説明

文書管理装置及び文書管理プログラム

【課題】一つの文書が複数の担当者で分担されて作成される場合でも、文書全体の進捗状況を正確に把握することができるとともに、個々の文書構成要素の作成が計画通りに進んでいるか否かを把握することができるようにする。
【解決手段】各文書構成要素の進捗状況を特定する進捗状況特定部2と、各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較して、その作成計画と作成実績のギャップを検出するギャップ検出部3とを設け、そのギャップ検出部3により検出されたギャップに応じた表示色で、その進捗状況特定部2により特定された各文書構成要素の進捗状況を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、製品開発プロジェクトに関する文書の管理に関わり、特に1つの文書を複数の部署で分担して作成する際に、分担の単位である章や節や図表等の文書構成要素毎の作成進捗状況とその内容を、互いに参照しながら文書作成を進める作業や、その成果物としての文書を管理するのに適している文書管理装置及び文書管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品開発プロジェクトにおいては、プロジェクトの進行に伴って複数の部署の担当者が分担して文書を作成することがある。
プロジェクトの進行上のリスクを早期に発見できるようにするために、プロジェクトの関係者が、予め策定された文書の作成計画に対する現在の作成進捗状況を相互に参照できることが求められる。
【0003】
そこで、従来の文書管理装置は、文書を作成する部署と、複数の部署間に跨る工程の時間的前後との2次的関係を示す工程フローチャートを表示し、ある担当者が工程フローチャート上の任意の工程を指定すると、その工程で作成する文書のリストを表示するとともに、その文書の進捗状況(「未登録」、「作成中」、「作成完了」、「査閲完了」、「承認完了」)を色彩で区別して表示するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−282918号公報(段落番号[0011]から[0015]、図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の文書管理装置は以上のように構成されているので、製品開発プロジェクトにおいて作成される文書の作成進捗状況を確認することができる。しかし、一つの文書が複数の担当者で分担されて作成される場合、個々の担当者が分担して作成する分の文書(以下、文書構成要素という)の進捗状況を確認することができないため、文書全体の進捗状況を正確に把握することができず、また、個々の文書構成要素の作成が計画通りに進んでいるか否かを把握することができないなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、一つの文書が複数の担当者で分担されて作成される場合でも、文書全体の進捗状況を正確に把握することができるとともに、個々の文書構成要素の作成が計画通りに進んでいるか否かを把握することができる文書管理装置及び文書管理プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る文書管理装置は、構成要素管理手段により管理されている各文書構成要素の作成実績を参照して、各文書構成要素の進捗状況を特定する進捗状況特定手段と、その構成要素管理手段により管理されている各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較して、その作成計画と作成実績のギャップを検出するギャップ検出手段とを設け、そのギャップ検出手段により検出されたギャップに応じた表示態様で、その進捗状況特定手段により特定された各文書構成要素の進捗状況を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、構成要素管理手段により管理されている各文書構成要素の作成実績を参照して、各文書構成要素の進捗状況を特定する進捗状況特定手段と、その構成要素管理手段により管理されている各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較して、その作成計画と作成実績のギャップを検出するギャップ検出手段とを設け、そのギャップ検出手段により検出されたギャップに応じた表示態様で、その進捗状況特定手段により特定された各文書構成要素の進捗状況を表示するように構成したので、一つの文書が複数の担当者で分担されて作成される場合でも、文書全体の進捗状況を正確に把握することができるとともに、個々の文書構成要素の作成が計画通りに進んでいるか否かを把握することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による文書管理装置を示す構成図であり、図において、文書管理データベース1は製品開発プロジェクトにおいて作成される文書を構成する各文書構成要素(例えば、文章の章や節、文書に含める図や表)の電子データである電子媒体文書1cを保管するほか、文書を構成する各文書構成要素の作成計画を示す作成計画情報や各文書構成要素の作成実績を示す作成実績情報などからなる文書構成要素管理情報1aを管理するとともに、各文書構成要素が属しているフォルダや各フォルダの階層関係などを示す文書構成情報1bを管理している。
なお、文書管理データベース1は構成要素管理手段及びフォルダ管理手段を構成している。
【0010】
進捗状況特定部2は文書管理データベース1に管理されている文書構成要素管理情報1aの作成実績情報を参照して、各文書構成要素の進捗状況を特定し、各文書構成要素の進捗状況を示す進捗ステータスを文書構成要素管理情報1aの作成実績情報に格納する処理を実施する。なお、進捗状況特定部2は進捗状況特定手段を構成している。
ギャップ検出部3は文書管理データベース1に管理されている文書構成要素管理情報1aの作成計画情報と作成実績情報を参照して、各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較することにより、その作成計画と作成実績のギャップを検出する処理を実施する。なお、ギャップ検出部3はギャップ検出手段を構成している。
【0011】
進捗状況表示処理部4はギャップ検出部3により検出されたギャップに応じた表示色(表示態様)で、進捗状況特定部2により特定された各文書構成要素の進捗状況を画面表示装置6の操作表示画面に表示する処理を実施する。なお、進捗状況表示処理部4は進捗状況表示手段を構成している。
ツリー図表示処理部5は文書管理データベース1に管理されている文書構成情報1bを参照して、各フォルダの階層関係を明示するフォルダツリー図を画面表示装置6の操作表示画面に表示する処理を実施する。
ただし、ツリー図表示処理部5は、フォルダツリー図を表示する際、ギャップ検出部3の検出結果を参照して、フォルダ毎に最も作成計画と作成実績のギャップが大きい文書構成要素を特定し、そのギャップに応じた表示色(表示態様)で、各フォルダを画面表示装置6の操作表示画面に表示するようにしている。なお、ツリー図表示処理部5はツリー図表示手段を構成している。
【0012】
画面表示装置6は操作表示画面を操作する操作部6aと、操作表示画面を表示するディスプレイ6bとから構成されている。
画面制御部7はディスプレイ6bの表示処理や文書管理データベース1のデータ処理等を実施する。
なお、画面表示装置6及び画面制御部7は、進捗状況表示手段及びツリー図表示手段を構成している。
【0013】
図1の例では、文書管理装置の構成要素である進捗状況特定部2、ギャップ検出部3、進捗状況表示処理部4、ツリー図表示処理部5及び画面制御部7がそれぞれ専用のハードウェア(例えば、MPUを実装している半導体集積回路)で構成されていることを想定しているが、文書管理装置がコンピュータで構成されている場合には、進捗状況特定部2、ギャップ検出部3、進捗状況表示処理部4、ツリー図表示処理部5及び画面制御部7の処理手順が記述されている文書管理プログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されている文書管理プログラムを実行するようにしてもよい。
【0014】
次に動作について説明する。
文書管理データベース1には、文書構成要素管理情報1a、文書構成情報1b及び電子媒体文書1cが保管されている。
文書構成要素管理情報1aは、文書を構成する文書構成要素毎に存在しており、共通情報として、ドキュメント名称、文書番号、文書副番、所属、担当者名を保持している。
また、文書構成要素管理情報1aは、作成計画情報として、着手予定日、レビュー予定日、処置予定日、リリース予定日を保持している。
また、文書構成要素管理情報1aは、作成実績情報として、着手実績日、レビュー実績日、処置実績日、リリース実績日、進捗ステータスを保持している。
さらに、文書構成要素管理情報1aは、検認情報として、作成完、レビュー完、処置完及びリリース完の検認日、検認者所属、検認者名を保持している。
【0015】
ここで、文書構成要素管理情報1aの作成実績情報に含まれる進捗ステータスは、後述する進捗状況特定部2により特定されて格納するものであるが、例えば、以下のように定義される。
進捗ステータスは、文書構成要素が登録された直後は「未着手」となり、電子媒体文書1cが登録された時点で「作成中」となる。
以降、ディスプレイ6の操作表示画面におけるユーザの操作に応じて、「作成完」→「レビュー完」→「処置完」→「リリース完」のように変化する。
【0016】
文書管理データベース1に保管されている文書構成情報1bは、個々のフォルダ毎に存在し、該当するフォルダのフォルダ名や、最上位のフォルダから該当しているフォルダまでの従属関係を示すパス情報、該当しているフォルダに属している文書構成要素群へのリンク情報を保持している。
【0017】
図2は画面表示装置6のディスプレイ6bに表示される操作表示画面のウィンドウ遷移を示すウィンドウ遷移図である。
以下、操作表示画面のウィンドウ遷移について説明する。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、文書ツリーウィンドウの表示を指示すると、ツリー図表示処理部5が文書管理データベース1に管理されている文書構成情報1bを参照して、各フォルダの階層関係を明示するフォルダツリー図を画面制御部7に出力する。
画面制御部7は、ツリー図表示処理部5からフォルダツリー図を受けると、そのフォルダツリー図を文書ツリーウィンドウ(図3を参照)としてディスプレイ6bに表示する(ステップST1)。
【0018】
なお、文書ツリーウィンドウは、文書構成情報1bで定義されているフォルダの親子関係や並列関係を2次元的なツリーとして表するものである。
文書ツリーウィンドウ上の各フォルダの左側には、「+」又は「−」の記号が表示されており、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、任意のフォルダの「+」記号を選択すると、画面制御部7がそのフォルダの下位のフォルダを展開表示し、任意のフォルダの「−」記号を選択すると、画面制御部7がそのフォルダの下位のフォルダの展開表示を止めて隠すようにする。
【0019】
画面表示装置6のディスプレイ6bに文書ツリーウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、文書ツリーウィンドウ上に表示されている任意のフォルダを選択すると、画面制御部7がそのフォルダに対応する文書管理ウィンドウ(図4を参照)をディスプレイ6bに表示する(ステップST2)。
文書管理ウィンドウは、図4に示すように、選択されたフォルダ上で作成する予定の文書構成要素の一覧表を表示するものである。
【0020】
即ち、文書管理ウィンドウの最上段には、「フォルダ登録」アイコンW1、「フォルダ変更」アイコンW2、「フォルダ削除」アイコンW3、「ドキュメント計画登録」アイコンW4、「ドキュメント計画変更」アイコンW5、「ドキュメント削除」アイコンW6が表示されており、これらのアイコンの下の段には、現在選択されているフォルダの階層を表わすパス情報が表示される。
また、パス情報の下の段には、現在選択されているフォルダに登録されている文書構成要素のリストが文書構成情報1b及び文書構成要素管理情報1aを用いて表示される。
各文書構成要素に対する表示項目は、ドキュメント名称、文書番号、文書副番、所属、担当者名、着手予定日、リリース予定日、進捗ステータスである。
なお、初期状態では、全ての文書構成要素の進捗ステータスは「未着手」である。
【0021】
文書管理ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「フォルダ登録」アイコンW1を選択すると、画面制御部7が図7に示すようなフォルダ登録ウィンドウをディスプレイ6bに表示する(ステップST3)。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、フォルダ登録ウィンドウ上でフォルダ名称を入力すると、画面制御部7がそのフォルダ名称のフォルダを現フォルダの下に追加するとともに、そのフォルダ名称を現フォルダの下位に位置するフォルダの名称として文書構成情報1bに追加する。
【0022】
また、文書管理ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「フォルダ変更」アイコンW2を選択すると、画面制御部7が図7のフォルダ登録ウィンドウと同様なウィンドウをディスプレイ6bに表示する。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、現フォルダの変更後の名称を入力すると、画面制御部7が文書構成情報1bに含まれている現フォルダの名称を変更後の名称に更新する。
【0023】
文書管理ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「フォルダ削除」アイコンW3を選択すると、画面制御部7が現フォルダの下位に位置付けられている全てのフォルダを削除するため、削除の確認メッセージをディスプレイ6bに表示した後、これらのフォルダに関する情報を文書構成情報1bから削除する。
また、画面制御部7が削除の確認メッセージをディスプレイ6bに表示した後、これらのフォルダに属している全ての文書構成要素に関する情報を文書構成要素管理情報1a及び電子媒体文書1cから削除する。
【0024】
また、文書管理ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「ドキュメント計画登録」アイコンW4を選択すると、画面制御部7が図8に示すような文書構成要素登録ウィンドウをディスプレイ6bに表示する(ステップST4)。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、文書構成要素登録ウィンドウ上でドキュメント名称、文書番号、文書副番、所属、担当者名、着手予定日、リリース予定日などを入力すると、画面制御部7が現フォルダ内に文書構成要素を追加し、これらの入力内容を文書構成要素管理情報1aに追加する。
【0025】
文書管理ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「ドキュメント計画変更」アイコンW5を選択すると、画面制御部7が図8の文書構成要素登録ウィンドウと同様なウィンドウをディスプレイ6bに表示する。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、文書構成要素の計画情報(例えば、着手予定日、リリース予定日など)を変更すると、画面制御部7が文書構成情報1bに含まれている当該文書構成要素の計画情報を変更する。
【0026】
また、文書管理ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、任意の文書構成要素を選択して、「ドキュメント削除」アイコンW6を選択すると、画面制御部7が削除の確認メッセージをディスプレイ6bに表示した後、当該文書構成要素に関する情報を文書構成要素管理情報1a及び電子媒体文書1cから削除する。
【0027】
画面表示装置6のディスプレイ6bに文書管理ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、任意の文書構成要素を選択すると、画面制御部7がその文書構成要素に対応する文書詳細ウィンドウ(図5を参照)をディスプレイ6bに表示する(ステップST5)。
文書詳細ウィンドウの最上段には、「実績入力」アイコンW10、「新規登録」アイコンW11、「検認」アイコンW12が表示されており、これらのアイコンの下の段には、当該文書構成要素が登録されているフォルダの階層を表わすパス情報が表示される。
また、パス情報の下の段には、文書構成要素の詳細情報として、「着手」、「作成完」、「レビュー完」、「処置完」及び「リリース完」における計画日と実績日、電子媒体文書1cのファイル名が表示される。
【0028】
文書詳細ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、電子媒体文書のファイル名を選択すると、画面制御部7がその電子媒体文書を図6に示すような文書表示ウィンドウをディスプレイ6bに表示する(ステップST6)。
また、文書詳細ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「実績入力」アイコンW10を選択すると、画面制御部7が図9に示すような実績入力ウィンドウをディスプレイ6bに表示する(ステップST7)。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、実績入力ウィンドウ上で着手実績日を入力すると、画面制御部7がその着手実績日を文書構成要素管理情報1aに追加する。
【0029】
なお、進捗状況特定部2は、画面制御部7により着手実績日が文書構成要素管理情報1aに追加されると、当文書構成要素管理情報1aにおける当該文書構成要素の進捗ステータスを「作成中」に変更する。
ここでは、ユーザが着手実績日を入力すると、文書構成要素の進捗ステータスを「作成中」に変更するものについて示したが、下記のようにして、電子媒体文書1cが登録されたとき、当該文書構成要素の進捗ステータスを「作成中」に変更するようにしてもよい。
【0030】
また、文書詳細ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「新規登録」アイコンW11を選択すると、画面制御部7が図10に示すようなファイル登録ウィンドウをディスプレイ6bに表示する(ステップST8)。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、ファイル登録ウィンドウ上で電子媒体文書1cのファイル名を入力すると、その電子媒体文書1cのファイル名を文書構成要素管理情報に格納するとともに、その電子媒体文書1cを文書管理データベース1に登録する。
【0031】
また、文書詳細ウィンドウが表示されているとき、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、「検認」アイコンW12を選択すると、画面制御部7が図11に示すような検認ウィンドウをディスプレイ6bに表示する(ステップST9)。
ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、検認ウィンドウ上で検認日、検認者所属及び検認者名を入力すると、画面制御部7がその検認日、検認者所属及び検認者名を文書構成要素管理情報1aに追加する。
進捗状況特定部2は、画面制御部7により検認日、検認者所属及び検認者名が文書構成要素管理情報1aに追加されると、当文書構成要素管理情報1aにおける当該文書構成要素の進捗ステータスを「作成完」に変更する。
【0032】
ディスプレイ6bに表示される操作表示画面のウィンドウ遷移は以上の通りである。
なお、図3の文書ツリーウィンドウと図4の文書管理ウィンドウは、図1に示すように、操作表示画面上に常駐的に表示されるが、図5の文書詳細ウィンドウ、図6の文書表示ウィンドウ、図7のフォルダ登録ウィンドウ、図8の文書構成要素登録ウィンドウ、図9の実績入力ウィンドウ、図10のファイル登録ウィンドウ及び図11の検認ウィンドウは、操作表示画面の上に重なるようにポップアップ表示される。
【0033】
上記のウィンドウ遷移の説明において、ユーザが図11の検認ウィンドウを使用して検認日、検認者所属及び検認者名を入力することにより、画面制御部7がその検認日、検認者所属及び検認者名を文書構成要素管理情報1aに追加すると、進捗状況特定部2が当該文書構成要素の進捗ステータスを「作成完」に変更するものについて示したが、ユーザが当該文書構成要素のレビューを実施したのち、図11の検認ウィンドウを使用してレビューに関する検認日、検認者所属及び検認者名を入力すると、画面制御部7がレビューに関する検認日、検認者所属及び検認者名を文書構成要素管理情報1aに追加し、進捗状況特定部2が当該文書構成要素の進捗ステータスを「レビュー完」に変更する。
【0034】
また、ユーザが当該文書構成要素のレビューに対する処置を完了したのち、図11の検認ウィンドウを使用してレビューの処置に関する検認日、検認者所属及び検認者名を入力すると、画面制御部7がレビューの処置に関する検認日、検認者所属及び検認者名を文書構成要素管理情報1aに追加し、進捗状況特定部2が当該文書構成要素の進捗ステータスを「処置完」に変更する。
さらに、ユーザが当該文書構成要素のリリースを完了したのち、図11の検認ウィンドウを使用してリリースに関する検認日、検認者所属及び検認者名を入力すると、画面制御部7がリリースに関する検認日、検認者所属及び検認者名を文書構成要素管理情報1aに追加し、進捗状況特定部2が当該文書構成要素の進捗ステータスを「リリース完」に変更する。
なお、進捗ステータスが「リリース完」に到達した文書構成要素は、正式版として扱われ、以降、削除や変更が出来なくなる。
【0035】
ギャップ検出部3は、文書管理データベース1に管理されている文書構成要素管理情報1aの作成計画情報と作成実績情報を参照して、各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較することにより、その作成計画と作成実績のギャップを検出する。
即ち、各文書構成要素が作成計画通りに作成が進んでいるか否かを検出するものであり、例えば、文書構成要素の作成計画を参照してレビュー予定日であることを検知すると、当該文書構成要素の進捗ステータスが「レビュー完」になっているか否かを確認する。
その他の例では、文書構成要素の作成計画を参照してリリース予定日の3日前であることを検知すると、あるいは、リリース予定日であることを検知すると、当該文書構成要素の進捗ステータスが「リリース完」になっているか否かを確認する。
【0036】
進捗状況表示処理部4は、ギャップ検出部3により検出されたギャップに応じた表示態様で、進捗状況特定部2により特定された各文書構成要素の進捗状況の表示を画面制御部7に指示する。
画面制御部7は、進捗状況表示処理部4の指示の下、図4の文書管理ウィンドウにおける「進捗ステータス」の欄に進捗状況を色分け表示する。
具体的には、下記に示すように、ギャップ検出部3の検出結果に応じて進捗状況を色分け表示する。
ギャップ検出部3の検出結果 進捗状況の表示色
・進捗ステータスが「リリース完」 → 緑
・リリース予定日を超過しているが、
進捗ステータスが「リリース完」未到達 → 赤
・リリース予定日の3日前であるが、
進捗ステータスが「リリース完」未到達 → 橙
・レビュー予定日を超過しているが、
進捗ステータスが「レビュー完」未到達 → 黄
・上記以外 → 白
【0037】
ツリー図表示処理部5は、上述したように、ユーザが画面表示装置6の操作部6aを操作して、文書ツリーウィンドウの表示を指示すると、文書管理データベース1に管理されている文書構成情報1bを参照して、フォルダツリー図を画面制御部7に出力することにより、フォルダツリー図である文書ツリーウィンドウをディスプレイ6bに表示するが、ツリー図表示処理部5は、フォルダツリー図の表示を画面制御部7に指示する際、各フォルダの色分け表示を指示する。
即ち、ツリー図表示処理部5は、ギャップ検出部3の検出結果を参照して、フォルダ毎に、当該フォルダに属している文書構成要素群の中で、最も作成計画と作成実績のギャップが大きい文書構成要素(以下、最遅延構成要素という)を特定する。
そして、ツリー図表示処理部5は、その最遅延構成要素の進捗状況の表示色と同一色を当該フォルダの表示色に決定する。
【0038】
具体的には、下記に示すように、ギャップ検出部3の検出結果に応じてフォルダを色分け表示する。
ギャップ検出部3の検出結果 フォルダの表示色
・当該フォルダに所属している全ての文書構成要素
の進捗ステータスが「リリース完」 → 緑
・当該フォルダに所属している文書構成要素の中に、
リリース予定日を超過しているが、
進捗ステータス「リリース完」未到達
の文書構成要素が存在する → 赤
・当該フォルダに所属している文書構成要素の中に、
リリース予定日の3日前であるが、
進捗ステータス「リリース完」未到達
の文書構成要素が存在する → 橙
・当該フォルダに所属している文書構成要素の中に、
レビュー予定日を超過しているが、
進捗ステータス「レビュー完」未到達
の文書構成要素が存在する → 黄
・上記以外 → 白
【0039】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、文書管理データベース1により管理されている各文書構成要素の作成実績を参照して、各文書構成要素の進捗状況を特定する進捗状況特定部2と、文書管理データベース1により管理されている各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較して、その作成計画と作成実績のギャップを検出するギャップ検出部3とを設け、そのギャップ検出部3により検出されたギャップに応じた表示色で、その進捗状況特定部2により特定された各文書構成要素の進捗状況を表示するように構成したので、一つの文書が複数の担当者で分担されて作成される場合でも、文書全体の進捗状況を正確に把握することができるとともに、個々の文書構成要素の作成が計画通りに進んでいるか否かを把握することができる効果を奏する。
即ち、各文書構成要素の進捗状況を色分け表示しているので、文書管理ウィンドウ上に表示される文書構成要素のリストの中で、最も計画より遅れている文書構成要素を容易に識別することができる効果を奏する。
【0040】
また、この実施の形態1によれば、フォルダツリー図を表示する際、ギャップ検出部3の検出結果を参照して、フォルダ毎に最も作成計画と作成実績のギャップが大きい文書構成要素を特定し、そのギャップに応じた表示色で、各フォルダを表示するように構成したので、最も遅れが大きい文書構成要素が存在しているフォルダを容易に識別することができる効果を奏する。
なお、フォルダの表示色を決定する上記のルールを下位のフォルダから上位のフォルダに向かって再帰的に適用するようにすれば、遅れが大きい文書構成要素の存在を最上位のフォルダの表示色から識別することができる。
【0041】
この実施の形態1では、進捗状況及びフォルダを色分け表示するものについて示したが、ギャップ検出部3により検出されたギャップに応じた表示態様で進捗状況及びフォルダを表示できれば、進捗状況及びフォルダの色分け表示に限るものではなく、例えば、進捗状況及びフォルダを種々の網掛けで表示するようにしてもよい。
【0042】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、文書管理装置が文書管理データベース1を実装しているものについて示したが、図12に示すように、ネットワーク11上に文書管理データベース1を設置して、図1の文書管理装置の構成要素である進捗状況特定部2、ギャップ検出部3、進捗状況表示処理部4、ツリー図表示処理部5、画面表示装置6及び画面制御部7を文書管理端末12a〜12cに実装し、文書管理端末12a〜12cがネットワーク11を介して文書管理データベース1にアクセスするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施の形態1による文書管理装置を示す構成図である。
【図2】画面表示装置のディスプレイに表示される操作表示画面のウィンドウ遷移を示すウィンドウ遷移図である。
【図3】文書ツリーウィンドウを示す説明図である。
【図4】フォルダA1に対応する文書管理ウィンドウを示す説明図である。
【図5】文書要素Aに対応する文書詳細ウィンドウを示す説明図である。
【図6】文書表示ウィンドウを示す説明図である。
【図7】フォルダ登録ウィンドウを示す説明図である。
【図8】文書構成要素登録ウィンドウを示す説明図である。
【図9】実績入力ウィンドウを示す説明図である。
【図10】ファイル登録ウィンドウを示す説明図である。
【図11】検認ウィンドウを示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態2による文書管理装置を適用するシステムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0044】
1 文書管理データベース(構成要素管理手段、フォルダ管理手段)、1a 文書構成要素管理情報、1b 文書構成情報、1c 電子媒体文書、2 進捗状況特定部(進捗状況特定手段)、3 ギャップ検出部(ギャップ検出手段)、4 進捗状況表示処理部(進捗状況表示手段)、5 ツリー図表示処理部(ツリー図表示手段)、6 画面表示装置(進捗状況表示手段、ツリー図表示手段)、6a 操作部、6b ディスプレイ、7 画面制御部(進捗状況表示手段、ツリー図表示手段)、11 ネットワーク、12a〜12c 文書管理端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のプロジェクトにおいて作成される文書を構成する各文書構成要素の作成計画と作成実績を管理する構成要素管理手段と、上記構成要素管理手段により管理されている各文書構成要素の作成実績を参照して、各文書構成要素の進捗状況を特定する進捗状況特定手段と、上記構成要素管理手段により管理されている各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較して、その作成計画と作成実績のギャップを検出するギャップ検出手段と、上記ギャップ検出手段により検出されたギャップに応じた表示態様で、上記進捗状況特定手段により特定された各文書構成要素の進捗状況を表示する進捗状況表示手段とを備えた文書管理装置。
【請求項2】
文書を構成する各文書構成要素が属しているフォルダを管理するとともに、各フォルダの階層関係を管理するフォルダ管理手段と、上記フォルダ管理手段により管理されている各フォルダの階層関係を参照して、各フォルダの階層関係を明示するフォルダツリー図を表示するツリー図表示手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の文書管理装置。
【請求項3】
ツリー図表示手段は、フォルダツリー図を表示する際、ギャップ検出手段の検出結果を参照して、フォルダ毎に最も作成計画と作成実績のギャップが大きい文書構成要素を特定し、そのギャップに応じた表示態様で、各フォルダを表示することを特徴とする請求項2記載の文書管理装置。
【請求項4】
任意のプロジェクトにおいて作成される文書を構成する各文書構成要素の作成計画と作成実績を管理する構成要素管理手順と、上記構成要素管理手順により管理されている各文書構成要素の作成実績を参照して、各文書構成要素の進捗状況を特定する進捗状況特定手順と、上記構成要素管理手順により管理されている各文書構成要素の作成計画と作成実績を比較して、その作成計画と作成実績のギャップを検出するギャップ検出手順と、上記ギャップ検出手順により検出されたギャップに応じた表示態様で、上記進捗状況特定手順により特定された各文書構成要素の進捗状況を表示する進捗状況表示手順とをコンピュータに実行させるための文書管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate