ)
文書管理サーバ12の画像処理部66は、HTML要求解釈部67,HTML生成部69、メトリクス抽出部70、大きさ調整部42を備えている。大きさ調整部42には、ラスタライザ44が備えられている。画像処理部66は、詳細を後述するように、Webブラウザで表示させる文書の一例であるHTML文書について、クライアントであるユーザ端末14からフォントリストを取得して、ユーザ端末14において文字の大きさが適正に表示させるためのHTML文書を作成するためのものである。HTML要求解釈部67は、ユーザ端末14からの要求に含まれるフォントリストを把握するものである。HTML生成部69は、把握したフォントリストを用いてHTML文書をユーザ端末14で出力するときに、文字の大きさを調整するものである。
【0068】
(文書管理システムの概要)
次に、本実施の形態に係る文書管理システム10の動作概要を説明する。
【0069】
図9は、文書管理システム10の電子文書が推移する概念を示すイメージ図である。
【0070】
作成されたときの文字に関する情報を含むHTMLファイル100に併せて、そのHTMLファイル100を要求する文書として文字を出力(表示や印刷)するときのフォントの形状情報(フォント情報117)のフォントリスト141を記述したHTML文書140を取得する。このHTMLファイル100で指定されたフォント(形状情報)及びサイズ(サイズ情報)を用いて、指定文字のメトリクス情報(幅情報及び高さ情報)を求める。
【0071】
次に、HTML文書140に記述されたフォントリスト141から得られる、文字を出力(表示や印刷)するときのフォントの形状情報(フォント情報117)に置き換えたときのHTMLファイル110の指定文字の大きさと、メトリクス情報によるHTMLファイル110の指定文字の大きさとを比較するサイズ演算処理118を実行する。このとき指定されたフォントの形状情報が存在しない場合であっても、メトリクス情報から大きさが定まる。この作成時のフォントによる文字の大きさと、置き換えたフォントにより出力(表示や印刷)するときの文字をラスタライズ(120)し、大きさを比較する。
【0072】
サイズ演算処理118を実行した結果の大小に応じて、拡大縮小率を求めて(処理122)、フォントを置き換えたときのHTMLファイル110の指定文字の大きさとして、サイズ情報に拡大縮小率の逆数を乗じてその大きさでラスタライズする。このサイズ情報に拡大縮小率の逆数を乗じたものを、新規のサイズ情報として、フォントを置き換えたときの形状情報及び新規のサイズ情報を、ユーザ端末14へ返信するためのHTMLファイル146として生成し(処理144)、これを出力(表示や印刷:124)することで、対象の文字132を得る。この文字132は、HTMLファイル100が作成されたときのフォント指定による出力領域内の文字130に大きさが等価である。一方、コメント情報に基づくメトリクス情報から大きさを定めずに出力(表示や印刷)すると、HTMLファイル100が作成されたときのフォント指定による出力領域から、例えばはみ出した文字が出力される。
【0073】
(文書管理システムの具体的動作例)
次に、本実施の形態に係る文書管理システム10の文書管理サーバ12およびユーザ端末14の動作を詳細に説明する。ここでは、上述の文書管理システム10における動作概要において、文書管理サーバ12がメトリクス情報に基づきHTMLファイル146を生成、ユーザ端末14がフォントリストを送信し、返信されたHTMLファイル146を表示する場合を説明する。
【0074】
・文書管理サーバ12
図10は、文書管理サーバ12で実行される文書処理の流れを示したフローチャートである。図10に示すように、文書管理サーバ12では、URLの指定等によりHTMLファイル100の出力の要求を示すデータをユーザ端末14から受信すると(ステップ220で肯定)、ステップ222へ進み、記憶部内の文書データを参照し、ユーザ端末14から要求されたHTMLファイル100を読み取る。次のステップ224では、HTMLファイル100で指定された文字についてフォント記憶部72を参照して文字のメトリクス情報を決定する。このステップ226では、上記ステップ204と同様の処理であり、指定された文字についてフォント記憶部72から読み出したフォントをラスタライズして幅及び高さを求めてメトリクス情報を決定してもよく、予め記憶されているフォントのメトリクス情報を読み取ることによって決定してもよい。このメトリクス情報の決定処理は、メトリクス抽出部70(図8参照)で実行される。
【0075】
図11は、HTMLファイル140の一例を示す構成図である。HTMLファイル140は、出力の要求を示すデータであるページ取得要求を示すデータを格納する領域140Aと、フォントリスト141を格納する領域140Bを含んで構成されている。なお、この領域140Bに格納されるフォントリスト141は、コメント情報として記述する。
【0076】
図3のステップ224では、HTMLファイル100の文字指定領域106に記述された文字について、該当文字に対応するフォント情報としてフォント記憶部72の文字情報を読み取って、これに基づいてメトリクス情報を決定する。
【0077】
次のステップ226では、ユーザ端末14から送信されたデータに基づいて、置換フォント情報を取得する。この取得処理は、ユーザ端末14から送信されたデータ(図9,図11のHTML文書140を参照)に記述されたフォントリスト141を、HTML要求解釈部67により解釈することによってなされる。なお、ステップ226では、置換フォント情報として、フォントの形状情報を決定する。具体的には、指定された形状情報に対して予め置換(代替)が定められたフォントの形状情報がフォントリスト141に含まれている場合にはこれを選択する。該当する形状情報がない場合には、予め置換(代替)が定められたフォントの形状情報として予め定められたものをフォントリスト141から選択する。なお、該当する形状情報がない場合に、置換(代替)するフォントの形状情報を、ユーザが指定するようにユーザ端末14へ送信し、ユーザ端末14からの返信により決定してもよい。
【0078】
次のステップ228では、文字の大きさを比較する処理を実行する(図9のサイズ演算処理118)。このサイズ比較処理では、上述のステップ304の比較処理と同様に(図6)、フォント記憶部46に記憶された文字を出力(表示や印刷)するときのフォントの形状情報(図9のフォント情報117、フォントリスト141から決定したもの)に置き換えたときのHTMLファイル100の指定文字の大きさと、作成されたときのフォントの形状情報によるHTMLファイル100の指定文字の大きさとを比較する処理を実行する。
【0079】
次のステップ230では、ステップ228の比較結果により、大きさが相違するか否かを判断し、否定の場合、(拡大縮小率を「1」として)ステップ234へ進み、形状情報を変更し(図9の処理144)、ステップ236で変更したHTMLファイル146を送信して本ルーチンを終了する。一方、肯定された場合には、ステップ232において拡大縮小率を演算した後にステップ234へ進む。
【0080】
ステップ232では、上述のステップ308(図6)と同様に拡大縮小率を演算する。具体的には、比較結果から、実際にラスタライズした結果がHTMLファイル110のコメント情報として埋め込まれたメトリクス情報による大きさよりも大きい場合には、ラスタライズして得られた大きさを分母に、HTMLファイル110で指定された大きさを分子とした縮小率を元の文字の大きさに乗じた大きさで、同じ文字を再度ラスタライズする。このように大きさを比較して拡大縮小率を求める。
【0081】
この拡大縮小率による大きさは、文字のサイズ情報を拡大縮小することに対応するため、HTMLファイル100におけるフォント指定領域102の形状情報を置換フォントの形状情報に置き換えた場合、文字サイズ指定領域104に格納されているサイズ情報を拡大縮小率の逆数をかけたサイズ情報に置換することにより、置換フォントの大きさが置換前のHTMLファイル100作成時に指定した形状情報による大きさに一致する。そこで、ステップ234では、141から置換対象として選択したフォントの形状情報と拡大縮小率の逆数をかけたサイズ情報とに、HTMLファイル100を変更したHTMLファイル146を生成する。このHTMLファイル146の生成処理は、HTML生成部69(図1参照)で実行される。
【0082】
図12は、HTMLファイル100とHTMLファイル146の一例を示す構成図である。図の例では、フォント指定領域102に格納される値が作成時に指定したフォント(形状情報)「MSコシック」から、ユーザ端末14から送信された「フォントG」に変更されている。また、文字サイズ指定領域104に格納される値が作成時に指定した文字のサイズ(サイズ情報)「10ポイント」から、拡大縮小率の逆数が乗じられた「10.5ポイント」に変更されている。
【0083】
・ユーザ端末14
一方、ユーザ端末14では、ユーザ端末14上で実行されるWEBブラウザ等のプログラム配下で、文書管理サーバ12に対して、URLの指定等によりHTMLファイルの出力の要求を示すデータを送信し、HTMLファイル100またはHTMLファイル110が返信されることを待機する。
【0084】
図13は、ユーザ端末14において実行される文書処理の流れの一例を示すフローチャートである。本処理では、ユーザ端末14上で実行されるWEBブラウザ等のプログラム実行され、ユーザがユーザ端末14を操作してURLの指定等によりHTMLファイルの出力の要求を示すデータを送信する指示がなされると、図13のステップ320へ進む。ステップ320では、ユーザ端末14において利用可能なフォントをフォント記憶部46から読み取り、そのリストを置換フォント情報として取得する。次のステップ322では、ユーザ端末14において利用可能なフォントのリストである置換フォント情報を記述したHTML文書140(図11参照)を生成し、次のステップ324においてHTML文書140を送信する。この文書生成処理は、HTML表示要求部43(図1参照)で実行される。ステップ324の送信後には、文書管理サーバ12からのHTMLファイルの返信を待機した状態になる。
【0085】
文書管理サーバ12からHTMLファイルが返信されると(ステップ326で肯定)、ステップ328において、HTML文書140の記述に従ってWEB画面表示を実行して本ルーチンを終了する。このステップ328では、文書管理サーバ12からのHTML文書140は、ユーザ端末14における出力可能なフォントによる記述のため、特別の処理は不要である。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態では、文書管理サーバ12は、ユーザ端末14からユーザ端末14で利用可能なフォントについてその形状情報を予め取得する。文書管理サーバ12ではユーザ端末14からのフォントリスト内のフォントで置換した文字について、サイズ情報を変更して大きさが合致するHTMLファイルを生成する。ユーザ端末14では、自機のフォントで、HTMLファイルの作成時の大きさの文字で出力される。
【0087】
従って、ユーザ端末14からフォントリストを送信することで、文書管理サーバ12において文字の拡大縮小が調整され、ユーザ端末14の処理負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る文書管理システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る文書管理システムの電子文書が推移する概念を示すイメージ図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る文書管理サーバで実行される処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係るHTMLファイルの一例を示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るHTMLファイルの一例を示す構成図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るユーザ端末において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおけるメトリクス情報による大きさの説明図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る文書管理システムの概略構成の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る文書管理システムの電子文書が推移する概念を示すイメージ図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る文書管理サーバで実行される処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係るHTMLファイルの一例を示す構成図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおけるHTMLファイルが変更されることの説明図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るユーザ端末において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
10…文書管理システム
12…文書管理サーバ
14…ユーザ端末
16…通信回線
36…画像処理部
38…HTML解釈部
40…メトリクス抽出部
42…調整部
43…HTML表示要求部
44…ラスタライザ
46…フォント記憶部
66…画像処理部
67…HTML要求解釈部
68…HTML生成部
69…HTML生成部
70…メトリクス抽出部
72…フォント記憶部
100…HTMLファイル
102…フォント指定領域
104…文字サイズ指定領域
106…文字指定領域
108…コメント領域
110…HTMLファイル
112…コメント情報
140…HTML文書
141…フォントリスト
146…HTMLファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書について、文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、
前記電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、
前記出力装置で用いる形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報と、前記メトリクス情報と、前記比率とに基づいて、前記電子文書に指定された文字の占有領域の大きさとなるように、前記出力装置で使用する形状情報による文字の占有領域の大きさを調整する調整手段と、
を備えた文書管理装置。
【請求項2】
抽出したメトリクス情報を、電子文書の画像表示に影響を与えないコメント情報として電子文書に埋め込む埋込手段と、
前記電子文書に埋め込まれたコメント情報からメトリクス情報を読み取り前記比率調整手段へ出力する読取出力手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報による文字の占有領域の大きさを、前記比率を乗じた大きさとする画像を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の文書管理装置。
【請求項4】
文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報を取得する取得手段と、
前記電子文書内における文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、
前記取得手段で取得した形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、
前記出力装置で使用する形状情報と、前記電子文書に指定されたサイズ情報に前記比率を乗じたサイズ情報と、に対応させて表した電子文書を作成する作成手段と、
を備えた文書管理装置。
【請求項5】
文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書について、文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、
抽出したメトリクス情報を、電子文書の画像表示に影響を与えないコメント情報として電子文書に埋め込む埋込手段と、
前記コメント情報が埋め込まれた前記電子文書を通信回線により出力する出力手段と、
を備えた文書生成装置と、
前記コメント情報が埋め込まれた電子文書を前記通信回線により入力する入力手段と、
前記電子文書に埋め込まれたコメント情報に基づいてメトリクス情報を解釈する解釈手段と、
前記電子文書を出力する自機で用いる形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記自機で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、
前記自機で用いる形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報と、前記メトリクス情報と、前記比率とに基づいて、前記電子文書に指定された文字の占有領域の大きさとなるように、前記自機で使用する形状情報による文字の占有領域の大きさを調整する調整手段と、
前記文字の占有領域の大きさが調整された電子文書を出力する出力手段と、
を備えた文書処理装置と、
を備えた文書管理システム。
【請求項6】
文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書を出力する文書処理装置で用いる形状情報を取得する取得手段と、
前記電子文書内における文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出手段と、
前記取得手段で取得した形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記文書処理装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算手段と、
前記文書処理装置で使用する形状情報と、前記電子文書に指定されたサイズ情報に前記比率を乗じたサイズ情報と、に対応させて表した電子文書を作成する作成手段と、
前記作成された前記電子文書を通信回線により出力する出力手段と、
を備えた文書生成装置と、
前記電子文書を出力する自機で用いる形状情報を通信回線により送出する送出手段と、
前記文書生成装置から出力された電子文書を前記通信回線により入力する入力手段と、
前記入力された電子文書を出力する出力手段と、
を備えた文書処理装置と、
を備えた文書管理システム。
【請求項7】
文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書について、文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出ステップと、
前記電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算ステップと、
前記出力装置で用いる形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報と、前記メトリクス情報と、前記比率とに基づいて、前記電子文書に指定された文字の占有領域の大きさとなるように、前記出力装置で使用する形状情報による文字の占有領域の大きさを調整する調整ステップと、
をコンピュータに実行させるための文書管理プログラム。
【請求項8】
抽出したメトリクス情報を、電子文書の画像表示に影響を与えないコメント情報として電子文書に埋め込む埋込ステップと、
前記電子文書に埋め込まれたコメント情報からメトリクス情報を読み取り出力する読取出力ステップと、を備えた
ことを特徴とする請求項7記載のコンピュータに実行させるための文書管理プログラム。
【請求項9】
前記調整ステップは、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報による文字の占有領域の大きさを、前記比率を乗じた大きさとする画像を生成する
ことを特徴とする請求項7または請求項8記載のコンピュータに実行させるための文書管理プログラム。
【請求項10】
文書内の文字をフォントとして形状情報とサイズ情報に対応させて表した電子文書を出力する出力装置で用いる形状情報を取得する取得ステップと、
前記電子文書内における文字の占有領域の大きさを含むメトリクス情報を抽出する抽出ステップと、
前記取得手段で取得した形状情報と、前記電子文書に指定された形状情報とが相違する場合、前記電子文書内の文字について、前記メトリクス情報による文字の占有領域の大きさを基準として、前記出力装置で使用する形状情報及び前記電子文書に指定されたサイズ情報から求めた文字の占有領域の大きさの比率を計算する比率計算ステップと、
前記出力装置で使用する形状情報と、前記電子文書に指定されたサイズ情報に前記比率を乗じたサイズ情報と、に対応させて表した電子文書を作成する作成ステップと、
をコンピュータに実行させるための文書管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−203692(P2011−203692A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73510(P2010−73510)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】