説明

文書管理装置及び文書管理プログラム

【課題】年度等、所定の期間ごとに管理される業務プロセスと業務プロセスに関わる文書及び文書の版との対応関係を効率的に管理する。
【解決手段】文書管理装置100において、第1接続管理部103は、業務プロセスと文書との組み合わせに対応する第1接続情報137をデータベース121に格納する。第1接続情報137は、業務プロセス情報134のIDと、文書のIDと、対応する文書の版が特定の版であるか又は第1接続情報137の抽出時における最新版であるかを定義する版データとを含む。業務プロセス抽出部106は、年度と業務プロセスとの組み合わせを指定して、対応する業務プロセス情報134をデータベース121から抽出する。文書抽出部108は、その業務プロセス情報134のIDを含む第1接続情報137に含まれる版データに基づき、対応する文書の適切な版を特定し、その電子ファイル151を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理装置及び文書管理プログラムに関するものである。本発明は、特に、内部統制支援システムにおけるファイルの年度管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、共有文書を年度ごとにまとめて保存する複数の文書データベースと、文書データベースに保存された文書の目次情報とリンク情報を保存する目次データベースと、文書データベース中の文書に承認を与えるためのワークフロー機能を有するワークフローデータベースとで構成されたデータベースシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、行政文書ごとのバージョン管理機能により、旧バージョンの文書閲覧を可能にした文書管理システムがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−281167号公報
【特許文献2】特開2003−85330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内部統制業務では、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性、関連法規の遵守、資産の保全を目的とし、各年度において、業務プロセスに係るリスク及びリスクに対するコントロールを定義するとともに、業務内容を説明する(業務プロセスに関わる)文書(主に、業務記述書、業務フロー図、リスクコントロールマトリックス)を作成し、長期間保存していく必要がある。文書が改訂される場合は、各年度において、業務プロセスがどの文書に対応するかだけでなく、どの版に対応するかも把握する必要がある。しかしながら、従来のシステムでは、年度ごとに、業務プロセスと文書及び文書の版との対応関係を効率的に管理することができないという課題があった。
【0006】
本発明は、例えば、年度等、所定の期間ごとに管理される業務プロセスと業務プロセスに関わる文書及び文書の版との対応関係を効率的に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る文書管理装置は、
所定の期間ごとに管理される複数の業務プロセスのそれぞれについて、業務プロセスに関わる複数の文書を管理する文書管理装置であり、
期間と業務プロセスとの組み合わせに対応する業務プロセス情報であって、業務プロセス情報を一意に識別する業務ID(識別子)と、業務プロセスの属性データとを含む業務プロセス情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する業務プロセス管理部と、
文書と文書の版との組み合わせに対応する文書情報であって、文書を一意に識別する文書IDと、文書の属性データとを含む文書情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する文書管理部と、
業務プロセスと文書との組み合わせに対応する第1接続情報であって、業務IDと、文書IDと、対応する文書の版が特定の版であるか又は第1接続情報の抽出時における最新版であるかを定義する版データとを含む第1接続情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する第1接続管理部と、
期間と業務プロセスとの組み合わせを指定して、対応する業務プロセス情報を記憶装置から処理装置により抽出する業務プロセス抽出部と、
前記業務プロセス抽出部により抽出された業務プロセス情報の業務IDを含む第1接続情報を記憶装置から処理装置により抽出する第1接続抽出部と、
前記第1接続抽出部により抽出された第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が特定の版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDと当該特定の版とを指定して、対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出し、当該第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が当該第1接続情報の抽出時における最新版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDを指定して、対応する文書情報のうち、最新版に対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出する文書抽出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記業務プロセス管理部は、新たな期間と既存の業務プロセスとの組み合わせに対応する新たな業務プロセス情報を作成する場合、新たな業務IDを生成し、過去の期間と当該業務プロセスとの組み合わせに対応する過去の業務プロセス情報に含まれる属性データを抽出し、生成した業務IDと、抽出した属性データとを含む業務プロセス情報を作成して記憶装置に格納し、
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報が対応する文書が所定の条件を満たしていれば、当該第1接続情報に含まれる版データを、対応する文書の版が第1接続情報の抽出時における最新版であると定義する版データに設定し、当該第1接続情報が対応する文書が前記所定の条件を満たしていなければ、当該第1接続情報に含まれる版データを、対応する文書の版が特定の版であると定義し、かつ、現時点における最新版を当該特定の版とする版データに設定することを特徴とする。
【0009】
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報に含まれる文書IDを抽出し、前記新たな業務プロセス情報の業務IDと、抽出した文書IDと、対応する文書の版が第1接続情報の抽出時における最新版であると定義する版データとを含む第1接続情報を作成して記憶装置に格納することを特徴とする。
【0010】
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報が対応する文書が2つ以上の業務プロセスに関わる共通文書でなければ、前記所定の条件を満たしていないと判断することを特徴とする。
【0011】
前記文書管理装置は、さらに、
文書の分類に対応する分類情報であって、分類情報を一意に識別する分類IDと、対応する分類に属する文書を前記所定の期間ごとに管理するかどうかを定義する期間データとを含む分類情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する分類管理部と、
文書の分類と文書との組み合わせに対応する第2接続情報であって、分類IDと、文書IDとを含む第2接続情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する第2接続管理部とを備え、
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報に含まれる文書IDが含まれる第2接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第2接続情報に含まれる分類IDが含まれる分類情報を記憶装置から抽出し、抽出した分類情報に含まれる期間データにて、対応する分類に属する文書を前記所定の期間ごとに管理すると定義されていれば、抽出した第1接続情報が対応する文書が前記所定の条件を満たしていないと判断することを特徴とする。
【0012】
前記所定の期間は、年度であることを特徴とする。
【0013】
本発明の一の態様に係る文書管理プログラムは、
所定の期間ごとに管理される複数の業務プロセスのそれぞれについて、業務プロセスに関わる複数の文書を管理する文書管理プログラムであり、
期間と業務プロセスとの組み合わせに対応する業務プロセス情報であって、業務プロセス情報を一意に識別する業務ID(識別子)と、業務プロセスの属性データとを含む業務プロセス情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する業務プロセス管理処理と、
文書と文書の版との組み合わせに対応する文書情報であって、文書を一意に識別する文書IDと、文書の属性データとを含む文書情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する文書管理処理と、
業務プロセスと文書との組み合わせに対応する第1接続情報であって、業務IDと、文書IDと、対応する文書の版が特定の版であるか又は第1接続情報の抽出時における最新版であるかを定義する版データとを含む第1接続情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する第1接続管理処理と、
期間と業務プロセスとの組み合わせを指定して、対応する業務プロセス情報を記憶装置から処理装置により抽出する業務プロセス抽出処理と、
前記業務プロセス抽出処理により抽出された業務プロセス情報の業務IDを含む第1接続情報を記憶装置から処理装置により抽出する第1接続抽出処理と、
前記第1接続抽出処理により抽出された第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が特定の版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDと当該特定の版とを指定して、対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出し、当該第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が当該第1接続情報の抽出時における最新版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDを指定して、対応する文書情報のうち、最新版に対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出する文書抽出処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一の態様によれば、文書管理装置において、第1接続管理部が、業務プロセスと文書との組み合わせに対応する第1接続情報であって、業務プロセス情報を一意に識別する業務IDと、文書を一意に識別する文書IDと、対応する文書の版が特定の版であるか又は第1接続情報の抽出時における最新版であるかを定義する版データとを含む第1接続情報を記憶装置に格納しているため、年度等、所定の期間ごとに管理される業務プロセスと業務プロセスに関わる文書及び文書の版との対応関係を効率的に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1に係る文書管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る文書管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る文書管理装置による内部統制要素登録手順を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る文書管理装置によるファイル登録手順を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る文書管理装置による共通ファイル登録手順を示す図である。
【図6】実施の形態1に係る文書管理装置による共通ファイルリンク手順を示す図である。
【図7】実施の形態1に係る文書管理装置による年度移行手順を示す図である。
【図8】実施の形態1に係る年度移行手順にて業務プロセスとファイルの版番号との対応関係を定義する手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1に係る文書管理装置による共通ファイル改訂手順を示す図である。
【図10】実施の形態1に係る文書管理装置による内部統制要素参照手順を示す図である。
【図11】実施の形態1に係る業務プロセスとファイル及びファイルの版番号との対応関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る文書管理装置100の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1において、文書管理装置100は、業務プロセス管理部101、文書管理部102、第1接続管理部103、分類管理部104、第2接続管理部105、業務プロセス抽出部106、第1接続抽出部107、文書抽出部108を備える。文書管理装置100の各部の動作については後述する。
【0019】
文書管理装置100は、処理装置111、記憶装置112、入力装置113、出力装置114等のハードウェアを具備する。ハードウェアは文書管理装置100の各部によって利用される。処理装置111は、文書管理装置100の各部でデータの演算、加工、読み取り、書き込み等を行うために利用される。記憶装置112は、データベース121、ファイルベース122(ファイルシステム)を有しており、これらは、文書管理装置100の各部でデータを格納するために利用される。入力装置113は、文書管理装置100の各部でデータの入力をユーザから受け付けるために、出力装置114は、文書管理装置100の各部でデータや情報をユーザに対して出力するために利用される。
【0020】
文書管理装置100は、各部を動作させて、年度ごとに管理される複数の業務プロセスのそれぞれについて、業務プロセスに関わる複数の文書を管理する。なお、年度は、所定の期間の一例であり、業務プロセスは、年度ごとではなく、時間帯、日付、曜日、週、月、四半期、半期、年といった別の期間ごとに管理されるものであってもよい。その場合にも、同様に本実施の形態を適用することができる。
【0021】
前述したように、内部統制業務では、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性、関連法規の遵守、資産の保全を目的とし、各年度において、業務プロセス(例えば、販売)に係るリスク(例えば、売上入力ミス)及びリスクに対するコントロール(例えば、上長による入力チェック)を定義するとともに、業務プロセスに関わる文書(主に、業務記述書、業務フロー図、リスクコントロールマトリックス)を作成し、長期間保存していく必要がある。
【0022】
そのため、文書管理装置100は、グループ内の会社や事業所等の組織ユニットごとに業務プロセスの文書化(主に、業務記述書、業務フロー図、リスクコントロールマトリックスの作成)を行った結果を、業務プロセス、リスク、コントロールのレコードとともに、業務プロセスに添付する(対応付ける)ファイルとして登録する。文書管理装置100は、これらを年度ごとに管理する。文書管理装置100は、年度開始時に年度移行処理を行って、業務プロセス、リスク、コントロールのレコードを新年度用にコピーするが、ファイルはコピー時間の短縮、ディスク容量の節約のためコピーせず、同一のファイルを新年度の業務プロセスに添付する。
【0023】
また、文書管理装置100は、複数の業務プロセス(ここでは、同じ業務プロセスであっても、異なる組織ユニットの業務プロセスは別々のものとして扱う)に共通する社内規則、標準文書等を、分類用のフォルダにファイルとして登録して管理し、必要に応じて業務プロセスにリンクする。文書管理装置100は、分類用のフォルダについては年度ごとの管理を行わない。
【0024】
文書管理装置100は、ファイルを改訂する度に改訂履歴を更新して管理するが、業務プロセスやフォルダからは、最新のファイルが参照されるように対応関係を定義する。ここで、業務プロセスに添付したファイルの場合、旧年度の業務プロセスからは、その年度内での最新のファイルが参照される。一方、リンクしたファイル(フォルダに登録したファイル)の場合、年度ごとに管理されるものではないため、旧年度の業務プロセスからも、年度に関わらず最新のファイルが参照される。しかしながら、業務プロセスによっては、リンクしたファイルであっても、旧年度の業務プロセスからは、その年度内での最新のファイルが参照されるようにしたい場合がある。
【0025】
このため、共通ファイル(グループ内の各会社や各事業所等に共通する、購買や販売等の標準化された業務記述書等のファイル、即ち、複数の業務プロセスに共通するファイル)を、業務プロセスごとに(例えば、各会社や各事業所等の業務プロセスごとに)別々のファイルとして管理することが考えられる。しかしながら、別々に管理していると、ファイルを改訂する場合、業務プロセスごとにファイルを改訂して登録する必要があり、管理コストが増大する。
【0026】
そこで、本実施の形態では、上記のような共通ファイルについても、年度ごとに管理するか否かをユーザが設定できるようにする。文書管理装置100は、ユーザの設定に基づいて年度移行処理時にその年度で最新のファイルの版番号を記録し、ユーザが各年度で最新のファイルを参照できるようにする。これにより、年度管理が必要な共通ファイルであっても、業務プロセスごとに登録するのではなく、共通ファイルとして一元管理できる。そして、ファイルを改訂する場合にも、業務プロセスごとに改訂を行う必要がないため、管理コストを抑制することができる。
【0027】
データベース121は、内部統制で必要となる以下のデータをレコードとして複数のテーブルに格納して管理する。
(1)ファイル情報131:ファイル(ファイルベース122に保管される電子ファイル151)を管理するデータである。ファイル情報131には、表示上のタイトル(ファイル名)とともに、内部情報としてID、版番号、保管先(本実施の形態では、保管先とはファイルベース122上の位置のことをいうが、バージョン管理システム等、他のファイル管理システムにおいて電子ファイル151に付与されるID等であってもよい)が含まれる。ファイルは、業務プロセスと関連付けられる。
(2)フォルダ情報132:共通ファイルを分類するフォルダを表すデータである。フォルダ情報132には、フォルダに登録されるファイルの年度管理の有無に関する情報も含まれる。なお、ここでいうフォルダは、単なる論理的なカテゴリのことであってもよいし、ファイルベース122上のディレクトリのことであってもよい。
(3)組織ユニット情報133:業務プロセスを管理する会社や事業所等(組織ユニット)の情報を表すデータである。組織ユニットは、業務プロセスと関連付けられる。
(4)業務プロセス情報134:各組織ユニットで行っている購買や販売等の業務(業務プロセス)を表すデータである。業務プロセスは、リスク、ファイルと関連付けられる。
(5)リスク情報135:業務プロセスで発生するおそれのあるリスクを表すデータである。リスクは、コントロールと関連付けられる。
(6)コントロール情報136:リスクを回避する統制(コントロール)を表すデータである。
(7)第1接続情報137:組織ユニット、業務プロセス、リスク、コントロールの対応関係とともに、業務プロセス、ファイル及びその版番号の対応関係を定義するデータである。
(8)第2接続情報138:フォルダ、ファイル及びその版番号の対応関係を定義するデータである。
(9)システム設定139:年度移行時にリンクしたファイルを年度管理するのか、年度に関係なく常に最新版を参照するのかについての設定値を保持するデータである。この設定値は、年度管理に関して文書管理装置100のデフォルトの設定値となる(フォルダ情報132における年度管理の有無の情報等、他の設定値により上書き設定することができる)。
【0028】
ここで、組織ユニット、業務プロセス、リスク、コントロールを総称して内部統制要素と呼ぶ。そのため、組織ユニット情報133、業務プロセス情報134、リスク情報135、コントロール情報136をまとめて内部統制要素情報141と呼ぶ。
【0029】
ファイルベース122は、業務記述書、業務フロー図等の文書を文書エディタ(表計算アプリケーション、ワープロアプリケーション、グラフィック作成アプリケーション等)で作成した電子ファイル151を保管する。
【0030】
図2は、文書管理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0031】
図2において、文書管理装置100は、コンピュータであり、LCD901(Liquid・Crystal・Display)、キーボード902(K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(Compact・Disc・Drive)、プリンタ906といったハードウェアデバイスを備えている。これらのハードウェアデバイスはケーブルや信号線で接続されている。LCD901の代わりに、CRT(Cathode・Ray・Tube)、あるいは、その他の表示装置が用いられてもよい。マウス903の代わりに、タッチパネル、タッチパッド、トラックボール、ペンタブレット、あるいは、その他のポインティングデバイスが用いられてもよい。
【0032】
文書管理装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit)を備えている。CPU911は、処理装置111の一例である。CPU911は、バス912を介してROM913(Read・Only・Memory)、RAM914(Random・Access・Memory)、通信ボード915、LCD901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ906、HDD920(Hard・Disk・Drive)と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。HDD920の代わりに、フラッシュメモリ、光ディスク装置、メモリカードリーダライタ又はその他の記憶媒体が用いられてもよい。
【0033】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、HDD920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置112の一例である。通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905は、入力装置113の一例である。また、通信ボード915、LCD901、プリンタ906は、出力装置114の一例である。
【0034】
通信ボード915は、LAN(Local・Area・Network)等に接続されている。通信ボード915は、LANに限らず、IP−VPN(Internet・Protocol・Virtual・Private・Network)、広域LAN、ATM(Asynchronous・Transfer・Mode)ネットワークといったWAN(Wide・Area・Network)、あるいは、インターネットに接続されていても構わない。LAN、WAN、インターネットは、ネットワークの一例である。
【0035】
HDD920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。ファイル群924には、本実施の形態の説明において、「〜データ」、「〜情報」、「〜ID(識別子)」、「〜フラグ」、「〜結果」として説明するデータや情報や信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」の各項目として含まれている。「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」は、RAM914やHDD920等の記憶媒体に記憶される。RAM914やHDD920等の記憶媒体に記憶されたデータや情報や信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理(動作)に用いられる。抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理中、データや情報や信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0036】
本実施の形態の説明において用いるブロック図やフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。データや信号は、RAM914等のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク(FD)、CDD905のコンパクトディスク(CD)、HDD920の磁気ディスク、光ディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)、あるいは、その他の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912、信号線、ケーブル、あるいは、その他の伝送媒体により伝送される。
【0037】
本実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜工程」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。即ち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアのみ、あるいは、素子、デバイス、基板、配線といったハードウェアのみで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されていても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。即ち、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0038】
図3は、文書管理装置100による内部統制要素登録手順161を示す図である。
【0039】
図3において、内部統制要素登録手順161は、文書管理装置100が内部統制要素をデータベース121に登録する手順である。
【0040】
内部統制要素登録手順161において、業務プロセス管理部101は、組織ユニット情報133、業務プロセス情報134、リスク情報135、コントロール情報136を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0041】
組織ユニット情報133は、組織ユニットを一意に識別するID(例えば「1」)、組織ユニットの属性データである名称(例えば「○○事業部」)、コード(例えば「U01」)等、対応する年度(例えば「08年度」)のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。
【0042】
業務プロセス情報134は、業務プロセスを一意に識別するID(例えば「1」)、業務プロセスの属性データである名称(例えば「販売」)、コード(例えば「P01」)等、対応する年度(例えば「08年度」)のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。業務プロセス情報134のIDは、業務プロセス情報134を一意に識別する業務IDの一例である。業務プロセス情報134のレコードは、年度と業務プロセスとの組み合わせに1対1で対応する。
【0043】
リスク情報135は、リスクを一意に識別するID(例えば「1」)、リスクの属性データである名称(例えば「リスク01」)、コード(例えば「R01」)等、対応する年度(例えば「08年度」)のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。
【0044】
コントロール情報136は、コントロールを一意に識別するID(例えば「1」)、コントロールの属性データである名称(例えば「コントロール01」)、コード(例えば「C01」)等、対応する年度(例えば「08年度」)のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。
【0045】
第1接続管理部103は、第1接続情報137を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0046】
第1接続情報137は、親データ(例えば、組織ユニット情報133)のIDである親ID(例えば「1」)、親データがどのデータであるかを示す親種別(例えば「組織ユニット」)、親データと親子関係をもつ(対応する)子データ(例えば、業務プロセス情報134)のIDである子ID(例えば「1」)、子データがどのデータであるかを示す子種別(例えば「業務プロセス」)、後述する子版番号、接続種別等のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。親データが組織ユニット情報133の場合、子データは業務プロセス情報134となる。親データが業務プロセス情報134の場合、子データはリスク情報135か、あるいは、後述するようにファイル情報131となる。親データがリスク情報135の場合、子データはコントロール情報136となる。
【0047】
図4は、文書管理装置100によるファイル登録手順162を示す図である。
【0048】
図4において、ファイル登録手順162は、文書管理装置100がファイル(電子ファイル151)をファイルベース122に登録し、内部統制要素登録手順161により登録された業務プロセスに、ファイルを関連付ける手順である。
【0049】
ファイル登録手順162において、文書管理部102は、業務プロセス固有のファイルの入力を入力装置113によりユーザから受け付け、そのファイルをファイルベース122に格納する。そして、文書管理部102は、そのファイルのファイル情報131を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0050】
ファイル情報131は、ファイルを一意に識別するID(例えば「1」)、ファイルの版を示す版番号(例えば「1」)、ファイルの属性データである名称(例えば、ファイル名である「ファイル1」)、保管先(例えば、ファイルベース122の保管先「A」)等、ファイルが削除されたか否かを示す削除フラグ(例えば、削除されていないことを示す「N」)のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。ファイル情報131は、文書情報の一例である。ファイル情報131のIDは、文書であるファイルを一意に識別する文書IDの一例である。ファイル情報131のレコードは、ファイルとファイルの版番号との組み合わせに1対1で対応する。
【0051】
第1接続管理部103は、第1接続情報137を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0052】
第1接続情報137は、内部統制要素登録手順161で作成されたものと同じ形式をもつが、ファイル登録手順162で作成されるものでは、親データが業務プロセス情報134、子データがファイル情報131となる。即ち、ファイル登録手順162で作成される第1接続情報137の親IDは業務プロセス情報134のID(例えば「1」)、子IDはファイル情報131のID(例えば「1」)となる。また、この第1接続情報137の子版番号は、子データであるファイル情報131に対応するファイルの最新版を動的に指定する(そのファイルの特定の版番号を指定しない)値(例えば「最新」)となる。子版番号は、対応するファイルの版が特定の版であるか又は第1接続情報137の抽出時における最新版であるかを定義する版データの一例である。ファイル登録手順162で作成される第1接続情報137のレコードは、業務プロセスとファイルとの組み合わせに1対1で対応する。
【0053】
図5は、文書管理装置100による共通ファイル登録手順163を示す図である。
【0054】
図5において、共通ファイル登録手順163は、文書管理装置100がフォルダを作成し、共通ファイル(電子ファイル151)をファイルベース122に登録する手順である。共通ファイル登録手順163では、文書管理装置100は、フォルダに年度管理あり/なしを設定することができる。
【0055】
共通ファイル登録手順163において、分類管理部104は、フォルダ情報132を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0056】
フォルダ情報132は、フォルダを一意に識別するID(例えば「1」)、フォルダの属性データである名称(例えば、フォルダ名である「フォルダ1」)等、フォルダに属するファイルを年度ごとに管理するか否かを示す年度管理フラグ(例えば、年度ごとに管理することを示す「あり」)のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。フォルダ情報132は、分類情報の一例である。フォルダ情報132のIDは、フォルダ情報132を一意に識別する分類IDの一例である。フォルダ情報132の年度管理フラグは、対応するフォルダに属するファイルを所定の期間ごとに管理するかどうかを定義する期間データの一例である。フォルダ情報132のレコードは、フォルダに1対1で対応する。
【0057】
文書管理部102は、複数の業務プロセスに共通するファイル(共通ファイル)の入力を入力装置113によりユーザから受け付け、そのファイルをファイルベース122に格納する。そして、文書管理部102は、そのファイルのファイル情報131を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0058】
ファイル情報131は、ファイル登録手順162で作成されたものと同じ形式をもつ。
【0059】
第2接続管理部105は、第2接続情報138を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0060】
第2接続情報138は、第1接続情報137と同様に、親ID、親種別、子ID、子種別、子版番号等のデータを含み、例えば、これらのデータをカラムごとに格納するテーブルのレコードとして構成される。親データはフォルダ情報132、子データはファイル情報131となる。即ち、第2接続情報138の親IDはフォルダ情報132のID(例えば「1」)、子IDはファイル情報131のID(例えば「2」)となる。また、この第2接続情報138の子版番号は、子データであるファイル情報131に対応するファイルの最新版を動的に指定する(そのファイルの特定の版番号を指定しない)値(例えば「最新」)となる。子版番号は、対応するファイルの版が特定の版であるか又は第2接続情報138の抽出時における最新版であるかを定義する版データの一例である。第2接続情報138のレコードは、フォルダとファイルとの組み合わせに1対1で対応する。
【0061】
図6は、文書管理装置100による共通ファイルリンク手順164を示す図である。
【0062】
図6において、共通ファイルリンク手順164は、文書管理装置100が業務プロセスと共通ファイル(電子ファイル151)とのリンクをデータベース121に登録する手順である。
【0063】
共通ファイルリンク手順164において、第1接続管理部103は、第1接続情報137を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0064】
第1接続情報137は、ファイル登録手順162で作成されたものと同じ形式をもつ。共通ファイルリンク手順164で作成される第1接続情報137の接続種別は、子データであるファイル情報131に対応するファイルがリンクされたファイルであること、即ち、共通ファイルであることを示す値となる。
【0065】
図7は、文書管理装置100による年度移行手順165を示す図である。図8は、年度移行手順165にて業務プロセスとファイルの版番号との対応関係を定義する手順を示すフローチャートである。
【0066】
図7において、年度移行手順165は、文書管理装置100が年度移行処理を行う手順である。年度移行手順165では、文書管理装置100は、業務プロセス情報134等の内部統制要素情報141を新年度用にコピー作成するが、ファイル(電子ファイル151)は内部統制要素情報141と比べてデータ量が大きいため、コピーしない。これにより、処理時間やディスク容量を削減することができる。文書管理装置100は、新年度の業務プロセスからも、前年度と同じファイルを参照するよう、第1接続情報137を作成する。前年度の業務プロセスとファイルとの対応関係を定義する第1接続情報137については、図8に示すように、文書管理装置100は、まず、第1接続情報137をデータベース121から取得し(ステップS101)、その第1接続情報137が対応するファイルが業務プロセス固有のファイルと共通ファイルとのいずれであるかを判定する(ステップS102)。具体的には、文書管理装置100は、取得した第1接続情報137に含まれる接続種別を参照し、対応するファイルがリンクされたファイルであることが示されていなければ、そのファイルが業務プロセス固有のファイルであると判定し、リンクされたファイルであることが示されていれば、共通ファイルであると判定する。業務プロセス固有のファイルの場合、文書管理装置100は、第1接続情報137の子版番号に前年度におけるそのファイルの最新の版番号を記録する(ステップS103)。リンクしている共通ファイルの場合、文書管理装置100は、第2接続情報138を参照して、そのファイルの登録先のフォルダ情報132をデータベース121から取得し(ステップS104)、そのフォルダ情報132における年度管理の設定を確認する(ステップS105)。年度管理ありと設定されていれば、文書管理装置100は、固有のファイルと同様、第1接続情報137の子版番号に前年度におけるそのファイルの最新の版番号を記録する(ステップS103)。フォルダ情報132に年度管理の設定がない場合、文書管理装置100は、システム設定139をデータベース121から取得し(ステップS106)、システム設定139における年度管理の設定を確認する(ステップS107)。システム設定139で年度管理ありと設定されていれば、文書管理装置100は、固有のファイルと同様、第1接続情報137の子版番号に前年度におけるそのファイルの最新の版番号を記録する(ステップS103)。フォルダ情報132で年度管理なしと設定されている場合、あるいは、フォルダ情報132に年度管理の設定がなく、システム設定139で年度管理なしと設定されている場合、文書管理装置100は、第1接続情報137の子版番号の変更は行わない。
【0067】
年度移行手順165において、業務プロセス管理部101は、既存の業務プロセスに関し、新年度の業務プロセス情報134、即ち、新年度を示す年度(例えば「09年度」)のデータが含まれる業務プロセス情報134を処理装置111により新たに作成する。このとき、業務プロセス管理部101は、新年度の業務プロセス情報134のID(例えば「1000」)を生成する。業務プロセス管理部101は、前年度(前年度以外の過去の年度であってもよい)の同じ業務プロセスの業務プロセス情報134に含まれる属性データ(名称、コード等)を抽出する。業務プロセス管理部101は、生成したIDと、抽出した属性データとを含む新年度の業務プロセス情報134を作成して記憶装置112に格納する。
【0068】
第1接続管理部103は、業務プロセス管理部101により新年度の業務プロセス情報134が作成されると、その前年度の業務プロセス情報134のIDが親IDとして含まれる第1接続情報137(以下、前年度の第1接続情報137という)を記憶装置112から抽出する。
【0069】
第1接続管理部103は、前年度の第1接続情報137に含まれる子IDを抽出する。第1接続管理部103は、新年度の業務プロセス情報134のID、抽出した子IDを、それぞれ親ID、子IDとして含む新たな第1接続情報137を処理装置111により作成する。第1接続管理部103は、この第1接続情報137の子版番号を、子データであるファイル情報131に対応するファイルの最新版を動的に指定する(そのファイルの特定の版番号を指定しない)値(例えば「最新」)に設定する。第1接続管理部103は、作成した新たな第1接続情報137を記憶装置112に格納する。
【0070】
また、第1接続管理部103は、前年度の第1接続情報137において子データであるファイル情報131に対応するファイル(以下、前年度の業務プロセスに対応するファイルという)が所定の条件を満たしているかどうかを処理装置111により判断する。そのファイルが所定の条件を満たしていると判断した場合、第1接続管理部103は、前年度の第1接続情報137の子版番号を、そのファイルの最新版を動的に指定する(そのファイルの特定の版番号を指定しない)値(例えば「最新」)に設定する(既にそのような設定となっている場合は設定を変更しない)。一方、そのファイルが所定の条件を満たしていないと判断した場合、第1接続管理部103は、前年度の第1接続情報137の子版番号を、そのファイルの特定の版番号として、そのファイルの現時点における最新の版番号を示す値(例えば「1」)に設定する(前述したステップS103)。
【0071】
第1接続管理部103は、前年度の業務プロセスに対応するファイルが共通ファイルでなければ(前述したステップS102で「NO」)、そのファイルが上記所定の条件を満たしていないと判断する。
【0072】
また、第1接続管理部103は、前年度の第1接続情報137に含まれる子IDが子IDとして含まれる第2接続情報138を記憶装置112から抽出する。第1接続管理部103は、抽出した第2接続情報138に含まれる親IDがIDとして含まれるフォルダ情報132を記憶装置112から抽出する。第1接続管理部103は、抽出したフォルダ情報132の年度管理フラグにて、年度管理ありと設定されていれば(前述したステップS105で「あり」)、前年度の業務プロセスに対応するファイルが上記所定の条件を満たしていないと判断する。
【0073】
図9は、文書管理装置100による共通ファイル改訂手順166を示す図である。
【0074】
図9において、共通ファイル改訂手順166は、文書管理装置100が共通のファイルの改訂版をデータベース121に登録する手順である。共通ファイル改訂手順166では、文書管理装置100は、不要になったファイル(電子ファイル151)を削除する。削除したファイルはフォルダからは参照できなくなり、最新年度の業務プロセスからも参照できなくなる。年度管理なしの場合は旧年度の業務プロセスからも参照できない。しかし、年度管理ありの場合は旧年度の業務プロセスからは参照できる。
【0075】
共通ファイル改訂手順166において、文書管理部102は、改訂版の共通ファイルの入力を入力装置113によりユーザから受け付け、そのファイルをファイルベース122に格納する。そして、文書管理部102は、そのファイルのファイル情報131を処理装置111により作成してデータベース121に格納する。
【0076】
ファイル情報131は、共通ファイル登録手順163で作成されたものと同じ形式をもつ。
【0077】
文書管理部102は、ファイルを削除する場合には、対応するファイル情報131の削除フラグを、そのファイルが削除されたことを示す値に設定する。
【0078】
図10は、文書管理装置100による内部統制要素参照手順167を示す図である。図11は、業務プロセスとファイル及びファイルの版番号との対応関係(データの見え方)の一例を示す図である。
【0079】
図10において、内部統制要素参照手順167は、文書管理装置100が業務プロセスを参照する手順である。内部統制要素参照手順167では、前年度の業務プロセスからリンクされたファイルを見る場合、文書管理装置100は、第1接続情報137の子版番号に設定されている版番号のファイルを参照する。例えば、「最新」の設定がされている場合、文書管理装置100は、現在の最新の版番号を参照する。図10及び図11に示すように、例えば、前年度の業務プロセス「販売」(ID=1)から参照するファイルは、「ファイル1」(ID=1、版番号=1)、「共通ファイル1」(ID=2、版番号=1)、「共通ファイル2」(ID=3、版番号=2)となる。この例では、「共通ファイル1」は、複数の業務プロセスに共通する年度管理が必要なファイルである。そのため、データベース121では、「共通ファイル1」は、共通ファイルとして年度管理ありと設定された「フォルダ1」に登録され、各業務プロセスからリンクされている。一方、ファイルベース122では、「共通ファイル1」は、版ごとに1つの電子ファイル151として保管されている。また、「共通ファイル2」は、複数の業務プロセスに共通するファイルであるが年度管理するのではなく、常に最新版が参照されるファイルである。そのため、データベース121では、「共通ファイル2」は、共通ファイルとして年度管理の設定がない「フォルダ2」に登録され、各業務プロセスからリンクされている。一方、ファイルベース122では、「共通ファイル2」は、版ごとに1つの電子ファイル151として保管されている。このように、本実施の形態では、共通ファイルを一元管理することができる。
【0080】
内部統制要素参照手順167において、業務プロセス抽出部106は、年度と業務プロセスとの組み合わせを指定する入力を入力装置113によりユーザから受け付け、その年度と業務プロセスとの組み合わせを検索キーに指定してデータベース121を検索する。そして、業務プロセス抽出部106は、対応する業務プロセス情報134をデータベース121から処理装置111により抽出する。
【0081】
第1接続抽出部107は、業務プロセス抽出部106により抽出された業務プロセス情報134のIDを親IDとして含み、子データがファイル情報131である第1接続情報137をデータベース121から処理装置111により抽出する。
【0082】
文書抽出部108は、第1接続抽出部107により抽出された第1接続情報137に含まれる子版番号が特定の版番号を示す値に設定されていれば、その第1接続情報137に含まれる子IDと当該特定の版番号とを検索キーに指定してデータベース121を検索する。そして、文書抽出部108は、対応するファイル情報131をデータベース121から処理装置111により抽出する。一方、文書抽出部108は、第1接続抽出部107により抽出された第1接続情報137に含まれる子版番号が特定の版番号を示す値ではなく、ファイルの最新版を動的に指定する値に設定されていれば、その第1接続情報137に含まれる子IDを検索キーに指定してデータベース121を検索する。そして、文書抽出部108は、対応するファイル情報131のうち、最新版のファイルのファイル情報131をデータベース121から処理装置111により抽出する。文書抽出部108は、抽出したファイル情報131の保管先から、対応する電子ファイル151を処理装置111により読み取り、その内容を出力装置114により画面等に出力する。
【0083】
以上のように、本実施の形態によれば、年度等、所定の期間ごとに管理される業務プロセスと業務プロセスに関わる文書及び文書の版との対応関係を効率的に管理することができる。
【0084】
前述したように、共通ファイルでも年度管理が必要なものは個々の業務プロセスごとに登録するという手法をとると、ファイルを改訂する場合、個々の業務プロセスごとに改訂版を登録する手間がかかってしまう。また、同一のファイルを複数登録することによるディスク容量の無駄が生じてしまう。これに対し、本実施の形態では、上記のような文書管理装置100を用いることで、共通ファイルの一元管理が可能となり、ディスク容量が削減でき、改訂にかかるコストの抑制や改訂漏れの防止等を図ることができる。
【符号の説明】
【0085】
100 文書管理装置、101 業務プロセス管理部、102 文書管理部、103 第1接続管理部、104 分類管理部、105 第2接続管理部、106 業務プロセス抽出部、107 第1接続抽出部、108 文書抽出部、111 処理装置、112 記憶装置、113 入力装置、114 出力装置、121 データベース、122 ファイルベース、131 ファイル情報、132 フォルダ情報、133 組織ユニット情報、134 業務プロセス情報、135 リスク情報、136 コントロール情報、137 第1接続情報、138 第2接続情報、139 システム設定、141 内部統制要素情報、151 電子ファイル、161 内部統制要素登録手順、162 ファイル登録手順、163 共通ファイル登録手順、164 共通ファイルリンク手順、165 年度移行手順、166 共通ファイル改訂手順、167 内部統制要素参照手順、901 LCD、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 HDD、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間ごとに管理される複数の業務プロセスのそれぞれについて、業務プロセスに関わる複数の文書を管理する文書管理装置において、
期間と業務プロセスとの組み合わせに対応する業務プロセス情報であって、業務プロセス情報を一意に識別する業務ID(識別子)と、業務プロセスの属性データとを含む業務プロセス情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する業務プロセス管理部と、
文書と文書の版との組み合わせに対応する文書情報であって、文書を一意に識別する文書IDと、文書の属性データとを含む文書情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する文書管理部と、
業務プロセスと文書との組み合わせに対応する第1接続情報であって、業務IDと、文書IDと、対応する文書の版が特定の版であるか又は第1接続情報の抽出時における最新版であるかを定義する版データとを含む第1接続情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する第1接続管理部と、
期間と業務プロセスとの組み合わせを指定して、対応する業務プロセス情報を記憶装置から処理装置により抽出する業務プロセス抽出部と、
前記業務プロセス抽出部により抽出された業務プロセス情報の業務IDを含む第1接続情報を記憶装置から処理装置により抽出する第1接続抽出部と、
前記第1接続抽出部により抽出された第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が特定の版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDと当該特定の版とを指定して、対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出し、当該第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が当該第1接続情報の抽出時における最新版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDを指定して、対応する文書情報のうち、最新版に対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出する文書抽出部とを備えることを特徴とする文書管理装置。
【請求項2】
前記業務プロセス管理部は、新たな期間と既存の業務プロセスとの組み合わせに対応する新たな業務プロセス情報を作成する場合、新たな業務IDを生成し、過去の期間と当該業務プロセスとの組み合わせに対応する過去の業務プロセス情報に含まれる属性データを抽出し、生成した業務IDと、抽出した属性データとを含む業務プロセス情報を作成して記憶装置に格納し、
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報が対応する文書が所定の条件を満たしていれば、当該第1接続情報に含まれる版データを、対応する文書の版が第1接続情報の抽出時における最新版であると定義する版データに設定し、当該第1接続情報が対応する文書が前記所定の条件を満たしていなければ、当該第1接続情報に含まれる版データを、対応する文書の版が特定の版であると定義し、かつ、現時点における最新版を当該特定の版とする版データに設定することを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項3】
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報に含まれる文書IDを抽出し、前記新たな業務プロセス情報の業務IDと、抽出した文書IDと、対応する文書の版が第1接続情報の抽出時における最新版であると定義する版データとを含む第1接続情報を作成して記憶装置に格納することを特徴とする請求項2に記載の文書管理装置。
【請求項4】
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報が対応する文書が2つ以上の業務プロセスに関わる共通文書でなければ、前記所定の条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の文書管理装置。
【請求項5】
前記文書管理装置は、さらに、
文書の分類に対応する分類情報であって、分類情報を一意に識別する分類IDと、対応する分類に属する文書を前記所定の期間ごとに管理するかどうかを定義する期間データとを含む分類情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する分類管理部と、
文書の分類と文書との組み合わせに対応する第2接続情報であって、分類IDと、文書IDとを含む第2接続情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する第2接続管理部とを備え、
前記第1接続管理部は、前記業務プロセス管理部により前記新たな業務プロセス情報が作成された場合、前記過去の業務プロセス情報の業務IDが含まれる第1接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第1接続情報に含まれる文書IDが含まれる第2接続情報を記憶装置から抽出し、抽出した第2接続情報に含まれる分類IDが含まれる分類情報を記憶装置から抽出し、抽出した分類情報に含まれる期間データにて、対応する分類に属する文書を前記所定の期間ごとに管理すると定義されていれば、抽出した第1接続情報が対応する文書が前記所定の条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項2から4までのいずれかに記載の文書管理装置。
【請求項6】
前記所定の期間は、年度であることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の文書管理装置。
【請求項7】
所定の期間ごとに管理される複数の業務プロセスのそれぞれについて、業務プロセスに関わる複数の文書を管理する文書管理プログラムにおいて、
期間と業務プロセスとの組み合わせに対応する業務プロセス情報であって、業務プロセス情報を一意に識別する業務ID(識別子)と、業務プロセスの属性データとを含む業務プロセス情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する業務プロセス管理処理と、
文書と文書の版との組み合わせに対応する文書情報であって、文書を一意に識別する文書IDと、文書の属性データとを含む文書情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する文書管理処理と、
業務プロセスと文書との組み合わせに対応する第1接続情報であって、業務IDと、文書IDと、対応する文書の版が特定の版であるか又は第1接続情報の抽出時における最新版であるかを定義する版データとを含む第1接続情報を処理装置により作成して記憶装置に格納する第1接続管理処理と、
期間と業務プロセスとの組み合わせを指定して、対応する業務プロセス情報を記憶装置から処理装置により抽出する業務プロセス抽出処理と、
前記業務プロセス抽出処理により抽出された業務プロセス情報の業務IDを含む第1接続情報を記憶装置から処理装置により抽出する第1接続抽出処理と、
前記第1接続抽出処理により抽出された第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が特定の版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDと当該特定の版とを指定して、対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出し、当該第1接続情報に含まれる版データにて、対応する文書の版が当該第1接続情報の抽出時における最新版であると定義されていれば、当該第1接続情報に含まれる文書IDを指定して、対応する文書情報のうち、最新版に対応する文書情報を記憶装置から処理装置により抽出する文書抽出処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする文書管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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