説明

断熱容器

【課題】特定の関係者以外の人が開蓋するのを防止し、かつ、ポケットに収容されている書類に表記されている事項の内容の漏洩を防止し得る断熱容器を提供する。
【解決手段】断熱性の容器本体1と、この本体の後壁部12の上端に連接して設け、容器本体の上端開口部2を開閉する開閉蓋部3とを備えた断熱容器であって、容器本体は筒状胴部10の前壁部11の外側面に、上端部に出入口41を形成した書類入れ用のポケット4と、一端をポケットの上端部に固着して設けた封緘用の第1の止め帯体50とを備える。開閉蓋部は、先端に連接したフラップ31と、一端をフラップの先端部に固定して設け、閉蓋時に前記止め帯体と重合させる封緘用の第2の止め帯体51とを備える。前記両止め帯体は対応する部位に第1及び第2の孔52,53を備える。閉蓋時に、前記両孔を利用して束線バンド等で両止めベルトを連着して封緘する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には断熱容器に関する。さらに詳しくは、断熱性を備え、血液,体液,医薬品,ヒトの臓器、その他の各種物体を収容(収納)して、移送,配送,輸送する際に使用する断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、断熱性の容器本体と、前記容器本体の上端部に折り曲げ自在に連接して設け、前記容器本体の上端開口部を開閉する断熱性の開閉蓋部とを備えた断熱容器が一般に知られている(例えば特許文献1〜4等参照)。
【0003】
前記文献1〜4に記載の断熱容器は、容器本体内に所望の各種の物体を収容して移送用や輸送用の断熱容器として広く使用されている。上記各断熱容器によれば、各種の物体を温度管理(保冷又は保温)して輸送することができる。
【0004】
ところで、例えば血液等、特定の物体を輸送する場合においては、その物体の種類や内容、その他の所要の事項(プライバシーの事項も含まれている)を表記した伝票等の書類を添付する必要がある。しかし、上記各特許文献に記載の断熱容器は、書類を収納(収容)する収納部(収容部)を備えていない。そのため、例えば、伝票等の書類を断熱容器に貼着テープ等で貼り付けて輸送する方法が採用されている。
【0005】
しかるに、上述した方法によると次のような問題を有している。
(1)書類を容器に貼り付ける作業に手間が掛る。
(2)輸送等、取扱中に書類が容器から剥がれて紛失するおそれがある。
(3)書類に表記されている事項の内容(情報)が漏洩するおそれがある。
(4)開閉蓋部を無断で自由に開蓋することができる問題を有している。
【0006】
そこで、断熱容器の開閉蓋部の上面に書類入れ用ポケットを設ける方法が提案されている。この方法によれば、上記(1)及び(2)の問題は解消できる。しかし、ポケットに収納されている書類は取り出し可能であるため、上記(3)の問題は解消できない。また、上記(4)の問題についても解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平2−131179号公報
【特許文献2】特開平11−79261号公報
【特許文献3】実開平1−128579号公報
【特許文献4】特開2007−126188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記したような実情に鑑み、上述した(1)〜(4)の問題点を全て解消し、特定の関係者以外の人が開蓋するのを防止し、かつ、書類に表記されている事項の内容(情報)が漏洩するのを防止し得る断熱容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のうち1つの発明(第1の発明)は、略四角形断面に形成した筒状胴部の下端を底蓋部で閉塞し、上端を開口した断熱性の容器本体と、前記筒状胴部の後壁部の上端部に折り曲げ自在に連接して設け、前記容器本体の上端開口部を開閉する断熱性の開閉蓋部とを備えた断熱容器であって、
前記容器本体は、前記筒状胴部の前壁部の外側面の略中央部の略下半部側に位置させて設け、上端側に出入口を形成した書類入れ用ポケットと、一端部を前記ポケットの上端部の略中央部に固着し、略垂直方向に設けた所望の幅及び長さの封緘用の第1の止め帯体とを備え、
前記止め帯体は、前記止め帯体の所望の部位に位置させて開設した所望の大きさの第1の孔を備え、
前記開閉蓋部は、前記容器本体の上端開口部と対応する大きさの上蓋部と、前記上蓋部の先端部に折り曲げ自在に連接して設け、閉蓋時に前記筒状胴部の前壁部の外側面の上端部に当接し、係着手段により前記前壁部に係着自在に係着するフラップと、一端部を前記止め帯体と対応させて前記フラップの先端部の略中央部に固着して略垂直方向に設けられ、前記止め帯体と略同幅、かつ、閉蓋時に前記止め帯体と重合する長さの封緘用の第2の止め帯体とを備え、
前記第2の止め帯体は、前記第1の孔と対応する部位に位置させて開設した前記第1の孔と略同大の第2の孔を備えていることを特徴とする。
【0010】
上記のように構成すると、閉蓋して両止め帯体を重合し、両帯体の両孔を利用して、例えば、束線バンドで両帯体を縛束して固定し、或いは錠前で施錠して両帯体を連着する等により、開蓋することができなくなる。また、書類入れ用ポケットの出入口は閉鎖されるので、内部に収納されている書類をポケットから取り出すことはできなくなる。このように、開閉蓋部及びポケットは両方とも一緒に封緘(ロック)される。
【0011】
本発明のうち、他の1つの発明(第2の発明)は、第1の発明の断熱容器において、前記容器本体の筒状胴部の前壁部、後壁部、左右の側壁部、前記容器本体の底蓋部、及び前記開閉蓋部の前記上蓋部は、それぞれ所望の肉厚の平板状に形成した断熱材を備え、前記断熱材でそれぞれ断熱性が付与されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のうち、さらに他の1つの発明(第3の発明)は、第2の発明の断熱容器において、前記断熱材はフェノールフォームで構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のうち、さらに他の1つの発明(第4の発明)は、第1の発明の断熱容器において、前記フラップを前記筒状胴部の前壁部に係脱自在に係着する係着手段は、前記前壁部の外側面の上端部及び前記フラップの内側面に設けた面状ファスナーで構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明のうち、さらに他の1つの発明(第5の発明)は、第1及び第2の発明の断熱容器において、前記容器本体は、手提げベルトその他の手提げ手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)開閉蓋部と書類入れ用ポケットを一緒に封緘(ロック)することができる。
(2)開閉蓋部を封緘してロックできるので、特定の関係者以外の者が開蓋するのを防止することができる。
(3)書類入れ用ポケットの出入口を封緘して閉鎖できるので、ポケット内に収容した伝票その他の書類の紛失を防止できると共に、書類をポケットから取り出すことができないので、書類に表記されている事項の内容(情報)が漏洩するのを防止できる。
(4)第3の発明によれば、上記効果に加え、断熱容器を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の断熱容器の構成を概略的に示す縦断面図であって、同図(a)は閉蓋状態を示す斜視図、同図(b)は開蓋状態を示す斜視図である。
【図2】前記断熱容器の構成を概略的に示す断面図である。
【図3】前記断熱容器の書類入れ用ポケット部分を拡大し、その構成を概略的に示す横断面図である。
【図4】前記ポケットに収容する伝票等の書類の一例を概略的に示す説明図である。
【図5】前記断熱容器の開閉蓋部の止め帯体の取付部分を拡大し、その構成を概略的に示す正面図である。
【図6】前記断熱容器の容器本体の止め帯体の取付部分を拡大し、その構成を概略的に示す正面図である。
【図7】前記断熱容器の開閉蓋部及び前記ポケットの出入口を封緘した状態の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の断熱容器の実施形態の一例について説明する。
【0018】
図1ないし図7は、本発明の一実施形態の断熱容器を示す。これらの図に示すように、本実施形態の断熱容器は、上端を開口した断熱性の容器本体1と、前記本体1の上端開口部を開閉する断熱性の開閉蓋部3と、書類入れ用ポケット4と、封緘手段5とを備える。
【0019】
容器本体1は、所望の大きさの略四角形断面(平面視)に形成されている。容器本体1の大きさは、外側寸法で、例えば横幅:約40cm〜約60cm、前後幅:約30cm〜約55cm、高さ:約30cm〜約50cm程度に形成できる。但し、上記範囲内に限定するものではない。
【0020】
容器本体1は、断熱性の筒状胴部10と、前記胴部10の一端(下端)を閉塞した断熱性の底蓋部20とを備える。前記胴部10は、前後に対向する前壁部11と後壁部12、及び左右に対向する左右の側壁部13,14とを備える。
【0021】
本実施形態の前壁部11、後壁部12、左右の側壁部13,14は、図2に示すように、それぞれ所望の肉厚の平板状に形成した断熱材15とシート材16a,16bとを備える。各断熱材15は、シート材16a,16bで被覆されている。断熱材15の肉厚は適当な厚さに設定できる。例えば、約30mm〜約50mm程度に形成できる。但し、上記範囲内に限定されない。
断熱材15の素材は特に限定されないが、例えば、発泡スチロールやフェノールフォームその他の発泡樹脂製の断熱ボードを採用できる。また、真空断熱材を採用してもよい。本実施形態ではフェノールフォーム製の断熱ボードを採用してある。前記シート材16a,16bの素材も特に限定されるものではなく、任意の素材のものを採用できるものであるが、本実施形態では、繊維製シートの一方の面にアルミを蒸着したアルミ蒸着シートを採用している。アルミ蒸着シートは、アルミ蒸着面を外側にして使用される。
【0022】
本実施形態の底蓋部20は、図2に示すように、所望の肉厚の平板状に形成した断熱材21と、被覆用シート材22と、底部用シート材23とを備える。断熱材21の肉厚は適当に設定できるが、例えば、約30mm〜約50mm程度に形成できる。但し、上記範囲に限定されるものではない。断熱材の素材は前記断熱材15と同様に特に限定されないが、本実施形態では前記断熱材15と同様に旭化成建材社製のフェノールフォーム製の断熱ボードを採用している。
【0023】
前記断熱材21はシート材22で被覆されている。シート材22の素材は特に限定されないが、本実施形態では、繊維製シートの一方の面にアルミを蒸着したアルミ蒸着シートを採用している。前記シートはアルミ蒸着面を外側にして断熱材21を被覆してある。
【0024】
底部シート材23の素材も特に限定されないが、本実施形態のシート材23は、前記シート材22と同様のアルミ蒸着シート23aと、防滑性を有するシート材23bを重合し、外周縁をミシンで縫着(縫合)する等により固着した重合(複合)シートで構成したものを採用している。なお、本実施形態では、前記重合シートは、外周縁をリボンで挟ませてミシンで縫着してある。この場合、シート23aは、アルミ蒸着面を内側に配置して防滑性のシート23bと重合させてある。前記重合シートの大きさは、前記各壁部11,12,13,14で形成される角筒部(筒状胴部10)の外側の大きさと対応するサイズに形成してある。
【0025】
断熱材21の大きさ(横幅及び前後幅のサイズ)は、前記各壁部11,12,13,14で形成される角筒部(筒状胴部10)内に適合して嵌合(嵌入)するサイズに形成されている。本実施形態の底蓋部20は、シート材22で被覆した断熱材21を底部用シート材23のシート23a上の中央部に所定の姿勢で配置し、所望に応じて両面貼着テープでシート23aに接着して構成されている。
【0026】
本実施形態の容器本体は、前後の壁部11,12及び左右の壁部13,14で角筒部(筒状胴部10)を形成し、この角筒部の下端を底蓋部20の断熱材21に嵌合して、下面を面一にする。そして、底部用シート材23の外周縁部と前記各壁部11,12,13,14に被覆されているシート材16aの下縁部をミシンで縫着(縫合)する等により固着(本実施形態ではミシンで縫着)する。また、前壁部11の断熱材15を被覆したシート材16aの両側縁部と左右の側壁部13,14の断熱材の断熱材15を被覆したシート材16aの一方の側縁部とをミシンで縫着する等により固着(本実施形態ではミシンで縫着)する。さらに、また、後壁部12の断熱材15を被覆したシート材16aの両側縁部と左右の側壁部13,14の断熱材15を被覆したシート材16aの他方の側縁部とをミシンで縫着する等により固着(本実施形態ではミシンで縫着)して構成されている。
【0027】
上記により、略四角形断面に形成した筒状胴部10の下端を底蓋部20で閉塞し、上端を開口2した断熱性の容器本体1が構成されている。
なお、容器本体1の組み立て製造工程において、任意の段階で前記シート材16aの前記縫着する外周縁部はリボン24がミシンで縫着されている。また、所望に応じ、所望の部位(但し、外部から見えない部位)をガムテープや両面貼着テープで接着することができる。
【0028】
また、本実施形態の容器本体1は、容器本体1の上端部(筒状胴部10の上端部)に開閉蓋部3の後述する上蓋部を嵌合する嵌合筒部17を備える。嵌合筒部17は前記各壁部11,12,13,14の各断熱材15を被覆したシート材16a,16bの上端部で構成されている。前記筒部17の下端部の内側周縁は、シート材16bで被覆された各壁部11,12,13,14の断熱材15の上端面で形成された平坦面18になっている。
なお、嵌合筒部17は、シート材16aと16bとの間に介装して設けた硬質プラスチック製等の補強板(図示せず)で補強されている。また、筒状胴部の下端における内側近くの周縁部及び底蓋部20の断熱材21の下面の外周縁部と底部用シート材23との間には硬質プラスチック製等の補強板(図示せず)が設けてあり、この補強板で前記部位を補強してある。
【0029】
前記開閉蓋部3は、容器本体1の筒状胴部10の後壁部12の上端部(本実施形態では後壁部12の嵌合筒部の上端部)に折り曲げ自在に連接して設けてある。
【0030】
開閉蓋部3は、容器本体1の上端開口部2(嵌合筒部の上端開口部)と対応する断熱性の上蓋部30と、この上蓋部30の先端部に折り曲げ自在に連接して設け、閉蓋時に筒状胴部10の前壁部11の外側面の上端部に当接し、係着手段6により係脱自在に係着するフラップ31とを備える。
【0031】
本実施形態の上蓋部30は、図2に示すように、所定の肉厚の平板状に形成した断熱材32と、シート材33a,33bとを備える。断熱材32はシート材33a,33bで被覆されている。本実施形態のシート材33a,33bは、筒状胴部10の後壁部12の断熱材15が被覆されている前記シート材16a,16bを延長して連設されている。
【0032】
断熱材32の素材は特に限定されないが、例えば発泡樹脂製の断熱ボードを採用できる。本実施形態では、上記と同様に旭化成建材社製のフェノールフォーム製の断熱ボードを採用している。
上蓋部30は断熱材32をシート材33a,33bで被覆した状態で、筒状胴部10の嵌合筒部17に適合して嵌合(嵌入)し、かつ、内側面の周縁部が筒状胴部10の上端部側の内側周縁に形成された平坦面18にフィットして当接するサイズに形成されている。これにより、開閉蓋部3を閉じることにより、筒状胴部10の上端開口部2は密閉されるように構成してある。
【0033】
本実施形態のフラップ31は、上蓋部30の前記シート材33a,33bを、上蓋部30の先端部から延長させ、周縁部をミシンで縫着する等により固着(本実施形態ではミシンで縫着)して形成されている。フラップ31は、前記開閉蓋部30を閉じた際、係着手段6により前壁部11の外側面の上端部に係脱自在に係着される。これにより、開閉蓋部3は閉蓋状態を安定して維持される。
【0034】
前記係着手段6は任意の構成のものを採用できる。本実施形態の係着手段6は面状ファスナー60で構成したものを採用している。面状ファスナー60としては、例えば、マジックテープ(登録商標)等を採用できる。面状ファスナー60は、一方のファスナー構成部60aを前壁部11の外側面の上端部に縫着等で固着して設ける。また、他方のファスナー構成部60bをフラップ31の内側面に縫着等により固着して設けてある。これにより、開閉蓋部3を閉じてフラップ31を前壁部11に押し付けると、フラップ31は安定して前壁部11に係脱自在に係着するようになっている。
【0035】
前記ポケット4は伝票その他の書類を収納(収容)するもので、所望の大きさに形成される。ポケット4は、筒状胴部10の前壁部11の外側面の略中央部の略下半部に位置させ、上端側に出入口41を形成して設けてある。ポケット4の構成素材は特に限定するものではないが、本実施形態では四角形の所望の大きさのプラスチック製シート材42を採用してある。前記シート材42の上縁(出入口を形成する縁部)にはリボン43(図6、図7等参照)を縫着して縁取りし、前記上縁部を補強してある。
【0036】
本実施形態のポケット4は、前壁部11の前記部位に位置させて、前壁部11の断熱材15を被覆するシート材16aに、前記ポケット4を形成するシート材42の両側縁部及び底縁部をミシンで縫着する等により固着(本実施形態でミシンで縫着)して構成されている。これにより、前壁部11の前記部位には、上端側に書類40を出し入れする出入口41を形成したポケット4が構成される。前記書類40に所要の事項が表記される。
【0037】
前記封緘手段5は、開閉蓋部3を閉めた状態で、前記蓋部3及びポケット4の出入口41を封緘するものである。本実施形態の封緘手段5は、ポケット4側に設ける封緘用の第1の止め帯体50と、フラップ側に設ける封緘用の第2の止め帯体51とを備える。
【0038】
第1及び第2の両止め帯体50,51の構成素材は特に限定するものではないが、強靭な繊維製の織布やレザー等の生地を採用できる。本実施形態では繊維製の織布で構成した止め帯体を採用している。
【0039】
第1の止め帯体50は、所望の幅及び長さに形成され、一端部をポケット4のシート材42の上端部(出入口41側)の略中央部に縫着等で固着(本実施形態ではミシンで縫着)し、略垂直方向へ向けて設けてある。第2の止め帯体51は、前記止め帯体50と略同幅、かつ、閉蓋時に前記止め帯体50と重合する長さに形成されている。第2の止め帯体51は、一端部を第1の止め帯体50と対応させてフラップ31の先端部の略中央部に縫着等で固着(本実施形態ではミシンで縫着)し、垂直方向へ向けて設けてある。
【0040】
第1の止め帯体50は、前記帯体50の所望の部位に位置させて開設した所望の大きさの第1の孔52を備える。第2の止め帯体51は、前記第1の孔52と対応する部位に位置させて開設した前記第1の孔52と略同大の第2の孔53を備える。これにより、開閉蓋部3を閉蓋してフラップ31を筒状胴部10の前壁部に当接して係着し、両止め帯体50,51を重合されることにより、両孔52,53を一致させるように構成してある。両帯体50,51の前記両孔52,53には、両面ハトメ(鳩目)金具54,55(図5、図6参照)をそれぞれパンチ具等で取付けて、両孔52,53の孔縁を補強してある。
【0041】
本実施形態の封緘手段5は上記構成を備え、開閉蓋部3を閉蓋してフラップ31を前壁部11に係着すると共に両止め帯体50,51を重合する。そして、両帯体50,51の両孔52,53を利用して、例えば、束線バンドで両帯体50,51を縛束して固定し、或いは錠前で施錠して両帯体50,51を連着する等により、開閉蓋部3は開蓋することができなくなる。また、ポケット4の出入口41は閉鎖されるので内部に収容(収納)されている書類40はポケット4から取り出すことができなくなる。
【0042】
上記のように、開閉蓋部3及びポケット4は一緒に封緘(ロック)される。本実施形態では、一例として、図7に示すように、プラスチック製等の束線バンド56を用いて両帯体50,51を縛束して固定した例が開示されている。前記束線バンド56は、一旦止め着すると、バンド56の止め着は解除できないように構成したディスポ形のものを採用している。前記止め着はバンド56を切断して解除する。なお、両帯体50,51の連着手段は一例として開示したもので、上述した束線バンドや錠前以外のものを使用できること勿論である。
【0043】
本実施形態の断熱容器は、容器本体1に設けた手提げベルトその他の手提げ手段7を備えている。本実施形態では、手提げ手段として所望の長さに形成した手提げベルト70,71を採用している。前記一方のベルト70は、両端部を筒状胴部10の前壁部11の前記シート材16aにミシンで縫着する等により固定し、その上からベルト固定用帯体72をミシンで縫着する等により固定して設けてある。他方のベルト71は、両端部を筒状胴部10の後壁部12の前記シート材16bに、前記ベルト70と同様の手段により縫着等で固定して設けてある。
【0044】
また、本実施形態の断熱容器は、開閉蓋部3の上蓋部の内側面(閉蓋した状態で下面)に設け、蓄熱剤(本実施形態では、主に蓄冷剤を使用)を出し入れ自在に収容(収納)する所望の大きさの収容部8を備えている(図1(b),図2等参照)。本実施形態の収容部8は、一側部を開口して出入口80を形成し、上蓋部30の前記シート材33aに縫着等で固定して設けた袋状体81で構成してある。
【0045】
本実施形態の断熱容器は上記のように構成され、従来と同様に、血液,体液,医薬品,その他の各種物体を収容し、また、所要事項を表記した伝票等の書類40をポケットに収容して、移送,配送,輸送する際に使用するものである。
【0046】
なお、上記した実施形態の断熱容器は一例として開示したもので、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想を越脱しない範囲において任意に変更可能なものである。
【符号の説明】
【0047】
1 容器本体
2 開口
3 開閉蓋部
4 書類入れ用ポケット
10 筒状胴部
11 前壁部
12 後壁部
41 出入口
50 封緘用の第1の止め帯体
51 封緘用の第2の止め帯体
52 第1の孔
53 第2の孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略四角形断面に形成した筒状胴部の下端を底蓋部で閉塞し、上端を開口した断熱性の容器本体と、前記筒状胴部の後壁部の上端部に折り曲げ自在に連接して設け、前記容器本体の上端開口部を開閉する断熱性の開閉蓋部とを備えた断熱容器であって、
前記容器本体は、前記筒状胴部の前壁部の外側面の略中央部の略下半部側に位置させて設け、上端側に出入口を形成した書類入れ用ポケットと、一端部を前記ポケットの上端部の略中央部に固着し、略垂直方向に設けた所望の幅及び長さの封緘用の第1の止め帯体とを備え、
前記止め帯体は、前記止め帯体の所望の部位に位置させて開設した所望の大きさの第1の孔を備え、
前記開閉蓋部は、前記容器本体の上端開口部と対応する大きさの上蓋部と、前記上蓋部の先端部に折り曲げ自在に連接して設け、閉蓋時に前記筒状胴部の前壁部の外側面の上端部に当接し、係着手段により前記前壁部に係着自在に係着するフラップと、一端部を前記止め帯体と対応させて前記フラップの先端部の略中央部に固着して略垂直方向に設けられ、前記止め帯体と略同幅、かつ、閉蓋時に前記止め帯体と重合する長さの封緘用の第2の止め帯体とを備え、
前記第2の止め帯体は、前記第1の孔と対応する部位に位置させて開設した前記第1の孔と略同大の第2の孔を備えている
ことを特徴とする、断熱容器。
【請求項2】
前記容器本体の筒状胴部の前壁部、後壁部、左右の側壁部、前記容器本体の底蓋部、及び前記開閉蓋部の前記上蓋部は、それぞれ所望の肉厚の平板状に形成した断熱材を備え、前記断熱材でそれぞれ断熱性が付与されていることを特徴とする、請求項1に記載の断熱容器。
【請求項3】
請求項2に記載の断熱容器において、前記断熱材はフェノールフォームで構成されていることを特徴とする、断熱容器。
【請求項4】
請求項1に記載の断熱容器において、前記フラップを前記筒状胴部の前壁部に係脱自在に係着する係着手段は、前記前壁部の外側面の上端部及び前記フラップの内側面に設けた面状ファスナーで構成されていることを特徴とする、断熱容器。
【請求項5】
前記容器本体は、手提げベルトその他の手提げ手段を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の断熱容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−6614(P2012−6614A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142762(P2010−142762)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(503370321)株式会社荏原 (1)
【Fターム(参考)】