説明

料金式精米設備

【課題】本発明は、精米装置と糠室を一体化するコンパクトな料金式精米設備であって、更に、そのメンテナンスや、管理業者の業務をも効率的に、且つ、適格に行える設備を提供することを課題とする。
【解決手段】本体ケース1内左右に精米機2等を備える機械室3と糠を収容する糠室4とを区画して配設し該機械室3と糠室4の前面には夫々左右方向へ開閉可能な開閉扉5,6を設けると共に、機械室3の開閉扉5と糠室4の開閉扉6に夫々異なる錠7,8を設け、更に、糠室4の開閉扉6側から機械室3の開閉扉5側へ牽制体9を突設し該糠室4の開閉扉6の開放時のみ機械室3の開閉扉5を開放可能に構成してなる料金式精米設備の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が持参した籾や玄米等の穀物を精米処理する料金式精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、料金式精米設備として精米装置の建屋と精米時に発生する糠の回収用建屋を個別に離間して配置するものが記載されている。
このような構成にあっては、周辺に広いスペースが確保されているため、機器の保守点検作業や、料金の回収、満杯となった糠の処理等の管理業務も比較的容易に行えるものである。
【0003】
しかしながら、上記のような構成では設備全体が大型化し、近年需要の多い都市近郊では設置スペースが確保できない欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4033717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記の如き欠点を解消し精米装置と糠室を一体化するコンパクトな料金式精米設備を提供し、更に、そのメンテナンスや、管理業者の業務をも効率的に、且つ、適格に行える設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、かかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を講じた。すなわち、請求項1の発明では、本体ケース1内左右に精米機2等を備える機械室3と糠を収容する糠室4とを区画して配設し該機械室3と糠室4の前面には夫々左右方向へ開閉可能な開閉扉5,6を設けると共に、機械室3の開閉扉5と糠室4の開閉扉6に夫々異なる錠7,8を設け、更に、糠室4の開閉扉6側から機械室3の開閉扉5側へ牽制体9を突設し該糠室4の開閉扉6の開放時のみ機械室3の開閉扉5を開放可能に構成してなる料金式精米設備とする。
【0007】
請求項2の発明では、機械室3の上部空間に各種制御装置からなる制御部10を設け該制御部10の前面にメンテナンス用の上部開閉扉11を設けると共に、機械室3の開閉扉5開放時のみに上部開閉扉11を開放操作可能な開閉操作具12を設けてなる請求項1記載の料金式精米設備とする。
【0008】
請求項3の発明では、糠室3内に糠の回収を行ったことを示す管理業者用のリセット用のスイッチ13を設けてなる請求項1又は請求項2記載の料金式精米設備の構成とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明においては、本体ケース1内左右に精米機2等を備える機械室3と糠を収容する糠室4とを区画して配設し該機械室3と糠室4の前面には夫々左右方向へ開閉可能な開閉扉5,6を設けると共に、機械室3の開閉扉5と糠室4の開閉扉6に夫々異なる錠7,8を設け、更に、糠室4の開閉扉6側から機械室3の開閉扉5側へ牽制体9を突設し該糠室4の開閉扉6の開放時のみ機械室3の開閉扉5を開放可能に構成したものであるから、従来技術に比し全体をコンパクトに構成して恰も自動販売機の如き小さな設置スペースとなし、都市近郊等の地価の高い地域にも設置可能である。
【0010】
又、設備のメンテナンスや料金の回収を行う管理業者と、糠を再利用するため糠の回収のみを行う糠回収業者を各別に設定しても、糠回収業者は糠室4の錠8に合う鍵のみを持てばよく、精米運転の利用者と無用なトラブルを起こさない。
【0011】
更に、機械室3の開閉扉5を開ける時には、まず糠室4の錠8を解錠し糠室4の開閉扉6を開放し牽制体9の規制を解除した後に、機械室3の錠7を別の鍵を使って解錠し開閉扉5を開放できるものであるから、二種類の鍵と二重の工程を必要とし料金等の貴重品の管理を安全に行うことができ、防犯性も向上する。
【0012】
請求項2記載の発明では、機械室3の上部空間に各種制御装置からなる制御部10を設け該制御部10の前面にメンテナンス用の上部開閉扉11を設けると共に、機械室3の開閉扉5開放時のみに上部開閉扉11を開放操作可能な開閉操作具12を設けたものであるから、この上部開閉扉11に専用の錠を設ける必要がなく、低コストで、防水性にも優れ、且つ、この部分に看板機能を備える際にデザイン性の向上を図ることができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、糠室3内に糠の回収を行ったことを示す管理業者用のリセットスイッチ13を設けたものであるから、糠室4の満杯を報知された糠回収業者は糠室4の錠8を操作して開閉扉6のみを開放することにより、糠の回収作業と糠室4の満杯報知機能のリセット操作が可能であり、機械室3の開閉の必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】正面図である。
【図2】側面図である。
【図3】各扉を開放状態の正面図である。
【図4】平面から見た開閉扉の開閉を示す図である。
【図5】機械室3の左側断面図である。
【図6】機械室3の右側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この料金式精米設備は、地価の高い都市近郊にあっても軒先等にコンパクトに設置可能な設備であって、又、保守点検等の管理作業を効率的に且つ防犯性等も考慮するものである。
【0016】
本体ケース1は左右幅広で上下に長い箱型の直方体状をなし、本体ケース1内左右に精米機2等を備える広幅の機械室3と糠を収容する狭幅の糠室4とを区画して配設し該機械室3と糠室4の前面には夫々中央から左右方向へ向け開放可能な開閉扉5,6を設けてある。14,14は各扉5,6の回動中心となるヒンジである。
【0017】
機械室3の開閉扉5と糠室4の開閉扉6には夫々異なる錠7,8を設け、更に、糠室4の開閉扉6側から機械室3の開閉扉5側へ牽制体9を突設し該糠室4の開閉扉6の開放時のみ機械室3の開閉扉5を開放可能に構成してある。
【0018】
牽制体9の具体構造を説明すると、図4に示すように糠室4の開閉扉6の左端4aと機械室3の開閉扉5の右端の接合部5aに開閉扉6側が前方に位置する重合部9を設け、糠室4の開閉扉6が機械室3の開閉扉5の開閉を牽制すべく構成してある。図4の機械室3の開閉扉5と糠室4の開閉扉6は閉じている状態を仮想線で示し、観音扉状に開いた状態を実線で示している。
【0019】
なお、牽制体9は、開放する糠室4内側から操作可能で、機械室3の開閉扉5側へ出退自在の操作部材9によって開閉扉5の開放を牽制する構成でもよい。
従って、設備のメンテナンスや料金の回収を行う管理業者と、糠を再利用するため糠の回収のみを行う糠回収業者を各別に設定した場合にも、糠回収業者は糠室4の錠8に合う鍵のみを持てばよく、精米運転の利用者と無用なトラブルを起こさない。
【0020】
更に、機械室3の開閉扉5を開ける時には、まず糠室4の錠8を解錠し糠室4の開閉扉6を開放することにより牽制体9の規制を解除でき、次に機械室3の錠7を別の鍵を使って解錠し開閉扉5を開放する。従って、機械室3の開放には二種類の鍵と二重の工程を必要とし料金等の貴重品の管理を安全に行うことができ、防犯性も向上する。
【0021】
機械室3の開閉扉5面の左側上部には、利用者が米供給時に開閉する供給扉15を設け、その右側上部には操作表示部16を、又、その操作表示部16の下方には内装する精米機2から排出される白米の取出しホッパー17と白米取出しシュート18を設けてある。
【0022】
供給扉15は隣接の操作表示部16との境界部に設置する縦方向のヒンジ19.19を中心に右方向へ開閉可能で、料金投入口20へ料金を投入することにより開放可能である。
【0023】
操作表示部16には、精白度選択スイッチ21を精白度に応じ複数個配置し、又、22は作業工程表示ランプであり、該精米設備の作業工程の経過を表示する。
機械室3の上部空間には各種制御装置からなる制御部10を設けてあり、該制御部10の前面にメンテナンス用の上部開閉扉11を設けると共に、機械室3の開閉扉5開放時のみに上部開閉扉11を開放操作可能な開閉操作具12を設けてある。
【0024】
該開閉操作具12は、機械室3内のピン23を中心に回動可能に構成し、その先端を上方に回動位置させた時上部開閉扉11内に設ける規制板24の前側に接当して該上部開閉扉11の前方への回動を規制する。25は上部開閉扉11の回動中心となるヒンジである。
【0025】
従って、この上部開閉扉11に専用の錠を設ける必要がなく、低コストで、防水性にも優れ、且つ、この部分に看板機能を備える際にデザイン性の向上を図ることができる。なお、上部開閉扉11の裏側にも第二制御部10aを設けており、上部開閉扉11を閉じると制御部10と第二制御部10aとが対向する位置になるよう構成している。そのため制御部を集中配置することができる。また、通常の機械室3の点検時には上部開閉扉11を開ける必要が無いため雨天時の点検に制御部を濡らさないようにすることができる。また、制御部10及び第二制御部10aの点検時には上部開閉扉11を開ければいずれも露出するため、制御部全体を見渡せ、メンテナンス等を行ない易くすることができる。
【0026】
次に、本体ケース1の内部を説明する。機械室3の供給扉15を開放すると内部に投入空間26が設けてあり、その下方に投入ホッパー27が設けてある。28は玄米有無センサーであり、投入料金に対応する設定作業時間経過後、玄米が投入ホッパー1内に残っていることを該センサーが検出した場合に追加料金の投入を案内する。
【0027】
投入ホッパー1の下方には石抜き機29を設けてあり、該石抜き機29は前側の石排出路30側を高く傾斜した状態で揺動され通気性を有する選別棚31と、該選別棚31を駆動するモータ32及び駆動装置33と、該選別棚31に下方から送風するファン34等から構成してある。揺動選別棚31の傾斜下方側には選別される玄米の取出通路35を設けてあり、その下端は昇降機36に連通してある。
【0028】
昇降機36はモータ37により駆動され、その上端の排出シュート38から精米機2のタンク39へ供給可能に構成してある。
精米機2はモータ40により伝動装置41を介して駆動される公知の摩擦式のものであり、下方の排出口42から排出される白米を白米ホッパー17へ供給し貯留する。白米ホッパー10の下部には基端を中心に先端を下方へ回動可能の取出シュート18を設けてあり、該取出シュート18を回動させることにより白米ホッパー17内の白米を本体ケース1外へ案内し、利用者が持参する袋等に回収可能に構成してある。
【0029】
43はファンであり、その吸気側を精米機2周囲の糠室に吸気通路44を介して連通し、その排気側を糠室34上部に設置するサイクロン45外周に沿って連通してある。従って、この渦巻き流により比重選別される糠は下方の糠袋46に回収可能に構成してある。
【0030】
この糠室4前面の開閉扉6は、ヒンジ14.14中心に右方へ回動開放でき、糠回収業者は必要に応じ糠袋46を新しいものと交換し糠を回収する。47は糠袋46の満杯検出センサーであり、該センサー47の検知時に操作表示部16に糠回収業者向けに糠袋46の交換の必要を報知し、又、糠回収業者は糠袋46の交換を行った時には糠室4内のリセットスイッチ13を操作することにより、満杯検出センサー47の検出結果をリセットできる。
【0031】
又、供給扉15は、料金投入口20からの料金投入により開放可能であり、玄米投入後供給扉15を閉鎖することによりにより操作表示部16の精白度選択スイッチ21が点灯するよう構成してあり。次に該精白度選択スイッチ21を選択すると設備が駆働され、投入料金に対応する時間が経過すると停止する。この時、玄米有無センサー28が検出している場合には料金の追加投入を促し、投入されると再び設備が駆動され作業を続け、玄米有無センサー28が玄米の無を検出すると所定時間の終了処理工程経過後に作業を終了する。
【符号の説明】
【0032】
1 本体ケース
2 精米機
3 機械室
4 糠室
5 開閉扉
6 開閉扉
7 錠
8 錠
9 牽制体
10 制御部
11 上部開閉扉
12 開放操作具
13 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース(1)内左右に精米機(2)等を備える機械室(3)と糠を収容する糠室(4)とを区画して配設し該機械室(3)と糠室(4)の前面には夫々左右方向へ開閉可能な開閉扉(5),(6)を設けると共に、機械室(3)の開閉扉(5)と糠室(4)の開閉扉(6)に夫々異なる錠(7),(8)を設け、更に、糠室(4)の開閉扉(6)側から機械室(3)の開閉扉(5)側へ牽制体(9)を突設し該糠室(4)の開閉扉(6)の開放時のみ機械室(3)の開閉扉(5)を開放可能に構成してなる料金式精米設備。
【請求項2】
機械室(3)の上部空間に各種制御装置からなる制御部(10)を設け該制御部(10)の前面にメンテナンス用の上部開閉扉(11)を設けると共に、機械室(3)の開閉扉(5)開放時のみに上部開閉扉(11)を開放操作可能な開閉操作具(12)を設けてなる請求項1記載の料金式精米設備。
【請求項3】
糠室(3)内に糠の回収を行ったことを示す管理業者用のリセット用スイッチ(13)を設けてなる請求項1又は請求項2記載の料金式精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−110822(P2012−110822A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261444(P2010−261444)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】