説明

斜めOリング溝へのOリング組付方法およびOリング組付装置

【課題】各種部品のシールに使用されるOリングを、斜め形状のOリング溝へ、はみ出しやねじれを生じることなく組付けることが可能な組付方法および組付装置を提供する。
【解決手段】対向端部212、213が斜めOリング溝11と同一形状の円筒治具21、22の外周に、Oリング4を拡径して装着し、ワークWの斜めOリング溝11に対向端部212、213を一致させて配置する。円筒治具21、22の外周にガイド治具31、32を装着し、斜めOリング溝11と同一形状の対向端面312、313間にOリング4を配置する。一対のガイド治具31、32を対向方向に移動してOリング4を斜め形状に変形させ、保持したまま斜めOリング溝11へ移動させて嵌込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜め形状のOリング溝へOリングを組付けるためのOリング組付方法と組付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、装置の形状によっては斜め形状を有する斜めOリング溝に、Oリングを装着するものがある。この装着は、斜めOリング溝に向けてOリングを挿入することで行なわれるが、挿入過程で、例えばワーク表面に凹凸が存在していた場合、Oリングにねじれが発生しやすい。そのねじれた状態でOリングが装着されるとシール性が均一とならず、経年変化により微小漏れを起こす原因となるおそれがある。
【0003】
Oリングの組付けに関する従来技術として特許文献2がある。特許文献2は、Oリングを形状の異なるOリング溝に自動組付する方法および装置を開示するものである。この方法は、長方形部材の外周に設けられたOリング溝に、Oリングを所定方向に引き伸ばす工程と、チャック爪を閉じた状態でOリングに挿入し、チャック爪を開いてOリングを保持する工程と、チャック爪の間に開き方向と平行に長方形部材を挿入し、Oリング溝の位置と同じ高さに保持する工程と、チャック爪または長方形部材を90度回転させる工程と、チャック爪を引き抜いてOリングを嵌入する工程を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−87236号公報
【特許文献2】特許第2777403号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の方法または装置は、Oリングの変形が水平方向のみであるため、高さを同位置に保持することで、同一平面内に位置するOリング溝への組付けは比較的容易である。しかしながら、斜めOリング溝に組付けるには、Oリングを水平方向および軸方向に引き伸ばす必要があるのみならず、斜めOリング溝の形状に沿うように変形させる必要がある。このため、特許文献2に記載される方法または装置を、本発明の対象とする形状のOリング溝への組付けに適用することは難しい。また、手作業であっても、Oリングのはみ出しやねじれを生じずに組付けるのは容易でなく、特に、Oリングを嵌着する際にねじれが生じると、シール性に大きく影響する。これについて、次に説明する。
【0006】
図11(a)は、一般的なOリングの製造に用いられる金型100であり、一対の上型201と下型202の対向面に円形の凹部203を有している。製造工程は、金型100を開いて、下型の凹部203に生ゴムを仕込み、上型201を被せる工程と、図11(b)のように熱をかけてプレスする工程からなり、金型から取り出して製品とする。ところが、この方法では、図12(a)、(b)に示すように、成形後のOリング204内外表面に、型割隙間に起因する円周方向のバリが生じる(パーティクルライン)。そして、Oリング溝内にパーティクルラインがねじれた状態でOリングが組付けられると、シール性が全周で均一とならず、経年劣化により微少漏れを起こす原因となるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、各種部品のシールに使用されるOリングを、ワーク外周の斜め形状のOリング溝へ、はみ出しやねじれを生じることなく組付けることが可能な組付方法および組付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、筒状または柱状のワークの外周面に形成した斜めOリング溝にOリングを組付ける方法であって、
一方の端部が上記斜めOリング溝に沿う形状であり上記ワークの外形より大きい筒状治具の外周に、上記Oリングを拡径して装着するOリング装着工程と、
上記ワークの外周に上記Oリングとともに上記筒状治具を覆着するOリングセット工程と、
対向する端面が上記斜めOリング溝に沿う形状であり、上記筒状治具の外周に対して摺動可能な一対の斜めガイド治具を、上記Oリングが上記対向する端面の間に位置するように上記筒状治具の外周に装着するガイド治具セット工程と、
上記一対の斜めガイド治具を、上記対向する端面の全周が上記Oリングに当接するまで移動させて、上記対向する端面間に上記Oリングを保持するOリング保持工程と、
上記筒状治具または上記一対の斜めガイド治具を移動させて、上記対向する端面間に保持された上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌込むOリング嵌込工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明において、上記斜めOリング溝は、上記ワークの軸と垂直な面に対して少なくとも溝の一部が傾斜する形状のOリング溝である。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明において、
上記ガイド治具セット工程は、上記筒状治具の上記一方の端部を、上記斜めOリング溝の端縁に沿って配置した状態で、上記一対の斜めガイド治具を少なくとも一方が上記Oリングに当接するように装着し、
上記Oリング保持工程は、上記一対の斜めガイド治具の少なくとも一方を移動させて、上記Oリングを上記斜めOリング溝と同じ形状に変形させて保持し、
上記Oリング嵌込工程は、上記一対の斜めガイド治具を、上記Oリングを保持した状態を保ちながら上記斜めOリング溝の位置まで移動させて、上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌入する。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明において、
上記ガイド治具セット工程は、上記筒状治具を、上記Oリングが上記斜めOリング溝の外方に位置するように配置した状態で、上記一対の斜めガイド治具の少なくとも一方が上記Oリングに当接するように装着し、
上記Oリング保持工程は、上記一対の斜めガイド治具の少なくとも一方を移動させて、上記Oリングを上記斜めOリング溝と重なる形状に変形させて保持し、
上記Oリング嵌込工程は、上記一対の斜めガイド治具にて上記Oリングを保持した状態を保ちながら、上記筒状治具を引き抜いて、上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌入する。
【0012】
本発明の請求項5に記載の発明は、筒状または柱状のワークの外周面に形成した斜めOリング溝にOリングを組付ける装置であって、
一方の端部が上記斜めOリング溝に沿う形状であり上記ワークの外形より大きい筒状治具と、
上記筒状治具の外周に上記Oリングを拡径して装着するOリング装着手段と、
上記ワークの外周に上記筒状治具に装着した上記Oリングを配置するOリングセット手段と、
対向する端面が上記斜めOリング溝に沿う形状であり、上記筒状治具の外周に対して摺動して、上記対向する端面間に上記Oリングを保持する一対の斜めガイド治具と、を備え
上記筒状治具または上記一対の斜めガイド治具を軸方向に移動させて、上記対向する端面間に保持された上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌込むことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に記載の発明において、上記Oリング装着手段は、先端の円錐部に続く本体部外周に円筒治具が装着されるガイド冶具と、該ガイド冶具の円錐部にOリングを対向して保持する保持部と、上記円錐部に潤滑液を供給する供給手段を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1の方法によれば、予め筒状治具の外周にOリングを拡径して装着し、これをワークに覆着してOリングを案内するガイド治具をセットする。ガイド治具は、対向端面が斜めOリング溝に沿う形状であり、この間にOリングを配置してガイド治具を対向方向へ移動させることで、Oリングを溝形状に容易に変形させることができる。さらに、筒状治具は、端部が斜めOリング溝に沿う形状であるので、Oリングが斜めOリング溝の外方に位置する状態で、ワークとOリングの間の筒状治具を外すことで、Oリングの収縮力により容易に斜めOリング溝に嵌込むことができる。
【0015】
したがって、筒状治具とガイド治具により、Oリングを斜め形状を保持したまま、はみ出しやねじれを生じることなく斜めOリング溝に組付けることが可能であり、工程の自動化により作業性、生産性を大幅に向上させることができる。
【0016】
本発明の請求項2の方法のように、本発明は、ワークの外周に少なくとも一部が傾斜する形状のOリング溝に対して有効であり、筒状治具とガイド治具の端部形状を一致させることで、任意の溝形状に対応させて、効果的に組付けることができる。
【0017】
本発明の請求項3の方法によれば、Oリングを両側に配置した一対の斜めガイド治具の端面間で変形させてから、斜めOリング溝の位置に移動する。一対の斜めガイド治具に保持した状態で移動させるので、ねじれ等を生じにくく、また、予め配置した筒状治具の斜め形状の端部に沿って斜めOリング溝内へ嵌込まれるので、組付けが容易で、はみ出し等を生じにくい。
【0018】
本発明の請求項4の方法によれば、予めOリングが斜めOリング溝の外方に同一形状に位置するように、一対の斜めガイド治具で変形させるので、移動によるねじれを生じにくい。そして、その状態で、筒状治具を引き抜くことで、容易にOリングを斜めOリング溝に嵌込むことができるので、組付けが容易で、はみ出し等を生じにくい。
【0019】
本発明の請求項5に装置によれば、端部を斜め形状とした筒状治具に、Oリング装着手段を用いて、Oリングを容易に拡径して装着することができる。そして、Oリングセット手段にてワークの外周にOリングを配置し、Oリングの両側に一対の斜めガイド治具を装着して摺動可能とすることで、Oリングを対向する端面間に変形させて保持することができる。この形状を保持したまま斜めOリング位置に移動させることで、Oリングを容易に嵌込むことができるので、組付の自動化が可能であり、生産性を大幅に向上させることができる。
【0020】
本発明の請求項6に記載の装置によれば、Oリング装着手段が、筒状治具と同軸の円錐部を有するガイド冶具を備えるので、ガイド冶具の対向するOリングに先端の円錐部を挿入することで、Oリングを容易に拡径することができる。そして、拡径したOリングに潤滑液を供給しながら、筒状治具の外周を移動させて、容易に筒状治具の外周に装着することができるので、自動組付により生産性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態のOリング組付方法を実施するために使用される組付機構の分解図、(b)は組付機構の概略構成図で(c)のA−A線断面図、(c)は組付機構の概略構成図である。
【図2】(a)は、組付機構を構成する冶具の概略図、(b)は、本発明の組付方法が適用されるワークとOリングの概略図である。
【図3】組付機構を用いた組付方法を説明するための工程図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の第2実施形態となるOリング組付装置の構成図である。
【図5】第2実施形態のOリング組付装置を用いた組付方法を説明するための工程図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明のOリング組付装置において使用されるOリング装着装置の構成と、それを用いたOリングの装着方法を説明するための工程図である。
【図7】第3実施形態のOリング組付装置と、それを用いたOリングの組付方法を説明するための工程図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の組付機構を用いない組付例を示す図である。
【図9】本発明の作用効果を説明するための図で、Oリングの断面とOリング溝内の状態を示す図である。
【図10】(a)、(b)は、本発明のOリング組付方法または装置において使用されるガイド治具構成の他の例を示す図である。
【図11】(a)、(b)は、本発明に使用されるOリングの成形方法を説明するための図である。
【図12】(a)、(b)は、図11の方法で成形されたOリングの全体形状および断面形状をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態を詳細に説明する。図1〜3は、本発明によるOリングの組付方法を説明するための図で、図1は、本実施形態で使用される組付機構1の概略図であり、図2は、本発明の組付方法が適用されるワークWとOリング4の概略図、図3は、組付機構1を用いた組付工程を示す図である。図2(b)に示すワークWの外周面には、斜めOリング溝11が形成されている。
【0023】
斜めOリング溝11は、ワークWの軸と垂直な面に対して少なくとも溝の一部が傾斜する形状を有する。具体的には、図2(b)のように、図示される半部において、近接する吸入口11、12間を区画するように略直線状に傾斜する形状に形成される。図示されない裏半部の形状も、同様の形状とすることができる。
【0024】
図2(b)において、斜めOリング溝11には、図示するように、Oリング4を斜めOリング溝11に沿う斜め形状に変形させて組付ける必要がある。そこで、本発明では、Oリング4の組付けを容易にするために、図1に示すように、筒状冶具である円筒治具2と、斜めガイド治具であるガイド冶具3を備える組付機構1を用いる。図1(a)、(c)は組付機構1の分解図および組立図、(b)は(c)のA−A線断面図、図2(a)は円筒治具2およびガイド冶具3の概略図である。
【0025】
図1(a)、図2(a)に示すように、組付機構1の円筒治具2は、一対の上円筒治具21と下円筒治具22からなる。これら上円筒治具21と下円筒治具22は、ワークWの外周に上下から覆着されるものであり、ワークWの外形(最大径)より、内径が大きく形成される。これにより、図1(b)、(c)において、ワークWの外周に覆着された時に、ワークWと接触することがなく、容易に着脱可能となる。斜めOリング溝11に装着されるOリング4の径よりも大きいことはもちろんである。また、下円筒治具22の内周面の少なくとも一部を段付きに形成し、段部222にてワークWの下端を位置決め保持することができる。後述するように、組付方法によっては、円筒治具2を必ずしも上下一対とする必要はなく、一方のみとすることもできる。
【0026】
一対の上円筒治具21と下円筒治具22は、比較的薄肉の円筒体からなり、それぞれ一方の端部形状を、ワークWの斜めOリング溝11と、同じ形状となるように成形する。すなわち、図1(a)に示すように、ワークWを挟んで対向する端部211、221の形状を、斜めOリング溝11に沿う形状に成形している。これにより、上円筒治具21と下円筒治具22の端部211、221を密接させ、一体の円筒治具2として使用することができる。また、図1(b)、(c)に示すように、ワークWの外周に覆着された時に、上円筒治具21と下円筒治具22の間に、斜めOリング溝11と同一形状の隙間2aを形成することができる。この隙間2aは、後述するOリング4の組付け時に用いられる。
【0027】
図1(a)、図2(a)に示すように、組付機構1のガイド冶具3は、一対の上ガイド冶具31と下ガイド冶具32からなる。これら上ガイド冶具31と下ガイド冶具32は、内周径が、円筒治具2と略同径に形成されている。これにより、図1(b)、(c)に示すように、円筒治具2に上下から外挿されて、その外周面に対してそれぞれ摺動自在となっている。一対の上ガイド冶具31と下ガイド冶具32は、比較的厚肉の円筒体からなり、対向する端面311、321を、それぞれワークWの斜めOリング溝11と、同じ形状となるように成形している。
【0028】
これにより、一対の上ガイド冶具31と下ガイド冶具32は、対向する端面311、321間に、Oリング4を配置し、斜めOリング溝11と同一形状に変形させることができる。また、対向する端面311、321間にOリング4を保持する保持機能と、形状を保ったまま斜めOリング溝11の位置まで案内し、斜めOリング溝11の形状に沿って溝内に嵌め入れるガイド機能を有する。この一対のガイド冶具3により、斜めOリング溝11へのOリング4の組付けが容易にできる。
【0029】
次に、図3により、これら一対の円筒治具2と一対のガイド冶具3を用いた、ワークWへのOリング4の組付方法を説明する。まず、(1)に示す工程において、円筒治具2の上円筒治具21の外周に、Oリング4を拡径して装着する(Oリング装着工程)。次いで、ワークWの上方から上円筒治具21を、下方から下円筒治具22をそれぞれ外挿して、(2)に示す工程において、端部211、221を当接させ、ワークWの外周に円筒治具2を覆着する(Oリングセット工程)。この時、図示するように、ワークWの下端を下円筒治具22の段部222に当接させ、斜めOリング溝11と下円筒治具22の端部221を一致させることで、軸方向および回転方向の位置決めが可能としてあり、円筒治具2の端部211、221を、ワークWの斜めOリング溝11の外方に形状が一致するように配置することができる。
【0030】
さらに、円筒治具2を覆着したワークWに、(3)に示す工程において、上方から上ガイド治具31を、下方から下ガイド治具32をそれぞれ外挿する(ガイド治具セット工程)。(3)の工程では、上方から外挿した上ガイド治具31を、端面311の一部がOリング4の上辺に当接する位置に、下ガイド治具32を、端面321の一部がOリング4の上辺に当接する位置に移動させる。この状態では、下ガイド治具32がワークWの外周位置にあり、Oリング4は、斜めOリング溝11より上方位置にある。そこで、この状態から、まず上ガイド治具31を下降させ、斜め形状の端面321にてOリング4を変形させながら押し下げる。これにより、(4)に示す工程において、上ガイド治具31の端面311の全周がOリング4の上辺に、下ガイド治具32の端面321の全周がOリング4の上辺に当接する位置に移動し、一対の上ガイド治具31と下ガイド治具32の間に、Oリング4が保持される(Oリング保持工程)。
【0031】
この状態で、Oリング4は、斜めOリング溝11と同じ形状に変形している。さらに、Oリング4を保持したまま、一対の上ガイド治具31と下ガイド治具32を下降させ、(5)に示す工程において、Oリング4をワークWの斜めOリング溝11の外側に重なる位置とする。そして、(6)に示す工程において、上円筒治具21を上方に引き抜き、上円筒治具21と下円筒治具22の間に隙間2aが形成されると、引き伸ばされていたOリング4が収縮し、斜めOリング溝11に嵌込まれる(Oリング嵌込工程)。次いで、(7)に示す工程において、上ガイド治具31と上方に、下ガイド治具32と下円筒治具22を下方に引き抜く。
【0032】
本発明の組付方法では、このように、円筒治具2とガイド治具3を備える組付け機構1を用いることで、Oリング4を容易に斜めOリング溝11に沿う形状に変形させ、かつ形状を保持したまま、斜めOリング溝11に嵌込むことができる。また、円筒治具2へのOリング4の装着、円筒治具2とガイド治具3の動作は自動化することが可能であり、図3の一連の工程を組込んだ自動組付装置により、作業性を大きく向上させることができる。この組付装置の具体例について、次に説明する。
【0033】
図4(a)、(b)は、本発明の第2実施形態となるOリング組付装置であり、図3の組付機構1を基本構造としている。ここでは、ワークWが斜めOリング溝11と、隣り合う環状のOリング溝12を有する場合に、同時にOリングを装着するための装置として構成する。この装置を用いることにより、ワークWへ複数のOリングを容易に組付けることが可能になる。
【0034】
図4(a)、(b)の組付装置において、図3の組付機構1と同一の部材には、同一符号を付している。組付機構1は、第1実施形態と同様に、円筒治具2とガイド治具3を備えるが、円筒治具2が、上下一対ではない点で異なっている。本実施形態の円筒治具2は、第1実施形態の上円筒治具21と同様に、下端部23が斜めOリング溝11と同じ形状に成形され、外周に複数のOリング4を装着するために、比較的長い軸方向長を有している。
【0035】
また、本実施形態のガイド治具3は、一対の上ガイド冶具31と下ガイド冶具32が、それぞれ2分割されている。上ガイド冶具31は、それぞれ半円筒形状の位置決めガイド312、313からなり、両端面を衝合させることで上ガイド冶具31形状となるとともに、下端面311が斜めOリング溝11に沿う形状となる。同様に、下ガイド冶具32は、それぞれ半円筒形状の位置決めガイド322、323からなり、両端面を衝合させることで下ガイド冶具32形状となるとともに、上端面321が斜めOリング溝11に沿う形状となる。
【0036】
ここで、上ガイド冶具31となる位置決めガイド312、313には、内周面に半円形溝が形成されており、衝合された時に、Oリング4を保持するための環状溝33が形成されるようになっている。これにより、一対の上ガイド冶具31と下ガイド冶具32の間にOリング4を保持するとともに、他のOリング4を環状溝33に保持した状態で、円筒治具2の外周を摺動可能となる。
【0037】
ワークWおよび円筒治具2は、Oリングセット手段となる台座5上に位置決め保持される。この時、ワークWの外周に覆着される円筒治具2を同心状に保持するとともに、ワークWの斜めOリング溝11に対して、円筒治具2の外周に装着されるOリング4が適切な位置となるように調整可能としている。
【0038】
図5、6により、Oリング4の組付方法の詳細を説明する。まず、(1)に示す工程において、円筒治具2の外周に、Oリング4を拡径して装着する(Oリング装着工程)。本実施形態では、(1)の工程を自動化するために、Oリング装着手段としてのOリング装着装置6を供えており、これを図6に示す。図6(a)は、Oリング装着装置6の概略構造を示すもので、先端の円錐部61に続く本体部外周に円筒治具2が装着されるガイド冶具62と、その外周に設置され、円錐部61に潤滑液としての混合液を供給する混合液供給部63(供給手段)と、Oリング4を円錐部61の対向位置に保持する保持部64を備えている。
【0039】
ガイド冶具62は、先端側(図の下端側)へ向けて縮径する円錐部61が、混合液供給部63に設けた円錐面65によって、全周が保持されている。混合液供給部63内には、複数の混合液供給路66が軸方向に並設され、円錐部61を保持する円錐面65に開口している。保持部64は、円形穴の内周面にフランジ状に突出するチャック部材67を有し、チャック部材67上面にOリング4を載置するとともに、円錐状の内周縁部にて円錐部61を当接保持するようになっている。チャック部材67は、径方向にスライドして保持部64本体に収容可能に構成されている。保持部64の円形穴の内径は、円錐部61を含むガイド冶具62の外径より大きく形成される。フランジ67の下方には、Oリング4およびガイド治具62と同軸上に、軸部周りにスプリングを配置したバランサ68が配置され、円錐部61の先端と対向している。
【0040】
Oリング4の装着は、まず、図6(a)に示すように、円筒治具2を装着したガイド冶具62先端の円錐部61を、混合液供給部63の円錐面65にて保持した状態で、外部から混合液供給路66に混合液を供給する。混合液は、円錐面65に設けた複数の開口から吐出され、円錐部61の全面に塗布される。チャック部材67の内周縁部は、円錐部61の中間部が嵌合する内径の円錐形状であり、嵌合位置で円錐部61の先端中央に当接するように、バランサ68が配置されている。
【0041】
ここで、ガイド冶具62は、図示しない駆動手段により軸方向に移動可能であり、混合液供給部63および保持部64のチャック部材65は、拡径方向にスライド可能に構成されている。図6(b)において、混合液供給部63の円錐面65を図の左右に開いて、円筒治具2とともにガイド冶具62を下降させると、円錐部61先端がOリング4に嵌挿され、バランサ68に当接支持される。この時、円錐部61表面に混合液が塗布されているので、円錐部61の外周面に案内されるOリング4との摩擦を低減し、同時に、Oリング4の表面に混合液が塗布される。この状態から、バランサ68に先端が保持されたガイド冶具62をさらに下降させると、チャック部材67に支持されるOリング4が、円錐部61により径方向に引き延ばされながら、円筒治具2方向へ相対移動する。チャック部材67は、円錐部61の下降とともに拡径方向にスライドして、ガイド冶具62の下降を妨げないように構成される。
【0042】
図6(c)において、円錐部61に続くガイド冶具62の本体部は、外周に円筒治具2が装着されて一体の円柱体となる形状であり、Oリング4が円錐部61を越えると、続く本体部から円筒治具2の外周へ容易に移動する。このようにして、拡径したOリング4を円筒治具2の所定位置に嵌着させることができる。なお、図には、この装着工程を繰り返すことにより、円筒治具2の外周の2箇所にOリング4を装着した状態を示している。Oリング4の装着位置は、例えば、予め円筒治具2の軸線上に機械的ストッパを配置しておくことにより、あるいは、ガイド治具62のストローク量を予め決定することで、位置決めを行なうことができ、次工程を容易にすることができる。
【0043】
図5において、(1)に示す工程でOリング4を装着した円筒治具2を、Oリング装着装置6のガイド治具62から取り外し、(2)に示す工程において、台座5にセットしたワークWに覆着する(Oリングセット工程)。本実施形態の方法では、このOリングセット工程で、円筒治具2外周の2つのOリング4が、ワークW(シリンダC1)の斜めOリング溝11とOリング溝12にセット可能な位置となるように調整される。軸方向には、前工程のOリング4装着位置にて位置決めされるので、円筒治具2の下端部23形状が斜めOリング溝11と一致するように回転方向に位置決め調整する手段を設けるとよい。
【0044】
次いで、(3)に示す工程において、図示しない駆動手段により上ガイド冶具31となる一対の位置決めガイド312、313と、一対の下ガイド冶具32となる一対の位置決めガイド322、323を、それぞれ左右方向から装着する(ガイド治具セット工程)。この時、上方のOリング4は、位置決めガイド312、313両端面を衝合させることで、内部に形成される環状溝33に保持される。下方のOリング4は、斜めOリング溝11に沿う形状の上ガイド冶具31下端面311と、下ガイド冶具32上端面321の間に位置する。この状態で、図示しない駆動手段により、上ガイド冶具31および一対の下ガイド冶具32は、一体で円筒治具2の外周面を軸方向に摺動可能としてある。
【0045】
そこで、(4)に示す工程において、下ガイド冶具32を上方に移動させ、下方のOリング4を変形させながら、上ガイド冶具31下端面311に当接する位置まで移動させる。これにより、Oリング4を、円筒治具2を挟んで斜めOリング溝11の外方位置に、上ガイド冶具31と下ガイド冶具32にて同一の斜め形状に変形保持させた状態で配置することができる(Oリング保持工程)。(1)の工程にてOリング4には混合液が塗布されるから、ねじれ等を生じることなく変形し、移動や当接による傷を防止することができる。
【0046】
(5)に示す工程において、上ガイド冶具31と下ガイド冶具32の間にOリング4を保持したまま、図示しない駆動手段によりワークWの外周の円筒治具2のみを上方へ移動させる。(1)の工程にてOリング4を装着する過程で、円筒治具2の外周面にも混合液が塗布されるから、円筒治具2は、上ガイド冶具31と下ガイド冶具32に対して摺動自在であり、Oリング4との摩擦を生じることなく、引き抜くことができる。そして、円筒治具2が、斜めOリング溝11の上方に移動すると、対向位置にあるOリング4が上ガイド冶具31と下ガイド冶具32から外れ、縮径して斜めOリング溝11に嵌合する。さらに円筒治具2が、Oリング溝11の上方に移動すると、対向位置にあるOリング4が上ガイド冶具31と下ガイド冶具32から外れ、縮径して斜めOリング溝11に嵌合する(Oリング嵌込工程)。
【0047】
このように、予めOリング4を円筒治具2の所定位置に装着し、ワークWに対して円筒治具2を軸方向および回転方向に位置決めする方法を採用すれば、上下ガイド冶具31、32をセットし、Oリング4を変形させた後に、円筒治具2を引き抜く簡単な操作手順で、Oリング4の組付けが完了する。また、組付装置は、円筒治具2と一対のガイド治具3および台座5を有する簡易な構成であり、円筒治具2の外周にOリング4をセットするOリング装着装置6を用いることで、Oリング4の装着作業性を大幅に改善することができる。
【0048】
上記構成の円筒治具2を用い、図2(b)に示したワークWのOリング溝11へ組付ける組付装置とすることもできる。これを図7に第3の実施形態として示す。Oリング装着工程は、図6に示したOリング装着装置6を用いて同様に行なう。
【0049】
(11)に示すOリングセット工程は、台座5にセットしたワークWの外周に円筒治具を覆着させる。本実施形態の方法では、このOリングセット工程で、円筒治具2の下端面に、ワークWの斜めOリング溝11が位置するように調整している。
【0050】
次いで、(12)に示すガイド治具セット工程において、上ガイド冶具31となる一対の位置決めガイド312、313と、一対の下ガイド冶具32となる一対の位置決めガイド322、323を、それぞれ左右方向から装着する。この時、Oリング4は、上ガイド冶具31下端面311に当接し、下ガイド冶具32上端面321の上方位置にある。
【0051】
この状態から、(13)に示すOリング保持工程において、下ガイド冶具32を上方に移動させ、下方のOリング4を変形させながら、上ガイド冶具31下端面311に当接する位置まで移動させる。これにより、Oリング4を斜めOリング溝11の上方位置にて、同一形状に変形させた状態で上ガイド冶具31と下ガイド冶具32の間に保持することができる。
【0052】
(14)に示すOリング嵌込工程において、本実施形態では、上ガイド冶具31と下ガイド冶具32の間にOリング4を保持したまま、円筒治具2の外周面に沿って下降させる。この場合も、円筒治具2表面の混合液により上ガイド冶具31と下ガイド冶具32が容易に摺動し、Oリング4はねじれ等を生じることなく移動する。そして、ワークWの斜めOリング溝11の外周位置で停止させると同時に、円筒治具2を上方へ抜くことで、Oリング4を縮径させて斜めOリング溝11に嵌合することができる。
【0053】
このように、本発明の組付装置を用いることで、Oリング4の円筒治具2への装着、ワークWへのOリング4と円筒治具2のセット、Oリング4の変形保持、斜めOリング溝11への組付けといった一連の手順を、容易に行なうことができる。さらに、これら工程における円筒治具2やガイド治具3の装着や保持、位置決め、軸方向または径方向の移動量の設定等を自動化することで、自動組付装置とすることができる。
【0054】
これに対して、図8に示すように、円筒治具2のみでガイド治具3を用いない場合には、所望の効果が得られない。特に、図8(a)のように、円筒治具2Aの下端面が水平で、斜めOリング溝11形状に沿う形状となっていない場合は、(23)の工程でOリング4に円筒治具2Aの下端面に当接した後、(24)の工程で、Oリング4の一部のみが斜めOリング溝11に入るために、ねじれが生じやすい。また、図8(b)のように、下端面が傾斜する円筒治具2を用いた場合も、(33)の工程でOリング4の一部のみが円筒治具2Aの下端面に当接するので、(34)、(35)の工程で、Oリング4の全体が円筒治具2Aに当接し、さらに斜めOリング溝11に向けて移動する間に、ねじれが生じやすい。
【0055】
図9により、本発明の組付方法による作用効果を説明する。図9は、Oリング4の断面形状と、これを溝に組付けた時の状態を並べて示したもので、Oリング4の内外周面には、金型成形時にパーティクルラインがリング状に形成されている。シリンダ等のシールに用いられるOリングには、Oリング装着時のみならず長期に渡りシール性を確保することが要求され、Oリングシール部からの漏れの要因として、Oリング装着時のねじれが指摘されている。ここで、Oリング4のねじれがないとは、好適には、溝に対してパーティクルラインが略平行であること、少なくとも内外周のパーティクルライン全周が、それぞれ溝幅の範囲内にあることを示す。一方、Oリング4のねじれとは、溝に対してパーティクルラインの傾斜が溝幅の範囲内に納まらず、パーティクルラインが溝の上面または下面に当接した状態であり、全周に均等なシール性を保つことが困難になる。
【0056】
Oリング4のねじれの発生は、ワークWのOリング溝にOリング4を嵌着する工程、もしくは、Oリング4を嵌着したワークWを製品ハウジングに組付ける工程において生じる。特に、本発明で対象とするワークWのように斜めOリング溝11を有する場合には、図8のような通常の方法では、Oリング4の嵌着時にねじれを発生させずに組付けることができない。
【0057】
これに対して、上述した本発明の組付方法および組付装置では、円筒治具2とガイド治具3を用いて、Oリング4をねじれなく変形保持し、その状態を保ったまま斜めOリング溝11に組付けることができる。この際、Oリング装着装置6を用いてOリング4に潤滑液を塗布し、移動時の摩擦を低減できるので、Oリング4の切れや傷を防止し、長期間シール性を確保することができる。
【0058】
上記実施形態で示した形状に限らず、斜めOリング溝11形状は、例えば半部が略S字形状となるとともに、他の半部が略直線状に傾斜する形状となっていてもよい。このように、斜めOリング溝11の形状は、軸方向に傾斜を有する形状であれば、特に限定されるものではない。
【0059】
上記実施形態では、斜めOリング溝11のみ、または隣接する環状のOリング12の2つの溝に同時にOリング4を組付ける方法を説明したが、斜めOリング溝11を含む3つ以上の溝に同時にOリング4を組付けることもできる。図10(a)、(b)は、このような方法に使用するガイド治具3の構成例を示すものである。図10(a)は、ガイド治具3を上下一対の上ガイド治具31、下ガイド治具36で構成するとともに、上ガイド治具31と下ガイド治具36の内周面に、それぞれOリング保持用の環状溝33、37を形成する。この時、ガイド治具3は、上ガイド治具31と下ガイド治具36の間に配置したOリング4を、斜めOリング溝11に組付け、同時に、その上下の環状溝33、37に保持するOリング4を対応する環状のOリング溝に組付けることができる。
【0060】
あるいは、図10(b)のように、上下端面が斜め形状の中間ガイド治具37を用い、Oリング保持用の環状溝33を有する上ガイド治具31と下ガイド治具32の間に配置して、ガイド治具3を構成することもできる。この場合には、上ガイド治具31と中間ガイド治具38、中間ガイド治具38と下ガイド治具32の間に配置したOリング4を、それぞれ斜めOリング溝11に組付けると同時に、上ガイド治具31の環状溝33に保持するOリング4を対応する環状のOリング溝に組付けることができる。
【0061】
上記実施形態では、円筒状のワークWに対して、円筒治具2とガイド冶具3を備える構成としているが、ワークWの形状は円筒状に限らず、筒状または柱状のワーク外周に斜めOリング溝11を有する形状であれば、その外周に覆着可能な筒状治具と、斜めガイド治具を用いることで、同様の組付けを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のOリング組付方法および組付装置は、油圧システム、配管継ぎ手、その他装置において、各種部品のシールに使用されるOリングを、斜め形状のOリング溝に組付けるために使用することができる。
【符号の説明】
【0063】
W ワーク
1 Oリング組付機構
11 斜めOリング溝
12 Oリング溝
2 円筒治具(筒状治具)
21 上円筒治具
22 下円筒治具
211、221、23 端部
24 円筒治具
3 ガイド治具
31 上ガイド治具
311 下端面(端面)
312、313 位置決めガイド
32 下ガイド治具
321 上端面(端面)
322、323 位置決めガイド
4 Oリング
5 台座(Oリングセット手段)
6 Oリング装着装置(Oリング装着手段)
61 円錐部
62 ガイド治具
63 混合液供給部(供給手段)
64 保持部
65 円錐面
66 混合液供給路
67 チャック部材
68 バランサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状または柱状のワークの外周面に形成した斜めOリング溝にOリングを組み付ける方法であって、
一方の端部が上記斜めOリング溝に沿う形状であり上記ワークの外形より大きい筒状治具の外周に、上記Oリングを拡径して装着するOリング装着工程と、
上記ワークの外周に上記Oリングとともに上記筒状治具を覆着するOリングセット工程と、
対向する端面が上記斜めOリング溝に沿う形状であり、上記筒状治具の外周に対して摺動可能な一対の斜めガイド治具を、上記Oリングが上記対向する端面の間に位置するように上記筒状治具の外周に装着するガイド治具セット工程と、
上記一対の斜めガイド治具を、上記対向する端面の全周が上記Oリングに当接するまで移動させて、上記対向する端面間に上記Oリングを保持するOリング保持工程と、
上記筒状治具または上記一対の斜めガイド治具を移動させて、上記対向する端面間に保持された上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌込むOリング嵌込工程と、を有することを特徴とする斜めOリング溝へのOリング組付方法。
【請求項2】
上記斜めOリング溝は、上記ワークの軸と垂直な面に対して少なくとも溝の一部が傾斜する形状のOリング溝である請求項1記載の斜めOリング溝へのOリング組付方法。
【請求項3】
上記ガイド治具セット工程は、上記筒状治具の上記一方の端部を、上記斜めOリング溝の端縁に沿って配置した状態で、上記一対の斜めガイド治具を少なくとも一方が上記Oリングに当接するように装着し、
上記Oリング保持工程は、上記一対の斜めガイド治具の少なくとも一方を移動させて、上記Oリングを上記斜めOリング溝と同じ形状に変形させて保持し、
上記Oリング嵌込工程は、上記一対の斜めガイド治具を、上記Oリングを保持した状態を保ちながら上記斜めOリング溝の位置まで移動させて、上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌入する請求項1または2に記載の斜めOリング溝へのOリング組付方法。
【請求項4】
上記ガイド治具セット工程は、上記筒状治具を、上記Oリングが上記斜めOリング溝の外方に位置するように配置した状態で、上記一対の斜めガイド治具の少なくとも一方が上記Oリングに当接するように装着し、
上記Oリング保持工程は、上記一対の斜めガイド治具の少なくとも一方を移動させて、上記Oリングを上記斜めOリング溝と重なる形状に変形させて保持し、
上記Oリング嵌込工程は、上記一対の斜めガイド治具にて上記Oリングを保持した状態を保ちながら、上記筒状治具を引き抜いて、上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌入する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の斜めOリング溝へのOリング組付方法。
【請求項5】
筒状または柱状のワークの外周面に形成した斜めOリング溝にOリングを組付ける装置であって、
一方の端部が上記斜めOリング溝に沿う形状であり上記ワークの外形より大きい筒状治具と、
上記筒状治具の外周に上記Oリングを拡径して装着するOリング装着手段と、
上記ワークの外周に上記筒状治具に装着した上記Oリングを配置するOリングセット手段と、
対向する端面が上記斜めOリング溝に沿う形状であり、上記筒状治具の外周に対して摺動して、上記対向する端面間に上記Oリングを保持する一対の斜めガイド治具と、を備え
上記筒状治具または上記一対の斜めガイド治具を軸方向に移動させて、上記対向する端面間に保持された上記Oリングを上記斜めOリング溝に嵌込むことを特徴とする斜めOリング溝へのOリング組付装置。
【請求項6】
上記Oリング装着手段は、上記筒状治具と同軸上に設けられる円錐状のガイド冶具と、該ガイド冶具の先端側に対向して配置されるOリングを支持する保持部と、上記円錐状のガイド部の円錐面に潤滑油を供給する供給手段と、上記筒状治具とともに上記円錐状のガイド冶具を軸方向に駆動して、上記Oリング内に挿通し拡径して上記筒状冶具に装着させる駆動手段を備える請求項5記載の斜めOリング溝へのOリング組付装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−240163(P2012−240163A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113445(P2011−113445)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】